「Not Waving」と一致するもの

Likkle Mai - ele-king

 「リクルマイとは何者か?」といま問われれば、反原発運動の最前線で闘う勇敢なレゲエ・ミュージシャンであると僕は答える。震災後、「音楽に何ができるか?」という騒々しい議論に加わるよりも先に、素早く、そして大胆に路上に出て声を上げたのが彼女だった。また、津波の被害にあった地元の岩手県宮古市の漁村を支援するために、LOVE BOAT基金を設立している。とはいうものの、より重要なのは、彼女の音楽が常に一貫しているということだ。彼女の創り出すレゲエ・ミュージックは震災以降、時代の変化に伴い説得力を増しているが、時代に左右されない普遍的な輝きが最大の魅力だということを強調しておこう。

 いまさら僕なんかが指摘する話ではないけれど、リクルマイが、彼女の敬愛して止まないボブ・マーリーから多大な影響を受けていることはよく知られている。ボブ・マーリーの伝記『ボブ・マーリー レゲエの伝説』の著者スティーヴン・デイヴィスは、「マルクス主義者は、彼の音楽の中に、戦闘と蜂起への呼びかけを聴いた。黒人は、ボブの書いたすべてのことに素直に共鳴できた。一方、若い白人のファンは、全人類の愛と友好のメッセージを受け取った」と簡潔に記しているが、それらすべてを全身全霊で体現してきたのがリクルマイだ。前作『マイレーション』の"Come Together For I&I"を聴いてみよう。彼女は、ボブ・マーリーのワン・ラヴの精神をストレートに歌い上げている。ちなみに、この曲を絶賛したスミス&マイティのロブ・スミスが、リクルマイのリミックスを手がけたというエピソードもある。

 リクルマイは、90年代後半から00年代前半をレゲエ・バンド、ドライ&ヘビーのヴォーカリストとして活動している。2005年に脱退したのちにソロ活動をはじめ、『ルーツ・キャンディ』『M W』『マイレーション』という三枚のアルバムを発表、『ダブ・イズ・ザ・ユニヴァース』は通算四作目のソロ作品となる。『ダブ・イズ・ザ・ユニヴァース』は、リクルマイが最も愛する70年代のジャマイカのルーツ・レゲエを基調としている。彼女の音楽は、例えばバニー・リーやジョニー・クラークのようなルーツ・レゲエに直結しているわけだが(ジョニー・クラークの名曲"Every Knee Shall Bow"のカヴァーも収録されている)、次々にさまざまな表情を見せるリクルマイの歌とリクルマイ・バンドの演奏はとにかく楽しい。甘いメロディのロックステディがあり、マイナー調のワンドロップ・ダブがあり、迫力のあるホーン・セクションにバックアップされた直球のルーツ・レゲエがある。ダブ・エンジニアを務めるのは内田直之で、"Open Your Eyes"の強烈なダブ・ミキシングを手がけるのは、キング・タビーの門下生であるサイエンティストだ。そしてレゲエのみならず、ファンクやソウル、ロックやブラジル音楽にまで造詣の深いリクルマイらしい音の拡がりがあり、それが彼女のレゲエの豊穣な魅力となっている。

 ざっくりと言ってしまえば、リクルマイのようなインディペンデントで活動しながら、カネが物を言う巨大な資本主義システムに対抗して生き抜いてきたレゲエ・ミュージシャンが、資本主義の暴走が生み出した利権まみれの原発に反対するのは当然のことだと思う。つまり、カネよりも大切なものがあるというもっともな主張を繰り返してきただけとも言える。だから何も彼女は、震災以降に、突然意見を変えたわけではない。

 政治的抵抗という意味においては、次の2曲のパンチラインにすべてが集約されている。"I Seh No"で「願うだけではもの足りない/経済至上主義の名の下で/世界中の富を吸い上げる/Vampireを許してはいけない」と経済的グローバリズムを批判し、"Just One Love Is All"では、「海山汚され/住処奪われ/どんだけ私らコケにされたの/この国とこの電力会社に叫んでやりましょ/原発やめろ!!!」と国家と電力会社にはっきりと怒りの矛先を向けている。メッセージはシンプルだが、彼女の肝っ玉の据わった行動力と歌唱力によって、突き刺さるような説得力を持って迫ってくる。

 ある反原発デモでリクルマイとTHE Kが"Just One Love Is All"をパフォーマンスしていたときのことだ。渋谷の繁華街に轟く彼女の怒りのこもった歌声に聴き入っていると、唐突に背後から肩をとんとんと叩く人物がいた。振り返ると、そこにいたのはデモでよく見る中年の私服の刑事だった。身構える僕に彼は、「良い歌だなぁ」と衒いなく感想を述べた。友人から聞いたところに拠ると、また別の刑事は「リクルマイのファンになった」と本気で告白したという。これ、本当の話ですよ。なにもここで警察との交流をセンチメンタルな美談にしたいのではない。敵対関係にならざるを得ない人間の耳を開かせ、心を揺り動かす、リクルマイの天真爛漫な歌声に感服しているのだ。やたらにピース&ラヴだけを謳うレゲエはどうにも胡散臭いし、怒りを表明することがまるで軋轢や対立を生む不毛な行為であると勘違いしているようだ。怒りは創造的な行為であるというのに。

 『ダブ・イズ・ザ・ユニヴァース』には、反骨精神とともに、自由や寛容、または多様性を愛する精神がある。つまりそれらすべてをひっくるめたものが、ボブ・マーリーの提唱したワン・ラヴとも言える。リクルマイのおおらかな歌声とリクルマイ・バンドの開放的な演奏にもよく現れている。その点において、美しい旋律が印象的なラヴァーズ・ロック風の"さよならバビロン"から"A Small Boat Is Sailing"の流れはとくに素晴らしく、テーマはシリアスだが、歌詞と曲調には遊び心と豊かな情緒がある。

 政治的勝利のために自由や寛容、愛が蔑ろにされるようなことがあれば、それはあまりにも悲しい。いまリクルマイのレゲエのリラックスしたムードが心地良く響くのは、うだるような暑さのせいだけではないだろう。2012年の緊迫した政治的情勢の渦中で、『ダブ・イズ・ザ・ユニヴァース』を聴いて、逞しくも、とろけるような甘い愛を抱きしめたくなるのは、おそらく僕だけではないはずだ。ENJOY LONG HOT SUMMER!!

近すぎるから 気づかないのか
近すぎるから 傷付け合うのか
優しさの木は 心の中で
あなたの訪れだけを 待ちわびる
"A Small Boat Is Sailing"


 追記:リクルマイさんが、8月9日の夜、〈club cactus〉という乃木坂のクラブでレゲエ・ミュージシャンのヒビキラ氏と「プロテストソング~レゲエの役割~」というトーク・ライヴをやります。マイさんの熱いレゲエ談義を堪能しましょう! https://clubcactus.jp/schedule/2012/08/talk_live.html

DJ END (B-Lines Delight / Dutty Dub Rockz) - ele-king

B-Lines Delight/Dutty Dub Rockz主宰
栃木のベース・ミュージックを動かし続けて10数年。へヴィーウェイト・マッシヴなDrum&BassパーティーRock Baby Soundsystemを主宰。同時に伝説的なレコード・ショップBasement Music Recordsでバイヤーを務め栃木/宇都宮シーンの様々な下地を作った。現在はDutty Dub Rockzに所属、北のリアルなベース・ミュージックの現場を作り出すべくスタートしたパーティーB-Lines Delightを主宰している。
https://soundcloud.com/dj-end-3
https://b-linesdelight.blogspot.com/
https://duttydubrockz.blogspot.com/

B-Lines Delight 2nd Anniversary Special!!!!!No.1ダブステップ・パーティ、Back To ChillよりGOTH-TRADとENAを迎えて開催します!

