Home > Reviews > Album Reviews > Sewn Leather- Ροαξη Φινγερζζ ΒΣ. Ροψκ Σλινγερζ…
だいぶ前に僕が三田格の後ろ盾のもと、野田編集長以下を騙しつつもソーン・レザー(Sewn Leather)ことグリフィン・ピンとDJドッグ・ディック(DJ Dogdick)(犬チン)ことマックス・エイゼンバーグの合体ユニット、ドッグ・レザー(Dog Leather)を紙エレキング巻頭インタヴューにフィーチャーするという暴挙に出たにも関わらず、それ以降の布教活動をおろそかしている自分に憤りを感じる。
三田格から「マーク・スチュワートの再来」とのお言葉を頂いたソーン・レザーではあるが、先日いつも〈ヴィンセント・レディオ〉にてお世話になっている阿部さんが我が家に訪れた際にヴィデオを観せたところ、まったく同じリアクションを取っていたのでなるほど、確かに。エレキング読者諸氏は果たしてどのようなリアクションを取ったのだろうか。真相は闇のままである。
ここで紙エレキングを未読の方々にソーン・レザーの何たるかを知っていただくためにまずはこれを見てほしい。
はい。いまのはグリフィンがシカゴでのショウへの道中、対バンのウルフ・アイズに向けてリスペクトを送るため車内で撮影されたものですね(もちろん自画撮り)。
これがグリフィンなんです。ソーン・レザーなんです。
僕は個人のパーソナリティをしっかりと体現している音楽に何よりもエキサイトするのだが、そういった意味で彼は最高である。
まず80'sホラー・ムービーから飛び出してきたような風貌。終わることのないドリフト生活のなか、何度も繕い直されたサバスやヴェノム、バーニングウィッチにコラプテッド、ギズムのシャツが強烈なリアル・クラスト・スタイル。最高のDIYタトゥー(個人的にタトゥーってやっちまってる感があればあるほどイケてると思う)。
まさかウルフ・アイズもウータンのWの頭文字でバンド名彫られるフォロワーが現れることを予想できたであろうか?
近年のグリフィンの活動は、本国よりもヨーロッパの手厚いサポートを受けているようだ。それはおもにドラキュラ・ルイス(Dracula Lewis)として知られるシモーネ・トラブッチによるレーベル〈ハンデビス〉(Hundebiss)の、イタリアからの壮絶なラブ・コールによって企まれているのだろう。〈ハンデビス〉の美しいダイカット/変型カヴァーに包まれた特異なリリースには毎度感動させられてはいるが、ドラキュラ・ルイスのほうは個人的にちょっと......。
と言うのも、昨今の猫も杓子もインダストリアル化現象を待っていたかのように復活したウルフ・アイズの新作を聴いたときの感覚に近い、この手のスタイルに必要不可欠である衝動の是非。グリフィンの前には、ベテランもイタリアはミランのヒップスターも霞んでしまうのは仕方あるまい。そういう意味ではウルフ・アイズを脱けたアーロン・ディロウェイはいまも変わらぬ衝動を昇華しているようにみえる。いい歳こいて。
そしてグリフィンは繊細な男だ。昨年僕がLAに滞在していた際、たまたま郊外のクラスト・ハウス「ウーマン」に転がり込んでいた彼からのパーティーお誘いという名目の車での送り迎えのなかで触れた彼のグラス・ハート。その儚い輝きに魅せられて誰もがこの男を愛するのであろう。ゆえに彼は世界中をドリフトしつづけられるのだ。
倉本諒