「S」と一致するもの

Jeff Mills - ele-king

 去る4月、戸川純をフィーチャーした舞台作品およびそのサウンドトラックで注目を集めたジェフ・ミルズ。早くもニュー・アルバムの登場だ。題して『The Eyewitness(目撃者、証人)』、発売は7月5日。いかにしてメンタル・ヘルスの状態を良好に保つか、その対処法を示すためにつくられたアルバムだという。
 先行シングルとして、“Those Who Worked Against U” が昨日6月18日にリリースされている。ジミ・ヘンドリックスの “星条旗” にインスパイアされたこの曲は、わたしたち自身について、わたしたちの世界について、わたしたちが未来に向かう道筋について再考するときがあらためて訪れているのではないかという、その目覚めのコール、警鐘なのだそうだ。

 アルバムに寄せられたミルズのメッセージは下記より。


トラウマとその衝撃効果、つまり厳しい現実の残滓はあまりに影響力が強いため、自分をとりまくみんなやあらゆることについて、想像をめぐらせたり、いいことを思い描いたり、そのなかでみずからの立場を見定めたりする方法を固めてしまいます。新しいタイプの心理的な輪が発達し、境界が強化され、人間関係は後退、傷ついたちっぽけなシステムはあてもなく漂うことになります。価値ある目的を連想させるいかなるものに対しても脆弱に、また、そうしたものによってこそ脆弱になります。事実についての真実は嘲笑的な独白に、批判的な調整を欠いた行き場のない表現になります。わたしたちはみな、以前そうなってしまっただれか、もしくはこれからそうなるだろうだれかを知っているはずです。
──ジェフ・ミルズ

Artist: Jeff Mills
Title: The Eyewitness
Format: Double vinyl / Digital album
Label: Axis Records
Release date: 05.07.24

Single ‘Those Who Worked Against Us’
out 18.06.24

Tracklist:
A1. In A Traumatized World
A2. Menticide
B1. Those Who Work Against Us
B2. Surge Complex
C1. Indoctrination
C2. Wonderous Butterfly
D1. Menticide (Repeat Victimization)
D2. No Safe Place
D3. Mass Hypnosis

Burial / Kode9 - ele-king

 ベリアルとコード9からサプライズです。両者によるスプリット・シングル「Phoneglow / Eyes Go Blank」が本日6月18日、ディジタルでリリースされています(MP3/WAV/FLAC)。〈Hyperdub〉のページによると、夏には12インチも控えているようです。ふたりのタッグは昨年の『Fabriclive 100』のEP以来。今年初頭、〈XL〉からのリリースで話題をさらったベリアルですが、ちゃんと〈Hyperdub〉とも関係が続いているようですね。しかし、ジャングルを独自進化させるコード9に対し、ベリアルのこのビートは……ぜひ自分の耳で確かめてください。

https://hyperdub.net/products/burial-kode9-phoneglow-eyes-go-blank

Larry Levan 70th Birthday Bash - ele-king

 まごうことなきレジェンド。1977年からNYのクラブ《パラダイス・ガラージ》のDJとして活躍、そこでかかっていた音楽がガラージと呼ばれるようになったわけだが、後世のダンス・ミュージックに多大な影響を与えたこのラリー・レヴァン(92年没)の生誕70周年を祝し、新宿ブリッジにて記念パーティが開かれることになった。
 7月5日(金)にはフランスからディミトリ・フロム・パリが来日、MURO、discoSARAとともに副都心の夜を彩る。7月14日(日)にはラリー・レヴァンから後継者に指名されたヴィクター・ロサドがロング・セットを披露。そしてラリー・レヴァンの誕生日7月20日(土)には、彼と親交のあった高橋透とDJ Noriが愛とリスペクトを込めたプレイを堪能させてくれる予定だ。なんとも豪華な3連打、この7月は新宿でアツい夜を過ごしたい。

日本のクラブシーンの黎明期に多大な影響を与えたニューヨークの聖地Paradise Garage。世界中にガラージサウンドの信奉者を生み出した伝説のDJ、Larry Levanの誕生日は7月20日、もし彼が生きていれば70歳である。

