ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Seefeel - Sol.Hz | シーフィール
  2. Aho Ssan - The Sun Turned Black | アホ・サン
  3. Drive From 80s - @新宿ロフト
  4. KAKUHAN, FLYING RHYTHMS, Undefined ──真夏の夜のダブ、〈Newdubhall〉による自主企画イベントに刺激的な面々が集結
  5. Cornelius ──コーネリアスがさらなる新曲“Twisting & Glistening”を公開
  6. Columns #16:ワールドカップ2026 ──時代は変わった(日本代表のことではない)
  7. 未来マニア──エレクトロニック・ミュージック・ガイド
  8. R.I.P. Miru Shinoda 追悼:篠田ミル
  9. Cornelius ——コーネリアス、ニュー・アルバム『REFRACTIONS』の詳細を発表
  10. Visible Cloaks - Paradessence | ヴィジブル・クロークス
  11. Seefeel - Quique (Redux) | シーフィール
  12. interview with Loraine James ロレイン・ジェイムズの“ポップ”な冒険 | ——来日直前インタヴュー
  13. 下津光史 - @青山 月見ル君想フ  | 踊ってばかりの国
  14. Columns Boards of Canada ボーズ・オブ・カナダの帰還  | ──その軌跡、その影響、そして13年ぶりの新作『Inferno』をめぐって
  15. Columns Boards of Canada ボーズ・オブ・カナダの帰還 | ──その軌跡、その影響、そして13年ぶりの新作『Inferno』をめぐって(後編)
  16. YHWH Nailgun - Magazine | ヤハウェ・ネイルガン
  17. 別冊ele-king 音楽が世界を変える──プロテスト・ミュージック・スペシャル
  18. Columns Introduction to P-VINE CLASSICS 50
  19. interview with Mouse on Mars 僕たちはダブを、ジャンルではなく社会的なものとして捉えたい | ——リー・ペリーとの共作を発表したマウス・オン・マーズ、インタヴュー
  20. Beatrice M. - Sinking | ベアトリス・M

Home >  Reviews >  Album Reviews > Omar Souleyman- Jazeera Nights: Folk & Pop S…

Omar Souleyman

Omar Souleyman

Jazeera Nights: Folk & Pop Sounds of Syria

Sublime Frequencies

Amazon

三田 格   May 27,2010 UP

 映画『ミスター・ロンリー』のサウンドトラック・アルバムを置き土産に解散したらしきサン・シティ・ガールズのアラン・ビショップ(サーじゃない方)が運営するコンピレイション攻めのレーベルから、シリア産の(ほとんどテクノにしか聴こえない)カントリー・フォークの3作目。〈ファット・キャット〉が世に知らしめたコノノNo.1や、昨年は〈クラムド・ディスク〉が発掘してきたコンゴのスタッフ・ベンダ・ビリリもそうだったけど、ソウレイマンもワールド・ミュージックに対して持っているスピード感のイメージではありません。速いです。途中からは本当に速すぎます。イスラエルの戦闘機のように矢継ぎ早にタッチ・ア......いや。ワールド・ミュージックも掘る人が変わるとこうも違うというか......あー、かといってM.I.A.やチリのDJビットマンのように西欧のフォーマットに伝統を溶け込ませていくわけではなく、サンプラーやシンセサイザーを使いまくっているからというわけではなく、どこかで必然的にモダンな要素と絡み合わざるを得なかった結果なんでしょう(別なレーベルからはこんなメンツでもコンピレイションが→)。

 ソウレイマンに関していえば本国ではかなりの人気者らしく、前2作とも500本以上のカセット・リリースからセレクトされたコンピレイションなんだとか(あー、やっぱり、このレーベルはコンピレイション......)。ちなみにソウレイマンというのは本名なのかなんなのか、ウィーン包囲で有名なオスマン朝のスレイマン一世にOを足してソウルと掛けたようなスペルになっています(シリア人がそんなことはしないかなー。西欧社会においてスレイマン一世はいまだに脅威として受け止められているらしく、スローン・レンジャー上がりのダイアナ妃がトルコのデザイナーを贔屓にしていたことは、ある意味、あの結末を暗示していたとも)。

 オープニングは"いつかお前の墓をこの手で掘り返す"、続いて"ベドウィンの刺青""オレの心臓を打て""すべての女の子は婚約済み"といった曲が並び(英訳詞を見る限りでは女性にふられる歌が多いような)、ディプロが南半球で展開しまくっているような呆けたムードにはいっさいならず、パーカッションの激しさはURさえ思い出させ、ピヨピヨと飛び回る笛のような音はまるでYMO(そういえばハードコア・テクノにバグ・パイプを組み合わせたパープレクサーというユニットがあったなー)。すべてはライヴ音源らしいけど、これを聴いてシリアの人たちは踊り狂ったりしているのだろうか。いちど見てみたいような、そうでもないような。ベースが入っていないのはやはり残念だし......(砂漠にベースは響かないのかなー)。

 ここまで読んで、どんな音楽なのか、さっぱりわからないという人は間違っていないです。アチャラすちゃらかガガンガがーん、ですよ。ビシッビシッビシッビシッでピュピューピュピューとか。10分以上に及ぶ"わからない/紅茶のなかの砂糖のように"はけっこうシリアスなんですけどね。

三田 格