ダフト・パンクが新作でジョルジオ・モロダーをわざわざ呼んで喋らせているのには呆れたが、それでもオーセンティックなディスコ・サウンドに乗せて「私の名前はジョヴァンニ・ジョルジオ」と彼が告げると、その瞬間は反射的に興奮しなくもない。が、その次の瞬間、我に返りもする。そこには終わっていくものに対しての共犯意識が作り手と聴き手のあいだに予め用意されているかのようで、その意味であのロボットたちは変わらずシニカルだ。彼らが作った映画『エレクトロマ』の死のイメージを思い浮かべたりもする。そんなアルバムが現象的に世界で大ヒットするのは、何とも皮肉めいている......と思う(そしてそれをアンビヴァレントな気分で楽しんでしまう自分もいる)。
同じ日に買ったマウント・キンビーのセカンド・フルに当たる本作には......そういったアイロニカルな地点から素早く自然と身をかわすかのように、これから生まれゆくもののざわめきが息づいている。ポスト・ダブステップの三大エースであるジェイムス・ブレイク、ダークスター、そしてマウント・キンビーがブリアルの「ゴースト」というモチーフをデビュー作で引き継ぎながらも、2作目においてそれぞれのアプローチで歌へと向かっているのは、歪められた声のサンプル、亡霊や死のイメージと訣別していくかのようだ。飛躍かもしれない。だが確実に、ドミニク・メイカーとカイ・カンポスのふたりはここで、過ぎ去ったことを振り返ろうとしていない。
誰もが指摘するようにバンド・サウンドや生楽器の大々的な導入、そして歌......が根本的な変化ではあるものの、楽曲の構成要素自体が『クルックス&ラヴァース』と大きく異なっているわけではない。クリック音が粒になって転がるようなビート、控えめながらダビーなベースライン、メランコリックな和音やメロディ。ダブステップと地続きの不穏なムードからも、ダークスターほど離れたわけではない。だが、キング・クルーが独特のダルそうな節回しで歌う2曲目の"ユー・トゥック・ユア・タイム"はどうだろう。抽象的な空気を生み出すシンセ音が浮遊するなか、ギターとドラムの生音が慎重に寄り添い、やがて声の主はそのエモーションを狂おしく低音へと変換する。ポスト・ダブステップという言葉ではもはやカヴァーしきれない範疇まで足を踏み入れているし、そしてまた、IDMとテクノとダブステップとシンセ・ポップのどこにも収まろうとしていない。そもそも94年生まれのシンガーソングライターであるアーチー・マーシャルを召喚する姿勢からして、マウント・キンビーは一貫していると言えよう......これからの可能性しか見えていないのだ。もう1曲、彼が出現する"メーター、ペイル、トーン"もまた、ブリアルとボーズ・オブ・カナダの血を引き継いでいることを自覚しながら、彼らとは違う領域で......よりバンド・サウンドのフォーマットを駆使しながら、憂鬱とも倦怠とも言い切れないフィーリングに聴き手を陶酔させる。
アルバムでは、可能な限り様々な試みをしているようだ。彼ら自身が歌うムーディなシンセ・ポップがあれば("ホーム・レコーディング")ダブステップもあり("サラン・グラウンド")、ギター・ロックとシンセ・ポップとIDMを足して割り切らないようなインスト・ナンバーもあり("ソー・メニー・タイムス、ソー・メニー・ウェイズ")、マッシヴなビートの上でフュージョンとアンビエントを同時にやっているようなトラックもある("スロウ")。そしてまた、それらは「これで完成」というフォルムを作っていないように思える。アルバムのなかでもっともよく出来ているトラックはおそらくファースト・シングルとなったハウシーなダンス・ナンバー"メイド・トゥ・ストレイ"だろうが、それにしたって、キャッチーな歌が入りこれから盛り上がりそうなブレイクを挟んだところで、しかし4分台であっさりと終わっていく。ふたりはお決まりのパターンを拒みながら、音の興味の対象を一枚のなかで性急に移していく。
メランコリックではあるが、同時に喜びに満ちた作品だ。マウント・キンビーは自分たちの得意とするところを発展させながらも、それをも侵食する挑戦に身を投じ、そのせめぎ合いこそを楽しんでいる。「ポスト~」としか説明できなかった場所から現れた才能たちが、なおも名づけられない荒地へと勇敢に進んでいる。その姿には、曇りのない興奮を覚えずにはいられない。
「Sã€ã¨ä¸€è‡´ã™ã‚‹ã‚‚ã®
先週はアーヴィング・プラザ(Irvingplaza.com)という比較的大きめの会場に、アナマナグチという8ビット・パンク・ポップ・ダンス・バンドを見に行った。

メンバー4人、ニューヨーク・ベースの彼らの特徴を上げる:「蛍光色」「アニメ」「ヴィデオゲーム」「ライトアップ」「かわいい」「おたく」
サイト(https://www.anamanaguchi.com)からもわかるように、彼らには、たくさんのこだわりとアイディアがある。それに同意する人がいかに多いのかという結果として、最新アルバム「endless fantasy」を作るためにキックスターターで、189.529(=200万弱)をレイズした(https://www.kickstarter.com)。
会場は、半分がおたく男子(ナード、ギーク、でもスタイリッシュ)。彼らに向ける声援もアイドルのようだ。目を閉じるとゲーム音楽が流れ、目を開けると蛍光カラーのライトが反射するステージが飛び込んでくる。
このライトに関して言うと、ベースのジェイムス(彼のベースの弦は、4色とも蛍光カラー、ネットで購入したらしい)は自分の家の地下室にライト研究室を持つぐらい、蛍光ライトにこだわり、さらに映像と音のシンク、ステージでのプレゼンテーション全てをケアしている。ギターのアリーは、蛍光グリーンの髪に(最近黄色から変えた)、蛍光オレンジのキャップ、蛍光ピンクのTシャツに、蛍光イエローのギターで、見た目はアニメキャラ。
メンバーが着ていたのは、ブルックリンのファッション・レーベルRHLS/ルフェオ・ハーツ・リル・スノッティ(https://rhls.com/)、ウィリアムバーグ・ファッション・ウィークエンドでもおなじみの彼らは、アナマナグチと同じ世界観、ファンタジーの世界を生きている。ウィリアムズバーグにmovesというコンセプトストアも運営している(https://movesbrooklyn.com/)。
