「ZE」と一致するもの

DJ Ramon Sucesso - ele-king

 ラモンは私のレーダーに映った。何の前触れもなく、自然に。2トン爆弾が腰に突き刺さるかのように。ウェブ上に蔓延しているバイラル動画が、ドゥーム・スクロール中の私の注意を引いたのだ。各動画は、TikTokのバイラル・アテンション・スパンにぴったりな短いもので、何の変哲もない室内(おそらく彼の寝室)で撮影され、ラモンがパーソナル・デッキの前で最初からコントローラーを操作し、ヴォーカルと散らばったビートをその場で何段階にもミックスしている。コール・アンド・レスポンスのサウンドスケープは瞬く間に合体し、解決への疑念は消え去り、轟音とどよめきのベースビートが鳴り響くたびにカメラが激しく揺れ、404のエラー・イマジネーションは大きく損なわれる。
 ラモン(ブラジル人、21歳)は、リオデジャネイロにほど近いノバ・イグアスのパルハダで生まれ育った。ファベーラ・ファンクのカリオカに膝まで浸かり、ビート・ボーリャから発せられる火花を屈伸させながら、まるで金属鍋の上で熱々のベーコンをジュージューと焼くような揺れのひとつひとつにアフリカの伝統を見せつける。

 ラモンの動画のテイスト(味)は、緊急に冷やした夏のフルーツに似ている。ラモンは、ほとんど忘れられた一族の末裔だ。DJデッキのまわりで何気なく踊りながら、たまにミキサーのツマミに触れ、自分たちが魔法を生み出し、オーディエンスが天才を目撃していると錯覚させるようなUSBメモリ使いのDJたちとは一線を画しているのだ。いまや多くの場合、DJはAIプレイリスト・セレクターと何ら変わりなく、オリジナル・トラック制作者の手柄を横取りしている。それゆえ、DJのスペクタクルはテクニックや才能ではなく、いかにセクシーに見えるか、エキゾチックに見えるか、いかにイヴェントを楽しく見せるかにある。観客を魅了するDJソーダの魅惑的なポゴ 「ジャンプ 」を思い浮かべてほしい。

 ラモンは、おそらく知らず知らずのうちに、実際にDJをしていた本物のDJたちの弟子であり、エレクトロニック/ダンス・ミュージックを革新してきた黒人の長い系譜に連なる革新的な信念の持ち主だ。ジャマイカのサウンドシステム・ヤーマン・ヴァイヴスや初期のニューヨーク・ラップの黄金期に習得された数々のテクニックのエコーが、彼の若い手に反映されている。
 しかし、彼は使徒でもある。機材を使い、マッシュし、スマッシュし、ミックスし、サノスの存在から新しい何かを振動させる。ラモンはDJ機材を選曲マシーンではなく、楽器のように扱う。ラモンは決して動きを止めず、創作に対する彼の精神的な鋭敏な注意は、絶対的に明瞭で白黒はっきりしている。ネット上の動画はどれも短く、ミキシングはダンスフロアの脳をメルトダウンさせるために振り切れている。

 よって、ブラジル行きの飛行機に乗れない私たちの多くが知りたいのは、芝居がかった動画ではなく、彼の長く録音されたミックスがいったいどんなものなのか、ということ。新たなスターダムを知るにはいいタイミングだろう、私はレーベル〈Lugar Alto〉から2023年末の11月にリリースされたリリースを手に入れた。
 最初に言っておく。ベースが鳴っていない。多くの人が彼のミキシング・スペクトラムの幅広い使い方に慣れているいま、ミックスは期待するほどドラスティックではない。私たちは皆、自分のステレオやiPhoneがそれを扱えることを知っている。『Sexta dos Crias』はふたつの長いミックスで構成されている。完全に楽しめるし、彼のユニークなスキルから期待されるべきものだ。しかし、他のダンス・レコードの中で完全に際立っているわけでもない……トラック2の途中までは。
 “Distorcendo a Realidade"では、急にテンションが上がり、彼の動画にあったダーティな雰囲気にへと変化する。ここまで来るのに時間がかかるのはどうかと思うが、だからといってそれまでの数分間が無駄というわけではない。いや、彼の計り知れない才能を判断するには、別のメディア、別の創作形態、圧縮の幅が必要なだけだ。『Sexta dos Crias』の2曲は、ほとんどのミックスがそうであってほしいようなペースで進んでいく。しかも彼はこれをリアルタイムでやっているわけだ! 私がDJプレイにこれほど興奮したのは、ジェフ・ミルズを見て以来のことだ。踊りたい、興奮もしたいし、絶頂に達するほど刺激されたい。DJが実際にデッキでパフォーマンスするのを見ることで、私の注意を惹きつけてほしい。世界中のDJがこのことに注目し、ベッドルームに戻って自分の能力をスパイスアップすることを願う。DJラモンは他の追随を許さない。

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Ramon came on my radar like any genuine sensation should. Spontaneously and without warning. Randomly and like a two ton bomb to the waist. Videos viral in their pervasiveness across the web caught my attention while doom scrolling. Short and perfect for TikTok viral attention span, each video was simply shot in one non-descript inside location ( possibly his bedroom?) with Ramon in front of his personal decks massaging the controllers from the get go, conjuring a multi level on-the-fly mix of vocals and scattered beats. The call and response soundscape quickly coalesces, all doubt of resolution is killed, and the 404 error imagination is severely damaged by the camera shaking violently with each thunderous, throbbing bass beat.
Ramon, Brazilian, 21 years old born and raised in Palhada, Nova Iguaçu, an area close to Rio de Janeiro, knee deep in favela funk carioca flexing the sparks emanating from beat bolha, shows his
African heritage with each tremor that sizzles hot bacon as if on a metal pan.

The taste of a Ramon video is similar to summer fruit chilled for immediate effect. Ramon follows in a line almost forgotten among 2024 USB stick carrying DJs who casually dance around dj decks only once in a blue moon touching the knobs of their mixers to make the dancing public falsely believe they are creating magic and they, the audience , witnessing genius. Often times djs are no different than AI playlist selectors taking the credit for the original track maker’s creation.
Hence the spectacle of Djing isn’t on technique or talent now but how sexy you look or exotic or how fun you make the event seem.
Ramon, most likely unknowingly, is a disciple of the OG DJs who actually DJed, a innovation believer in a long line of Black people innovating electronic / dance music. Echoes of the many techniques mastered before in Jamaican sound system yah-man vibes and the golden age of early NYC rap are reflected in his young hands.

But he is also an apostle. Using the equipment to mash, smash, mix and vibrate out of Thanos existence something new. Ramon treats DJ equipment like an instrument rather than a track selecting machine. Ramon never stops moving and his mental acute attention to creating is black and white with absolute clarity. Each video online is short and mixing is left in the red for dance floor brain meltdown.

