Home > DJ Chart > 行松陽介 > 行松陽介- ZONE UNKNOWN List
Vatican Shadow - Rubbish Of The Flood Waters - Ostgut Ton 104 Berlin TECHNOの牙城BERGHAINが運営する〈Ostgut Ton〉からVatican Shadowがリリースする時代になりましたよ皆さん。混迷を究める現代社会においてVatican ShadowことDominick Fernowは様々な名義を使いながらアメリカの動向を告発するような長ったらしい曲名を付けてきました。今作に収録された3曲のタイトルは“They Deserve Death(奴らは死に値する)”、“Rubbish Of The Flood Waters(洪水による廃棄物)”、“Weapons Inspection(兵器の点検)”。今の日本にも当てはまりますね。“Rubbish Of The Flood Waters”は少し変わったタイミングでスネアが入るものの、4つですんなり割り切れる構成になっていますが、“Weapons Inspection”は7小節に一度だけスネアが入ったり、途中から3拍フレーズが入ってきたりと地味にタイム感を狂わせてくる仕掛けが施されていてさすがだなと思わせてくれます。They Deserve DeathはノンビートBPM80の陰鬱なメロディアストラックで、BERGHAINでプレイする時にはこの曲に後述するTobias.のトラックをLONG MIXして始めたい。 |
|
Tobias. - Eyes In The Center - Ostgut Ton LP25 好奇心、探究心、共に旺盛で自らのスタジオNon Standard Studiosを持ち、最近はRicardo Villalobosとのコラボレーションに熱心なMax LoderbauerとのNSIとしても活動、自らマスタリングも手がける職人肌でBerlin TECHNO勢の中でも異彩を放つTobias.。先行してリリースされた12”「Helium Sessions」のB sideは2曲とも最近のHOROやHidden Hawaiiにインスパイアされたと思しきDrum’n’Bass BPMのトラックで、そういう曲がアルバムではさらに増えるのではないかと期待していましたが、今作ではFootworkインスパイアな“Autopoiesis”のみがBPM80を記録するに止まっています。しかしながらバラエティに富んだ曲調、ユニークな音使い、今作も期待を裏切らないハイクオリティーな逸品となっております。 |
|
SUMS - SUMS - Berlin Atonal Recordings 004 もうひとつBerlinから。よりexperimentalな音楽の探究を続けるfestival 〈Berlin Atonal〉がリリースするvinylシリーズ4番。詳細不明アーティストによる3曲入り。Raimeを少し朗々とした感じと言えばいいだろうか、それでも陰鬱には違いないがあそこまでの絶望的感覚とは違って、どこかに希望の光も射しています。特にA2の“Matha”は。B sideの“Nomads”は33rpmが正しそうですが、45rpmでも切れ味が増してかっこいいです。 |
|
Robert Aiki Aubrey Lowe - Kulthan - Latency Recordings 011 続いてお隣のFranceから。地味渋優良レーベル〈Latency〉がまたしても絶妙なアーティストをセレクト。Robertらしい呪術的にうねりまくるロングトラックが両面に1曲ずつ収録されています。特にfuchsia色のA sideが私のお気に入りです。頭おかしくなりそう。最良の部類に入るトリップミュージック。 |
|
Félicia Atkinson - Hand In Hand - Shelter Press 081 もうひとつFranceから。いつもジャケットからインナーまでデザインが素晴らしく、ひとつひとつをアート・オブジェ作品として発表し続ける〈Shelter Press〉。今回のレーベル主催者Féliciaによる2LPは、1枚は白、もう1枚は緑の美しいカラー・ヴァイナル。マスタリングはHelmut Erler。〈Editions Mego〉のPeter RehbergによるINA-GRM音源の発掘プロジェクト〈Recollection GRM〉も素晴らしいリリースが続いていますが、Franceのお国柄なのか、INA-GRMの精神を引き継いでいると思われるのが現行の〈Shelter Press〉。Féliciaの作品においては詩も重要な要素に違いありません。幸い今作は英語詩が多いのですが、それでもまだ私の英語力ではほとんど理解できないので、音を中心に、と言っても詠まれる詩も音なので当然耳に入ってきますが、聴き進める事になります。繊細なNOISEや美しいメロディーが織り込まれてゆく上で、ささやくように、時に変調された声で、詩が詠まれ、探究と洗練が同時に深まって行くような、musique concrète発祥の地における現在の果実。LYRICS INSPIRATIONとしてANIMALS(PINK FLOYDの1stの事と思われる)、PHILIP K. DICK、J.G. BALLARDと記されているので、もっと英語を勉強して詩も理解できるようになりたい。本ももっと読みたい。ラストトラックの“No Fear But Anticipation”の美しさは白眉で、感動的。クレジットの最後に記された、HAND IN HAND, TOWARDS THE DARKNESS(手を取り合って、闇へ向かって行く)が、現代の世相を表している。その闇の先に射すであろう光を目指して。 |
|