DJ BAR Bridge SHINJUKUでは、7月5日(金)数々の傑作リミックスワークをリリースしているKing of Disco Dimitri from Parisが登場しKing of Diggin’ Muroと共演。7月14日(日)には生前のLarryが自らの後継者に指名したVictor Rosadoがオープンtoクローズのロングセットを披露。そしてLarryの誕生日当日である7月20日(土)は東京の伝説的なクラブGoldにてレジデントDJを務めたTohru TakahashiとDJ Noriの2人が出演する。

Larry Levan live at Paradise Garage 1985
https://youtu.be/luAx0xKWiRo?si=kzYt599ad20kS5NV

7月5日(金)
World Connection - Dimitri from Paris -

Lineup:
Dimitri from Paris
MURO
discoSARA

Open: 20:00 Start: 21:00
Door ¥2000

昨年7月にもダンスフロアを大いに沸かせたフランスからの刺客、Dimitri from Parisが今年も新宿Bridgeに帰ってくる。昨年のDJ NORIに続きCAPTAIN VINYLからMUROとの共演が決定、ハッピーヴァイブス全開のdiscoSARAもデッキに立ち、心と体を解放してくれる一夜となるだろう。

Glitterbox Radio Show 364: Dimitri From Paris Takeover
https://soundcloud.com/glitterboxibiza/glitterbox-radio-show-364-dimitri-from-paris-takeover

7月14日(日/祝前日)
World Connection - Victor Rosado all night long -

Lineup:
Victor Rosado

Open: 20:00 Start: 22:00
Door: ¥2000

1987年惜しまれながらクローズしたNYのクラブParadise GarageのレジデントDJ、Larry Levanに唯一、次のLarryになる素質を見込まれ寵愛されたVictor Rosadoが7時間セットを聴かせてくれる。
今回は、REY AUDIO製ロータリーミキサーDJM-1、レコードプレイヤーには、Space Lab YELLOWでも使用していたTHORENS TD521 + SME トーンアーム309 + MCカードリッジのセッティングで音源本来の力を引き出す。最高な音とNYの黄金時代が生んだレジェンドDJの技術とセンスが生み出すサイケデリック空間を体験してほしい。

Victor Rosado fabric Promo Mix
https://www.mixcloud.com/fabric_London/victor-rosado-fabric-promo-mix/

7月20日(土)
Larry Levan 70th Birthday Bash!!

Lineup:
Tohru Takahashi
DJ NORI

Open: 20:00 Start: 22:00
Door: ¥1500

NYの伝説のクラブ、Paradise GarageでGarage soundと呼ばれるスタイルを確立した真の伝説のDJ、Larry Levan。生きていれば今年70歳になる7月20日、珍しくTohru Takahashiから「ラリーのバースデイバッシュをやろう!」とDJ NORIに声がかかった。Paradise Garageを体験し、Larryとも親交のあった2人の想いは計り知れず、偉大な先駆者への愛とリスペクトを込めた貴重な音楽体験になるだろう。

Amen Dunes - ele-king

 声以上に発声、ソングライティング以上に歌唱の揺らぎでデイモン・マクマホンは聴き手を魅了してきた。歌が彼の喉を通過するとき、それは微妙に曲がり、ひしゃげ、不定形なものへと姿を変えて現れる。僕にはそれが世間の定型にはまらない(はまれない)人間から生まれるもの、あるいはそういう類の人間のためのものに聞こえたし、その音楽は「アヴァン・ポップ」、「サイケデリック・フォーク」といった形容からも居心地悪そうにはみ出すように感じられらた。彼のプロジェクトであるエーメン・デューンズは〈セイクリッド・ボーンズ〉からリリースした『Love』(2014)と『Freedom』(2018)でクラシック・ロックのソングライティングに接近したとして批評的な成功をおさめたが、それもまた、マクマホンの世間ずれしたイメージに依拠したものではなかったか。なにしろ「愛」と「自由」である。彼のカウンター・カルチャーの時代への憧憬は、荒んだ現代におけるレイドバックした逃避として聴く者を癒していたかもしれない。僕だって、『Freedom』に収録されたヒプノティックなフォーク・ロック・チューン “Believe” を何度も何度も聴きながら、立ちあがる酩酊に身体と精神を預けていたのだった。

