「S」と一致するもの

James McVinnie - ele-king

 スクエアプッシャー、最近あまり名前を見かけないなーと思っていたら、ちゃっかり水面下で新たな仕事を進めていたようだ。UKのキイボーディスト、ジェイムズ・マクヴィニーのためにトム・ジェンキンソンが作曲を手がけたアルバム『All Night Chroma』が9月27日にリリースされる。
 マクヴィニーはもともとウェストミンスター寺院でアシスタントを務めていたオルガン奏者で、クラシカルの文脈に属する演奏家と言っていいだろう(もっとも多く録音を残しているのは〈Naxos〉だし、現時点での最新作はフィリップ・グラスの楽曲を取り上げた『The Grid』だ)。けれども他方で彼は、ヴァルゲイル・シグルズソンがニコ・ミューリーやベン・フロストとともに起ち上げたレイキャヴィクのレーベル、〈Bedroom Community〉から作品をリリースしたり、スフィアン・スティーヴンスOPN と共演したりもしている。とりわけ2017年のダークスターとのコラボはホーントロジカルで素晴らしく、よほど相性が良かったのか、この5月に両者は再度コラボを果たしてもいる。
 そんなわけで、今回のトム・ジェンキンソンとジェイムズ・マクヴィニーの共同作業もがっつり期待していいだろう。なお、ワールドワイドで1000枚ぽっきりのプレスらしいので、気になる方はしっかりご予約を。

[9月5日追記]
 昨日、『All Night Chroma』から収録曲“Voix Célestes”のMVが公開された。トム・ジェンキンソンとジェイムズ・マクヴィニー、それぞれのコメントも到着している。予約・試聴はこちらから。

オルガンのための曲を書くことは、多くの面で、電子楽器の曲を書くことと類似しているのではないかと感じる。 コンピューターの天才が持つ謎めいた魅力に通ずる何かが、オルガン奏者にはあるのかもしれない。 彼らは装置に囲まれながら、賞賛の声から距離を置き、まるで執着がないかのように振る舞っているのだから。 ──トム・ジェンキンソン

ジェイムズとの共同制作は、非常に心躍る経験であり、その要因は、彼の音楽家としての圧倒的な才能のみならず、多くのアイデアを取り入れる感受性と実験的試みを厭わない精神にある。 ──トム・ジェンキンソン

演奏だけでなく、万華鏡のように色彩豊かなロイヤル・フェスティヴァル・ホールの音色にフィットさせることなど、実現に至るまで技術的な挑戦となるものだったんだ。この楽器はミッドセンチュリー・デザインの頂点であり、最初にその音を聴かれた時には音楽界にセンセーションを巻き起こした。豊かで高貴な歴史を持つにもかかわらず、明瞭さと新鮮さを兼ね備え、今回の新しい音楽の理想的な媒体だったんだ。 ──ジェイムズ・マクヴィニー

今年30周年を迎えた〈Warp〉よりスクエアプッシャーことトム・ジェンキンソンが作曲し世界屈指のオルガン奏者ジェイムズ・マクヴィニーが奏でる怪作『All Night Chroma』が9月27日にリリース決定
CD/LPともに世界限定1000枚、ナンバリング付でレア化必至!

スクエアプッシャーことトム・ジェンキンソンが作曲を手がけ、世界屈指のオルガン奏者ジェイムズ・マクヴィニーが演奏した異色作品『All Night Chroma』が、9月27日に〈Warp Records〉よりリリース決定! CD/LPともに世界限定1000枚、ナンバリング付。レア化必至の貴重盤となる。

世界でも有数のオルガン奏者として知られているジェイムズ・マクヴィニー。16世紀のルネサンス音楽から現代音楽までを網羅するマクヴィニーは、これまでにも多くの現代音楽家たちとコラボレートをしており、フィリップ・グラス、アンジェリーク・キジョー、ニコ・ミューリー、マーティン・クリード、ブライス・デスナー、デヴィッド・ラングらが彼のために楽曲を書き上げてきた。

スクエアプッシャーやショバリーダー・ワンとしての活動で知られるトム・ジェンキンソンは、今回マクヴィニーのために8つの楽曲を書き下ろしている。収録された音源は、2016年に、ロンドンのロイヤル・フェスティバルホールに設置され、このホールの特徴にもなっている巨大な Harrison & Harrison 社製1954年型のパイプオルガンで演奏・レコーディングされたものとなっている。ジェンキンソンは、スクエアプッシャー、ショバリーダー・ワン名義の作品群や革新的なライブ・パフォーマンスのみならず、作曲者としての地位も確立しており、2012年のスクエアプッシャー作品『Ufabulum』をオーケストラ用に再構築し、世界的指揮者のチャールズ・ヘイゼルウッドとシティ・オブ・ロンドン・シンフォニアによるコンサートを成功させ、BBCによる映像作品『Daydreams』で1時間半に及ぶ楽曲を提供、"Squarepusher x Z-Machines" 名義で発表された『Music for Robots』では、3体のロボットが演奏するための楽曲を制作している。本作『All Night Chroma』では、スクエアプッシャー作品の礎となっているエレクトロニック・サウンドから離れ、彼のさらなる才能の幅広さを見せつけている。

ジェイムズ・マクヴィニーとトム・ジェンキンソンがコラボレートした『All Night Chroma』は、9月27日(金)に世界同時リリース。CD/LPともに世界限定1000枚、ナンバリング付。国内流通仕様盤CDには解説書が封入される。

label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: James McVinnie
title: All Night Chroma
release date: 2019.09.27 FRI ON SALE
国内仕様盤CD BRWP305 ¥2,214+tax
解説書封入