基本インストなのだが、ゲスト・ヴォーカルが入る曲もある。今回は、アイルランド人の女子(歌が下手なきゃりーぱみゅぱみゅ風)と、女性R&Bシンガーがアナマナ好みにサンプリングされていた。ライヴの最後には、今日の観客から引っ張り出されたような、ヒップスター女子ふたりが登場(柄物レギンスにボーイフレンドT)、歌い終わったあとは、客席へダイヴするのだった。
彼らの音楽は、アメリカのアタリや日本の任天堂、サブカルのごちゃ混ぜ感を、音楽+映像をプラットフォームに表現している。インディ・バンドのように心に訴えかける力やハングリー感はないが、音楽に対する熱意やアイディアは相当ある。オタクというと気持ち悪いというイメージもあるだろうが、新世代のオタクはヒップスターなのだ。バンドというフォーマットにこだわらず、自分が操作できる装置を使って、自分たちの娯楽を作っている。
このショーを見ながら、私はオブ・モントリオールを思い出した。どちらも現実を忘れさせるほど、ファンタジーの世界を捻り出している。ヴィジュアルやステージでのパフォーマンス、ライティングに定評があるが、その裏では果てしない奮闘を繰り広げている。
ちょうどアナマナグチのショーの3日後に、オブ・モントリオールを見たのだが、ステージを盛り上げるゲスト(シアトリカル・パフォーマー、女性ヴォーカリスト)、ライトショー(白い布を来た人がステージの中心に立ち、そこに映像が当てられる)など、音楽以外にさまざまなおまけが付いてきて、アナマナグチよりストーリー性を感じた。
ライトショーは前回もあったが、今回は人の体のラインや形によってライトの当て方を変え、まるで動くプラネタリウムを見ているようだった。新曲からヒット曲をまんべんなくミックスし、全曲スムースに進む。まったくソツがない。
バンドとして全体を見たとき、勢いなのか、新しいことをやっているワクワク感なのか、アナマナグチの方にパワーを感じたが、オブ・モントリオールは経歴も長いし、今回のツアーも後半に差し掛かっている。そこを差し引いても、オブモンはオーディエンスを楽しませること、アナマナグチは自分たちが楽しむことをいちばんとしているように思えた。
オブ・モントリオールはその足で、日本(6/1タイコクラブ)に行くので、多くの人に是非ライヴを体験して欲しい。
![]() AOKI takamasa RV8 Rater-Noton/p*dis |
村上春樹がなぜ海外であんな評価されているのかと、英国在住のある人に尋ねたところ、エキゾチック・ジャパンではないところが良いのではないかという答えをもらった。欧米の理屈のなかで解釈できると。なるほど。
これ、読み替えれば、世のなかにはエキゾティズムをかさにして輸入されるものは多くあれど、ハルキはそれを売りにしていない、ということにもなる。三島由紀夫も、相撲も舞踏も、オタク文も、良い悪いは別にして、エキゾティズムないしは物珍しさとして受け入れられているフシは隠せない。とくにパリとか、博覧会気質の伝統なのだろうか......。アメリカとか......。
エキゾティズムは使いようだ。本サイトで公開されているアシッド・マザーズ・テンプルのインタヴューを読めば、こうした眼差しを逆手にとるように、敢えて確信犯的に利用しているところが見える。YMOにもそれがあった。ケンイシイやDJクラッシュもそれを利用している。ボー・ニンゲンの写真を見ると、ジャックスのような髪型が欧米では「JAP ROCK」のイメージとして機能していることがわかる。
しかし、今日、欧州でもっぱら評判の日本人電子音楽家のひとり、タカマサ・アオキ(青木孝允)の音楽にそれはない。彼が何人だろうと、髪型がどうであろうと彼の人気とは関係ない。大阪出身のこの音楽家の作品の評判は、純粋な音としてヨーロッパ大陸で広がっている。
彼は、新世代への影響力もある。赤丸急上昇の大阪のレーベル〈Day Tripper〉を主宰する25歳のセイホーがテクノを作るきっかけは、ヨーロッパへ渡航する前のタカマサ・アオキだった。
2001年1月、東京の〈Progressive Form〉からデビュー・アルバム『Silicom』をリリースした彼は、その後、同レーベルからの諸作、そして〈Cirque〉やロンドンの〈FatCat〉、〈Op.disc〉や〈Commmons〉、ベルリンの〈Raster-Noton〉等々、さまざまなレーベルからコンスタントに作品を発表し続けている。どの作品もファンから好まれているが、とくに2005年に〈FatCat〉からリリースしたツジコノリコとの『28』(これはちとエキゾだが茶目っ気がある)、そして、〈Op.disc〉からの『Parabolica』(2006年)、〈Raster-Noton〉からの「Rn-Rhythm-Variations」(2009年)といった作品は彼の評判を決定的なものにしている。また、初期の頃は、オヴァルやSNDあたりのグリッチ/エレクトロニカ直系の音だが、〈Op.disc〉と出会って以降は、より強くダンス・ミュージックを意識するようになったと言う。
今作『RV8』は、この7~8年のあいだに発表した12インチ・シングルの「Mirabeau EP」や「Rn-Rhythm-Variations」、今年に入って〈Svakt〉からリリースされた「Constant Flow」、これらミニマル・テクノの新しいヴァリエーションとしてある。エレクトロニカの実験精神を残しつつも、作品はファンキーに鳴っている。押しつけがましくはないが、確実にダンスのグルーヴを持っている。バランスが良いのだ。
彼のファンクは上品で、アンビエントめいたところもあるので家聴きにも適している。ルーマニアのアンダーグラウンド・パーティの起爆剤としても使われ、アート・ギャラリーのBGMとしても機能している。サカナクションの音楽にもフィットするし、ヨーロッパを自由に往来する感覚はNHK'Koyxeиにも通じている。新作のマスタリングは砂原良徳、いま、タカマサ・アオキの音楽には、10年前よりもさらに多くの耳が集まってきている。
テクノは、ぜんぶの音楽の最終地点だという気がするんですよ。全ジャンルの......ダンス・ミュージックは当たり前だけど、クラシックも、ブレイクビーツも、レゲエも、ダブも......ぜんぶみんな......
■青木君は、なんでそんなにテクノという言葉にこだわっているの?
青木:テクノは、ぜんぶの音楽の最終地点だという気がするんですよ。全ジャンルの......ダンス・ミュージックは当たり前だけど、クラシックも、ブレイクビーツも、レゲエも、ダブも......ぜんぶみんな......
■ロックも?