B-Lines Delight×BACK TO CHILL
2012.09.29(sat) @SOUND A BASE NEST
Special Guest:GOTH-TRAD [DEEP MEDi MUSIK/Back To Chill] / ENA [IAI/Cylon/7even/HE:Digital/Horizons]
info : https://b-linesdelight.blogspot.jp/ https://club-nest.com/

DJ END REWIND CHART


1
Ryoichi Ueno - Blast - Dub
https://snd.sc/QLZlus

2
Kahn&Neek - Percy - Bandulu Records

3
Champion - Crystal Meth - Butterz

4
Djrum - Mountains Pt.1(Pedestrian's Pirate Radio Remix)/Turiya(Tessela Remix) - 2nd Drop

5
Alex Coulton - Bounce/Bounce(Pev Version) - 999YTIVIL

6
Bandshell - Dust March - Hessle Audio

7
Trusta - Feels So - Swamp81

8
Falty DL - Hardcourage - Ninja Tune

9
Kowton - Des Bisous - Pale Fire

10
Outboxx - Ep - Immerse

電気グルーヴ vs 神聖かまってちゃん - ele-king

 7月25日、奇しくもよい子たちの終業式である。リキッドルーム恵比寿移転8周年を記念するイヴェント「電気グルーヴ vs 神聖かまってちゃん LIQUIDROOM 8th ANNIVERSARY 」が終わり、夏休みモードと猛暑が残した熱気にあてられながら帰路についた三田格と橋元優歩であったが......
以下、往復書簡形式にて本イヴェントのレヴューをおおくりします!


■神聖かまってちゃん1:橋元→三田

三田さんへ

 たぶん今回はリキッドルーム自体のアニヴァーサリー・イヴェントということもあるので、なかばゲスト的なスタンスというか、ワンマンでがっつり魅せるときの構成ではなかったのかなとは思います。ですが、生で観るのは初めてだったので、ふつうに"ロックンロールは鳴り止まないっ"が鳴りだしてすごくテンションあがったりしました。これは2曲めでしたね。かつてはじめてこの曲を耳にしたのは、地元のツタヤでだったんですが、不思議とそのときの体験と同質なものを感じました。

 というのは、ああいう場所でかかっているBGMって、ときどきびっくりするほどダイレクトに耳に届いたりするじゃないですか。それで、そのときはまずピアノのリフが聴こえてきたんです。今回も「わあはじめて観るなドキドキ」とか思ってぼーっとなっていたとこにピアノが聴こえてきました。そのあとはっと気づくと徐々にの子のヴォーカルが届いてくるんですね。ヘッドホンなんかでUSBメモリみたいに脳に音を直挿しすると、の子っていう意味性とか言葉から先に入ってくるんですけど、空間的に再生されるとあの強烈なピアノが先にきて、ノイジーな外気をなぎ払う。そしての子がそのノイジーなところ(≒社会空間)に入ってくるのを助けるんじゃないかなと思ったんです。かまってちゃんのバンド力学について、そんなふうにまずいろいろと考える部分がありました。MCのかけあいなんかでも同じ構図なんだな、とか。

 しかしあの歪みない(笑)メロディ、奏法ってなんなんでしょう。三田さんが、音楽を聴くというのは感情の幅を聴くこと、というふうに以前におっしゃっていてすごく合点がいったんですけど、ピアノ教室とかだと一般的にはそれを音の強弱で表現するように教わるんじゃないかと思います。繊細なタッチの使い分けで陰影をつけろ、みたいな。monoのキーボードがそういうタッチに対応できるようになっているのかどうかは知りませんが、すごく平坦で明瞭ですよね。メロディも過剰にエモーショナルで、引きを知らないというか。でもすごく感情の幅を感じます。菊地成孔さんは『ele-king vol.6』で、テレビのサントラだと感情のはっきりしたところから使われてしまうというようなことをおっしゃってました。それで言えば、monoのは感情のピーク・ポイントばっかりずっとつづくアニソンとかに近い方法を感じますが、同時に作家主体や感情の幅......というか大きさなんですかね......もはっきりあって、感心します。

 の子は感情そのものでした。すごく客観的に事態を見ていて、ステージを進行して構成していく意識も明確に感じるんですけど、そういう冷静さと食い違わずに、というかそれをなかに含みこんだ巨大な一個ですね。あの感情にふれているだけでなにかを観にきた気持ちになります。清志郎とかジョン・ライドンとかと比べてどうですか? あと、CDだと少しぼやけるんですけど、ライヴではあのヴォイス・チェンジャーがすごく自然に身体と結びついているのがよくわかりました。あれはシャウトなわけで、ふつうに叫ぶんじゃ限界があるから呼び出された表現だと思うんです。あれだと性別も超えられるから、表現できる感情の幅も単純に2倍になるというか。

 だから"白いたまご"も"黒いたまご"もすごくよかったです。はやくライヴで聴くべきでした。わたしは『つまんね』が好きなんです。『つまんね』のときにチルウェイヴって言っといてよかったです! "黒いたまご"なんてとくにそうですけど、すごくディスコっぽく演奏されててなるほどと思いました。チルウェイヴからシルク(〈100%シルク〉)への流れがすっぽり収まってるじゃないですか! 無意識でしょうし、もしかしたら関連がないかもしれないですけど、時代ってそんなふうにとらえられていくものじゃないですか。

 かと思えば"通学LOW"のノイジーでエクスペリメンタルなジャンク・サウンドは目も綾という感じで、これもかっこよかったです。中盤の腰の部分をすごく支える好演奏でした。ちばぎん、みさこといった個性はこういうところで頼もしいというか、リズム隊はゆったりと、あるいはふわっと後ろから見守りながら、ファンキーな表情とかミクスチャーっぽいヘヴィさみたいなものまで、けっこういろいろ地味に試している印象でした。"いかれたニート"なんかも面目躍如ですよね。これもすごくよかったです。

 "聖マリア記念病院"は、恥ずかしながら知らなかったのですが、うちに帰って聴くとポニーテールとかもっと言えばダン・ディーコンとか、それからハイ・プレイシズとかをクラウドっぽくしたというか、シューゲイザー化したという感じの、しかもUSインディを勉強しましたというような道順をぜんぜん持たない、なにか別ルートからそれをやったという具合の、なかなかの子の次の展開を期待させる問題作なんですよ。PVもすばらしい。けどこれのライヴの印象がぼやけてるんですね。曲名だけすごい記憶に残って。だからおそらく、これだけはライヴでうまく表現しきれなかったんじゃないかと思います。動画では初見で驚く曲なんで、もっと衝撃を受けたはずなんですよ。(ちょっと、リンクは削除されててこれだけしかないんですけど https://www.youtube.com/watch?v=P8ayUSEP6Fs

