「!K7」と一致するもの

Lee "Scratch" Perry - ele-king

 ついに御大が動き出す。まもなくコンピレーション『Pay It All Back Volume 7』を発売する〈ON-U〉から、今度はなんとリー・ペリーがニュー・アルバムをリリースするとの情報が飛び込んできた。エイドリアン・シャーウッドも音の面でがっつり関わっているらしい。タイトルは本名の「Rainford Hugh Perry」からとられていて、どうやら彼のパーソナルな側面も打ち出された作品に仕上がっているようだ。現在、『Pay It All Back Volume 7』にも収録される新曲“African Starship”が公開中。

本名を冠した最新アルバム『RAINFORD』を
〈ON-U SOUND〉から日本先行リリース決定!
新曲&トレーラー映像公開! Tシャツ・セットの発売も決定!

伝説の中の伝説、リー・スクラッチ・ペリーが、盟友エイドリアン・シャーウッドと再びタッグを組み、自らの本名を冠した最新アルバム『Rainford』を4月26日(金)にリリースする。発表とともに、新曲“African Starship”が公開された。本作は、エイドリアン・シャーウッドが操縦桿を握り、ジャマイカ、ブラジル、ロンドンで録音された最新音源が収録される。

Lee “Scratch” Perry - African Starship
https://soundcloud.com/on-u-sound-records/lee-scratch-perry-african-starship/s-q6yZV

トレーラー映像はこちら!
https://youtu.be/QCMLNAUsz0s

これは今までリーが作った中で最も私的なアルバムであると同時に、音楽的発想はすごく新鮮で、こういった作品を完成させられたことを非常に誇りに思っている。 ━━エイドリアン・シャーウッド

レゲエ界のみならず、全音楽史を見渡しても、リー・ペリーが、他に類を見ないほどの偉人であることは、もはや説明不要だろう。巨匠ブライアン・イーノが「録音音楽屈指の天才」と称するグラミー賞プロデューサーであり、キース・リチャーズからデヴィッド・リンチ、ザ・コンゴスからザ・クラッシュ、ジュニア・マーヴィン、ビースティ・ボーイズなど、多くのアーティストのコラボレーターであると同時に、80歳を超えた今もなお、その革新的な姿勢で、多くのファンを魅了する伝説の存在だ。

一方エイドリアン・シャーウッドは、80年代から90年代にかけて確立したそのレフトフィールドなサウンドを通して、UKダブを当時最も先進的なサウンドとして世界に広めると同時に、後の音楽史に多大な影響を及ぼしたプロデューサーとして、40年近く第一線で活躍。ナイン・インチ・ネイルズ、プライマル・スクリーム、ブラー、デペッシュ・モード、ザ・フォール、ルーツ・マヌーヴァといった多様なアーティストたちとコラボレートし、自身の武器であるミキシング・デスクを通して、唯一無二のサウンド・サイエンスを提供してきた。

リーとエイドリアンの友情は1980年代半ばまで遡る。ふたりはアンダーグラウンドのラジオ界における伝説的人物スティーヴ・ベイカーの仲介で出会った。この出会いが、『Time Boom X De Devil Dead』や『From The Secret Laboratory』といった〈On-U〉の傑作や、リーが生き生きとしたヴォーカルをダブ・シンジケートのレコードに吹き込むといったことに繋がる。今回完成した『Rainford』は、2年以上に及ぶ制作の成果で、ふたりが信頼を寄せる一流ミュージシャンたちと共に、三つの国でレコーディングされている。後世に残る作品を作ろうという決意で臨んだ今回、シャーウッドはこの作品をリック・ルービンがジョニー・キャッシュと組んで〈American Recordings〉からリリースした一連の作品になぞらえ、アルバムのタイトルに本名が使われていることからも明らかなように、リーにとって、かつてないほどパーソナルな作品であると共に、間違いなくリーのキャリアの中でも最も力強い作品の一つとなっている。

アルバムの1曲目を飾る“Cxricket On The Moon”の雰囲気あるフィールド・レコーディングとワウペダルを使ったギター、ゴシック調のチェロをあしらった“Let It Rain”、“Makumba Rock”の刻まれ圧縮された管楽セクション、そしてアルバム全般に渡って天のコーラスのように響く、レイヤーが重ねられ注意深くアレンジされたバック・ヴォーカル、本作では、すべてのグルーヴとディテールにふたりの音楽愛が注がれている。アルバムを締めくくる“Autobiography Of The Upsetter”では、1930年代の植民地時代のジャマイカの農園で育った子供時代から世界的スーパースターになるまでの人生のストーリーをリー自身がナレーションで語る。なお、国内盤CDにはナレーション訳が封入される。

リー・スクラッチ・ペリーの最新作『Rainford』は、4月26日(金)に日本先行リリース。国内盤にはボーナストラック“Heaven And Hell”が追加収録され、“Autobiography Of The Upsetter”のナレーション訳を含む解説書が封入される。数量限定でオリジナルTシャツとのセット販売も決定。iTunesでアルバムを予約すると、公開中の“African Starship”がいち早くダウンロードできる。また限定輸入盤LPは、争奪戦必至のゴールド・ヴァイナル仕様となっている。

label: On-U Sound / Beat Records
artist: Lee "Scratch" Perry
title: Rainford
release date: 2019.04.26 FRI ON SALE

国内盤CD BRC-596 ¥2,400+税
国内盤CD+Tシャツ BRC-596T ¥5,500+税
限定盤LP(ゴールドディスク)ONULP144X ¥OPEN

TRACKLISTING
01. Cricket On The Moon
02. Run Evil Spirit
03. Let It Rain
04. House Of Angels
05. Makumba Rock
06. African Starship
07. Kill Them Dreams Money Worshippers
08. Children Of The Light
09. Heaven And Hell (Bonus Track for Japan)
10. Autobiography Of The Upsetter

JH1.FS3 - ele-king

 2019年に突入しても〈Posh Isolation〉が発表したクロアチアン・アムール 『Isa』、〈Alter〉からリリースされたクリストフ・デ・ババロン『Hectic Shakes』、〈Blackest Ever Black〉から出たブラック・レイン「Computer Soul EP」など、世界の表層と内面に蠢くような同時代的無意識を反映したモダンなノイズ・ミュージックのリリースが相次いでいる。
 これらのオルタナティヴなノイズ音響作品は現代世界特有の先の見えない不安を体現しつつも、「音楽であること」に対してことさらに抵抗していないことが特徴である。むしろ積極的に「音楽」と融合しようとすらしている。これは反動ではない。「抵抗への意志」が変化してきたというべきかもしれない。

 〈Posh Isolation〉、〈PAN〉などの先端的レーベルからのリリースで知られる現代ノイズの象徴存在ピュース・マリー(Puce Mary)=フレドリッケ ・ホフマイヤー(Frederikke Hoffmeier)とUSのハードコア・パンク・バンド HOAX の元メンバーで、リーベストート(Liebestod)のジェシー・セーン(Jesse Sane)によるインダストリアル・ノイズ・デュオ JH1.FS3 の新作『Trials And Tribulations』もそのような「ノイズの同時代性」の中に位置づけられる作品だった。リリースは近年、メルツバウ/ヘキサ、コイル、ソノイオなどのアルバムで知られる〈Dais Records〉からというのも興味深い。

 https://jh1fs3.bandcamp.com/album/trials-tribulations

 彼らは2015年に自主レーベルでカセット『Silence.DOM』を送り出し、2017年にはヨアヒム・ノードウォール(Joachim Nordwall)率いる〈iDEAL Recordings〉からアルバム『Loyalty』をリリースした。どこかソワー・エレクション(Sewer Election)的ともいえる幽玄かつ物質的な音のアトモスフィアに耳が惹きつけられた。

