「Nothing」と一致するもの

FEBB AS YOUNG MASON - ele-king

 2018年に急逝したラッパー/プロデューサーのFEBB。先月幻のサード・アルバムがリリースされているが、このたび2014年のファースト・アルバム『THE SEASON』のカセットテープが発売されることになった。新たにリマスタリングを施し、同時期の “BRAIN” をボーナストラックとして追加。
 また、これを機に「THE SEASON 994」のロゴをあしらったジップアップ・パーカーとTシャツも期間限定の完全受注生産にて発売される。なくなる前に要チェックです。

FEBB AS YOUNG MASONが2014年1月にリリースしたファースト・アルバム『THE SEASON』のカセットテープが完全限定プレスの受注生産で発売決定! 同時にジップアップ・パーカーとTシャツも期間限定の完全受注生産で発売となり予約受付が開始!

2018年2月15日に24歳の若さで亡くなったラッパー/プロデューサー、FEBB AS YOUNG MASONが2014年1月にリリースした恐るべきファースト・アルバム『THE SEASON』のカセットテープが完全限定プレスで発売(税抜販売価格:¥2,300)。期間限定の完全受注生産であり、得能直也氏がカセット用に新たにリマスタリング。『THE SEASON - Deluxe』の収録曲に加え、同時期に制作された名曲 “BRAIN” をボーナストラックとして収録。
また「THE SEASON 994」のロゴを用いたジップアップ・パーカー(税抜販売価格:¥8,800)とTシャツ(税抜販売価格:¥3,500)も同時に期間限定の完全受注生産で発売。印象的な「THE SEASON 994」ロゴを左胸に入れ、パーカーは『THE SEASON』のジャケットもバック・プリントとして入れております。パーカーはボディがUnited Athleの10.0ozスウェット、カラーはブラック、ネイビー、グレーの3パターンでS~XXLサイズ。TシャツはボディがCOMFORT COLORSの 6.1oz ガーメントダイTシャツ、カラーはホワイトのみでS~XLサイズになります。

6/21(火)からP-VINE OFFICIAL SHOPのみの完全限定生産での予約受付となり、受注期間は6/30(木)正午まで、発送は8月上~中旬頃を予定しております。またカセットテープにはFEBBステッカーが封入され、パーカーとTシャツには「THE SEASON 994」透明ステッカー(100x70mm)が特典としてつきますのでお買い逃しなく!

*FEBB 『THE SEASON』 ジップアップ・パーカー / 994ロゴTシャツ / カセット販売サイト
https://anywherestore.p-vine.jp/pages/febb-the-season-preorder-fully-limited

*FEBB 『THE SEASON』 カセット / トラックリスト

1. No.Musik Track by Dopey
2. Time 2 Fuck Up Track by E.Blaze
3. Walk On Fire ft. KNZZ Track by Febb
4. Time Is Money Track by QRON-P
5. Hustla / Rapper Track by jjj
6. On U Track by Rhythm Jones
7. This Town Track by Golbysound
8. Deadly Primo


1. The Test Track by Serious Beats
2. PeeP Track by Ski Beatz
3. Season A.K.A Super Villain Track by Febb
4. Another One Track by Febb
5. Step Track by Kid Fresino
6. Navy Bars Track by Dopey
- Bonus Track -
7. Gone * Track by Febb
8. Hard White * Track by Kid Fresino
9. BRAIN*

※収益はFEBBのご遺族に分配しております。
※新型コロナウィルスによる状況によっては、発送期間が大幅に遅れる可能性がございます。あらかじめご了承ください。
※オーダー後のキャンセル・変更は不可となります。
※商品発送は8月上~中旬頃を予定しております。
※配送の日付指定・時間指定は出来ません。

interview with Akio Yamamoto - ele-king

 およそ8ヶ月ものあいだ、山本朗生と佐脇興英のふたりを乗せた車は夜の高速道路を走っていた。タンツムジークのプライヴェイト・ロード・フィルムの撮影のためである。車のなかから、映像を担当した朝比奈学の8ミリ・カメラが外の世界を覗く。撮影は震災後の神戸にはじまって、新宿の新大久保、福生、横須賀、そして大阪の西成へと足を伸ばす。ときにはヤバい場所にも侵入して、フィルムを没収されそうになったこともあったそうだ。それでも彼らを乗せた車は、止まることを知らなかった。

 いつの間にか、フィルムは膨大な量に増えていた。そのフィルムには、都会の隅っこに転がっている異様な熱気の多くが収められている。ネオン街、雑踏、米兵、夜の熱気、青い空、雲のような街灯。フィルムからもわかるように、タンツムジークのニュー・アルバム『ヴァージョン・シティ・ハイライツ』はもはやハードコアなテクノ・ファンだけのものではない。

 1996年末、フードラムから離れた山本朗生の頭には、映像を撮ることがまずあったという。それはなかば強迫観念のように彼を支配したが、しかしその映像が久しぶりに再開するタンツムジークの重要な下地になることを彼はわかっていた。とはいえ、それを完成させるには長い時間と多くの労力が必要で、資金的にも相当きつい。客観的にみれば暴挙と言えるだろう。が、山本朗生は、とにかく完成させることしか頭になかった。フィルムを発表するあてもないばかりか、タンツムジークの新作のリリース元もまだ決まっていなかった。それでも、まるで何かにとり憑かれたように、彼らはドライヴを続けたのだった。

 車が目指したのは、日本の都会の片隅で暮らす移民たちの表情だった。あるいは、果てしなく続く道路そのものだった。新大久保に潜む南米から来たストリート・ガール。福生の街をうろつく米兵と少女たち、西成のホームレス、そしてネオンと道、道、道。日本のもうひとつのリアリズムの追求。こうした作業は、タンツムジークの音楽に新たな息吹を吹き込んでいった。

 1994年にリリースされた『シンセカイ』を、僕らはもう忘れてもいいかもしれない(新生タンツ・ムジークは新たにARM名義で活動する久川大志が加入し、3人編成になった)。『ヴァージョン・シティ・ハイライツ』の1曲目を飾る“ウィークエンダー”を聴けばわかるように、最新タンツムジークには強力なビートが備わっている。それはターヒル名義で山本朗生が追求したビートの延長線上にあって、極端なカタチで構成された16ビートの裏リズムが強烈なファンクを打ち鳴らしている。タンツムジークが手に入れたファンクは、2曲目の“ア・ヴァージン・シティ・エピソード”でも鳴っているが、この曲は、近い将来パトリック・パルシンガーとデリック・カンターのリミックスとアキヲ・ミランパーク名義のリミックスを収録してシングル・カットされるという。