 だいたいこういったところが大まかな感想です。会場の雰囲気も親密だけど閉鎖的ではなくて、よかったです。飛んでくるヤジとか声援がすごくニコ動っぽいというか、文字で見えました。「死ね」って超合唱してましたけど、ぜんぜんカラッとしてましたね。噴き上るとかでもなくて。メッセージというより、これはやっぱり歌になるまで練磨されたものだったんだなと思いました。イギリス人が"ホワットエヴァー"とか合唱するかんじで、むしろソングライティング力すら再確認させられるという「死ね」でした。

 なんかかなり全肯定って感じなんですけど。


■神聖かまってちゃん2 三田→橋元

橋元さんへ

 楽しんでますね。初めてみると、そうなのかもしれないけど、僕は全体にスランプなんだなと思いました。MCで枝豆ばかり食べていて、曲がつくれないといってた通り、次にどうしていいのかわからない感じがライヴにも出てた。これまでやってきたことを捨てるわけでもないから、まずは罵りが芸みたいになっていて、いまのままで固定すると泉谷しげるになるしかないし、オーディエンスと別なコミュニケイトのチャンネルを探ってる感じもあった。自然にやるのはまだ抵抗があるみたいだから、やたらと目を剥いて見せていたけど、やっぱり過剰だったよね。首も前はあんなに振ってなかったんじゃないかな。前みたいに曲に集中できないのかもしれないけど、無理に気持ちをアップさせる曲よりは"いかれたニート"のようにベターと這いずるような曲調は悪くなかったので、いろいろやらないで、ヘヴィな曲ばかりやるのも手だったんじゃないかとは思った。そこは電気グルーヴとの対バンという企画が災いした部分でもあるでしょう。電気グルーヴがステージで「神聖かまってちゃん」というバンド名を口に出したのは2回ぐらいだったと思ったけど、神聖かまってちゃんは何回、電気グルーヴと言ったかわからないぐらい連呼してたよね。それだけ意識してたんだろうし、だったら、電気グルーヴの曲を自己流にアレンジしてやった方がまだしもだったよね。

 以前だったら、会場を本当に白けさせてしまうようなことも平気でやれたのに、そうはしないのか、そうはできなくなったのか、良くも悪くもプロフェッショナルになってはいるので、感情の幅が狭くなっていることも確かです。もしかするとそのことに葛藤があるのかもしれないし、いちばん気になったのは「若い」ということを2回もMCで言っていたこと。僕は少なくとも若いから神聖かまってちゃんに注目したわけではないので、そこに価値観を置いてもしょうがないと思うんだよ。もしも、以前のようにはできないという葛藤をそこに(無意識に)すり替えてしまうなら、あまりいい結果を生むとは思えないし、そもそもこういったことは言葉に頼らない方がいいはずなので、その辺りは早めに抜けて欲しいとは思った。いわゆる自分を見失っている状態というやつなんだろうけど、清志郎に言わせれば「自分を見失ってからが面白い」ということなので、いまの状態をなるべく楽しんでいただきたいとは思いますけど。ただ、の子のスランプがそれほど本格的じゃないのは、ほかの誰かが引っ張るモードではなかったので、まだまだ余裕があることも確か。バンドのいいところは全体をドライヴさせる人が交代できるところだよね。これがテクノのプロデューサーだと名義を使い分けたりして気分を変えるんだろうけど、バンドはひとりだけが消耗していくとすべてが終わってしまいかねないので、ホントにヤバかったら、ドアノブ少女ことみさこちゃんとかがもっと出張っていって、の子を休ませるようなステージングになっていくはずだから。つーか、みさこちゃんがぜんぜん喋ってくれなくて残念だった! 僕の場所からはハイハットの下側にみさこちゃんの意地悪そうな口だけが見えていて、顔がぜんぜん見えなかったんですよ! 口だけでもスゴいインパクトだったけど!

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■電気グルーヴ1 橋元→三田

三田さんへ

 ああ......。三田さんのおっしゃることは、言われればどれもそのとおりだと思います。たしかに、こんなにきっちりしたものなのかというふうには感じました。ちゃんとしたライヴをやるんだなと。なにが起こるかわからないというふうではなかったです。そこは数々つたえられているような不安定で緊迫したステージを観てみたかったとは思います。ただ、そういう事件性が目的化してしまうのは最悪なので、そのときそのときの自然さに合わせてやるのは間違ってないとも思います。以前のような種類のエネルギーとのギャップをまだ肯定的に解決できていないことは、「目をむく」ことにあらわれているわけですから、在り方の模索が大きい課題になっているわけですよね。お客さんの雰囲気はほぼ見守る体勢だと思われますが、そのように流動性の低い客層を抱えることは諸刃というか、「泉谷しげる」を超先鋭化させる方法があればそれもよしと思いますが、なにかすごくオリジナルなやり方で、まためちゃくちゃな層を巻き込んでほしいです。

 「若さ」の問題はわたしも気になりました。それは言わない方がいいというか、当人的にも偽りのある言い方じゃないかと思いました。「目をむく」同様に、過去と比較しての不全感とか焦りとかから出てきているように見えます。

 電気グルーヴのほうもうかがっていきたいと思います。わたしでも知っている有名な曲ばかりでしたが、わー歴史的なユニットのライヴを観た! というミーハーなテンションの上がり方以外には、わたしのテクノ・ヴォキャブラリーの貧困さのせいかあまりどう楽しんでいいかわかっていなかった部分があります。いろんなジョークなんかが散りばめられているのかもしれない、でもきっと自分には何割かしかわかってないのかも、という具合です。そこのところを解説いただけませんでしょうか。トークもおもしろいし、笑顔もピースフルで、居酒屋のマスターが「楽しんでいってよ」って言って調理場に消えていく感じがよかったです。すごく上級の芸をみんなでおおらかに満喫するといったアダルトな雰囲気を感じました。

 後ろの映像が「アシッド・ハウス」とか「ボディ・ジャック」とか身体的に音楽を受け取るようにというようなメッセージをサブリミナルに発信しつづけるのが不思議でした。脳でキャッチするメッセージを用いて、身体的快楽もしょせん脳で感じていることだというようなアイロニーを表現しているのでしょうか?