So that brings one to wonder what would a longer recorded mix without the video theatrics sound like since most of us can’t grab a flight to Brazil. Just in time to capitalize on his new stardom, we have been graced with this first release put out in November at the tail end of 2023 by label Lugar Alto. I will disappoint you first. The bass ain’t bass-ing. The mix isn’t as drastic as one would hope especially as many people are now used to his wide use of the mixing spectrum. We all know that our stereos and iPhones can handle it. “Sexta dos Crias” comprises only 2 long mixes. Entirely enjoyable and what we should expect from his unique skills. But it also doesn`t stand out entirely from other dance records..... UNTIL mid way through track 2
“Distorcendo a Realidade” which suddenly turns waaaay up and gets grimy dirty resembling his videos. Too bad we have to wait so long but that doesn’t mean the preceding minutes are a waste. No, just a different medium, a different form of creation and compression range to judge his immense talent. The 2 tracks of “Sexta dos Crias” move at a pace that I wish most mixes moved at. Mind you he does this in real time! I haven’t been so excited about DJ work since I saw Jeff Mills. I want to dance but I want to also be excited and stimulated to the point of climax. I want the DJ to earn my attention in watching him actually perform on the decks. I hope all DJs worldwide take note and go back to their bedrooms to spice up their abilities. DJ Ramon is unmatched.

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ダブとは何か? それはどのように生まれ、いかにして広まり、拡張したのか?
そのすべてを俯瞰する!

ルーツからニューウェイヴ、ディスコ、テクノ、アンビエント、ベース・ミュージックまで
400枚以上の作品を紹介する、ダブ・ディスクガイドの決定版

監修・編集・執筆:河村祐介
執筆:野田努、三田格、鈴木孝弥、飯島直樹、猪股恭哉、草鹿立、大石始、宇都木景一、吉本秀純、Akie、八木皓平
featuring U‐ロイ、エイドリアン・シャーウッド、アンドリュー・ウェザオール、こだま和文、内田直之、1TA & Element、Sahara (Undefined)、Mars89

A5判オールカラー/224ページ

目次

イントロダクション

Chapter 1 ROOTS ダブのルーツ

サウンドシステムを巡るジャマイカ音楽史とダブの誕生譚
キング・タビーとはなにものなのか?(鈴木孝弥)
U-ROY・インタヴュー
人々を「アップセット」するための音響を──リー・ペリーのダブ
その他のジャマイカの重要ダブ・エンジニア/アーティスト
【disc】ROOTS OF DUB IN JAMAICA

Chapter 2 SPREAD 拡散

UKダブ史──いかにしてそれを自分たちの文化にしたのか(野田努)
【disc】UK REGGAE ┃ WACKIE'S
エイドリアン・シャーウッド・インタヴュー
【disc】ON-U SOUND
レゲエとパンクは似たもの同士ではない――UKでのDUB論の展開(野田努)
【disc】POST-PUNK / NEW WAVE ┃ DISCO
レゲエのデジタル化とダブ・アルバムの衰退(鈴木孝弥)
【disc】JAMAICA DIGITAL DANCEHALL DUB ┃ UK DIGITAL NEW ROOTS

Chapter 3 DANCE DJ カルチャーとダブ

UKレイヴ・カルチャーとダブ(三田格)
【disc】UK RAVE CULTURE IN DUB
アンドリュー・ウェザオール・インタヴュー
ブリストル・サウンドとはなにか?(飯島直樹)
【disc】BRISTOL SOUND ┃ DOWNTEMPO, TRIP HOP, TECHNO, JUNGLE ┃ BASIC CHANNEL

Chapter 4 FAR EAST 日本のダブ

こだま和文・インタヴュー
内田直之・インタヴュー
【disc】JAPANESE DUB

Chapter 5 EXPANTION 拡張

【disc】ELECTRONICA ┃ DUB TECHNO / MINIMAL DUB ┃ HOUSE / NEW DISCO ┃ LOCALIZED ┃ DUBSTEP / BASS MUSIC ┃ ROCK, ELECTRONICS, LEFTFIELD

Chapter 6 ADVENTURE モダン・ダブの冒険

国内外を結ぶ、注目の国内ダブ・レーベル主宰者に訊く、現在のダブ・シーン──1TA & Element(Riddim Chango)、Sahara(Newdubhall)、Mars89(Nocturnal Technology)
【disc】THE ADVENTURE OF MODERN DUB

索引
著者紹介

[監修]
河村祐介(かわむら・ゆうすけ)
OTOTOY編集長/ライター
1981年に幡ヶ谷で生まれてそのまま。石野卓球編纂の『テクノ専門学校Vol.3』収録のセイバーズ「Wilmot」でダブの虜仕掛けの明け暮れに。2004年~2009年『remix』編集部、LIQUIDROOM勤務やふらふらとフリーを経て、2013年より、OTOTOY編集部所属からの長。

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Karnage - ele-king

 この春自身のレーベル〈Nocturnal Technology〉を始動させたMars89。いまのところ、現行ダブの鍵を握る一組、シーカーズインターナショナルとの共作『Dangerous Combination』と、ファッション・ブランド、ザンダー・ゾウのコレクションのサウンドトラック『A​.​I​.​VOLUTION (Original Soundtrack)』の2作がリリースされているが、第3弾として Karnage のアルバムがアナウンスされている。発売は8月8日、カセットとデジタルの2フォーマット。名古屋拠点のプロデューサーによるインダストリアル・ダブを堪能しよう。

名古屋を拠点に活動するKarnageが、Nocturnal Technologyより、最新アルバム「Dystopian Synthesis」をリリース
未来的かつディストピア的なインダストリアルサウンドを特徴とし、重低音、ダブ、ノイズが交錯する壮大な世界へと聴く者を誘い込む。

Nocturnal Technologyからの3作品目は、デトロイトで活動を開始し、現在は名古屋を拠点に活動している、Karnageによるインダストリアルダブアルバム「Dystopian Synthesis」。

ダブステップでのキャリアに裏付けられた重低音を土台に、ノイズやメタルなどから影響を受けた破壊的なサウンドが、ダブの技術の中で融合している。

フォーマットはデジタルとカセットテープの二種類。物理的に作品を所有する喜びと、未来のための持続可能性を両立させるための方法として、再生プラスチックを使用したカセットテープが採用されている。

artist: Karnage
title: Dystopian Synthesis
label: Nocturnal Technology
release: 8 Aug 2024

tracklist:
1. Netsphere
2. Falsed Frozen ft. Marshall Applewhite
3. A Silent Loner
4. GBE
5. The City
6. Silicon Life ft. Marshall Applewhite
7. Megastructure
8. Stepping Stone
9. Lore