 https://jh1fs3.bandcamp.com/album/loyalty

 2017年には自主レーベルでカセット『Allegiance』、2018年には〈iDEAL Recordings〉の20周年記念コンピレーション・アルバム『The Black Book』にも参加したが、アルバムとしては本作『Trials And Tribulations』が約2年ぶりの作品となる。ピュース・マリーはコペンハーゲンの〈Posh Isolation〉から2016年に発表した『The Spiral』、ベルリンの〈PAN〉から2018年にリリースした『The Drought』などが高評価を受け、加えて〈Warp〉からの話題作イヴ・トゥモア『Safe In The Hands Of Love』(2018)への参加など、彼女への注目度が高まっている時期ということを考慮すると非常に重要なリリースに思えるのだが、本アルバムは当然ながら JH1.FS3 の作品であり、それぞれソロ作品と安易な比較は意味はなさないことは言うまでもない。
 では JH1.FS3 的な音とは何か。先にソワー・エレクションと同質な音と書いたが、つまりはスウェーデン的なノイズ音響のムードなのである。いわば冬のイメージだ。冷たく乾いた空気感。さらにはノイズのコンポジションに構成美があるという点も重要である。これは〈Posh Isolation〉、〈PAN〉などから作品を発表するアーティストに共通の傾向で、現代的ノイズ・ミュージックに共通する意識といえる。ノイズ・ミュージックは紛れもなく反=音楽として生まれたものだが、先に書いたように2010年代のノイズ・アーティストにとって「音楽」であることは、ことさらに抵抗すべきものではなくなったのだろう。ノイズの発生とエモーショナルの結晶体としての音楽の融合を恐れていない。
 私は『Trials And Tribulations』のサウンドを聴いて、同時代のモードにアクセスする感覚を強く持った。1曲め“Far From Spring”などは、まさに2019年の「世界」が軋みを上げ唸っているかのようなトラックである。JH1.FS3 はコラボレーションといっても安易な融合というより異質な存在が異なったまま拮抗・存在するような印象だが、“Far From Spring”はジェシー・セーンの硬いノイズ特性とフレドリッケ ・ホフマイヤーの官能的なノイズが拮抗しつつ存在するような曲に仕上がっており、アルバムのオープニングに相応しいトラックであった。
 物音を変調させたサウンドに、ピュース・マリー=フレドリッケ ・ホフマイヤーのポエトリー・リーディングが重なる2曲め“Every Little Detail”もギシギシと軋むようなジェシー・セーン的なノイズ・ドローンを展開する。冒頭2曲で聴き手をアルバムの荒廃したムードの世界観に引きずり込んでいく。
 3曲め“Aleppo In Headlines”と4曲め“The Chaos Of Illusions”はシンプルにして不安なベースやリズムが入り、ノイズ、ドローン化した瀕死のハードコアといった趣の曲が展開し、音楽的な構造もより明確になる。以降、アルバムはこのトーンを基調としながら展開する。
 同時にふたりのノイズが融解していくような感覚が生まれてくる。7曲め“At The Bottom Of The Night”におけるノイズと環境音とヴォイスの高密度なミックスは、JH1.FS3 というユニットが新しいサウンドを発見したかのような印象を持った。ピュース・マリー=フレドリッケ ・ホフマイヤーの声の透明なカーテンのような響きの存在感が際立つ。続く古いラジオ音声のような音にさまざまなノイズの残骸がレイヤーされ、微かに聴こえる声が生々しくエディットされる8曲め“Pipe Talk”にも注目だ。ヴィデオも制作された本トラックは、亡霊のような声とノイズが音響空間の中を動きまわり、さまざまな環境音がまるで粉々に砕かれるように鳴り続ける。

 “Infinite Emptiness Of A Heavy Heart”と“Nice”のラスト2曲ではノイズのむこうに「旋律」がついに姿があらわす。アルバムの終わりを飾る2曲はサウンドもさらに細やかになり、まるで記憶の逆回転のように展開する。

 『Trials And Tribulations』は、エモーショナルなノイズと精密なサウンド・コンポジションによって世界を高密度にスキャンしていくような印象をもたらすアルバムである。激情と冷静の果てにある荒涼としたアフターモダンな地平のごときサウンドとでもいうべきか。
 「不満と不穏の時代」、音楽家はそれぞれの実存をかけて作品を制作している。となれば聴き手もまた安易な分類の誘惑に抗いながら自身の実存をかけて聴取すべきはず。むろん強靭な同時代性ゆえ、数年後に聴くとまた違った印象を持ってしまう作品かもしれないが、変動の時代の渦中にあって、蠢く世界のムードを摂取するように聴取すべきアルバムであることに違いはない。

GRADIS NICE & DJ SCRATCH NICE - ele-king

 音楽じたいに興味があるわけではない。最近とあるレーベルの方からそんな話を聞いた。フリースタイルのバトルはいまも活況を呈しているものの、そこに集うオーディエンスは必ずしも「音楽」を求めているわけではないのだという。彼らの多くはたとえるなら格闘技や手品を楽しむように、ある種の「芸」の競い合い、ショウとしてのラップ・バトルを観賞するにとどまり、「音楽」としてのヒップホップを掘り下げる者は意外に少ないのだそうだ。
 当たり前の話ではあるがヒップホップには、言葉の紡ぎ手だけでなく音の作り手も存在している。いやもちろん、それこそ数千年にわたる詩人や歌人たちの試みからも明らかなように、言葉だって間違いなく音ではあるのだけど、さしあたりリリックとトラックの関係に焦点を絞るなら、今日ではラップの享受者とサウンドの享受者とが分離してしまっているということになる。GRADIS NICE と DJ SCRATCH NICE というNY在住のふたりの「ナイス」なトラックメイカーによるこの初の共同名義のアルバムは、そのようないまの日本の情況に静かに問いを投げかけているように思えてならない。

 ムーディなイントロを聴き終えると、“Days”のずっしりとしたベースと乾いたスネアが飛び込んでくる。それらが織り成すビートの揺らぎと照応するように、昨年ジョイント・アルバム『VIRIDIAN SHOOT』(GRADIS NICE と SCRATCH NICE も参加)を発表した BES と ISSUGI のコンビが抑制のきいた、だが熱気を帯びた日本語の束を吐き出していく。フックの「ライツ」という単語とキックとの絶妙な間合い。耳に残る「“音楽”が好き」という BES のフレーズ。これまでたびたび ISSUGI が「音楽」を強調してきたことを思い出す。彼は本作中もっとも多くフィーチャーされているゲストでもある。
 あるいは“24-7”。さみだれのように降り注ぐピアノ・サンプルと声ネタの間隙を、まるでパルクールのごとく KID FRESINO が跳躍していく。「俺は俺の“音楽”でわからす」という力強い宣言。「ラップ」でも「言葉」でもなく、「音楽」だ。トラックとアカペラのどちらが先に制作されたのかはわからないし、曲によって事情は異なるのだろうけれど、互いが互いを必要不可欠なものとして求め合うこれら序盤の曲たちに、アルバム全体の野心がよくあらわれている。
 どこかシネマティックな前半の雰囲気を引き継ぎつつも、中盤の銃声を機にがらりと風景を変えるダークな“Chef Style Heaven's Door”の C.O.S.A.、あるいは効果的に切り貼りされた音声の断片のあいだを巧みにすり抜けていく“Paper Plane”の仙人掌(『BOY MEETS WORLD』で GRADIS NICE と SCRATCH NICE との相性の良さは証明済み)も、メロウなネタに鋭利な言葉の楔を打ち込んでいく“Blue moon”の JJJ も、それぞれMCの個性は異なっているのに、不思議と統一感がある。それはやはりこのアルバムの主役があくまで GRADIS NICE と SCRATCH NICE というふたりのビートメイカーだからなのだろう。1曲ごとにインタールードが用意された構成も含め、本作には「音楽」としてのヒップホップが横溢している。
 なかでもキラーなのは“No Title”で、揺らぐビートとピアノのループが生み出す心地よさは昨今のロウファイ・ヒップホップの流行ともリンクしているし、ハットやスネアと B.D. の子音がさりげなく錯綜していくさまは、トラックとラップとの融合の最高のあり方を示している。先の仙人掌に呼応したトランプのネタにもニヤリとさせられるが、「余計な争いはいらない/俺はフリースタイルなど知らない」という一句は、ラップがショウとしてばかり消費される現況にたいする異議申し立てだろう。

 どうしてもラッパーのほうに注目が集まってしまいがちなヒップホップという分野において、GRADIS NICE と DJ SCRATCH NICE のデュオは、ラップがトラックと有機的に結びついたときに発生する「音楽」の化学反応をこそ完全に信じきっている。『Twice As Nice』の「Twice」というのも、もちろんまずはふたりのビートメイカーのことなのだろうけれど、それ以上にラップとトラックの関係性を言い表しているように思われてならない。だからこのアルバムはきっと、バトルのスペクタクルよりも「音楽」に惹きつけられるリスナーたち、いわば現代の「はずれ者」たちに寄り添おうとする作品なんだと思う。

Silk Road Assassins - ele-king

 〈Planet Mu〉からUKの Tom E. Vercetti、Lovedr0id、Chemist の3人によるプロジェクト、Silk Road Assassins (以下SRA)による14曲入りデビュー・アルバム『State Of Ruin』がリリースされた。過去にはそれぞれ Tom E. Vercetti と Chemist がグライムをベースとしたロンドンの実験的なレーベル〈Coyote Records〉からリリースを重ね、また Mr. Mitch や Rabit、Last Japan といったアーティストの楽曲のリミックスを手掛けてきた。SRA の作風は、グライム、トラップ、ドリル・ミュージックのインストゥルメンタルに込められた冷たさを取り出し、トランシーなパッドと混ぜ合わせるというスタイルで、Clams Casino 以降の Chillwave やそれらを発展させた「Wave」というジャンルとの共通した質感でもある。