 あとは「富士山」の大合唱がみるみるうちにビートを骨抜きにして、日本的な一気コールみたいにベタッとしたものへと変貌していったのが、インスタレーションのようでおもしろかったです。


■電気グルーヴ2 三田→橋元

橋元さんへ

 ローリング・ストーンズは70年代にライヴで「サティスファクション」だけはやらなかったらしいんだけど、80年代になるとまた演奏し始めたんだって。要するに「お望みのローリング・ストーンズをお見せしましょう」という境地だよね。いまの電気グルーヴもそれだと思う。石野卓球という人は調子が悪くても絶対にそれを気取らせないから、本当に楽しいのか、楽しそうにしているだけなのか、まったくわからない。とんでもないショーマン・シップの持ち主だよね。の子と違って、音が鳴り出した途端に、自分が真っ先に音のなかに埋没していったように見えたし、それだけでオーディンスも引きずられる。余計なことを考えさせずに、掛け値なしに楽しませてくれたと思います。20周年のときは、あれが5時間続いてもまったく飽きなかった。最近、よく言っている「電気グルーヴでございます」というのは、僕にはどうしても「三波春夫でございます」に聞こえるよね。

 神聖かまってちゃんのライヴが40点ぐらいだとしたら、電気グルーヴは90点以上の満足度だったかな。ただ、結果を知った上で、どっちかひとつしか見てはいけないといわれたら、やっぱり神聖かまってちゃんを観たいなと思うんだよ。それは、いま、かまってちゃんが変化し続けているからで、電気グルーヴはいつ観ても同じともいえるから。こういうのは週刊誌的な興味でしか観ていないとも言えるので、自分を「金髪豚野郎」並みの下衆だと自覚することも必要だとは思う。どっちに転ぶかわからない不安定な「人間」に対する興味が優先して、完成された芸を楽しめないんじゃ、ワイドショーと視線は同じだから。人間が大事なのか、音楽が大事なのか、切り離せるのか、切り離せないのか、といった議論はさておくとして。

 「ジャック・ユア・ボディ」とかはサブリミナル・メッセージじゃなくて、曲に合わせてアシッド・ハウスの曲名を羅列してるだけで、「みんな、あの時は楽しんだよね」ということだと思うよ。『あの花』でアナルたちが「ハム太郎」の落書きを見つけた時と同じ? だから、橋元さんみたいに受け止めてしまう世代がいることはきっと想定してないだろうねw。「身体的快楽もしょせん脳で感じている」のは多分、橋元さんだけで、あの時、ときどき、橋元さんが視界に入ったんだけど、あれだけみんなが踊りまくっているフロアーでたったひとりだけ鍾乳洞かと思うほど微動だにしなかったでしょう。僕は橋元さんがいちばん恐ろしかった。しかも、本人的には「ミーハーなテンションの上がり方」だと言うじゃないですか。計り知れない溝を感じます。電気グルーヴが終わっていくとしたら、こういうところからかもしれない......とか。

 あと、『ガリガリ君』を聴いていて、いまニコ動なんかでアニメのシーンにブレイクコアなんかを勝手に合わせている「作品」は全部、電気グルーヴの拡大再生産でしかないなーとも思った。コミュニケイション機能としての部分を除いてしまったら、20年前と同じことをやっているだけで、なにも新しさはないなーと。電気グルーヴが世の中に訴えかけたことがまだ有効だから、ああいうことになっているんだなと。

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■電気グルーヴ3 橋元→三田

三田さんへ

 いやいや、ちがうんですよ! わたしの前にいたふたりくらいみませんでした? 女の人と男の人で、女の人は20代後半ぽくて、男の人は20代前半かへたしたら10代。このふたりがまたピクリともしなかったんですよ! どころか男性の方はなんかしらないけどどんどん後退してきて、ただでさえ背が高いのに真後ろのわたしにどんどん接近するものだから、前が見えないし、そのたびにわたしもうしろを気づかいながら後ずさりしなきゃいけないしで、ちょっとイライラしたくらいです。ふつう前になだれることはあっても、バックするなんてことありますか?

 たぶん彼や彼女もよくわからなかったんだと思うんですね。自分もあんまり動いてない自覚はあるので、「ここの三角形ヘンだよな」とか思いながら、でもそのふたりが許されている空間なので、ありがたいな、とか思ってました。たぶんまだまだ同じような人がいます。あと、あれでも橋元はのっています。(ながらくヘッドホンのなかに音楽があると思っていたので、端的にライヴ空間で音を聴くことに慣れていないのと、壇上に人が立っていたら目を見て話を聞かなきゃいけないという父のしつけのために、超、壇上の人の目を見ていたため身体が動きにくかったのです。)

 要は馴致の問題というか、三田さんがおっしゃるようにそれが完成された芸ならなおのこと、その芸の「見方」「楽しみ方」の学習が必要なのではないかと思います。われわれは学習が足りなかったということです。ただ、もし新しいものであれば、あるいはリアル・タイムで聴いていたら、すんなり理解していたかもしれません。新しい音楽を聴くことはやっぱりラクなことです。人間、歴史を知ってゆたかになるものだと思いますので、チルウェイヴをだらだら聴くだけじゃだめだなともわかってるんですよ。(そのこととチルウェイヴ自体の意義とは別ですが。)

 この理屈は踊っている人にも同様に当てはまります。踊っているのは馴致の結果ではないのかという。それでべつになんの不具合もないのですが、踊らない人がいることに筋がとおります。もし、それをかけたらサルも踊る、草花がそっちに向いて咲いたり逆を向いたりする、そんなレヴェルでビートやリズムを正当化する人がいれば、そういう人には疑問を付さざるを得ないです。

 「ショーマン・シップ」は本当によく理解できました。「若さ」という言葉の詐術というか暴力の大きさを飲み込んでいる感じはわたしにもよくわかったので、やっぱりすごいんだなと思います。『ガリガリ君』とニコ動のお話もよくわかるというか、ニコ動には大して通じていないのでなんとも言えないのですが、この前の〈100%シルク〉のイヴェントで、スーパー旅館など奇怪な施設のお座敷や、そこで供されるすきやき鍋、歌い騒ぐホワイト・カラーのイエロー・モンキー、そうしたものが消費社会のなかで演じたこっけいな役割を批評的に切り出そうとするように、昔のCMが使用されていたんです。そのヴィデオ作品の既視感たるや、『ガリガリ君』を1歩も超え出ないものではありました。ゴージャスなビーチや高層ビル街のイメージも批評なのかそのまんまなのか多用されていましたが、同様です。シルクの功罪を見る思いがしました。ジュリア・ホルターアマンダ・ブラウンのいないシルクは、ああした解釈をたやすく許します。関係ないですけど、トロ・イ・モワが"タラマック"のヴィデオでみせたのは、枯野でセーターを着てやる手持ち花火であって、輝く摩天楼やイビサに上がる打ち上げ花火じゃないですよ。『ガリガリ君』を超えるなら、日本の"タラマック"を作らなければならないと思います。

 そして、かまってちゃんの"聖マリア記念病院"のPVは"タラマック"に通じるものがあると思います。これはわたしとても好きなんです。このフィーリングをステージに持っていったりできたら、三田さんがおっしゃっていたような、これまでの在り方とはまったくちがうかたちで、会場をしらけさせたり夢中にさせたりできるかもしれないなと思います。


