「E E」と一致するもの

interview with Real Estate (Martin Courtney) - ele-king

 リアル・エステイトはふたつの車輪で回っている。ソング・ライティングという舵をとるマーティン・コートニーと、その楽曲世界を特徴的なギター・ワークによって拡張するマシュー・モンデナイル。インディ・ファンには、もしかするとモンデナイルのほうが馴染み深いかもしれない。彼のプロジェクトであるダックテイルズは、〈ノット・ノット・ファン〉から〈ウッジスト〉、〈オールド・イングリッシュ・スペリング・ビー〉、〈アンダーウォーター・ピープルズ〉といった、USアンダーグラウンドの2010年代を準備したともいうべきレーベルを星座のようにつなぐ、重要な存在だ。

※みな、あのユーフォリックなギター・アンビエントや、穏やかながら底知れないインプロヴィゼーションに、いちどは耳を奪われたはずである。そこにはブランク・ドッグスやヴィヴィアン・ガールズのようなガレージ・バンドも、ラクーンのようなノイズ・バンドも、サン・アローのようなずっこけダブも、カート・ヴァイルのようなシンガーソングライターも、そして自身が主宰する〈ニュー・イメージズ〉のメデリン・マーキーのようなノイズ・アーティストや、エメラルズのマーク・マグワイヤなどまでを横に並べてしまう幅がある。

 しかしあのモンデナイルの音がリアル・エステイトかといえば、そうではない。リアル・エステイトにはコートニーの「ソング」があり、それでこその生活感や物語がある。「水平線はいらない/空の終わりは知りたくない/かすかな景色/ぼくが生まれた場所」(“Had To Hear”)──ひかえめな筆致で描かれるのは、ダックテイルズが幻視させる無辺のユートピアではなく、むしろその真裏にあるような「郊外」、そしてそこで営まれる若くない人間の現実、ぼんやりとした不安、苦く、ときめかず、生活にまみれた恋愛などである。実際のところ、とても地味で、地道な音楽だ。


Real Estate - Atlas
Domino/Hostess

Tower HMV iTunes

こうしたところが彼らのおもしろいところ。モンデナイルのエクスペリメンタリズムはもちろん逃げ水のごとく魅惑的に輝いているが、あくまでそうした実験性によってではなく、メンバー個々のたしかなプレイヤビリティに支えられて各楽曲を成立させているところが、いまのリアル・エステイトの存在感を一段押し上げている。それぞれの楽曲と演奏はライヴと地続きだ。そして、とても洗練されている。プレイヤビリティと洗練、これはとくに、サード・アルバムとなる今作『アトラス』においてまざまざと感じさせられる特徴だろう。録音はむろんのこと、正式にドラマーを迎え、よりかっちりとしたスタイルが整えられてもいる。タイトなドラミングによって心地よく分節される音、旋律。地に足の着いたセッションが生み出す上質なソフト・サイケ。彼らのたたずまいもアーティストというよりミュージシャンたちの連合という形容がふさわしく、そのつながりにおいてまさしくバンドといえる。ceroや森は生きているや、あるいはミツメなどが多くの人に愛される、いまこそ聴かれるべき音楽ではないかと思う。

 本作はリアル・エステイトのキャリアにおいてもとくに落ち着いた作品だが、もっとも長く聴きつづけるアルバムになるはずだ。「この辺りに戻ってくると/嫌でも歳を感じる/昔過ごした家々の前を通り過ぎれば/過去の人々が見える、/……」「ここは昔と変わってしまった/でもあの懐かしい音がする/黄色の町並みを照らす光でさえ/かつてぼくらの町だった時と同じだ」(“パスト・リヴズ”) 変わっていく町の変わらない営み、そうしたものへの視線が鋭く照らしだす、生活という時間の断層。ここには、一瞬を生きるための音楽ではなく、層状に時を重ねていくための音楽が鳴っている。

自分の音楽を理解することに時間を費やさないからな。ただその時に合ったものを書いて、それを生演奏するのみ、だよ。

これまでのなかでは、はじめのアルバム『リアル・エステイト』(2009年)がもっともトリップ感のあるアルバムだったように思います。よりダックテイルズ的でもあり、あるいはサン・アローのようなバンドとも共通する音楽として聴いていました。しかし、枚数を重ねるごとに、地に足のついたフォーク・ロックへと接近していますね。こうした傾向は、なにかあなたがたの生活などとも結びついたことなのでしょうか?

MC:ダックテイルズは、マットのもう一つのプロジェクトなんだ。だから彼の音楽にはつねに関連づけられるね。それに、サン・アローのキャメロンは僕たちの友だちだよ。僕たちのサウンドを形容する言葉を探すと、「忠実度」なんじゃないかな? いまはプロのスタジオを使ってレコーディングをしているから、そういったものを避けて通ろうとしてないしね。

とくに、今作『アトラス』においてはドラムの果たす役割が大きいと感じます。歌ものとしての輪郭が立っていて、新たなリズムやタイム感を獲得し、表現の幅を広げていると思いますが、どうでしょうか?

MC:そうだね。ドラマーのジャクソン・ポリスが僕たちとスタジオ入りしたのは今回が初めてだったしね。今回のドラムが間違いなくいままでのどの作品よりもいいね。

あなたがたの曲はいずれもオールタイムの名曲のようにも思われ、また、ピカピカの新しい音楽のようにも聴こえます。あなたがたが新しい音楽として人々に受け入れられるとすれば、それはどんなところだと思いますか?

MC:どうだろうね。自分の音楽を理解することに時間を費やさないからな。ただその時に合ったものを書いて、それを生演奏するのみ。そうすることによって新鮮さを保てるんだ。あとは批評家、ジャーナリストの解釈に任せるよ。

一方で、ヒゲの風貌や“トーキング・バックワーズ”のMVなどは、さながら70年代のシンガーソングライターのようにも見えます。あなたがもっともアイデンティファイする音楽はいつの時代のどんなものなのでしょう?