7月のジャズ - ele-king

 先月は南アフリカ共和国から生み出されたジャズ・アルバムを2枚紹介したが、リンダ・シカカネも南アフリカのダーバン近郊のウムラジ・タウンシップ出身のサックス奏者。


Linda Sikhakhane
iLadi

Blue Note / Universal Music South Africa

 10歳の頃から音楽スクールに通い、大学入学後は音楽理論や作曲などについても習得してきた。南アフリカのミュージシャンや訪れたミュージシャンたちとの共演を経て、2016年には海外留学の奨学金を獲得。2017年にニューヨークのニュースクール大学に入学し、ビリー・ハーパー、デヴィッド・シュニッター、レジー・ワークマン、チャールズ・トリヴァーに師事している。ビリー・ハーパー、デヴィッド・シュニッターは1970年代を代表する名サックス奏者で、特にハーパーはジョン・コルトレーンの後継者的な奏者として注目を浴びた。彼のファースト・アルバムはチャールズ・トリヴァーとスタンリー・カウエルが創設した〈ストラタ・イースト〉からリリースされ、そのときのベースはレジー・ワークマンだった。そうした面々の教えを受けたリンダ・シカカネもコルトレーンの系譜に繋がるサックス奏者と言える。
 同年にはファースト・アルバムの『Two Sides, One Mirror』を自主制作で発表するが、このプロデューサーは先月紹介したンドゥドゥゾ・マカティーニである。そして、ニュースクールの卒業リサイタルの模様を収録したライヴ録音の『An Open Dialogue』(2020年)にも、マカティーニはヴォーカルで参加。マカティーニ以外にもニューヨークで活動する南アフリカ出身のミュージシャンがサポートしていた。

 プロとなってからの第1作『Isambulo』(2022年)もマカティーニによる共同プロデュースで、リンダ・シカカネにとって彼は欠かせないミュージシャンというか、一種のメンター的な存在なのだろう。呪術師や祈祷師でもあるマカティーニから、音楽以外にも宗教や哲学などの影響を多大に受けているようだ。南アフリカのズールー族によるズールー語で啓示という意味の『Isambulo』について、シカカネ自身も「スピリチュアルな体験」と述べている。
 それから2年後の新作『Iladi』もマカティーニがプロデュースとピアノを担当する。シカカネは『Iladi』について、ズールー族の伝統や彼の生い立ちから導かれた儀式であり、アフリカのさまざまな文化的知識に裏付けされたものであると述べる。このアルバムはその儀式を音で表現したもので、彼が人生の旅において得てきたもの、学んできたことに対する感謝の意を表したものであると。マカティーニの端正なピアノをバックに、シカカネのテナー・サックスが魂の奥底からブロウするスピリチュアル・ジャズの “Influential Moments”、ダークなトーンで深く潜行していくようなミステリアスなモーダル・ジャズの “iGosa”、アラビックな旋律のポスト・コルトレーン的なナンバーの “Ukukhushulwa” と、マカティーニの『Unomkhubulwane』と対で聴きたいアルバムだ。


Forest Law
Zero

Les Disques Bongo Joe / Total Refreshment Centre

 フォレスト・ロウことアレックス・バークは、エセックス出身でロンドンを拠点に活動するマルチ・アーティスト。DJ/プロデューサーのエサ・ウィリアムズ率いるアフロ・シンセ・バンドというブラジリアン・ブギー・バンドや、ハハ・サウンズ・コレクティヴというポップ・ロック・バンドでも活動している。最初はジャイルス・ピーターソンのコンピ・シリーズ『Future Bublers』に収録されたことで注目され、〈ブラウンズウッド・レコーディングス〉からデビューEPの「Forest Law」を2020年にリリース。このEPにはエサ・ウィリアムズも参加していて、アフリカ、ブラジル、ラテン系のプリミティヴなサウンドと、ニューウェイヴやポスト・パンクを通過したディスコ・ダブをミックスしたユニークな作品となっていた。
 それから数年を経て、突如登場したのがデビュー・アルバムの『Zero』である。この数年、フォレスト・ロウはロンドンのトータル・リフレシュメント・センターでライヴやセッションなどをやってきたようで、この『Zero』のリリース元にも絡んでいる。YouTubeではトータル・リフレシュメント・センターでのライヴ・セッションの様子を見ることができるのだが、バンド・メンバーはギターとヴォーカルのフォレスト・ロウ以下、アーサー・サハス(フルート、パーカッション、シンセ、エレクトロニクス)、アンジー・プラサンティ(ベース)、イーノ・インワン(パーカッション、エレクトロニクス)、モモコ・ジル(ドラムス)というラインナップで、ほぼこのメンバーで『Zero』も録音しているようだ。

 先行シングルとなった “Ooo, I” はEPでもやっていたアフロ・ブラジリアン系のディスコ・ダブで、エサ・ウィリアムズ・アフロ・シンセ・バンドにも共通するテイスト(エサ・ウィリアムズ・アフロ・シンセ・バンドやハハ・サウンズ・コレクティヴもメンバー的には被る部分もある)。オランダのニック・マウスコヴィッチ・ダンス・バンドあたりに通じるところもあるが、全体的にはフォレスト・ロウの方がよりバレアリックな雰囲気が強い。ボヘミアのジプシー音楽的なダンス・グルーヴの “Niceties”、フルートとコーラスがミステリアスな雰囲気を誘うアフロ・ブラジリアンの “Difficulties”、土着的なアフロ・ブラジリアンとブロークンビーツをミックスしたような “Parece” など、世界各地の民俗音楽や伝承音楽をポップ・ミュージックと巧みに融合した世界を展開している。


Bryony Jarman-Pinto
Below Dawn

Tru Thoughts

 シンガー・ソングライターのブライオニー・ジャーマン・ピントは、ロンドン生まれで幼少期は英国北西部のカンブリア州で育った。ケルティック・バンドのバカ・ビヨンドなどで活動したベーシストのマーカス・ピントを父に持ち、ケルト音楽や英国トラッドから派生したブリティッシュ・フォークと、ソウルやジャズがミックスした音楽性を持つ。ソロ・デビュー前はマシュー・ハルソールとゴンドワナ・オーケストラや、トム・リアのヴェルカなど、マンチェスター方面でも客演してきた。トム・リアとはカンブリア州のペンリスにあるブルージャム・アーツという音楽スクールで共に学んできた仲間だ。ファースト・アルバムは2019年の『Cage And Aviary』で、これまで数々のコラボをしてきたトム・リアが共同プロデュースを担当。ムーンチャイルドのようなジャジーなネオ・ソウルのマナーを取り入れつつも、UK独自のソウルやクラブ・サウンドのエッセンスも取り入れ、何よりもそのアコースティックな肌触りはリアン・ラ・ハヴァスあたりに共通するものだった。

 その後、ジャイルス・ピーターソン主催の「ウィ・アウト・ヒア・フェスティヴァル」への出演があり、待望のセカンド・アルバム『Below Dawn』がリリースされた。パンデミック初期に制作がスタートしたというアルバムで、そうした社会の変化の中で自身も妊娠・出産を体験し、母となった。夜明け前を意味するタイトル『Below Dawn』についてブライオニーは、「このアルバムは、私が出産し、新しい世界に踏み出す直前の自分自身について語っている」と述べている。そして、プロデュースがノスタルジア77のベン・ラムディンが手掛けることもあり、サウンド的には前作以上にジャズの要素が増している。演奏メンバーもそのノスタルジア77のロス・スタンレー(キーボード)ほか、現代のロンドン・ジャズのキーパーソンのひとりであるトム・ハーバート(ベース)、アフロ・ジャズ・バンドのワージュのメンバーであるタル・ジョーンズ(ギター)などが参加。かつてのリチャード・エヴァンスを思わせるベン・ラムディンのストリングス・アレンジが冴える “Moving Forward” がその代表で、中間部のトランペット・ソロも含めて、ブライオニーの歌と共にバックの演奏も聴きどころが多い。“Deep” でのロス・スタンレーのエレピ演奏もそのひとつ。ルタ・シポラによるミステリアスなフルートがフィーチャーされた “Willow” は、ジャズ・スタンダードである “Willow Weep For Me” を下敷きとしている。ジャズ・シンガーとしてのブライオニーの艶やかさ、気品が伝わってくるナンバーだ。 そして、“Leap” でのジャジーなスキャット、“O” でのフルートと結びついた情感に満ちた歌、フォーキーなムードの “Feel Those Things” でのアーシーな力強さをまとった歌と、さまざまな表情を見せてくれるアルバムだ。