 6曲目の“モカ・コルバ”もまた、このアルバムのクライマックスのひとつだ。うっとりするような美しい瞬間が、こと細かく展開されるリズムパターンのうえから聴こえてくる。そして、それはたしかに深夜の高速道路の暗闇を飛ばしているような気分にさせてくれる。“C.M.Y.”からは、シンプルな繰り返しでありながらカール・クレイグの“ニューロティック・ビヘイヴィア”を彷彿させる深い叙情性が聴ける。また、“ウェスタン・コス”から最後の“シティ・ライツ”にかけては長いトンネルをくぐり抜けたかのような軽快さが待っている。

 久しぶりに会った山本朗生は、まるで生まれ変わったように生き生きとした顔つきをして現れた。前の晩はフィルムの編集で寝ていなかったというのが嘘のようだった。僕は彼に、新作には強く感じるものがあったことを伝えた。その強さは、初期のタンツムジークにはなかった種類のものだ。

「あの頃は、なんも考えてないッスよ。いや、ほんま俺に関しては差異を生もうとか、そういうのは全然なかった。ほら、だいたい当時俺“テクノ知らん”とか、よく言うてたやんか。〈ライジング・ハイ〉だって出すまで名前しか知らんかったしね。オッキーもめっちゃ詳しいかって言うたらDJぐらい詳しいわけやなかったから。そんななかであれが生まれた感じはあるんよ。そんで、僕らはもともとライヴ・ユニットやったし、その前はほんまにヴォーカルが入ってるようなバンド(※シークレット・ゴールドフィッシュ)に入ってたから」

 何か伝えたいことが強くあるように感じたんだけど、と言うと彼は以下のように説明する。

「まずは攻撃性ということがあった。これはリズムに関してだけど。極端に精神の攻撃性を高めていったら、絶対動きにフェイントがでてくるんですよ、拳法的な。ムエタイとかでもそうじゃないですか。フェイントの応酬になると思うんですよ。極度まで攻撃性を高めたらそういうふうになると思うから、突き詰めると俺はこういうリズムになるというか」

 『ヴァージョン・シティ・ハイライツ』を作るうえで何故フィルム撮影が必要だったのだろうか。その質問に対して山本朗生はシンプルに「タクシー・ドライヴァーの視点で街を見てみたかった」と答え、さらに次のように加えた。

「映像を撮ろうとしたときに、例えば、お金があるからってニューヨークで撮ろうていうのは“違うやろ”っていうのがあった。俺らは日本に住んでいるんやし、ライヴでよく海外に行ったりとはせえへんし。そんなのやったら嘘やないですか。やっぱ日本やないとあかんやろって。で、ほんまのリアリティのある嘘じゃない日本を撮りたかった」

 では、リアルな日本を撮るために、何故新大久保や福生といった街を選んだのだろうか。

「おもしろかったから。例えば新大久保は、コロンビア人の女の子とかええ顔してるんですよ。ほんま、日本人やったらあんなキッツい労働できへんでしょ。でも、笑うとるんですよ。 それがね、チャーミングでもあり、 かっこよくもあり、なんか感じるものがあったんですよ。 俺らが車乗ってると声かけてきたりするじゃないですか。 それで、そこらへんを2、3回まわってたら南米あたりの子は話しかけてくるんですよ。 “また会ったね” とかね。 そんでその表情とかがね、 何か感じるところがあったんですよ」

 その感じは決して 「ダークではなかった」と彼はつけ加える。 そして、撮り続けているうちに彼女たちから何かエネルギーのようなものさえ感じていたという。

「アウトローっていうかね、ふだん真面目な日本人が避けて通るような場所っていうかね、ほんまやったら虐げられてるそういう人たちのほうが画面で見たときエネルギーとかいろんなもの感じるときがあるし、これはなんなんやろっていうのがあって。でもそういう世界は絶対的な事実やと思うんですよ。もちろん自分らには彼らのいる世界をどうもしようがないし、だからどうしたっていう提示もないんやけど。 自分でもただそれを撮ってみたかったのか、サンプリングしたかったのか、 エディットしたかったのかわからへんけど、とにかく何かを感じた。それにけっこう日本は、臭いモノには蓋をするっていうのがあるじゃないですか。 だからなおさら撮りたいっていうか。撮っているあいだはただ無我夢中だったけど」

 つまりタンツムジークは、清潔な日本の都会とは逆の方向に車を走らせたというわけだ。そこで目撃していった数々の場面が、 タンツムジークの音楽にあらたな意味を持たせている。それは僕たちの住む国のサウンドトラックでもある。それだけでも僕は、 タンツムジークのセカンド・アルバムは多くの人に聴かれるべき作品だと思っている。だってそう、ベッドルーム・テクノはいま街に飛び出したのだ。

 これは、タンツムジークが頑なな実験派で、限られたテクノ・ファンだけを相手にしているアーティストだと思っている人には予想外のカウンター・パンチかもしれない。こうしたサウンドの変化に関して、山本朗生はジャマイカン・カルチャーからの影響について話す。 ここ2年、ほとんど他の音楽にインスパイアされることがなかったというが、彼にとってレゲエだけは特別だった。

「昔からレゲエは好きやったけど、たまたまレゲエのヴィデオを観てたらそのすごさを再確認したっていうかね。 ほんまパンク以来のショックやったんですよ。 ほんでラスタのことにどうしようもなく興味を持ってジャマイ力に関する本もたくさん読んだし、ヴィデオもたくさん観たしね。 歴史的な背景とかも植民地からはじまって云々とかね。それとごっつい慢性的な不景気でしょ。 そういうなかで生きてる音楽というか、あの音楽のエネルギーがねえ、例えば、70年代のサンスプラッシュのヴィデオとかからすごい感じられてん。だからと言って、ジャマイカに住もうとか、ええとこだとは思わへん。 絶対に住みたくないし、行ってはみたいけどね。 そのへんはき違えたらアホやから」

 福生や横須賀(といった米軍基地のある街)での撮影を通して、山本朗生はあらためて日本の歴史について考えたという。だからといって彼は、リスナーに対して「考えろ」ということを言いたいわけではないと強調する。「(リスナーを)スカッとさせたい。 ただそれだけ」

 『ヴァージョン・シティ・ハイライツ』 はデヴィッド・ホームズの『レッツゲット・キルド』やバリスティック・ブラザースの『ルード・システム』 なんかと近いところがないわけではない。が、どう考えても新大久保はブルックリンではないしブリクストンでもない。日本人と移民労働者とのあいだには、まだまだ計りしれない壁がある。 撮影のあいだ、台湾人の女性から冷ややかな目で見られたこともあったと彼は付け加える。

 山本朗生は、いまの日本にテクノに対する追い風が吹いていないこともわかっている。テクノをやっているというだけでは、もはやそこに新鮮な響きなどない。タンツムジークという名前を、今日の日本の、例えば本誌読者のなかでどれほど気にしている人がいると思うか、という少しばかりキツイ質問をしてみた。 山本朗生は答える。「自分はもともとそんなにメディアに露出してなかったし、期待もなかった」。だからむしろ、これまでいろんな場所で聴いてくれている人と会ってきたことが、いまの自分にとっては励みにもなっていると。