MC:このアルバムの制作に取り掛かる前、間違いなくありとあらゆる70年代のロック作品に耳を向けてたね。ヒゲは本当にジョークのネタだね……、僕たちの“レット・イット・ビー”を作ってたんだ。

あなたがたは録音物においても美しいエクスペリメンタリズムを発露させていると思うのですが、ご自身たちの意識としては、ライヴ・バンド、ジャム・バンドであるというふうに考えているのですか?

MC:もちろんだよ。

では、音楽にとって何がいちばん大切です?

MC:正直であること。あとはたくさんの可能性に目を向けることだね。

ヒゲは本当にジョークのネタだね……、僕たちの“レット・イット・ビー”を作ってたんだ。

曲づくりの上では、マシューさんのギターとあなたのソング・ライティングとのあいだの絶妙な緊張関係が肝であるように思えますが、おふたりはお互いの特徴や個性をどのように感じているのでしょう?

MC:バンドの一人ひとりが音楽にスペシャルなインパクトを与えているんだ。みんながベストを尽くしてそれを同時に演奏しているときに、最高のモノが出来上がるんだよ。

“クライム”の教則ビデオ風のMVもおもしろかったですね。洒落たジョークという以上に意図したことがあれば教えてください。

MC:タブの数字を逆再生で見ると、秘密の暗号が解けるかもよ。

あなたがたの作品にはこれまでにも何度も「サバービア」というモチーフがあらわれていますが、日本人であるわれわれにとっては、それはたとえばガス・ヴァン・サントだったりハーモニー・コリンだったり、映画やコミックなどから間接的にしか接することのない幻想でもあります。あなたがたにとっても、「サバービア」が一種の幻想であったりすることはないのですか?

MC:僕たちにとってサバービアはガス・ヴァン・サントよりもジョン・ヒューズだな。

非常に乱暴な質問ですが、あなたのなかでは、生活と音楽とはどちらのほうがより優先されるべきものですか?

MC:それは僕が内出血を起こしていて、病院に行くのとステージに立つのとどっちを選ぶかってこと? だとしたら、僕はどんなときでも病院に行く方を選ぶよ。

ニュー・ジャージーのいまの音楽シーンについて教えてください。

MC:育っていく環境のなかでたくさんのバンドと演奏してきて、まだその友だちが音楽を続けているっていうのはとてもラッキーなことだと思ってる。

わたし自身、〈アンダーウォーターピープルズ〉や〈ウッジスト〉などのインディ・レーベルを心から尊敬していますが、〈ドミノ〉はあなたたちのステージを確実に世界へと広げるレーベルでもあります。ワールドワイドに活躍するようになってから、自分たちを、とくに「アメリカのバンド」として意識することはありますか?

MC:挙げてくれているレーベルはみな、古き良きユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカから来てるからね。アメリカンであることからは逃れられないね!

トム・シックとの作業や録音について、どのような感想を持ちましたか? また、新しく学んだことがあれば教えてください。

MC:トムがいちばんだよ。いままでの中で最良のサウンドを持ったアルバムを生み出すのに、本当に手助けしてもらった。いっしょに働くのも楽しかったし、仕事しているあいだ、圧迫される感じもしなかったしね。最高のプロデューサーだし、またぜひいっしょに制作に取り組みたいって思ってるよ。

 4月になったがNYはまだ肌寒く、ジャケットとスカーフは手離せない。カラフルな色がトレンドと言われる今年でもファッション関係の人以外、NYの大多数は黒……と地下鉄に乗っていて思う。そんなファッション・トレンドからは対角上にいる、著者一押しのモントリオール出身のシンガー・ソングライターがマック・デマルコ

 彼のトレードマークは、ブルーのチェック・ボタンダウン・シャツにオーバーオール、後ろ前に被ったベースボール・キャップ、そして隙っ歯。その辺にいるやんちゃなブルックリンの音楽好きキッズ代表である。パナシェがブッキングを担当しているので、名前は聞いたことがあったが、マック・デマルコを初めてみたのは、2013年8月末の、〈キャプチャード・トラックス〉の5年アニヴァーサリー・パーティだった。ただ、この時は、彼のセットでなくスペシャルゲストのシット・ファーザーとして、ドラムをプレイしていた。

 2013年11月初旬、アイスランド・エアウエイブスで,初めてフル・バンドセットを見る。

 ブッキングエージェントのパナシェについてのインタヴュー

 今年のはじめに、ブルックリン・ナイトバザーで彼のソロのショーを見たときは、「ニューアルバムは2015年発売予定!」といっていたのだが、今日4/1(エイプリルフール)に2枚目のアルバム「サラダ・ディズ」をリリースした。この2年間、世界中をツアーしていたデマルコは、去年の550人キャパのバワリーボール・ルームのオープニングから、1500人キャパのウエブスター・ホールのヘッドライナーにジャンプ・アップ。その前日のベイビーズ・オール・ライトは値段$30(!)なのでかなりの叩かれよう

 彼のスタイルは,ブルーウェイヴ、スラッカーロック。つま弾きギターと、どこかセンチメンタルなヴォーカル。ツアーに1年以上も出て、ガールフレンドを家において行くなど、フロリダにコンドを買って落ち着くにはまだ早い、23歳の感情をストレートに表している。バックヤードでハンモックに乗って、本を読んでいる。そんなレイドバックなギターポップ・ディドリームがぎっしり詰まったアルバム。

 以前見たブルックリン・ナイト・バザーのセットは、バック・バンドもいない、彼ひとりきりのショーだったが、観客のあいだでは、お約束のサーフィンが起こり、古い曲では、シンガーロングの大歓声が沸き起こる。
 カラオケタイムに突入すると、サーフィンはヒートアップし、アンコールをはさみ、彼も観客へダイブ。そのまま観客に運ばれ舞台袖へ退場。オーディエンスとのコール・アンド・レスポンスもタイトで、ジョークや下ネタが多く、オーディエンスを巻き込んで、一緒にパーティしてしまうのだ(彼のレイドバックな音楽スタイルとは関係なく)。その理由は「自分が緩くなった方が、オーディエンスもファンキーに盛り上がりやすいから」だとか。だから、今回発表された大ホールのショーに、キッズからブーイングが出るのも納得。とは言っても彼のジョークは減速せず、今年始めに、手始めに(?)マック・デマルコの新しいアルバムのプレビュー(パロディ)が発表された

