「Low」と一致するもの

ザ・フューチャー - ele-king

あなたはいつも 許されたがっている

ビーチ・ハウス "マスター・オブ・ノーン"


 西洋占星術にはサターン・リターンという考え方がある。星占いの世界において、試練・現実・社会的責任などを意味する土星(サターン)が黄道の約29年の周期を一回りし、そのひとが誕生したときの位置に帰ってくる時期のことで、ここでは社会的な意味での子どもから大人への通過儀礼が行われるとされる。要するに28、29歳くらいの時期で、自分の人生の現実に誰もが向き合わねばらない、ということだ。いち部の占星術師は、カート・コバーンとエイミー・ワインハウスはサターン・リターンを迎えられなかった典型的なポップ・スターであると言った。その言説の是非はともかくとして、たしかに、30歳前後の大抵の人間が責任と役割を果たす「大人」になることを、この社会は強要しているように見える。女性誌は表紙に「30代女子」という(本来であれば語義矛盾の)コピーを踊らせるいっぽうで、定期的に結婚・出産の特集を組んでタイム・スケジュール的に人生をコントロールすることを提案する。星占いのページでは、「土星があなたに課す試練は、大人になるためのレッスン」だと言う。サターン・リターンを迎えた「女子」たちは、生理的にも社会的にも、ある選択を迫られる......。

 ミランダ・ジュライ監督作の『ザ・フューチャー』の画面のなかには呆れるほどの「女子」が映し出されるが、彼女、ジュライ自身が演じるソフィーはとっくに土星が2周目を走っている35歳の独身女性である。恋人のジェイソン(ハミッシュ・リンクレーター)とは同棲4年目で、この映画が物語の冒頭で設定する、怪我をした猫"パウパウ"を迎え入れるための30日間というのはつまりモラトリアムの期限のことである。ソフィーはその30日間のあいだに、自己表現の象徴であるダンスを創作しようとするがうまくいかず、彼女と同じように自己実現を控えめに目指す同胞のような恋人のもとを去り、単純に生物としての女を求めてくる別の男と過ごすことのラクさに甘んじてしまう。
 たとえばソフィア・コッポラ的にノスタルジックな意味の「少女」ではなく、もっとリアルで、そしてやっかいな自分のなかの「女子」との向き合い方。女優であり、アーティストであり、映画監督であり、作家であるミランダ・ジュライのような眩しい才能に恵まれた人物が、言ってしまえばこんなにごく普通の女性の問題を扱っていること自体に微かに驚きつつ、しかしこれ以上ない現代性をもここに嗅ぎ取れるだろう。僕には当然、女性の人生の岐路は実感としてはわからないが、だからこそ面倒な時代の女性の生き方の難しさを考えずにはいられない。「将来」は女性誌のなかでは希望に満ちたものではなく、たんにタイム・リミットのことである。この映画のなかにあるような、しばらく会っていなかった友人たちが揃って妊娠しているエピソードなどはどこででも聞く話だ。
 だからジュライは、そんな取るに足らない、くだらない現実に奇妙なやり方で遠慮がちながらも抵抗する。話者を猫に設定したり、月が喋ったり、Tシャツが地を這ったりするのもそうだが、決定的なのはソフィーが別の男の話をしはじめたとき、それ以上聞きたくないジェイソンが時を止めてしまう箇所だろう。そこでは、もしかするとこの国でいうセカイ系をも微妙に掠めつつ、しかし情けない逃避こそを的確に映画的に見せてしまう。

 そんな映画に流れるのがビーチ・ハウスなのである。彼女らの"マスター・オブ・ノーン"ははじめパソコンから流れるソフィーのダンス音楽として使用され、ダンスが思うように作れない彼女自身によってイントロ部分で止められてしまう。映画も終盤に差し掛かった頃、今度は純然たる映画音楽としてイントロから歌へと到達する。そこでソフィーはそのビーチ・ハウスの音楽、キミとボクのセカイの歌に合わせて、不恰好ながらも異物として奇妙なダンスを繰り広げるのだ。MOR? きっとそうなのだろう。それは強い主張もなく、将来への自信もない、「大人」になることができないか弱いひとたちのための歌と踊りだ。
 結局、ふたりの「ザ・フューチャー=将来」は想定していたものから瓦解し、取り返しのつかない痛みを残しながら何も解決を見せずに、ただ「いま」という時間だけが引き延ばされていく。けれどもその地点からしか続いていかないものとしての「ザ・フューチャー」はタイム・リミットから解放されて、ただ未知のものとしてふたりに還ってくる。その感触は、そう、ヴィクトリア・ルグランの歌声のように、切なくもどこまでも甘美なものである。

予告編


Beach House / Master of None

Dean Blunt - ele-king

 戦争中から戦後にかけて、センチメンタリズムは氾濫した。それは、いまだに続いている。しかし、わたしには、その種のセンチメンタリズムは、イデオロギーぬきの生粋のセンチメンタリストに特別にめぐまれているやさしさを、いささかも助長するようなシロモノではなかったような気がしてならない。
──花田清輝

 DLカードが入っていたのでアドレスを打ち込んでみたが、何の応答もない。彼ららしい虚偽なのかもしれない。だいたい世相が荒れてくると、人はわかりやすいもの、真実をさもわかった風に言うもの、あるいは勇ましい人、あるいは涙に支配された言葉になびきがちだ。未来はわれらのもの......この言葉は誰の言葉か、ロックンローラーでもラッパーでもない。ヒトラー率いるナチスが歌った歌に出てくるフレーズである。
 こんなご時世にロンドンのディーン・ブラントとインガ・コープランドという嘘の名前を懲りずに使用する、ハイプ・ウィリアムスというさらにまた嘘の名前で活動しているふたりの男女は、相も変わらず、反時代的なまでに、嘘しか言わない。希望のひと言ふた言でも言ってあげればなびく人は少なからずいるだろうに、しかし彼らはそんな嘘はつけないとばかりに嘘をつき続けている。

 DLカードが虚偽かどうかはともかく、『ザ・ナルシストII』は、ディーン・ブラントを名乗る男が、もともとは昨年冬に(『ブラック・イズ・ビューティフル』とほぼ同時期に)フリーで配信した30分強の曲で、金も取らずに自分の曲を配信するなんて、まあ、そんなことはナルシスティックな行為に他ならないと、間違っても、なるべく多くの不特定多数に聴いて欲しいからなどというつまらない名分を口にしない彼らしい発表のした方を選んだ曲(というかメドレー)だった。それから半年後になって、〈ヒッポス・イン・タンクス〉からヴァイナルのリリースとなったというだけの話だ。

 映画のダイアローグのコラージュにはじまり、ダーク・アンビエント~R&Bの切り貼りにパイプオルガン~ヴェイパーウェイヴ風のループ~ギター・ポップ~ノイズ、ダウンテンポ、R&B、アシッド・ハウス......ディーン・ブラントは一貫して、腰が引けた情けな~い声で歌っている......インガ・コープランドと名乗る女性が歌で参加する"ザ・ナルシスト"は、最後に彼女の「ナルシストでした~」という言葉と拍手で終わる......そのとたん、ライターで火を付けて煙を吸って、吐く、音楽がはじまる......。『ザ・ナルシストII』は、時期的にも音的にも『ブラック・イズ・ビューティフル』と双子のような作品だが、こちらのほうが芝居めいている。催眠的で、ドープで、ヒプナゴジックだが、彼らには喜劇的な要素があり、そこが強調されている。
 正月の暇をもてあましていたとき、エレキングからネットで散見できる言葉という言葉を読んで、この世界が勝ち気な人たちで溢れていることを知った。勝ち気と自己肯定の雨あられの世界にあって、怠惰と敗北感と自己嘲笑に満ちた『ザ・ナルシストII』は、微笑ましいどころか清々する思いだ。
 しかも、正月も明け、ゆとり世代の最終兵器と呼ばれるパブリック娘。が僕と同じようにこの作品を面白がっていたことを知って嬉しかった。音楽を鼓膜の振動や周波数ないしは字面のみで経験するのではなく、それらが脳を通して感知されるものとして捉えるなら、真っ青なジャケにイタリア語で「禁止」と描かれたこの作品の向こうに広がっているのは......苦境を生き抜けるなどという啓蒙すなわち大衆大衆と言いながら媚態を呈する誰かとは正反対の、たんなるふたりのふとどきものの恋愛の延長かもしれない。

interview with Darkstar - ele-king

E王
Darkstar - News From Nowhere
Warp/ビート

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 公園のベンチに座るのが好きだ。色や匂いが違う。ただそれだけのことだが、ダークスターの『ニュース・フロム・ノーウェア』はその感覚を押しひろげているように感じる。その点で言えば、ビーチ・ハウスの『ティーン・ドリーム』を思わせる。USインディ音楽のドリーム・ポップがUKの湿った土壌で醸成されたというか、いずれにせよ、この音楽にはもうUKガラージやダブステップの記憶はほとんどない。