 今回の取材での彼の答え方は、始終、実に爽やかなものだった。それに、これからまたはじまるような雰囲気が彼にはあった。 妥協しないで作品を完成させたことが、彼にポジティヴな気持ちをもたらしたのだろう。 実際の話、日本のもうひとつのリアリズムを描くというコンセプトは、タンツムジークの音楽の強度を確実に高めたのだから。

 現在、山本朗生が東京に、佐脇興英が京都に、 久川大志が高知に住んでいるため3人が揃うのはなかなか難しい。だからというわけではないが年内はそれぞれのソロ活動をやって、 ひょっとしたら年末にはタンツムジークのサード・アルバムに向けてアクセルを踏むかもしれない。それにしても不思議というか不可解なのは、 タンツムジークがここまで心血を注いで創り上げた30分のロード・ムーヴィーを上映する予定も売りに出す予定も、この取材の時点ではまだないことだ。 限定でもいいから、なんらかのカタチで発表して欲しい。でなければエレナイトで上映するしかない。 だって本当にいいんだから。

■タンツ ムジークの『Version Citie Hi-Lights』はサブライムレコードより5月20日に発売。レコード店に行ったら探す価値あり!

R.I.P.山本アキヲ - ele-king

 すでにニュースになっているように、山本アキヲが亡くなった。3月15日だから3ヶ月ほど前のことではあるが、ご親族の事情があったのだろう、発表されたのは昨日(6月20日)だったようだ。アキヲにとって最後のプロジェクトになったAUTORAのメンバー、高山純がSNSに投稿したことで彼の訃報がいま拡散している。
 ぼくが彼の死を知ったのは、数週間前だ。6月の上旬、いま京都で開かれているイーノの展覧会のために、久しぶりに関西に行くのだから、京都のオヒキデの蕎麦屋に顔を出して、それから大阪まで足を延ばして山本アキヲに会おうと、連絡を取るために動いて、その過程において知ってしまった。
 アキヲに最後に会ったのはかれこれ10年以上前の話で、宮城健人の案内で、ぼくが大阪は十三にある彼の実家を訪ねたときだった。アキヲの自家製スタジオのなかで、当時好きだった音楽の話しで盛り上がったものだ。変んねぇなーこいつ、と思った。だいたいこの歳になると、音楽関係の知り合いというのは、久しぶりに会ってもつっこんだ音楽の話なんかはしない。近況や身の上話であったり、人の噂話であったり、そんなものだったりする。だからあの男がいまどんな音楽をやっているのか、どんな音楽が面白いと思っているのか久しぶりに話したい、そう思っていた矢先のことだった。
 まあそんなわけで、しかし、ぼくには時間があったので、いまはもうだいぶ気持ちの整理はついている。それでもこうしてあらためて彼のことを思うと、やはり悲しくてたまらない。聞いた話では、昨年食道癌を患ってしまい、とはいえ病状は決して重たくなく、治療を続けながら本人は変わらず音楽に向き合っていたという。それが今年に入って急に悪化して、帰らぬ人になってしまった。
  
 山本アキヲは、1990年代初頭からつい最近まで、複数のプロジェクトやバンドで活動をしていた大阪の音楽家だが、彼のキャリアのなかでもっとも広く知られているのは、90年代の日本のテクノにおいて先走っていたプロジェクトのひとつ、タンツムジークとしての作品だろう。いまとなってはクラシックなアルバムとして名高い、1994年にロンドンの〈ライジング・ハイ〉からリリースされた『Sinsekai』(翌年ソニーからも収録曲の変更があって発売されている)だが、しかしリリース当初の日本では、ほとんど理解されなかった1枚だった。タンツムジークにとってテクノとは、ダンスフロアの4つ打ちに限定されるものではなかったし、彼らこそのちにエレクトロニカないしはIDMと呼ばれることになる自由形式のエレクトロニック・ミュージックの日本における先駆者だったといまなら言えるだろう。
 この先鋭的なプロジェクトは、大阪のインディ・ロック・バンド、シークレット・ゴールドフィッシュでベースを弾いていた山本アキヲと、京都のスネークヘッド・メンなどでエレクトロニクスを担当していた佐脇オキヒデとの出会いによって生まれている。かたやパンク上がりのミュージシャン、かたやクラウス・シュルツやリエゾン・ダンジュールに感化された電子機材マニア、このふたりのコンビネーションが初めてシーンにお目見えしたのは、1993年のことだった。
 もしこの先、日本の90年代を語りたいという若者が現れたら、1993年は日本のテクノ元年だったと記述するといいだろう。この年、日本のテクノ・シーンで重要な働きをすることになる人たちは、ほとんどが20代前半から半ばで(ぼくは20代後半だったけれど)、アンダーグラウンドにおいてなんだかんだで始動し、お互い出会ってもいる。たとえば、福岡では稲岡健がいちはやく〈Syzygy Records〉をスタートさせ、大阪では田中フミヤの〈とれま〉レーベルもはじまった。東京では、下北沢の小さなライヴハウスにおける永田一直のイベントでケンイシイが初めてライヴを披露し、たしかムードマンもテクノ・セットのDJをやったと記憶している。でまあ、ここには書き切れないくらい、ほかにもいろんな人たちのいろんなことがあったのだ、あの年には。個人的には卓球といっしょに『テクノボン』を出したり。

 以下、京都にて佐脇オキヒデと会ってきたので、彼の言葉も交えながら山本アキヲについて書いてみることにする。
 「初めて会ったのは、91年、いや、1992年だったのかな……、ぼくが大阪でライヴをやったとき、アキヲさんが『こういうの作ってるねん』ってテープをくれたんですよね。帰りの車のなかで聴いたら、打ち込み一年生みたいな荒い録音だったんですけど、コード進行が独特で、好きになったというか、なんか光るモノを感じたんですよ。で、『なんか一緒にやろう』ってすぐに電話したんです」
 「そっからお互い連絡取り合って、アキヲさんの家にも行きました。機材はまだ簡素なものだったけど、大きなモニタースピーカーがあって、あ、ぼくと同じだって。ヘッドフォンで作ってないというね。で、あるときアキヲさんが、『若いDJで、勢いがある鋭いやつがおるんねん』『その子がテクノのイベントをやるからライヴで出て欲しいって』、それが(田中)フミヤのイベントだった。そのライヴの話があったので、じゃあ“タンツムジーク”という名前でいこうということになって、そのライヴのために作った楽曲がやがて〈ライジング・ハイ〉から出る『Sinsekai』になるんです」
 「ある日突然ロンドンの〈ライジング・ハイ〉から(当時はメールなどないから)電話がかかってきて契約したいと。電話の後ろではタンツムジークの曲ががんがんにかかっていて、で、英語は喋れないからファックスにしてと言ったら、ファックスで20枚ぐらいの契約書が送られてきた」
 「内容的にはいまでも納得していないです。カセットでサンプル的に送ったつもりの音源まで収録されてしまったり。でも、作品を出せたことで、吹っ切れたところはありましたね。とくにアキヲさんは、すごく前向きな気持ちになっていました」