青木:あ、ロックも......あるかもしれないですね、(小節の)頭にしかタイミングがないような、パンパンパンって(笑)。ギターのディストーションの質感とかね、あれもテクノだし、サカナクションのようなバンドもそうだし、ぜんぶの音楽の行き着く先がテクノだという気がしますね。
■それは斬新な意見ですね(笑)。テクノとは、普遍的な音楽であり、雑食性の高い音楽であると。
青木:ハイブリッドの極みですね。そして、シンプリシティの極みというか......すべてシンプルにして、すべて飲み込んで、すべてどうでもいい、踊るーっということに意識を集中させるのがテクノだと思うし。そういう意味で、コンピュータも生音もふくめて、ぜんぶを統括するのがテクノだと思いますね。
■すごいね。
青木:個人的にそう思っています。音も好きやし、字面も好きやし。
■字面(笑)。
青木:アルファベットで書いてもカタカナで書いても。
■自分の音楽のハイブリッド度合いは高いと思う?
青木:わからないです。自分はそれはただ意識して作っているだけなんで、それが他を比較してどうかはわからないです。自分ではそういうものなんだと思い込んで作っています。
■青木君は、最初からテクノだったの?
青木:中学生のときから打ち込みの音楽が好きになって、高校生のときに機材持っている友だちに教えてもらって作った。ジャンルとかはぜんぜん知らなくて、ただ、自分が好きなリズムを打ち込んで作れるってところに興味があったんですよね。リズムに興味があったんで。それがテクノだろうがレゲエだろうがヒップホップだろうが、良いリズムであればなんでも良かった。
■メロディよりもリズムだったと。
青木:リズムっすね。
■なぜヒップホップにはいかなかったの?
青木:ヒップホップは作ってたんですけど......、ちょっと言葉汚い感じが自分には合いませんでした(笑)。
■ハハハハ。
青木:でも、ヒップホップのトラックは好きですよ。だって、最初に作ったのはヒップホップでしたからね。自分で叩いた音か、レコードのドラムブレイクをサンプリングして作ってましたからね。ヒップホップのスタイルなんですよ。ブレイクビーツというのかヒップホップというのか、僕、そういうジャンル分けはわかんないんで。
■リズムの面白さを追求するなら、それこそブレイクビーツ、ジャングルとかドラムンベースとか、他にもあるじゃないですか。そうじゃなくていまのアオキ君のスタイル、ミニマルな方向性に行ったのはどうしてなんですか?
青木:作為的なものよりも、問答無用に感動するほうに意識がいったかもしれない。「こうだから良い」とか、「この人だから良い」とか、ただ「良い」っていう。何も知らずに初めてそこに来た人が「良い」と思えるようなもの、「なんか知らんけど良い」っていうか。そういう思考を挟まない良さがリズムにはある気がしました。
■ピート・ロックが作るビートだって、本能的に「良い」と感じてると思うよ。
青木:わからないです。ピート・ロック知らないです。
■DJクラッシュでもプレミアでも、本能的に「良い」ということだと思うんだけど。
青木:僕、聴いてないんで、わからないです。
[[SplitPage]]F1とか、レースのエンジン音にすごく興味があって。あれって、アンプとかスピーカー関係なく、モノが燃焼によって鳴っているじゃないですか。スピーカーとか関係なく音が鳴るってところにすごい興味があって。ぜんぶのパーツがその回転させるためだけにあって、良い素材を集めてあの音が鳴るっていうところに美しさを感じて。
![]() AOKI takamasa RV8 Rater-Noton/p*dis |
■青木君が本能的に「良い」と思った作品って何?
青木:ファンクのレコード、ドラムのブレイクとか、リズム、「誰か知らんけどココ良い」とか。
■はぁ。
青木:そういう感じ。
■いちばん最初に興味を持ったのは、エンジン音なんですか?
青木:F1とか、レースのエンジン音にすごく興味があって。あれって、アンプとかスピーカー関係なく、モノが燃焼によって鳴っているじゃないですか。スピーカーとか関係なく音が鳴るってところにすごい興味があって。ぜんぶのパーツがその回転させるためだけにあって、良い素材を集めてあの音が鳴るっていうところに美しさを感じて。
■はぁ。
青木:クラブが、ダンスという機能のためにすべての機材があるように。とにかくあの鳴る感じがすごいと好きで、しかも美しい音で。野蛮で美しいところに。あんだけ金かけて、ただ速く走るためだけに金をかけているあのアホさ。
■ハハハハ。
青木:それとダンス・ミュージックに近いモノを感じたんですよね。
■エレクトロニック・ミュージックに行ったのは何故?
青木:自分に演奏技術がなかったのと、自分が欲しい音を作るとき、サンプラーとシーケンサーが便利だった。
■最初はどんな風にはじめたの?
青木:高校生のときに同級生がたくさん機材を持っていて、そこでサンプラーの使い方とか教えてもらった。高校卒業した頃はバンドでやったりしていたんですけど、大学に入って、バイトして、やっとコンピュータを買えるようになって。98年ぐらいからですかね。
■目標としていたアーティストっていますか?
青木:衝撃を受けたのは、エイフェックス・ツインとか、オウテカとか、SNDとか、......あとは......マイク・インクって人。あとは、名前は知らないですけど、ヒップホップのトラック、黒人のグルーヴの感じられるものは好きでしたね。失礼だけど、名前を覚えていないんで。
■ブラック・ミュージックのことは本当に好きなんですね。
青木:子供の頃に影響を受けたのものはずっと残るのかなって。父親が聴かせてくれたスティーヴィー・ワンダーとか、マイケル・ジャクソンとか、そういうのはとにかく好きですよ。
■そういう黒い感じを前面に出すような方向にはいなかったんですね。
青木:物真似はしたくなかったんですよ。日本人のフィルターを通してその影響を出したほうが良いだろうと思って。
■僕は、青木君の音楽は、最初イギリス人から教えられたんだよ。昔から知っている某インディ・レーベルの人から、「タカマサ・アオキ知ってるか?」「すげー、良いよ」って何度も言われて。で、意識して聴くようにしたんですけど、結局、彼らが青木君の音楽のどこを「すごい」と思っているかと言うと、リズムだったりするんだよね。本当に、ビートなんだよね。
青木:そうなんですよ。それが問答無用に良いっていうことで、赤ちゃんが踊ってしまうのもリズムなんですよ。
■サッカーはイギリス生まれなのに、イギリス以外の人たちがどんどんうまくなってしまったように、ダンスのリズムも、アフリカ起源だけど、いまでは人種を問わず、いろんな国にうまい人が出てきていると思うんですよね。
青木:僕もそう思います。DNA的に見てもみんなアフリカに行き着くし、根本的にはいっしょだと思うんですよね。そもそも、宇宙の摂理自体がひとつのリズムを持っていると思うから、宇宙のなかで生まれた人間には同じリズムが宿っていると思っているんです。それにいちばん正直なのがアフリカの音楽なんだと思います。
■なるほど。先日、青木君は、スイスの〈Svakt〉というレーベルから12インチを出しましたよね。たまにレーベルをやっている人とメールのやりとりするんだけど、彼いわく「とにかく自分はタカマサ・アオキのファンで、リリースできて嬉しい」と。で、「君は何でそこまでタカマサ・アオキが好きなんだ?」と訊いたら、「ホントに彼の音が好きだ(i really like the sound he has)」と。「とてもピュアで、生で、アントリーティッドなところがね」と言ってきたね。
青木:向こうの人らは、そこで鳴っている音が良いか悪いかで判断してくれる人が多いんで、ヨーロッパはやりやすかったですね。
■今日はぜひ、ルーマニア・ツアーの話をうかがいたかったんですが。
青木:あー、それ流れちゃったんですよね。ポーランドも。昔、ライヴでは行きましたけど。
■ヨーロッパは何年いたんですか?
