「!K7」と一致するもの

ECD - ele-king

 2004年に聴いた“東京を戦場に”のリアリティは凄まじかった。2003年の『失点 in the Park』のジャケットも忘れがたい。杉並区の公衆トイレに描かれた「反戦」「スペクタクル社会」というメッセージ――最高裁まで争った例の事件を思い出す人もいるだろう。『さんピンCAMP』を後追いでしか知ることのできなかった世代には、そこからECDに入っていったという層も少なくないのではないだろうか。
 そんな00年代以降のECDの歩みを辿るベスト盤が7月19日に発売される。CD 2枚組の仕様で、各ディスクには00年代の楽曲と10年代の楽曲が振り分けられている。監修はもちろんECD本人。客演作品も収録されているのが嬉しい。トラックリストは下記よりチェック。

ECD完全監修による2000年代以降の作品をまとめた2枚組ベスト盤『21世紀のECD』、7/19にリリース決定! ジャケット、トラックリストも公開!

 日本のヒップホップ黎明期よりコンスタントに活動を続けながら、いまなお現役第一線としてのリアリティを失わないアーティスト、ECD。1996年、日比谷野外音楽堂にて歴史的ヒップホップ・イベント〈さんピンCAMP〉のプロデュースを務めて数々のクラシックスを世に送り出し、2003年作『失点 in the Park』から今日に至るまで、自主制作で精力的なリリースを続けている。2015年には16枚目となる現時点での最新作『Three wise monkeys』をリリース。日本のヒップホップ・シーンという括りのみならず、シーンをクロスオーバーした活動で音楽ファンを魅了し続け、ここまで作品をリリースし続けるアーティストは他にいるだろうか。
 そんなECDのリリース作品・客演作品より、2000年代、2010年代を区切りにふたつのディスクにコンパイルし豪華2枚組としてパッケージングしたベスト盤『21世紀のECD』のリリース日がついに7/19に確定! そして最終的なトラックリストとジャケットも公開!

「今聴いても古さを感じさせない」それは最高の褒め言葉だ。
しかし僕は前作を古いものにするために新作を作り続けてきた。
つまり、この「21世紀のECD」と題されたベスト盤のようなものはいわばECDの地層である。
収録されている曲のひとつひとつは化石だ。ECDの化石を聴いてくれ。
――ECD

[DISC1 - 2000年代ベスト]
1. DIAL Q-EST - TSUTCHIE feat. ECD (From 『THANKS FOR LISTENING』)
2. Freeze Dry (From 『失点 in the park』)
3. DJ は期待を裏切らない (From 『失点 in the park』)
4. MIZO (From 『FINAL JUNKY』)
5. 東京を戦場に (From 『FINAL JUNKY』)
6. CD (From 『FINAL JUNKY』)
7. A.C.I.D (From 『Crystal Voyager』)
8. E.C.D (From 『Crystal Voyager』)
9. セシオン - U.G.MAN with ECD (From 『SOME SECRET』)
10. FINAL JUNKY のテーマ (From 『FUN CLUB』)
11. In The Place To Be (From 『FUN CLUB』)
12. BORN TO スルー (From 『天国よりマシなパンの耳』)
13. 天国ROCK (From 『天国よりマシなパンの耳』)
14. Keep On and GO - マイクアキラ feat. ECD (From 『THE RAP IDOL』)
15. 火星呆景 – O2 feat. ECD (From 『STAY TRUE』)

[DISC2 - 2010年代ベスト]
1. How's My Rapping? (From 『TEN YEARS AFTER』)
2. Time Slip (From 『TEN YEARS AFTER』)
3. Sight Seeing (From 『Don't worry be daddy』)
4. 想定外 - MINT&ECD (From 『BLACK SWAN』)
5. ラップごっこはこれでおしまい - soakubeats feat. ECD (From 『Never Pay 4 Music』)
6. 憧れのニューエラ (Extended 12' Version) (From 『憧れのニューエラ / ラップごっこはこれでおしまい』)
7. トニー・モンタナ (KM Remix) (EXCLUSIVE)
8. Trouble Makker - RIKKI feat. ECD (From 『BLACKGATE』)
9. Lucky Man (for Fans & Relativities REMIX) (EXCLUSIVE)
10. ただの直感 - GEBO feat. ECD (From 『IT'S A NEW DAY』)
11. 2030 - S/ & ECD (From 『T.R.E.A.M. presents ~田中面舞踏会サウンドトラック~ 「LIFE LOVES THE DISTANCE」』) ※正式表記は「S」の上にスラッシュ
12. ECDECADE (From 『TEN YEARS AFTER』)

Oneohtrix Point Never - ele-king

 来る8月11日、OPNによる新たなアルバム『Good Time Original Motion Picture Soundtrack』がリリースされる。タイトルにもあるとおり、今回のアルバムはジョシュア&ベニー・サフディ監督作『Good Time』の劇伴で、先日開催されたカンヌ国際映画祭にてカンヌ・サウンドトラック賞を授かるなど、すでに高い評価を得ている。
 OPNことダニエル・ロパティンがサントラを制作するのは今回が初めてではない。彼は2013年にソフィア・コッポラ監督作『The Bling Ring』のスコアをブライアン・レイツェルとともに手がけている(興味深いことに『R Plus Seven』がリリースされたのと同じ年である)し、2015年にはアリエル・クレイマン監督作『Partisan』の音楽を単独で担当している(興味深いことに『Garden Of Delete』がリリースされたのと同じ年である)。だが、本名のダニエル・ロパティン名義ではなく、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー名義でサントラを発表するのは今回が初めてのはずだ。
 メタルに触発されたかと思えばボーカロイドに影響されたり、ルトスワフスキを再解釈したかと思えばジャネット・ジャクソンをカヴァーしたり、アノーニとコラボしたかと思えばDJアールをプロデュースしたりと、もはや何を考えているのかさっぱりわからないロパティンだけれど、今回のサントラをOPN名義でリリースするのにもきっと彼なりの意図があるのだろう。ただのサウンドトラックとしてだけではなくOPNのアルバムとしても聴いてほしい、というような。
 ともあれ、イギー・ポップとの共作曲“The Pure And The Damned”が先行公開されているので、それを聴きながら待っていようではないか。


ONEOHTRIX POINT NEVER
本年度カンヌ・サウンドトラック賞受賞!
ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーによる
サウンドトラック・アルバム『Good Time』のリリースが決定!
イギー・ポップ参加の新曲をフル公開!