在りし日のタンツムジークのふたり。左にアキヲ。右にオキヒデ。アトム・ハートが好きだったから〈ライジング・ハイ〉に決めたという、その頃のアーティスト写真。

 そんなわけでタンツムジークは、デビュー・シングル「Muzikanova」こそ〈とれま〉からのリリースだったが、それから数ヶ月後には、当時もっとも影響力のあったレーベルのひとつと言っていいだろう、〈ライジング・ハイ〉から「Tan Tangue EP」が出ている。で、続いてくだんの『Sinsekai』も発売された。ちなみに、同アルバムの最後に収録されている“A Land Of Tairin”は彼らの代表曲のひとつで、作曲はアキヲ、彼の大胆な構成力とオヒキデのコズミックな電子音響とが絶妙なバランスで融合し、独特の美しさを携えているトラックだ。永田一直が「日本のテクノの名曲のひとつ」として、いまでもDJでかけているという話を、今回京都で同席してくれた稲岡健が教えてくれた。
 「アルバムに収録されている曲は、それぞれが作った曲もあるんですけど、アキヲ君が作った曲にぼくが手を加えた曲やふたりでアレンジした曲が多かったですね。アキヲさんはね、作りはじめのスケッチの段階からぼくに聴かせてくれるんですよ、『こんなシーケンスできたんやんか』って。だからアレンジもやりやすくて、お互い話しながら、それこそ機材の前にふたり並んで、楽しく作れた。“A Land Of Tairin”なんかは、そうやってできた曲です」
 「“踊れない音楽”というコンセプトやねん」、これがアキヲがタンツムジークというプロジェクト名に込めた意味だったと、オキヒデは言う。当時はまだ、踊れない音楽はテクノにあらずというほどダンス至上主義が幅をきかせていた時代だったから、これはずいぶんと皮肉の効いたネーミングだった。稲岡健がそこにこう付け加える。「アキヲは、自分で言うときにはタンツムジークとは言わず、大阪のアクセントで“タンズ”って言うんですよ。『あのさ、タンズのことやけど〜』みたいに。それが“ひとつの音”としてずっと印象に残っていて」

 1994年だったと思う。稲岡健が福岡で主催した(閉店したキャバレーをスクワット状態で使っていたクラブ〈θ(シータ)〉での)テクノのパーティで、タンツムジークのライヴと、お恥ずかしい限りではあるがぼくのDJというのがあった。大阪から福岡の会場まで、車を載せた機材といっしょにフェリーに乗ってやってきたふたりは、その当時の日本のテクノ・シーンの基準で言えばかなり実験的な(つまり当時の基準で言えば踊りやすいとは言いがたい)サウンドを容赦なく演奏し続けていたのだけれど、大方の予想に反して福岡のオーディエンスは狂ったように踊った。「俺らの音楽で人があんなに踊ってるの、初めて見たわ」と、ライヴが終わった後にアキヲが嬉しそうに話していたことをぼくはよく覚えている。

フェリーに乗って大阪から福岡に向かうふたり。「オッキー、今度せっかく九州行くから、フェリーのらへん? 楽しいやん」

 しかし、日本全体が福岡ではなかったし、海外レーベルからデビューした日本人としては、ケンイシイ、横田進、サワサキヨシヒロに続く4番手だったタンツムジークの音楽は、ごく一部のファンを除いて、広く理解されたことなどいちどもなかった。山本アキヲはそれから数年間は〈とれま〉を拠点に、Akio Milan Paak名義でダンスフロアで機能するダンス・トラックを、それからオキヒデが「その構成力に驚いた」というTarheel名義でもソロ活動を走らせ、さらに田中フミヤとはHoodrumを結成したが、これは途中で脱退している。タンツムジークとしては1998年にセカンド・アルバム『Version Citie Hi-Lights』をリリースしたり、シーンにいたほかの当事者たちもそうだったが、90年代は突っ走っていたと思う。そんななかで、うまくいっても、うまくいかなくても、アキヲは会うといつも変わらず優しい男だった。
 「アキヲさんは本当に優しい。独特の礼節があって、死ぬ直前まで、ぼくの家に来るときは『これ、おっちゃんとおばちゃんに』って、十三の名店のお菓子を手土産に持ってくるんですよ。『アキヲさんは本当に優しい顔をしているね』って、ぼくのオヤジとお袋も言うんですよ」とオキヒデが話すと、ことあるごとにアキヲと会っていた稲岡もまた「アキヲ君は本当に優しい奴だったな」と同意する。おそらく、1990年代以降、アキヲと出会ったほとんどの人たちは同じような感想を持っているだろう。

 彼には、自分の音楽が評価されていようといなかろうと、そんなことはかまわないというようなところがあったし、注目されていようといなかろうと、彼は彼の音楽を続けていた。2000年代に入ってからの山本アキヲは、高山純とのAUTORAで作品を出しつつ、マスタリングエンジニアとしても忙しくしていたという。レイハラカミの再発盤はすべてアキヲによるマスタリングで、オキヒデが言うには、ずいぶん悩みながらがんばっていたそうだ。「病気になったのは去年の秋だったけど、死ぬ直前まで機材のことで話しに来たり、アキヲさんとはずっと会っていました。今年こそ自分の作品を作るって言ってたんですけどね……」
 山本アキヲがずっと好きだったという、リッケンバッカーのギターとベースも購入したばかりでもあった。「こんなカッコいいやろ」とオキヒデに写真を送って、「このギターな、初めて買ったときオヤジにへし折られたんやで」、そう言って大笑いしていたと、なんだか彼らしいエピソードだなとぼくは思った。
 
 オキヒデは、Silvaの「ヌード」(1999年)に収録された“Mothership”という曲のAkio Milan Paak名義によるリミックス(Spaceship in the Gottham City)が推し曲のひとつだと言う。たしかにこれは、2000年代初頭のオウテカにも通じる異次元ファンク・サウンドだ。この12インチ・シングルをいま見つけるのは困難かもしれないが、時代のなかで、タンツムジークの諸作は立派に再評価されている。残された3枚のアルバムはどれもが必聴盤だが、ぼくがとくにずっと好きなのは『Scratches』だったりする。アキヲ/オキヒデ名義でリリースされた遊び心あるこの朗らかなアンビエント・タッチのアルバムは、いつ聴いてもぼくを良い気分にしてくれるのだ。アートワークが表しているように、ここにはタンツムジークの明るい側面、ロマンティックな一面が記録されている。稲岡健は、このアルバムのなかの1曲に共作者(インスパイア元)としてクレジットされているが、それを言うと、「このアルバムは自分にとってふたりとの友情の証のような大切な宝物なんです」と語ってくれた。
 