■まとめ 三田→橋元

橋元さんへ

 電気グルーヴと神聖かまってちゃんという組み合わせはわかったようなわからないようなところがあるよね。最後まで観て「なるほどー」とも思わなかったし、だからといって、まったく合ってなかったとも思わなかったし。前に湯浅湾と相対性理論のジョイント・ライヴを観たときは、最後に合体ヴァージョンもあったので、接点をそのまま見せてくれたような気もしたんだけど、電気グルーヴのエンディングにの子が出てくるということもなかったし。そういう意味では別々のライヴを立て続けに観たという印象を超えなかったので、企画イヴェントとして考えると、そこはちょっと物足りなかったかなと。まー、でも、この暑いなか、橋元さんの挙動も含めて楽しいひと晩を過ごさせていただきました。あと、気がかりなのは、あれだけ卓球が「買うな、買うな」と連呼していたTシャツが実際には売れたのかどうかでしょう。頼むから、その結果を誰も教えないで欲しいけど。


Tシャツの商品名は「フォーエヴァーTシャツ」であった。どこかの田舎のおじいさんが描いたという触れ込みで、ふたりの似顔絵に「いつまでも...」と筆文字で添えられてある。
それは、三田格の指摘する「芸」をめぐるスタンスや経験の問題について、この日電気グルーヴと神聖かまってちゃんの双方を照らした奇妙な光源であったように、またいっけん無関係な両者が偶然にも交差してしまったモチーフでもあるように、橋元優歩には思われたのであった......La Fin

Evade - ele-king

 マカオからダブステップ・ヴァージョンのコクトー・ツインズによるセカンド。ソニア・カ・イアン・ラオ(ヴォーカル)、ブランドン・L(ギター)、フェイ・チョイ(プログラム)からなる3人編成。クアラ・ルンプールのミュー・ネストやジャカルタのワハナと並んで注目されるシンガポールのキッチンから。デザイン・チームがはじめたレーベルだけあって折り紙式のジャケットもフェティッシュ係数が高い。

 都会と自然というのか、交通事故を思わせるようなクラッシュ音と人里離れた場所から聞こえる幽玄な響きがけっして溶け合うことなく、共存しながら互いを引き立て合っていく。なんだろう、これは。人種政策でいえばフランス式の同化政策ではなく、アメリカ式のサラダ・ボウルを思わせる見事なミックス・センス(......レコーディング技術の頂点とか最先端がポップ・ミュージックのかたちをとって表れたような気までしてきた)。ミュージック・コンクレートやダブもひとつの楽器のようにして扱われ、しかも、ポップ・ミュージックから大きく踏み出すこともない。『空中キャンプ』も『ファンタズマ』もすっかり過去のものになっていく。日本、終了。水戸藩の皆様、ご苦労様でした(ボーナス・トラックには日本からオカモトノリアキら3組がリミックスを提供)。

 試聴(ダイジェスト)→https://soundcloud.com/(詳しいバイオグラフィーも)

 オープニングは昔日のフォーテックを思わせる「忘」、ジョン・ケージも沈黙してはいられない「無題夢」、空中遊泳のようなレゲエを聞かせる「尋抜佛洛依徳的虚無瓢翔(フロイトを探して)」......と、日本でも人気のあるマレーシアのフリカやシンガポールのアスピディストラフリーとは次元がまったく違うし、もしかすると、そうやって日本のエレクトロニカなりを模倣し続けたアジアのミュージシャンから、そのような試行錯誤を踏み台にして、その上を行く才能が開花したということなのだろう。つまり、日本のミュージシャンにもこれをつくるだけの条件は同じように整っていたはずで、もっといえば、なんのために、日本は『空中キャンプ』や『ファンタズマ』を生み出してきたのかということでもある。

 10年前、世界で人気のあるゲームの人気投票をやれば100位中93本が日本のゲームだったという(いまはゼロに近い)。アジア中で放送されていた日本のTVドラマはもちろん韓流にとって代わられた。日本の映画が海外に売れることは皆無に近い。アニメもマンガもまるで人気がなくなり(トロントでは5年ぐらい前から大学で日本語の授業を取る学生が減り出したと聞いた)、ストリート・ファッションは少しがんばっているようだけど、〈アタ・タック〉や〈サブライム・フルクエンシーズ〉が沖縄民謡や演歌のコンピレイションをリリースすることはあっても、ボアダムズのように海を越えて影響を与える現在進行形の音楽も存在しない。責任の一端は政府にある。クール・ジャパンを持ち上げていたのに、その才能に投資することもなく、どこからか搾り出した予算を大企業の宣伝費に回していたことがすっぱ抜かれたのである。そのことを知ったのだろう。今年の1月、村上隆は以下のようなツイートをしている。「大手広告代理店の皆様! 行政の皆様! 告知です。村上に「クールジャパン」関連のイヴェントへの参加、インタヴュー、諸々のオファーはしないでください。村上は「クール・ジャパン」とはいっさい関係がありません」と。ル・モンドが「いまや日本文化は世界で1人勝ちだ」と書いたのも10年前。音楽だけでなく、あらゆるジャンルで日本にはクリエイターが育たず、せっかくの文化的蓄積を食いつぶしてしまったのである。そして、いまはガラパゴスを決め込み、J・ポップを聴いていれば洋楽を聴く必要はないと開き直っている。......動物化とはよく言ったかもしれない(いいものだってある。でも、それが日本で人気を集められないことはさらに深刻な事態を意味していないだろうか)。

 香港に続いてポルトガルから中国に返還されたマカオがどんな文化的背景を持っている国なのか不勉強でよくわかっていないので、ここで彼らがレゲエを巧みに引用したり、ノイズを混ぜてみたりするときに、どのような文化的意味が生じているのかということが僕にはまったく理解できていない。いわゆる無国籍サウンドとして響くだけだし、それが余計に日本との距離を縮めて感じさせる。イヴェイドとは「回避する」という意味である。何を? どうやって?

Dum Dum Party 2012 - ele-king

 7月1日、〈河口湖ステラシアター〉で開かれた「Dum Dum Party 2012」は、ビッグ・フェスティヴァルが当たり前のこのご時世で、原点回帰をうながすような内容だった。

 Dum Dum Llpがヴァセリンズを呼んだ理由は、好きだからだ。2009年に設立されたこのイヴェント会社の名前は、ヴァセリンズの代表曲"Dum Dum"から取られている。「当初からいくつかバンドを呼びたいと思っていたけれど、まさかこんなに早く彼らを呼べると思っていなくて、早い段階で最終地点に着いてしまったような感じがしているね(笑)」と、今回の招聘について、Dum Dum Llp代表の富樫陸氏は話してくれた。
 今回のイヴェントのプロモーターでもあるOffice Glasgowの安永和俊氏はこう語る。「もちろん商業的に成功しなくてはいけない部分もあるけれど、まず企画する側が好きなバンドを呼んで、バンドを好きな人たちが会場に集まる。そして日本のことが好きなアーティストがライヴをする。ハッピーでしかないからね。当たり前のようだけど、それがいちばんでしょ」
 Corneliusの小山田圭吾氏は今回のイヴェントについて、富樫氏に向かいこう言ったそうだ。「これ、完全に富樫君のイヴェントだよね(笑)」