先日開催されたカンヌ国際映画祭にて、ジョニー・グリーンウッドやフェニックス、ジェド・カーゼル、イブラヒム・マーロフといった名だたるミュージシャンや作曲家たちを抑え、カンヌ・サウンドトラック賞を受賞したワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(Oneohtrix Point Never)ことダニエル・ロパティン(Daniel Lopatin)が、受賞作である映画『GOOD TIME(原題)』のサウンドトラックを8月11日(金)にリリースすることを発表。イギー・ポップが作詞とヴォーカルを担当したエンディング・テーマ“The Pure and the Damned”が公開された。

Oneohtrix Point Never - The Pure and the Damned (feat. Iggy Pop)

本年度のカンヌ国際映画祭の目玉のひとつとされた映画『GOOD TIME(原題)』は、東京国際映画祭グランプリ&監督賞のW受賞を『神様なんかくそくらえ』で成し遂げたジョシュア&ベニー・サフディ兄弟による最新作で、『トワイライト』シリーズや『ハリー・ポッター』シリーズで知られるロバート・パティンソンや、クエンティン・タランティーノ監督作『ヘイトフル・エイト』のジェニファー・ジェイソン・リーが出演するクライム・スリラー作品となっている。

Good Time Trailer (Original Score by Oneohtrix Point Never)

8年ほど前、ぼくらは音楽に、あるいはワンオートリックス・ポイント・ネヴァーその人に興味を持った。ぼくはいつもダンの音楽(特に初期の頃の)を、まだ作ってもいない映画のサウンドトラックとして想像していた。『GOOD TIME』でのコラボレーションから、それを取り巻く対話を通じて、ぼくらは深い友情と、もちろんこの色鮮やかでこの世のものとは思えないようなスコアを手に入れた。制作の前にダンとはコンセプトのことでよく話し合った。それがカンヌで花開くことになるとは……まるでハイレゾ・ファンタジーだね。 - ジョシュア・サフディ

ぼくはワクワクしながら、ミッドタウンにある兄弟のオフィスを訪ねた。そこには彼らが好きなものが何でもあって、まるで聖地みたいだった。巨大な『AKIRA』のポスターと『King of New York』が並んでたよ。ふたりはぼくに、特殊な映画に取り掛かるつもりだと言った。ぼくから見たサフディ兄弟は、非常に特異なことに取り組みながらも、伝統を尊重する監督だ。ジム・ジャームッシュやクエンティン・タランティーノ、レオス・カラックスといった監督を思い浮かべても、彼らは映画の歴史を愛するがゆえに映画制作そのものから遠ざかりがちだが、いずれにせよあの独特の個性を失うことはない。ぼくらに共通しているのは、傷ついてボロボロになったものに対する愛着と敬意だ。たぶんぼくらはいま現在の歴史を守りたいという衝動を感じていると思う。昔の、ではなく。ぼくら自身の言葉でだ。 - ダニエル・ロパティン

『GOOD TIME』はサフディの出身地であるニューヨークに断片的なつやを与えている。だが固い留め具としてそこになくてはならないのが、衝撃的なアンダースコアだ。ほぼノンストップで酔わせるそのエレクトロニカは、ブルックリンを拠点に活動する実験音楽の作曲家ダニエル・ロパティン、またの名をワンオートリックス・ポイント・ネヴァーが手がけている。エンディング・テーマ“The Pure and the Damned”でコラボレートしたのはイギー・ポップだ。至る所で響き渡るプログレッシヴ・ロックのシンセサイザーは、ウィリアム・フリードキン、マイケル・マン、そしてジョン・カーペンターの『Assault on Precinct』といったヴィンテージ映画の残響を呼び起こしているが、決して模倣ではない。 - Hollywood Reporter

ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーことダニエル・ロパティンによって提供されたスコアは、この映画と完璧にマッチしている。タンジェリン・ドリームのようなVHSスリラー・サウンドトラックに由来しながらも、ここ最近の模倣者たちとは比べものにならないほど独創的で表現力がある。ロパティンの不安気な旋律と音の急襲は、コニーの頭の中と思えるくらいの感覚を我々に与えてくれる。 - Vulture

ゴミ番組と、ドラッグ・カルチャーと、蛍光色が飛び散った夜間の撮影と、振動するシンセサイザーを混ぜ合わせた21世紀のファーストフード・ハイブリッド。ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーのすばらしいスコアに感謝だ。 - The Film Stage

ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーによる映画『GOOD TIME(原題)』のサウンドトラック・アルバム『Good Time Original Motion Picture Soundtrack』は8月11日(金)世界同時リリース! 国内盤には、ボーナス・トラック“The Beatdown”が追加収録され、解説書が封入される。iTunesでアルバムを予約すると、公開された“The Pure and the Damned (feat. Iggy Pop)”がいちはやくダウンロードできる。

label: Warp Records / Beat Records
artist: Oneohtrix Point Never
title: Good Time Original Motion Picture Soundtrack
cat no.: BRC-558
release date: 2017/08/11 FRI ON SALE
国内盤CD: ボーナス・トラック追加収録 / 解説書封入
定価: ¥2,200+税

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映画『GOOD TIME(原題)』
2017年公開予定
第70回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門選出作品

東京国際映画祭グランプリ&監督賞のW受賞を『神様なんかくそくらえ』で成し遂げたジョシュア&ベニー・サフディ兄弟による最新作。

コニー(パティンソン)は、心に病いを抱える弟(ベニー・サフディ監督兼任)のため、家を買い安全に生活させてやりたいと考えていた。そこで銀行強盗をふたりでおこなうが、途中で弟が捕まり投獄されてしまう。弟は獄中でいじめられ、暴れて病院送りになる。それを聞いたコニーは病院へ忍び込み、弟を取り返そうとするが……。

出演:ロバート・パティンソン(『トワイライト』『ディーン、君がいた瞬間』)、ベニー・サフディ(監督兼任)、ジェニファー・ジェイソン・リー(『ヘイトフル・エイト』)、バーカッド・アブティ(『キャプテン・フィリップス』)
監督:ジョシュア&ベニー・サフディ兄弟(『神様なんかくそくらえ』)
配給:ファインフィルムズ