Ahmed Malek
Musique Originale De Films: Deuxième Tome

Habibi Funk

 最後に復刻物を紹介したい。アルジェリア出身の作曲家/ミュージシャンで、1970年代から1980年代にかけて数々のサントラを残したアーメド・マレック。アルジェリア放送局でテレビやラジオの音楽を制作し、映画やドキュメンタリーなどにも彼の音楽は用いられた。伝統的なアルジェリアの音楽と、西洋のジャズやファンクを融合し、またシンセをはじめとした新しい楽器やテクノロジーを取り込むことにも貪欲だったマレックは、アルジェリアのエンニオ・モリコーネとも呼ばれた。キューバやフランスでおこなわれた音楽祭にも参加するなど国際交流にも積極的で、2008年の没後以降は再評価が進み、2019年と2021年はアルジェ国立現代美術館で回顧展が開催された。彼のサントラやレコードはアルジェリア国内のみの流通で、また非英語圏の音楽であるためにこれまでほとんど聴く機会はなかったが、2016年頃よりドイツの〈ハビビ・ファンク〉が彼の作品のアーカイヴ化を進めている。『Musique Originale De Films: Deuxième Tome』もそうした1枚だ。

 “La La La” はブラックスプロイテーション風のジャズ・ファンクで、年代的には1970年代中盤頃の作品だろう。スリリングなリズム・セクションとワウ・ギターはブラックスプロイテーションの定番だが、どこかアラビックなムードがアルジェリア音楽ならではである。そして、フルートのような音色のモーグ・シンセが用いられ、当時の先端技術を駆使した作品であることも読み取れる。

Seerkesinternational - ele-king

 そう、時代はDUB。先日、すばらしいアルバム『KINTSUGI SOUL STEPPERS』をリリースしたseekersinternationalが来日。東京公演ではMars89がTemple Ov Subsonic Youth名義でのライヴも披露。さらに先日USの〈Digital Sting〉より強力なアルバムをリリースしたばかりのG Version III、イベントを主催する〈Riddim Chango〉の1TA、Elementも出演。ぜひ、現在進行形のダブを体験して欲しい。

2024.08.10 FRI
OPEN/START23:30
Over 20 only・Photo ID required
20未満入場不可・要顔写真付ID

Riddim Chango presents GHOST DANCE

LINE UP>>>
LIVE:
Papa Cool Breeze from Seerkesinternational
Temple Ov Subsonic Youth a.k.a. Mars89

DJ:
G Version III
Element
1TA

artwork: Boram Momo Lee

ADV./DOORU23 ¥2,500 / ADV ¥3,000 / DOOR ¥3,500
TICKET: https://t.livepocket.jp/e/20240810wwwb

詳細: https://www-shibuya.jp/schedule/018076.php

Riddim Chango
https://riddimchango.bandcamp.com/
https://www.youtube.com/@riddimchango


nmnhn sp vol.4
8月13日(火曜日)
場所 SOCORE FACTORY
開演 19:00~

出演者
Papa Cool Breeze from Seekersinternational
1729
Element
yudayajazz
Nakam

ADV 3,000 (1D)
DOOR 3,000 (+1D)

https://socorefactory.com/schedule/2024/08/13/nmnhn-sp-vol-4/

High Llamas - ele-king

 相変らずショーン・オヘイガンが作る音楽は、誰にも似ていない。
 2003年の『Beat,Maize & Corn』においてショーン本人の言葉で、「じゃがいもの袋は変わったけれど、それでも中に入っているのはじゃがいもだ」とあったが、この変化に対しての冗談めいた意志表明(タイトルを訳すと『甜菜、とうもろこし、そして穀物』となる)は、『Hey Panda』を聴くと予言として機能していたのではないかとさえ思えてくる。いや、もちろん変わり続けてきたのがハイラマズで、90年代の初期ハイラマズから、98年『Cold and Bouncy』、99年『Snowbug』、2000年『Buzzle Bee』あたりのエレクトロニックに影響を受けたサウンドはわかりやすく変化として捉えることができたし、雰囲気はどこか初期に戻りつつも明らかにポップスとしての画角を押し広げた『Beat, Maize & Corn』、2006年『Can Cladders』、2011年『Talahomi Way』は、変化を感じさせる間もなく、驚くほど自然な形でリスナーをラマズの世界に引き込んだ。レコード屋のソフト・ロックのコーナーで偶然発見した『Hawaii』に衝撃を受け、初めてのリアルタイム・ラマズは『Talahomi Way』だった自分も、遡るにあたってエレクトロニックに影響を受けたアルバムに多少のハードルを感じた薄い記憶ならある。でも「これほどまでにハイ・ラマズの音楽に焦点を当て直したものはない」というのは事実だろう。問題作というインフォメーションにも頷ける。

 散々語られている通り、現行 R&B やヒップホップからインスピレーションを得たということも、仮にハイラマズの作品だと知らずに聴いたとして、これはハイラマズだろうということも、一聴してわかる。今作にも参加しているフライヤーズ、レイ・モリス、ボニー“プリンス”ビリーとの仕事や、ロックダウン中に家の中で子供たちが聴いていたというSZAやソランジュ、ノーネーム、スティーヴ・レイシー、エズラ・コレクティヴ等々から影響を受けたそうだ。2000年代に感銘を受けたというJ Dillaへの思いが時を経て伏流水のように湧き上がったロマンもある。
 第一印象は、サブベースやトラップぽいビート、オートチューンに多少の驚きを感じつつも、ラマズらしいストリングスやピアノ、シンセの響きに耳を傾けると鳴らしっぱなしにされているというよりは細かい単位で配置されながら曲が展開されていくことに気付いてくる。たしかに新しい魅力だと感じた。それでいて、全然煽られる瞬間がなくて、むしろ展開に対してとても豊かな時間の流れがアルバム全体に通底している印象を受けた。BPMがゆったりなこともあるが、現行のプロダクションを抑制をよく効かせながら深く取り込みつつ、やはりハイラマズのポップスとして聴かせるショーンの手腕は流石であるということまではわかった。「僕は、毎日巨大なニンジンを食べるパンダのTikTokファンとして、ロックダウンと回復を過ごした。とても幸せだった。」となんとも言えない安堵感を誘うコメントから察するに、ロックダウンの束の間の豊かな時間も反映されていそうと思ってしまうが、深読みだろうか。