 日本の大きなイヴェント(フェスティヴァルなど)は、このようなシンプルなモチヴェーションを失ってはいないだろうか。ミュージック・フェスティヴァルとはそれを好きな人たちが好きな文化のためにはじめたもので、その主役は"音楽"と"リスナー"だったはずだ。
 僕も自分でイヴェントを開催したことがある。現在もいくつかのイヴェントのお手伝いをする機会があるので、企画する側の苦労などは(その規模によってかなり違うが)、ある程度は理解はしているつもりだ。自分が思っているようにアーティストは集まらないし、集客などはとても不安だった。経済的なリスクがつねにある。
 しかし、「イヴェントをなぜ企画するのか」というもっとも大切な命題にぶつかったとき、意外と答えは簡単に見つかる。好きだからやる。イヴェントは、その音楽を輝かせる手段、ルーティーンでは決して味わえない自由な空間を創造することなんだと僕は思う。
 ここ5年くらい、僕も毎年のようにいろいろなフェスティヴァルに出かけている。近年はそのイヴェントに「参加している/共有している」というよりも、「普段見れないアーティストを見に行っている」という感覚のほうがどうしても強い。いわゆるショーケースとして受け止めている。そういう意味で7月1日の「Dum Dum Party 2012」は、自分も忘れていたフェス的なものへの初期衝動を喚起させてくれたのだった。

 当日は、ヴァセリンズの"Dum Dum"と相対性理論の"Qkmac"が収録された、限定のスプリット 7インチ・シングルが発売されていた(もちろん即ゲット)。そうそう、この日出演者はスティーヴィー・ジャクソン、ヴァセリンズ、相対性理論、ゲストに小山田圭吾。流行やビッグネームに頼らない、企画側の愛情がわかる、面白い組み合わせだったと思う。だいたい平日の月曜を翌日に控えた日曜日の夕方から山中湖でやるイヴェントには、本気で好きな人しか来ないだろう(笑)。

 スティーヴィー・ジャクソンはベル・アンド・セバスチャンよりも内省的で、もの哀しくも、やさしく包み込むような歌声が良かった。山地特有の天候が独特の雰囲気を醸し出し、ちょっとグラスゴーの風景を空想してしまった。

 スティーヴィー・ジャクソンがリード・ギターとして入ったヴァセリンズは、フランシス・マーキーのチャーミングな赤いスカートが華々しかった。ところ"Oliver Twisted"で演奏がはじまると、そんな可愛い印象は一転。ファズのかかった挑発的なギター・サウンド、ユージン・ケリーとフランシス・マーキーによる男女ツイン・ヴォーカルに乗せられながら、ステージは矢継ぎ早に展開。"Molly's Lips"では小山田圭吾と安永和俊が登場、ホーンを演奏した。"Son of A Gun"あたりから座っていたリスナーも立ち上がり、踊りはじめた。"Dum Dum"を演奏する前のMCで、Dum Dum Llp関係者などに感謝の言葉を述べた。会場は拍手に包まれ、"Dying For It"がはじまった。

 相対性理論は、リヴァーヴのなかで溶け合うふたつのドラムが躍動的だった。ボサノヴァ風のアレンジや、やくしまるえつこのヴォーカリゼーションは魅惑的だった。小山田圭吾をギターに迎えたその日最後の曲、"ムーンライト銀河"は白眉だった。甘いノイズ・ギターは、どこまでも遠くへ続くようだった......。それは企画側の愛情のこもった気持ちの良いフェスティヴァルに相応しい幕引きだった......。

Fang Island - ele-king

容赦ない打鍵でメロディを叩きだす"ヴィクトリニアン"は、彼らのハイ・ファイヴがその場限りな朋友意識から自由であると物語る。

 ともかくもファング・アイランドはギターがおもしろい。昨今は90年代風のR&Bがインディ・ミュージックの細部へと浸透し、一種のリヴァイヴァル状況を生み出しているが、それらの隙間の多い音に比して、ファング・アイランドは真逆ともいえる暑苦しさをまき散らしている。「ハイ・ファイヴ・コア」などと呼ばれるゆえんだ。同じナインティーズでも彼らはディストーティッドな音を好む。しかしそれは、ロック界隈ではすでに2009年ごろより起こっていた90年代リヴァイヴァリストたちの、コスプレのようなグランジ・ポップとはまるでちがう。それはほんとうに、一聴でわかるだろう。今作冒頭はいきなりピアノからはじまるからディスクを間違えたと思ったのだが、すぐに1本の光線のように、追って複数本並行するようにギター――「あの」ギターだ――が入ってくると、間違いなくそれがファング・アイランドであることがわかった。心がそよぐ!

 隙間こそないが、彼らの少しメタリックなギターは、とても透明度が高い。それは大半の曲においてグランジっぽい歪み系の音と2層をなして進行するが、双方とも氷づけされたようにざらつきがない。技術的なからくりはわからないが、シーンの主流がテープ録音のようなにごりやあいまいさを持った音色にあるなかで、異様にうつるほどの個性を宿している。

 "キンダーガーテン"はピアノからはじまる。ファング・アイランドはバンドとしてのアイデンティティもギターにあって、ライヴなどは5人くらいのギターがずらっと横1列になったりする。先に述べたように、ピアノの使用などおよそ想像の範疇をこえていて、はじめは我と耳とを疑ったくらいである。だが終曲もおもいきりピアノによって展開されていくのを聴いて、両者は彼らにとって等質なものなのだなと思い至った。透明でつよく、線的にのびてゆくもの。ピアノもまた弦楽器であったこと、彼らのギターが鍵盤楽器的であったことがここで交差し、筆者はようやく納得した。また、そのピアノ自体にも次第につよく胸を打たれるようになった。アップライトで子どもがバイエルを弾くように、容赦ない打鍵でメロディを叩きだす"ヴィクトリニアン"は、彼らのハイ・ファイヴが粗雑でその場限りな朋友意識・パーティ感覚といったものから自由な、心の祝福をたくし込んだものであることを暗示する。

 握手よりもハイ・ファイヴが大事だ、と結成メンバーのクリス・ジョージズは言う。小さな地球でちがう国の人間同士が手をあげてタッチしあうイメージ、そのパワフルさを彼は好む。筆者は見ず知らずの人間とのハイ・ファイヴなどもっとも苦手な部類の行為だが、彼らのパーティでならやってもよいという気がする。ノリだけでここまで力づよく執拗に鍵盤を打ちつづけることはできない。奏法で音に陰影や表情がつくなどという発想のまるで埒外で、エネルギーが尽きるまで弾きつづけようというような駆動力。その裏側には、なにかほんとうにその行為を支える確信があるのだと感じる。タッチしあうことでそれが見えるというのならば、見てみたいなと思う。『ピッチフォーク』などがかつて「人生肯定的」と評したのは肯定の意味をとり違えなければそのとおりである。