2017/アメリカ/カラー/英語/100分
(C) 2017 Hercules Film Investments, SARL

Warp Records - ele-king

 ソフト・ブレグジットかハード・ブレグジットか――EU離脱の行方を占うUKの総選挙が、本日6月8日7時(日本時間8日15時)から始まっている。先月からM.I.Aやジェイムス・ブレイクが有権者登録を呼びかけたり、グライムMCのAJトレイシーが労働党のビデオに出演してコービンへの支持を表明したり(そこで彼はNHSについて「UKの宝のひとつ」と発言している)、すでにさまざまなミュージシャンがアクションを起こしているが、ここへきてなんと、エレクトロニック・ミュージックの名門レーベル〈Warp〉が、Twitterにて異例の呼びかけをおこなった。

もしあなたがUKにいるのなら、どうか今日は外へ出て投票権を行使してください。1票を無駄にしないで。 #GE2017

 アーティスト個人が自身の政治的見解を表明するのは(海外では)よくあることだけれど、レーベルがこんなメッセージをツイートするのはイレギュラーな事態だと言っていいだろう。昨年の国民投票のときは〈Hyperdub〉が残留への投票を促すツイートをポストしていたが、今年は〈Warp〉が燃えている。
 ミュージック・ラヴァーならよくご存じのように、〈Warp〉はけっしてポリティカルな事柄に重きを置くレーベルではない。メッセージよりもサウンドの冒険を追究するのがかれらのスタンスである。そんなレーベルがいまこのような呼びかけをおこなうくらいなのだから、UKの人びとにとって今回の総選挙は相当に重要な意味を帯びているのだ(『NME』は連日コービンの動向を報じているし)。
 投票が締め切られるのは8日22時(日本時間9日6時)。労働党の猛追やいかに。

Mikako Brady - ele-king

 『子どもたちの階級闘争』(みすず書房)に『いまモリッシーを聴くということ』(ele-king books)にと、最近大忙しのブレイディみかこですが、ここにきて幻のデビュー作『花の命はノー・フューチャー』が文庫化されました。「DELUXE EDITION」とのことで、書き下ろしや未収録原稿など、200ページもの大幅増補版となっています(紙の『ele-king』の連載からも一部収録)。過去の原稿の多くには新たに「後日談」が書き加えられており、昔の自分の原稿に突っ込んでいる現在のブレイディさんとの対比を楽しむことも。さらに解説はアナキズム研究者の栗原康、推薦文は小説家の佐藤亜紀と、豪華な面子が脇を固めています。ブレイディ・フィーバー、きていますね。この機会に、彼女の原点に触れておきましょう。

https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480434524/

Nick Hakim - ele-king

 ニック・ハキムの名前を初めて目にしたのは、2014年の秋に発表されたジャイルス・ピーターソンのコンピ『ブラウンズウッド・バブラーズ 11』でだった。このシリーズはまだ無名に近いアーティストやブレイク前の注目株を発掘していくことでも定評が高いのだが、ここではムーンチャイルド、ゴー・ゴー・ペンギン、アル・ドブソン・ジュニア、フォテイ、ジェイムズ・ティルマンなどの作品とともに、ニック・ハキムの“アイ・ドント・ノウ”という曲が収録された。ギターの弾き語りやピアノをバックに切々と歌うインディ・フォーク調のこの曲は、同年夏に発表されたEP「ホエア・ウィル・ウィ・ゴー」の第2集からピックアップされた。自主制作となるこのEP第1集と第2集は、彼の実質的なデビュー作品となるもので、後にカップリングされてアルバム形式でもリリースされている。

 ワシントンDC生まれで、その後ブルックリンに引っ越し活動をおこなうニック・ハキムは、マルチ・インストゥルメンタリスト、プロデューサー、シンガー・ソングライターと多彩な顔を持つ。白人だがブラック・ミュージックからの影響も強く、マーヴィン・ゲイ、カーティス・メイフィールド、マッドリブ、MFドゥームなどを聴いてきた。一方では、両親の影響で南米のフォークに親しみ(両親は南米系の血筋のようだ)、兄の影響でザ・クラッシュから地元ワシントンDCのフガジやバッド・ブレインズなどパンクにも触れてきた。そうした中から自身の音楽性を育んで、ボストンのバークリー音楽院に進んで本格的に作曲や音楽制作を学び、在学中に前述の「ホエア・ウィル・ウィ・ゴー」をひとりでコツコツと制作していった。卒業後にブルックリンに出てきてからは、同じ白人の女性シンガー・ソングライターのエミリー・キングと一緒にツアーをおこなうなど、ソウルとフォークの中間に位置するようなアーティストと言える。そして、ブルックリンに出てきて書き溜めた楽曲をもとに、正式なデビュー・アルバムとなる本作『グリーン・ツインズ』を完成させた。

 ニック自身は『グリーン・ツインズ』について、「RZAがポーティスヘッドのアルバムをプロデュースしてたら、どんなサウンドになっていただろうかと想像したかったんだ。フィル・スペクターとアル・グリーンの“バック・アップ・トレイン”、RZAとアウトキャストのドラムのプログラミングをエンジニアリングのテクニックで実験したんだ。あとはザ・インプレッション、ジョン・レノン、ウータン、マッドリブ、スクリーミング・ジェイ・ホーキンスをたくさん聴いたよ」と述べている。それに加えて個人的にはシュギー・オーティス、ロバート・ワイアット、ルイス・テイラー、初期のデヴィッド・ボウイなどを彷彿とさせる曲が並んでいるなと感じた。リズム・ボックスによるローファイ・サウンドの“ローラー・スケーツ”は、スライ・ストーンからシュギー・オーティスへと繋がるようなラインで、“ベット・シー・ルックス・ライク・ユー”はカーティスのザ・インプレッションズのようなスウィート・ソウル風。フォーキーなサウンドの中にサイケデリック感を湛えた表題曲の“グリーン・ツインズ”や“カフド”は、ロバート・ワイアットやシド・バレット、『スペース・オディティ』の頃のデヴィッド・ボウイを思い起こさせる。ドゥー・ワップからカーティスの影響を感じさせるファルセット気味で歌いながら、ときにボウイがやっていたようなバリトンの低音も聴かせる。あと、セールス・ノートではマイ・ブラッディ・ヴァレンタインのことも引き合いに出されていたのだが、“TYAF”にそうした要素があるとともに、この曲にはニックが幼い頃に聴いたパンクの影響もあるだろう。“ゾーズ・デイズ”はマーヴィン・ゲイ的なソウル・マナーに基づくが、アブストラクトでサイケな味付けがルイス・テイラー的と言えよう。“ザ・ウォント”や“JP”など切々と訴えかける曲は、ジョン・レノンやロバート・ワイアットのようなアーティストと同じ匂いを感じさせる。