 パロディなのだが、ショーではこの曲をプレイしろ、とマックにリクエストが出る出る!実は一番人気ソングかも(アルバムには未収録)。


Mac Demarco - Salad Days
Captured Tracks

Amazon iTunes

■以下「サラダ・ディズ」公式トラックリスト:
1. Salad Days
2. Blue boy
3. Brother
4. Let Her Go
5. Goodbye Weekend
6. Let My Baby Stay
7. Passing out pieces
8. Treat Her Better
9. Chamber Of Reflection
10. Go Easy
11. Jonny's Odyssey

 ちなみに、彼のバースネームは、ヴェーナー・ウィンスフィールド・マクブリア・スミス4世、(Vernor Winfield McBriare Smith IV)で、ニックネームがマック。冗談みたいだが、このアルバムは、パロディではない。是非聞いてみてほしい、エイプリルフールの今日。

Ekoplekz - ele-king

 エレキング読者のみなさん、はじめまして、こんにちは。禁断の多数決というバンドで音楽活動をしているシノザキサトシです。そして、いきなり宣伝で申し訳ないのですが、禁断の多数決のセカンド・アルバム『アラビアの禁断の多数決』はもう聴いていただけたでしょうか? まだ聴いてない。または知らない方がいらっしゃいましたら、ぜひ聴いてみてくださいね。そして聴いて良いと思ったら、まわりの友だちにも教えてあげてください。きっとエレキング読者のみなさんなら気に入ってくれると思います。そんな、おもに音楽活動をしている自分ですが、縁があってレヴューを書かせてもらえることになりました。自分は音楽も文章も基本的には同じ感覚で取り組んでいます。足したり引いたりしながら、固めていく作業は楽しく、日頃の嫌なことを忘れさせてくれます。ましてや文章は、紙とペンさえあればどこでも書けるのです。漢字ができなくてPCで文字を入力することでしか書けない自分が、紙とペンさえあれば、とか、悦に入って気取ったことを言ってしまいましたが、どうかお許しください。なにせこれが初原稿ですので。そして下記がエレキングでの初レヴューとなります。読んでおもしろかったら、まわりの友だちにも読ませてあげてくださいね。それではよろしくお願いします。

 編集部にお邪魔した際、野田さんからエコープレックズのニュー・アルバム『アンフィデリティ』のCDをポンと渡され、これのレヴューを書いてみるかと言われた。すぐに家に帰ってCDを再生させてみた。そして思ったこと。謎すぎる!! この感覚は久しぶりに味わったように思う。スペインのインダストリアルバンド、エスプレンドー・ジオメトリコ(Esplendor Geométrico)を初めて聴いたとき以来かもしれない。いや、それよりも、もっといびつに聴こえた。

 この掴みどころのなさはなんだろう。〈プラネット・ミュー〉から出したこともあってか、そのワードともリンクして、ブリストル発というより、宇宙発の音みたいに感じる。そして、繰り返し聴いているうちに、ポール・アンダースンのSF小説、『タウ・ゼロ』を思い出したのだった。その理由は後で述べるが、知らない読者に『タウ・ゼロ』の内容を簡潔に説明すると、この物語は、設定があまりにもデカすぎて、語っていることすべて気違いじみていると言うことだ。読んでいるうちに、知らず知らずこの自分の生きている現実の世界が、ちっぽけで滑稽なものに成り下がっていく、そんなリアルさえも危うくさせる恐怖小説。

 こんな書き方をすると、読者は大げさだと思うかもしれないが、読めばきっとわかってもらえると思う。たとえばこうだ「宇宙船は光速に近い速さで進んでいる。その為、船内ではたった数時間の経過も、船外では既に数世紀が過ぎてしまった」と飄々と語って読者を脅かしたと思えば、さらには「ここまで進むと地球はとっくに消滅した、宇宙さえも終焉を迎えつつあるのかもしれない」などと、しれーと言って、読む者を宇宙特有の虚無の世界に引きずり込もうとする。意味わからなさすぎて怖い。だがひっくり返すと全部バカバカしいようにも思えて、妙な多幸感が湧いてきたりする。そして思わずニヤリとしてしまう。それが『タウ・ゼロ』の魅力だ。

 要するにエコープレックズのニュー・アルバムは、『タウ・ゼロ』的な──意味わからなくて怖いけど、でもなんだかバカバカしい、そんな要素が存分に詰まっている作品のように思えるのだ。ニック・エドワーズ本人名義で〈エディションズ・メゴ〉から出している音も聴いてみたのだが、やはり同じことを思った。彼の音には、彼だけが理解している理論や哲学が音に滲み出ていて妙な怖さがある。その反面、チープで若干肩すかしな音を次から次へと散らかしながら出してきては知らん顔をする、子どものような無邪気さもある。そして宇宙のように音の中心がどこにあるのか見つけることができない。もしかしたら当の本人も作品がどこへ向かって、どこに着地するのか見当もつかないで録っていたのかもしれない。ニックがアナログ機材といっしょに宇宙船に乗り込んで、あとは野となれ山となれ、成り行き次第、エフェクター同士の化学反応次第という、カオスな宇宙旅行をして得たものではないのか。