 ダークスターは、2009年末、〈ハイパーダブ〉からの12インチ・シングル「エイディーズ・ガール・イズ・ア・コンピュータ」によって大々的な注目を集めている。当時はふたり組だったが、その後3人組となった。後から加入したジェイムス・バッテリーはヴォーカリストだ。彼が入る前の「エイディーズ・ガール・イズ~」や「ニード・ユー」は、初音ミクよろしくコンピュータのソフトウェアが歌っている。
 2009年といえば、ダブステップが多様化を極めようとしていた時期だ。ブリアルの影響下でマウント・キンビーやジェームズ・ブレイクが登場、あるいはラマダンマンやSBTRKT、ジョイ・オービソンらが頭角を現していたが、ダークスターのエイデン・ウォーリーとジェイムス・ヤングは他の誰とも違ったアプローチを見せた。それは、ちょっとクラフトーク風の、ロボティックなシンセ・ポップだった。そして、3人組となって録音、2010年の秋にリリースされたデビュー・アルバム『ノース』では、明らかに、がつんと、バッテリーの甘い歌声を活かした楽曲を披露した。それはイングランド北部の喪失感をえぐり出すような、暗く寒い音楽だった。
 しかし、『ノース』は素晴らしいアルバムでもあった。90年代の〈モワックス〉からDJシャドウが、あるいはアイルランドからデヴィッド・ホームズが出てきたときのようなイメージと重なる。憂鬱が今世紀のクラブ・サウンドのなかで見事に音像化されている。いわば灰色の魅力だ。
 対して2年ぶりのセカンド・アルバム──〈ワープ〉移籍後の最初のアルバムとなる『ニュース・フロム・ノーウェア』は、前作以上に、多彩なテクスチャーを見せている。アルト・ジェイの電子版とでも形容できそうな、聴き応え充分のアルバムだ。たとえばこの曲とか。



最初にたまたま作った音楽がダブステップだったっていうのはあるけど......でもいつももうちょっとメロディのある歌ものを作っていたんだ。

そもそもダークスターという名前はどこから来たんですか? 

ジェイムス・ヤング:ダークスターという名前は......なんだろう、ダークな感じっていうだけなんだけど......。最初は『ダークスター』っていうレコードから名前をとったんだ。それで『ダークスター・ヒューマノイド』っていうのにしようと思ってたんだけど、変な名前だなーと思って短くしたんだよ。

オリジナル・メンバーのふたり(エイデン・ウォーリーとジェイムス・ヤング)はどうして出会ったのでしょうか?

エイデン・ウォーリー:もともと僕とジェイムス(Buttery)は友だちだったり、みんなバンドをやってたり、そして全員同じロンドンの大学に通う仲間だった。僕とジェイムス(Young)は当時同じ寮に住んでたりもした。それでジェイムス・ヤングと一緒にダークスターをはじめて、その後ジェイムス・バッテリーも誘って一緒にやりはじめたんだ。ロンドンの東にあるハックニーを拠点に音楽を制作しはじめて、それでいくつか曲ができはじめたって感じで、自然にはじまったっていう感じだね。

ダークスターにはいろんな音楽からの影響を感じますが、音楽をやりはじめたきっかけは、やはりダブステップだったんでしょうか? それとも、別の契機があって作っていたところに、たまたまダブステップが流行っていたから乗ったんでしょうか?

ジェイムス・ヤング:まぁ最初にたまたま作った音楽がダブステップだったっていうのはあるけど......でもいつももうちょっとメロディのある歌ものを作っていたんだ。

ジェイムス・バッテリー:僕たちはいろんな音楽を聴くんだ。もちろんエレクトロニック・ミュージックはたくさん聴くけど、バンドの音楽も聴くし。僕たちはいろいろなものを聴くから"コレ"っていうものにカテゴライズできないと思うよ。もちろんダブステップからはじまってその上にいろいろな音楽の要素が乗ってる感じだね。

〈2010 Records〉は自分たちの自主レーベルだったんですよね? 初期のシングルはダブステップのスタイルでしたが、2007年当時は誰からの影響が強かったのでしょうか?

エイデン・ウォーリー:そうだよ、自分たちを表現するためにもいいかなと思ってさ。さっきも話したけど、最初はダブステップからはじまったけど、僕たちはいろいろなジャンルの音楽を聴くし、とくにカテゴライズしてないと思うよ。

それが2008年に〈ハイパーダブ〉から出した「Need You」あたりから変わっていきますよね。そして2009年の「Aidy's Girl Is A Computer」でいっきに変化を遂げる。実は僕は「 Aidy's Girl Is A Computer」が最初だったんですけど、聴いて一発で好きになりました。ダークスターを語るうえで逃せない重要なシングルだと思いますが、当時、ここで音楽性がいっきに拡張して、ダブステップとは別の方向性を見せた理由は何にあったのでしょうか?

エイデン・ウォーリー:たぶんここ最近の作品は「Aidy's Girl Is A Computer」の手法と同じように作っているからそういう印象を受けるのかもしれないね。とにかくそのとき考えたのは、最高に面白いものを作るってことだったしね。曲を作るときに気をつけたのはバランスだ。エレクトロニック・ミュージックのなかでヴォーカルとダンス・ミュージックの要素を上手くバランスを取って取り入れることが重要だと思うんだ。だからある意味僕たちにとってはチャレンジすることがまだたくさんある。

そしてジェイムス・バッテリーが加入して『ノース』が生まれました。歌が必要なだけならシンガーをゲストで入れれば済む話ですが、敢えてヴォーカリストをメンバーとして入れた背景には何があったのでしょうか? 言葉を必要としたということなのでしょうか?

エイデン・ウォーリー:もっと「歌」を書きたいと思ったからっていうのはあるかな。「歌」があったほうがもっといろいろなチャレンジできるしね。

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イースト・ロンドンのフラットで作ってたんだけど、けっこう荒んだエリアでね......。街ではいつもいろんなことが勃発してて、だからなんとなくそのときのことが反映されていて、エモーショナルで悲しい感じが出ているよね。

『ノース』が生まれた背景にはあなたのどんな思いがあったのか教えてください。そもそもあのとき、何故『ノース』という題名に決めて、インダストリアルな写真をデザインしたのでしょう? 

ジェイムス・バッテリー:基本的にイースト・ロンドンのフラットで曲を作っていたんだけど、8~9カ月くらい制作に時間を費やしたんだけど......いろんな曲を試したし、とくに変わったことをしたわけではなく、通常通りの曲作りをしていたね。正直そのとき自分たちに出来るベストなアルバムを作ろうっていう、ただそれだけだった。
 アルバム・タイトルについては、最後の最後まで決まらなくて、どうすればいいのか迷ってたんだけど、すごくアグレッシヴな"North"っていう曲があって、なんとなくアルバム全体を表しているような気もしたし、僕たち全員北部(ノース)の出身だから、それも意味を成してていいかなって思ったんだ。アートワークについては〈モー・ワックス〉の初期っぽい感じにした。

『ノース』のメランコリーや喪失感はあなた個人の抱えている問題でしょうか? それとも社会の反映なんですか?

エイデン・ウォーリー:イースト・ロンドンのフラットで作ってたんだけど、けっこう荒んだエリアでね......。街ではいつもいろんなことが勃発してて、だからなんとなくそのときのことが反映されていて、エモーショナルで悲しい感じが出ているよね。

ジェイムス・バッテリー:なんかこうやって前のアルバムを振り返るとそのとき気づかなかった点に気づいて、それはそれで面白いよね。そう思うと、最初に作ったアルバムって本当に小さな箱のなかで作業しているような、本当に狭い世界で出来あがったものだなって思うよ。でも僕たちはこの環境にしてはとても恵まれていると思うし、成功しているほうだと思うよ。

『ニュース・フロム・ノーウェア』は『ノース』よりも緻密に、手間暇をかけて作られていますね。音響の処理や録音も素晴らしかったです。まずはこのアルバムの制作に時間のかかった理由から伺います。それは技術的な問題からなのでしょうか、あるいは作品の方向性を決めるうえで慎重な議論を要したからでしょうか?

エイデン・ウォーリー:6~8ヶ月くらい?

ジェイムス・ヤング:まぁ、たくさん時間をかけて作った分、いろんなヴァージョンの曲も出来あがってるから、けっこうな曲数になってると思うね。

ジェイムス・バッテリー:でもマスターテープを作る作業から入れたら11か月くらいかかってない? それに僕が入院してたせいで作業が思うように進まなくて......。

どうしたんですか?

ジェイムス・バッテリー:この家の塀から落ちて背中を打ったんだよ。まだ重いものは持てないけどだいぶ治ってきているから、いまは大丈夫なんだけどね。でも、いいのか悪いのか、おかげで制作期間が延びたことで落ちついて、いろんなことができたのはあった。一回作ったものに対してひと呼吸おいて考えることができるというか。
 まぁ、とくに僕はしばらく寝たきりだったから、個人的には時間がたくさんあった。で、いろいろ考えられたんだけどね(笑)。いまはまたこうやって歩けるようにもなったし、元気になってから3~4曲出来あがったしね。

『ニュース・フロム・ノーウェア』はフィクションですか? 

ジェイムス・バッテリー:つねに「真実」は隠されていると思うけど......でも基本的にはフィクションだね。

エイデン・ウォーリー:リチャード・フロンビーとのレコーディングのあとで、どういうタイトルにすべきかっていう話になったんだ。そのときにアルバムにフィットする言葉じゃないかっていうことで、これにした。

アレンジを凝りつつ、アンビエント・テイストも深めていますよね。1曲目の"Light Body Clock Starter"もそうですが、続く"Timeaway"もそうだし。ビートが際立ってくるのは3曲目の"Armonica"からだし。

エイデン・ウォーリー:アンビエント? それはちょっと違うような気がするなぁ。自分たちとしては、もっとエネルギッシュだと思うし、アンビエントの要素はないように思うんだけどな。前のアルバムよりずっとエネルギッシュだし、ライヴではそれがより顕著に出るしね。

ジェイムス・バッテリー:アンビエントというより、オプティミスティックということだと思う。アルバム全体がいろんな音楽のコレクション的な感じになってるからね。なんていうの? スナップショットの集まりみたいな感じだと思うよ。

たとえば"Armonica"には『ノース』にはなかった気さくさがありますよね。この曲は何について歌っているのでしょうか?