 EPデビュー時からつきあいのあるアンドリュー・サルロが共同プロデュースをするほか、本作もほぼニックひとりで作曲・演奏・制作・録音をおこなっている。ミックスはサルロがおこなっており、ざっくりとラグドなローファイ・サウンドが基調だが、ビートはずっしりと重みのあるものとしている。ジャジーなサックスをフィーチャーした“ミス・チュー”のダウナー感覚、「RZAがポーティスヘッドのアルバムをプロデュースしてたら」という言葉を思わせる“ファーミスプリーズ”で、そうしたサルロのミックスが生かされている。「RZAとアウトキャストのドラムのプログラミングをエンジニアリングのテクニックで実験したんだ」というのは、“JP”のような曲を指すのだろうか。そして、シューゲイズの手法によるサイケデリックな音響効果が全面に張り巡らされているため、“ベット・シー・ルックス・ライク・ユー”や“ニーディー・ビーズ”のように甘い曲でも、幻覚のような肌触りを感じさせる。グロテスクなジャケットで損している感の『グリーン・ツインズ』だが、ニック・ハキムのシンガー・ソングライターとしての技量と、絶妙な音響効果や録音・編集作業が結びつき、2017年の男性アーティストの作品としてはサンファの『プロセス』と並ぶ傑作が生まれた。

別冊ele-king コーネリアスのすべて - ele-king

特集:コーネリアスのすべて

著者:天井潤之介、磯部涼、宇野維正、小川充、小野島大、河村祐介、北沢夏音、デンシノオト、野田努、畠中実、マーティン・ロバーツ、松村正人、三田格、矢野利裕、ほか

その生い立ちから初めてザ・スミスを聴いた夜、小沢健二との出会い、フリッパーズ・ギター解散からコーネリアスへ、そして『ファンタズマ』から新作『Mellow Waves』へ、その半生を語る超ロング・インタヴュー。初めて公開する幼少期の家族写真、中高時代など、貴重な写真も多数掲載な……、11年ぶりの新作『Mellow Waves』をリリースするコーネリアスを大特集!

■contents
小山田圭吾ロング・インタヴュー(北沢夏音/野田努/松村正人)
『Mellow Waves』クロス・レヴュー(松村正人、野田努、宇野維正)
対談:小山田圭吾×坂本慎太郎「求め合う音と言葉」

INTERVIEWS
瀧見憲司「狂えるスタイルとコーネリアスの関係」
辻川幸一郎「音楽に感応する映像」
中村勇吾「ロジックを絵筆にカタチをつくる」
宇川直宏「ハイテクノロジー・ブルース~90年代以降の映像と音楽の実験史」
イアン・F・マーティン「クール・ジャパンとウィアード・ジャパン」
本田ゆか「コーネリアスのユニバーサルランゲージ」
SK8THING「併走する感覚」
高橋幸宏「もしかしたら売れるかもしれない」

コラム
三田格「乾いた孤独 The90's and Cornelius」
松村正人「キュレート・オア・エディット」
畠中実「音響作家小山田圭吾」
マーティン・ロバーツ「メロウどころじゃない 『ファンタズマ』以降のコーネリアス」
ジョシュ・マデル「コーネリアスのアザー・ミュージック」

コーネリアス ディスク・ガイド
天井潤之介/磯部涼/宇野維正/小川充/小野島大/河村祐介/杉原環樹/デンシノオト/野田努/松原裕海/松村正人/村尾泰郎/矢野利裕/吉田雅史/与田太郎/吉本秀純

BIOGRAPHY
小山田圭吾略年譜

Dopplereffekt - ele-king

 2002年、ジェイムズ・スティンソン=ドレクシアは死んだ。その深海から発せられる「信号」のようなマシン・ソウルなデトロイト・テクノ/エレクトロ・サウンドは生きながらにして神話的・伝説的であったわけだが(エイフェックス・ツインも彼に称賛の声を贈る)、2002年というまだ世界が完全にインターネット化(=可視化)する直前に亡くなったことで、彼は本当に「伝説」になり「神話」になった。 じじつ、ジ・アザー・ピープル・プレイスジャック・ピープルズ名義など、彼の「遺産」を発掘するかのように、リイシューや未発表トラックのプロジェクトは現在でも続いている。彼の死は中断ではなく、継続としてある。

 では、ジェイムズ・スティンソンの死以降の世界、つまりは、このどうしようもないほど荒廃した時代を生きる者たちは、どうサヴァイヴしていくべきか。ジェイムズ・スティンソン=ドレクシアによる深海の信号のごとき狂気のエレクトロニック・サウンドは永遠不滅だが、しかし彼が生きていた時代より世界はさらに「荒廃」してしまった。深海からの信号も、世界のノイズによって掻き消されてしまいそうにもなるだろう。となれば、その十字架を新しい神話として解放しなければならない。
 ジェイムズ・スティンソンとともにドレクシアとして活動をしてきたジェラルド・ドナルドは神話の十字架を十二分すぎるほど背負っているはず。じじつ、彼のユニット、ドップラーエフェクトはデトロイト・テクノの「神話」の継承者ではあり、開放者でもある。

 本作は、そのドップラーエフェクト、10年ぶりの新作だ。リリースはベルリンの〈レジャー・システム〉。アルバムとしては、2002年の『リニア・アクセラレーター』(〈インターナショナル・ディージェイ・ ジゴロ・レコード〉)、2007年の『カラビ・ヤウ・スペース』(〈リフレックス〉)に次いで3作目になる。10年ぶりのアルバムとはいえ2013年以降は〈レジャー・システム〉から継続的にEPをリリースしており、2014年には同レーベルからあのオブジェクトとのスプリットEP『ヒプナゴギア』を出し話題を呼んだ。まさに新作への機は熟していたといえよう(現在のメンバーは、女性エレクトロ・アーティスト、ミカエラ・トゥ=ニャン・ バーテル)。
 それにしても、やはり、この新作には驚かされた。まさかビートレスな作風でアルバムを1枚制作するとは(2013年にリリースされたヴィソニア(Visonia)との共作『Die Reisen』にその傾向はあったものの、である)……。
 しかしこれまた不思議なのだが、ビートレスになったことでデトロイト・テクノ的な感覚がより全面化したようにも思えた。なぜだろうか。むろん、ビートレスとはいってもベースはあり、シーケンスとベースが絡み合うことで独自の律動と身体性はある。だが、それより重要なことがあるのだ。
 そう、あの湿った、そしてクリアな、シンセ・パッドの音色である。あの錆びた工業地帯に滴る冷たい雨のような電子音である。それは未来への夢想と、相反する憂鬱で湿ったブルース感覚であり、シンセサイザーによる感情の表出だ。同時に本作には感情をメタに再構築していくような数学者のような知性も感じる。レーベルからは「反復プロセスとしての数学的成長や低下にアプローチしており、それぞれのデータインプットは全体モデルに対して個別に考慮されている」という謎めいた一文もアナウンスされているほどだ。