 いまいちピンとこなかった読者のために、もうひとつ書いてみようかと思う。これはずいぶん昔の話だが、学生時代に、エコープレックズを初めて聴いたときのような恐怖体験をしたことがある。それは帰宅途中にカセットテープを拾ったのがきっかけだった。昔は道端にカセットテープやらVHSテープがいかがわしい雰囲気を醸し出しながらよく落ちていたものだ。いまでも自分は、なにかしらの記録媒体が道に落ちていると、必ず拾って持ち帰る。いやらしい気持ちでCD-RとかDVD-Rとか再生させて、何が飛びだしてくるかを楽しむのが好きなのだ。このときもそれと同じ感覚で、デッキにカセットテープをセットして、こっそり再生してみた。そして流れだした音に唖然とし、ショックを受けた。いったいこのテープはなんだ? 流れてきたのは感電しそうなビリビリ鳴ってるだけの電子音やモールス信号のような謎めいた音、怪しく奏でられるストリングスや英語でなにか警告しているように聞こえる男の声。なんだか聴いてはいけないものを聴いてしまったようなヤバい感覚に襲われた。誰かに殺されるかもしれないと真面目に思った。いますぐこのカセットを持って警察に相談しに行こうかと迷ったくらいだ。だが、何度も聴いているうちに慣れてきて、この意味のわからなさが快感になり、結局のところ、しばらくこのカセットを愛聴してしまっていたのだった。
 後にそれは『アウターリミッツ』のなんでもないただのサントラだと知ったのだが、しかし、それと解るまでは、掴もうとしても何も掴めない感覚、ソース不明な怪しさで魅力いっぱいのヤバいものだった。この感じはエコープレックズの音楽とかなりの部分で重なると思う。そして、そういう感性はいつまでも大事にしたい。想像や妄想や深読みの余地がたくさんある作品は、いつの時代であれ刺激的だから。エコープレックズのニューアルバム『アンフィデリティ』はそれをじゅうぶんに満たしてくれた。だからこれからもよくわからないながらも、何回も繰り返し聴くことになるだろう。

R.I.P. Frankie Knuckles - ele-king

 ハウス・ミュージックのゴッドファーザー、フランキー・ナックルズが3月31日、かねてから煩っていた糖尿病の合併症ためにシカゴで亡くなった。言うまでもなく、今日僕たちがハウス・ミュージックと呼んでいる音楽を大衆化したのは、1955年1月18日にブロンクスで生まれ、1977年にシカゴの〈ウェアハウス〉というクラブのレジデントになったこのDJである。

 僕たちがハウス・ミュージックによってどれだけの幸福を味わったのかということを、どれだけ救われたのかということを、いまさら思い返すまでもない。フランキー・ナックルズの功績はあまりにも大きく、その損失は計り知れないほど大きい。ベッドルーム・ミュージックを最初に大衆化したのはシカゴ・ハウスだった。ロックンロールだってハウスに救われた時代があった。
 フランキー・ナックルズは、音楽のみならず、ゲイ・カルチャーにも素晴らしい影響を与えている。彼は、ハウス・ミュージックはゲイに自信を与えることができた文化だと胸を張るのことのできたDJだった。

 すべてのクラブ・ミュージック・ファンにとってのクラシックであり、多くの人たちを最高の気分で舞い上がらせた“The Whistle Song”(1991年)をはじめ、ジェイミー・プリンシプルとのセクシャルな“Your Love”や“Baby Wants To Ride”(1987年)、富家哲との“Tears”(1989年)などなど、彼が残した多くのクラシックはこの先もクラブでプレイされ続けるだろう。若いリスナーにも受け継がれ、聴かれ続けるだろう。永遠のダンス・ミュージックとして。

 いまはただただ悲しい。ハウス・ミュージックの偉人にあらためて最大限の敬意を表し、彼が残した美しい音楽をひたすら聴いていたい。

Shintaro Sakamoto - ele-king

 坂本慎太郎の、セカンド・ソロ・アルバムが2014年5月28日(水)に、彼自身のレーベル〈zelone records〉からリリースされることになった……という情報は、みなさんもご存じかと思いますが、アルバム・タイトルも『ナマで踊ろう(Let's Dance Raw)』に決まったと、レーベルからメールが来ました。以下、レーベルのメールいわく「全くトロピカルではないスチールギターが、底抜けに明るいバンジョーが、人類滅亡後の地球でむなしく鳴り響く。構想&妄想約2年、坂本作品史上最もシリアスで最もポップな、入魂のコンセプトアルバムが完成しました」
 〈zelone records〉、続いていわく。「今回のレコーディングは、もはや坂本作品には欠かせないドラマーとなった菅沼雄太に加え、新たにベーシストとしてOOIOO等で活躍するAYAを迎え、トリオのバンド編成で入念なリハーサルを重ねた後に行われました。M-1のみ坂本がベースを弾いています。菅沼はドラムの他にパーカッションとコーラス、AYAはエレクトリック・ピアノとコーラスも担当しました。その他のゲストプレイヤーには、サックスとフルートに西内徹、ヴィブラホンに初山博、M-1のボーカルとコーラスに中村楓子、そしてエンジニアは中村宗一郎と、いずれも坂本作品ではおなじみのメンバーが強力サポートしています」

 2年前の『幻とのつきあい方 (How To Live With A Phantom)』において、ポップソングを探求した坂本慎太郎が次に何をやるのかは、我々にとって大いなる関心事である。リリースされるのが、とても楽しみだ。曲名を見ているだけでも、ワクワクするね!

www.zelonerecords.com
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2014年5月28日(水) zelone recordsより発売!
──初回限定盤のみ紙ジャケ仕様 / 初回&通常盤共に2枚組仕様──

ナマで踊ろう / 坂本慎太郎
Let's Dance Raw / Shintaro Sakamoto

01. 未来の子守唄
02. スーパーカルト誕生 
03. めちゃくちゃ悪い男 
04. ナマで踊ろう 
05. 義務のように 
06. もうやめた
07. あなたもロボットになれる 
08. やめられないなぜか
09. 好きではないけど懐かしい 
10. この世はもっと素敵なはず 

All Songs Written & Produced by 坂本慎太郎

品番: 初回限定盤: zel-012s / JAN: 4582237829204
通常盤 : zel-012 / JAN: 4582237829211
価格: 初回限定盤 ¥2,600+税 (紙ジャケ仕様/2枚組/BONUS CD付)
通常盤 ¥2,600+税 (2枚組/BONUS CD付)

Distribution: Bridge Inc. 03-3710-8049 https://bridge.shop-pro.jp/
More Info: zelone records: 03-6805 4232 info@zelonerecords.com