 スリーフォード・モッズとコラボレーションしたニヒリスティックなシングル “Feel Nothing” (2021)を挟み、〈Sub Pop〉からのリリースとなった6作め『Death Jokes』(邦題『死をネタに』)は、ここ2作で深めた内省の先でより曖昧な領域に踏みこんでいる。まず変わったのはサウンドだ。生音主体のフォーク・ロック色が強かった前作とは異なり、乾いた音のドラムマシンの上でサンプリングとストリングスやシンセの断片が入り乱れるサウンド・コラージュの趣が強くなっている。アルバム前半、“What I Want” などを聴くとマクマホンらしい脱力しつつもメランコリックに光るメロディを感じられるのだが、たとえば “Rugby Child” は打ちこみのビートのズレが平衡感覚を失わせ、そちらのほうに気を取られる。サイケデリック……と言っていいのかもしれないが、そこでは激しさとゆるさがぶつかり合って撹拌されている。リード・ナンバー “Purple Land” のフワフワしたサイケ・ポップは2000年代なかば辺りのアニマル・コレクティヴを連想させるかもしれない。いずれにせよ締まりのない音楽で、つねにルーズな感覚を持った彼の声……いや発声もあり、エレクトロニックな要素を高めて過去作以上に浮遊感に包まれた一枚になっている。
 この淡いトリップとともに現代社会のカオスが現れては消えていく。“Rugby Child” はロックダウンを背景とした孤立のなかのオーヴァードーズをモチーフにしているというし、叙情的なギターが聞こえる “Boys” は暴力が連鎖する様を描写しているように思える(「子どもたちが殺しにやって来る/なぜならあなたがしたことはすべて、あなたがされたことだから」)。ウディ・アレンとレニー・ブルースの死にまつわるジョークがサンプリングされているように、このアルバムはどこか死そのものを夢想するようなところがある。現実社会を厭い、この世ではない場所を思うことで発生する酔いなのだ。
 しかしながら、本作でもっとも弾き語りフォーク色が強い “Mary Anne” はマクマホンが幼いときに女性から受けた性的虐待をテーマとし、同じような経験を持つ者たちで精神的なつながりを生み出しうることを歌っている。マクマホンは過去に「女性とコレボレーションはできない」と発言したことが切り抜かれて批判され、その背景に虐待のトラウマがあったことを説明せざるをえない状況に陥ったのだが、歌のなかではそうしたソーシャル・メディア上での騒ぎと異なる次元での内省が親密に共有される。そして、9分にわたって正気を失っていくような “Round the World” では自分の内側で起こっている混乱と世界の混沌が混ざり合った状態で示され、ふと子どもに向けて「世界はだいじょうぶだ」とつぶやくのである。それはもう理性的な言葉とは言えないかもしれないが、破滅的な世界を見つめてなお何かしらの希望を持つためのトリップがそこには存在する。
 正気を保って生活を送ることすら困難な毎日だ。恐ろしいことがありとあらゆる場所で起き、その情報の断片が次々に入ってくる。自身の内面の混乱そのものに耽溺するという意味でエーメン・デューンズは間違いなく逃避的な音楽だが、逆説的にその時間は世界で起きていることと向き合い、どうにか日々の暮らしをやり過ごすための力を蓄えさせてくれる。

書店は文化である。今、本屋が熱い!

出版不況が叫ばれる中、独立書店と呼ばれる「新しい形の町の本屋」が次々と開店している。今日も日本中で個性的な魅力のある空間が生み出されている。
そこで本書では18人の書店主たちの貴重な体験の証言により、不況でも情熱とアイデアで本屋を始められる時代に生まれた、現代の “本屋のかたち” を探る。

(登場書店 全18店名)
フラヌール書店/なタ書/本屋ルヌガンガ/シカク/ON READING/BOOKSHOP本と羊/機械書房/mountain bookcase/そぞろ書房/twililight/アルスクモノイ/本屋象の旅/FOLK old book store/READAN DEAT/YATO/ひるねこBOOKS/WARP HOLE BOOKS/BOOKSHOP TRAVELLER