 ところで、この機会でハイラマズを久しぶりに聴きなおしてみると、よく覚えていることに自分自身驚いた。アウトロで次の曲のイントロが脳裏に浮かぶあれだ。思っていたよりもよく聴いたのだろう。いまよりも時間の流れがゆっくりだったのかもしれない。ハイラマズ以降そういうアルバムが何枚あるだろうか。わざわざレコードで買った新譜の何枚を2回以上聴いただろうか。問題作は自分自身だった。
 レーベル〈Drag City〉のインスタグラムには、「現代のポップ・ミュージックの魅惑的な錬金術で幕を開けた『Hey Panda』は、定義が時間とともにどのように変化するかを多角的なレベルで反映した素晴らしい曲集です。喜びを広げ、自信をかき立てることを目的としたアルバムで、若くて勇敢な世界へのラヴレターです」とあった。リスナーもまた時間と共に、楽しみながらラマズの変化を感じていけばよいというか、そうするしかないというか、なんとも楽観的で核を突くメッセージを受け取りました。
 いや、アルバムは相変わらずのポップ・センスを充分に湛えていて、これからの季節にぴったりだと思うし、素直に飛び込んでくる作品だとも思います。ただ、偏屈な僕にはありがたい棘が少し残りました。ラスト・トラック“La Masse”は南米の香りが感じられる(個人的にはエドワルド・マテオを想起した)必ず救われるキラーチューンだし、アウトロのらしいコーラスワークからのフェイドアウトは、まだまだハイラマズは続くという暗示を感じます。レコードは買う。

Li Yilei Japan Tour 2024 - ele-king

 2021年にリリースした『之 / OF』がロングセラーとなり、今年リリースした最新アルバム『NONAGE / 垂髫』で日本デビューも果たした、ロンドンを拠点とする中国人サウンドアーティスト/作曲家 Li Yileiの初来日ツアーの開催が8月に決定しました。
 京都、東京、和歌山、名古屋の全4公演他、8/30(金)には都内某所にてLi Yileiとausのサウンド・インスタレーションも予定しています。

京都・外
日程:8/21 (水)
会場:外(京都市左京区鹿ケ谷法然院西町18) http://soto-kyoto.jp/
時間:OPEN 18:00 / START 19:00
料金:ADV ¥2,500 / DOOR ¥3,000 / 23歳以下 ¥2,000
出演:Li Yilei、Kazumichi Komatsu & more
予約:外 http://soto-kyoto.jp/

東京 大森・成田山圓能寺
日程:8/24 (土)
会場:成田山圓能寺(大田区山王1-6-30)http://ennoji.or.jp/
時間:OPEN 13:00 / START 13:30
料金:ADV ¥3,500 / DOOR ¥4,000
出演:Li Yilei、aus、iu takahashi
PA:Fly sound
協力:PLANCHA
予約:FLAU https://flau.stores.jp/items/668489a324fa03132d97dd79

和歌山・あしべ屋妹背別荘
日程:8/25 (日)
冥丁『古風』完結編 Tour 〜瑪瑙〜和歌山公演
会場:あしべ屋妹背別荘(和歌山市和歌浦中3-4-28)
時間:OPEN 17:00 / START 18:00 /
料金:ADV ¥4,000 / DOOR ¥4,500
出演:冥丁 - 暮 set -、Li Yilei
予約:Pass Market https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02yjdmguw5t31.html
主催:お還りなさい、中谷 一陽 (和歌山EXPO)

名古屋・K.D japon

日程:8/28 (水)
会場:K.D japon(名古屋市中区千代田5-12-7)
時間:OPEN 18:30 / START 19:00
料金:ADV ¥3,500 / DOOR ¥4,000 + 1D
出演:Li Yilei、marucoporoporo, CazU-23
予約:メール予約 https://docs.google.com/

東京
日程:8/30 (金)
詳細:TBA

■ ツアー詳細:
https://flau.jp/event/li-yilei-japan-tour-2024/

Li Yilei
 中国出身で現在はロンドンを拠点に活動しているコンポーザー/マルチ・インストゥルメンタリスト。また、ロンドンのアーティスト・コレクティヴNON DUAL(無二行動)のファウンダーでもある。アスペルガー症候群を持つノンバイナリーのアーティストであり、その経験は混沌と、時には痛みを伴う静寂の間を変動し、存在と実存のさまざまな状態を反映している。
 2021年にMétron Recordsからリリースされたアルバム『之 / OF』は、パンデミックの混乱の中、中国へ戻り自身と向き合う中で、宋王朝の芸術をインスピレーション源に作り上げ、2020年代のアンビエントの傑作のひとつとして高い評価を得てロングセラーとなった。そして2024年に、過去の自己と記憶が現在と出会う瞑想的な転生の瞬間を音像化した傑作『NONAGE / 垂髫』(https://www.ele-king.net/review/album/011245/)を再びMétron Recordsからリリース。PLANCHAからCD化もされ、日本デビューも果たす。
 アジア的エッセンスも感じさせるアンビエントとエレクトロニカを横断するようなサウンドが各所から注目を集める中、リミックスをして交流を深めたausのレーベルFLAUの企画により初来日ツアーが決定。

Mouchoir Étanche - ele-king

 ブラック・トゥ・カムの変名とは気づかずに何度か聞いていたムショワー・エタンシェ(=防水ハンカチ)名義の2作目『ジャズマン』。ジャズでもなんでもないし、名義を変える意味がぜんぜんわからない。強いていえばブラック・トゥ・カムよりもタッチが軽く、重みを感じさせないことぐらい。とはいえ、ブラック・トゥ・カムについてそれほど詳しく知っているわけではなく、アンビエント寄りのリリースがいくつかあるのでひと通りは聴き、それ以前にやっていたクラウトロックの成れの果ても聞くだけは聞いた。元々はナース・ウイズ・ウーンドのフォロワーであることは本人も自覚していたようで、2010年代に入ってからはナースの基本であるエレクトロアコースティックに作風を絞り、ここ数年は〈Thrill Jockey〉から『Before After』(19)、『Seven Horses For Seven Kings』(19)、『Oocyte Oil & Stolen Androgens』(20)と調子よくリリースを続け、評価も以前より高まっている。ひと言でいえば表現はどんどん洗練度を増しているにもかかわらず、実験性が様式化されたわけではなく、どうしても音楽をやりたいんだなという精神性は伝わってくると。それはムショワー・エタンシェ名義でも同じくで、いわゆる実験音楽を楽しんでつくり、何かを前に進めているとか、唯一無二の感覚を追求しているとかではない気がする。