MORE INFO:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10470

WARP30周年 WxAxRxP 特設サイトオープン!
スクエアプッシャーも所属するレーベル〈WARP〉の30周年を記念した特設サイトが先日公開され、これまで国内ではオンライン販売されてこなかったエイフェックス・ツインのレアグッズや、大竹伸朗によるデザインTシャツを含む30周年記念グッズなどが好評販売中。アイテムによって、販売数に制限があるため、この機会をぜひお見逃しなく!
https://www.beatink.com/user_data/wxaxrxp.php

tiny pop fes - ele-king

 タイニー・ポップ、どんどん存在感を増していっていますね。はて、「タイニー・ポップ」とはなんぞ? という方は hikaru yamada によるこちらのコラムと、同氏による紙エレ最新号の記事(68~71頁)をご覧いただくとして、まさにそのタイニー・ポップにフォーカスしたフェスが開催されることとなりました。同ムーヴメントを体現する んミィ や ゆめであいましょう、にゃにゃんがプー や mukuchi に加え、いま話題沸騰中の長谷川白紙や その他の短編ズ、〈Local Visions〉から SNJO、wai wai music resort らも出演。現在進行中の新たなポップ・ムーヴメントを体験しながら、上野公園で素敵な秋を過ごしてみませんか。

〈DANGBOORURECORD〉、10月5日に上野公園で《tiny pop fes》を開催、長谷川白紙、その他の短編ズら出演

10月5日(土)に、上野公園の水上音楽堂(野外ステージ)にて《tiny pop fes》が開催される。主催はこれまでに田島ハルコや にゃにゃんがプー のリリースをしたことで知られるネット・レーベルの〈DANGBOORURECORD〉。現在のポップスのあり方のひとつを提示し、多くの人に楽しんでほしいと主催は述べている。

出演者は、んミィバンドや mukuchi など過去に本レーベルの企画に出演したミュージシャンに加え、ゲストとして長谷川白紙、その他の短編ズが出演。さらに新進気鋭の出雲のネットレーベル〈Local Visions〉からリリースした SNJO、wai wai music resort も出演する。また、サブステージのBGMをネットで話題のディガー集団「lightmellowbu」のメンバーが中心になって選曲する予定だ。

現在レーベル直販サイトで限定早割チケットを販売中のほか、Peatix や Livepocket での予約も受付中だ。早割チケットはフライヤー制作も担当したイラストレーターの なまやけ、大仏の両氏による特製のデザインになっている。観に行きたい方は早割チケットの購入がおすすめだ。

tiny pop fes
2019.10.5 土曜日
@上野公園 水上音楽堂
(野外ステージ)

Open 11:30
Start 12:00

Ticket
Early Bird(早割):3,000円+ドリンク代
Advanced(前売り):3,500円+ドリンク代
Door(当日):4,000円+ドリンク代

出演
長谷川白紙
その他の短編ズ
wai wai music resort
SNJO
んミィバンド
mukuchi
入江陽
にゃにゃんがプー
横沢俊一郎&レーザービームス
ゆめであいましょう

小川直人(lightmellowbu)
柴崎祐二(lightmellowbu)
F氏(lightmellowbu)


長谷川白紙


その他の短編ズ

PRINS THOMAS ASIA TOUR 2019 - ele-king

 今年アルバム『AMBITIONS』をリリースしたノルウェーのベテランDJ、プリンス・トーマスが来日する。東京を皮切りに、いまもっとも熱いという噂の名古屋、そして大阪、札幌と日本をツアー。まだまだ遊び足りないダンサーは、北欧仕込みのハイセンスなハウスで汗を流しましょうや。

9.14(土)東京 VENT
9.15(日)名古屋 CLUB MAGO
9.16(月/祝) 大阪 CIRCUS
9.20(金) 札幌 PRECIOUS HALL
9.21(土)SEOUL MODECi

■Prins Thomas (Full Pupp, Smalltown Supersound - Norway)

北欧ノルウェーのDJ/プロデューサー、プリンス・トーマス。レーベル〈Full Pupp〉と〈Internasjonal〉を主宰。前者がノルウェー国内のアーティストを、後者は国外のアーティストを紹介する。
2005年、盟友Lindstrømとの共作アルバム『Lindstrøm & Prins Thomas』をリリースし、世界中の音楽シーンに新しい風を吹きこんだ。Remixerとしても数多くの作品をてがけ、また、Noise In My Head,『Cosmo Galactic Prism』,『Live At Robert Johnson』,『RA.074』,『FACT MIx 130』, 『Rainbow Disco Club vol.1』,『Paradise Goulash』などのDJ MIXからうかがえるように、DJとしてのその実力とセンスが評価されている。2019年、細野晴臣、ダニエル・ラノワ、シンイチ・アトベやリカルド・ヴィラロボスにインスピレーションを得て作られたという最新アルバム『AMBITIONS』をリリース。

■ツアー各公演詳細

9.14(土) 東京 @VENT
- DISKO KLUBB -

=ROOM1=
Prins Thomas
MONKEY TIMERS
Mustache X

=ROOM2=
DISKO KLUBB
JITSUMITSU / YAMARCHY / GYAO / TAGAWAMAN / KAZUHIKO

CYK
Nari & Kotsu

Open 23:00
Advance 2500yen (RA 7/17 12:00より販売開始)
Door 3500yen

Info: VENT https://vent-tokyo.net
東京都港区南青山3-18-19 フェスタ表参道ビルB1 TEL 03-6804-6652


9.15(日) 名古屋 @Club Mago
- OSKA -

feat DJ:
Prins Thomas

DJs:
hiroyuki (STOMP!)
CHOUMAN (The Sessions)
PePe
Shoino

OSKA LOUNGE:
UTSUNOMIYA (AJITO)
Tamachanmann (NOODLE)
YoshimRIOT (RIOT girls)
konma

Sheesha:
blanc lapin

Open 22:00
Advance / With Flyer 2500yen
Door 3000yen

Info: Club Mago https://club-mago.co.jp
名古屋市中区新栄2-1-9 雲竜フレックスビル西館B2F TEL 052-243-1818


9.16(月/祝) 大阪 @Circus
Happy Monday Special!!
- Prins Thomas Japan Tour 2019 in Osaka -

DJ: Prins Thomas, YAMA (PRHYTHM), STEW (TUFF DISCO), DJ Ageishi (AHB pro.)