ジェイムス・バッテリー:これはアルバムの最後のほうでレコーディングされた曲なんだ。この曲はとても変な作り方をしたんだよ。僕はクイーンズ・オブ・ザ・ストーンエイジを聴いていて、この曲をアコースティックギターで作った。そしてそれをそのままレコーディングに使って、曲を仕上げていった感じ。だから他の曲ともちょっと毛色が違うかも。いつもなんとなく成行きに身を任せて曲を仕上げていくと、それがいい方向に転がることが多いしね。

"A Day's Pay For A Day's Work"もとても魅力的なメロディの曲で、ダークスターなりのポップ・ソング的なところもある曲だと思います。これは何についての曲なのでしょうか?

エイデン・ウォーリー:今回のアルバムでは、制作とレコーディングのために田舎の一軒家を借りて、そこでライティングをはじめたんだけど、その曲は、家に引っ越す前からライティングをスタートしていた唯一の曲なんだよ。クラシックでありながらも、前進したメロディ・スタイルを持った曲。アルバムのためのデモはたくさんあったんだけど、そのなかでも、レコーディングの間中ずっと完成せずにつねに考えていたのがこの曲なんだ。曲のなかのある部分がいつまでたってもしっくりこなくてね......最後の2、3週間でやっと新しいコーラスを書いて仕上げた。作りはじめたときに感じた曲の可能性に、最後の最後で達成することができた。可能性があることは最初からわかってたんだけど、それをずっと形に出来ずにいたんだ。
 これはオールドファションなポップ・ソングだよね。最初にそれを感じたから、それに従ったほうが良いと思ってね。最後にコーラスができたときは本当にハッピーだったよ。

曲自体の内容はどういったものなのでしょう?

エイデン・ウォーリー:曲の内容は......幸というか......うーん、何ていったらいいかな。クールになることにとらわれていないこととか、自分は自分っていう内容だよ。ありのままの自分にハッピーで、いまの自分でいることでリラックスできてるってこと。気取ったり無理しなくても自分自身でいながら、そのなかに何か良い部分があればそれでいいって感じの内容だね。

とてもUKらしい音楽だと思ったんですが、たとえばシド・バレットや66~7年のジョン・レノンのようなサイケデリック・ロックのシンガー・ソングライターへの共感はありますか? またそうした要素を今回のアルバムで取り入れたいと思いましたか?

エイデン・ウォーリー:そういう音楽って、すごく影響力のある音楽だと思う。3人ともビートルズを聴くし、ピンク・フロイドも聴くし......ジョン・レノンもシドも、ヴォーカル&ピアノ、ボーカル&ギターっていう音楽がすごく上手いよね。彼らの曲を聴けば、感情がうまく表現されてるから、そういったものを思い出すんだ。彼らはふたりとも素晴らしいソングライターだし、評価してるし、たくさん聴いてもいる。だから、それが音楽に反映されてることはあるかもしれないね。共感があるから。

ジェイムス・バッテリー:そもそも僕たちの楽曲制作のアプローチの仕方が彼らに近いと思うんだよね。彼らの音楽に影響を受けたというよりも、何か面白くて新しいものを作るっていう点において共通しているところはあるかもしれないね。もしビートルズやピンク・フロイドからまったく影響を受けずに生きられるのなら、岩の下とか洞窟とか人が生活する環境から遠く離れて隔離された場所にいないと無理だと思うんだ。とくに僕たちイギリス人にとっては生活やカルチャーのなかに組み込まれているものだからね。

今回のアルバムのなかにそういう要素は含まれていると思いますか?

エイデン・ウォーリー:どうだろうね。意識的には何もしてないから。でもないとも言えないよ。僕たちがこのアルバムでやったのは、ただナイスなアイディアを出しあって、そこから全員一致で好きなものを集めて、そのアイディアに境界線は引かなかったってことだけ。もし誰かが本当にナイスでスローなクラシックなポップ・ソングのアイディアを持ってきたとしたら、みんなでその曲に何度も取り組んで、自分たちのサウンドを構築していく。僕たちは、何に対してもノーとは言わないんだ。それが良いアイディアで良いサウンドだったらプレイする。もしそのアイディアとサウンドが機能したら、それは大切なことだから、絶対に活かさないとね。

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3人ともビートルズを聴くし、ピンク・フロイドも聴くし......ジョン・レノンもシドも、ヴォーカル&ピアノ、ボーカル&ギターっていう音楽がすごく上手いよね。

"Young Heart's"の悲しみはどこから来るのでしょうか? 

エイデン・ウォーリー:"Young Heart's"は、他人をリファレンスにした曲のひとつなんだ。自分じゃなくて、誰か他の人やその人のシチュエーションとかを題材にした。考えてみれば、アルバムのなかではそういうのってこの曲だけなんじゃないかな。ジェイムス・ヤングがほとんどの曲を書いたんだ。で、全員でその歌詞にいろいろとアイディアを加えていった。でもメインで書いたのはジェイムスだよ。
 アルバムに収録された曲をいまよく考えてみると、『ノース』でやったことに近い曲のような気がする。この曲は、他人のシチュエーションに関して語っている、他人のストーリーなんだ。悲しみは、たぶんそのストーリーから来てるんじゃないかな。ある女の子が恋人から捨てられるんだ。その恋人は彼女よりちょっと年上で、尊敬していた人。でも、彼女はおいてきぼりにされるんだ。こういうのってけっこう多くの人に起こることだよね。ノース・イングランドでもよくあるんだ。年上の魅力的な男と付き合ったけど最終的には最低な奴で、それを後悔する、みたいなことがね。
 すごく悲しいフィーリングだと思う。それに、ジェイムスの歌い方がすごく感情的なんだ。クールな曲だよ。彼のファルセットの声がすごくソフトでデリケートなんだ。これは最初の時点で「レコードに入るな」って確信した曲。アルバムの残りの曲は、もっと楽観的なフィーリングをもってるんだけど、これは違うんだ。

ジェイムス・バッテリー:僕にとって歌うことは「演じる」ことと同じなんだ。歌うときはとにかく深く自分の体験などを思い出してそのことに没頭するようにして、感情をうまく出せるように努めているよ。それにヨークシャーの風景は切なくてメランコリックな感触がにじみ出ていて、とくに秋は傾向が強くて人びとの仕事に影響を与えていると思うよ。実はこの曲のモチーフはテレビ・ドラマで『This is England』(2009年には日本でも公開されたスキンヘッズの映画のテレビ・ドラマ版。監督はストーン・ローゼズのドキュメンタリーを撮っている)っていうのがあってそこから来ているんだけど......そのドラマの父娘の関係性を描いているのがこの歌の歌詞だよ。ヨークシャー(英国北部の地域)のスラスウェイトはハワースからそんな遠いし、ブロンテ姉妹(ヴィクトリア時代を代表する小説家姉妹)が住んでいた場所だしね。湖に何かいるのかもね......。

"Amplified Ease"なんかとてもユニークな曲ですが、言葉の意味よりも音を重視しているということでもあるのでしょうか?



ジェイムス・ヤング:特別そういうわけではないよ。サウンドって人の気を引く最初のものだと思うから、僕たちは曲にいい雰囲気を盛り込めるように細心の注意を払っているんだ。できるだけ音にも歌詞にも出来るだけ意味を込めるようにしているんだ。ヴォーカルに関してはいつもこういう録り方をしているから、僕たちにとってはとくに目新しいものでないよ。歌詞はいつももっとチャレンジングなものだよね。歌詞は音より主観的になりやすい傾向にあるから難しいよね。歌詞に関しては曲と同じくらいの時間を費やしたからどちらも同じくらい重視しているよ。

エイデン・ウォーリー:トラックによるかも。ヴォーカルのサウンドと他の音が影響し合って良い音が生まれるっていうのは、すごく意味のあることなんだ。もちろん、ときには歌詞は何かを意味してなければいけないし、僕たち全員がその歌詞の内容にたいしてしっくりこないといけない。でもときに、その曲にとっては歌詞がそこまで大切じゃないこともあるんだ。君が言ったトラックは、まさにそういうトラックなんだけど、そのふたつの曲は、音楽で機能してるんだ。歌詞が良いっていうのももちろん大切だけど、控えめでもいいんだよ。つねにハイエンドである必要はないと思うしね。音楽そのものが曲のフィーリングを作って表現していることもあるし。僕たちは、ヴォーカルを音として、つまり楽器として使うことがあるっていうことさ。

ちなみに"Bed Muisc-North View"という曲名の「North View」という言葉にはどんな意味があるのですか?