 一方で、ブラック・トゥ・カムことマーク・リヒターは昨年、ブラック・トゥ・カムの最新作『At Zeenath Parallel Heavens』をリリースした際、「自分のやっていることはAIがやっていることとあまり変わらないような気がしてきた」と〈Thrill Jockey〉のサイトで語り、AIが人間のやっていることに取って代わるのではなく、人間がロボット化し、プログラム通りに動くようになっていることを示唆していた。リヒターの手法はサンプリングとコラージュが多いので、なおさら、情報を集めてきてお題通りのものをつくるという過程は似ている。どんなものをつくるのか、それを考えているのは自分自身だということを除けば、だけれどもも。いずれにしろ初めてフレンチ・ジャズを意識したという『Le Jazz Homme』にはチャットGPTを使ってつくった “Le drôle de singe(面白い猿)” という曲が収録されている。中世のファンファーレをループしてランダムに再生させ、アモン・デュールIIのように聞かせるとかなんとか説明されていて、そういわれるとそのようにしか聞こえなくなってくる。ソリッドでシャープなアモン・デュールII。彼らはリヒターにとってはヒッピー・コミューンを代表する存在らしい。

 AIが音楽をつくっているといっても、そのAIが幻覚を見ている状態だとリフターは考えているようで、いわばAIにおけるチャンス・オペレーションを想定しているのだろう。経済番組などでAIと音楽の話題になると、AIにヒット曲をつくらせようという話題しか出てこないので、そのような価値観とは無関係である(AIでヒット曲をつくるって、ほんとお金のことしか頭にないよな……)。確かにコンピュータにはいつもバグが期待されている。ワープロやPCが普及し始めた頃に「誤変換」が楽しくてしょうがないという風潮はあったし、チャットGPTも最初は間違いだらけだと面白がられていた(当時、ツイッターで見かけた「全員、捕まるまでがオリンピックです」というスローガンが面白くて、定期的に生成AIに打ち込んでいたら、毎回のように答えが変わっていって、いつかなどは「森喜朗が捕まるまで」という答えが出てきた!)。そのようなバグったAIが音楽をつくったら……というのが『Le Jazz Homme』のコンセプトなのだろう。実際の曲よりもリヒターの説明の方が面白くて、 “Note à soi(自分用メモ)” はエクトル・ザズーが後ろから押したのでパスカル・コムラードのトーイ・ピアノが階段から落ちているところとか、 “Musique gelée(冷凍音楽)” はフランスの女性アーティストがシャーリー・テンプルについて哲学している時の神秘的な雰囲気だとか。エンディングの “Musique d'arrêt étrange(奇妙な停止の音楽)” はタルコフスキーの口ひげとバッハのかつらの出会いを暴力温泉芸者のように表現したかったけれど、それには少し及ばなかったと(!)。中原昌也が闘病中だということもあり、物悲しいピアノの響きに少しジーンとしてしまう。ほかにも本人の説明とは食い違うような面白い曲がいくつも並んでいて、空想のブルーノートだという “Septième jeudi vide(第7木曜日は空いている)” や、マダガスカル語で偽のサックス・ソロを演奏するマダガスカルのインドリ(キツネザル)という完全に意味不明の “Autoroutes vides(高速道路は空いている)” はジョン・ハッセルみたいで、これらもいい。ブラック・トゥ・カム名義に比べて肩の力を抜いてつくっているのがよくわかるし、前衛音楽なんて横道にそれている時の方が絶対にに面白いよ(なんて)。

 自分でも気付かぬうちに、スティーヴ・アルビニは私の人生を変えていた。彼の特定の作品との出会いによって啓示を受け、人生の中にそれ以前と以後という明確な境界線が引かれたということでは全くない。それよりも彼の影響は、私の育った音楽世界の土壌に染み込んでそれを肥沃にしたものであり、そうとは知らない私が無意識に歩き回った風景そのものだったのだ。ようやく獲得し得た視野と意識によって振り返ってみると、私が通ってきた世界のすべてに彼の手が及んでいたことを思い知らされる。

 世代的なことも関係している。1962年生まれのアルビニは、ちょうど1980年代にジェネレーションXが成人し始めた頃の音楽シーンで地位を確立し、彼の音楽とアティチュードはその世代の心に響く多くの特徴を体現していたのだ。

 彼の作品は挑戦的で、パンクが退屈さに怒りをぶつける方法をさらに推し進めたものだった。彼自身の初期のビッグ・ブラックやそれ以降の音楽の中で、児童虐待やレイプ、暴力について恥も外聞もなく言及し、その言葉は人種差別や同性愛嫌悪の枠をはるかに超えるようなものだった。それでも後年には、彼のそういった挑発を裏打ちしていたのは無知と特権意識によるものだったという反省を、恥ずかしがらずに口にしてみせた。彼はこれらの考察を自分自身の個人的な言葉で組み立てることに細心の注意を払ってはいたが、それは同時に、1980/90年代の慣習に逆らった、エッジ―なポップ・カルチャーの多くが社会の隅に追いやられた人々の実生活の経験について、いかに無頓着で認識が甘かったのか、さらに、批評的かつ皮肉な出発点から一線を越えてしまったアートが、いかに他の人々に、昨今彼もよく目にするようになった本物のヘイト(憎しみ)によって、同じようなことを言うための扉を開いてきたかについての鋭い分析でもあった。

 アルビニの場合、人々に衝撃を与えたいという意欲が、彼のもうひとつの側面であるメインストリームといわれるもの全般、特に音楽業界の偽善的な常識を無視する姿勢と密接に結びついているのだ。ピクシーズ、ブリーダーズ、PJハーヴェイ、ニルヴァーナやジミー・ペイジとロバート・プラントなどの多大な影響力のあるアルバムの仕事で軌道に乗った、彼のレコーディング・エンジニアとしてのキャリアでは、業界のゲームに参加さえすれば莫大な金を稼ぐことができたのに、インディペンデント・アーティストに拘り続けた。

 そして、彼が実際に一緒に仕事をしたアーティストたちの話を聞いてみると、近年の内省的なアルビニは、以前の作品から想像されるような口汚い挑発者とそれほど対照的ではないかもしれないことに気が付く。そこから伝わってくるのは、自分の意見についてはぶっきらぼうで率直だが、バンドが望むものを達成するために自分の持つ専門知識を惜しみなく差し出して深い集中力でもって彼らを手助けするという人物像だ。1990年代にアルビニとアルバムを録音したバンドのメルトバナナによると、彼らは自分たちがレコーディングの主導権を握り始めた時の彼の寛大さを強調し、「3枚目を自分たちでレコーディングすると決めた時に、録音のアドバイスや必要な機材について尋ねると、たくさんのことを教えてくれた」と語った。ZENI GEVAの一員としてアルビニと仕事をした田畑満は、彼のことを「レコーディングについて知ることが、音楽の秘密に近づくことに繋がると気付かせてくれた人」と言い表した。

 彼が私自身の音楽世界に与えた影響の大きさが、長いこと私のレーダーから影を潜めていたことの理由のひとつに、彼が手掛けた多くの作品での自分の役割を最小限に抑えようとしていたことがある。プロデューサーとしてよりも、エンジニアとしてクレジットされることを好み、多くで偽名を使っていたことでも知られている。彼の死を知った後で、自分の持っているレコードを確認すると、アルビニが録音した作品でのクレジットは、Ding Rollski (シルヴァーフィッシュの『Fat Axl』)、Some Fuckin’ Derd Niffer(スリントの『Tweez (トゥイーズ)』)、そして彼の猫のFluss (ガイデッド・バイ・ヴォイシズの『アンダー・ザ・ブッシズ・アンダー・ザ・スターズ』の数曲)などとなっていた。それでも、ピクシーズとブリーダーズのキム・ディールはインタヴューで、彼が認めたがるよりもはるかに、スタジオでの影響力は絶大だったと示唆している。