 そう、ジェラルド・ドナルドは、明らかに世界の「荒廃」を意識しているのではないか。「反復プロセスとしての数学的成長や低下にアプローチ」しているのだから。それゆえ本作の音楽/音響は、まるで荒廃した地上に降る雨のように鳴り響いている。「雨」とは、メッセージであり、現象であり、音楽である。深海から発せられる「信号」から、地上に降り注ぐ「雨」へ。「雨」は世界も濡らすが、その冷たい質感は世界のありようを変えてしまうだろう。つまりは音楽のように。もしくは世界への救済のように。じじつ、2曲め“Von Neumann Probe”には、まるで讃美歌のような澄んだ声が鳴っているではないか。

 ジェラルド・ドナルドは彼のやり方で、ドレクシア(とデトロイト・テクノ)を継続し受け継いでいるのだろうか。荒廃した世界に、音楽/音響という雨を降らすことによって。それもまたマシン・ブルースのひとつの方法だ。むろん、それは相当にハードなことではあるのだが……。

interview with Formation - ele-king


Formation
Look At The Powerful People

Warner Bros. / ホステス

Indie PopIndie Rock

Amazon Tower HMV iTunes

 いま、ロンドンでインディ・ロック・バンドをやることのリアリティとは何だろうか。デビュー・アルバムを放ったばかりのフォーメーションに訊きたかったのは、ある意味でこれに尽きると言っていい。グライム全盛と伝えられるいまのロンドンにあって、バンドを選択することはけっして簡単ではないのではないか。しかもフォーメーションは、移民の子であるリットソン兄弟の双子が中心になっているのを筆頭として人種的な構成は多様で、その身にまとったタトゥーとストリート・ファッションからは今風の行儀のいいおぼっちゃんバンドという印象を受けない。彼らはストリートを知っているようだし、一見何かに逆らっているように見える。では何に?
 ヘヴィなベースラインと裏拍を意識したドラミング、そこに乗っかってくるカウベルやコンガといったパーカッション、そして多彩な音色によるシンセの色づけを個性とするフォーメーションの音は、ヒップホップやファンクから影響を受けたエクレクティックなダンス・ロックだ。それは「分断」がキーワードとして取り沙汰される現在のUK(と、世界)に懸命に逆らっているようにも見える……。
 が、じつは、その折衷性はザ・クラッシュの時代から連綿と続いてきたUKバンドの伝統でもあり、「らしさ」でもある。またその上で、サウンドの複雑さに比してあくまでストレートにキャッチーなメロディで開放感を謳歌するフォーメーションは、何かに無理矢理逆らうのではなく、自分たち「らしさ」を自然に伸び伸びと放っていることがよく聴けば理解できる。持っている個性を生かすためには、本来多様なジャンルの受け皿となり得るロック・バンドがフィットしたということなのだろう。そうした衒いのなさが彼らの魅力であり、そのことがよく伝わってくる取材であった。

 多くのロンドンっ子たちが口にするように、若くて金のない連中にとってかの街はますます住みにくくなっているようだ。移民であればなおさらだろう。だが、フォーメーションはそのことを嘆いたりわめいたりするのにエネルギーを使わず、ダンサブルで情熱的な音を鳴らしながら隔たりなく他者と繋がろうとする。その屈託のない前向きさこそが、フォーメーションのグルーヴの源である。

怒りから生まれるポジティヴなエネルギーってあると思うんだ。壁にパンチする代わりに僕たちは音楽をやってるんだ(笑)。 (マット)

東京の街はもう見ましたか?

マット・リットソン:ああ、昨日着いて、原宿と新宿を見たよ。

ロンドンと東京とどんなところがいちばん違うと思いますか?

ウィル・リットソン:たくさんありすぎるよ!

マット:規模がロンドンよりとにかく大きいよね。

ウィル:東京はひとが親切だし、安心感のある街だと思うよ。

ロンドンのミュージシャンに話を訊くと、いまはとにかくジェントリフィケーションの問題がキツいと話してくれることが多いんですね。何もかも高くなっていて、若者が暮らしにくいと。あなたたちもバンドをやっている上で苦労を感じますか?

ウィル:うん、すごく感じるね。

音楽をやるのも厳しい?

ウィル:演奏するための楽器がまず買えないんだよね。寄付をもらうこともできるんだけど、申請して認めてもらうためにはきちんとした書類を提出しないといけないし、審査が厳しい。若いうちはキャリアもまだないから、それをもらうのは大変だね。

マット:音楽を作ったり演奏したりする場所もないしね。

バイオを見るとガレージで演奏していたと書いてあるのですが、そういう環境も影響していますか?

ウィル:ああ、そうだね。母親のガレージで演奏していたよ。

マット:リハーサル・スタジオに通ってたんだけど、お金が払えなくてね。

ウィル:まあでも、ジェントリフィケーションだけじゃなくて、金がないっていうのは誰にでもあることなんだけどね(笑)。

なるほど。おふたりは音楽的な家庭で育ったのですか?

マット:親がミュージシャンだったってわけではないんだけど、父親がレコード・コレクターだったからね。

ウィル:あと母親も音楽好きで、僕たちに音楽を習わせようとクワイアに入れたりしていたね。

自分もそうだし、友だちや家族もそうなんだけど、みんなタトゥーが好きで同じ模様を入れてたりするから、その繋がりという意味でタトゥーをフィーチャーしたんだ。 (ウィル)

いまイギリスでは社会的階層によって聴く音楽が分離しているという話も聞くのですが、あなたたちもそんな風に感じることはありますか?

ウィル:そんなことはないんじゃないかな。

マット:以前はあったかもしれないけど、いまはそんなことないと思うよ。

ワーキング・クラスや貧しい若者たちがいまロンドンで聴いている音楽は圧倒的にグライムだって話も聞くんですけど、そんなこともないんでしょうかね?