Food: SETSUKO -極楽肴nd-

Open 17:00 - 23:00

Advanced 2000yen + 1Drink
Door 2500yen +1Drink

Info:
Circus Osaka https://circus-osaka.com
〒542-0086 大阪市中央区西心斎橋1-8-16-2F TEL 06-6241-3822
AHB Production https://ahbproduction.com


9.20(金) 札幌 @Precious Hall
- JOY -

Featuring Guest: Prins Thomas

TSUJI (polan)

Open 23:00
With Flyer 3000yen
Door 3500yen

Info: PRECIOUS HALL https://www.precioushall.com
札幌市中央区南2条西3丁目13-2 パレードビルB2F TEL 011-200-0090


9.21(土) SEOUL @MODECi

DJ: Prins Thomas, FFAN

Open 22:00 Till 6:00

More info: https://www.facebook.com/events/500092080741276/

Eartheater - ele-king

 昨年わたしたちが年間ベストの1位に選んだのは? そう、アースイーターの『IRISIRI』でした。尖鋭的かつ独創的なサウンドに挑戦し続ける彼女、アレクサンドラ・ドリューチンが、新たにレーベルをローンチ。その名も〈Chemical X〉です。パワーパフガールズ? 第1弾作品は『Trinity』と題されたミックステープで、『IRISIRI』とほぼ同時期につくられたものだそう。AceMo、Color Plus、Kwes Darko、Tony Seltzer、Denzxl、Dadras、Hara Kiri らニューヨークのローカルなプロデューサーが参加。リリース日はまだ明かされていませんが、AceMo の手がける“High Tide”という曲が公開されています。

[10月17日追記]
 アースイーターが新たに『Trinity』収録曲“Fontanel”を公開しました。プロデューサーはニューヨークの Dadras。『Trinity』のリリース日も明日10月18日に決定しています。

万華鏡のような真夏の夜の夢 - ele-king

■政治に踏みにじられた沖縄の民意

 日本政府による暴力的な土砂搬入が続く沖縄県辺野古の米軍海兵隊基地キャンプ・シュワブ。同基地の正面ゲート前に設置された仮設テントでは、連日、「辺野古新基地」建設に抗議する市民らが「沖縄に基地はいらない」とシュプレヒコールを上げている。真夏の太陽の下、仮設テント内では「美ら海埋めるな」「ウチナーの未来はウチナーンチュが決める」の横断幕がはためき、汗を流しながら「ジュゴン解放戦線」のプラカードを胸に掲げる女性の姿も目に付いた。

 大型車両が出入りする搬入ゲートからは1日に何回かコンクリートミキサー車が長蛇の列をなし、轟音と排気ガスを撒き散らしながら基地の中に吸い込まれていく。それを阻止しようと搬入が始まる時間になると反対派の市民らがゲート前に腕を組みながらみっちり座り込むのだが、機動隊員に抱え上げられ次々に排除されていく。数分でも数秒でも資材や生コンの搬入を手間取らせることで工事そのものの進捗を遅らせようとするささやかな抵抗はこうして国家権力のむき出しの暴力によって根こそぎ摘み取られていった。

 7月12日。辺野古新基地建設に反対する「オール沖縄」闘争はこの日、1832日目を迎えていた。実に5年あまり沖縄県民と支援者が反対運動を続けてきたことになる。それは、たび重なる選挙や県民投票で示されたはずの沖縄の「民意」が安倍「独裁」政権によって踏みにじられてきた歴史でもある。


搬入ゲート前に座り込む《風車の便り》発起人の翠羅臼ほか

■辺野古にホーンが炸裂

 午前10時、フリー・ジャズ・バンド「渋さ知らズオーケストラ」の小編成楽団が仮設テント前をズンチャカズンチャカ練り歩いた。先頭で両手を振って楽団を指揮するのはベーシストでリーダーの不破大輔。ふたりの女性ダンサー、ペロとすがこが演奏に乗って、サルサ、サンバ、アラビアン風に気ままに踊りまくり、北陽一郎のトランペットと高岡大祐のチューバが青空を突き抜けるように炸裂すると、ゲート内の米兵と警備員たちが何ごとかとこちら側をうかがうのが見える。


渋さ知らズ、仮設テント前

 50年代に誕生したフリー・ジャズは、それまでのビバップやハードバップのコード(和音)進行を否定したジャズの新しい革新的ムーヴメントだ。オーネット・コールマンがドン・チェリー、チャーリー・ヘイデンらとともにニューヨークのファイヴ・スポットで演奏し始め、ジャズ界に一大センセーションを巻き起こした。フリー・ジャズ誕生を告げた歴史的なアルバム『ジャズ来たるべきもの』はそのタイトルからして挑発的だ。コールマンは後にローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズ同様、モロッコ・ジャジューカ村の音楽集団の影響を受けてもいる。渋さのエンドレス奏法にジャジューカ風トランス・ミュージックの片鱗を感じるはそのせいだろうか。

■南と北の鬼神が競演

 そこへいきなり登場したのは、なまはげとトシドンとパーントゥ。それぞれ、秋田の男鹿半島、鹿児島の甑島、沖縄の宮古島に伝わる鬼神、来訪神だ。昨年、ユネスコの無形文化遺産への登録が決定した。包丁を手に鬼の面をかぶって子供を脅すなまはげはよく知られているが、甑島のトシドンもまた大晦日に鬼の顔をして悪い子供を懲らしめる。宮古島のパーントゥは体につる草をまとい、ンマリガー(産まれ泉)の井戸の底に溜まった泥を全身に塗りたくり、集落を巡回して厄払いする。