ジェイムス・ヤング:「North View」というのは僕たちが西ヨークシャーでレコーディングのときに住んでいた家に関係あるんだけど......この家の名前が「North View」だった。

エイデン・ウォーリー:そう、アルバム制作のために借りて住んでた家の名前が、偶然にも「North View」だったんだよ。北を見渡せる家だったんだ。住むまでそんな名前だなんて知らなかったからビックリだったよ。で、ジェイムス・バタリーがレコーディング中にその家で背中を怪我したんだ(笑)。壁からおちて、背中を折ったんだよ。マジな話(笑)。あと2週間でレコーディングが終わるってときで、その夜にちょうどプロデューサーのリチャードと、もうちょっと(レコーディングに)時間が必要だなっていう話をしてたところだったんだ。
 その話をしたあと〈ワープ〉の人たちと何杯か飲みにいって、それからジェイムスが機材をもって家に帰ったら、それが重かったか取ろうとしたかで壁からおちて怪我しちゃってさ......もっと時間が必要って話してる矢先にそんなことが起きて、10週間もプラスで必要になったんだ(笑)。
 もちろんそれは不幸な出来事だったんだけど、彼は今完全に元気。まあ、背は少し低くなったけどね(笑)。それ以外は大丈夫だし、しかもその出来事が、3つのトラックを置き換える新たなチャンスをもたらしたんだ。アルバムに入るはずだったけど、自分たちがしっくりきてなかった3曲をね。"Bed Muisc"は、ジェイムスがその怪我をしてるときにベッドで書いた曲なんだ(笑)。バック・ブレース(背中を固定するもの)をつけながらね(笑)。次のアルバム制作のときも何が起こるかわからない。全員が転んだりしてね(笑)。

アンディ・ストットやレイムのようなインダストリアル・ダブな感覚には共感がありますか? 

ジェイムス・ヤング:とくにないかな。僕はどっちも好きだけどね。

エイデン・ウォーリー:共感で言えば、アンディ・スコットに対してはたぶんあるかも。彼の音楽は好きだし、すごく面白い音楽だと思うから。あの質感が好きなんだ。彼の曲もたくさん聴くけど、でも......ブリアルのほうが僕にとってはビッグ・アーティストだよ。『ノース』の前に12インチなんかを書いてた頃は、彼の音のパレットの素晴らしさに圧倒されていたよ。でも、そういうのを敢えて自分の音楽に取入れようとしてたわけじゃないけどね。

ダーク・アンビエントな感覚に対して興味はありますか?

エイデン・ウォーリー:ないね。そういうのはそこまで聴かないから。いくつかは聴くけど、ライティングで影響を受けるまでじゃない。エイフェックス・ツインみたいなアンビエントの一部はすごく良いと思うけど。彼のダークでアンビエントな作品のいくつかは素晴らしいと思う。だから聴きはするけど、意識的にそれをどうこうするっていうのはないね。自分たちの音楽には、もっと前向きなフィーリングが流れてるから。

フランク・オーシャン、ハウ・トゥ・ドレス・ウェル、エジプシャン・ヒップホップのなかではどれがいちばん好きですか?

エイデン・ウォーリー:フランク・オーシャンのファースト・アルバム。理由は、そのアルバムがとにかく素晴らしいから。すごく新鮮だし、良いヴァイブを持ってる。エナジーもすごいし、生まれたままのサウンドだよね。プロダクションがそうなんだ。でも同時に洗練されてもいて、ヴォーカルとメロディも最高。他の二つは......正直ハウ・トゥ・ドレス・ウェルはそんなにファンじゃない。ときどき頭に音楽が流れるときはあるけどね。
 エジプシャン・ヒップホップはあまり聴いたことがないんだ。でも、今回のレコードのプロデューサーのリチャード・フォームビーが彼らと仕事している。リチャードからいつも彼らがクールで良いミュージシャンだって聴いてるよ。だから、これから聴いてみたいと思ってるんだよね。

それでは、ジェイク・バッグはいまのUKの若者の代弁者ですか?

エイデン・ウォーリー:正直ファンじゃないんだ(笑)。彼がそういう存在なのかはわからない。彼に対して他の人たちにはない魅力やビッグさは感じないなあ......わからない、コメントできないよ。あまり興味がなくて......(笑)。彼が新鮮だとは思わないだけ。彼がやってることは前に誰かがやってきていることだからさ。オリジナルじゃないから。

では、〈ワープ〉のアーティストでいちばん好きなのは誰ですか?

ジェイムス・ヤング:エイフェックス・ツインの影響を受けているのようなやつらがいちばん好きさ(笑)。

エイデン・ウォーリー:うーん......いちばんか......難しいな......誰だろう。マーク・ベルだな。彼の音楽は面白いし、良い人だし、アグレッシヴでインダストリアルなサウンドだと思うから。彼が参加したビョークの作品は本当に素晴らしいと思う。

2012 Top 20 Japanese Hip Hop Albums - ele-king

 2012年の日本のヒップホップ/ラップのベスト・アルバム20を作ってみました。2012年を振り返りつつ、楽しんでもらえれば幸いです!!

20. Big Ben - my music - 桃源郷レコーズ

 スティルイチミヤのラッパー/トラックメイカー、ビッグ・ベンのソロ・デビュー作。いま発売中の紙版『エレキング Vol.8』の連載コーナーでも紹介させてもらったのだが、まずは"いったりきたりBLUES"を聴いて欲しい。『my music』はベックの「ルーザー」(「I'm a loser baby so why don't you kill me?」)と同じ方向を向いている妥協を許さないルーザーの音楽であり、ラップとディスコとフォークとソウル・ミュージックを、チープな音でしか表現できない領域で鳴らしているのが抜群にユニークで面白い。

Big Ben"いったりきたりBLUES"

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19. LBとOTOWA - Internet Love - Popgroup

 いまさら言う話でもないが、日本のヒップホップもフリー・ダウンロードとミックステープの時代である。ラッパーのLBとトラックメイカーのOTOWAが2011年3月にインターネット上で発表した『FRESH BOX(β)』は2ケ月の間に1万回以上のDL数を記録した。その後、彼らは〈ポップグループ〉と契約を交わし、フィジカル・アルバムをドロップした。「FREE DLのせいで売れないとか知ったこっちゃない/これ新しい勝ち方/むしろ君らは勉強した方がいいんじゃん?」(『KOJUN』 収録の「Buzzlin` 2」)と、既存のシーンを挑発しながら、彼らはここまできた。ナードであり、ハードコアでもあるLBのキャラクターというのもまさに"いま"を感じさせる。

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18. Goku Green - High School - Black Swan

 弱冠16歳のラッパーのデビュー作に誰もが驚いたことだろう。そして、ヒップホップという音楽文化が10代の若者の人生を変えるという、当たり前といえば、当たり前の事実をリアルに実感した。money、joint 、bitchが並ぶリリックスを聴けばなおさらそう思う。そうだ、トコナ・XがさんぴんCAMPに出たのは18歳の頃だったか。リル・諭吉とジャック・ポットの空間の広いゆったりとしたトラックも絶妙で、ゴク・グリーンのスウィートな声とスムースなフロウがここしかないというところに滑り込むのを耳が追っている間に最後まで聴き通してしまう。

Goku Green"Dream Life"

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17. Zen La Rock - La Pharaoh Magic - All Nude Inc.

 先日、代官山の〈ユニット〉でゼン・ラ・ロックのライヴを観たが、すごい人気だった! いま東京近辺のクラブを夜な夜な盛り上げる最高のお祭り男、パーティー・ロッカーといえば、彼でしょう。つい最近は、「Ice Ice Baby」という、500円のワンコイン・シングルを発表している。ご機嫌なブギー・ファンクだ。このセカンド・アルバムでは、ブギー・ファンク、ディスコ、そしてニュー・ジャック・スウィングでノリノリである。まあ、難しいことは忘れて、バカになろう!

Zen La Rock"Get It On"

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16. Young Hastle - Can't Knock The Hastle - Steal The Cash Records

 ヤング・ハッスルみたいなユーモラスで、ダンディーな、二枚目と三枚目を同時に演じることのできるラッパーというのが、実は日本にはあまりいなかったように思う。"Spell My Name Right"の自己アピールも面白いし、日焼けについてラップする曲も笑える。ベースとビートはシンプルかつプリミティヴで、カラダを震わせるように低音がブーッンと鳴っている。そして、キメるところで歯切れ良くキメるフロウがいい。もちろん、このセカンド・アルバムも素晴らしいのだけれど、ミュージック・ヴィデオを観ると彼のキャラクターがさらによくわかる。2年前のものだけど、やっぱりここでは"V-Neck T"を。最高!

DJ Ken Watanabe"Hang Over ft.Young Hastle, Y's, 十影, Raw-T"

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15. MICHO - The Album - self-released

 フィメール・R&Bシンガー/ラッパー、ミチョのミックステープの形式を採った初のフル・アルバム。凶暴なダブステップ・チューン「Luvstep(The Ride)」を聴いたとき、僕は、日本のヤンキー・カルチャーとリアーナの出会いだとおののいた。さらに言ってしまえば......、ミチョに、初期の相川七瀬に通じるパンク・スピリットを感じる。エレクトロ・ハウスやレゲエ、ヒップホップ/R&Bからプリンセス・プリンセスを彷彿させるガールズ・ロックまでが収められている。ちなみに彼女が最初に発表したミックステープのタイトルは『恨み節』だった。凄まじい気合いにぶっ飛ばされる。

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14. D.O - The City Of Dogg - Vybe Music

 田我流の『B級映画のように2』とはまた別の角度から3.11以降の日本社会に大胆に切り込むラップ・ミュージック。D.Oは、「間違ってるとか正しいとか/どうでもいいハナシにしか聞こえない」("Dogg Run Town")とギャングスタの立場から常識的な善悪の基準を突き放すものの、"Bad News"という曲では、「デタラメを言うマスコミ メディア/御用学者 政治家は犯罪者」と、いち市民の立場からこの国の正義を問う。"Bad News"は、震災/原発事故以降の迷走する日本でしか生まれ得ない悪党の正義の詩である。ちなみに、13曲中8曲をプロデュースするのは、2012年に初のアルバム『Number.8』)を完成させ、その活躍が脚光を浴びているプロダクション・チーム、B.C.D.M(JASHWON 、G.O.K、T-KC、LOSTFACE、DJ NOBU a.k.a. BOMBRUSH)のJASHWON。