青木:7年。住んだのは、2004年から2011年です。最初の4年はパリで、あとの3年はベルリンに住んでましたね。
■日本にいたらやってられないっていうか、ヨーロッパに可能性を感じて行ったんですか?
青木:ライヴのオファーが多かったんでね。2001年からライヴで、2~3ヶ月行くようになって、ギャラも良いですからね。日本は、年功序列もあるし......。
■日本じゃ食っていけないと。
青木:ライヴでは食っていけなかったですね。僕らはCDでは食っていけない時代のミュージシャンなんで、ライヴやって、ライヴやって、それでお金を稼ぐしかなかったんですよ。駆け出しの頃は、ギャラがもらえるのって東京ぐらいだったんですね。でも、東京で何回もライヴをやることもできないし、ライヴ・セットを何回も変えるわけにもいかないじゃないですか。で、やりたくない仕事をやりながら、ちょこちょこ東京と大阪でライヴをやるんだったら、ヨーロッパに行ってライヴをやったほうが収入が良いと思って。
■向こうにいってしまうと、ブッキングも増えるものなんですか?
青木:僕の場合は増えましたね。バルセロナのソナーに出たら、その影響で、ぶわーっと1年ぐらいブッキングが決まりましたね。で、次にいったら、別のオーガナイザーが来ていて、「おまえ、うちのフェスティヴァルに来いよ」みたいなね。「あ、行く行く」って、次決まるとか。それでぽんぽんぽんぽん、2年~3年やってましたね。
能の勉強をするのにドイツ行っても意味ないように、ダンス・ミュージックが栄えたところはヨーロッパだと思うんで、その文化が栄えた場所の空気吸って、メシ食って、人と接して、社会感じて、それで初めて本質が見えると思って。自分が音楽を続けるなら、ヨーロッパに行ったほうが良いだろうと。
■へー、すごいなー。
青木:いや、ずっと綱渡りですよ(笑)。ぜんぜんすごくないです。
■いやいや、その行動力とか、素晴らしいですよ。しかし、せっかく渡欧して、成功したのに、帰国したのは何故なんでしょうか?
青木:いろんな理由があるんですけど、じいちゃんが死にかけてました。帰ってきて、1年だけでもいっしょに過ごすことができたんで良かったです。他に犬も死にそうやったんで。
■日本が恋しくなったというのはなかった?
青木:ずっと恋しかったです。日本食もそうだし、母国語で喋れるのも良いし。ビザがいらないというのも最高やし。ヨーロッパも日本も自由であるけど不自由でもあるし、そのバランスをどう取るかっていう。まあ、7年もおったし、最初は3~4年で転々としたかったんですよね。だから、パリで4年、ベルリン3年、いま大阪2年目だから、次はどこに行こうかなと思っていますね。
■生まれも育ちも大阪?
青木:そうですね。
■関西って、面白い人がどんどん出てくるよね。NHKyxとか、セイホー君とか、マッドエッグとか。
青木:情報が関係ないんだと思いますよ。
■大いなる勘違いの街だと思うんだよね。デトロイトやマンチェスターだって、大いなる勘違いの街だから。独創的なモノが生まれる。
青木:ハハハハ。そうかもしれないですね。あと、何かあっても「へー、そうなんかー」みたいな、情報をそのまま受け入れないっていうか、そういうところがあるんだと思います。
[[SplitPage]]ライヴでは食っていけなかったですね。僕らはCDでは食っていけない時代のミュージシャンなんで、ライヴやって、ライヴやって、それでお金を稼ぐしかなかったんですよ。駆け出しの頃は、ギャラがもらえるのって東京ぐらいだったんですね。
![]() AOKI takamasa RV8 Rater-Noton/p*dis |
■青木君が作品を作るうえでのインスピレーションはどこにあるの?
青木:F1。
■たとえば初期と後期......、え、F1!!!!
青木:F1。
■そこまでFIが好きなんだ(笑)。
青木:F1と宇宙の摂理ですね。F1の音が入っているCDもあります。
■へー。
青木:文明のあり方と宇宙の生成。
■ハハハハ! 最高、それサン・ラーだね(笑)。
青木:サン・ラー(笑)。でもそれは、ほんまに、人間として当たり前のことやと思うんですよ。文明に毒されて思考が限定されると、どうしても文明がすべてになっちゃうと思うんですけど、でもそこから解放されると、宇宙がすべての源だとわかると思うんです。
僕がF1に興味があるのは、宇宙摂理に反した文明があって、その文明の究極の形がF1だと思うんですよ。石油、技術、戦争、広告、地球の文明のいろいろなものが集中しているのが、戦争とF1だと思うんです。ふたつのうち戦争は、人殺しで、ださいし、かっこ悪いけど、F1は誰がいちばん速いんやということを何十億もかけてやるアホさと、凶暴なエンジンを持ちながら、そのできあがったマシンの美しさと、そういった多面性が現代文明を象徴している気がする。
■文明としていま猛威をふるっているのはコンピュータだと思うんだけど。
青木:F1もコンピュータ無しではあり得ないですよ。
■あー、そうか。
青木:制御にしても、管理にしても。F1は軍事と同じで、地球上のすべての技術が集約されているんですよ。公開されている技術ですね。
■つまり、ツール・ド・フランス(by クラフトワーク)なんて言ってる場合じゃないと。
青木:いや、別にそれはそれで良いんですけど。僕も自転車大好きなんですけど。人力も良いけど、作ったものを乗りこなすっていうのに興味があるんです。
■そうした青木君の写真機に対する偏愛と繋がっているの?
青木:いや、写真は、地球に初めて来たっていう気持ちで、「アホやな地球文明。まだモノ燃やしているわ」とか。
■ハハハハ。
青木:まだ競い合って、争って、どんぐりの背比べしているっていう。まだ自然を破壊してコンクリートの建物たてているっていう、その面白さ。それを記録する気持ちで。
■そんなシニカルな......それは機械が好きだからっていうことではないんだ?