 3人の来訪神は仮設テントの奥からドラを打ち鳴らしながら乱入。「獅子の星座に散る火の雨の、消えてあとない天野がはら、打つも果てるもひとつのいのち……ダーダーダーダー、スコダダー……」とヒップホップ調のリズムに乗った後、「運玉義留(うんたまぎるー)はどこだ! 運玉義留を探せ!」と叫び、仮設テントの袖へと消えた。野外天幕劇団「水族館劇場」の主演女優・千代次が率いる路上芝居ユニット「さすらい姉妹」の芝居『陸奥の運玉義留』(辺野古版)はこうしてスタートした。


さすらい姉妹・3来訪神

 運玉義留は18世紀に琉球で活躍したとされる農民出身の義賊。運玉の森に住み王族や士族の家を狙って盗みに入り、奪った金品は貧民に分け与えた。18世紀の琉球は大飢饉の発生などで民衆が苦しんだ時代だ。目に余る収奪に抗して闘った反権力の象徴的存在として語り継がれ、明治時代には沖縄演劇のヒーローになった。劇作家の翠羅臼は運玉義務留を熊襲や蝦夷という“鬼の棲む”辺境地と結びつけ、「南と北の鬼」が競演する時空を超えた抵抗の芝居を辺野古に持ち込んだ。

■「タックルせ」の叫び、再び沖縄へ

 翠羅臼は70年代、テントで公演する反体制的なアングラ劇団「曲馬舘」を主宰した演劇人だ。83年に劇団「夢一族」を立ち上げ、山谷や横浜寿町、名古屋笹島など寄場での興行を続けてきた。88年に夢一族を脱退しフリーの演出家になり、辺野古新基地反対を訴える一方、パレスチナでの演劇プロジェクトでも芝居を演出した。今回の沖縄公演には劇団「唐組」の“伝説の怪優”大久保鷹が友情出演している。大久保は翠の盟友でパレスチナの演劇プロジェクトにも参加している。

 実は翠は1978年にコザと首里で公演した曲馬舘の芝居『地獄の天使──昭和群盗伝』で沖縄を旅したことがある。1970年のコザ暴動をモチーフにしたこの芝居の大団円で、出演者はたいまつを掲げたオートバイ十数台で天幕の内外を爆走し、コザ暴動の民衆の合い言葉「タックルせ、クルせ、クルさんけ(たたき殺せ、黒人は殺すな)」を絶叫、「灼熱の炎に身を焦がし/廃墟の街を駆ける……だから地獄の天使たちよ、箱船の羅針を帝都へと向けろ」と歌った。それから40年以上がたち、翠の航路は再び沖縄へと向かった。

 辺野古と高江の闘争に共感する翠は「渋さ知らズ」の不破と「水族館劇場」を主宰する桃山邑に相談した。桃山は日雇い労働者として働きながら翠が主宰した曲馬舘で役者デビューし、1987年に主演女優の千代次とともに水族館劇場を立ち上げた。その千代次はさすらい姉妹を率い、毎年正月には寄せ場で路上演劇を披露してきた。

■理想を幻視する芸能の力

 「下層で暮らしている人たちと連帯し、旅と生活と芝居を同時にやってきた」と桃山は振り返る。布川徹郎監督の映画『沖縄エロス外伝 モトシンカカランヌー』に登場するしぶとく生き抜く最下層の娼婦たちの姿に感銘を受けたという桃山は「音楽祭は沖縄の現実を変えないかもしれないが、リアリズムを生きる底辺の人たちは変わらない日常に閉塞感を覚えている。現実よりも理想を幻視するという芸能の法則を信じて沖縄の舞台に立ちます」

 音楽祭開催の中心メンバーのひとりとなった不破大輔は翠の提案に乗り、沖縄公演を決めた。実は渋さはアングラ演劇の“劇伴”としてスタートした楽団だ。劇伴とは映画や演劇の伴奏音楽のことだ。あるアングラ劇団の入りが少なかったことから、客席を埋めるため知り合いのミュージシャンに声を掛けたのがオーケストラ結成のきっかけだったという。

■キーワードは暴動と自由

 翠との出会いもやはり劇伴だった。1991年、翠が演出し上野の水上音楽堂で上演された芝居『暗闇の漂泊者』の劇伴を担当し、「本多工務店のテーマ」という曲をつくった。必ずといっていいほどライヴのラストで演奏される不朽の名曲だ。この曲の冒頭、朗読される詩は「この曲を聴いて鳥肌が立った」という翠によって書かれた。キーワードの「暴動」と「自由」は、従来のジャズ演奏につきまとう予定調和をぶっ壊し、アドリブ演奏がつくりだす渋さ特有のフレキシブルな演奏スタイルを物語っている。

 こうして音楽と演劇による沖縄公演に向けて「風車の便り 戦場ぬ止み音楽祭」の実行委員会が結成された。沖縄では97歳になると子供に返るという言い伝えがあり、この年齢のお祝いのことを「風車祭」という。「路地でくるくる回る風車、空が哭いている、海が哭いている……」と翠は夢想する。美ら海を埋め立て、沖縄の人びとの心を埋め立てようとする悪政に抗して、夢の風車をかざそうと翠たちは辺野古にやって来た。

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■フランス革命は娼婦が先頭に立った

 キャンプ・シュワブゲート前の仮設テントではさすらい姉妹の芝居が続いている。沖縄県読谷村在住の彫刻家・金城実は仰天大王の役で特別出演した。「チビリガマ世代を結ぶ平和の像」や三里塚闘争をモチーフにした「抗議する農民」などの作品で知られる金城はこの夏、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が中止された問題に憤り、自ら初の「慰安婦像」の制作に取り組んでいる。「世の中を変えるのはインテリじゃない。芸術と女性だ。フランス革命はパリの娼婦が先頭に立った」。独特な“金城史観”が仮設テントに響きわたると、反対派住民から笑みがこぼれた。

 金城によると、1609年の第一次琉球処分は琉球の漁民が仙台藩に流れ着いたのがきっかけで起きたという。薩摩藩は中継貿易で繁栄する琉球を侵略し、徳川幕府から琉球王国を賜った。金城は鬼退治に向かった桃太郎の伝説に琉球処分を重ね合わせる。