 14曲のインストゥルメンタルを聴き通して思い浮かぶのは、アルバム・タイトルのように人気のない「廃墟」のイメージだ。昔は存在していたのにいまでは人間が「不在である」ことを強く感じさせる空間のイメージ。それは特にラップ・ミュージックのフォーマットを用いていることにある。アルバムの序盤は特にメロディではなく冷たいシンセパッドを核とした構成となっており、より強く「声の不在」を感じさせる。同じく〈Planet Mu〉から Kuedo が参加している“Split Matter”では、女性風の合成音声のように聞こえる音が使われている。またフルートやベルといった音色も打ち込みでしか出せないような音で、むき出しな無機質さをたたえている。UKドリルらしいハネ感が際立つ“Familiars”では、ハードコアやガバを思わせるリフがドリルラッパーの代わりにそのテンションを発散、アルバム中盤“Bloom” “Pulling The String”でダウンテンポで美しいメロディを挟み、WWWINGS が参加した“Shadow Realm”のグリッチやノイズの嵐、そして本作のハイライトとなる“Taste Of Metal”へと流れ込んでいく。“Taste Of Metal”にはMCの K9 を迎えた別ヴァージョンが存在するが、本作に収録されているのは声なしのインストゥルメンタルである。“Saint”からラスト・ソング“Blink”までの4曲はまた一転して、メロディックなシーケンスとパーカッションとしての銃声、消防車・警察車両のサイレンの不穏な音が重なりひとつの世界観を作り上げている。

 SRA の3人がゲーム音楽を制作していることは、クラブ・ミュージックとゲーム音楽の大きな結節点であるベリアル(Burial)の『Untrue』を思い起こさせる。Burial はUKガラージのリズムを、『メタルギアソリッド』の主人公が移動するときに持っている武器が「カチャカチャ」と立てる音をサンプリングし、パーカッションとして組み立てた。マーク・フィッシャーによれば「未来の不在に取り憑かれた時代精神を象徴した」サウンドは、仮想現実という「別の世界」からやってきたと言える。そしてここで取り上げたいのは、ベリアルがサンプリングしたように、ゲームにおける音の役割はBGMから広がり、いまでは足音や空調の音、風の音といった「リアリティ」(現実らしさ)を「シミュレーション」し構成することにあるということだ。もともとはプレイヤーの2Dの背景であったはずのゲーム内の空間は3D・4Dとなって情報量と自由度を増し、もはやゲームのプレイヤー・主人公とはパラレルで自律した世界が無限に、そして事前に演算され続ける。こうしたある種の「自然」を表現した作品にブレント・ワタナベの「サンアンドレアス・ストリーミング・ディア・カム」がある*。この作品はプレイヤーと直接関わらない一匹の鹿のキャラクターがAIによってゲーム空間を自由に動き回る様を録画している。その様子は「人間(プレイヤー)と関わらない世界」という意味での世界や現実が、こちら側の現実と同じようにゲームの中においても確かに存在していることを直感的に表現している。

 私たちがFPSゲームをするとき、スクリーン、あるいはVRヘッドセットをひとつの「窓」にしてもうひとつの完全に自律した世界を覗くことになる。そのときゲームは視覚と同時に聴覚も奪ってしまうことで完全に別の世界に没入することができる。SRA のアルバムを聴きながら、自分と音楽をつなぐ「声」は不在であり、そこにプレイヤー、あるいは主体としての「人間」が奇妙に取り除かれている。主人公不在のゲーム的リアリティが耳から流れ込み、「私」が目で追いかける風景と二重写しとなる。このアルバムを聴き思い浮かぶ情景は歪んだ現実感をもって私たちに迫ってくる。

* 現在初台ICCで開催されている「イン・ア・ゲームスケープ ヴィデオ・ゲームの風景,リアリティ,物語,自我」で3/10まで上映中。 https://www.ntticc.or.jp/ja/exhibitions/2018/in-a-gamescape/

ブラック・クランズマン - ele-king

 エミネムの伝記映画『8マイル』(02)で自堕落な母親役を務めていたのはキム・ベイシンガーだったけれど、彼女はスパイク・リーの『ドゥ・ザ・ライト・シング』(89)が公開された年に、同作がアカデミー賞を取れないのはおかしいとステージで発言し、そのことがヒップホップ・コミュニティからの信用を得た結果のキャスティングではなかったかと僕は勝手に推測している。スパイク・リーはその後もアカデミー賞にはかすりもせず、ついに2016年には同賞をボイコット、その翌年に俊英の黒人監督バリー・ジェンキンスが『ムーンライト』で作品賞を受賞したことはいまだ記憶に新しい。そして、ついに今年、スパイク・リーが初めてアカデミー賞で脚本賞を得ることになったものの、作品賞が『グリーンブック』だったことに抗議して会場から出て行こうとしたとも伝えられている。『ドゥ・ザ・ライト・シング』がスルーだった年に作品賞を受賞したのが『ドライヴィング・ミス・デイジー』で、『グリーンブック』が似たような設定の話だったことも彼を憤慨させた一因となったのだろう。リーはしかし、受賞スピーチで400年の歴史を振り返り、感謝の意を表した上で「レッツ・ドゥ・ザ・ライト・シング(正しいことをしよう)!」を連呼し、会場の感動を誘う。今回の受賞に関して世界中の反応があまりにも芳しくない『グリーンブック』は登場人物のモデルとされたドン・シャーリーの遺族からも「ウソだらけ」と内容にクレームが入っているらしく、『帰ってきたMr.ダマー バカMAX!』(14)がヒドいを通り越していたピーター・ファレリーにはもうシリアスにも従来のコメディ路線にも道はなく、次はよほどのことを考えなければ未来はなさそうな気配。不思議なことに昨日のNHKニュースもスパイク・リーどころか『グリーンブック』もほとんどスルーで、外国語部門及び監督賞のアルフォンス・キュアロン『ローマ』ばかりが取り上げられていたこと。壁の建設を進めようとするトランプにハリウッドが反対の意志を表明するなら、去年のデル・トロに続いてメキシコ系のキュアロンに作品賞をあげた方が確実なメッセージになったことは確かで、イラク戦争に抗議して『ハートロッカー』を受賞させたハリウッドはどこへ行ってしまったのだろうかという感じ。

 スパイク・リーの新作がそして『ブラック・クランズマン(BLACKkKLANSMAN)』。カンヌでは『万引き家族』に抑えられてグランプリに甘んじた政治サスペンスである。プロデューサーが『ゲット・アウト』を成功させたキー&ピールのジョーダン・ピールだったので、オファーを受けた当初、リーはコメディ映画だとばっかり思っていたそうだけれど、僕もかつてKKKに加入した黒人がいたとか、そのようなアイデンティティ・クライシスを扱った話だとばかり思っていた(キー&ピールはアメリカではコメディアンとして大成功した二人組で、『ゲット・アウト』はむしろイレギュラーな方向性を示した作品。楳図かずおが『まことちゃん』から『おろち』に乗り換えたというか)。オープニングは『風と共に去りぬ』。続いてアレック・ボールドウィン演じるボーリガード博士が人種隔離を強く訴えるスピーチ。ボールドウィンは現在、『サタデー・ナイト・ライヴ』で延々とドナルド・トランプのモノマネを担当し、トランプ本人にツイッターで攻撃されているコメディアン。ダブル・ミーニングというにはあまりにあからさまな演出である。そして、デンゼル・ワシントンの息子、ジョン・デヴィッド・ワシントン演じるロン・ストールワースが警察の面接を受け、コロラド州コロラドスプリングスに黒人刑事が誕生するところからやっと話は始まる。実在の人物であり、原作は彼が後に書き下ろした回想録。ストールワース刑事はストークリー・カーマイケル改めクワメ・ツレの演説会に潜入し、黒人たちが暴動を起こす可能性は低いと判断し、その過程でローラ・ハリアー演じる活動家のパトリス・デュマスと恋に落ちる。町山智浩の解説文によるとデュマスのモデルはアンジェラ・デイヴィスだという。確かにそんな風貌である。ストールワース刑事と同僚のフリップ・ジマーマン(アダム・ドライヴァー)は黒人たちよりもむしろ白人の急進団体であるKKKを危険視するようになり、ストールワースが電話でKKKに入会を申し込み、ユダヤ人であるジマーマン刑事が支部に潜り込むことになる。ここからは誰がどう観ても、実際に潜入捜査を続けるジマーマン刑事が主役。ストールワースとジマーマンはKKKの動きを監視し、その構成員たちを調べていく。そして、ストールワースが入会したことを祝うためにKKKの最高幹部デヴィッド・デューク(トファー・グレイス)が街にやってくることに……。

