Home > Interviews > interview with Austra - 光の女神、アウストラ
フェミニストだからとか必ずしも政治的であるからという理由では音楽はつくらないけど、そういう考えはいつでもわたしたちのなかにあるし、内面の深いところの一部なのよ。
■クラシックの素養があり、先鋭的なエレクトロニック・ミュージックを制作する宅録型の女性アーティストがとても活躍していますね。 ジュリア・ホルターやマリア・ミネルヴァ、ゾラ・ジーザス、ジュリアナ・バーウィックなどのアーティストをどう思いますか?
マヤ:彼女たちがいてくれて本当に幸せに思うわ! とても大切で美しい音楽を作っているに違いないわ。ジャンルやスタイルをミックスすることに興味を持っていて、かつ才能に溢れている若いアーティストがたくさんいて本当にすばらしいことだと思うわ。そのほうがおもしろいでしょ!
■『オリンピア』は前作に比べてもかなり明確にダンス・アルバムとして仕上がっていると思います。ダンス・ミュージックとの出会いは、いつごろ何を通してだったのでしょう? また、参照点としてはジョルジオ・モロダーが体現したようなディスコ・ミュージックが挙げられるかと思いますが、そのように一種のレイドバックに向かうのはなぜなのでしょうか?
マヤ:小さいときからずっとディスコ、ダンス・ミュージックが聴いてきたわ。完全にハマってて、毎週末新譜を自分のためにご褒美で買ってた。毎回エレクトロニックのセクションにいて、そこのお店のお兄さんが、10歳くらいのわたしがプロディジーやケミカル・ブラザーズを買ってるのを見てクールだと思ってたらしいのよね。変な音や激しいドラム音が大好きだったの。友だちの家でテレビゲームしているときに爆音で流すのが最高だったわ。
■あなたはギャラクシーというライオットガール・バンドにいたそうですが、クラシック音楽とライオットガール文化という振れ幅に驚きました。「運命」という言葉や戦いの象徴があなたの曲ではよく使われていたり、「たくましく前に進む」というような雰囲気があなたの曲にはありますが、これは一貫性のあるテーマなのですか?
マヤ:わたしたちは長い間音楽をつくることに飢えていたんだと思う。わたしたちの音楽を作ることに対するエネルギーや興奮は尽きないように感じるの。すべての曲やプロジェクトがわたしにとってはエネルギーの爆発のようだし、よりたくさんの作品を作ることに夢中なのよ。ライオットガールの戦う精神はいつでもわたしたちのやることの一部だし、わたしたちってフェミニストなの。フェミニストだからとか必ずしも政治的であるからという理由では音楽はつくらないけど、そういう考えはいつでもわたしたちのなかにあるし、内面の深いところの一部なのよ。
■前作『フィール・イット・ブレイク』には"ザ・ビースト"などじっくりとピアノを聴かせる弾き語りが収録されていたりとかなり個性的で、あなたの音楽遍歴をよりダイレクトに表すものだったかと思います。前作と今作とでは人々の反応も少し違うのではないかと思いますが、いかがでしょう?
マヤ:わたしが思うに、みんなまだそれに慣れようとしているところなんじゃないかしら。『オリンピア』はヒット曲満載っていうレコードではないの。より瞑想的だし、たくさんの感情や音が混在しているのよ。ソングライティングや音楽的美学の成長を聴いてもらうためにみんながこのアルバムを何回も聴く忍耐力を持っていてくれればいいんだけど。わたしたちはアルバムが厳選された質のよいものになるように、できるだけたくさんのアナログでアコースティックな楽器を使って、すべての音をおもいやりがあって特別なものにするようにしたのよ。
■あなたはご自身について、よりどちらの性質が強いと捉えていますか? ヴォーカリスト? トラックメイカー? それとも?
マヤ:このバンドでは、わたしは自分のことをどちらかというとプロデューサーやビートメイカ―だと捉えてる。ケイティはすばらしいソングライターだし、わたしとドリアンに楽器のチョイスを通してこのバンドの美学を作り上げさせてくれるの。わたしはキーボードのパートを書いて曲のアレンジを形づくる手伝いもするけど、リズム・セクションを請け負って、それぞれの曲に命や魂を吹き込むのが楽しいのよ。
取材:橋元優歩(2013年9月27日)
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