 ビッグ・ブラックやシェラックにすでに影響を受けていたバンドが、‶スティーヴ・アルビニ・サウンド〟を求めて彼のエレクトリカル・オーディオ・スタジオでレコーディングを行ったことには、ほぼ間違いなく(とりわけ時が経つにつれて)、自主的な選択がはたらいていた傾向にあるが、やはり、彼の作品全体に繰り返し見られる識別可能な特徴があったのも確かだ。彼はアナログで作業することを好み、(田畑は「彼は世界最速のテープ・エディターでもあり、DAW使用者よりも速かった」と語っている)、ほとんどの装飾を取りはらった、広がりのあるサウンドを創りだした。彼の録音では、ドラムの自然なリヴァーヴを好んだことで、まるでミュージシャンと同じ部屋に一緒にいるかのような感覚が味わえる。彼の録音の多くに、独特のクランチーなベースのサウンドとスクラッチのような耳障りなギターがフィーチャーされている。それは、個別のアーティストたちが目指したゴールに応じて微調整された還元的で多様な作品の要約ではあるが、アルビニ自身の作品群をはるかに凌駕し、彼に影響を受けた何千人ものアーティストやエンジニアたちの作品にこだましたサウンドなのだ。そしてこのサウンドは、私が東京のミュージック・シーンに参入して足場を固めようとしていた頃の東京中のアンダーグラウンドのライヴ・ハウスで鳴り響いていたものであり、私が観たり一緒に仕事をしたりした全世代のアンダーグラウンド・バンドの作品を彩っていたものだった。

 彼が築き上げるのを手伝った音楽世界で育った者としては、スティーヴ・アルビニの死去によるひとつの世代の衰退を感じざるを得ない。彼が後悔していた‶クソなエッジロード(重度の厨二病患者)〟のことばかりではなく、彼が精力的に支持した反メインストリーム主義のDIYのエートス全体が、ますます過ぎ去った過去の遺物のようになってしまう――少なくとも、当時のような形ではなくなっていくのが感じられる。インディとメインストリームのニ極化的な対立や、それに付随する‶裏切り〟という非難は、文化的な戦線が他に移行し、オルタナティヴが必ずしもミュージシャンにとって経済的に存続可能な空間でなくなってきている現在においては、さほど重要な意味を持たなくなっている。アルビニ自身も、90年代に比べて独立系ミュージシャンが生きていくのがいかに難しくなったかについて言及している。彼がどれほど手頃な価格でスタジオを提供しようとしても、エレクトリカル・オーディオのようなインディに優しいスタジオでさえ、そのコストは大半のアーティストにとって回収できる金額を超えているのだ。

 これは、我々が失った世界への自分ではどうすることもできない類の叫びなのかもしれないが、それでもスティーヴ・アルビニの死は、私に音楽界のコミュニティにとって必要な物の多くを浮き彫りにしてくれた。我々には、疲れを知らずに働き続け、自分が勝ち得た成功を惜しみなく、まだ道を切り開こうとしている人々を支援するために活用できる人、潮流が自分に著しく不利に傾いた時でも、倫理的に正しいと信じることを貫き通せる人、過去の過ちを認識し、必要な時には新たな方向性を示すキャパシティの広さを持つ人、そして、私たちが間違ったことをしている時に、そうと教えてくれる辛辣な知性を備えた人々が必要なのだ。

 ミュージシャンが亡くなると、天国で他の偉大な仲間たちとジャム・セッションをする場面を想像したりするという、お決まりの言い回しがある――ジェフ・ベックのギターに、チャーリー・ワッツのドラム、そしてベースはウォルター・ベッカーといった具合の。スティーヴ・アルビニのファンの何人かは、これらの天使になった巨匠たちには、ようやく天上の世界で自分たちのことをクソだと進言してくれる人ができたのだと提言している。

私自身はスティーヴ・アルビニと直接知り合う機会はなかったものの、東京のアンダーグラウンド・シーンにいれば、必ずや彼と知り合いだった人に行きあたる。上に引用したように、この記事を書いている間に何人かに話を聞き、彼らのコメント全文を掲載するべきだと思ったので、ここに記す。

「スティーヴ・アルビニはレコーディングについて知ることが、音楽の秘密に近づくことに繋がると気付かせてくれた人。彼は世界最速のテープ・エディターでもあった――DAWユーザーよりも速いほどの。彼が恋しい。一緒に音楽を創ってくれてありがとう、スティーヴ。」
 田畑 満

 「スティーヴが亡くなったことは本当に悲しいです。彼は私たちの最初の2枚のレコードを録音してくれました。私たちは彼の昔の自宅のレコーディングスタジオでアルバムを録音しました。みんなで彼の家に泊まって過ごした時はとても楽しかったです。3枚目を自分たちでレコーディングすることを決めた時に、録音のアドバイスや必要な機材について尋ねると、たくさんのことを教えてくれました。それに、彼のバンド、シェラックとアメリカ、イギリス、フランス、ドイツで一緒にライブすることができて本当によかったです。私が彼の姿で一番よく覚えているのは、1枚目のレコーディングの時に彼がミキシングボードに向かって、深夜まで一人で黙々と作業をしていた後ろ姿です。その時、私は彼が飼っていた猫のFlussとずっと遊んでいました。彼は、私たちにたくさんのことを与えてくれました。スティーヴ、ありがとう。」
メルトバナナ/Yako/Agata


How Steve Albini secretly changed my world


By Ian F. Martin

Without me even noticing it was happening, Steve Albini changed my life. There was no single revelatory encounter with his work that drew a clear line in my life between before and after. Rather his was an influence that seeped into and fertilised the ground of the musical world I grew up in — a landscape I walked ignorantly around, before eventually gaining the perspective and consciousness to look back and see his hand in everything.

Part of this is generational. Born in 1962, Albini established himself in the music scene just as Generation X began coming of age in the 1980s, and his music and attitude embodied a lot of the characteristics that generation took to heart.

His work was confrontational, taking the way punk railed against boredom even further. In his own early music with Big Black and beyond, he wasn’t shy about making references to child abuse, rape and violence, language that stepped way beyond the boundaries of racism and homophobia. But nor was he shy in later years about reckoning with the ignorance and privilege that underscored a lot of his provocations. While he was careful to frame these reflections in his own personal terms, they were also an incisive breakdown of how carelessly naive a lot of transgressive or edgy 1980s/90s pop culture was about marginalised people’s real life experience, and how art that crossed those lines from a critical or ironic startpoint opened the door for others to say similar things with the genuine hate he came to see so widely around him in recent times.