 ここ数年、シカゴで起きている抗争をミュージカル仕立てで描いたスパイク・リーの『シャイラク』(15)はとんでもない駄作だった。リーにはチーフ・キーフたちの周辺で起きていることが理解できていないし、同作がシカゴ市長によって上映中止に追い込まれたのも致し方ないことだった。それ以前に『25時』(02)も『セントアンナの奇跡』(08)も絶対にリーが取らなければならなかった作品だとは思えず、『オールドボーイ』(13)のリメイクを除いて2010年代に入ってから5作も日本未公開が続いているということはそれだけリーの力量が落ちたことの証しなのだろう。実際、『ブラック・クランズマン』もサスペンスとしてはやや盛り上がりに欠け、見せ場がしっかりとつくられた作品には思えなかった。『ドゥ・ザ・ライト・シング』と比較するのは酷かもしれないけれど、身体性が著しく後退し、頭だけでつくっている場面が多いことも残念なところではある。しかしというか、ひとつの問題に絞り切れないのもリーのいいところで、ひたすら正義を追求するだけではなく、これまでの作品でもそうであったように黒人と白人が会話を途切らせないことがそのまま見せ場になっていたと考えることも可能ではある(話し合いがリーにとってどれだけ重要なことかはバスの中で会話が続くだけの『ゲット・オン・ザ・バス』(96)に最もよく表れている)。KKKが『国民の創生』を上映しながら憎悪を掻き立てていく一方で、黒人たちの集会でも同じように老人(ハリー・ベラフォンテ)の話に耳を傾けながら白人への憎しみを募らせていく場面はいわばどっちもどっちとして描かれていたのに対し、それよりも黒人と白人が協力して、この場合は警察が団結してことに当たれることがリーにとっては大事なファクターをなしていたのだろう。最後の最後までそれは理想的な展開を遂げ、いささか食い足りないぐらいであった。あるいは言いたいことのすべてを作品に昇華できなかったリーはその思い余る念を実際のニュース映像という形で最後に補足する。2017年にヴァージニア州シャーロッツビルで起きた白人至上主義者たちとそれに反対する人たちの衝突が延々と映し出され、冒頭で仕掛けたようなアレック・ボールドウィンにトランプを重ね合わせるというギミックへと転化する余裕もなく、その映像はある意味では映画として成立させた作品を否定しかねないほど巨大なる現実としてのしかかってくる。そして、その映像の中にトファー・グレイスが演じていたKKKの最高幹部デヴィッド・デュークの姿があり、本人がいまだ健在であることを示された時に信じられないほどの虚無感がもたらされる。少なくとも僕にとって『ブラック・クランズマン』はすべてがそのための伏線であったかのように感じられるほどだった。

映画『ブラック・クランズマン』予告編

What’s the point of indie rock? - ele-king

 2019年になったいま、日本のなかで、あるいは世界の他の国々のなかで生まれている、もっとも刺激的で、また文化的な意義をもった音楽を思い浮かべてみるとき、ただちに気づくのは、どうやらそこにインディー・ロックのバンドは入ってきそうにないということだ。ヒップ・ホップやダンス・ミュージック、あるいはアイドル音楽でさえもがいま、定期的に、誰も予想していなかったような新しいアイデアを、この世界にたいしてはっきりと表明している。そのいっぽうでインディー・ロックは(あるいはより一般的にいってロック・ミュージック全般は)、刺激的で文化的な音楽の場から引きこもってしまい、ジャズに似たポジションを占めることになっている。つまりそれは、ニッチな世界のなかでは実験的な可能性を残しているものの、そうした世界を超えた先での影響は断片的なものにとどまり、より文化的な意義をもった音楽の形式によって、たいていの場合ノスタルジーに溢れた楽観的な雰囲気とともに参照されたりサンプリングされたりするという、そんなポジジョンに置かれているわけである。
 
 2018年におけるインディー・ロックのハイライトを振りかえってみるとそこには、1990年代の影が覆いかぶさっているのが、ありありと見てとれる。そこにはヨ・ラ・テンゴ、ザ・ブリーダーズ、ガイデッド・バイ・ヴォイシズ、クリスティン・ハーシュ、ロウ、ジェフ・トゥイーディー、そしてスティーヴン・マルクマスといった、いずれもその当時に高い評価を受けたアルバムをリリースしているバンドが登場してくるわけである。そうしたアーティストたちの多くは、ブライアン・イーノが「農夫たち farmers」と分類した者たちである。彼らは同じ土地の一角で何年も何年も仕事を続け、その土地を豊かで生産的なものに維持してはいる。だが彼らが新たな領域へ踏みこむことはけっして起こらない。インディー・ロック界には多くの農夫たちがいるが、カウボーイはごくわずかしかいないのである。
 
 このことは、そうしたアーティストたちが間違っているということを意味するわけではないし、まして彼らが、否定的な意味でノスタルジックだということ意味するわけでもない。彼らがいかにザ・フーやチープ・トリックや、その他の過去の古典的なロックを参照しているかを聴いてみればわかることだが、ガイデッド・バイ・ヴォイシズは、あからさまにノスタルジックなバンドである。だが彼らがそうした要素を操作するやり方は同時に、みずからを記念碑的な何かへと変えようとするロックのもつ傾向を、まったく意に介すことのないものだ。ガイデッド・バイ・ヴォイシズの素晴らしく多産なソングライターであるロバート・ポラードにとって、ロックはつねに動きつづけるものであり、そしてそのバンド名にもあるとおり、ひとりの「ガイド」としての彼がもっている理念は、まったくラディカルなものでありつづけている。すなわち、ロックの曲を生みだすことなど簡単なことであり、誰にだって可能なことなのだというわけだ。

 それじたい皮肉な話だが、ノスタルジックなものはまた、われわれが過去に夢見ていた未来のヴィジョンを想起させるものでもある。ヨ・ラ・テンゴの『ゼアズ・ア・ライオット・ゴーイング・オン』のいくつかの曲は、クラウトロックのもつ流れるようでモータリックな未来主義をふたたび取りあげていながら、しかしどこかで、物悲しい雰囲気に取り憑かれてもいる。クラウトロックのような音楽が当初われわれに約束していた未来に、いったい何が起こってしまったというのだろうか。やはり90年代からの難民のひとりである音楽プロデューサーのジェフ・バーロウも、ビークの『>>>』において、ヨ・ラ・テンゴと同じような領域を探求している。じっさいのところもはやロックとは見なせないほどに、進歩的で実験的なロックやエレクトロニカの領域へと進んでいるといいうるこのアルバムの特徴は、次のような重要な問いを喚起するものだ。すなわち、インディー・ロックがいままでとは異なった何かをやるとすぐに、別のカテゴリーに分類されてしまうのだとしたら、ではいったいどうやってそれは、いまより以上の何かに変化することを望んだらいいというのだろうか。 

 2018年のもっとも優れたインディー・ロックのアルバムであり、ことによればその年のベスト・アルバムともいえるものだったのは、ロウの『ダブル・ネガティヴ』だった。そのなかに集められた曲はどれも美しく、たがいに絡みあい、歪曲しあい、引き裂かれあっている。この作品は、いっぽうで幻惑的で、スリリングで、爆発的な斬新さをもつものでありながら、同時に、ロウのその長いキャリアのなかの他のどんな作品より、巧妙かつ控えめなものになりえている。われわれが習慣的に「ロック」と呼んでいるものからあまりにも遠ざかっているがゆえに、にわかには認めがたく、別の何かに分類したくもなるが、しかしにもかかわらず彼らの作品は、その核心部分においてひとつのロック・アルバムであり、ひじょうに洗練された美しいものとなっているのである。

 いったいどうすればインディー・ロックが、2019年において意義のあるものとなるのかを理解するためには、ここであらためて、それがどのようなものとして開始されたのかについて考えてみるべきだろう。おそらくそこには、それぞれに重要なものといいうる三つの点が存在している。

 第一に、インディー・ロックはメインストリームなポップ・カルチャーから距離を取り、そのなかに見られる強迫観念的で弱い者いじめ的な消費にたいするトップダウン式の命令から距離を取った空間を提供するものだ、という点が挙げられる。ポップ・カルチャーはひとを疲れさせるものである。それがかたちづくっている機械はすべてを飲みこみ、搾取して、その金属製の顎のなかに入ってくるありとあらゆるものを抜け殻に変えて吐きだしていく。そうしたものにたいし、1980年代におけるその誕生の時点でインディー・ロックは、(それじたい不完全で、多くの場合困難を抱えたものではあったわけだが)オルタナティヴなインフラや、理念や、美学をつくりだすことによって、パンクが中断してしまった空間をふたたび取りあげていたのわけである。

 そして第二に挙げられるのは、メインストリームなものから離れた世界は、これまでにないような魅力をもつオルタナティヴな存在でなくてはならない、という点である。インディー・ロックは、万人受けするようなやり方で物事を組織する必要はないのだということを示すものでなくてはならない。そしてだからこそ問題は、音楽さえあればそれだけでいいということにはならないわけだ。

 ミュージシャンたちがじっさいに演奏する音と同じくらいに、音以外の部分でのその表現や、それと分かるような目印がとなるものが、音楽にとって重要な要素となってくる。他のどんなミュージシャンよりもデヴィッド・ボウイが今日的な意義を保ったままであるその理由の大部分は、ジェンダー規範がことさらに保守的なものだった時代のなかにあって、男性性の再定義にたいし、彼がどれほど寄与したかという点にこそある。2018年の年末アンケートのなかで、多くの評者がソフィーやイヴ・トゥモアのようなジェンダーの揺らいだエレクトロニックなエイリアンの出現を賛美しているのを見ればわかるとおり、ボウイの遺産はいまやあきらかに、ロックというジャンルの範囲を超えて広がっている。