D.O"悪党の詩"

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13. Evisbeats - ひとつになるとき - Amida Studio / ウルトラ・ヴァイブ

 心地良いひと時を与えてくれるチルアウト・ミュージックだ。タイトルの"ひとつ"とは、世界に広く開かれた"ひとつ"に違いない。アジアに、アフリカに、ラテン・アメリカに。元韻踏合組合のメンバーで、ラッパー/トラックメイカーのエビスビーツは、4年ぶりのセカンドで、すべてを優しく包み込むような解放的な音を鳴らしている。彼にしかできないやり方でワールド・ミュージックにアプローチしている。鴨田潤、田我流、チヨリ、伊瀬峯之、前田和彦、DOZANらが参加。エビスビーツが自主でリリースしているミックスCDやビート集も素晴らしいのでぜひ。

Evisbeats"いい時間"

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12. BRON-K - 松風 - Yukichi Records

 これだから油断できない。年末に、SD・ジャンクスタのラッパー、ブロン・Kのセカンド・アルバムを聴けて本当に良かった。こういう言い方が正しいかはわからないが、クレバの『心臓』とシーダの『Heaven』に並ぶ、ロマンチックで、メロウなラップ・ミュージックだ。ブロン・Kはネイト・ドッグを彷彿させるラップとヴォーカルを駆使して、日常の些細な出来事、愛について物語をつむいでいく。泥臭く、生々しい話題も、そのように聴かせない。オートチューンがまたいい。うっとりする。長い付き合いになりそうなアルバムだ。

BRON-K"Matakazi O.G."

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11. Soakubeats - Never Pay 4 Music - 粗悪興業

 新宿のディスク・ユニオンでは売り切れていた。タワー・レコードでは売っていないと言われた。中野のディスク・ユニオンでやっと手に入れた。これは、トラックメイカー、粗悪ビーツの自主制作によるファースト・アルバムである。「人生、怒り、ユニークが凝縮された一枚」とアナウンスされているが、怒りとともにどの曲にも恐怖を感じるほどの迫力がある。 "ラップごっこはこれでおしまい"のECDの「犯罪者!」という含みのある叫び方には複数の意味が込められているように思う。シミラボのOMSBとマリア、チェリー・ブラウンは敵意をむき出しにしている。"粗悪興業モノポリー"のマイク・リレーは、僕をまったく知らない世界に引きずり込む。ちょっと前にワカ・フロッカ・フレイムのミックステープ・シリーズ『Salute Me Or Shoot Me』を聴いたときは、自分とは縁のないハードな世界のハードな音楽だと思っていた。このアルバムを聴いたあとでは、音、態度、言葉、それらがリアリティを持って響いてくる。そういう気持ちにさせるショッキングな一枚だ。

粗悪興業公式サイト

10. AKLO - The Package - One Year War Music / レキシントン

 「カッコ良さこそがこの社会における反社会的/"rebel"なんです」。ヒップホップ専門サイト『アメブレイク』のインタヴューでアクロはそう語った。アクロが言えば、こんな言葉も様になる。2012年に、同じく〈One Year War Music〉からデビュー・アルバム『In My Shoes』を発表したSALUとともに、ひさびさにまぶしい輝きを放つ、カリスマ性を持ったトレンド・セッターの登場である。日本人とメキシコ人のハーフのバイリンガル・ラッパーは初のフィジカル・アルバムで、最高にスワッグなフロウで最新のビートの上をハイスピードで駆け抜ける。では、"カッコ良さ"とは何か? 最先端のUSラップを模倣することか? その答えの一つがここにある。

AKLO"Red Pill"

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9. ECD - Don't Worry Be Daddy - Pヴァイン

 このアルバムのメッセージの側面については竹内正太郎くんのレヴューに譲ろう。"にぶい奴らのことなんか知らない"で「感度しかない」とリフレインしているように、ECDは最新のヒップホップの導入と音の実験に突き進んでいる。そして、このアヴァン・ポップな傑作が生まれた。イリシット・ツボイ(このチャートで何度この名前を書いただろう)が、サンプリングを大幅に加えたのも大きかったのだろう。USサウスがあり、ミドルスクールがあり、エレクトロがあり、ビッグ・バンド・ジャズがあり、"Sight Seeing"に至ってはクラウド・ラップとビートルズの"レヴォリューション9"の出会いである。

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8. Kohh - Yellow T△pe - Gunsmith Productions

 Kohh & Mony Horse"We Good"のMVを観て、ショックを受けて聴いたのがKohhのミックステープ『Yellow T△pe』だった。「人生なんて遊び」("I Don`t Know")、「オレは人生をナメてる」("Certified")とラップする、東京都北区出身の22歳のラッパーのふてぶてしい態度は、ちょっといままで見たことのないものだった。しかし、ラップを聴けば、Kohhが音楽に真剣に向き合っているアーティストであることがわかる。シミラボの"Uncommon"のビートジャックのセンスも面白い。また、"Family"では複雑な家庭環境を切々とラップしている。"Young Forever"でラップしているのは、彼の弟でまだ12歳のLil Kohhだ。彼らの才能を、スワッグの一言で片付けてしまうのはあまりにももったいない。

Boot Street Online Shop

7. Punpee - Movie On The Sunday Anthology - 板橋録音クラブ

 いやー、これは楽しい! パンピーの新曲12曲とリミックス3曲が収録された、映画をモチーフにしたミックスCDだ。パンピーのポップ・センスが堪能できる。"Play My Music"や"Popstar"では、珍しくポップな音楽産業へのスウィート・リトル・ディスをかましている。そこはパンピーだから洒落が効いている。もうこれはアルバムと言ってもいいのではないか。ただ、このミックスCDはディスク・ユニオンでの数量限定発売で、すでに売り切れているようだ。ポップ・シーンを揺るがす、パンピーのオリジナル・ソロ・アルバムが早く聴きたい!

diskunion

6. ERA - Jewels - rev3.11( https://dopetm.com/

 本サイトのレヴューでも書いたことだけれど、この作品はこの国のクラウド・ラップ/トリルウェイヴの独自の展開である。ドリーミーで、気だるく、病みつきになる気持ち良さがある。イリシット・ツボイがプロデュースした7分近い"Get A"が象徴的だ。"Planet Life"をプロデュースするのは、リル・Bにもトラックを提供しているリック・フレイムだ。エラの、ニヒリズムとデカダンス、現実逃避と未来への淡い期待がトロリと溶けたラップとの相性もばっちりだ。インターネットでの配信後、デラックス版としてCDもリリースされている。

ERA feat. Lady KeiKei"Planet Life"

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5. 田我流 - B級映画のように2 - Mary Joy Recordings

 「ゾッキーヤンキー土方に派遣/893屋ジャンキーニートに力士/娼婦にキャバ嬢ギャルにギャル男 /拳をあげろ」。ECDを招いて、田我流が原発問題や風営法の問題に真正面から切り込んだ"STRAIGHT OUTTA 138"のこのフックはキラーだ。これぞ、まさにローカルからのファンキーな反撃! そしてなによりも、この混迷の時代に、政治、社会、個人、音楽、バカ騒ぎ、愛、すべてに同じ姿勢と言葉で体当たりしているところに、このセカンド・アルバムの説得力がある。ヤング・Gのプロデュースも冴えている。まさに2012年のラップ・ミュージック!

田我流 "Resurrection"

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4. キエるマキュウ - Hakoniwa - 第三ノ忍者 / Pヴァイン

 キエるマキュウは今作で、ソウルやファンクの定番曲を惜しげもなく引っ張り出して、サンプリング・アートとしてのヒップホップがいまも未来を切り拓けることを体現している。そして大の大人が、徹底してナンセンスとフェティシズムとダンディズムに突っ走った様が最高にカッコ良かった。「アバランチ2」のライヴも素晴らしかった! ここでもイリシット・ツボイのミキシングがうなりを上げ、CQとマキ・ザ・マジックはゴーストフェイス・キラーとレイクウォンの極悪コンビのようにダーティにライムする!

