K-PUNK アシッド・コミュニズム──思索・未来への路線図
マーク・フィッシャー(著)セバスチャン・ブロイ+河南瑠莉(訳)
2024/9/30 本体 2,950円+税 ISBN:978-4-910511-80-1
万人のための豊かさへ 新たな方向性を描く
『資本主義リアリズム』で広く知られる思想家/批評家、マーク・フィッシャーの人気を決定づけたブログ「K-PUNK」からのベスト・セレクション・シリーズ、ついに完結!
第三弾は、60年代のアメリカ~イタリアのカウンター・カルチャーを再訪し、私たちが「資本主義リアリズム」からもっとも解放された瞬間を分析する、未完の「アシッド・コミュニズム」ほか、「高級化する左翼」を厳しく批判し英国内で激しい論争を呼んだ「ヴァインパイア城からの脱出」をはじめ、「未来への可能性」をめぐる彼の舌鋒鋭いエッセイ/論考を収録。
互いのエネルギーを枯渇させるような吸血行為をやめ、「階級意識と社会主義・フェミニズム的な意識形成、それからサイケデリックな意識との収斂」のもとに再び集結せよ、そう呼びかけようとしたこのフィッシャーの最後の仕事は、まさしく今こそ読む価値のあるものに思われる。 ──訳者あとがきより
四六判/272頁
●いちどは無効化された夢の力を取り戻すために──。マーク・フィッシャー『K-PUNK』全三巻刊行のお知らせ
目次
日本語版編者序文
第五部
私たちは未来を創造しなければならない:インタヴュー
これからも、物ごとは変わることができる──ローワン・ウィルソンによる『レディ・ステディ・ブック』のためのインタヴュー(二〇一〇年)
資本主義リアリズム──リチャード・ケープスによるインタヴュー(二〇一一年)
今、目先にあるもの──『オキュパイド・タイムズ』(二〇一二年)によるインタヴュー
ポスト資本主義のヴィジョンが必要だ──アンチキャピタリスト・イニシアティヴによるインタヴュー(二〇一二年)
「未来を創造しなければならない」──マーク・フィッシャーとの未公開インタヴュー(二〇一二年)
憑在論、ノスタルジア、失われた未来──ヴァレリオ・マヌッチ、ヴァレリオ・マッティオリによる『ネロ』誌のためのインタヴュー (二〇一四年)
第六部
私たちは、あなたを楽しませるためにここにいるのではない:思索
一年後……
スピノザ、k-punk、ニューロパンク
なぜ不合意(ディセンサス)なのか?
新コメント・ポリシー
コメント・ポリシー(最新版)
慢性的な気力喪失
オイディプスをサイバースペースで生かす方法
われら教条主義者(ドグマティスト)
『ロンドンライト』にあふれた街
No Future 2012(ニック・キルロイによせて)
嘲笑は恐るるに足らず(ちょっとしたお返し)
灰色のアジトを突破せよ
実在抽象(リアル・アブストラクション)──現代世界への理論の応用
いや、仕事なんてしたことない……
新自由主義時代における英国の恐怖と貧困
ヴァンパイア城からの脱出
なんの役にも立たない
第七部
アシッド・コミュニズム
アシッド・コミュニズム(未完の序編)
カウンターフューチャーへの遡行──『K-PUNK』後書き
索引
[著者]
マーク・フィッシャー(Mark Fisher)
1968年生まれ。ハル大学で哲学の学士課程、ウォーリック大学で博士課程修了。ゴールドスミス大学で教鞭をとりながら自身のブログ「K-PUNK」で音楽論、文化論、社会批評を展開する一方、『ガーディアン』や『ワイアー』などに寄稿。2009年に『資本主義リアリズム』を、2014年に『わが人生の幽霊たち』を、2016年に『奇妙なものとぞっとするもの』を上梓。2017年1月、48歳のときに自殺。邦訳にはほかに講義録『ポスト資本主義の欲望』、ブログからの選集第一弾『K-PUNK 夢想のメソッド──本・映画・ドラマ』および第二弾『K-PUNK 自分の武器を選べ──音楽・政治』がある。
[訳者]
セバスチャン・ブロイ(Sebastian Breu)
1986年、南ドイツ・バイエルン生まれ。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学(表象文化論)を卒業後、ベルリン・フンボルト大学音楽・メディア学研究科で専任講師、同科のラボ「Signallabor」のキュレーターを務める。研究領域は科学思想史、メディア技術論。チェルフィッチュ(『現在地』『地面と床』)、サエボーグ(『House of L』『I WAS MADE FOR LOVING YOU』)など様々な上演作品のドラマトゥルクを担う。第一JLPP翻訳コンクール(ドイツ語部門)最優秀賞。共訳にマーク・フィッシャー『資本主義リアリズム』。
河南瑠莉(かわなみ・るり)
1990年、東京生まれ。ベルリン在住。早稲田大学政治経済学学部を卒業後、ベルリン・フンボルト大学(ドイツ)の修士・博士課程で文化科学を学ぶ。現在はベルリン自由大学の美術史研究科で専任講師を務める。近代思想史、美術史を専門領域とし、なかでもイメージ論、視覚芸術とジェンダー論/身体論、加速主義やエスノフューチャリズムについて幅広く論じている。共訳にマーク・フィッシャー『資本主義リアリズム』。
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