青木:機械も好きですけど、「地球オモロイ」みたいな感じですね。「地球、変なとこー」みたいな(笑)。
■初期の頃からそうだったんですか?
青木:疑問に思うことが多かったですね。「なんでそんなことせなあかんの」とか。
■「地球オモロイ」は、いろんな思いが詰まっているんでしょうけど、やっぱ国境を何度も超えながら思ったことでもあるんですかね?
青木:それもあります。そして、国境を何度も超えたことで、わかったこと、自分なりに理解できたこと、腑に落ちたことが多くて。自分の疑問に対する答えでもあったし。
■F1は実際に観に行ったの?
青木:いや、日本では行ったけど、ヨーロッパでは行ったことがないです。ヨーロッパって、ほんま階級社会だから。サッカーはいちばん下のスポーツで、F1やクリケットや乗馬はほんまトップの階級のモノですね。
■そんな糞忌々しい文化を(笑)。
青木:いや、糞忌々しくないです(笑)。その人たちはただ生まれながらにそうなっているだけなんで。生まれてから金持ちなんでね。
■なるほど。青木君は、もうひとつ、ダンス・ミュージックということを強調するけど、世のなかにたくさんのダンス・ミュージックがありますよね。EDMっていうんですか?
青木:いや、知らないです。
■なんか、ダンス・ミュージックが大流行なのね。たとえば、DJでも、アニメの歌とかアイドルの曲とかアッパーなハウスをまぜるような人がけっこういて、それで踊っている人もいるのね。そういう音楽もダンス・ミュージックなわけですよ。自分がやっている音楽とそういう音楽もダンスという観点で見たら等価だと思いますか?
青木:ダンス・ミュージックには、魂が入っているモノと装飾だけのモノがあると思うんですよ。それは音楽全般に言えることですけど、そこに魂が入っていれば、同じだと思います。
■その魂というのは、別の言葉で言うとどういうことなんだろう?
青木:純粋な思いじゃないですかね。「○○っぽいのを作ろう」じゃない音楽。
■ヨーロッパなんかとくにダンス・ミュージックが根付いているからいろいろなモノがあるじゃないですか。そういうなかで好きなモノを嫌いなモノもあったわけでしょう?
青木:自分は作っているばっかで、あんま聴いてないので、うまく答えられないですね。ただ、ライヴで呼ばれて、その場で他の人の音楽も聴いて思うのは、あまりにも自己主張が強いダンス・ミュージックはちょっとしんどかったですね。
■自己主張が強いモノね、なるほど。
青木:そうじゃない人のほうが踊りやすかったですし、心地よかったですね。
■ダンスを強制するようなものは好きじゃない?
青木:そうですね。うぉぉぉぉーみたいな、そういうのが好きな時期もあったんですけど。歳のせいかもしれませんが。
■アンビエントというコンセプトは意識している?
青木:自分が聴いてきた音楽のハイブリッドがテクノなんで、当然、アンビエントもそのなかに入っています。しかも、いまのステレオの技術では、わりと簡単に立体音像が作れるんですよね。たとえミニマルであっても、そのなかにアンビエントを挟み込むことができるんです。そういう意味では意識していると言えますね。
僕もジャンルに詳しいわけじゃないんで、アンビエントが何なのかよくわかってないんですよね。それでも、打点のない、ビートがないけど、リズム感のあるような音楽は好きはですね。
自分が聴いてきた音楽のハイブリッドがテクノなんで、当然、アンビエントもそのなかに入っています。しかも、いまのステレオの技術では、わりと簡単に立体音像が作れるんですよね。たとえミニマルであっても、そのなかにアンビエントを挟み込むことができるんです。そういう意味では意識していると言えますね。
![]() AOKI takamasa RV8 Rater-Noton/p*dis |
■最近、日本の作品で、お金を出して買ったCDは何ですか?
青木:キリンジ。
■どういう人?
青木:ふたり組の。めちゃくちゃ良いですよ。
■詳しいなー(笑)。
青木:それは京都在住のDJのkohei君が教えてくれたんですけどね。すごい音楽に詳しい先輩で、魂籠もった音楽をよく知ってはるんです。
■レコード店はよく行く?
青木:行ってないですね。お金がなくて。機材買うお金とレコード買うお金は両立できないです。ほんまにDJで使いたい曲があるときは行きますけど、それ以外では行かない。
■青木君は機材に対してはどう考えているの? 90年代末はちょうどソフトウェアを使いはじめた時期だったけど、最近はまたモジュラー・シンセが流行ったり、いろいろ考えがあるじゃないですか。
青木:レーサーと同じで、自分のフィーリングに合ったマシンが欲しいですね。ベースの鳴り、キックの密度、ハイハットのシャープさ、シンセの広がり、温かさ、そういうのが自分の感覚に合うかどうかで判断していますね。それがぜんぶ組み合わさったときに自分なりのドライヴができる。まあ、そんなに機材を買えるほどのお金もないんでね、昔のヤツをずっと使ってますけど。
■ライヴの本数はいまも多い?
青木:ずっと多いです(笑)。
■コンピュータを持ったブルースマンみたいだね。機械を持って世界のいろいろなナイトクラブを回って、演奏して、金を得るみたいな。
青木:不思議な仕事ですよ。みんなが踊っているのを見ながらやっているというのは。純粋に楽しいです(笑)。
■日本では〈ラスター・ノートン〉を支持している層とフロアで踊っている層との溝があるように思うんだけど、ヨーロッパでは実験性とダンス・ミュージックがしっかり重なっているんでしょうか?
青木:正直、自分のことで精一杯だったんで、ヨーロッパのシーンのことまでわからなかったんですけど、やっぱ、金払って実験みたい人って、そんなにいないと思うんですよ。自分やったら、実験のためだけには行かないです。ダンスがあるから、そこに金払っても行きたいと思うんで、そこは重要かなと思いますね。僕は、自分の音楽が人の心を高揚させて、日々のストレスを忘れさせて、良い気持ちになってくれたら最高なんです。それだけですね。すべてに対してアウトサイダーかもしれないですね。シーン関係ないし、ジャンル関係ないし......。

■今回のアルバムの収録曲には曲名が"rhythm variation 01"とか"rhythm variation 02"とか、順番に数字になっているじゃない?
青木:意味を持たせたくないからです。ダンス・ミュージックに意味はないからです。思考が働かないほうが、無心に踊っているほうが自分をより解放できるし。
■曲名がある作品もあるじゃないですか。
青木:仕方なく......ですね。
■はははは。
青木:字面とかね。もちろん、言葉があったほうが曲に入りやすいかなと思って付けたものもありますけど、今回に関しては、踊るためだけなんで。
■この先、やってみたいことは何でしょうか?