 インディー・ロックが1980年代に自立したものとなっていったのは、パンクのDIYという理念や、それがもっていた場所や時間についての現代的な感覚が、1960年代や70年代の音楽をノスタルジックなかたちでふたたびじぶんたちのものにすることと融合するなかでのことだった。ザ・スミスなどというバンド名のもつ、キッチンシンク派的な単調さと、モリッシーのグラジオラスの花にも例えられる波打つような派手な動きや、ジョニー・マーのリズミカルなギターの旋律との対比は、1980年代のマンチェスターにおける灰色をした郊外の団地の只中で、美しいものを熱望する憂鬱さをあらわしている。その音楽とイメージによって、それまで誰にも承認されることのないままに過ごしてきた者たちによってじっさいに生きられている現実と、彼らのもつロマンチックなものにたいする渇望を同時に表現することによって、ザ・スミスは、以上のような点をはっきりと象徴するバンドだったといえる。

 欧米では、ロックはだんだんと、白人による伝統的で文化的な庶民的表現にすぎないものとして、安易なかたちで見放されていくことになる。そんななかでインディー・ロックも、白人のミドルクラスによる庶民の表現という曖昧な役割を担っていくことになる。UKのエンド・オブ・ザ・ロードのようなフェスにひしめいている溢れるような白い顔の群れがはっきりと示しているように、こうしたジャンルの音楽は、だんだんと文化や人種が混淆したものになっている国家の多様性にたいして語りかける言葉をもってはいない。こうした問題は部分的に、有色人種のアーティストたちーーとくに黒人のアーティストたちーーが、インディー・ロックの分類の外に置かれ、「ブラック・ミュージック」として分類されるジャンルのなかに組みいれられているからだといえる。LAを拠点にしたシンガーソングライターであるモーゼス・サムニーの音楽はたとえば、両者からの影響によって特徴づけられるものであるにもかかわらず、ほとんどの場合インディー・ロックというよりソウルと呼ばれている。パンクの遺産を非白人アーティストのために解放することを目指したロンドンのデコロナイズ・フェスティヴァルによって、ロックの白人性にたいするバックラッシュは進んでいる。こうした傾向はやがて、トラッシュ・キットやビッグ・ジョニーのようなバンドを介して、インディー・ロックのなかにも広がっていくはずである。

 そのアルバム「ビー・ザ・カウボーイ」を多くのライターが2018年のベストにあげていた日系アメリカ人のシンガーソングライターであるミツキの人気は、彼女の音楽的才能だけではなく、そのアイデンティティーにも由来している。彼女のよくできたギター・ロックのなかには、ことさらにラディカルなところがあるわけではない。だがその音楽が、斬新でユーモアがありつつ、感情をさらけだすような正直さでじぶんじしんを表現するスキルをもった、非白人で女性のアーティストの視点から生みだされているという事実によって彼女は、いまのアメリカをかたちづくっているように見える攻撃的な白人男性たちからなる世界にうんざりしたオーディエンスに訴えかける声となっているのである。ミツキはじしんの弱さをさらけだして表現していくことを恐れないが、いっぽうでその歌詞は、ある意味でひとを元気づけるような、そんな世界観を提示するものでもある。クリスティン・ハーシュによる素晴らしいアルバム「ポッシブル・ダスト・クラウズ」のなかに聞かれる、自己を引き裂くような1990年代のジェネレーションXに特有のパニック発作のような調子と比べると、ミツキは、希望のかすかな光や慰めを提示している。そしてそうしたものこそが彼女の世界を、よりぞっとするような時代のなかで育ってきたファンたちにたいしてアピールする場所へと変えているわけである。

 根本的に白人的かつ男性的なものとしてのインディー・ロックにたいする批判は、たとえば日本のような、アジアの国の音楽を取りあげる場合、そのまま当てはまるものではない。もし西洋のオーディエンスが包括性や異種混淆性をいまよりももっと評価するようになっていけば、きっと日本は世界にたいして、多くのものを提示することができるようになるはずだ。だが、エレクトロニカやポップ・ミュージックの界隈では、じぶんたちが何をすべきなのかが自覚的に推し進められている傾向にある一方で、日本のインディー・ロックはいまだに多くの点で、イギリスやアメリカの音楽に頭の上がらない状態にあり、じぶんたちが崇める欧米のアイドルたちの美学を模倣し、それに適応することに夢中になっている。

 2018年の日本でリリースされたなかで、もっとも優れたインディー・ロックのアルバムはおそらく、ルビー・スパークスによるセルフタイトル・アルバムだろう。この作品は、まるで1995年のUKで製作されたかのような音を聴かせるものなのだが、いずれにしても美しく、魅力あるアルバムである。同様のことは、彼らと同じシーンにいる仲間たち、たとえば去年の夏にパンキッシュなシングル曲「バッド・キックス」をリリースした活きのいいバンドであるDYGLについても当てはまる。どちらも日本の音楽シーンにエキゾチックで斬新な何かをもたらしてはいるが、それは彼らがその音楽によって、当の欧米それじたいのなかでもはや失われてしまった欧米らしさを、わずかに漂わせているからだ。いっぽうで、インディー・ロックの周辺に位置しているクラン・アイリーンやクジャクのようなバンドは、サイケデリック・ロックやノイズ・ロックといった日本に固有の力強い伝統から多くの要素を引き出すことによって、Jポップのメインストリームにたいするオルタナティブを、よりはっきりと日本文化のなかに根づいたかたちで提示しているが、しかしそうしたバンドはいまだ、ニッチななかでもさらにニッチな場所に留まっている。

 インディー・ロックが日本のなかで、欧米の音楽と関係しないままでは立ち行かないような状態にある理由のひとつは、おそらく、それがもつ三つ目の価値に関連しているはずである。インディー・ロックがメインストリームから離れた空間を提供するものであり、そしてそうした場所が物事のあり方にたいする魅力的なオルタナティブをもたらすものなのだとしたら、定義上それは、いずれにしろ何かしらのレヴェルで、メインストリームなものと敵対するような関係のなかに入っていくことになる。いうまでもなく、日本のアーティストたちのなかで、あえてそうした関係のなかに入っていこうとする者たちは、ほとんど見られない。ルビー・スパークスやDYGLのようなバンドがやっているのは、Jポップ的なメインストリームなものに肩をすくめてみせることであり、そしてその上で、海外に慰めを求めることだ。だが、日本におけるインディー・ロックが、たんに「メジャーに行くほど有名ではないロック・ミュージック」以上の何かを意味するために必要なのは、お行儀のよさや寛容さを捨てさることであり、みずからを、支配的な自国内のポップ・カルチャーにたいするより明確な批判へと変えていくことなのである。

 より露骨にいっておこう。ロバート・ポラードがいっていることにもかかわらず、日本の場合であれ、他のどこかの場合であれ、インディー・ロックというものはもはや、わざわざそれを生みだそうと思うような音楽ではないのだ。いまの人々の生活のなかには、グループになって集まって曲を作ったり、練習したりするような自由な時間はない。みなリハーサルやレコーディングのために使う金をもっていないし、(とくに日本の場合に見られることだが)自腹を切ってライブをするのに使うような金をもっていない。いま現在でもっとも取っつきやすく、だからこそすぐに新たな才能を吸収していくことにもなる音楽は、じぶんの部屋のラップトップ上で、ひとりで聞くことのできるような音楽なのである。

 インディー・ロックはいま、1980年代や90年代におけるその全盛期にあったような意義を失ってしまっている。だが歴史にその身を委ねる必要などないのだ。アーティストたちがじぶんたちを取りまく世界に目覚め、そこに介入し、それに立ちむかい、それを批判して、その世界から疎外されている人々のありようを表現し、そして失われた過去の夢をふたたび取りあげることによって、あるいはじぶんたちじしんのまったく新しい何かを鍛えあげることによって、オルタナティヴなものを作りだすために動きだすことができるなら、インディー・ロックはきっと、人々との繋がりを保ちつづけ、彼らにたいし、ホームと呼べるような音楽的な空間をもたらすことになるはずである。 

What's the point of indie rock?

text : Ian F. Martin

The year is 2019. Try to think of the most exciting, culturally relevant music happening in Japan or the rest of the world is right now and the chances are it's not an indie rock band you're thinking of. Hip hop, dance music, pop, and even idol music regularly throw new and unexpected ideas out into the world. Meanwhile, indie rock (and rock music more generally) has retreated from the conversation and now occupies a position similar to jazz, where experimentation is possible within its niche, but its influence beyond that is fragmentary, referenced and sampled with what is often a wistful air of nostalgia by more culturally relevant musical forms.

Looking back over the indie rock highlights of 2018, the shadow of the 1990s looms long, with Yo La Tengo, The Breeders, Guided By Voices, Kristin Hersh, Low, Jeff Tweedy and Stephen Malkmus all releasing well-regarded albums. Many of these artists are what what Brian Eno would categorise as “farmers”, working the same patch of land year after year, keeping it fertile and productive but never really raiding new territory. Indie rock has many farmers and very few cowboys.

That doesn't make these artists wrong or even nostalgic in a negative sense. Guided By Voices are openly nostalgic in how they hearken back to The Who, Cheap Trick and other classic rock of the past, but the way they operate is also disdainful of rock's tendency to turn itself into a monument. Rock, for GBV's ridiculously prolific man songwriter Robert Pollard, is a constantly moving thing, and his guiding ethos remains a radical one: that writing rock songs is easy and anyone can do it.