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3. MC 漢 & DJ 琥珀 - Murdaration - 鎖GROUP

 ゼロ年代を代表する新宿のハードコア・ラップ・グループ、MSCのリーダー、漢の健在ぶりを示す事実上のセカンド・アルバムであり、この国の都市の暗部を炙り出す強烈な一発。漢のラップは、ナズやケンドリック・ラマーがそうであるように、ドラッグや暴力やカネや裏切りが渦巻くストリート・ライフを自慢気にひけらかすことなく、クールにドキュメントする。鋭い洞察力とブラック・ユーモアのセンス、巧みなストーリー・テリングがある。つまり、漢のラップはむちゃくちゃ面白い! 漢はいまだ最強の路上の語り部だ。長く現場を離れていたベスの復帰作『Bes Ill Lounge:The Mix』とともに、いまの東京のひとつのムードを象徴している。それにしても、このMVはヤバイ......。

漢"I'm a ¥ Plant"

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2. QN - New Country - Summit

 QNは、この通算三枚目を作る際に、トーキング・ヘッズのコンサート・フィルム『ストップ・メイキング・センス』から大きなインスピレーション受けたと筆者の取材で語った。そして、ギター、ドラム、シンセ、ベース、ラッパーといったバンド編成を意識しながら作り上げたという。ひねくれたサンプリング・センスや古くて新しい音の質感に、RZAのソロ作『バース・オブ・ア・プリンス』に近い奇妙なファンクネスがある。そう、この古くて新しいファンクの感覚に未来を感じる。そして、今作に"新しい国"と名づけたQNは作品を作るたびに進化していく。

QN "Cheez Doggs feat. JUMA"

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1. OMSB - Mr."All Bad"Jordan - Summit

 凶暴なビート・プロダクションも楽曲の構成の独創的なアイディアも音響も変幻自在のラップのフロウも、どれを取っても斬新で面白い。こりゃアヴァンギャルドだ! そう言いたくなる。トラックや構成の面で、カニエ・ウェストの『マイ・ビューティフル・ダーク・ツイステッド・ファンタジー』とエル・Pの『Cancer for Cure』の影響を受けたというが、いずれにせよOMSBはこの国で誰も到達できなかった領域に突入した。そして、またここでもミックスを担当したイリシット・ツボイ(2012年の裏の主役!)の手腕が光っている。シミラボのラッパー/トラックメイカーの素晴らしいソロ・デビュー作。

OMSB"Hulk"

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 さてさて、以上です。楽しめましたでしょうか?? もちろん、泣く泣くチャートから外したものがたくさんあります。いろいろエクスキューズを入れたいところですが......言い訳がましくなるのでやめましょう! 「あのアルバムが入ってねえじゃねえか! コラッ!」という厳しい批判・異論・反論もあるでしょう。おてやわらかにお願いします!

 すでにいくつか、来年はじめの注目のリリース情報が入ってきています。楽しみです。最後に、宣伝になってしまって恐縮ですが、ここ10年弱の日本のヒップホップ/ラップをドキュメントした拙著『しくじるなよ、ルーディ』も1月18日に出ます。2000年から2012年のディスク・レヴュー60選などもつきます。どーぞ、よろしくお願いします!

 では、みなさま良いお年を!!!!

[music video] - ele-king

 今年はフォーマルな服装をキャップで崩すスタイリングが推されていた。タイラー・ザ・クリエイターの影響はあったのだろうか、さらにそこにスケボーのブームも合流してか、〈Supreme〉のキャップが東京の街中で散見された。
 もうひとつ、いやというほど見たのはからし色の洋服だ。先日、『ele-king vol.8』の年末対談のために上京していた木津毅氏、竹内正太郎氏とともに、裏原宿あたりでデートをしていたのだが、そこらじゅうの服屋でマスタード色がウィンドウ・ディスプレイに晒されていた。道行く人まで......、ほらあの人も、ね、あそこの人も、ほらほら、また、うわー......。


How to Dress Well  - & It Was U(Official Music Video)

 ほら、ハウ・トゥ・ドレス・ウェルも! なるほど。おめかしするにはマスタードだったのね。


Alexis Taylor - Nayim From The Halfway Line

 しかし、キャップとマスタードのスタイリングを2年以上前から実践していた人がいる(https://www.youtube.com/watch?v=wif8DAyXkVc)。ギーク界のファッション・リーダーことホット・チップのアレクシス・テイラーだ。
 そのアレクシスが12月3日、〈ドミノ〉からソロEP『ナイム・フローム・ザ・ハーフウェイ・ライン』を突如としてリリースした(デジタル配信は17日開始)。公式な事前予告なしだったが、クリスマスに向けたささやかなサプライズということなのだろうか。2008年にジョン・コクソンが主宰する〈トレッダー〉よりリリースした宅録アルバム『ラブド・アウト』以来のソロ作品となる。
 ジャケットのアートワークは、オリヴァー・ペインとのタッグで有名な現代アート作家ニック・レルフによるものだ。
 残念ながら18日現在筆者の手にはまだ届いていないので、入手しだいレヴューしたいと思う。前作は宅録の名盤『マッカートニーⅡ』を思わせるような弾き語り&シンセのチルな作品であったが、今回はミニマムでグルーヴィーなリフレインが意表をついてくる。映像とタイトルのとおり、フットボールのネタからもいくらかねじれた感性がのぞくのがさすが。


Hot Chip - Don't Deny Your Heart (Official)

 ホット・チップのアルバム『イン・アワー・ヘッズ』は、今年とても評判であったように思う。ファンも増えただろう。もっとも筆者からするとマッチョなまでに3分ポップス化しているのがいまだに好きになれないのだが、それにしても本当によくできた曲ばかり揃ったアルバムだった。そのなかでも特にきらびやかだったシングル曲“ドント・ディナイ・ユオ・ハート”の公式ヴィデオが発表された。
 初めはまったく笑えなかった。いまでも笑えない。「ファニーなヴィデオ」で話題を呼ぼうとセルアウトしているんだと感じた。もうファンでいることがいたたまれなくなった。まあしかし、すこし再考してみよう。
 ホット・チップのメンバーはゲイである――という噂がかつてあった。噂を盛り上げたのは“レディー・フォー・ザ・フロア”(2008)の印象的な一節=「きみは僕のナンバーワンの男(You're my number one guy)」だ。2年以上前、なにを思ったか初対面にも関わらず筆者は噂についてアレクシスに訊いてしまったが、彼は笑顔でこう答えてくれた。
 「『バットマン』の映画でジョーカーが手下にそのセリフをいう場面(https://www.youtube.com/watch?v=hLBmZW-d2A8)があって、そのグラマー(文法)が好きだったから使ったんだ。ゲイのニュアンスは意図していなかったよ。現に僕も女性と結婚して子供もいるしね。インターネットで僕らがゲイだというひとがいようと関係ない話さ。」
 それ以前にも彼らはゲイ雑誌からのインタヴュー英『ガーディアン』誌のインタヴューなどにおいても、ゲイから人気があることは認めつつも噂を否定している。
 とすれば、今回のPVは改めてゲイを自分たちと切り離し対象化しているとも思える......けども、いまさら?
 もうすこし考えてみる。
 2人の選手が喧嘩寸前のところ、唐突にダンスでバトルをするシーンがある(『スペースチャンネル5』というダンス・ゲームを想起させる意味不明な空間だ)。その後、2人は熱くキスを交わし、不穏だった会場は愛のあふれる平和な空間となる。これは、とくに本楽曲がディスコ音楽からの影響が顕著なように、ホット・チップ自身が愛するディスコ文化(音楽)がゲイのコミュニティによって発展してきたことを示唆しているのではないだろうか(https://www.qetic.jp/feature/battles/78938)。
 ......なんて考えてはみたものの、映像監督のピーター・セラフィノウィッツ(Peter Serafinowicz)はコメディアンだし、ホット・チップとの仕事では、おっさんの口からビーム吐かせたり(https://www.youtube.com/watch?v=MaCZN2N6Q_I)、UFOがぶっ壊れるだけだったり(https://www.youtube.com/watch?v=-OsD3g461fM)するわけで、いやほんと、くだらないだけでしょう!
 しかし、このくだらないだけってのがポイントなのかもしれない。「これほど同性愛ってものが政治的なトピックになった年もない」とは木津毅氏の言葉だが(紙『ele-king vol.8』p84参照)、そんな年にあえてこのくだらなさを打ち出したと。そういうことでいいですかね。だって「我々は何年間もこの瞬間を待ち望んでいました! これこそがフットボールです!」ってナレーション、フットボール好きにだってわけわからないでしょう。

OMSB - ele-king

 自らを認めようとしないシステムや大人、偏見、閉鎖的なシーン、ひいては音楽業界......そのすべてにOMSBは中指を突き立てる。満を持してのリリースとなったOMSBのソロ・アルバム『ミスター"オール・バッド"ジョーダン』は、とてもエモーショナルで自身のパーソナリティに深く触れる内容だが、同時に外にも開かれた作品となった。力強いプライドを漲らせ、凄みすら感じさせる彼のラップからは、現状を変えたいと願う強い想いが伝わってくる。ここまで本作を熱量の高いものにしたのには、これまで、トラック・メイカーとしても多くの楽曲を発表する彼が、ラップ・アルバムにこだわったところに理由があるように思う。

 たとえば、ランDMCの"サッカー・Mcズ"のドラムからはじまる、その名もズバリ"ラッパー・エイント・クール"には、現行の日本語ラップに対する鋭い考察がある。「言葉遊びはもちろん大事だが/Flowの遊びは皆度外視(略)ストーリーテラーでもSlick RickみたいなFreakyさが無い(略)正統派のTake Over/つまり継承者なんて誰も居やしねぇじゃん」。「Flowの遊び」とは、ラップの抑揚や緩急のアクセントといった、おもに音楽性の部分を示し、その研鑽の無さを嘆いている。実際このアルバムで聴けるOMSBのラップの魅力は、ビートに即した性急なライミングとそのアグレッシヴなフロウにある。全曲トラックを手がける彼の別の顔が、ラッパーとしての彼にフィードバックを与えていることも強調しておくべきだろう。そのトラック群は、全体的にダークなトーンだが、上モノの豊富さや展開の妙でまったく飽きさせない。まるで、MFドゥームのファンクネスが、El-Pのインダストリアルで実験的なトラックに注入されているようだ。