■あの世はこの世、この世はあの世

 「イヌやサル、キジを従えた桃太郎がヤマトンチュで、鬼ヶ島が琉球と陸奥ってわけだ。南と北の鬼たちの競演を是非やろうじゃないか」。仰天大王はこう語ると豪快に笑い、脱いだ下駄を両手に持ちエイサーにも似た下駄踊りを披露。金城が自ら考案したという得意技に仮設テントの観客から大きな歓声と拍手が起きた。


金城実の下駄踊り(背後に大久保鷹)

 芝居は第2場に進み、主演女優の千代次演ずるレラが腕にフクロウを乗せ、アイヌ民族の姿で登場。錫杖を手にした白装束のイタコ(風兄宇内)との「あの世はこの世、この世はあの世」「アメリカ世(ゆ)はヤマト世、ヤマト世はアメリカ世」といった時空を超えたやりとりが観客を夢幻の世界へと引きずり込む。


千代次と風兄宇内

 「ここは初めて来た場所なのに、懐かしい匂いがする」と言うレラに、童女の姿をしたフクロウの精霊(増田千珠)は「ここは、魔物たちが跳梁跋扈する魔の森、運玉森だ、気をつけろ、レラ」と不穏な言葉で応じる。その時、それまで真夏の太陽が輝いていた空がみるみる暗雲に覆われ、激しい雨が降り出した。全身びしょ濡れになりながら演技を続けるレラと精霊。さすらい姉妹の母体である水族館劇場は大団円で必ず、大量の水が天井から降り注ぐが、辺野古では天の恵みがその役目を代行した。


激しい雨

■風車の便りは闘争へのエール

 芝居の後半、大久保鷹演ずる男の口から97歳になると老人が子供に還るという風車の言い伝えが語られる。それに千代次演ずるレラが応える。「風車はいろんな風を届けてくれる。いにしえの風、明日の風、優しい風、不吉な風、嘆きの風、そして炎の風……」。翠にとって“風車”は沖縄の長い抑圧の歴史の象徴だ。“風車の便り”は、不屈の魂を胸に暴虐の荒波を乗り越えようとする「オール沖縄」闘争へのエールなのだ。

 芝居は出演者全員による「森が哭いている、海が哭いている……」という合唱でフィナーレを迎えると、観客席から温かい拍手が送られた。その後、ミュージシャンの海勢頭豊が新基地建設への抗議を込めて琉球ことばで歌った。翠が夢想した祝祭的な路地での風車は「オール沖縄」の反対基地闘争への便りとなって歌から歌へと伝えられ、くるくる回り続けているようだ。


海勢頭豊

 夜は那覇市の新都心公園内の特設天幕ステージで渋さ知らズオーケストラの単独公演があった。タイトルは「天幕渋さin沖縄」。竹で編んだ骨組みを大きな凧を伏せたように組み立てた天幕は、出演者のノボリが周りをぐるりと取り囲み、一見すると旅芸人の股旅興行に見える。「サーカスの巡業ですか」と尋ねる散歩者の姿も。「いつも旅の途中」(不破大輔)という渋さ独特の公演スタイルは変わっていなかった。

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■ロックにジャズに民謡、多士済々な顔ぶれ

 渋さのフルオーケストラのライヴには、劇団「風煉ダンス」の芝居が絡み、エンドレスな演奏を聴かせた。そこへ沖縄民謡界の大御所、大江哲弘が登場。渋さをバックに「生活の柄」や「お富さん」を歌い、最後に八重山民謡「トゥバラーマ」を聴かせた。

 翌13日は午後1時から同じ天幕ステージでメーンの音楽祭。この日も真夏の太陽が燦々と輝いていたが、遮光性の天幕の中は意外に涼しい。オープニングは渋さチビズの演奏。サックスやトランペットが炸裂し、渋さ歌手の玉井夕海がステージ上で躍動する。玉井は今回の音楽祭の代表でもある。開催まで紆余曲折があり、その苦労を乗り越えてのステージに表情は明るい。

 その後、ライヴは島唄の堀内加奈子、東北の歌姫の白崎映美、沖縄高江在住デュオの石原岳とトディと続く。以前は上々颱風のヴォーカルだった白崎は東日本大震災以後、被災者に寄り添い、ロック、ジャズのほか、民謡で「東北人の魂」を歌い続けてきた。今回はアーティスティックな衣装とメイクでパンチのある歌声を聴かせた。


白崎映美

 リーダーのもりとが那覇市内で居酒屋を経営しているという、沖縄のジプシーバンド「マルチーズロック」、沖縄から平和を発信する海勢頭豊に続き、シンガーソングライターの池間由布子がギターの弾き語りで透明感のある歌声を披露、会場をほんわかした安らぎで包み込んだ。


池間由布子

■森が哭いている、海が哭いている

 地元フラチームの演技の後、前日の辺野古キャンプ・シュワブ前に続き、「さすらい姉妹」が『陸奥の運玉義留』を上演。芝居前の準備でリーダーの千代次は、前日に辺野古で摘んできたつる草をパーントゥ役のコスチュームに入念に巻きつけていた。その静かな仕草からは抑圧の歴史を持つ琉球への共感と連帯が感じ取られた。

 「計算され尽くされた演劇では役者も飽きてしまう。目指すのはそこから逸脱した荒唐無稽な芝居だ」。水族館劇場を主宰し、現代の河原者を自任する桃山邑はこう語る。金城実や大久保鷹の出演は、従来の芝居のセオリーを超えたハプニングともいえる。

 「うりずんの雨降りしきる遙かな島、空が哭いている、森が哭いている、海が哭いている……あの日届いた風車の便り」。抑圧の歴史を持つ陸奥と琉球が時空を超えてひとつになるという翠羅臼の抵抗の詩(うた)は、那覇の観客を魅了し、沖縄の演劇史に新たな1ページを書き込んだ。