 ファング・アイランドはニューヨークを拠点に、現在はトリオを中心として活動している。リトグラフィよりも音楽を作ったほうがいいんじゃない? というアートスクールの学生たちで結成されたバンドだ。2010年にリリースされたはじめのフル・アルバムもすばらしく、高い評価を受けた。今作に根本的な変化はないが、"アサンダー"や"レガリア"など耳なじみのよいメロコア風の楽曲を聴くと、正直なところそこまでリスナーに歩み寄らなくてもよいのではないかという気持ちにはなる。かといって"チョンパーズ"などが平凡かというと、結局はここでもギターが彼らの音楽を非凡ならしめていることに気づく。「人びとに喜ばれる音楽を作りたい」という彼らの思いが、そのように微妙なバランスで表れた作品である。『メジャー』というタイトルの意図はわからないが、メジャーという言葉の意味するところが両義的に浮かび上がっている。次作はより純粋に表現自体を追求・進化させてほしいというのが希望だが、筆者は彼らの音には一貫してエールを送りたい。

快速東京 - ele-king

 僕のすぐ後ろから「外タレみたいだ!」という声がステージに向かって跳んだ。さっきからスイセイノボアーズ(SuiseiNoboAz)がなかなかいい演奏を繰り広げていた。昨年あたりから評判になっているバンドだという。凶暴なフィードバック・ノイズにはじまり、曲が進むにつれて、だんだん単純なロックン・ロールになっていく。ここは渋谷・宮益坂にあるラッシュというライヴハウスで、PAがとにかく素晴らしい。入場制限がかけられるほど内部はギュー込みで、このところ足を運んだライヴ・スペースでは圧倒的に年齢層が低い。こういうところにひとりでいると間が持たないし、ほとんど身動きもできないから不快指数が上昇するかと思いきや、なぜか非常に居心地がいい。高円寺の練習スタジオでスカートを観ていたときは足が攣りそうになって、さすがにギブ・アップしてしまったけれど、スイセイノボアーズから、そして、快速東京へとステージは進んでいく。快速東京が、そして......とんでもなかった。

 「外タレみたいだ!」と叫んでいたやつがヴォーカルだった。歌っていないときはフニャフニャしていて、重力との関係がどこか間違っているような背筋の伸ばし方。見てしまう。いや、人の目を否応もなく引き付ける。演奏がはじまると、音楽性は100%パンクである。しかも曲が短い。いまの曲は短かったなーと思っていたら、それは1曲じゃなくて2曲だったりするし、快速というのは、そういうことだったかと。しかも、歌詞がナンセンスで、演奏自体はシリアスに徹し(ある種、バカテクかも)、ヴォーカルの福田哲丸が体を振動させるスピードはニュー・オリンズ・バウンスよりもケイレン度が高い。なんというか、毒の持たせ方が電気グルーヴのようなスターリンというか......そう、スターリンが「ガリガリ君」とか歌ってる感じ。歌い終わると、またフニャ~。

 ライヴを観てからCDを聴くと、もはやCDとしての完成度がどうなのか、それを冷静に見極めることは難しい。ステージの模様を思い出して笑いがとまらなくなってしまうから。全16曲で18分。短い。ショート・パンク・ロックといういうらしい。パンク・ロック界の星新一とでもいうか。ロックンロールは人間じゃない、メタルマン髪の毛長いぜ、ヒマだから戦争しようぜ......もしかして「外タレみたいだ!」というのは日本の文化に馴染んでないぜという意味を含んでいたのかなと思えるほど、歌詞のセンスは日本語のそれでしかない。野田努先生のテーマ曲にすべき"ラブソング"は♪テレビをつければラブソング 街をあるいてもラブソング 聴きたくねーのにラブソング~と、Jポップ全体を一瞬にして敵にまわし、"パピプペパンク"では♪ロックもパンクもどうでもいいじゃん ロックもパンクもめんどくさいじゃん~と自分たちのやっていることも否定。"ゾンビ"はちょっと文学的で、♪最低な世界サヨナラできない~と、ある種の闇を覗かせる。エンディングはやけのはらをラップでフィーチャーした"敏感 ペットボトル PART 2"で、これがまたサイコーに自暴自棄。

 ......このまま行っちゃうのだろうか。それとも次のアルバムでは、長い曲か、遅い曲をやってみるのだろうか。そうだとしたら、その直前の瞬間は絶対にライヴを目撃しておきたいし、さらにいえば、つかみどころがないにもかかわらずポロっと毒がこぼれることもあるMCを聞いている限り、一度躓いてからが面白いバンドになるような......(短いですが、終わりにしましょう)。

MOVEMENTS Oneness Camp 2012"縄文と再生" - ele-king

 いや~、暑いっす。おまけにオリンピックのおかげで寝不足です。

 さて、DVD作品『Beyond』によって、彼なりの哲学で原発問題や沖縄の基地問題に切り込んだDJ/プロデューサーのムーチーが、8月の終わりに野外フェスティヴァルを主催する。題して......MOVEMENTS Oneness Camp 2012"縄文と再生"。
 出演者に関しては彼らのサイトをチェックしてもらういましょう。ムーチーの考えを租借すれば、取り返しがつかないほど混乱した日本の再生のヒントのひとつとして、そして共感できる自分たちの国の文化のひとつとしての「縄文」というもので、これはUKのアナーコ・パンクがストーンヘンジを抵抗のシンボルにしたり、あるいはUKのロックやテクノが何かとケルト文化を持ち出したりすることの日本ヴァージョンとも言える。8月末、FREE DOMMUNEが終わったら、君も縄文へのトリップを準備しようじゃないか!




長野、縄文、キャンプイン!
満月の夜からはじまる2泊3日の音楽フェスティヴァル!


日 程 2012月8月31日(金)満月 / 9月1日(土) / 9月2日(日)
開 場 8月31日(金) 11:00
閉 場 9月2日(日) 17:00
会 場 長門牧場(特設広場) 長野県小県郡長和町大門 3539-2

【チケット】
通し券 前売り 7,000 円 / 当日 8,000 円
*18歳未満入場無料(要保護者同伴 / 年齢のわかるものをご持参ください)
グループ券 前売りのみ 30,000 円 (5 名分の通し券 / イープラス限定)
一日券 当日のみ 5,000 円
テント券 前売り 1,000 円 / 当日 2,000 円
ファミリーキャンプ券 オートキャンプ券
*6歳未満のお子様連れの方のみ購入可能。限定枚数にて販売予定。
駐車券 当日 1,000 円 *出入り自由
*駐車場はありますが、数に限りがあります。乗り合いでのご来場をお願いします。

https://onenesscamp.org

Chart JET SET - ele-king

Shop Chart


1

Missing Linkx - So Happy (Philpot) /
SoulphictionとMkによるプロジェクトMissing Linkxによる最新作!Moodymannの作風に通ずるブラックネスを放つ"You Ain't Hip"が脳髄直撃!

2

Michel Cleis - Mir A Nero (Pampa) /
2012年サマーアンセム、最有力候補!Cadenza等から数々の傑作をリリースした事でもお馴染みスイスの気鋭プロデューサーMichel Cleisによる最新作!

3

Sunlightsquare - Heart's Desire (Sunlightsquare) /
超人気ラテン・バンドSunlightsquare、今回は、フリーソウルとしても再評価されたのあの曲です。B面はスピリチュアル・ジャズ・ファンク名曲カヴァー!!