 90年代の日本のテクノ・シーンには、それはそれは、ものすごいエネルギーがあったことを、ぼくはいまここであらためて言いたい。基本インディ・レーベル主体でDIYだったし、自分たちの居場所は自分たちで作るしかなかった。あの頃は、自分の売り込みではなく、自分のまわりで面白い音楽を作っている人の作品を一生懸命プロモートする人たちが何人もいた。90年代のテクノ・シーンを盛り上げたのは、ほかでもない、そういう人たちだった。ビジネスにしようなんて考えていたのはほんの僅か。大いなるアマチュアリズムの時代、それを美化するつもりはない。悪く言えばウブで、よく言えばイノセント、ただ好きだからやっているという基本にとにかく忠実だったというか、それでしかなかった。
 山本アキヲはまさにそういうシーンのなかにいた、大切なアーティストのひとりだった。彼はただ、それが好きだからやっていたし、それ以上でもそれ以下でもなかった。芸術的な野心はあったにせよ、音楽でメシを食うにはあまりにも優し過ぎる男だったと言えるのかもしれない。
 あの時代、ぼくは彼とプライヴェートでもけっこう話しているので、アキヲがどんな思考を持っていたかはだいたいの見当が付いている。山本アキヲはパンク的なものを愛していたし、社会的弱者の味方であろうとしていたし、本物の平等主義者だった。そして、ひょっとしたらじつはものすごくセンチメンタルな内面を持っていたのではないのだろうかと思うことがあったが、その感傷性を絶対に表に出さないことが彼の流儀でもあったように思っている。

 それにしても早すぎたぞ。君がいなくなって、君と出会ったみんなが悲しんで、寂しがっていることをわかっているのかな。それから言っておくけど、君の音楽は永遠だ。若い世代からも、君へのリスペクトはこんなにもたくさんある。山本アキヲと出会えて本当に良かったよ。ありがとう。そしてお疲れ様でした。(敬称略)

2019年ぐらいのふたり。

Flying Lotus - ele-king

 昨年、アニメ『Yasuke』のサントラを手がけたことで注目を集めたフライング・ロータス。この5月にはドキュメンタリー『They Call Me Magic』のテーマ曲も送り出しているが、去る6月16日、新たなシングル「The Room / You Don’t Know」がデジタルにてリリースされている。
 LAを拠点に活動するシンガー、デヴィン・トレイシーをフィーチャーした2曲入りで、前者 “The Room” は『Yasuke』のサントラ収録曲 “Crust” の新ヴァージョン。チェックしておきましょう。

FLYING LOTUS

フライング・ロータスが
最新シングル “The Room” / “You Don't Know” を
〈Warp〉からデジタル・リリース!

ロサンゼルスを震源地に、2000年代半ばに急成長したビート・ミュージック・シーンから登場し、ジャズとヒップホップ、エレクトロニック・ミュージックを融合した新たなサウンドで、時代を作り上げてきたフライング・ロータス。昨年には Netflix オリジナル・アニメ・シリーズ『YASUKE -ヤスケ-』の音楽を手がけたことでも話題となった彼が、ヴォーカリストのデヴィン・トレーシーをフィーチャーしたシングル “The Room” / “You Don't Know” を〈Warp〉からリリース!

“The Room” / “You Don't Know”
https://flying-lotus.ffm.to/the-room

フライング・ロータスは今年の春に AppleTV+ のマジック・ジョンソンの同名のドキュメンタリー・シリーズのテーマ曲 “They Call Me Magic” もリリースしている。また、SFホラー映画『Ash』の監督と音楽を担当することを発表、さらには XYZ Films と Logical Pictures と契約を結び、新たなプロジェクトのプロデュースと監督を担当することが決定している。

また、フライング・ロータスは第63回グラミー賞にて、サンダーキャットの『It Is What It Is』で最優秀プログレッシヴR&Bアルバムを受賞、さらにプロデューサー・オブ・ザ・イヤー、ノンクラシカル部門でもノミネートされた。これまでに、デヴィッド・リンチ、アルマ・ハレール、ヒロ・ムライ、カリル・ジョセフ、渡辺 信一郎らとコラボレーションを行い、映画界のレジェンド、テレンス・マリックの指導も受けるなど、音楽の域に留まらない活動も続けている。

Tirzah - ele-king

 2021年を代表する素晴らしいアルバム、ティルザ『Colourgrade』のリミックス盤がリリースされている。アルカアクトレスといった2010年代の顔役に加え、ラファウンダ、グラスゴーのバンド=スティル・ハウス・プランツ、さらにロレイン・ジェイムズやFAUZIA、7月にデビュー作を控えるウールーといった新鋭たちをフィーチャー。どの曲もイイ感じのアレンジを聴かせてくれます。これは押さえておきたい。

artist: Tirzah
title: Highgrade
label: Domino
release: 17th June, 2022

tracklist:
01. Hive Mind (Speakers Corner Quartet Remix)
02. Crepuscular Rays (Lafawndah Remix)
03. Sleeping (Anja Ngozi Remix)
04. Colourgrade (Arca Vortex Remix)
05. Tectonic (FAUZIA Remix)
06. Sink In (Actress Remix)
07. Hips (Loraine James Remix)
08. Recipe (Wu-Lu Remix)
09. '22222 ('Send Me' Rework)' (Still House Plants)
10. Beating (TONE Remix)

FESTIVAL FRUEZINHO 2022 - ele-king

 ご存じ新作をリリースしたばかりの坂本慎太郎や、cero、折坂悠太に加え、つい最近11歳の新人とのコラボがアナウンスされたサム・ゲンデルとベーシストのサム・ウィルクスによるコンビ、そしてジャズを出自とするポルトガルの音楽家ブルーノ・ペルナーダス──3都市で開催され、豪華なラインナップをじっくり堪能できるフェス《FESTIVAL FRUEZINHO 2022》のタイムテーブルが発表されている。

 東京公演ではペルナーダスとゲンデル&ウィルクスがそれぞれ70分、坂本慎太郎とceroがそれぞれ60分のパフォーマンスを披露。大阪公演ではペルナーダスが70分、ゲンデル&ウィルクスが60分、折坂悠太が30分のセットを予定している(名古屋公演のみタイムテーブル非公開)。詳細はこちらから。

FESTIVAL FRUEZINHO 2022、東京と大阪のタイムテーブルを公開!
名古屋のタイムテーブルは非公開で、19時スタートとなります。

FRUEZINHO@立川は、演奏時間はできるだけたっぷり、転換の時間も比較的長めにとっています。
今回、おいしいワインやお酒、食事の提供はありません。その代わり、会場を出るとテイクアウトできるお店やアルコールを販売しているお店、コンビニなどがあり、再入場ができますので、適宜、利用してください。晴れれば芝生スペースで寛ぐこともできますので、節度を持ってお楽しみください。
ただし、会場内へ飲食物を持ち込むことはできません。例外として、水筒やペットボトル等キャップが付いているものであれば会場内へ持ち込めますので、これを機にマイボトルの購入など検討してください。
なお、大阪ユニバースでの公演は、再入場不可となります。

■FESTIVAL FRUEZINHO 2022

*開催日
6月26日(日)

*開催時間
開場 13:00 / 開演 14:30 / 終演 21:30 

*開催地
立川ステージガーデン

*ラインナップ
Bruno Pernadas
cero
Sam Gendel & Sam Wilkes
Shintaro Sakamoto

*チケット
前売:14,000円
当日:16,000円

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SOLDOUT!!