In Albini’s case, his willingness to shock also went hand in hand with another of his defining characteristics: his disregard for the hypocritical niceties of the mainstream generally and the music industry in particular. As his career as a recording engineer took off with influential albums by the Pixies, The Breeders, PJ Harvey and Nirvana, not to mention his work with Jimmy Page and Robert Plant, he could have made obscene amounts of money by playing the industry game, but his focus remained on independent artists.

And it’s when talking to the artists he actually worked with that the reflective Albini of recent years feels like less of a contrast with the foul-mouthed provocateur his earlier work might lead you to imagine. The picture that comes across is of a man who was blunt in his opinions but deeply focused on deploying his expertise to help bands to achieve what they want. Speaking to the band Melt-Banana, who recorded with Albini in the 1990s, they highlighted his generosity when they began to take control of their own recording, noting that, “When we decided to record our third album ourselves, he gave us a lot of advice and equipment we needed, and he gave us all sorts of information.” Mitsuru Tabata, who worked with Albini as part of the band Zeni Geva, described Albini as “the man who made me realise that getting to know about recording could help get me close to the secret of music.”

Part of why the extent of his impact on my own musical world stayed under my radar for so long was down to the way he minimised his role in so much of the music he worked on. He famously preferred to be credited as an engineer rather than a producer, and in many cases worked under assumed names. Looking through my records after learning of his death, I found Albini’s recording work credited variously to Ding Rollski (Silverfish’s “Fat Axl”), Some Fuckin’ Derd Niffer (“Tweez” by Slint) and his cat Fluss (a couple of tracks on Guided By Voices’ “Under The Bushes Under The Stars”). Still, in interviews, Kim Deal from the Pixies and The Breeders has suggested that he was a far more influential factor in the studio than he liked to admit.

There was almost certainly (and especially as time went on) something self-selecting in how bands already influenced by Big Black and Shellac recorded at his Electrical Audio studios because they wanted “the Steve Albini sound”, but there were nonetheless identifiable characteristics that recurred throughout his work. He preferred to work analogue (Tabata remarks that “He was also the fastest tape editor in the world — even faster than DAW users”) and created a spacious sound with most of the frills stripped away. His recordings show a preference for natural reverb on the drums that creates a sense of them being there in the room with you. Many of his recordings feature a distinct, crunchy bass sound and scratchy, abrasive guitar. Of course this is a reductive summary of a diverse array of work that was finetuned according to each individual artist’s goals, but it describes a sound that reverberated far beyond the body of Albini’s own work into that of the thousands of artists and engineers who were influenced by him. It’s a sound that rang through basement live shows across Tokyo when I was first finding my feet in the music scene here, and it coloured the work of a whole generation of underground bands I saw and worked with.

As someone who grew up in the musical world he helped build, it’s hard not to see the fading of a generation in the passing of Steve Albini. Not just the “edgelord shit” he came to regret, but also the whole anti-mainstream DIY ethos Albini supported so vigorously feels increasingly like a relic of a generation whose time has gone — at least in the form it took at that time. The often confrontational dichotomy between indie and mainstream, and the related accusation of selling out, carry far less weight nowadays as cultural battle lines shift elsewhere and the alternative ceases to be a financially viable space for musicians. Albini himself remarked on how much more difficult it had become for independent musicians to stay afloat compared to in the 90s. No matter how affordable he tried to make it, even an indie-friendly studio like Electrical Audio’s costs are beyond what most artists can hope to recoup.

So maybe this is a helpless cry to a world we’ve lost, but Steve Albini’s passing still highlights to me a lot of what the musical community needs. We need people who work tirelessly, using whatever success they gain in ways that help support those still trying to make their way; we need people who stick to their guns ethically when they know they’re right, even at times when the tide seems to be inexorably turning against them; we need people with the capacity to recognise past mistakes and chart a new direction when needed; we need people with the caustic intelligence to tell us when we’re doing it wrong.

There’s an insipid trope when a musician dies of imagining them in heaven, jamming with all the other dead greats — Jeff Beck on guitar with Charlie Watts on drums and Walter Becker on bass. A few Steve Albini fans have suggested that these angelic maestros now finally have someone up there to tell them they’re shit.

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I didn’t know Steve Albini, but everyone in the Tokyo underground scene knows someone who did. As quoted above, I spoke to a couple of these people while writing this article, and felt I ought to post their full comments as well:

“Steve Albini was the man who made me realise that getting to know about recording could help get me close to the secret of music. He was also the fastest tape editor in the world — even faster than DAW users. I miss him. Thank you for creating music with me, Steve.” - Mitsuru Tabata

“I'm really saddened that Steve passed away. He recorded our first two records. We recorded the in his old home recording studio and had so much fun staying at his house. When we decided to record our third album ourselves, he gave us a lot of advice and equipment we needed, and he gave us all sorts of information. It was fantastic, too, to be able to perform with his band Shellac in the US, UK, France and Germany. What I remember most about him is seeing his back as he was working alone at the mixing board until late at night during the recording of our first album. While he worked, I just spent the whole time playing with his cat Fluss. He gave us a lot. Thank you, Steve.” - MELT-BANANA / Yako / Agata

Jeff Mills - ele-king

 去る4月、戸川純をフィーチャーした舞台作品およびそのサウンドトラックで注目を集めたジェフ・ミルズ。早くもニュー・アルバムの登場だ。題して『The Eyewitness(目撃者、証人)』、発売は7月5日。いかにしてメンタル・ヘルスの状態を良好に保つか、その対処法を示すためにつくられたアルバムだという。
 先行シングルとして、“Those Who Worked Against U” が昨日6月18日にリリースされている。ジミ・ヘンドリックスの “星条旗” にインスパイアされたこの曲は、わたしたち自身について、わたしたちの世界について、わたしたちが未来に向かう道筋について再考するときがあらためて訪れているのではないかという、その目覚めのコール、警鐘なのだそうだ。

 アルバムに寄せられたミルズのメッセージは下記より。


トラウマとその衝撃効果、つまり厳しい現実の残滓はあまりに影響力が強いため、自分をとりまくみんなやあらゆることについて、想像をめぐらせたり、いいことを思い描いたり、そのなかでみずからの立場を見定めたりする方法を固めてしまいます。新しいタイプの心理的な輪が発達し、境界が強化され、人間関係は後退、傷ついたちっぽけなシステムはあてもなく漂うことになります。価値ある目的を連想させるいかなるものに対しても脆弱に、また、そうしたものによってこそ脆弱になります。事実についての真実は嘲笑的な独白に、批判的な調整を欠いた行き場のない表現になります。わたしたちはみな、以前そうなってしまっただれか、もしくはこれからそうなるだろうだれかを知っているはずです。
──ジェフ・ミルズ

Artist: Jeff Mills
Title: The Eyewitness
Format: Double vinyl / Digital album
Label: Axis Records
Release date: 05.07.24

Single ‘Those Who Worked Against Us’
out 18.06.24

Tracklist:
A1. In A Traumatized World
A2. Menticide
B1. Those Who Work Against Us
B2. Surge Complex
C1. Indoctrination
C2. Wonderous Butterfly
D1. Menticide (Repeat Victimization)
D2. No Safe Place
D3. Mass Hypnosis

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