4

Ondatropica - S.t. (Soundway) /
Flowering Inferno、Combo Barbaroでのアルバムや数々の過去音源発掘等でコロンビア~ラテン音楽の再評価を盛り上げてきたQuanticによる最終到達地点。

5

Large Professor - Professor @ Large (Fat Beats) /
Large Professorの新作が遂に全貌を現しました! 客演にはBusta, Lil Fame, Tragedy, Mic Geroinoのベテラン勢から、Action Bronson, Saigon, Roc Marcianoまで豪華メンツが参加!

6

Karriem Riggins - Alone (Stones Throw) /
プロデューサーとしてSlum VillageやErykah Baduの作品でも手腕を振るった氏のオール・インストゥルメンタル・アルバム!

7

Hazel - Lost Tapes (The Beat Down) /
Onra主宰レーベルからのデビュー12"が話題騒然となったクリエイターの新作アルバム!客演には若手筆頭株のDrakeや、Bbeからのリリースで知られるSlakah The Beatchildをフィーチャー!

8

J Rocc - Minimal Wave Edits Vol.1 (Stones Throw) /
ミニマル・シンセ・リイシューレーベルMinimal WaveとStones Throwが強力タッグ!プロデューサーとしての資質も一級の彼が、90'sカルト・シンセサウンドを再構築。

9

Moody - Why Do U Feel Ep (Kdj) /
Kenny Dixon Jr. A.k.a. Moodymann手掛けるセルフ・レーベル"Kdj"からの話題新作が遂に解禁。Pv公開と共に話題を集めた昨年リリースの傑作「I Got Werk」も収録されています!!

10

Oddisee - People Hear What They See (Mello Music Group) /
客演には旧知のDiamond Districtの面々や、同郷ワシントンD.c.のソウルスター・Olivier Daysoul、Bullionとのスプリット盤でも話題を呼んだTranqill等が参加した全12曲。

Kindness - ele-king

 サファイア・スロウズは、彼女のLAツアーの記録において、アマンダ・ブラウン(LAヴァンパイアズ)の家に行って、「将来こんなふうに生活したいよね.....(略)。かっこいいことしてるかっこいい人たちがかっこいい家に住んでてよかった」と、素直な感想を述べているが、日本に住んでいる限り彼らと同じような生活はほまず無理だろう。
 これはインディ・シーンや音楽文化の質の問題ではない。より大きな問題だ。そもそも日本の建築物、こと住居に関する建築物の考え方そのものが欧米と日本とでは違う。欧米では、たとえば集合住宅の部屋を買う場合、土地ではなく、その建築物に金を払う。ニューヨークやロンドンなどの場合、必ずしもそうとは言えないだろうけれど、伝統的にはそう考えている。つまり、日本とは逆。だから、建築物がしっかりしていないと売れない。デトロイトでもベルリンでも、緯度が高いところに位置する都市部では、だから保温はその建物全体でおこなう。遮音や配管に関してもしっかりしている。ところが日本は、土地が資産となっている。ゆえに地価が高く、ゆえにその上に建てる建造物へのコストはカットされ、ゆえに世界のスタンダードで言えば、先進国でありながら平均的な人たちはスラム街並みの狭い空間で暮らしている。国土が狭いからそうなったわけではない。国のシステムや考え方に依拠している。
 このように、日本の外から日本を見ると悲しくなることが多々ある。今日の民主党+元民主党の無責任ぶりを見れば外に出なくてもそのとんでもなさはわかるだろうが......。

 しかし「思い込み」というのは恐ろしいもので、80年代まで、日本人の多くは自分たちは経済大国に住んでいるんだし、欧米人並みの暮らしをしているんだと錯覚していた。信じられない話だが、自分たちは白人だと勘違いしていた人も少なくない。
 土地を株券のように売り、価値を与えたのは日本政府だ。税収が増えるし、資産として運用できる。それがゆえにバブル経済が起きたわけだが、結局のところ間違った「思い込み」に気づかされたのが80年代の日本だった。
 だいたい平均的な大学生の暮らしは、地方から上京してきた場合など、男も女も風呂なしの木造アパートが当たり前だった。しかし、80年代の生まれの橋元優歩は、あの時代の日本では多くの若者がYMOに表象される「トーキョー」に酔っていたと思い込んでいる。ある種ヴァーチュアルなノスタルジーに支配されているのだ。

 今年の3月に店頭に並んだカインドネスのデビュー・アルバムをいまさらレヴューしたのはふたつの理由がある。ひとつは三田格によるピュリティ・リングのレヴュー。彼は「チルウェイヴもいい加減、ディスコ・リズムからは離れて16ビートを意識したようなものになっていくか」と書いているが、僕が知っているだけでもチルウェイヴは1年以上前から16ビートを意識している。トロ・イ・モアが昨年の2月に発表した『アンダーミース・ザ・パイン』の、たとえば"Go With You"を聴いてもらえればわかる。トロ・イ・モアはその年の12インチ「フリーキング・アウト」でもブラコン的な16ビート路線を追求している。また、〈4AD〉のインクにもそのあたりのセンスがプリンス・リヴァイヴァルのなかで受け継がれている。

 カインドネスの『ワールド、ユー・ニード・ア・チェンジ・オブ・マインド』という、もっともらしい題名のアルバムは、アートワークが物語っているように、何のことはない、スタイリッシュなトロ・イ・モアといったところである。
 ラ・ファンク・モブもモーターベースも聴いていない世代がカインドネスにいち目置くのは無理もない、ラ・ファンク・モブが出てきたとき、君たちはまだ小学生だったかもしれないのだ。僕がこのアルバムを手にした理由は、プロデューサーがフィリップ・ズダールだったからだけれど、カシアス以降のズダールは中途半端にビジネスを意識していて、いまひとつ冴えがない。それでもまあ、経験豊富なフランス人がチルウェイヴをどういう風に料理するのか興味があったし、彼はトロ・イ・モア以降の流れをそれなりにうまくまとめてはいる。16ビートを基調としながら、ディスコ(80年代)からハウス(90年代)へと、じょじょにだが移りゆくモードも捉えている。80年代風のテクスチャー(ディスコ、ブルーアイド・ソウル、AOR......等々)も残しつつ、新しい衣装を同時に見せている。

 80年代からはじまった「スタイル文化」の背後では、アーバン・ルネッサンス計画に沿って、この都市の殺伐とした景観がかたち作られている。そんな80年代の日本において、たとえばルインズ(廃墟)やボアダムス(倦怠)を名乗った音楽が、その後のブルックリン(ブラック・ダイスやアニマル・コレクティヴ)へと伝播されている。それなのに橋元優歩ときたら......。
 たしかに言われてみれば、いまよりもお花畑の若者は多かったかもしれない......けれど、80年代とは「日本ってやっぱダメだったんだな」と気づかされた時代だった。不思議国でも何でもない。
 周知のように、新自由主義がはじまったのも80年代だ。百歩譲ってそれにはそれなりの良さがあったとしよう。だが、日本で公営が民営化されたと言っても、結局そのトップは官僚のままだったりする。そのことと「チルウェイヴは16ビートですよ」という実に些細なことを言いたかっただけなのに、こんなにも書いてしまった。風呂に入ろう。stay loose, play funk and write reviews...

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