*開催日時
6月27日(月)

*開催時間
開場 18:00 / 開演 19:00 

*開催地
TOKUZO

*ラインナップ
Sam Gendel & Sam Wilkes
Yuta Orisaka

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*開催日時
6月28日(火)

*開催時間
開場 18:00 / 開演 19:00 

*開催地
ユニバース

*ラインナップ
Bruno Pernadas
Sam Gendel & Sam Wilkes
Yuta Orisaka

*チケット
前売:9,000円
当日:11,000円

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*詳細
https://fruezinho.com/

*Flyer Image
Yuriko Shimamura

*後援
在日ポルトガル大使館

*協力
infusiondesign inc. / KIMOBIG BRASIL / Eastwood Higashimori / ハタケスタジオ / イマジン / FLATTOP / SPREAD / melting bot / 水曜カレー / BLOCK HOUSE

*主催
FRUE

GemValleyMusiQ - ele-king

 「アマピアノの第2章」という惹句が目に飛び込んできた。ジェムヴァレーミュージック(以下、JVMQ)のファースト・アルバムについて書かれた資料の1行目。正確には「JVMQのファースト・アルバムはラフ・アマピアノの第2章だ」という書き出し。資料を読む前にアルバムを聴き終えていた僕は「え、アマピアノだった?」と戸惑った。「催眠的なヴォーカル、不気味なキーボード、コミュニティ感覚と自由、未来からストレートにやってきたFLスタジオのリズム」と資料は続ける。FLスタジオというのは音楽制作ソフトの名称。調べてみるとJVMQは確かに南アフリカはプレトリアのダンス・ユニットで、プレトリアがここ何年か発信し続けているのは確かにアマピアノである。プレトリアの音楽ならいまはほとんどがアマピアノ。それは間違いない。アマピアノというのは、しかし、基本的にはディープ・ハウスである。JVMQはどう聴いてもディープ・ハウスではない。彼らのデビュー・アルバム『Abu Wronq Wronq』はむしろ僕にはバカルディに聞こえた。そう、公式資料も「ラフ・アマピアノ」と表現し、「極端にパーカッシヴで、ベースを中心とし、その辺のアマピアノよりも実験的だ」と強調している。

 以前、紙エレキングに書いたことだけど、もう一度繰り返そう(もう読んだという人はこの段落はトバして下さい)。南アフリカのハウスはクワイトと呼ばれ、早いものだと80年代からつくられてきた(V.A.『Urban Africa (Jive Hits Of The Townships)』など)。クワイトが独自の色合いを持ち始めるのは90年代中盤からで、ヨハネスブルグやダーバンのタウンシップが中心となる(V.A.『Ayobaness! - The Sound Of South African House』など)。タウンシップというのは簡単にいえばゲットーのことで、2008年にプレトリアからDJムジャヴァがミリタリー・ドラムを駆使した“Township Funk”をローカル・ヒットさせ、これを〈Warp〉がライセンスしてヨーロッパ中に広め、プレトリアにはバカルディというムーヴメントが起きることに。ところが、プレトリア以外の南アでは“Township Funk”はまったく知られていなかったといい、それが本当なのかどうなのか、ほどなくしてバカルディがフェイド・アウトしていったのに対し、やはりミリタリー・ドラムをサウンドの核としたゴムがダーバンから巻き起こるとイギリスのDJ、ナン・コーレが〈Gqom Oh!〉を設立して、これを世界規模に拡張させる。この流れが“Township Funk”のプロダクション・チームは面白くなかったようで(知名度の落差が原因でDJムジャヴァはすでに精神病院に入っていた)、プレトリアではダーバンをこき下ろす発言も目立ち、その時期からプレトリアはクワイトのベースラインにジャズ・ピアノを太くフィーチャーするアマピアノへと流れを変える。バカルディもアマピアノもいってみればディープ・ハウスのヴァリエーションであるのに対し、ゴムのインパクトは明らかにテクノのそれで、プレトリアとダーバンの差はビートの強弱など、もっと違うところにあるような気もするし、南アを代表するディープ・ハウスのDJ、ブラックコーフィーがダーバン出身で同地に肩入れするなど、音楽性よりも地域差による対立が目立つ結果となった。ドミノヴェ『Umthakathi』(2017)の頃に比べると昨年のキッド・フォンク『Connected』などダーバンもかなりプレトリアの影響は受け始めていると思うし、ダーバンのポテンシャルにもプレトリアのそれにも目を見張るものがあったことは確かで、遠目に見ればデトロイト・テクノとシカゴ・ハウスが互いを補完をしてきた関係と似ていると思うのだけれど。ちなみにイーロン・マスクはプレトリア大学卒。

 何度か聴き直してみたけれど、やはり『Abu Wronq Wronq』はアマピアノというよりバカルディに戻ったと考えた方がいい。それこそ“Township Funk”の続きを聴いている感じで、腰にまとわりついて離れないベースラインの力強さは往時の何倍も強力になっている。アフリカにベース・サウンドがしっかりと定着したのだ思う。勝手にゴムのピークだと思っているDJティアーズ・PLKやオワミ・ウムシンド(Owami Umsindo)と同じく、リニアな動きは一切なく、同じ場所でじわじわとリズムを循環させる感じはレゲエと同じ。一度、腰を回し始めてしまうと、絶対に抜け出せない。この粘り強さは上半身をあまり動かさずに踊る人には最高のグルーヴで、パラパラや盆踊りのように腰から下を動かさずに踊る人には一生わからないだろう。ポップ・グループ“She Is Beyond Good And Evil”が79年に公開した最初のヴィデオはレゲエ・クラブで踊る人たちの姿を捉えたもので、僕はそれを観て上半身をほとんど動かさない踊り方というものがあるのだと初めて知ったのだけれど、実際に自分がそのように踊ってみるようになったのはレイヴ・カルチャーと出会ってからだった。『Abu Wronq Wronq』を聴いていると、どうしても”She Is Beyond Good And Evil”の映像が蘇ってしまう。体の中でグルーヴがぐるぐると渦巻いているのに外見的にはほとんど動いていないというのが踊っている本人には意外と面白い。ヒップホップで踊るのが好きな人も同じだったりするのではないだろうか。このミニマルな運動感。そして、それはヤキ・リーベツァイトのドラムにも通じるものがあり、カンがレゲエと出会ってつくったのが『Flow Motion』(76)なら、彼らがもしもまだ現役で、ゴムと出会っていたらつくっていたかもしれないと思うのが“Spice Ko Spicing”である。