四六判並製/192ページ

目次

まえがき

巻頭
BOOKSHOP TRAVELLER
狭さにこそ価値がある 和氣正幸

第一章 町で本屋をやってます 様々な本屋経営を知る

フラヌール書店 久禮亮太
なタ書 藤井佳之
本屋ルヌガンガ 中村勇亮
シカク 竹重みゆき

独立書店の勃興~本屋ライターの個人史①~和氣正幸

第二章 私が本屋を開くまで 準備から継続まで

BOOKSHOP本と羊/機械書房/mountain bookcase/そぞろ書房/twililight/アルスクモノイ/本屋象の旅/FOLK old book store/READAN DEAT/YATO/ひるねこBOOKS/WARP HOLE BOOKS

あたらしい本屋の形~本屋ライターの個人史②~和氣正幸

第三章 本から本屋を考える 本屋をめぐる状況を知ろう 和氣正幸

街の本屋の生存探究、あるいは本の生態系について

本を読む、あるいは読まなくなった理由について

棚貸し本屋の現在

本屋をはじめたいと思ったら

[監修者プロフィール]
和氣正幸(わき・まさゆき)
本屋ライター。東京・祖師ヶ谷にある本屋のアンテナショップBOOKSHOP TRAVELLERの店主でもある。2010年よりサラリーマンを続ける傍らインデペンデントな本屋をレポートするブログ「本と私の世界」を開設。現在は独立して、「本屋をもっと楽しむポータルサイトBOOKSHOP LOVER」の運営を中心に、“本屋入門”などのイベントも開催。そのほか東京新聞での連載「BOOKS」など各種媒体への寄稿、電子図書館メルマガの編集人など本屋と本に関する活動を多岐にわたり行う。

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お詫びと訂正

このたびは弊社商品をご購入いただきまして誠にありがとうございます。
『さあ、本屋をはじめよう 町の書店の新しい可能性』に誤りがありました。
謹んで訂正いたしますとともに、お客様および関係者の皆様にご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。

P137

ネイバーフッドを大切に。


ネイバーフッドを大切に。
 と言いながら本日、出したかったものが一つ締切に間に合いませんでした。
 現実と理想はかくも距離があるものです……。

P137~138

インターネットで本を買うという行為が浸透している現在では、体験としての書店空間に価値を見出すには、違いがある方が豊かだと思うので。
 と言いながら本日、出したかったものが一つ締切に間に合いませんでした。
 現実と理想はかくも距離があるものです……。


インターネットで本を買うという行為が浸透している現在では、体験としての書店空間に価値を見出すには、違いがある方が豊かだと思うので。

K-PUNK 自分の武器を選べ──音楽・政治 - ele-king

「グラム・ロックこそパンクである──歴史的にもコンセプトにおいても」

彼を一躍人気作家にしたブログ「K-PUNK」から選集されたマーク・フィッシャーの原点にして最終作

21世紀初頭において、もっとも影響力のある
労働者階級出身の批評家によるエッセイ/論考集の「音楽・政治」編
資本主義の向こう側に突き抜けるための思考の記録

思想家/批評家、マーク・フィッシャーの人気を決定づけたブログ「K-PUNK」からのベスト・セレクションの第二弾。著書『資本主義リアリズム』で広く知られるフィッシャーだが、彼の批評活動の原点にあるのは音楽だ。その音楽批評には彼の政治思想が共鳴している。グラム・ロックやポスト・パンクからサッチャーにトランプまで。資本主義にも、音楽のレトロ化にも、頭でっかちなアカデミックな考えにも、左翼の高級化にも反対し続けた批評の数々。

本書で言及される音楽:
ロキシー・ミュージック、ブライアン・フェリー、デイヴィッド・ボウイ、グレイス・ジョーンズ、ケイト・ブッシュ、スージー・アンド・ザ・バンシーズ、ジョイ・ディヴィジョン、マーク・スチュワート、ザ・フォール、ザ・バースデー・パーティ、ギャング・オブ・フォー、スクリッティ・ポリッティ、テスト・デパートメント、ザ・キュアー、アンダーグラウンド・レジスタンス、モロコ/ロイシン・マーフィ、カニエ・ウェスト、ジェイムス・ブレイク、ドレイク、ダークスター、DJラシャド、スリーフォード・モッズ、ほか。

本書で扱われるテーマなど:
ポスト・フォーディズム、新自由主義、サッチャー、9・11と監視社会、ブレアと新しい労働党、テロリズム、メンタル・ヘルス、トランプとブレグジット、「コミュニスト・リアリズム」、ほか。

