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Interviews > intervew with Derrick May - ――13年振りのミックスCDを発表した
デリック・メイ、インタヴュー
![]() Heart Beat Presents Mixed By Derrick May× Air Heart Beat |
DJの構成という点でも、一貫しているところがありますよね。ざっくり言ってあなたのDJは、セクシーなパート、スピリチュアルなパート、あとトライバルでファンキーなパートに分かれている。
ああ、合っていると思うよ。要するにストーリーがあるってことだろ? 俺はいつだってストーリーを語るようにしている。曲を作る場合でも、DJセットを構成していく場合でも、そこにはストーリーがある。それはハッピーエンドかもしれないし、最後はジャングルで食われて死ぬってオチかもしれないが、そこには何かしらのはじまりがあり、展開があり、終わりがある。それを旅(journey)と呼ぶ。DJは、お客さんを旅に連れ出すことができなければならない。できない奴は...... DJではない。曲を作る時も同じだ。でも曲を作る際の難しさは完結させなければならないこと。物語をはじめるのは簡単だが、上手く終わらせるのは難しい。そしてこのスキルはやっているうちに自然と身に付くものなんだ。オーディエンスを見て、オーディエンスから学んでいくことだから。自分の恐れと、オーディエンスからもらうポジティヴなエネルギー。自分が前に進んでいるときはそれが感じられるはずだし、そうでない場合もすぐわかるはずだ。「やばい、この曲じゃなかった」と思う瞬間だってある。「次にこの曲をかけて立て直さなければ、2倍強力な曲で持っていきたい方向に軌道修正しなければ」ってね。どんなDJにだってそういう瞬間はある。DJはただ音楽を流すだけではなく、そうやってオーディエンスの気持ちを動かしていかなければならないんだから、そりゃ難しい。お客さんが求めるもの、期待するものにも応えていかなければならない。
逆に、変化について話してください。最近のあなた自身のDJプレイにおける変化がもしあれば。
ふーん。
ますますエレガントになった?
そうは思わないな。もっと怒りのこもった、動物っぽいプレイになったと思うけど? もっとダンスフロアにいる連中の息の根を止めてやろうと、奈落の底に突き落としてやろうと集中してやってるつもりだ!
新しい動きには興味がありますか? ダブステップであるとか、フライング・ロータスのようなエクスペリメンタルなヒップホップであるとか。
まったく興味ない。俺は音楽に興味があるんであって、それが何と呼ばれているかには興味がないんだ。それがどこで誰によって作られたものなのか、どうやって作られたのか、ブラックなのかホワイトなのかイエローなのか、俺にはどうでもいいんだよ。いい音楽はいい音楽。それだけだ。俺がかけたレコードに対して、「それは最高なダブステップ曲ですよね!」なんて言ってくる奴がいるが、俺の反応は「あっそ」だけだ。俺にはダブステップをプレイしてるって自覚すらないんだよ。BBCでやってるラジオ番組でも、ダブステップの曲についてコメントが送られてきたが、俺はそれがダブステップだってことすら知らなかった。俺がかけたカリズマ(Karizma)の曲がダブステップだったっていうんだ。そんなことまったく知らなかったよ。
浅沼:だったら、どうやってレコード屋さんで自分の好きな曲を探すんですか?
人に薦めてもらうこともあるし、ランダムに壁にかかっているものを聴くこともある。東京に行くときは事前にレコード店にいるケイコ(星川慶子)に連絡しておく。そうすると20~30枚お勧めのレコードを選んでおいてくれるんだ。彼女は俺のテイストをわかっているからいいけど、他の国の他の店によってはまったく的外れで最悪なレコードを薦められることもある(笑)。そういう場合はショックだよ。俺がデトロイトから来たテクノDJだって、デリック・メイだって名前だけ知っててプレイを聴いたことないんだろうな、BPMが190くらいの世にも恐ろしい最低な曲を30枚くらい渡してくる。ひと通り聴くだけでも何時間もかかるってのに、全部同じに聴こえるんだ! まあ、そういうこともよくある。そういう場合は、自分で店を一通り見て興味を惹かれたものを聴いてみる。
〈トランスマット〉はいままた動いているんですよね?
いろいろ出るよ。次はZak Khutorestsky(ザック・クトレツキー)というアーティストだ(ミックスCDの最後に収録されている人ですね)。ロシア系だけどミネアポリスに住んでる。素晴らしいアーティストだ。今年5枚、来年5枚は出そうと思ってる。ザックの次は、またグレッグの新曲を出す予定だ。他にもいろいろ計画しているから楽しみにしててくれ。
質問:野田 努/通訳:浅沼優子(2010年2月01日)