■坂本慎太郎 Profile■
1967年9月9日大阪生まれ。
1989年: ロックバンド、ゆらゆら帝国のボーカル&ギターとして活動を始める。21年間で、3本のカセットテープ、10枚のスタジオアルバム、1枚のスタジオミニアルバム、2枚のライヴアルバム、1枚のリミックスアルバム、2枚組のベストアルバムを発表。
2006年: アートワーク集「SHINTARO SAKAMOTO ARTWORKS 1994-2006」発表。
2010年: ゆらゆら帝国解散。解散後、2編のDVDBOXを発表。
2011年: salyu×salyu「s(o)un(d)beams」に3曲作詞で参加。自身のレーベル、zelone recordsにてソロ活動をスタート、1stソロアルバム「幻とのつきあい方」を発表。
2012年: 以前から交流のあるYO LA TENGOのジェームズ・マクニューのソロ・プロジェクト”DUMP”の”NYC Tonight"にREMIXで参加。NYのOther MusicとFat Possum Recordsの新レーベル”Other Music Recording Co" から、「幻とのつきあい方」がUSリリース。
2013年: 1月11日シングル「まともがわからない」(「まほろ駅前番外地」のエンディング曲) と同ドラマ劇中音楽を手掛ける。「攻殻機動隊ARISE」エンディング曲や、冨田ラボのアルバム「Joyous」に作詞で参加。舞台「高校中パニック!小激突!!」では作曲で参加。
2014年: Mayer Hawthorneとのスプリット7inch vinylを、4月19日の全米/全欧のRecord StoreDay限定でリリース(UNIVERSAL/Republic)。
5月28日に2ndソロアルバム「ナマで踊ろう」をリリース予定。

official HP: www.zelonerecords.com


R.I.P. Scott Asheton a.k.a. Rock Action - ele-king

 ストゥージズのドラマーとして知られるスコット・アシュトンが3月15日に亡くなった。

 結局、ストゥージズのオリジナル・メンバーで最後に生き残ったのがイギー・ポップだったことを驚いている人も多いだろう。とはいえスコットも、「PUNK」誌創設メンバーのひとりであるレッグス・マクニールをして「これまででもっとも偉大なサグ・ロッカー」と言わしめたくらいの人物ではある。

 そのレッグス・マクニールが中心となって膨大な関係者たちの発言を集めたUSパンク・オーラル・ヒストリーとも言うべき『プリーズ・キル・ミー』という本がある。あるも何もぼくが編集者として日本語版を出したのだが、手前味噌だけれどもはっきりいって名著である。残念ながら版権が切れてしまいましたけども。

 この本の中に出てくる“スコッティ”は登場して最初のページでハイスクールをドロップアウト、ウェイン・クレイマーから「あいつはとにかく喧嘩が強い」という称賛を受ける悪童ぶりだ。
 そもそもストゥージズはロンとスコットのアシュトン兄弟およびベースのデイヴ・アレキサンダーがイギーと出会う前に結成したザ・ダーティ・シェイムズがはじまりだ。そして、地元でナンバーワンドラマーとして活躍していたイギーがシカゴで本場のブルースを目の当たりにして挫折、ヴォーカルに転向して3人を誘ったことからザ・ストゥージズがはじまるのである。

 ストゥージズ解散後はMC5のフレッド・“ソニック”スミス率いるソニックス・ランデヴー・バンドやデストロイ・オール・モンスターズなどに参加しており、まぎれもなくデトロイト・ロックの中心的なドラマーだった。ロンがある時期からイギーに軽んじられていくのとは対照的にイギーとの関係も長く続き(『プリーズ・キル・ミー』にはイギーとスコットが一緒になってロンをコケにする場面が出てくる)、ストゥージズ解散後もたびたびイギーのソロにも参加している。

 2003年のストゥージズ再結成には兄弟揃って参加。フジロックでのカオスなステージが個人的には思い出深い。しかしロンが先に逝き、スコットも2011年に倒れたまま、ツアー生活への復帰はできなかった。

 彼が参加した最後の作品は昨年リリースされたイギー&ストゥージズのアルバムだと思うのだが、奇しくもそのタイトルは『レディ・トゥ・ダイ』だった。随所でロン・アシュトンの死が影を落としている作品だったのだが、この日が来ることもどこかで頭の中にあったのかもしれない。
 『プリーズ・キル・ミー』の終盤では次々に登場人物たちがこの世を去っていく。ジョニー・サンダースの死を嘆くジェリー・ノーランがやがて自分も寂しく死んでいく姿は何度読んでも涙を誘う。この本が出たときにはまだロンもスコットも健在だったのだが、この愛憎半ばする兄弟の最期はどのように描かれることになるのだろう。

Illuha - ele-king

 先日僕は、TMTの下山のレヴューを興味深く読んだ。暴論じみてもいるが、日本がどう見られているのか、のぞき見として面白い。もっとも、「日本のロックの歴史は、本質的に、アメリカの文化帝国主義に対する日本人の集合的意識の入口における苛立たしい承認の、アンビヴァレンスの歴史である」という前提は、日本のロック(大衆音楽)を見るときの外側からの視線として、何度か目にした覚えのある言葉だ。
 我々は、いくら『アンノウン・プレジャーズ』のTシャツを着ようが、どうしようもなくジャパニーズであり、そう見る視線からは逃れられない。そして、欧米の急進的なジャーナリズムは、往々にして、無邪気なコピー・バンドを文化的服従だと感じつつも、「日本で人気のあるジャンル──J-ロック、ジャパノイズ、音響系、ハードコア──は、強制的に輸入された欧米文化というテンプレートのうえで自分たちのルーツを(曖昧ながら、あまり意識せずに)持っている」と分析している。そして、ボアダムスやアシッド・マザー・テンプルから下山のような、欧米文化を受け入れながら服従(コピー)しない、日本は欧米の一部という幻想──まさにヴェイパーウェイヴが問うたように、何でも等価のウルトラ・フラッターな世界(1998年生まれのアイドルも石橋英子も見事に並列化される『CDジャーナル』的世界とでも言えばいいのでしょうか……)にも甘んじない、白い文化に一撃を加えるぐらいの何かを持っているバンドの肩を持つ。
 自分の内側の醜さを打ち破るには、内側にはないモノ=異文化に期待したいという衝動は、洋楽ファンである自分にも身に覚えのある話だ。が、この国の音楽がアンビヴァレンスの歴史であり、そして、なかば強引に与えられたモノへの齟齬感、ある種の服従と抵抗が具現化されている音楽が国際舞台における個性だと言うのなら、それはパンク的な記号のみに集約されるとは限らないと思う。それは、アンビエント・ミュージックのなかにこそよりよく見えるかもしれない。