四六判/648頁

目次

日本語版編者序文

第三部
自分の武器を選べ:音楽関連の著述 (坂本麻里子+髙橋勇人訳)

今や恒例、グラストンベリーに対する暴言
アート・ポップ、いや、これは本物のそれの話
k‐パンク、あるいはグラムパンクなアート・ポップの非連続体
反資本としてのノイズ──『アズ・ザ・ヴィニア・オブ・デモクラシー・スターツ・トゥ・フェイド(民主主義の虚飾が消え薄れはじめるにつれて)』
うたた寝から目覚めたライオン、あるいは今日における昇華とは?
今におけるすべての外部
あなたの不快楽のために──ゴスの尊大なオートクチュール
僕たちみんな死んでしまおうが構わない──ザ・キュアーの不浄なる三位一体
光を眺めてごらん
ポップは不死身なのか?
クラーケンのメモレックス──ザ・フォールのパルプ・モダニズム パート1~3
スクリッティの甘美な病い
病理としてのポストモダン主義、パート2
自分の武器を選べ
あるテーマの変奏
ランニング・オン・エンプティ
ユー・リマインド・ミー・オブ・ゴールド──マーク・フィッシャーとサイモン・レイノルズとの対話
戦闘的傾向は音楽を養う
オートノミー・イン・ザ・UK
二一世紀の隠れた悲しみ──ジェイムス・ブレイクの『オーヴァーグロウン』
デイヴィッド・ボウイ、『ザ・ネクスト・デイ』評
すべてを持っている男──ドレイクの『ナッシング・ワズ・ザ・セイム』
ブレイク・イット・ダウン――DJラシャドの『ダブル・カップ』
自分のナンセンスを始めろ!──イーエムエムプレックズとドリー・ドリーについて
スリーフォード・モッズの『ディヴァイド・アンド・イグジット』と『チャブド・アップ:ザ・シングルズ・コレクション』評
テスト・デパートメント──左派理想主義と大衆モダニズムが出会う場
融資なしじゃロマンスはあり得ない

第四部
今のところ、我々の欲望には名前がない:政治に関する文章 (五井健太郎訳)

投票するな、奴らをその気にさせるな
一九七九年十月六日──資本主義と双極性障害
彼らが抗議して、皆が参加したからといって、いったいそれで何になるというのか
ヒドラを退治すること
テロリズムの顔なき顔
衒示的武力と害虫化
私の人生、私のカード──アメックス・レッド・キャンペーンについての注解
グレート・ブリンドン・クラブ・スウィンドル
ストレスの民営化
囲い込み(ケトル)の論理
不満の冬2.0――戦闘性の一ヶ月に関するメモ
フットボール/資本主義リアリズム/ユートピア
ゲームは変化した
創造的資本主義
現実の管理経営(マネジメント)
UKタブロイド
未来はいまだ我々のもの――オートノミーとポスト資本主義
美学的な貧困
確実なのは死と資本だけ
メンタル・ヘルスはなぜ政治の問題なのか
ロンドン版ハンガー・ゲーム
時間戦争──新資本主義時代のオルタナティヴに向けて
上手く負けるのではなく、勝つために戦うこと
マーガレット・サッチャーの幸福
微笑みとともに苦しむこと
ゾンビの殺し方──新自由主義の終わりを戦略化する
殺人罪を逃れ切ること
誰も退屈していない、すべてが退屈させる
影のための時間
未決状態は終わった
コミュニスト・リアリズム
今こそ痛みを
希望を棄てろ(夏がやって来る)
今のところ、我々の欲望には名前がない
アンチ・セラピー
民主主義とは喜びである
サイバーゴシック対スチームパンク
マネキン・チャレンジ

索引

[著者]
マーク・フィッシャー(Mark Fisher)
1968年生まれ。ハル大学で哲学の学士課程、ウォーリック大学で博士課程修了。ゴールドスミス大学で教鞭をとりながら自身のブログ「K-PUNK」で音楽論、文化論、社会批評を展開する一方、『ガーディアン』や『ワイアー』などに寄稿。2009年に『資本主義リアリズム』を、2014年に『わが人生の幽霊たち』を、2016年に『奇妙なものとぞっとするもの』を上梓。2017年1月、48歳のときに自殺。邦訳にはほかに講義録『ポスト資本主義の欲望』、ブログからの選集第一弾『K-PUNK 夢想のメソッド──本・映画・ドラマ』がある。