It's ironic too, perhaps, but nostalgia can also remind us of future visions that we dreamed of in the past. Several tracks on Yo La Tengo's “There's A Riot Going On” revisit the sleek, motorik futurism of krautrock, but they're haunted by an air of melancholy. What happened to the future that this music originally promised us? Fellow '90s refugee Geoff Barrow explores similar territory on Beak's “>>>”, an album that some might argue pushes so far into the territory of progressive or experimental rock and electronica that it can't really be considered indie rock anymore. This raises the important question that if indie rock is immediately recategorised as soon as it does something different, how can it ever hope to become more than it is now?

The best indie rock album of 2018, and possibly the best album of the year full stop, was Low's “Double Negative” – an album that takes a collection of beautiful songs and twists, contorts and tears them apart. It manages to be as subtle and understated as anything Low have done in their long career, while at the same time dazzling, thrilling, explosively fresh. It's so far from what we conventionally think of as “rock” that it's tempting to discount or reclassify it, but it's nevertheless a rock album at its core, and it's an exquisitely beautiful one.

To understand how indie rock can be relevant in 2019, it's worth taking some time to think about what indie rock is for to begin with. There are perhaps three things it can do to be of value.

The first is that it provides a space away from mainstream pop culture and its obsessive, bullying, top-down dictates to consume. Pop culture is exhausting: it's a machine that eats up, grins down and spits out the empty husks of all who enter its metal jaws. At its birth in the 1980s, indie rock picked up where punk left off by building an alternative (albeit imperfect and often troublesome in its own way) infrastructure, ethos and aesthetic.

Secondly, this world away from the mainstream needs to be an attractive alternative. It needs to show that things don't have to be the way they are in a way that feels relevant to people, and for that, music alone isn't always going to be enough.

Music is just as much about representation and identification as it about the actual sunds the musicians are making. The reason David Bowie, more than any other rock musician, remains relevant is in large part because of how he helped redefine masculinity in an age where gender norms were particularly conservative. With 2018 year-end critics' polls lauding gender-fluid electronic alien visitations like Sophie and Yves Tumor, it's clear that in many ways Bowie's legacy has outrun the rock genre.

When indie rock began to come of age in the 1980s, it did so by wedding the DIY ethos and contempory sense of place and time of punk to a nostalgic reappropriation of the music of the 1960s and '70s. The contrast of the kitchen-sink drabness of a band name like The Smiths with Morrissey's gladioli-waving camp and Johnny Marr's chiming guitar lines expressed a melancholy longing for beauty amid the grey housing estates and suburbs of 1980s Manchester. The Smiths meant such a lot because the music and image articulated both the lived reality and the romantic aspirations of people who had never felt recognised before.

In the West, rock is increasingly easily dismissed as merely the traditional cultural folk expression of white people, with indie rock taking the even more dubious role of folk expression of the white middle classes. The sea of white faces that populates indie music events like the UK's End of the Road festival makes it clear that the music doesn't speak to the diversity of an increasingly culturally and racially heterogeneous nation. Part of the problem is that people of colour – especially black artists – are often classified out of indie rock and into genres coded as “black music”. The music of LA-based singer-songwriter Moses Sumney is more often described as soul than indie rock, despite being informed by influences of both. There has been a backlash to rock's whiteness, with London's Decolonise festival seeking to reclaim the legacy of punk for nonwhite artists, and this may yet spill over into indie rock via bands like Trash Kit and Big Joanie.

The popularity of Japanese-American singer-songwriter Mitski, whose album “Be the Cowboy” topped many writers' 2018 polls, owes as much to her identity as it does to her talent as a musician. While there's nothing particularly radical about her well-crafted guitar rock, the fact that her music comes from the perspetive of a nonwhite, female artist combined with her skill at articulating herself in a fresh, funny and emotionally honest way makes her a powerful voice for audiences tired of the aggressively white, male world America seems to have become. While she is unafraid of dwelling on her own frailties, Mitski's lyrics also offer a worldview that is on some level empowering. Compared with the self-lacerating, 1990s Generation X panic attack of Kristin Hersh's excellent “Possible Dust Clouds”, Mitski offers a glimmer of hope and comfort that makes her world an appealing place to fans growing up in these more frightening times.

The critique of indie rock as being something fundamentally white and male is less straightforward when we look at music in an Asian nation like Japan. If Western audiences are coming to value inclusiveness and heterogeneity more, Japan could have a lot to offer the world. However, electronic and pop-adjacent acts are still driving the agenda, while Japanese indie rock is still in many ways tied to the apron strings of British and American music, its artists hung up on trying to imitate and match the aesthetics of their Western idols.

Probably the best Japanese indie rock album of 2018 was Luby Sparks' self-titled debut album – a beautiful and charming record that nonetheless sounds like it could have been made in the UK in 1995. The same is true of fellow travellers like the effervescent DYGL, who dropped the punkish “Bad Kicks” single last summer. These are both bands who bring something exotic and fresh to the music scene in Japan, but at the expense of offering the West little musically that it doesn't already have in spades. Drawing more from Japan's own powerful tradition of psychedelia and noise-rock, bands on the fringes of indie rock like Klan Aileen and Qujaku offer an alternative to the J-Pop mainstream more recognisably rooted in Japanese music culture, but bands like these remain as yet very much a niche within a niche.

One reason indie rock might struggle in Japan without an umbilical relationship with Western music could be related the third aspect of indie rock's value. If indie rock is to offer a space away from the mainstream, and if that place is to offer an attractive alternative to the way things are, it is by definition entering into what is, at least on some level, an antagonistic relationship with the mainstream. Needless to say, this is something few artists in Japan seem willing to do. What the likes of Luby Sparks and DYGL do is shrug at the J-Pop mainstream and look for comfort overseas, but what indie rock in Japan needs if it is to ever mean anything more than simply “rock music that's not popular enough to be on a major” is to become less polite, more intolerant, and let itself become a more explicit critique of the dominant domestic pop culture.

More broadly, despite what someone like Robert Pollard says, indie rock in Japan and elsewhere is no longer a particularly accessible form of music to make. People's lives don't have the free time to gather as a group to write and practice. People don't have the money to spend on rehearsals, recording and (in Japan) pay-to-play live shows. The most accessible music, and therefore the kind that absorbs new talent most readily, is the music that you can make alone in your room on a laptop.

Indie rock is clearly not as relevant as it was in its heyday in the 1980s and '90s, but it needn't consign itself completely to history. If artists can wake up to the world around them, engage with it, confront it, criticise it, articulate people's alienation from it and work to build alternatives – whether reviving lost dreams from the past or forging fresh ones of their own – indie rock will continue to connect with people and give them a musical space they can call home.

Fat White Family - ele-king

 これは次世代のスリーフォード・モッズか!? ジャズだけでなくロックも活況を呈するサウス・ロンドンから、またも強烈なバンドが現れた……といってもすでに2枚のアルバムを発表しているので新人というわけではないのだけれど、今回はなんとあの〈Domino〉からの新作ということで、期待せずにはいられない。「太った白人家族」なるバンド名からして皮肉が効いているし、ネオナチを諷刺したようなビデオの数々もインパクト大。過去には“I Am Mark E Smith”なんて曲も発表している(ちなみに前作収録の“Whitest Boy On The Beach”は『T2 トレインスポッティング』でも使用された)。ガッツあふれる彼らの前途に期待しよう。

FAT WHITE FAMILY

群雄割拠のサウス・ロンドンから真打登場!
シェイムからゴート・ガールまでが憧れる史上最凶のカリスマ
〈Domino〉移籍第1弾アルバム発売決定!


Photo: Ben Graville

キング・クルール、トム・ミッシュ、ジョルジャ・スミスを筆頭に才能あふれるタレントを次々と輩出する一方で、ジャズからパンクまで様々な音楽が渦巻き、新たなカウンター・カルチャーの震源地となっているサウス・ロンドンから、史上最凶のカルト・ヒーローとしてシーンへ絶大な影響を与えるファット・ホワイト・ファミリーが、最新アルバム『Serfs Up!』のリリースを発表!