 それはジョン・ケージだとか、鈴木大拙だとか、禅宗だとか、お香だとか、そういうことを言いたいわけではない。そもそも日本人は大人しいし、静かだし──正直、本当にそうなのか疑問を感じることが多々あるが──、とにかくそれを美徳としてきている。その気風は、民主主義的には、あるいはフットボール的には有効的ではない場合もあるが、抵抗となるときもあるだろう。
 アメリカの影響力あるレーベルのひとつ、テイラー・デュプリーの〈12K〉からリリースされるイルハ──伊達トモヨシとコーリー・フラー、日本人とアメリカ人からなるアンビエント・プロジェクト──の新しいアルバムに、静けさを追求するこの作品に、僕は衝突めいた感覚を覚える。2011年のデビュー作『シズク』には、とくにそれが明瞭にうかがえた。アメリカの古い教会で録音されたそのアルバムは、当時、デンシノトさんがブログで書いたように「いわゆる〈日本的なもの〉への適切な距離と美意識が同時に感じられる」作品だが、西欧的なるもの、たとえばモダン・クラシカル的響きがあるとしたら、それがと日本的エートスが仲良く並んでいるのではなく、細部でせめぎ合いながら、彼らの衝突/葛藤は、発狂、怒り、苛立ちといった過剰さから遠ざかり、静けさに戻ろうとする。その「適切な距離」こそが我々の美意識かもしれないし、それはアイデンティティのメンテナンスなのもしれない。

 『アカリ』は、イルハにとって3年ぶりのセカンド・アルバムで、録音は、かのZAK氏のST-ROBOスタジオでおこなわれている。最近の彼らのライヴを見ている人は知ってる話だが、ラップトップは使われていない。アナログ・シンセ、オルガン、ギター、小型エフェクターやアナログミキサーやカセットテープ、安価で揃えられる多くの機材を工夫して使っている。録音は手間暇をかけたであろう、ただそれだけ酔えるほど素晴らしい録音で、イルハならではの叙情性と言えるモノも広がっているには広がっている。「いわゆる〈日本的なもの〉への適切な距離と美意識」は今作にもある。
 僕は『アカリ』に、畠山地平とのオピトープによる新作『ピュシス』との連続性も感じるかもしれない。作っている人間もひとり違うし、『ピュシス』の録音は2008年から2011年なので、新作との連続性を言うのはこじつけがましいのだが、音の間の空き方で言えば、『アカリ』は前作『シズク』より『ピュシス』に近い。
 が、『アカリ』には、『ピュシス』の滑らかさと違って、やはり何か衝突めいた感覚が潜んでいる。わりとメロディアスで、メロウに浸れる過去の作品と違って、『アカリ』は、普通は印象に残るはずの旋律的な要素は目立たず、ときおり鳴り出す無旋律/ドローンめいた音響は耳に付く。ときには中心よりも背景が、表側よりも裏側が目立つように仕組まれているが、結局は、どちらかが一方的に際立つことはない。
 細かい音の断片──ピアノ、具体音、電子音などなど──は、いままで以上に細かく断片化されている。露骨ではないが、フリー/インプロヴィぜーションへのアプローチも今作の特徴だ。音は、それ自体が単調/モノトーン/フラットであっても、ゆっくり、やがてさざ波のようにたがいに干渉し合って、他の何かを醸成していく。
 また、“音の持続への重力の関係”だの、“共鳴音の身体的な解釈のダイアグラム”だの、曲名の意味は僕にはさっぱりだが、この作品は1曲目の最初から聴くことを強制しない。つまり、矛盾した言い方をするが、3分聴いても60分弱のアルバム全体はつかめないが、3分のなかに60分弱のすべてがあるとも言える。

 座禅の経験者や日常的に黙想をしていた人にはよくわかることだが、ゆっくり流れる時間感覚は、早いそれよりも順応しづらいものだ。黙想していると時間の流れは遅くなるし、大量の情報を浴びていると時間の経過は早く感じる。テンポの速い曲のほうがポピュラーだし、メインストリームだし、売れ線だ。疲れを知らない我が家の幼児もハイピッチの曲にはノるが、疲れを知っている遅い曲にはノれない。歳を重ねるごとに良くなってくるのがアンビエントだと言いたいわけではない。たんに僕は、あまりにも長いあいだ、疲れ知らずという美学に拘泥していただけの話である。
 伊達トモヨシとコーリー・フラーは、何気に、すでに新しい場所へと進出しているのかもしれない。彼らの音楽へのアプローチにならって言えば、イージー・リスニングとアンビエントとは、やはり別モノである。気休めの音楽としても楽しめるかもしれないが、本質はそうではない。繰り返すが、そこにはむき出しにはならない、確固たる衝突、ひいては抵抗があるように感じる。
 そして、あからさまに言わないだけで、いつもは、この忙しい日常生活では、なかなか振り向かない角度に我々の関心を惹きつけているように思える。それがアンビヴァレンスの歴史からの逸脱なのかどうかは僕にはわからないが、自分に夢中の人がやっている音楽とは明らかに一線を画している。

