Home > News > Mark Stewart - ──マーク・スチュワートによるポストパンク時代の傑作が10曲もの未発表音源付きでリイシュー
1982年にリリースされたマーク・スチュワート&ザ・マフィアの最初の12インチがどれほどの衝撃だったことか──ひとつにはダブの音響実験がある。プロデューサーのエイドリアン・シャーウッドは、ジャマイカ生まれのダブの技法をこの作品において極限まで拡大して、カット・アップによるサウンド・コーラジュとの境界線を消失させている。演奏しているのはレゲエ・バンドのクリエイション・レベルのメンバーであったり、やがてアフリカン・ヘッド・チャージとして活動するメンバーだったりするのだが、ザ・マフィアの演奏は、シャーウッドのダブ処理において伝統的なレゲエとは切り離され、都市の寒々しい灰色の風景に地響きを与えるものとなった。泣きわめいているマーク・スチュワートの声が、その破壊的なサウンドと一体化したとき、虚飾に満ちた都市の化けの皮は剥がされて、力強いダンス・ミュージックが現出する。これがふたつ目の襲撃だった。
続いて1983年にリリースされたのが、マーク・スチュワート&ザ・マフィアのデビュー・アルバム『ラーニング・トゥ・コープ・ウィズ・カワディス』だった。ザ・マフィア名義で録音された唯一のアルバム。12インチにも収録された“リヴァティ・シティ”は、2019年の現在聴いても名曲であり続ける。それは不吉な未来に向かっている東京にお似合いの、滅びゆく都市の鎮魂歌のようだ。
『ラーニング・トゥ・コープ・ウィズ・カワディス』は新たに発掘された10曲(!)の未発表曲集を加えた2枚組として2019年1月25日に発売される。未発表曲もあなどれない。なにしろこの黄金のメンバーで録音された音源であり、マーク・スチュワートもエイドリアン・シャーウッドももっとも過激な実験に取り組んでいた時代の記録なのだから。
マーク・スチュワート&ザ・マフィアの三つ目の衝撃をいうならそのアートワークである。当時の彼らがCRASSなどのアナルコ・パンクとリンクしていたという事実がうかがえるだろう。日本盤はトラフィック・レーベルから。お楽しみに。
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