最新シングル「Feet」が現在公開中。
Fat White Family - Feet (Official Video) (Explicit)
https://youtu.be/avXN2a0WJ5U

アークティック・モンキーズやフランツ・フェルディナンドを擁する〈Domino〉移籍第1弾作品となる本作は、まるでジム・モリソン、スーサイド、アフリカ・バンバータが激突したかのような、代名詞であるアナーキーな姿勢はそのままに、60年代のトロピカーナから、ヴェルヴェッツやデヴィッド・ボウイの妖艶さとスター性、80年代のダンスホール、デヴィッド・アクセルロッドを彷彿とさせるフュージョン、ペット・ショップ・ボーイズのシンセ・サウンド、アシッド・ハウス、PIL以降のダブなど、実に多彩な音楽要素を発露し、アルコール臭キツめのサイケデリアにドブ漬けした怪作となった。またイアン・デューリーの息子で、独特のヴォーカル・スタイルで人気を集めるバクスター・デューリーもゲスト参加している。

ファット・ホワイト・ファミリーの最新作『Serfs Up!』は、4月19日(金)に世界同時リリース! 国内盤CDには、ボーナストラック“Waterfall”を追加収録。iTunes でアルバムを予約すると、公開中の“Feet”がいち早くダウンロードできる。

label: Domino / Beat Records
artist: Fat White Family
title: Serfs Up!
cat no.: BRC-597
release date: 2019/04/19 FRI ON SALE

BEATINK.COM: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10130

[TRACKLISTING]
01. Feet
02. I Believe In Something Better
03. Vagina Dentata
04. Kim’s Sunsets
05. Fringe Runner
06. Oh Sebastian
07. Tastes Good With The Money
08. Rock Fishes
09. When I Leave
10. Bobby’s Boyfriend
11. Waterfall (Bonus Track For Japan)

第1回 現象になりたい - ele-king

 現象になりたい。現象。自分自身の連続性を失わせたい。自分のなかの何かが勝手に固定されていくのがどうにも気持ち悪い。私に会うたびに新しく私を「観測」し、そのたびに新しい存在としての私を行動で判断してほしい。だって変化するかもしれないから。たとえば誰かが3秒前まで「女性」だったとして、次の瞬間「男性」とか「女性よりの男性」とか「なんでもない人間」になる可能性をどうして否定できるだろう? 性格、ジェンダー、思想、全部毎秒更新されうる。その幅を加味して、どんな相手とも「人間」として向き合うのが当たり前になればいい。揺らぐのも揺らがないのも個人の自由だ。誰もさまたげるべきではない。
 今このエッセイでは筆者が日頃もっとも頻繁に使用するからという理由で「私」という一人称を使っているが、葛藤がある。「私」という響きはあまりにも行儀がよすぎるからだ。速度でいえば遅い。もっと素早く鋭く自我の杭を地面に突き立てるには、「私」ではかどが取れすぎていて何もかも足りない。じゃあ「俺」を使えばどうか? じっさい「俺」と自称することは間々ある。望む速度と鋭角にうまく合致するので使っていて気持ちがいい。しかし結局攻撃的に話すには「男性」の形を取らねばならないのかと思うとそれはそれで悔しい。さらに世間的では「一人称が俺の女」は「痛々しい存在」として認知されがちであり、そこにも葛藤がある。ニュートラルで素早く己を地層にぶっさせる攻撃的な一人称がほしい。何かいいのないですかね? ひとまずこの文章では自我の葛藤を説明したので、一人称は「私」に設定したまま続行しておこう。次回はまた変わるかもしれないが、気にせず読んでほしい。

 自己認識と他者からの認識をめぐる悩みが完璧に汲まれるように願うのは、現状すさまじい高望みだ。たとえば私はおおむね力仕事が嫌いではなく、大きなダンボールを運ぶのも得意だが、「女性に運ばせるのはあれだから」といって「私」より痩せた先輩が私の手からダンボールを取り去っていく。自分自身の身体がネタにされないかぎりにおいてセクシーな話題も好きだが、話題がエロティックな方向に流れそうになると「女の子がいるところではちょっと」「セクハラだと思われたら嫌だから」といってすっと口をつぐむ人がいる。
 これらは「配慮」なのだと思う。「女性」だけが荷物を運んでいて「男性」はそのあいだ何もしようとしないとか、拒んでいるのに私自身の性体験について根ほり葉ほり聞こうとしてくるとか、そういう状況よりはよっぽどましだ。気を遣うべきだという気持ちを持っているのはよいことだと思う。しかし、そこにあるのは距離と断絶で、「歩み寄られている」感じはいっさいしない。根本的な部分にあるのは「面倒なことになる前に少し離れておこう」という保身で、目の前にいる相手に真剣に向き合う姿勢とは似て非なるやり方だ。力仕事慣れてるし得意だよ、えろい話聞くの結構好きだよ。その場で同意を示したとしても、それまで築いてきた付き合いのなかである程度理解してもらえていると思っていても、「でも君は「女性」だからなあ……」という線引きで全てが遠のいていく。そりゃあ、例えば教授と学生とか上司と新卒社員とか、権力関係上表面的な同意を簡単に同意として判断できないという場合はあるので難しいよ、難しいけど、そこまで勝手に対話を忌避されたうえで「いやあ、面倒なルールができちゃったけど仕方ないよね」みたいな態度を取られると本当にどうすればいいのかわからなくなるのだ。「女性」は一括でくくって「配慮」する一方で、「男性」は「男性」であるだけで重い荷物を持たせてもいいし、(多くの場合異性愛を前提にした)下ネタを言ってもいいと解釈する人を目の前にすると、もうこれは、……何? としか言いようがない。「邪魔してしまってどうもすみません」と言って輪から外れるべきなんだろうか? それを繰り返して、いつになったら話ができるようになるんだ? 
 多分この文章を読んで「責められている」と感じる人もいるかもしれないが、私には個人を責めるつもりはない。私も今まで死ぬほど失敗してきたし、実際どうするのが正解なのかわからない場合だって多い。そして人間の思考回路は多くの場合社会環境によって構築されていくもので、人間ひとりの責任に帰することではないからだ。最終的なメッセージは「性別問わずどうするのがいいのかを毎回一緒に考えたいです」、これに尽きる。

 目の前にいる人が誰なのか、本当はいつもわからないのだと思う。何がどう変わっているのか、今相手に何が起きているのか。自分から見て相手のアイデンティティーに見えるものが相手にとってはアイデンティティーではない場合もあれば、その逆もある。何をどう尊重するのがいいのかは全員毎秒変わるといっていい。無限だ。難しい。難しいからこそ敬遠すべきではないし、間違えて謝ってやり直し、間違えて謝ってやり直すしかないと思う。みんなでいっせ〜の〜せで腹をくくって、毎秒うつりかわる現象になろうぜ、私も人のこと言えないけど勝手に頑張るからさ。

仙人掌 - ele-king

 昨年6月にリリースされ、各所で話題を集めた仙人掌のセカンド・アルバム『BOY MEETS WORLD』。NY在住のプロデューサー DJ SCRATCH NICE による全面サポートのもと制作された同作のリミックス盤が登場! 今回は BudaMunk をはじめ日本のビート・シーンで活躍する凄腕のビートメイカーたち10人がリミキサーとして参加。デジタルで先行発売されたものとは異なるリミックスや、仙人掌の新曲“TBA”も収録されるとのこと。オリジナルを踏まえたジャケも良い感じです。リリースは3月20日。心して待て!

仙人掌のマスターピースなセカンド・アルバム『BOY MEETS WORLD』の楽曲をビート・シーンで活躍する先鋭ビートメイカーたちが再構築した珠玉のリミックス・アルバム! 待望となる新曲“TBA”も収録!

◆ 2016年リリースの初となるオフィシャル・ソロ・アルバム『VOICE』に続き、2018年6月にNY在住のプロデューサー、DJ SCRATCH NICE とのジョイントでリリースしたマスターピースなセカンド・アルバム『BOY MEETS WORLD』も高評価を獲得。全国4都市をまわる《BOY MEETS WORLD 4 CITY TOUR》でも満員御礼の各会場を沸かせた仙人掌の次なるリリースは、その『BOY MEETS WORLD』のリミックス・アルバム!

◆ 仙人掌主導による本リミックス・プロジェクトは日本のビート・シーンをベースに、世界レベルでその名が知られている先鋭のクリエイターたちが集結! 仙人掌とも幾度となくコラボしている BudaMunk を筆頭に、ILLSUGI、BUGSEED、Aru-2、CRAM、RLP、EYTREG、dhrma、JUN NAGAOSA、YOTARO の10名のビートメイカーたちがラインナップ!

◆ 仙人掌を中心にその BudaMunk や ILLSUGI らが出演した DOMMUNE での本リミックス・プロジェクトとの連動スペシャル・プログラム「BEAT MEETS WORLD」や参加リミキサー勢が J-WAVE の夜を6日間ジャックし、スペシャル・ミックスをお届けした「TOKYO M.A.A.D SPIN」とのジョイント企画、さらには10週連続での先行デジタル・シングルのリリースも大きな話題に!

◆ また本アルバム用に、先行デジタル・リリースしたものとは異なるリミックス/ミックスも幾つか収録。そして、仙人掌による待望の新曲“TBA”(Prod by NARISK)も収録!