※最近は、アナログ盤のみのリリースだったアルゼンチン人のフェデリコ・デュランドと伊達トモヨシとのメロディア名義の作品『サウダーデス』のCDもリイシューされる。

※また、彼らはただいま絶賛ツアー中です

GREAT 3 - ele-king

 もう、いったい何度聴いたかわからなくなってしまった。2004年2月のライヴを最後に活動停止状態だったGREAT3。彼らが再び活動を開始し、9年ぶりとなるアルバム『GREAT3』をリリースしてから約1年ぶり/結成20周年となる通算9枚目の本作に、目下のところ筆者は中毒状態だ。
 94年、元ロッテンハッツの3人により結成されたGREAT3のファースト・アルバム『Richmond High』を、初めて聴いたときの衝撃はいまもハッキリと覚えている。60年代ロック、フォーク、AOR、パンクなど、あらゆる音楽スタイルをぶち込み、現在進行形のサウンドとして鳴らす作曲&演奏能力。海外文学からの影響を感じさせつつも、当時20代だった筆者の心にリアルに響く、狂おしいほど切なく切羽詰まった歌詞の世界。一瞬で虜になった。そんな彼らがシーンから姿を消していたこの数年間は、心にぽっかりと穴があいたような気持ちがしたものだが、3人とも充実したソロ活動をおこなっていたから、まさかこうして彼らの新作を心待ちにする日が来るとは夢にも思わなかった。

 白根賢一(ドラム)の自宅スタジオで制作された前作は、「とにかく、いますぐにでも音を出したい」という思いが爆発したような、荒削りなサウンドが印象的だった。本作では、そうした初期衝動を内包しつつも、本来の彼らの特徴である「練りに練った一筋縄ではいかない楽曲」が、まるで生き物のようにひしめき合っている。高桑圭(現Curly Giraffe)に代わって新加入したベーシスト、Janの弾き語り曲“丸い花”で幕を開け、ナイル・ロジャースばりの軽やかなカッティング・ギターと、地を這うようなベースがファンキーな“愛の関係”、90年代UKギター・ロックを彷彿とさせる“穴と月”、ニューオリンズ風のビートがグイグイと高揚感を煽る“5.4.3.2.1”、怒濤のヘヴィ・サイケ・メドレー“マグダラ”、オートチューン(?)でエフェクト処理された片寄明人のヴォーカルが官能的な“モナリザ”、そして、ジルベルト・ジル&ジョル・ジュベンの共演作『ジル&ジョルジ(Gil e Jorge)』を彷彿とさせるようなスリリングなアコギ曲“魂消”と、古今東西の名曲を片っ端からYouTubeでザッピングしているような、変わらぬ守備範囲の広さに圧倒される。しかも、目まぐるしく展開してゆく曲構成や突如鳴らされる奇妙な音色、動物の鳴き声など、一曲ごとに仕組まれたギミックも楽しく、聴き手を最後まで飽きさせないし、全編アナログ・レコーディングというだけあって、曲間にかすかに聞こえるヒスノイズにもワクワクさせられる。メンバー全員、「新譜を聴いて、こんなに楽しい時代は初めてだ」と口を揃えているというが、朋友・長田進(Dr.StrangeLove)を迎え、溢れるアイデアに興奮しながらレコーディングをしている様子が目に浮かぶようだ。

 サウンド的にはダフト・パンク最新作のディスコ路線、MGMTやテーム・インパラに代表される新世代サイケデリアあたりとの共通点を感じさせるが、思い返してみればGREAT3の音楽には、初期の頃からそうした要素は含まれていたわけで、「影響された」と言うよりは「共感し、触発された」と言った方が的確だろう。

 表題曲“愛の関係”で、片寄は歌う。「どうせいつか/死ぬんだろ/崖っぷちで/笑いたい/泣きながら/生き抜いて/出来る事を/やり切って/あとは/天に任そう/これでいいんだ」と。それはまさに、GREAT3が一貫して持ち続けている哲学そのものだ。希望と絶望、歓びと哀しみ、生と死、すべてを丸ごと抱え込んで、「泣き笑い」で突き進んでいく。そんな、どうしようもなく無様でカッコいい彼らが、いままたこうして最高傑作クラスのアルバムを作り上げたことを、心からうれしく思う。

Rainbow Disco Club 2014 - ele-king

 良いフェスの条件とは? 良い音楽があること。良い場所でおこなわれること。良い人が集まること。良い音楽は、良いオーディエンスを呼ぶ。会場の雰囲気が良いことは、音楽以上に、君の気持ちをあげてくれる。
 いまからGWの予定を考えている方に朗報。4月29日の昼前から夜にかけて、晴海客船ターミナルにて開催される「Rainbow Disco Club 2014」、ラインアップを見るだけでもワクワクする。
 ヘッドライナーにはムーディーマン。で、プリンス・トーマス、ヘッスル・オーディオ、マジック・マウンテン・ハイ……。まったく素晴らしい。
 まずは、主な出演者を簡単に紹介しましょう。

■ムーディーマン
 デトロイト・ハウスの……いまや巨匠と呼べばいいのか。90年代後半にこの人とセオ・パリッシュが出てきたとき、人がどう捉えたのかは1997年頃のele-kingを読むとよくわかる。はっきり言って、度肝のを抜かれている。いまでこそ、黒いだの、ファンキーだのと言われているが、当時彼のハウスは、実験的で、レフトフィールだった。先日リリースされたアルバム『Moodymann』は、日本でも異例のロングセラー。その直後の、しかも2年ぶりの来日になる。
 面白いのが、とかく「黒い」と評されるムーディーマンだが、彼のDJでは、マッシヴ・アタックもかかるし、ローリング・ストーンズさえかかる。音楽に人種も国境もない。フットボールにも。
 ムーディーマンは作品も良いが、DJも良い(マイクを握ることも多々あり)。選曲にも意外性がある。彼は間違いなく君に嬉しい驚きを与えるでしょう。

プリンス・トーマス
 ノルウェーのDJ/プロデューサーで、リンドストロールとともに、コズミック・ディスコ(プログレッシヴ・ロックとイタロ・ディスコの出会い)大使として知られる。2005年のアルバム『Lindstrøm & Prins Thomas』はマスターピースとして知られている。幅広い選曲からか、バレアリックとも言われるが、本人は地中海ではなく北欧の人。情報筋に寄れば、日本のインディ・シーンまでチェックしているそうなので、今回のRDCのメンツのなかでどんな選曲になるのか興味深い。