マット:うん、そうだね。グライムの作り手はやっぱり貧しいところから出てきていると思うけど、聴き手はワーキング・クラスやアンダークラスに限られているわけじゃないと思う。

いっぽうで、バンド音楽はどうでしょう?

マット:バンドもそうだと思う。

ウィル:つまり、どの階級のひとが作ったかは問題じゃなくて、いまみんなが気にしているのは、その音楽が正直であるかどうかなんだよね。グライムにしてもインディ・バンドにしてもメジャーなポップスにしても、自分たちが作りたい音楽を作っているかが重要で。そうじゃなくて、何か決まったものになろうとしている音楽にはみんな惹かれないからね。グライムは作り手の真実が感じられるから、強いコネクションを感じるリスナーが多いんじゃないかな。

では、フォーメーションのリスナーも特定の階層や人種に限られていないのでしょうか?

ウィル:そうだね!

なるほど。では話題を変えて、“ラヴ”のヴィデオを見るとタトゥー文化がフィーチャーされていますよね。

ウィル:そうだね。

これはどういった意図によるものなのでしょうか?

ウィル:タトゥーってイギリスではワイルドなイメージがあると思うんだけど、“ラヴ”のヴィデオでは自分たちの周りのひとたちとの繋がりや愛を表現しているんだよ。自分もそうだし、友だちや家族もそうなんだけど、みんなタトゥーが好きで同じ模様を入れてたりするから、その繋がりという意味でタトゥーをフィーチャーしたんだ。

ちなみにあのヴィデオでは本当に入れてるんですよね?

ウィル&マット:そうだよ! (と言って腕のタトゥーを見せてくれる)

ほんとだ(笑)。クール! たとえば僕もタトゥー文化に憧れはあるんですけど、日本ではまだまだ反社会的なものだというレッテルを貼られることも多いんですよ。反抗的なイメージをタトゥーに持たせたかったっていうことはないですか?

ウィル:そんなことはないよ。イギリスでは日本よりもタトゥーが受け入れられていると思うし、みんな普通に入れてるからね。

ただタトゥーのことは置いておいても、フォーメーションのイメージって反抗的なところがあるとは思うんですよね。

ウィル:うーん、わからないけれど、それはイメージ戦略というよりは音楽から来ているものだと思うんだよね。アグレッシヴだったりダークだったり……そういうものが力になってる。自分たちがワルだとか犯罪者だとかって言いたいわけではなくて(笑)、音楽を通じて反抗を表現しているのかもしれない。

なるほど。フォーメーションって言葉もいいと思うんですよ。奇しくも去年ビヨンセが“フォーメーション”という曲でとても評価されましたけど、いま、連帯というイメージを持っている言葉なのかなと。あなたたちはフォーメーションという言葉にどんな意味を込めましたか?

ウィル:それはビヨンセのヴィデオと同じだよ。僕たちもフォーメーションという言葉に連帯という意味を持たせたかった。ただ、あの曲で僕たちはインターネット上では埋もれてしまったんだけどね(笑)。

(笑)ちなみにそのビヨンセやケンドリック・ラマーは、政治的な態度としてもアメリカで評価されていますが、共感するところはありますか?

マット:グレイトだよ。ケンドリック・ラマーは素晴らしいよね。70年代のヒップホップは、政治や世のなかのことに触れながら自分が思うことをまっすぐに伝えようとする意志があったけど、そのあと扱うトピックがつまらないものになっていった傾向があると思うんだよね。いまそれが戻ってきて、まさに彼らがやっていると思うんだよ。

ウィル:そうだね。ヒップホップは自分たちのあり方を提示してきた音楽だけど、彼らはいまそれをやってるよ。

ただいっぽうで、若い音楽リスナーがそういったUSのヒップホップやR&Bばかり聴いて、イギリス発の音楽をあまり聴かないという風にも聞くんですけど、そういった実感はあまりないですか?

ウィル:そうは感じないかな。僕はいま28歳なんだけど、自分たちの世代は分け隔てなくいろいろな音楽を聴いてるひとが多いと思うよ。イギリスではアデルやゴリラズが世界的に成功しているし、みんなそのことを誇りに思っているんだ。僕たちはたくさんの音楽の良いミックスを聴いているんだよ。

なるほど。ただゴリラズにしても、世界の音楽を貪欲に取り入れていますよね。フォーメーションもUSのヒップホップやアフリカの音楽など、たくさんの音楽から影響を受けていますが、そんななかでも、自分たちはイギリスのバンドだとアイデンティファイしているのでしょうか?

マット:強く意識はしているわけではないかな。

ウィル:そこが重要だとは思っていないんだ。

マット:僕たちは世界中のオーディエンスと繋がりを持ちたいからね。

意識してユニヴァーサルなものを目指している?

ウィル:いや、と言うより、どこの音楽を取り入れるかよりも、自分たちのパーソナルな部分を取り入れるほうが僕たちにとっては重要なんだ。そうなると自然とロンドンの文化や歴史はにじみ出てくるとは思う。自分たちの家族の歴史だとかね。

なるほど。では、ロンドンの文化のどういったところにもっとも繋がりを感じますか?

ウィル:音楽のヴァラエティそのものだね。

マット:ロンドンはマルチ・カルチュラルな街だから、そこがいちばん僕たちの音楽に反映されていると思う。

いまおっしゃったように、フォーメーションの音楽にはたくさんの要素が入っていますよね。楽器の数も多い。なぜ4分間のポップ・ソングのなかにたくさんのものを入れるのでしょうか?

マット:自分たちが聴いてきた音楽っていうのは本当に多様で、そのぶんたくさん選択肢があるんだよ。それを詰め込むしかなかったんだ(笑)。

ウィル:やりすぎて複雑になりすぎているところもあるかもしれないけど……ファースト・アルバムだし、とにかくいろんなことにトライしたかった。エキサイティングなものにしたかったしね。

なかでも、とくにパーカッションが目立っているのがフォーメーションの特徴ですよね。よくカウベルが挙げられますけど、それだけじゃなくてタンバリンやコンガも効果的に使われてますね。パーカッションはフォーメーションの音楽にとってどのような意味を持つのでしょうか?

ウィル:パーカッションはものすごく大事なんだ。ドラムで基本的なグルーヴを作っていくんだけど、タンバリンやコンガでアクセントをつけていくようにしていて。というのは、パーカッションっていうのは昔から触れてきたから、もはや自分たちの一部なんだよ。僕たちには使う必要があるし、そういった側面を出していくことは僕たちにとってすごく重要なことなんだ。

ディスコやハウスからの影響もありますか?