■クランデスタンな装い

 音楽祭のトリはもちろん、渋さのフルオーケストラによるゴージャスな演奏。北陽一郎のトランペットが、登敬三のテナーサックスが、高橋保行のトロンボーンが、ある意味、勝手に気ままにアドリブ演奏を重ねていく。そこに、うじきつよしのギター、大袈裟太郎のラップ、玉井夕海の歌が絡んでいく。次の展開が予期できない暴風雨のような旋回奏法に乗ってペロとすがこがディスコのお立ち台さながら踊り狂った。


渋さ知らズ

 ステージ左右のお立ち台では暗黒舞踏のダンサーによるパフォーマンスも。薄汚いビルの地下に続く階段を降り、壊れかかった扉を開けると、いきなりジャズ演奏の爆音にさらされる。禁酒法時代のニューヨークを思わせるクランデスタン(非合法)な装いに包まれた天幕は、300人近い観客を飲み込み、万華鏡のように、“真夏の夜の夢”を垣間見せてくれた。

Zonal - ele-king

 ようするに、テクノ・アニマル+ムーア・マザー、ということだろうか。JKフレッシュ名義やゴッドフレッシュ名義で知られるジャスティン・K・ブロードリック(昨年はスピーディ・Jの〈Electric Deluxe〉から『New Horizon』を発表、今年は GOTH-TRAD とのスプリット盤も)と、ザ・バグ名義やキング・ミダス・サウンドの活動で知られるケヴィン・マーティン(最近〈Room40〉から初の本名名義のアルバムをリリース)がふたたびタッグを組んだ。その名もゾウナル(Zonal)。そして、彼らはたんにリ‐ユナイトするだけでは飽き足らず、なんと、近年アンダーグラウンドの英雄となりつつあるアフロフューチャリスト、ムーア・マザーを招いてアルバムを完成させた。タイトルは『Wrecked(難破)』で、10月25日に〈Relapse〉からリリースされる。現在、同作から“System Error”が先行公開されているが(試聴・購入はこちらから)、この重厚さ、ハンパない……きっとインダストリアルのなんたるかをあらためて世に知らしめるとともに、ムーア・マザーのさらなる躍進を手助けするアルバムになっていることだろう。

ZONAL
WRECKED

Format: 2xLP / Digital
Label: Relapse Records
Cat. No: RR7439
Release Date: 25 October 2019

01. Intro – Body of Wire ft. Moor Mother
02. In a Cage ft. Moor Mother
03. System Error ft. Moor Mother
04. Medulla ft. Moor Mother
05. Catalyst ft. Moor Mother
06. No Investigation ft. Moor Mother
07. Wrecked
08. Debris
09. Black Hole Orbit Zone
10. S.O.S
11. Alien Within
12. Stargazer

https://relapse.com/zonal-wrecked/

Undefined - ele-king

 いま日本の地下ではダブがおもしろい動きを見せている。そのひとつが〈newdubhall〉だ。同レーベルを主宰する Undefined は、The Heavymanners に参加していた Sahara と、Soul Dimension のドラマーも務める Ohkuma によって結成されたダブ・ユニットで、2017年に初のシングルを発表、その後こだま和文との共作などを送り出している。そんな彼らの最新作がポートランドの7インチ専門ダブ・レーベル〈ZamZam Sounds〉からリリースされることとなった。タイトルは「Three」で、ヤング・エコーのライダー・シャフィークをフィーチャー。600枚限定で再プレスはなし、配信もなしとのことなので、なくなる前に急ごう。

先進的ダブ・レーベル〈ZamZam Sounds〉から
ダブ・ユニット Undefined が日本人初となる7インチをリリース

キーボード/プログラミングの Sahara とドラムの ohkuma によるユニット、Undefined の3 作目となるレコードが、アメリカはポートランドの先進的ダブ・レーベル〈ZamZam Sounds〉から8 月下旬にリリースされる。世界各地で繰り広げられているダブの冒険を70 枚以上の7インチで紹介しているレーベルではあるが、日本人では初のリリースとなる。前作ではこだま和文と共作、宇宙とブルーズを深い音響の中に描き上げた彼ら。今作「Three」では、ブリストルを中心に活動し、参加した Swindle の楽曲“What We Do”がアップルUKのキャンペーンに使用され注目を集める詩人/ラッパー Rider Shafique を迎え、覚醒した浮遊感を我々に知覚させる。
通常のダブ・レコードでは、ヴォーカル入りの楽曲がA面に、それを素材にダブ・ミックスを施したものがB面に収録される。しかし今作「Three」は、最初に完成したインスト曲(今作B面収録)のダブ・ヴァージョン(未発表)に Rider Shafique がヴォーカルを乗せたトラックを制作。そのヴォーカルをエディットし、元のインスト曲に乗せ直したものが今作のA面に収録されている。そうした結果、ドラムとヴォーカルのリズムが、録音時には想像していなかった別のグルーヴを創り出している。Can のドラマー Jaki Liebezeit のプレイを連想させるドラミングと、“ヴォイス・オブ・サンダー” Prince Far I の影響が伺えるヴォーカル、そしてその言葉に呼応するように飛び交う音の断片が描く“来るべき変革の前の静けさ”──緊張と希望の波動。機会があれば、ぜひサウンドシステムで感じてほしい。
これまでのリリース「after effect」(7"/2017 年)、「new culture days」(10"/2018 年)、dBridge×Kabuki×itti とのコラボ企画「Chatter」(12"/2019 年)は全て完売。寡作ながら確固とした音空間を残している Undefined は、国内外を問わず現在最も注目すべき才能のひとつだ。
7インチは、デジタル・リリースおよび再プレスなしの限定600枚リリース。〈ZamZam〉のアイデンティティとも言えるシルク・スクリーン・プリントが施されたスリーヴに収められている。

麻芝 拓 (ライター)

type:7inch
Undefined feat. Rider Shafique
a. Three / b. Three - dub -
released from ZamZam Sounds (U.S) / 価格: 未定