ヘッスル・オーディオ
 もっとも評価の高いポスト・ダブステップのレーベルで、運営する3人──ピアソン・サウンド/ラマダンマン(デヴィッド・ケネディー)パンジア(ケヴィン・マックオーリー)、そしてベン・UFO(ベン・トーマス)がそろってDJする。ピアソン・サウンドとパンジアは、ともにUKガラージ/ポスト・ダブステップからミニマル/テクノへとアプローチ。ジョイ・オービソンやボディカ(あるいはカッセム・モッセ)らとともにテクノのニュースクールの潮流として注目されている。
 ベン・UFOは、レーベルの看板DJとして活躍中。昨年のRDCにも出演している。また、昨年は、ファブリックからミックスCD『Fabriclive 67』をリリースしているが、その選曲を見れば、彼の趣味の良さがわかる。そこには、オリジナル・シカゴ・ハウスやデトロイト・テクノとベース・ミュージック、あるいはハーバートからカイール・ホールまで、この20年のダンス・カルチャーの素晴らしい部分が切り取られ、繋げられている。はっきり言って、かなり期待できるDJ。

■マジック・マウンテン・ハイ
 90年代から活動するベテランのムーヴ・D率いるプロジェクト。ハウス、アンビエント、テクノの折衷主義で、昨年末〈ワープショップ〉からアルバムを出して、大いに話題になったばかり。
 いま、マジック・マウンテン・ハイは、新譜を出せばレコード店で面だしされるほど注目度の高いので、現役で12インチを買っているリスナーには「おっ」という名前だが、ムーヴ・D自体は、この20年テクノを聴いているリスナー(それもかなりディープに聴いている層)には馴染みの名前である。90年代のムーヴ・Dは、自身のレーベル〈ソース〉をはじめ、アンビエント・レーベルで知られる〈FAX〉、あるいは〈ワープ〉などからも作品を出しているほど。エクスペリメンタルでありながら、メロウなところもあり、野外で聴く彼らの音響は、オーディエンスに良い夢を見させてくれること請け合いである。

 ──という、良いメンツを休日の昼から夜にかけて聴けるのである。
 ちなみに、会場は、先述したように、東京湾に面する晴海客船ターミナルという場所なのだが、実は東京オリンピックのための再開発によって、いま見える景色は来年には見れなくなる。かつてウェアハウス・パーティの会場だったテームズ側沿いの倉庫街が、再開発によってなくなったように……。
 そんなわけで、新自由主義的に亡くなっていく風景を心に焼き付けながら、ムーディーマンやマジック・マウンテン・ハイを聴こう。もう来年には、そこで踊ることはできないのですから。
 渋谷からだと40分〜50分で行ける。会場内には、Red Bull Music Academyによるセカンド・ルームも設置される。
 また、当日は、夜になると東京タワーもレインボーに発光するらしい……です。(野田努)

■Rainbow Disco Club 2014
■開催日:2014年4月29日(火)
■料金:前売チケット6500円 / 当日8000円
■時間:10:00 OPEN/START 〜20:00 CLOSE

■RDC STAGE:
MOODYMANN
PRINS THOMAS
MAGIC MOUNTAIN HIGH
HESSLE AUDIO
SISI

■RBMA STAGE
Special Secret Guest
San Soda
Kuniyuki
Hiroaki OBA
Kez YM

■チケットプレイガイド
CLUBBERIA https://www.clubberia.com/store/
イープラス https://eplus.jp/
Smart e+ https://sm.eplus.jp/e/170
楽天チケット https://ticket.rakuten.co.jp/
tixee https://tixee.tv/
Resident Adbvisor https://jp.residentadvisor.net/event.aspx?555668

■店頭発売
DISC UNION https://diskunion.net/
Technique https://www.technique.co.jp/
JetSet https://www.jetsetrecords.net/
Light House https://lighthouserecords.jp/

■MORE INFO:
RDCオフィシャルウェブサイト
www.rainbowdiscoclub.com


KUJITAKUYA (HOLE AND HOLLAND) - ele-king

https://www.hole-and-holland.com/

DJ schedule

2014. 4.9(金) BLACK WATER @神宮前BONOBO
https://bonobo.jp/schedule/2014/04/001315.php

2014.4.18(金)OPSB & HOLE AND HOLLAND Presents [UP] @中野heavysick ZERO
https://www.heavysick.co.jp/zero/

チャートテーマ

1. 2014/4/18金曜日@中野heavysick ZEROにて開催される、OPSB & HOLE AND HOLLAND Presents [UP] に持って行こうと思っているレコードです。

2. 昨年末の大盛り上がりだった[UP]の後、レコバッグをなくしてしまい、その中に入っていたレコードですw。また買います。

3. HOLE AND HOLLAND関連のpv とsoundcloudです。


1
OPSB - CHANGE YOUR ROUTINE - room full of records

1
TAMBIEN - THE TAMBIEN PROJECT2 - public possession

1
DJ RASHAD - I DONT GIVE A FUCK - hyperdub

1
CRATEBUG - TUGBOAT EDITS PRESENTS CRATEBUG EDITS - tugboat edits

2
JURNY - ONLY WHEN I'M DREAMING - NO MORE HITS

2
SSK - I'M LOST DOWN - SSK VERS

3
FUSHIMING - SERENADE (PV)
https://www.youtube.com/watch?v=FMDsCt55d40

3
EDO KANPACHI - KOUTA RAP REMIX
https://soundcloud.com/edo-kanpachi/kouta-rap-remix

3
KUJITAKUYA - FEELING OF A BIRD
https://soundcloud.com/nosetail92/feeling-of-a-bird

3
RIDE MUSIC EP RELEASE TOUR 2012 (PV)
https://www.youtube.com/watch?v=JLGC0BhzuAE
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