 つづいて、ストーリー・テリングについて、物語としての飛躍力が足りないのではと言及する部分。稀代のリリシスト、スリック・リックと比べるのは少々酷かもしれないが、彼はUSラップと日本語ラップを対等の土俵に引き上げたいと思うからこそ、そうラップするのではないか。ケンドリック・ラマーに対してライバル心を燃やす男なのだから、そう考えても不思議ではない。ここで、USでのラップの聴かれ方について考えてみる。たとえば、前述のケンドリック・ラマーの最新作『グッド・キッド、マッド・シティ』がなぜあれだけ評論家筋に賛辞をもって受け入れられたのか。それは単に音楽として優れているというだけでなく、コンプトンでのどん詰まりな日々を自身への訓戒を込めて綴ったリリックがあったからこそである。つまりは詩と音楽性、そのどちらにも比重を置くラップをすることが、ストリートの詩人として、ラッパーに求められるものなのかもしれない。つまりは"ラッパー・エイント・クール"で客演をつとめるJUMAのウィットなパンチライン「オマエはラッパーじゃない!/ただのラップする人/ラッパーじゃなーっい!」に尽きる。

 とまれ、『ミスター"オール・バッド"ジョーダン』はその実、すばらしいコンセプト・アルバムにもなっている。ハーフで複雑なバックボーンを持つ彼の自伝的な作風であるにも関わらず、示唆に富んでいるという意味では普遍性もある。彼が抱えるドス黒い否定の情念は、おそらくは自分の居場所を求める気持ちの表れだ。クラブ、職場、いまの住まいであるアパート、ほとんどの曲で彼はその居心地の悪さをラップしている。自分の境遇を「生まれのハンディキャップ」と呪い、「あぁそうだ、ここは多分......」と回想を繰り返すなかでは気の触れた狂気にとりつかれる。しかし、クローザー・トラックの"ハッスル2112"が指し示すように、OMSBはこのアルバムが100年先も再生される明るい未来を想って、締めくくる。

 出自のコンプレックスをいたずらに刺激する警察官への反抗ソング"ファック・ザ・フェイク・ポリシア"。この曲の共演者であるDyyPRIDEの歌い出しはこうだ。「悪者風イメージ レッテル/張られた俺/道踏み外し走ってく」。奇しくもこれに、ECD著『いるべき場所』にあった「ラップに限らず音楽、芸術はむしろまともな人生を踏み外すためにあると僕は信じていた。」という一文を思い返した。道を踏み外した彼らが音楽によってむしろ逆説的に居場所を取り返そうとする行為は、マイノリティーの集合体としてのSIMI LABを最初に知ったときの印象だ。リーダーのQNが抜けて本隊にどう影響が及ぶか、危ぶまれた時期もあったが、いまではJUMAとUSOWAが穴を埋めて余りある強い存在感を出し、第2期SIMI LABを支えている(個人的に、JUMAは大好きなラッパーのひとりだ)。ラージ・プロフェッサーとの共演や、今作が耳にとまったレイダー・クランのメンバーからアプローチを受けるなど、OMSBを取り巻く周囲の状況は少しずつだが、望むべき方向へ進んでいっているようにみえる。話は戻るが、先に参照した「正統派のTake Over/つまり継承者なんて誰も居やしねぇじゃん」はじつにうまい名文句だと思う。エルヴィス・プレスリーもたしか、新たなスタイルは反逆のなかから出てくると言っていたけど、このゲームはいつだって意外なヤツが制するのだ。

 蛇足になるが、このアルバムの冒頭部分にはボーナスでマイナス・トラックが収録されており、PCでリッピングするだけではわからない仕掛けがある。さらに言うと、このボーナス・トラックの歌詞も、パッケージのどこかに隠されている。こうした細部に凝らした遊び心も忘れない、愛すべき名盤だと僕は思う。

Björk - ele-king

 2012年は、女性によるベッドルーム・エレクトロニック・ミュージックが目立った1年だったけれど、女性のラップトップ音楽においてビョークが先駆者なのはみなさんよくご存じの通り。特徴ある声と節回しのある歌手として(そして若かりし頃はキュートな女性として)評価されていた彼女は、DJカルチャーを味方につけたばかりでなく、10年前にはIDMを自分のものとしている。そして、ラップトップ音楽のDIYを実践してきた彼女は、前作『バイオフィリア』で(iPadのような)タッチパネル・スクリーンにも早速目をつけて、一応インタラクティヴな音楽のあり方(コンセプト)を提示している。僕は彼女のファンなので、勢いでソフトまで買ってしまったが、結局はそれで遊ぶことはほとんどなかった......ま、そういうものだろう。リミックス盤もこうしてまとめてCD化されるなら......いやいや、こちらは今年の春ぐらいから発表され続けている最新のリミックス・ヴァージョンも収録されているので、まとめて聴けて嬉しい。

 最初に「クリスタライズ」のマシュー・ハーバートのリミックス盤が出たときは、都内のレコ屋ではあっという間に売り切れた。同時期に出たレディオヘッドのリミックス盤がいつまでも売れ残っていたのとは対照的だった。リスナーのリミックス盤に対するリスペクトがちゃんとあるのだ。
 『バスタード』は、そのマシュー・ハーバートのリミックス盤に次いでリリースされたオマー・ソウレイマンの「クリスタライズ」のリミックスからはじまる。キャスティングそのものも最高だが、実際、シリアの人気歌手の手がけたヴァージョンは、トラックが差し替えられているだけではなく、ソウレイマン本人も一緒に歌っていて、実に愉快な再解釈となっている。ソウレイマンのリミックス(という名の共作)は、もうひとつ"サンダーボルト"も収録されている。こちらはもう一段階ハチャメチャで、報道されるシリアの内戦状態から考えられないほどの躁状態というか、中東の乾いたグルーヴ感に惹きつけられる。ソウレイマンは『バスタード』において、間違いなく陰の主役だ。

 そして、『バイオフィリア』のリミックス・シリーズの3枚目として今年発表された"ヴァイルス"のハドソン・モホークのリミックスも実に素晴らしい。デス・グリップスによる"サクリファイス"はリミキサーの人選においても「さすがビョーク」と言わせたヴァージョンだが、このインダストリアルな質感のビートとスリリングなエディットもモダンで格好いい。
 ほかにジーズ・ニュー・ピューリタンズやアルヴァ・ノトといった大物、そしてクラブ系ではダブステッパーの16ビット、ドラムンベースのカレント・ヴァリュー、エレクトロのザ・スリップスといった新世代らの手がけた瑞々しいヴァージョンが収録されている。どのリミックスでもビョークの歌は活かされているが、僕のベストはハドソン・モホーク。彼は、ビョークの魅力をとてもよく理解している。

 『バスタード』とほぼ時期を同じくしてリリースされたネナ・チェリー&ザ・シングの『チェリー・シング・リミックスド』も良いリミックス盤だ。ネナ・チェリーは、変なたとえだがビョークがソロ・デビューするまでビョークのポジションにいた女性シンガーである。ビョークが出てきたとき我々の世代は、あ、ネナ・チェリーが出てきた、と思ったものだった。ドン・チェリーを継父に持った彼女は、古くはニュー・エイジ・ステッパーズのアリ・アップのパートナーとして、そしてリップ・リグ&パニックの作品にも参加しているが、やはりボム・ザ・ベースがプロデュースした「バッファロー・スタンス」(1988年)が強烈だった。

 ネナ・チェリーは、今年、スウェーデンのジャズ・トリオ、ザ・シング(ジム・オルークや大友良英らとの共作でも知られる)と一緒に素晴らしいカヴァー・アルバム『チェリー・シング』を出している。これ、自分でライナーを書いたこともあって紹介そびれたが、僕は自分と同世代の人間に会うたびに推薦していた。収録曲は、スーサイドの1979年の名作"ドリーム・ベイビー・ドリーム"、1995年のトリッキーのデビュー・アルバムにおける準主役で、ソロ・アーティストとしてもキャリアを積んでいるマルティナ・トプレイ・バードの2010年のアルバム『サム・プレイス・シンプル』から"トゥ・タフ・トゥ・ダイ"、2004年に発表されたアンダーグラウンド・ヒップホップの名作、マッドヴィリアン(MFドゥーム+マッドリブ)の『マッドヴィリアニー』から"アコーディオン"、ドン・チェリーの1973年のアルバム『コンプリート・コミュニオン』から"ゴールデン・ハート"、ザ・ストゥージズの1970年のセカンド・アルバム『ファン・ハウス』から"ダート"、オーネット・コールマンの1972年のアルバム『サイエンス・フィクション』から"ホワット・リーズン"、ニコの1967年の最初のソロ・アルバム『チェルシー・ガール』から"ラップ・ユア・トラブルス・イン・ドリームス"(作詞作曲はルー・リード)......。
 『チェリー・シング・リミックスド』はそのリミックス盤で、リミキサーは、ジム・オルーク、メルツバウ、フォー・テット、キム・ヨーソイ、リンドストローム&プリンス・トーマス、ホートラックス・コブラ(ピーター・ビョーン&ジョンのジョン・エリクソン)、クリストフ・クルツマン(オーストリアの電子音楽家)、ラッセ・マーハーグ......などとかなり良いメンツが揃っている。ノルウェーの〈スモールタウン・スーパーサウンド〉はつくづく目利きのあるレーベルだと思う。

 とりあえず、アルバムに先駆けてリリースされたフォー・テットの"ドリーム・ベイビー・ドリーム"のトライバル・ハウス・ヴァージョンを聴いて欲しい。

 『チェリー・シング・リミックスド』はクラブ系と実験音楽系との真っ二つに分かれている。リンドストロームのようなアッパーなディスコ/ハウスのなかにインプロヴィゼーションとノイズが混在しているわけだが、こんなユニークなリミックス盤が成立するほど、欧州ではDJカルチャーが息を吹き返している。音楽を愛しているのか金を愛しているのか、前者でなければこんなコンピレーションは成立しない。ネナ・チェリーはアンダーグラウンドでもマニアックな人でもなく、歴としたポップスターである。