ウィル:いや、僕にとってはアフリカ音楽やオーケストラ音楽からの影響が強いんだ。僕の好きなドラマーがクラーベとアフリカ音楽の関連性についての本を書いているんだけど、それもすごく読んだしね。

そうなんですか。アフリカ音楽とはとくにどういったところにコネクションを感じますか?

ウィル:僕たちの家族がガーナ出身なんだ。

ああ、なるほど。ルーツという意味が大きいんですね。

ウィル:そうなんだよ。

パーカッションが目立つこともあって、ファーメーションの音楽はリズムとベースが中心でとてもダンサブルですが、なぜダンス・ミュージックであることが重要だったのでしょう?

マット:みんなの身体を動かしたいからだよ。そうやってオーディエンスの反応を見るのはすごく楽しいことだし、みんなが楽しんでいる姿を見るのは嬉しいね。

やっぱりライヴはみんな踊りまくるって感じですか?

ウィル:その通りだよ(笑)。

あと、ギターがなくてシンセが中心にあるのもバンドとしてユニークですが、どうしてシンセだったのですか?

ウィル:バンド・メンバーにギターを弾けるやつがいなかったから……。そこはシンプルな理由なんだ(笑)。

ははは。ただ、それにしてもシンセの音色がすごく前に出てるなと思うのですが、シンセのどういうところが好きですか?

マット:シンセはあらゆるサウンドを作ることができるからね。ギターってやっぱりギター・サウンドになっちゃうから――

ウィル:ペダル使えばいろいろできるじゃん。

マット:そうなんだけど、シンセはスケールが全然違うよ。いろいろな音色を出せるのが魅力なんだ。

シンセ・サウンドという意味で、誰かからの影響はありますか?

ウィル:(即答で)ナイン・インチ・ネイルズ。

ああ、なるほど。

ウィル:あとはYMOだね。

マット:YMOはいいね。

おお、本当にいろいろな音楽から影響を受けているんですね。

どんな理由であっても誰に対しても、繋がりを感じられないことが僕はすごく嫌なんだ。誰かと繋がりを持つということがすごく大事だと思っているから (ウィル)

ではまた話題を少し変えて、(ザ・ストリーツの)マイク・スキナーが監督した“パワフル・ピープル”のヴィデオについて訊きたいのですが。あれはどういう経緯でできたものなんでしょうか?

マット:レーベルのひとと彼が友だちだったんだ。マイクがミュージック・ヴィデオを撮りたくていろんなレーベルにアプローチしていたらしいんだけど、自分たちもちょうどヴィデオが必要で、たまたまそのタイミングが合ったんだよね。それでレーベルが繋いでくれたんだ。

ヴィデオを撮る前は、あなたたちにとってマイク・スキナーってどういう存在でしたか?

ウィル:もう大ファンだったよ。

マット:もともと大好きだったけど、仕事をいっしょにしてからこんなにも賢いひとなんだって気づいたんだ。

ウィル:ひとに対しての知識がすごくあったのが印象的だったな。

マット:ヴィデオを撮る前に何度か電話でアイデアを話したんだけど、彼の声もすごくユニークなんだよね。ザ・ストリーツのラップを聴いてるような気分だったよ(笑)。

それはいいですね(笑)。彼とヴィデオについてどういったことを話し合ったのでしょうか?

マット:インディ・バンドのためのグライムのヴィデオを作ろうというのがコンセプトだったんだ。

ああ、なるほど。

マット:ただグライム・アーティストをコピーするんじゃなくて、グライム風にバイクに乗った連中を撮るっていうか――

ウィル:本当に即興的にバンドの姿やモーターバイクを撮って。そこで自然に起きることに任せたんだけど、それがすごく楽しかったよ。あんまり計画的なものではなかったんだよ。

ちなみになんですが、ザ・ストリーツのアルバムではやっぱりファーストがフェイヴァリットですか?

ウィル:うん、やっぱり『オリジナル・パイレーツ・マテルアル』だね。本当にユニークで、最初に“ハズ・イット・カム・トゥ・ディス?”を聴いたときはラジオが壊れたと思ったよ(笑)。ディジー・ラスカルもそうだけど、他のラップとは全然違ったよね。

ほんとそうですね。“パワフル・ピープル”というのも強い言葉ですが、歌詞にある「マイ・パワフル・ピープル」というのは誰のことを指しているのでしょうか?

ウィル:自分が繋がりを感じられるすべてのひとのことを指してるんだ。どんな理由であっても誰に対しても、繋がりを感じられないことが僕はすごく嫌なんだ。誰かと繋がりを持つということがすごく大事だと思っているから、そんな意味を込めて「マイ・パワフル・ピープル」と呼びかけているんだよ。

なるほど。フォーメーションの音楽には怒りはあるのでしょうか?

マット:あるね。怒りから生まれるポジティヴなエネルギーってあると思うんだ。壁にパンチする代わりに僕たちは音楽をやってるんだ(笑)。たとえばリーズですごくいいショウができたことがあるんだけど、ショウの前は何もかもうまくいってなかったんだよね。プラグインやら何やらがちゃんとできなくて、開始も遅れてみんなイライラしながらステージに立ったんだけど、その苛立ちがうまく機能してベストなショウができたんだよ。そういうエネルギーは僕たちの曲にあると思う。

曲のなかでは、何に対する怒りが込められているのでしょうか?

マット:いや、音楽に関しては怒りと同じエネルギーがあるというだけで、何か特定のものに怒っているわけではないんだ。

なるほど、わかりました。では、フォーメーションの音楽からはストリートで生きるという態度を感じるのですが、いっぽうで、現在のインターネット・カルチャーについてはどんな風に感じていますか?

ウィル:あんまりいいとは思えないよね。いろんなひとが繋がれるという意味では便利なんだけど。たとえばフェイスブックなんかでも、みんなが自由にできるのはいいことなはずなのにかえって争ってるんだよね。フェミニズム対アンチ・フェミニズムとかね。僕はそういうところはどうかと思うな。

フォーメーションってあんまりフェイスブックが似合わない感じしますもんね(笑)。

ウィル:そうだね(笑)。

マット:僕はソーシャル・メディアも嫌いじゃないよ(笑)。どう使うかなんだよね。

ウィル:まあ、地球の裏側のひととも話せるしね。使い方を間違えなければすごく機能するものではあるんだけどね。

その通りですね。では時間なので最後の質問なのですが、バンドの現在の最大の野望を教えてください。

マット:日本に戻ってくることだね。

(一同笑)

マット:あとはやっぱりセカンド・アルバムだね。今年にはもう出したいと思ってるんだ。

おお。どんなセカンドが理想ですか?