 JVMQが名乗る「ジェム」というのは「宝石」のことで、マイケル・ベアードがコンパイルした『African Gems』(14)や〈Mukatsuku Records〉の諸作など、この10年ほどヨーロッパがアフリカの音楽を指して呼ぶ表現を自分たちから名乗ってしまおうというしたたかさが感じられる。宝石の谷の音楽。これを発見し、世界に解き放ったのがフランスのレーベルだというのもまた興味深い。南アやウガンダはいままでイギリスとオランダの資本が投入され、フランスはマリやコンゴといった北アフリカがテリトリーだったからである。フランスは〈Good Morning Tapes〉や〈Human Disease Network〉といった面白いダンス・レーベルが増えているので、ロウ・ジャックの〈Les Disques De La Bretagne〉以降、勢いがついていることは確か。『Abu Wronq Wronq』は後半に入るとアマピアノ色も強くなってくる。リズムがしっかりしていると、その上でリード楽器がソロを取ると思った以上に気持ちがいいし、そういう意味ではなるほどアマピアノである。そして、まさにアコースティック・ピアノが炸裂する“Dance A Lot”で僕は一気にセカンド・サマー・オブ・ラヴまで連れ去られてしまった。このゴージャス極まりない高揚感。今年の2月にデムダイク・ステアが『The Call』というピアノ・ハウスのミックス・カセットをリリースしていて、彼らのことだからさすがにバカっぽくはなかったものの「なんで?」という気持ちになっていたところ、“Dance A Lot”はそれともつながってしまう曲で、もしかして、今年の夏はコロナ禍の鬱憤をすべて晴らすかのような、とんでもないダンス・カルチャーの大爆発が起きたりして……とか思ったり。

Jockstrap - ele-king


 電子音楽を学んだテイラー・スカイと、ブラック・カントリー、ニュー・ロードのヴァイオリニスト、ジョージア・エラリーから成る2人組、ジョックストラップ。期待の新人デュオとして、2年前にエレキングでも紹介しているが(簡単な略歴についてはそちらをご参照あれ)、昨秋〈Warp〉から〈Rough Trade〉へと籍を移した彼らのファースト・アルバムが、ついにリリースされることになった。9月9日、世界同時発売。現在、先行シングル “Glasgow” が公開中。アルバムが楽しみです。

BC,NRのメンバーによるオルタナティブ・ポップ・デュオ、
ジョックストラップ待望のデビュー・アルバムが発売決定!!

ロンドンを拠点とする新生オルタナティブ・ポップ・デュオ、ジョックストラップが、待望のデビュー・アルバム『I Love You Jennifer B』を〈Rough Trade〉から9月9日にリリースすると発表した。今回合わせて最新シングル「Glasgow」の公式ビデオも公開されている。

Jockstrap - 'Glasgow' (Official Video)
https://youtu.be/_dLOFMxAYuE

ジョックストラップは、ブラック・カントリー・ニュー・ロードのメンバーでもあるジョージア・エラリーとテイラー・スカイで構成される。名門ギルドホール音楽演劇学校で出会ったという2人は、それぞれジャズと電子作曲を学ぶ中で2017年にジョックストラップを結成。クラシック音楽を聴いて育ち、音楽学校でジャズに目覚めたというジョージアとテイラーは、共に〈PC Music〉やミカチューことミカ・リーヴァイ、それぞれジェイムス・ブレイクやポール・サイモンに影響を受けている。現在ジョージアが作曲、作詞、歌唱を担当し、テイラーがプロデュースするという分担だが、その役割の境界はあいまいになりつつあるという。既存のスタイルを解体し、それを巧妙に組み直して全く新たなジャンルを生み出すような時間的そして空間的に激しく混乱した形のポップ・ミュージックを作り出すのが彼らの独特の手法で、ジョージアはロック以前のラウンジ・ミュージックの歌を歌い、テイラーはそれとポスト・ダブステップをミックスさせるなど以前から話題を呼んでいた。

デュオは今回の発表に先駆けて、最新シングル「50/50」と「Concrete Over Water」をリリース。ジェイミー・エックス・エックスやイギー・ポップ、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーなどから高く評価されているほか、「50/50」はシャネルの2020/21年秋冬オートクチュール・コレクションのキャンペーン・ビデオのサウンドトラックとして使用されたり、ステラ・マッカートニーの2022年冬のパリ・ファッションウィーク・ショーのサウンドトラックに使用されるなど音楽の領域を超えて注目を集めている。

『I Love You Jennifer B』は、テイラー・スカイが自らプロデュースとミキシングを手掛け、レッド・ツェッペリンやデュア・リパ、ラナ・デル・レイ、FKAツイッグスなど大物アーティストを手掛けたジョン・デイヴィスがマスタリングを担当した。今回のアルバムリリースについて、ジョージアとテイラーは次のようにコメントしている。

“『I Love You Jennifer B』は、ジョックストラップが3年間かけて制作してきた楽曲集。収録されている曲は全てかなり特異なサウンドだから、みんなのためのトラックがあって、『これは名曲だ』って語りかけてくれるようなものがあればいいなと思っているんだ。”

2022年のカオス、喜び、不確実性、陰謀、痛み、ロマンスを他にはない形で表現しているジョックストラップの待望のデビュー・アルバム『I Love You Jennifer B』は2022年9月9日に世界同時発売。本作の日本盤CDには解説および歌詞対訳のDLコードが封入され、ボーナス・トラックを追加収録する。輸入盤は通常LPに加え、数量限定グリーン・ヴァイナルが同時発売される。本日より各店にて随時予約がスタートする。

label: Rough Trade / Beat Records
artist: Jockstrap
title: I Love You Jennifer B
release: 2022.09.09 FRI ON SALE

国内盤CD RT0329CDJP ¥2,200+税
解説+歌詞対訳DLコード付 / ボーナストラック追加収録
輸入盤CD RT0329CD ¥1,850+税
輸入盤1LP RT0329LP ¥2,850+税
輸入盤1LP(限定グリーン) RT0329LPE ¥3,850+税
BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12868