青木:F1のエンジンを使って。
■ハハハハ。
青木:音源としてF1のエンジンを使いたいですね。
■シュトックハウゼンのヘリコプターみたいだね(笑)。でも、鈴鹿サーキットって、日本でいちばん爆音を出せる場所かもね。
青木:いつか、野外フェスでライヴをやって、トレイラーで、「AOKI LIVE powered by HONDA F1」とかやりたいですね。
■ハハハハ。
青木:子供の頃、レーサーになりたかったんです。いまでもレーサーになれるなら、音楽とかぜんぶ止めてなります!
■わかりました。今日はどうもありがとうございました。
ポニーテイルは静かではないやり方でドリーム・ポップを追求したバンドのひとつだ。こう書いても違和感はないのではないかと思う。
スタイルとしてはとてもノイジーでエクスペリメンタル。ライトニング・ボルトに比較され、ダン・ディーコン、ジャパンサー、デス・セットなどボルチモアのローファイ勢たちとともにシーンを刺激した存在だった。彼らと同軸で評価され愛されたノー・エイジ、メイ・シ、エイヴ・ヴィゴダら〈スメル〉周辺のアーティなパンク・バンドたちとも近い感覚がある。かつ、ギターのダスティン・ウォングが参加する別プロジェクト、エクスタティック・サンシャインは、アニマル・コレクティヴとも縁の深い〈カー・パーク〉からリリースがあったりもする。つまりはうるさくて、カラフルで、テクニカルで、実験的で、しかしめいっぱいドリーミーなサイケデリアを恃むバンドである。後期2000年代のインディ・ロックのひとつのモードを象徴する、忘れがたい面影がある。
そのギタリスト、ダスティン・ウォング初のソロ・アルバム『インフィニット・ラヴ』がリリースされたのは2010年。〈スリル・ジョッキー〉からのリリースだったが、国内盤の帯が秀逸だった。「エフェクターの魔術師」......けっして「音色オタク」に矮小化されるべきでない才能を持ったウォングだが、「魔術師」の語感には彼の提示する色彩豊かな音の世界と、それを自在に操ることのできるテクニック、そして何より「魔術」――ここにあるものをここにないものへと塗り替えてくれる彼の音楽がきれいに集約されている。手に取った方はそのアーティスト・イメージに納得したのではないだろうか。マーク・マグワイアの『リヴィング・ウィズ・ユアセルフ』が同年だが、彼らの作品は久々にシーンをソロ・ギタリストという存在へ振り向かせた(マーク・マグワイヤには「ここにないもの」ではなく、ひたすらここにあるものしか見つめないという美しい対照があるけれども)。
そして嶺川貴子との共作となる本作『トロピカル・サークル』がリリースされた。嶺川自身は13年ぶりの作品となるそうだが、彼女のファンでもあったというウォングから柔らかく詩情を引き出している。『インフィニット・ラヴ』はひとり遊びのフィーリングがあった。ひとりぶつぶつと、子どもらしい偏執をもってひとり遊びつづけるその手元口元から、すばらしい彩りが漏れでてくる......「咳の子のなぞなぞあそびきりもなや」(中村汀女)の「咳の子(風邪をひいた子)」のように、ひとりできりもなくギターと戯れているようなあの作品を、嶺川はもしかしたらこの句に出てくる母親のような気持ちで耳にしていたかもしれない。姉でも祖母でもかまわないが、咳の子につきあい、その問いに答え、また問いを投げるように、ひとり遊びにそっと介入し、寄り添うように感じられた。この共作には、そのように繊細な力関係が働いている。お互いがお互いのゲスト・ミュージシャンになるわけでなく、それぞれの役割があり、それぞれが合目的的にふるまいながら、互いを資するような関係。本作においてギターと声とはそのように溶け合い離反しながら存在している。散漫な集中力ともいうべきだろうか、くるくると方向や対象を変えながら伸びつづけるウォングのギター・ワークは、今作で対話的な空間へと引き出され、前作では天へと向かっていった旋律は、水平方向に広がることになった。
日本語の音節感覚もとても合っているのかもしれない。「からだを電気のように唄わせる」("エレクトリック・ウィーヴ")が「か・ら・だ・を・で・ん・き・の......」と一語を一音に対応させるように歌われ、そのあとを輪唱のようにギターが追いかける展開は、まさにひとり遊びがふたり遊びになる瞬間の優しい喩であるように響く。さまざまに挿入されるサンプリング等についても、どのようなプロセスで加えられていったのかわからないが、不整合なものは感じられない。ドリーミーであることはときに他人の介入を拒んで閉塞を選ぶけれども、ダイアローグによって入口が確保された夢というものもあるんだなと思った。
https://soundcloud.com/latinquarter_ppp
https://www.panpacificplaya.jp/blog/
DJの予定
5/25 福岡 Megaherz https://www.megahertz.jp/pickup.html
6/14 藤沢 Freeculture
6/22 渋谷 Koara
https://www.koara-tokyo.com/
最近DJの際に持っていきがちなモノ
![]() 1 |
Robert Staruss - Slow Dancing - BBE |
|---|---|
![]() 2 |
Robert Strauss - Party In My Body -BBE |
![]() 3 |
Nick Nikolov - Come Down - Liebe Detail |
![]() 4 |
CLASSIXX - Holding On (Losoul Remix) - Innovative Leisure |
![]() 5 |
Randomer - This Train - Hemlock |
![]() 6 |
Dajae - Day By Day (Cajmere Extended Mix) - Cajual |
![]() 7 |
Syclops - Sarah's E With Extra P - Running Back |
![]() 8 |
Physical Sound Sport - Nigeria Game - JAZZY SPORT |
![]() 9 |
Whitney Houston - Million Doller Bill(Frankie Knucles Directions Club Cut) - Unknown |
![]() 10 |
xxxx - Kahlua and Milk 1989EDIT - unreleased |
梅雨前のこの時期こそ、日本にとって最高の季節ですな。竹内のようにトーフビーツや大森靖子を通勤のBGMにしたり、住所不定無職を家聴きしているあつい男がいるいっぽうで、インクやライの家聴きを楽しんでいる野田のような疲れた男もいる。いずれにせよ、この最高の初夏の後には最悪な梅雨が待っている。そして、それさえ乗り越えれば、夏だ。
チルウェイヴのエース、ウォッシュト・アウトがセカンド・アルバムをリリースする。橋元が喜び、木津は耳をふさぐであろう、が、第三者から見れば、ライもウォッシュト・アウトも同類である。そう、ピュリティ・リングも......。
『パラコズム』というアルバム・タイトルで、コンセプトは『指輪物語』で知られるJ・R・R・トールキンやC・S・ルイスの『ナルニア物語』のようなファンタジー小説や架空の世界にインスパイアされている。と資料に記されている。「逃げる」が主題である。
"ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー"のメロトロン・サウンドからの影響、あるいはレゲエのリズムが入るなど、デビュー・アルバムとは比較にならないくらい音楽的な展開がある。前作の籠もった感覚は新作にはなく、解放的だ。この音楽はあなたをすっかり骨抜きにするだろう。ウォッシュト・アウトのセカンド・アルバム『パラコズム』8月7日、日本先行発売!