ウィル:ファーストとまったく違うものだね!

行松陽介 - ele-king

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ハテナ・フランセ - ele-king

 ご存知の通り5月7日フランスの大統領選は決戦投票の結果エマニュエル・マクロンが大統領に選ばれた。その選挙戦について振り返りたく。

 まずは今回の大統領選があらゆる段階で番狂わせだったということから。マクロンがオランド政権時に経財相を辞任し自らの党を立ち上げた時は誰も彼が大統領になるなどと想像していなかった。オランド政権が史上最低の支持率を記録し2期目を諦めた時、フランスのこれまでの大統領選の流れだと、左派政権の政治に国民が不満を抱くと次期は右派政権に移る、という右派左派交互の政権の移り変わりが常だった。オランドのあまりの不人気に左派でさえ次は右派が政権を握る以外考えられないという状況になった。450万人というとてもいいスコアの投票の結果、右派予備選ではフランソワ・フィヨンが当選した。事前の予想では中道寄りアラン・ジュペが当選するとされていたが、ここに1つ目の番狂わせが。右派の中でもばっちり右寄り非常に保守的なフィヨンは、中絶に反対するほどのゴリゴリのカソリックで伝統主義者。保守的なブルジョア層に支持されていた。左派社会党の予備選は票が割れ、結果社会党の中でももっとも左寄りのブノワ・アモンが当選した。だが彼のカリスマ性の欠如からか政策からか社会党の党員からも「選挙ではマクロンに投票する」という裏切者も出る始末。社会党支持者はフィヨン対マリン・ルペンという悪夢のような大統領選決選投票を想像し身震いしたようだった。

 ところが大統領選が本格化すると、なんとフランソワ・フィヨンが妻と子供をスタッフとして雇用した給与不正疑惑でどんどん支持率を下げ沈没。左派は脱EU、大統領の権限を弱めるといったフランスの現状を大きく変えるような公約を掲げる極左政党左翼党首ジャン=リュック・メランションがアモンを追い上げた。メランションはエゴ肥大のきらいがあるほどカリスマ性が強く、同時に2箇所で政治集会を催し1箇所ではホログラムで登場するなど、左派にしては派手でアクが強く、そこが従来からの左派インテリには押しつけがましいと嫌われる原因となり左派も今ひとつまとまり切れず。結局左派、右派のこぼれた支持者を持って行ったエマニュエル・マクロンと大方の予想通り極右政党国民戦線のマリン・ルペンが決選投票に残った。
 フランス政界の色物としてガヤ担当であった父のジャン=マリー・ルペンが決選投票に残った2002年のフランス国民の驚愕と焦燥とは打って変わって、マリン・ルペンが決選投票に残ることは、フランスの”良心的”な人の間では不本意ながら織り込み済みだった。本名のマリオンではなくフランスのお国カラーであるマリン・ブルーのマリンに名前を変えるイメージ戦略を持てるマリン・ルペンは、自身や国民戦線をフランス政治に介入する思想を持ち得る政治家であり政党であるとちゃんとマーケティングする能力を持っていた。

 ブルジョワ階級出身で元投資銀行員のマクロンは、子供たちを相手にしたC8という局の番組に出演した時に、フランスの標語である「自由・平等・博愛」を引き合いに出し、右派は国民の自由を尊重し不平等には目を瞑る、左派は人々の平等に重きを置き、それに伴う不自由さは仕方なしとする「僕の主義はその両方を少しずつ足して博愛を目指す」と主張した。うまくまとまってはいるが、本当のところよくわからない主張がマクロンのイメージそのもののようだった。
 ゴシップ誌は一時、国営ラジオ局のCOEを務める40歳の濃厚イケメン、マチュー・ガレがマクロンの本当の恋人であると書き立てた。その前からインテリ層でも保守層でも、マクロンがマザコンでホモセクシャル、もしくはバイセクシャルであることはまことしやかに語られていたらしい。このことは当然、妻のブリジットが25歳年上であることからくる噂話だったが、保守層はオープンにさえしなければ見なかったことにするし、オープンな考えを持つ層は逆に夫が25歳年上だったらそんな噂さえ立たないはず、と怒りの矛先をポリティカリーコレクトネスに向けたので、特にマクロンのマイナスにはならなかったようだ。

 結果66%超えの得票率でエマニュエル・マクロンが大統領に当選した。だが史上最年少や既成政党外候補など、革新的要素があるにも関わらず、今回の選挙戦は真っ最中も結果が出たあとも盛り上がりに欠けた、という印象が拭えない。私の周りは左派的思想の人が多かったが、そうでない層でも多くの人の不満の内容は「最悪の結果を避けるために自分が支持してない人に投票するのはもううんざり」というようなものが多かった気がする。

 フランスでは国民に政治参加意識が全般的に強い。大統領からして自分たちの投票が直接結果になる繋がるシステムだし、政府が新たな法案を通そうとした時にデモが起き(まあ大抵の場合起きる)、その規模が大きければその法案は引っ込められたりする。だから、デモに参加するのもしないのも自分の政治的意思表示であり、皆意味のある行為としてけっこう真剣に捉えている。そんなフランス人からすると自分の意思が反映されない消去法での投票は我慢ならないのだろう。そんな不満たらたらの国民もマクロンの内閣組閣にはほぼ満足のようだ。内閣中50%を女性にし、なおかつオランド政権より重要なポストに女性を配置。左派、右派のバランスも良く経済系は右派、労働系は左派、そしてそれぞれの分野の専門家をポストにつけるなど、メランションが挑発的に「ずる賢い」と評価するほどの組閣ぶり。そして目玉は国務大臣兼環境移行・連帯大臣という重要なポストに環境保護活動家ニコラ・ユロを引っ張ってくることができたことだろう。ミッテラン時代から大臣にと請われては断り続けてきたユロがおそらくタイミングが合ったという理由で大臣職に着いたことは大きな売りになる。フランス議会総選挙を6月に控えて第一関門はクリアといった感のあるこの政権が、文句の多いフランス国民のお眼鏡にかなう政治が本当にできるのか、投票権のない私もじっくりと見ていきたい。

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