Inoyama Land & Masahiro Sugaya - ele-king

 またしても〈Empire Of Signs〉である。2年前の吉村弘のリイシューは昨今の「和モノ・ブーム」のひとつの起点となり、今年は〈Light In The Attic〉から日本の「環境音楽」にスポットライトを当てたオムニバス『Kankyō Ongaku』まで登場、逆輸入というかたちで日本再評価の機運がどんどん高まってきている。その双方で重要な役割を果たしたのがヴィジブル・クロークスのスペンサー・ドーランなわけだけど、どうやら彼は手を緩めるつもりはないらしい。ドーラン主宰の〈Empire Of Signs〉から、新たなリリース情報がアナウンスされた。
 ひとつは、元ヒカシューの井上誠と山下康から成るイノヤマランドの『Commissions: 1977-2000』で、博物館などからの委嘱作品を集めたもの。もうひとつは、かつてパフォーミングアーツ・グループのパパ・タラフマラに在籍していた作曲家、菅谷昌弘による『Horizon, Volume 1』で、彼の80年代の音源を集めたものだ。前者は9月20日に、後者は10月11日にリリースされる。2組とも『Kankyō Ongaku』でとりあげられていた音楽家だから、今後もこのようなかたちで具体的に「環境音楽」のリヴァイヴァルが進んでいくのかもしれない。うーむ。

Artist: Inoyama Land
Title: Commissions: 1977-2000 - Music for Slime Molds, Sensory Museum and Egyptology
Label: Empire of Signs
Out: September 20, 2019
Cat # / Format: EOS03 / 2xLP | CD | Digital

Album Track List

SIDE A
1. Hair Air
2. Cycle
3. Soushiyou To Shiteiru
4. Garasudama

SIDE B
5. Aa Egypto
6. Skyfish
7. Bananatron
8. Fairy Tale

SIDE C
1. Morn
2. Kodama
3. Ougon No Sara
4. Candy Floss
5. Watashikara Ubawanaide

SIDE D
6. Anatano Yushoku No Tameni
7. Candy (alt.)
8. Sekai No Owari


Artist: Masahiro Sugaya
Title: Horizon, Volume 1
Label: Empire of Signs
Out: October 11, 2019
Cat # / Format: EOS02 / LP | CD | Digital

Track List

Side A
1. Horizon (Intro)
2. Future Green
3. Afternoon of the Appearing FIsh
4. Grain of Sand by the Sea

Side B
1. Straight Line Floating in the Sky
2. Wind Conversation
3. Until the End of the World
4. Horizon (Outro)

Tohji - ele-king

 Tohji のデビュー・ミックステープ、『angel』がリリースされた。

 これまで、Abema TV の番組「ラップスタア誕生」でポエトリーにも近い独特なスタイルで注目を集めた。同時にオリジナル楽曲や海外のトラックメーカーのビートに乗せた曲を SoundCloud で公開し、2018年にはEP「9.97」をリリースした。

 今年は Mall Boyz (Tohji + gummyboy) 名義での“Mall Tape”のヒットで着実に知名度を高め、渋谷WWW でデイタイムの彼自身の主催イベント《Platinum Ade》では、未成年のファンを中心に550人ものクラウドを沸かせた。Tohji は彼自身の人気に加えて、Mall Boyz 周辺のシーンをまとめ上げる風格を帯びてきている。

 現行のメインストリームであるトラップ・エモーショナルなラップから、ジャージークラブやパラパラなどのダンス・ミュージックも器用に乗りこなし、ジャンルに縛られない柔軟なスタイルで幅広い世代のファンを魅了してきた。そんな Tohji による待望のミックステープには、彼のスピードに対する冴えた感覚、滾る若さ、そして彼の詩人としての才を随所に感じられる。

 MURVSAKI のビートとF1の轟音でスタートする本作は、ヘヴィな“Snowboarding” で幕を開ける。得意にしているメロディックなフロウとは打って変わり、“flu feat. Fuji Taito”で魅せたようなひとつのキーでモノトーンに攻める。続いて SoundCloud で先行公開されていた“Rodeo”では、英語詞のラップを披露。日本語と英語を同列のレヴェルで扱うことで、言葉が持つ音の面白みを感じられる一曲だ。また、ここで比肩すべき人物として北野武を挙げるところも、映像的な表現が光る彼のスタイルらしい部分である。

飲み込めハイチュウ、食べてる最中 “HI-CHEW”

 インタールードを挟んで“HI-CHEW”では、最初の2小節で全てを語りつくしてしまうこのラインに痺れた。言葉では一言も触れていないのにもかかわらず、このラインは若さや彼の勢いを全て表現していて、その勢いは、MURVSAKI のパワフルなビートに張り合ってこの曲を特別なものにしている。Loota が参加した“Jetlife”では、Mall Boyz の“Higher”と同じ“空”のモチーフを、今度は空の上からダイナミックに掴んでいる。この2曲はこのミックステープのハイライトだと思う。

 “トウジ負傷”を挟み、終盤ではグライム・プロデューサーとしても知られる Zeph Ellis の制作したビートに乗せて、彼らしいラヴソングである“on my way”、そして再び MURVSAKI によるビターなラヴソング“miss u”で幕を閉じる。

 このミックステープはこれまでのリリースよりもより多面的な Tohji をのぞかせてくれる。そこにはラッパーとしてのセルフボーストだけでなく、彼の優しさや傷のヒリヒリとした生々しさもある。それぞれの面が魅力的であり、彼の類い稀な才能が世界にさらけ出された一枚だ。

Haruomi Hosono - ele-king

 いやはや、半世紀である。細野晴臣がエイプリル・フールとしてデビューを果たしてから50年──はっぴいえんどやYMOはもちろん、ソロとしてもじつに多くの遺産を音楽史にもたらしてきた彼のアニヴァーサリーを祝し、その足跡を追ったドキュメンタリー映画が公開される。タイトルは『NO SMOKING』。近年の活動にも密着し、昨年のワールド・ツアー(高橋幸宏、小山田圭吾、坂本龍一が参加したロンドン公演も含まれる)やヴァン・ダイク・パークス、マック・デマルコらとの交流の様子も映し出されているそうで、音楽とタバコとコーヒーと散歩を愛する細野晴臣の人間性がぎゅっと凝縮された作品になっているとのこと。11月、シネスイッチ銀座、ユーロスペース他にて全国順次公開です。

細野晴臣デビュー50周年記念ドキュメンタリー映画
『NO SMOKING』
公開決定&特報解禁&場面写真解禁!