Various Artists - SEMANTICA 2006-2016 - SEMANTICA 10.IX さらにお隣のスペインから、〈SEMANTICA〉の10周年を記念した12”シリーズの9枚目。Polar Inertiaは12:30うねり続けるロングトラック。SvrecaとNeelの共作はシンプルな4つ打ちの上をゆっくりと時間をかけてノイジーな上音がうねっていく。そしてSvrecaのMIX『For Your Eyes Only』に収録された“Sway”以来、再びDJ NOBUがSEMANTICAに。16分に分解された音たちがうねりながらその上に気持ち悪くて気持ち良い発信音のような音がミヨ~~んと絡んできて最高です。TECHNOを説明する言葉は乏しくなってしまいますが、全トラック間違いなしのクオリティーです。 |
|
Helm - World In Action - The Trilogy Tapes 055 海を渡ってEnglandへ。Helm × TTT。最近また興味深いリリースが増えてきたTTT。A1. “Blue Scene”は阿部薫かと思うような速いパッセージのブロウで幕を開け、フェイドアウト。ラジカセの再生ボタンを押すような音がして管楽器の緩やかな旋律がループし始める。その上で冒頭のパッセージがループしたりパンしたりと様々なヴァリエーションで挿入されながらヒートアップしていく。バックではBPM100でリズムがキープされているのでDJでも使いやすい。A2. “Candy”はBPM70/140のビートが現れては消えていく。そのビートが無いと拍を見失ってしまうような、音はかっこいいが奇妙なビートが続く。B1. “World In Action”はHelmにしては珍しく強烈にビートが主張しているトラックで、かっこいい。B2. “After Dark”はHelmらしい様々なディテールが何層にも折り重なっていき、複雑なハーモニーを生み出すドローン・トラック。クラブで爆音で聴きたい。きっと何かが見える。 |
|
Kara-Lis Coverdale - Grafts - Boomkat Editions 12X1204 もうひとつ、何かが見えそうなものをEnglandから。過去にTim Heckerとコラボレイトしたり、Mexicoの〈Umor Rex〉から作品をリリースしたりしている彼女が、マンチェスターのレコード・ショップ〈Boomkat〉のレーベルから。12” 12枚で完結するというこのシリーズ、次の作品がどんなものになるのか全く予想がつかないラインナップで非常に興味深い。今回の作品はとても穏やかで、優しい音色に包まれます。コンピューター処理された声だけを使って構成された彼女の2014年の作品『A 480』での技法を発展させたという3つのパートからなる“Grafts(接ぎ木)”。今回は対位法を使って様々な楽音が絡み合い、豊かな音場を形成。夕暮れ時の草原か、海辺で聴きたい。溶けそう。 |
|
Jlin - Black Origami - Planet Mu 376 大西洋を渡ってシカゴから。レーベルはヨーロッパだけど。遂にJlinの新作が登場。驚いた事にWilliam Basinski、Holly Herndonとのコラボレーショントラックも収録。彼女の登場は様々な方面に衝撃を与えたようですね。Fawkes(先ごろ〈Halcyon Veil〉から作品をリリースした)とは〈Planet Mu〉20周年コンピでも共演。今回も参加しています。1stアルバム『Dark Energy』が強烈だったのでそれほどの目新しさは無いのですが、総じて音の粒立ち、抜け、伸び、などのサウンド・クオリティが向上しているような気がします。とにかくJUKEでDJするのはすごく楽しいので、かっこいいレパートリーが増えるのが僕は一番嬉しい。JUKE / FOOTWORKというフォーマットがこれからどうなっていくのか、とても楽しみです。 |
|
I-LP-O IN DUB - Capital Dub Chapter 1 - Editions Mego 225 Mika Vainioの訃報と時を同じくして届けられたIlpo Vaisanenの新作。寡作の彼がこのタイミングでリリースとなったのも何かの因縁か。マルクスの『資本論 第1部』に影響されたと言われてもよくわからないが(恥ずかしながら読んでいない。これを機に読もう)、抑制されていながらも強靭で非凡なサウンドデザインは唯一無二。B2. “Grey Zone Economy”の低音は物凄い音が鳴ります。Pan Sonicはふたりともレゲエが大好きらしいけど、多分Ilpoの方がその愛情が深いような気がする。こんなふたりが一緒にやってたなんて、なんて奇跡的なユニットだったのだろうと思わざるをえない。もうPan Sonic再結成の望みは絶えてしまったけれど、Mikaはたくさんの素晴らしい作品を残してくれました。ありがとう。Rest in PEACE。ラスト・トラック“Grace Of Collapsing Unhealthy System”だけが特に異質で、いちばんMikaっぽいのが泣ける。 |
6月9日 金曜日 at Contact dB#2 Emptyset
https://www.facebook.com/events/644808495707744??ti=ia
6月22日 木曜日 at Stomp MixngRoom
6月24日 土曜日 at union Satellite
https://www.facebook.com/events/1548191905199158??ti=ia
6月30日 金曜日 at 上海 with Yves Tumor & Tzusing
7月8日 土曜日
at CIRCUS OSAKA with 呂布カルマ
at WWW Lounge Ramza"pessim"Release Party
http://www-shibuya.jp/sp/schedule/007855.php