Power Animal - ele-king

 それは、はじまりのはじまりなのか? それとも、終わりのはじまりなのか?
 そう、昨今のポップ・ミュージックをめぐる膨大な情報量は、すでにひとりの人間が取捨選択できる量を物理的に超えている。極めて原始的な状況だと言えるが、もちろん、ある意味ではこの上なく健全な状況になったとも言える。そう、底が完全に抜けてしまった焼け野原のような場所で、わたしたちは自分たちの現在地を新しい方法で確かめつつあるように思う。ここで重要な機能を果たしているのが、(いまさらながら)レーベルだ。星の数ほど存在する無数の音楽を最低限のサイズの輪のなかでグループ化する、中間的なコレクティヴとして、それは間違いなく復権している(2012年、欧米の先進的なウェブ・メディアでは「レーベルズ・オブ・ジ・イヤー」が積極的にセレクトされている)。
 たとえば、ヴェイパーウェイヴのセル化で話題を呼んだ〈ビア・オン・ザ・ラグ〉、その母体とも言える〈AMDISCS〉、ジュークにハマっている日本のトラック・メイカー、食品まつり a.k.a. foodmanのリリースを行ったことでも知られる〈オレンジ・ミルク・レコーズ〉など、ウェブ・レーベル以降の流れを踏まえつつ、日本のレコード・ショップでもフィジカル作品が流通するレーベルはいまや少なくない。もちろん、他に挙げだしたらキリがないが、そこに一貫しているのはその「一貫性/整合性のなさ」である。ほとんどのレーベルが、最初からオムニバス的なセレクト・ショップとして立ち上がっている。
 〈クラッシュ・シンボルズ〉も、2010年の創設以降、「Dope F**k」を標榜しているアメリカの新興(在宅)レーベルだが、ヒップホップからガレージ・ロック、テクノ、サンプリング・ポップ、その他アヴァン・ポップなどをカセット/ヴァイナル/MP3でリリースし、そこに整合性らしい整合性はない。インタヴューも何本か発表されているが、「〈クラッシュ・シンボルズ〉は、わたしたち(複数のオーナー)の美意識の重なり合いなんだよ」という言葉が象徴的だろう。いいと思ったら何でもやる、というわけだ。

 今日はそのうち、2012年にフィジカル・リリースされたアルバムを2枚、紹介しよう。まずはテキサスのトラック・メイカー、スティーブン・ファリスがコズミック・サウンド名義で(元々は2010年に)発表した『VHSヴィジョン』だが、簡潔に言うなら、これは〈ノット・ノット・ファン〉と〈ニュー・ドリームス・リミテッド〉のミッシングリンクである。ゴーストリーなローファイ・ファンク(ディスコ)と、1990年代的な終末論とインターネットへの期待感を反省的に仮視する、ヴェイパーウェイヴ的なシンセ・ポップ、あるいはスクラップ処分されたローファイ・ハウスのような音を立ち上げる。2012年によって発見された、2010年の知られざる問題提起、いわば早すぎた2012年の断片である。
 また、キース・ハンプソンと兄弟/友人によるユニット、パワー・アニマルの『エクソシズム』は、アニコレ以降のインディ・ポップに、サンプリングと生演奏をチャーミングに結びつける。自身のレーベル(と言ってもバンドキャンプのアカウント?)からリリースされている前作『ピープル・ソングス』(2011)も、よりバンド演奏に重心を置いた素晴らしい内容で、少し前なら「音楽の編集能力」などと言ってもて囃されたであろうセンスが、いまや「name your price」でゴロゴロしていることを知る。そしてそのことを、他でもなく彼自身が理解しているがゆえに、わかりやすい「アガリ」を設定しないのだろう。『エクソシズム』は、飽和した音楽の情報網がバグとして排出した、あるいは不要になったMP3データが山ほど突っ込まれた、デスクトップの片隅に配置されたごみ箱が奏でるシンフォニーである。

 「コンピュータ、インターネットなどは、音楽へのアクセスを簡単にしたし、音楽を作るのを簡単にした。だから、ひとつの音楽に支配されることは、わたしたちが生きているあいだはきっとないと思う。それは悪いことかしら? いいえ、いいこともたくさんあると思う。」――米音楽メディア『ピッチフォーク』の編集者、エイミー・フィリップは、本誌のインタビューにかつてそうコメントしている。音楽流通の革命的な合理化は、様々な物語(時代を象徴するカリスマ? とか)をわたしたちから奪った、ということにされているが、わたしたちがたどり着きつつあるのは、島宇宙の乱立による物語なき閉塞などではない。そこには希望とも取れる新たな風景が広がっている。
 わたしたちが卒業したのは、多数決という野蛮なシステムであり、いま、時代を定義づけるような大衆文化の社会現象というものが、音楽の担うべき役割から完全に離れつつある、それを何年かかけて確認したに過ぎないのではないか。かつて成立していた「ポップ(多数)」は瓦解し、その残滓が「サブ(下位)」へ細かく再分配されるのは、もう避けられない。それは、より端的に言えば、「良い/悪い」の話ではなく、単に踏まえるべき圧倒的前提である。だとすれば、私たちリスナーに求められるのは、ポップの捏造的な再興を望むことではなく、どれだけ細部にまで愛をもってコミットできるかではないか。たとえそれが、どんなに小さい世界であっても。
 いい時代が来たなと、私は心から思っている。

"No.5"を聴きながら。 - ele-king

 師走といっても東京の空はのんびりと晴れ、天下泰平世はこともなし.....とはさすがに言えないレベルに騒がしき世情ではあるが、このヴィデオを眺めて過ごす3分半ぐらいは、あたたかい陽差しを感じながらだらだらしてもよいのではないだろうか。
 シャムキャッツのニュー・アルバム『たからじま』がいよいよ本日リリースされた。それにともない、特設サイトでは収録曲"No.5"の最新ミュージック・ビデオや、夏目知幸による「レコーディング夢日記」など新しいコンテンツが公開されている。
 さっそく"No.5"を見てみよう。ナインティーズUSインディへの素朴なリスペクトを感じさせながら、ローファイな音像とローアングルな東京の風景とを重ね、2012年のリアリティをゆるやかに描き出している。

 ele-kingでもシャムキャッツのインタヴューを近日公開予定。
 インタヴュアーは、田中宗一郎だ! 乞うご期待!



シャムキャッツ"No.5"


シャムキャッツ"なんだかやれそう"

『たからじま』特設サイト:https://siamesecats.jp/takarajima/

Chart JET SET 2012.12.03 - ele-king

Chart


1

Slow Motion Replay Presents Dunk Shot Brothers - Love Me Tender Ep (Smr)
早くも、HikaruやMr.Melody、やけのはら等がプレイするなど、前作同様のヒットを予感させるエディット集が到着しました。様々なシチューエーションでばっちりハマるレコード・バック内のスタメン確定な1枚です。

2

Maxmillion Dunbar - Woo (Rvng Intl.)
Beautiful Swimmersの片割れにして、Future Times主宰者のAndrew Field

3

Greg Foat Group - Girl And Robot With Flowers (Jazzman)
これまでの作品は全て即完売で先行シングルも大ヒット。エレガントでサイケデリックでグルーヴィーな独自の世界を進化させた、待望のニュー・アルバムが遂にリリース!!

4

七尾旅人 - サーカスナイト (felicity)
2012年リリースの最新作『リトルメロディ』より名曲「サーカスナイト」がアナログ盤で登場!!名曲オリジナルVerに加えて、向井秀徳、Mabanua、Luvraw&btb、Grooveman Spotによるリミックスも収録!!

5

Will sessions - Xmas Break (Funk Night)
素晴らしく骨太な楽曲に加え、今回は赤と緑のラベルで完全クリスマス仕様です!!

6

Lusty Zanzibar - Empress Wu Hu Remixes (Glenview)
100枚限定で先行リリースされたVakula & Oeによるリミックスに加え、気鋭Volta Cabによるリミックス+オリジナル・トラックを追加収録した話題の一枚が到着。

7

Pepe California - Yureru - Dj Nozaki's Pure Pleasure Control Mix (10 Inches Of Pleasure)
Mick「Macho Brother」のカルト・ヒットも記憶に新しい"10 Inches Of Pleasure"から話題沸騰の新作第二弾が無事到着。2010年に自主レーベルからリリースされたPepe California最新アルバム『White Flag』収録曲をレーベル首謀Dj Nozakiがリミックス!!

8

Star Slinger - Ladies In The Back Feat Teki Latex (Pias)
フィジカル12"第1弾『Dumbin'』のメガヒットも記憶に新しいマンチェスターのStar Slinger待望のソロ第2弾には、シカゴのベース人気者Chrissy Murderbotによるジューク・リミックスも搭載です!!

9

Dntel / Herbert - My Orphaned Son - Die Vogel Remix (Pampa)
音響ハウス帝王Lawrenceのリリースでもお馴染み、天才Dj Koze率いる越境ミニマル・ハウス名門Pampaから、看板デュオDie Vogelと主宰による極上リミックスを搭載した特大傑作が登場です!!

10

Echocentrics Feat. Grant Phabao - Echocentrics Remixes (Ubiquity)
名門Ubiquityお抱えの人気バンドEchocentricsの1st.アルバム収録曲をGrant Phabaoがジャマイカン・リミックス!!
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