(※ちなみに次号の紙ele-kingでは「この夏オススメの部屋聴きchillout特集あり。ウォッシュト・アウト=アーネスト・グリーンのインタヴューも掲載予定っす)
ここ数年チルアウトスペースでのDJブッキングが多いので、そんな10曲選です。
いい場所あればお誘い下さい。
DJスケジュール
5/25 Wander-ground (あきる野キャンプ場)
https://wonder-ground.jp/about.html
6/15 HOUSE OF LIQUID (LIQUID ROOM)
https://www.liquidroom.net/schedule/20130615/14701/
6/22 SLOW MOTION (神戸 塩屋 旧グッゲンハイム邸)
https://www.nedogu.com/blog/archives/7091
![]() 1 |
三田村菅打団? - Asa Branka - Compare Notes https://www.youtube.com/watch?v=2gzoV1h1BjU |
|---|---|
![]() 2 |
yumbo - 人々の傘 - Igloo Records https://www.youtube.com/watch?v=KR5I1dGS8cA |
![]() 3 |
Nautic - Fixxx - Deek https://www.youtube.com/watch?v=zHf4KKDL9xw |
![]() 4 |
Tom Ze - Toc - Continental https://www.youtube.com/watch?v=7brUX75sSQQ |
![]() 5 |
Baby Fox - Curly Locks - Malawi Records https://www.youtube.com/watch?v=UwLB34_w6aI |
![]() 6 |
S.Y.P.H - Little Nemo - HiD https://www.youtube.com/watch?v=e8SfIc3pp7o |
![]() 7 |
The Art Of Noise - Eye Of A Needle - China Records https://www.youtube.com/watch?v=JVOYsqsnKvU |
![]() 8 |
Fripp & Eno - Evening Star - Island Records https://www.youtube.com/watch?v=REkbY-eEuus |
![]() 9 |
Beaver & Krause - Spased - Collector's Choice Music https://www.youtube.com/watch?v=2xKO3KAtDZ0 |
![]() 10 |
アサダマオ - ビールの涙 - カモメレコーズ https://www.youtube.com/watch?v=1cuN0BZeIbk |
UKネオ・ポストパンク・バンドの雄(いや、雌というべきか)みたいな呼び方をされるバンドだが、実は、初めて彼女たちの演奏を映像で見た時、あんまりUKっぽくないなあ。と感じたのであった。それは、イアン・カーティスの伝記映画『コントロール』を見たときの印象に似ていた。なんかあれも、UK臭が希薄だった。というか、しゃれ過ぎていた。ヨーロッパ大陸の映画みたいだったのである。
ヴォーカルのお嬢さんのせいかな。と思った。いまどきの英国に、こういう詩情ある佇まいの女の子は珍しい。が、一見するとスージー・スーとシネイド・オコーナーの娘のようなジェニー・ベス(本名はカミーユさん)が、"Shut Up"のPV冒頭で、べたべたにフレンチ訛りの英語でバンドのマニフェストを喋っているのを聞いて腑に落ちた。彼女、おフランスの人だったのである。
どうりで、UKポストパンクというより、ポストパンク・ノワール。みたいな感じなわけだ。猥雑で何でもありだったUKポストパンクのカラフルさは、彼女たちの音楽にはない。どこまでもストイックで、あくまでもノワール(黒)で、芸術家然とマニフェストまでぶちかましてしまう。『NME』がレヴューで、「もうちょっとユーモアがあったら」と評した所以だろう。
サウンドは、「ポストパンク・カラオケ」などと評する人もいる。ジョイ・ディヴィジョン、ザ・バースデイ・パーティ、スージー・アンド・ザ・バンシーズ、ワイアー、フォール、ギャング・オブ・フォー、バウハウス。いくらでもリファランスは出て来る。が、このお嬢さんたちのカット&ペイストには、茶化しの精神や、妙にロマンティックな過去へのリスペクトはない。ただ、息詰まるような行き詰まりのアンガーが感じられるだけで。
息詰まりと行き詰まり。などと駄洒落で遊んでいる場合ではない。この国の若者たち(UKに住む、すべての国籍の若者の意)は、そこまでイキヅマッテいるのだろうか。
ジェニー・ベスが書く言葉は、当然ながらネイティヴの英国人が書く歌詞とは違う。だからなのか、マニフェストなどぶちかますバンドにしては、言葉じたいは拍子抜けするほどシンプルだ。
I am here
I won't hide
I am shouldering you
This is easy
This is not hard
たしかにイージーで、ハードではない。邦訳の必要はないぐらいだ。そしてそれは彼女たちの絶対的な強みでもある。なぜなら、英語が多くの人びとにとって共通の第二言語となったこの世界で、誰もが原語のまま聴ける音楽を作ることができるからだ。ポストパンクは、「世の中に新しいものが生まれるとすれば、それはハイブリッドだ」という坂口安吾の言葉を体現したようなムーヴメントだった。サヴェージズも、一見とてもUKで、イキヅマッテいるようでいながら、実は混血であり、UKの外に開かれている(そもそも、純血への拘泥や鎖国幻想は、進化の否定であり、滅びのはじまりである。いい若い者が、イキヅマリなど志向してどうするのだ)。
さらに、直接的で無駄を削ぎ落とした言葉は、逆説的な広がりを持つ。
「起きたら一人の男の顔があった こいつ誰なんだろう 両眼がない こいつがいると落ち着かない こいつのせいで落ち着かない ああ不安になる」という"Husbands"は、ワンナイト・スタンドの歌のようでもあるが、聞く人によって「男」の定義づけは広がる。ワンナイト・スタンドの相手を単なる性器扱いにせず、「私の夫たち 夫たち 夫たち」と、いきなり法的制度で契約を交わした相手にして反復するあたり、これは実は男ではなく、社会的に圧迫感のある相手を呪詛し倒している歌じゃないかとも思えてくる。
例のマニフェスト(ジャケットにもプリントされている)にしても言い回しはシンプルだ。「全てを解体したら、どうやって再び作るか考えないとね」というのは、ポストパンクのマニフェステーションそのものだが、「黙んなさい」というのは、凄い言い切りである。