◆ オリジナルの『BOY MEETS WORLD』のジャケットをオマージュした今作のジャケットは JELLY FLASH の手によるもの。

[アルバム情報]
アーティスト:仙人掌 (センニンショウ)
タイトル:BOY MEETS WORLD - REMIX (ボーイ・ミーツ・ワールド:リミックス)
レーベル:WDsounds / Dogear Records / P-VINE
品番:PCD-24794
発売日:2019年3月20日(水)
税抜販売価格:2,400円

[TRACKLIST]
1. 99'Til Infinity (dhrma REMIX)
 Remixed by dhrma
2. Boy Meets World (KO REMIX)
 Remixed by Yotaro
3. Penetrate (CRAM REMIX)
 Remixed by CRAM
4. Darlin' feat. jjj (EYETREG REMIX)
 Remixed by EYETREG
5. Water Flow (Junnagaosa REMIX)
 Remixed by Junnagaosa
6. Bottles Up (Aru-2 REMIX)
 Remixed by Aru-2
7. Rap Savor feat. MILES WORD (ILLSUGI REMIX)
 Remixed by ILLSUGI
8. Show Off (BudaMunk REMIX)
 Remixed by BudaMunk
9. So Far (Bugseed REMIX)
 Remixed by Bugseed
10. World Full Of Sadness (RLP REMIX)
 Remixed by RLP
 Additional Vocal by SOGUMM
11. TBA
 Prod by NARISK

The Concept of The Remix Album is Made by BudaMunk & 仙人掌
All Mixed and Mastered by Aru-2

[仙人掌 - PROFILE]
MONJU / DOWN NORTH CAMP のメンバー。東京最高峰のMC。
吐き出すバースの危険さは数々の楽曲で証明済み。今までにストリート・アルバム、メンバーズオンリー・アルバム、オフィシャル・ファースト・アルバム『VOICE』(2016年)、2018年には3月にEP『Word From ...』、6月にセカンド・アルバム『BOY MEETS WORLD』をリリース。

Stereolab - ele-king

 90年代におけるクラウトロック再評価の筆頭、ステレオラブ。そのポップかつアヴァンギャルドなサウンドがいまの時代とリンクしていると考えたわれわれは昨年、レティシア・サディエールへのインタヴューを試みたわけだけれど(英語版はこちらから。日本語訳は紙エレ22号に掲載)、どうやらその読みは外れていなかったようだ。2009年の活動休止以降、ティム・ゲインもレティシアも精力的に活動を続けてきたのはご存じのとおりだけど、なんとこの5月、彼らはふたたび集い合い、ステレオラブとして10年ぶりに活動を再開する。それにあわせて、旧譜7タイトルがリイシューされることも発表された。第一弾として5月3日にセカンド『Transient Random-Noise Bursts With Announcements』とサード『Mars Audiac Quintet』が発売される。ステレオラブ自身の主宰する〈Duophonic〉と〈Warp〉との共同リリースとなっている点も感慨深い(熱心なファンなら、かつて『Aluminum Tunes』が〈Warp〉から出ていたことを思い出すだろう)。新たにデモ音源なども収録されるそうなので、すでに持っている人も要チェックです。

STEREOLAB

10年ぶりに再始動をしたオルタナティヴ・ミュージック界の皇帝、
ステレオラブの7タイトル再発キャンペーンがスタート!

90年代に結成され、クラウトロック、ポストパンク、ポップ・ミュージック、ラウンジ、ポストロックなど、様々な音楽を網羅した幅広い音楽性でオルタナティヴ・ミュージックを語るのに欠かせないバンドであるステレオラブ。代表作のひとつとしてあげられる『Emperor Tomato Ketchup』というタイトルが示す通り、まさにオルタナティヴ・ミュージック界の皇帝とも言える彼らが、10年ぶりに再始動を果たし今年のプリマヴェーラ・サウンドにジェームス・ブレイクらと並びヘッドライナーとして発表されたニュースに続き、7タイトル再発キャンペーンを開始した。今回の再発は〈Duophonic〉と〈Warp〉の共同リリースとなっている。

トレーラー映像
https://youtu.be/nYDtWdyIUiQ

その第一弾リリースとして、リマスターが施された本編とボーナス音源の2編から構成された『TRANSIENT RANDOM-NOISE BURSTS WITH ANNOUNCEMENTS [Expanded Edition]』(1993年)、『MARS AUDIAC QUINTET [Expanded Edition]』(1994年)の2タイトルが2019年5月3日にアナログ、CD、デジタルと各種フォーマットでリリースされ、CDは帯付き国内仕様盤でリリースされることとなった。

2枚のアルバムはメンバーのティム・ゲインが監修を行い、電気グルーヴのマスタリングも手掛ける Bo Kondren (Calyx Mastering, Berlin)の手によってリマスタリングが施され、ボーナス音源には別ヴァージョンやデモ音源が収録されている。

また、初回生産限定アナログ盤は3枚組のクリア・ヴァイナル仕様となり、ポスターとティム・ゲイン本人によるライナーノートが封入される。また、スクラッチカードも同封されており、当選者には限定12インチがプレゼントされる。

今後は『Emperor Tomato Ketchup』、『Dots and Loops』、『Cobra and Phases Group Play Voltage in the Milky night』が2019年8月、『Sound-Dust』、『Margerine Eclipse』が2019年11月にリリースされることが予定されている。

label: Duophonic / Warp Records / Beat Records
artist: Stereolab
title: Transient Random-Noise Bursts With Announcements [Expanded Edition]
release date: 2019/05/03 FRI ON SALE

https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10128


[TRACKLISTING]

Disk 1
01. Tone Burst
02. Our Trinitone Blast
03. Pack Yr Romantic Mind
04. I'm Going Out Of My Way
05. Golden Ball
06. Pause
07. Jenny Ondioline
08. Analogue Rock
09. Crest
10. Lock-Groove Lullaby

Disk 2
01. Fragments
02. Jenny Ondioline [7"/EP Version - Alternative Mix]
03. Drum - Backwards Bass - Organ [Jenny Ondioline Breakdown Full Version]
04. Analogue Rock [Original Mix]
05. Pause [Original Mix]
06. French Disco [Early Version Mix]
07. Jenny Ondioline Part 2 [Breakdown Mix]
08. Fruition - Demo
09. I'm Going Out Of My Way - Demo
10. French Disco - Demo
11. Lock Groove Lullaby - Demo
12. Jenny Ondioline - Demo
13. Pause - Demo

label: Duophonic / Warp Records / Beat Records
artist: Stereolab
title: Mars Audiac Quintet [Expanded Edition]
release date: 2019/05/03 FRI ON SALE

https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10129


[TRACKLISTING]

Disk 1
01. Three-Dee Melodie
02. Wow And Flutter
03. Transona Five
04. Des Etoiles Electroniques
05. Ping Pong
06. Anamorphose
07. Three Longers Later
08. Nihilist Assault Group
09. International Colouring Contest
10. The Stars Our Destination
11. Transporte Sans Bouger
12. L'Enfer Des Formes
13. Outer Accelerator
14. New Orthophony
15. Fiery Yellow

Disk 2
01. Ulan Bator
02. Klang Tone
03. Melochord Seventy-Five [Original Pulse Version]
04. Outer Accelerator - [Original Mix]
05. Nihilist assault Group - Part 6
06. Wow and Flutter [7"/EP Version - Alternative Mix]
07. Des Etoile Electroniques - Demo
08. Ping Pong - Demo
09. The Stars Our Destination - Demo
10. Three Longers Later - Demo
11. Transona Five - Demo
12. Transporté Sans Bouger - Demo

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639 640 641 642 643 644 645 646 647 648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691 692 693 694 695 696 697 698 699 700 701 702 703 704 705 706 707 708 709 710 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 721 722 723 724 725 726 727 728 729 730 731 732 733 734 735 736 737 738 739 740 741 742 743 744 745 746 747 748 749 750 751 752 753 754 755 756 757 758 759 760 761 762 763 764 765 766 767 768 769 770 771 772 773 774 775 776 777 778 779 780 781 782 783 784 785 786 787 788 789 790 791 792 793 794 795 796 797 798 799 800 801 802 803 804 805 806 807 808 809 810 811 812 813 814 815 816 817 818 819 820 821 822 823 824 825 826 827 828 829 830 831 832 833 834 835 836 837 838 839 840 841 842 843 844 845 846 847 848 849 850 851 852 853 854 855 856 857 858 859 860 861 862 863 864 865 866 867 868 869 870 871 872 873 874 875 876 877 878 879 880 881 882 883 884 885 886 887 888 889 890 891 892 893 894 895 896 897 898 899 900 901 902 903 904 905 906 907 908 909 910 911 912 913 914 915 916 917 918 919 920 921 922 923 924 925 926 927 928 929 930 931 932 933 934 935 936 937 938 939 940 941 942 943 944 945 946 947 948 949 950 951 952 953 954 955 956 957 958 959 960 961 962 963 964 965 966 967 968 969 970 971 972 973 974 975 976 977 978 979 980 981 982 983 984 985 986 987 988 989 990 991 992 993 994 995 996 997 998 999 1000 1001 1002 1003 1004 1005 1006 1007 1008 1009 1010 1011 1012 1013 1014 1015 1016 1017 1018 1019 1020 1021 1022 1023 1024 1025 1026 1027 1028 1029 1030 1031 1032 1033 1034 1035 1036 1037 1038 1039 1040 1041 1042 1043 1044 1045 1046 1047 1048 1049 1050 1051 1052 1053 1054 1055 1056 1057 1058 1059 1060 1061 1062 1063 1064 1065 1066 1067 1068 1069 1070 1071 1072 1073 1074 1075 1076 1077 1078 1079 1080 1081 1082 1083 1084 1085 1086 1087 1088 1089 1090 1091 1092 1093 1094 1095 1096 1097 1098 1099 1100 1101 1102 1103 1104 1105 1106 1107 1108 1109 1110 1111 1112 1113 1114 1115 1116 1117 1118 1119 1120 1121 1122