水原希子、小山田圭吾など著名人も愛してやまない「“細野さん”に会いにいこう。」
音楽家・細野晴臣のこれまでの歴史と知られざる創作活動を収めた特報映像が解禁!

タイトル『NO SMOKING』とは? by細野晴臣

世界中を旅して最も感じたことは、当然のことながらどこもNO SMOKINGだったということです。しかしそれは屋内のこと。外ではほぼ喫煙OK。意外と寛容なところがありました。紐育、倫敦では路上ポイ捨てが常識で、それに馴染めずに自分は携帯灰皿を持ち歩いたのです。それを見た土地の人から「礼儀正しいね、でも吸い殻を清掃する業者の仕事を奪う」ってなことを言われました。なるほどそういうこともあるのか。その携帯灰皿を紐育で紛失し、買い求めようとしたらどこにも売ってません。あれは日本独自のものらしい。仕方なく紙コップを持ち歩きました。日本の路上禁煙は珍しい例だそうです。香港はブロック毎に大きな灰皿が設置してあり、喫煙率が高そう。長旅でホテルに泊まれば、ぼくは1時間毎に外の喫煙所へ出ることになり、それはかなり苦痛なことです。部屋で吸えば高額な罰金を取られますから。世界が歩調を揃えているこの禁煙法には違和感を持ちつつも、逆らうことはできません。ですから人に迷惑がかからないことを念頭に、周囲を見渡しながら喫煙を心がけているわけです。喫煙所さえあれば一安心。こうしてNO SMOKINGの世界でSMOKERを自認するのは、ひょっとするとタバコをやめるよりも意志の強さが必要となります。煙を吐くだけで差別され、否応なく少数派の立場に立たされるのですから。「詭弁を言わずにやめたら?」と言われます。いやいや、20世紀の文化を支援してきた紫煙に、突然愛想をつかすわけにはいかないのです。(細野晴臣)

《細野晴臣 コメント》
自分の映画が出来上がって上映されるとは夢のようですが、同時に悪夢だとも思えます。何故生きている間にこんなことになったのかといえば、今年になって50年も音楽生活を続けてきたせいでしょうか。このような映画を自分で作ることはできません。製作陣の熱意があってこそ実現したものであり、自分も観客のひとりとして見ることになります。しかし到底客観的な評価などできるはずもありません。どうか見た人が少しでも得ることがあるように、と祈るばかりです。

《佐渡岳利監督 コメント》
YMOに衝撃を受けた少年時代から仕事をご一緒させていただく今に至るまで、細野さんを「スゴい!」と思い続けてきました。私と同じ思いの方には、その再確認ができて、初めて細野さんに出会った方には我々と同じ思いになれる映画にしたいなと思います。カッコ良くて、カワいくて、音楽を心から大好きな細野さんに、是非会いにきてください。

〈細野晴臣 ホソノハルオミ〉 プロフィール
1947年東京生まれ。音楽家。1969年「エイプリル・フール」でデビュー。1970年「はっぴいえんど」結成。73年ソロ活動を開始、同時に「ティン・パン・アレー」としても活動。78年「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」を結成、歌謡界での楽曲提供を手掛けプロデューサー、レーベル主宰者としても活動。YMO散開後は、ワールドミュージック、アンビエント・ミュージックを探求、作曲・プロデュース、映画音楽など多岐にわたり活動。2019年デビュー50周年を迎え、3月ファーストソロアルバム「HOSONO HOUSE」を新構築した「HOCHONO HOUSE」をリリース し、6月アメリカ公演、10月4日から東京・六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー・スカイギャラリーにて展覧会「細野観光1969-2019」開催。
https://hosonoharuomi.jp

〈監督:佐渡岳利 サドタケトシ〉 プロフィール
1990年NHK入局。現在はNHKエンタープライズ・エグゼクティブプロデューサー。音楽を中心にエンターテインメント番組を手掛ける。これまでの主な担当番組は「紅白歌合戦」、「MUSIC JAPAN」、「スコラ坂本龍一 音楽の学校」「岩井俊二のMOVIEラボ」「Eダンスアカデミー」など。Perfume初の映画『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』も監督。

【細野晴臣デビュー50周年 〈細野さんに会いに行く〉】
〈NEW ALUBM〉「HOCHONO HOUSE」発売中
〈展覧会〉「細野観光1969-2019」10/4(金)-11/4(月・休)@六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー・スカイ
ギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52F)
〈コンサート〉特別記念公演 11/30(土)、12/1(日)
〈COMPILETED CD〉「HOSONO HARUOMI compiled by HOSHINO GEN」(8月28日(水)発売)
「HOSONO HARUOMI compiled by OYAMADA KEIGO」(9月25日(水)発売)連続リリース!
詳細は⇒hosonoharuomi.jp

出演:細野晴臣
ヴァン・ダイク・パークス 小山田圭吾 坂本龍一 高橋幸宏 マック・デマルコ
水原希子 水原佑果(五十音順)

音楽:細野晴臣
監督:佐渡岳利 プロデューサー:飯田雅裕
製作幹事:朝日新聞社 配給:日活 制作プロダクション:NHKエンタープライズ
(C)2019「NO SMOKING」FILM PARTNERS
HP:hosono-50thmovie.jp
twitter:@hosono_movie50

11月、シネスイッチ銀座、ユーロスペース他全国順次公開

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