黙って私たちの音楽を聴け。なんて、そんな不敵な気負いをぶち投げて来たのは、UKギター・バンド復権の年にあってもこのお嬢さんたちだけだ。こんな大上段に構えた気概を持ってシーンに登場した女子バンドは、思い返してみても、ザ・スリッツ以降はいなかった。というか、もはや女子バンドの括りに入れるのがおかしいのかもしれない。サヴェージズは、余裕で男たちのバンドより格好いいからだ。パーマ・ヴァイオレッツだ何だとフライングする人もあったが、わたしは彼女たちを待っていた。
とは言え、「黙って聴け」というわりに、革新的なサウンドやアイディアはファーストではまだ出ていない。が、スピリッツには何かただならぬものを感じる。
おそらく、このアルバムはほんの始まりである。これから伸びて行ける幅が大きく残っている(個人的には、ニック・ケイヴのバラードのような最後の曲"Marshal Dear"に2枚目への伏線を感じた)。彼女らは、全然イキヅマッテいない。
フロアでだれかに話しかけたくなるような、いいにおいが漂う90'sよりのハウスを選んでみました。
音攻めパーティ「S」をオーガナイズしたり、THERME GALLERYというギャラリーの運営をしていたりします。
6月はSクルーみんなでHOUSE OF LIQUIDに出張します。
6/15 @ KATA (Liquid Room) 【HOUSE OF LIQUID】
THERME GALLERY https://thermegallery.com/
SOUND CLOUD https://soundcloud.com/mariiabe
BLOG https://cawgirl.exblog.jp/
いいにおいのするハウス10曲 2013.5.10
![]() 1 |
Enrico Mantini - The maze(What you like) - Smooth sounds |
|---|---|
![]() 2 |
Jump Cutz - Meditate on this - Luxury service |
![]() 3 |
The visionary - Free my soul (duke's deep skool mix) - Music for your ears |
![]() 4 |
Pierre lx - Gabita - Initial cuts |
![]() 5 |
Aly-us - Go on (club mix) - Strictly rhythm |
![]() 6 |
Vapourspace - Vista humana - Ffrr |
![]() 7 |
Cazuma & Hiroaki OBA - Alphonse - TBA |
![]() 8 |
Raiders of the lost arp - Stealing my love - Snuff trax |
![]() 9 |
Reese&Santonio - Truth of self evidence - KMS |
![]() 10 |
Kornel Kovacs - Baby Step - Studio Barnhus |
ここはタブーのない世界ですよ、というところに連れて行かれたら、われわれは、じゃあ思い切りタブーを犯してやろうと考えるだろうか? そう考えられる人はむしろ大物というか、将来何か偉業を成し遂げるかもしれない。多くの人は、たぶん、ただ弛緩するのではないかと思う。「やってはいけないことがない」→「よかったあ」である。タブーのない世界はただちに「無法地帯」を意味しない。......ヘヴィ・ハワイとはそんな場所のことであるように感じられる。このサンディエゴのデュオは、奇妙なリヴァーブを用いながら安心して弛緩できる空間を立ち上げてくる。
あまりにもキャンディ・クロウズな"ウォッシング・マシーン"からはじまるこの『グースバンプス』は、彼らの初のフル・アルバム。最初のEP『HH』がリリースされたのが2010年で、キャンディ・クロウズの『ヒドゥン・ランド』も同年だから、なんとなく髪の色のちがう双子のように感じられる。ドリーム・ポップというマジック・ワードが、まさに多彩な方向へと実をつけた時期だ。これまでも散々書いてきたところなので詳細は割愛するが、それはベッドルームが舞台となり主戦場となった数年でもある。三田格が『アンビエント・ミュージック 1969-2009』に1年遅れで収録できなかったことを悔やんだキャンディ・クロウズが、おとぎ話のようにフィフティーズの映画音楽を参照したのに対し、ヘヴィ・ハワイはビーチ・ポップからネジを抜き去る。前者を浮遊と呼ぶなら、後者は弛緩。ふわふわとぐにゃぐにゃ。どちらも似たプロダクションを持っているが、音色は対照的だ。
もともとは4人ほどの編成で活動していた彼らは、ウェイヴスのネイサン・ウィリアムスらとともにファンタスティック・マジックというバンドを結成していたこともあり、〈アート・ファグ〉からリリースしている背景にはそうした人脈図も浮かび上がる。ガールズ・ネームズとスプリットをリリースしたりもしている。レトロなサーフ・ロックをシューゲイジンなローファイ・サウンドで翻案し、ときにはポスト・パンク的な感性もひらめかせながら2000年代末を彩った一派のことだ。そのときもっとも新しく感じられたサイケデリック・ムードである。シットゲイズと呼ばれた音も彼らと共通するところが大きい。ヘヴィー・ハワイの弛緩の感覚は、ただしくこの系譜に連なるものであることを証している。
ただし、いかなる様式化も拒みたいというようにぐにゃぐにゃしている。"ファック・ユー、アイム・ムーヴィング・トゥ・サンフランシスコ"や、"ボーン・トゥ・ライド"のように軽快な2ミニット・ポップをスクリューもどきに変換してみたり、ボーイ・リーストリー・ライク・トゥの皮をかぶったパンクス・オン・マーズといった感じの"ボーイ・シーズン"、幻覚のなかで出会うペイヴメントと呼びたい"フィジー・クッキング"などをはじめ、隙間の多いアリエル・ピンク、ピントの合わないユース・ラグーン、ちゃんとしてないザ・ドラムス、ザ・モーニング・ベンダース......いくらでも形容を思いつくけれども、とにかくユルんでいるからそのどれでもないという、ある意味で強靭なボディだ。
「あんまりマジにビーチ・ボーイズ・リスペクトとか言うなよ」という、2010年当時のビーチ・ポップ・モードに対するひとつの回答であるかもしれない。カユカス(Cayucas)のような、ザ・ドラムスやザ・モーニング・ベンダースらからほとんど更新のない音を聴いていると、彼らの骨を一本一本抜いていくようなヘヴィ・ハワイの音の方が間違いなくリアルだ。少し90年代のハーモニー・コリンを思わせるジャケットは、ぼんやりとしたエフェクトや図像を好むドリーミー・サイケのアートワークとは対照的に、クリアな視界のまま夢を見るという矜持があるようにも感じられる。そう思って眺めれば、ここでエフェクトではなく消化器でモヤを張って作られているバリアには、ここ最近というよりはナインティーズ的なフィーリングが顔をのぞかせているとも思われてくる。まあ、ぜんぶ筆者の妄想の域だけれども。


