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interview with Darkstar

interview with Darkstar

暗い星、うつくしい音楽

──ダークスター、インタヴュー

野田 努    Jan 07,2013 UP
E王
Darkstar - News From Nowhere
Warp/ビート

Amazon

 公園のベンチに座るのが好きだ。色や匂いが違う。ただそれだけのことだが、ダークスターの『ニュース・フロム・ノーウェア』はその感覚を押しひろげているように感じる。その点で言えば、ビーチ・ハウスの『ティーン・ドリーム』を思わせる。USインディ音楽のドリーム・ポップがUKの湿った土壌で醸成されたというか、いずれにせよ、この音楽にはもうUKガラージやダブステップの記憶はほとんどない。

 ダークスターは、2009年末、〈ハイパーダブ〉からの12インチ・シングル「エイディーズ・ガール・イズ・ア・コンピュータ」によって大々的な注目を集めている。当時はふたり組だったが、その後3人組となった。後から加入したジェイムス・バッテリーはヴォーカリストだ。彼が入る前の「エイディーズ・ガール・イズ~」や「ニード・ユー」は、初音ミクよろしくコンピュータのソフトウェアが歌っている。
 2009年といえば、ダブステップが多様化を極めようとしていた時期だ。ブリアルの影響下でマウント・キンビーやジェームズ・ブレイクが登場、あるいはラマダンマンやSBTRKT、ジョイ・オービソンらが頭角を現していたが、ダークスターのエイデン・ウォーリーとジェイムス・ヤングは他の誰とも違ったアプローチを見せた。それは、ちょっとクラフトーク風の、ロボティックなシンセ・ポップだった。そして、3人組となって録音、2010年の秋にリリースされたデビュー・アルバム『ノース』では、明らかに、がつんと、バッテリーの甘い歌声を活かした楽曲を披露した。それはイングランド北部の喪失感をえぐり出すような、暗く寒い音楽だった。
 しかし、『ノース』は素晴らしいアルバムでもあった。90年代の〈モワックス〉からDJシャドウが、あるいはアイルランドからデヴィッド・ホームズが出てきたときのようなイメージと重なる。憂鬱が今世紀のクラブ・サウンドのなかで見事に音像化されている。いわば灰色の魅力だ。
 対して2年ぶりのセカンド・アルバム──〈ワープ〉移籍後の最初のアルバムとなる『ニュース・フロム・ノーウェア』は、前作以上に、多彩なテクスチャーを見せている。アルト・ジェイの電子版とでも形容できそうな、聴き応え充分のアルバムだ。たとえばこの曲とか。



最初にたまたま作った音楽がダブステップだったっていうのはあるけど......でもいつももうちょっとメロディのある歌ものを作っていたんだ。

そもそもダークスターという名前はどこから来たんですか? 

ジェイムス・ヤング:ダークスターという名前は......なんだろう、ダークな感じっていうだけなんだけど......。最初は『ダークスター』っていうレコードから名前をとったんだ。それで『ダークスター・ヒューマノイド』っていうのにしようと思ってたんだけど、変な名前だなーと思って短くしたんだよ。

オリジナル・メンバーのふたり(エイデン・ウォーリーとジェイムス・ヤング)はどうして出会ったのでしょうか?

エイデン・ウォーリー:もともと僕とジェイムス(Buttery)は友だちだったり、みんなバンドをやってたり、そして全員同じロンドンの大学に通う仲間だった。僕とジェイムス(Young)は当時同じ寮に住んでたりもした。それでジェイムス・ヤングと一緒にダークスターをはじめて、その後ジェイムス・バッテリーも誘って一緒にやりはじめたんだ。ロンドンの東にあるハックニーを拠点に音楽を制作しはじめて、それでいくつか曲ができはじめたって感じで、自然にはじまったっていう感じだね。

ダークスターにはいろんな音楽からの影響を感じますが、音楽をやりはじめたきっかけは、やはりダブステップだったんでしょうか? それとも、別の契機があって作っていたところに、たまたまダブステップが流行っていたから乗ったんでしょうか?

ジェイムス・ヤング:まぁ最初にたまたま作った音楽がダブステップだったっていうのはあるけど......でもいつももうちょっとメロディのある歌ものを作っていたんだ。

ジェイムス・バッテリー:僕たちはいろんな音楽を聴くんだ。もちろんエレクトロニック・ミュージックはたくさん聴くけど、バンドの音楽も聴くし。僕たちはいろいろなものを聴くから"コレ"っていうものにカテゴライズできないと思うよ。もちろんダブステップからはじまってその上にいろいろな音楽の要素が乗ってる感じだね。

〈2010 Records〉は自分たちの自主レーベルだったんですよね? 初期のシングルはダブステップのスタイルでしたが、2007年当時は誰からの影響が強かったのでしょうか?

エイデン・ウォーリー:そうだよ、自分たちを表現するためにもいいかなと思ってさ。さっきも話したけど、最初はダブステップからはじまったけど、僕たちはいろいろなジャンルの音楽を聴くし、とくにカテゴライズしてないと思うよ。

それが2008年に〈ハイパーダブ〉から出した「Need You」あたりから変わっていきますよね。そして2009年の「Aidy's Girl Is A Computer」でいっきに変化を遂げる。実は僕は「 Aidy's Girl Is A Computer」が最初だったんですけど、聴いて一発で好きになりました。ダークスターを語るうえで逃せない重要なシングルだと思いますが、当時、ここで音楽性がいっきに拡張して、ダブステップとは別の方向性を見せた理由は何にあったのでしょうか?

エイデン・ウォーリー:たぶんここ最近の作品は「Aidy's Girl Is A Computer」の手法と同じように作っているからそういう印象を受けるのかもしれないね。とにかくそのとき考えたのは、最高に面白いものを作るってことだったしね。曲を作るときに気をつけたのはバランスだ。エレクトロニック・ミュージックのなかでヴォーカルとダンス・ミュージックの要素を上手くバランスを取って取り入れることが重要だと思うんだ。だからある意味僕たちにとってはチャレンジすることがまだたくさんある。

そしてジェイムス・バッテリーが加入して『ノース』が生まれました。歌が必要なだけならシンガーをゲストで入れれば済む話ですが、敢えてヴォーカリストをメンバーとして入れた背景には何があったのでしょうか? 言葉を必要としたということなのでしょうか?

エイデン・ウォーリー:もっと「歌」を書きたいと思ったからっていうのはあるかな。「歌」があったほうがもっといろいろなチャレンジできるしね。

質問:野田 努(2013年1月07日)

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