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Tohji

Hip HopRap

Tohji

angel

Self-released

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米澤慎太朗   Aug 21,2019 UP

 Tohji のデビュー・ミックステープ、『angel』がリリースされた。

 これまで、Abema TV の番組「ラップスタア誕生」でポエトリーにも近い独特なスタイルで注目を集めた。同時にオリジナル楽曲や海外のトラックメーカーのビートに乗せた曲を SoundCloud で公開し、2018年にはEP「9.97」をリリースした。

 今年は Mall Boyz (Tohji + gummyboy) 名義での“Mall Tape”のヒットで着実に知名度を高め、渋谷WWW でデイタイムの彼自身の主催イベント《Platinum Ade》では、未成年のファンを中心に550人ものクラウドを沸かせた。Tohji は彼自身の人気に加えて、Mall Boyz 周辺のシーンをまとめ上げる風格を帯びてきている。

 現行のメインストリームであるトラップ・エモーショナルなラップから、ジャージークラブやパラパラなどのダンス・ミュージックも器用に乗りこなし、ジャンルに縛られない柔軟なスタイルで幅広い世代のファンを魅了してきた。そんな Tohji による待望のミックステープには、彼のスピードに対する冴えた感覚、滾る若さ、そして彼の詩人としての才を随所に感じられる。

 MURVSAKI のビートとF1の轟音でスタートする本作は、ヘヴィな“Snowboarding” で幕を開ける。得意にしているメロディックなフロウとは打って変わり、“flu feat. Fuji Taito”で魅せたようなひとつのキーでモノトーンに攻める。続いて SoundCloud で先行公開されていた“Rodeo”では、英語詞のラップを披露。日本語と英語を同列のレヴェルで扱うことで、言葉が持つ音の面白みを感じられる一曲だ。また、ここで比肩すべき人物として北野武を挙げるところも、映像的な表現が光る彼のスタイルらしい部分である。

飲み込めハイチュウ、食べてる最中 “HI-CHEW”

 インタールードを挟んで“HI-CHEW”では、最初の2小節で全てを語りつくしてしまうこのラインに痺れた。言葉では一言も触れていないのにもかかわらず、このラインは若さや彼の勢いを全て表現していて、その勢いは、MURVSAKI のパワフルなビートに張り合ってこの曲を特別なものにしている。Loota が参加した“Jetlife”では、Mall Boyz の“Higher”と同じ“空”のモチーフを、今度は空の上からダイナミックに掴んでいる。この2曲はこのミックステープのハイライトだと思う。

 “トウジ負傷”を挟み、終盤ではグライム・プロデューサーとしても知られる Zeph Ellis の制作したビートに乗せて、彼らしいラヴソングである“on my way”、そして再び MURVSAKI によるビターなラヴソング“miss u”で幕を閉じる。

 このミックステープはこれまでのリリースよりもより多面的な Tohji をのぞかせてくれる。そこにはラッパーとしてのセルフボーストだけでなく、彼の優しさや傷のヒリヒリとした生々しさもある。それぞれの面が魅力的であり、彼の類い稀な才能が世界にさらけ出された一枚だ。

米澤慎太朗