TRACKLISTING
01. Neon
02. Jennifer B
03. Greatest Hits
04. What’s It All About?
05. Concrete Over Water
06. Angst
07. Debra
08. Glasgow
09. Lancaster Court
10. 50/50 (Extended)
11. Jockstrap 1 & 2 *Bonus Track for Japan


通常盤LP(ブラック)


限定盤LP(グリーン)

Mary Halvorson - ele-king

 ぼくぐらいの世代、ないしはそれ以降の雑食性リスナーになると、だいたい若い頃にいちどは阿部薫にハマって、で、ジャズをもっと聴きたいと追求している過程においてアンソニー・ブラクストンの『フォー・アルト』に行き着いたりする。1969年に発表されたそのアルバムは、初めて聴いたときは雷に打たれたような衝撃を受けるもので、まずは壮絶なテクニックとその表現力に圧倒され、そして“ジョン・ケージへ”や“セシル・テイラーへ”といった象徴的な曲名に好奇心がかき立てられもする。歴史的に言えば、そもそも伴奏無しのサックス1本による演奏のみでアルバムを作ってしまうという思い切った試みはこれが最初なのだ。しかし、『フォー・アルト』は感性に身をゆだねて生まれた感覚的な音楽ではない。ブラクストンは理論家で、彼の演奏には彼のシステム論的な根拠がある。
 シカゴのサウスサイド(ハウスやフットワークの故郷でもある)に生まれ、AACM(アート・アンサンブル・オブ・シカゴの母体にもなった前衛ジャズ研究団体)の初期メンバー、つまりジェフ・パーカーの先輩筋にもあたるブラクストンは、恵まれた家庭環境ではなかったし、経済的な理由からたびたび大学を辞めているが、学ぶことを諦めなかった人物だった(70代半ば過ぎのいま現在でも彼は自らを学ぶ人と言う)。おもにジャズと現代音楽の影響を吸収し、クラシックのオーケストラのための曲も書いているブラクストンは、独自の音楽システム理論のいくつかを発明したことでも知られている。彼の(ぼくには難解きわまりない)音楽理論は書にも表されているが、キャリアの途中からは本人が大学で教鞭を執ってもいる。1990年から2013年まではウェズリアン大学で音楽の教授を務めており、おそらく、任期の最後のほうの教え子のひとりがメアリー・ハルヴォーソンだ。
 
 彼女にはすでに膨大な作品があり、ぼくはそれを網羅している者ではないので書くことは限られてしまうが、彼女が『コード・ガール』を発表してからは、ハルヴォーソンの音楽は即興マニアだけのものではなくなっている。かつて『Wire』誌から「書店員のように静かで親切」と形容された彼女だが、活動は精力的に継続しており、作品のリリースが途絶える気配はまるでない。いままさに彼女は乗っている時期にいるのだろうけれど、この度リリースされた『アマリリス & ベラドンナ』(CDと配信では『アマリリス』と『ベラドンナ』のダブル・リリース、アナログ盤ではその2枚のカップリング)は、一連の彼女の前衛作品のなかにおいて、より多くの人を酔わせる瞬間が多く、より多くのリスナーに開かれた作品となっている。〈ノンサッチ〉からのリリースというのも関係しているかもしれない。大作ではあるが、まあ、平たく言えば入りやすいアルバムなのだ。

 『アマリリス』は彼女にとって新しい六重奏団による演奏で、こちらは全体を通してジャズ的と言える。もっとも1曲目の“Night Shift”が素晴らしいのは、それがジャズ的だからではない。それは空に舞い上がる花弁のように、華麗で、心躍っているからだ。ハルヴォーソンの軽やかなギターとセクステットの楽しげな演奏は、この音楽が理論のためのものではないことを告げている。ストレートな演奏の表題曲の疾走感もみごとだし、“Hoodwink”はいまならアンビエントなどと形容できる曲だ。
 当然のことながらハルヴォーソンの実験精神と革新的なギター演奏は随所に見られるが、彼女のほかの作品同様、ラディカルなスタンスが刺々しいとは限らないし、基本的に彼女の音楽は洗練されている。実験的だがエレガントで、彼女はぼくたちに音楽の感じ方の柔軟性を示しているようにも思える。こういうのもありますよと、まさに親切な書店員のように。
 『アマリリス』のアイデアを弦楽四重奏として発展させたのがもう1枚の『ベラドンナ』で、NYで暮らすハルヴォーソンはロックダウンの最中、もてあます時間をオーケストレーションの勉強(および本作の記譜)に当てていた。その成果がここには発揮されているというわけだ。『アマリリス』よりも静的な作品になっているが、息を呑むほど美しいのはこちらかもしれない。

 ぼくがアンソニー・ブラクストンに興味を覚えたのは、彼の音楽がときに黒人らしくないと批判されてきたからだった。その点において黒人音楽史におけるブラクストンは、Pファンクやデトロイト・テクノと似ている。おまえの音楽にはソウルがない、おまえは黒人ではない、おまえが好きなのはエドガー・ヴァレーズだ、そう言われてきたブラクストンは一時期はジャズから追い出され、自らも自分の音楽はジャズではないと主張し続けていた。時代的に言えば、60年代に黒人音楽家がシュトックハウゼンを愛することは、80年代に黒人でクラフトワークを愛することよりも冒険的で、未来的だった。
 ハルヴォーソンは『Wire』誌のインタヴューで「先生は、信じられないほどオープンマインドだった」と述懐している。サン・ラーなら話はわかるが、レディ・ガガまで受け入れていたというその寛容さは、ハルヴォーソンの音楽の風通しの良さにも通じているのだろう。音楽の大衆性を忘れずに実験するということの、じつに優雅な表現力を持った音楽となって。『ベラドンナ』に収録されている“Flying Song”を聴いて欲しい。音楽における温かみには、こんな描き方もあるのだ。

 井上由紀子が主宰する音楽カルチャー誌『nero』の創刊10周年を記念してのアート展が新宿伊勢丹2階で本日から6月30日まで開催される。エレキング読者にはお馴染みの五木田智央や坂本慎太郎をはじめ、ディーヴォのマーク・マザーズボーなど、個性的な日本人/海外アーティストのアート作品がいくつも展示されている。また、谷川俊太郎や町田康といった作家の生原稿もあり、じつに見応えのある内容となっている(詳細はここをチェック)。いや、さすがです。で、雑誌のバックナンバーも売られているのですが(ローリー・アンダーソンのインタヴューが掲載された『vol.5』は必読)、最新号には、なんとコーネリアスの新曲が収録された7インチが付くという、スペシャルなモノが会場では購入できます。
 場所もアクセスしやすいので(2階のエスカレーターを上がってすぐに会場があります)、新宿まで行くことがあれば足を運びましょう。運がよければ会場内で井上由紀子編集長に会えるかも!

VOICE - nero 10th anniversary

□2022年6月17日(金)~6月30日(木)
□伊勢丹新宿店 本館2階 イセタン・ザ・スペース
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