[訳者]
坂本麻里子(さかもと・まりこ)
1970年東京生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業。ライター/通訳/翻訳者として活動。ロンドン在住。訳書にコージー・ファニ・トゥッティ『アート セックス ミュージック』、ジョン・サヴェージ『この灼けるほどの光、この太陽、そしてそれ以外の何もかも』、マシュー・コリン『レイヴ・カルチャー』、マーク・フィッシャー『K-PUNK 夢想のメソッド』ほか多数。

髙橋勇人(たかはし・はやと)
1990年、静岡県浜松市出身。ロンドン在住。早稲田大学国際教養学部卒業後、ロンドン大学ゴールドスミス校で社会学修士課程と文化研究博士課程を修了。ウィンチェスター美術学校でメディア論を教える。音楽ライターとして、ハイパーダブの日本版ライナーノーツを執筆し、DJなどの音楽活動も行っている。

五井健太郎(ごい・けんたろう)
1984年生まれ。東北芸術工科大学非常勤講師。専門はシュルレアリスム研究。訳書にマーク・フィッシャー『わが人生の幽霊たち』『奇妙なものとぞっとするもの』、ニック・ランド『暗黒の啓蒙書』『絶滅への渇望』、共著に『統べるもの/叛くもの』『ヒップホップ・アナムネーシス』など。

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Iglooghost - ele-king

 満を持して、というべきだろう。先月〈LuckyMe〉から鮮烈なニュー・アルバム『Tidal Memory Exo』を送り出したばかりのイグルーゴースト。かつてフライング・ロータスの〈Brainfeeder〉から放たれた『Neō Wax Bloom』(2017)で注目を集め、“Z世代のAFX/スクエアプッシャー” とも呼ぶべきサウンドを打ち鳴らすこのロンドンの才があらためて来日を果たすことになった。東京、高知、大阪の3か所を巡回、2年前同様全公演に BABii (イグルーとは『XYZ』を共作)が帯同する。新作発表直後のツアーという絶好の機会、デジタル時代のプロデューサーならではの独創的な表現を見逃すことなかれ。

Iglooghost「Tidal Memory Exo」Release Japan Tour 2024

Special Guest: BABii

東京 TOKYO
7/5(金) @CIRCUS TOKYO
open 18:30 start 19:00
adv: ¥4,000(+別途 1 drink)
https://circus-tokyo.jp/event/iglooghost%E3%80%8Ctidal-memory-exo%E3%80%8Drelease-japan-tour-2024/
https://eplus.jp/sf/detail/4118800001

高知 KOCHI
7/6(土) @OUTER SPACE
open / start 20:00
adv: ¥3,000(+別途 1 drink)
https://outer-space.info/event/20240706_iglooghost/

大阪 OSAKA
7/7(日) @CIRCUS OSAKA
open 18:00 start 18:30
adv: ¥4,000(+別途 1 drink)
https://circus-osaka.com/event/iglooghost%E3%80%8Ctidal-memory-exo%E3%80%8Drelease-japan-tour-2024/
https://eplus.jp/sf/detail/4119140001-P0030001

しばてつ・山田光・荒井康太トリオ - ele-king

 自身のhikaru yamada and the librariansをはじめ、入江陽前野健太などの楽曲参加から「小さなポップ・ミュージック」をテーマにしたコンピレーション『tiny pop』の監修まで、フリー・ジャズ/即興演奏の分野に留まらぬ活動をつづけてきたサックス奏者/トラックメイカーの山田光。そんな彼の新プロジェクトは、80年代から活動するヴェテラン鍵盤奏者、しばてつと、さまざまな民族音楽から影響を受けたというドラマー、荒井康太とのトリオだ。『じゃフリージャズやろう』とのタイトルどおり、生々しいフリー・ジャズに挑んだ45分ノンストップのアルバムがすでにbandcampにて販売中。ぜひチェックしてみて。

しばてつ・山田光・荒井康太トリオによるアルバム“Jya, let​’​s play free jazz​.​”が2024年6月15日(土)にリリースされる。

hikaru yamada and the librariansやmcjeといった自身のユニットで活動するアルトサックス奏者/トラックメイカーの山田光。今回、彼はピアノのしばてつ、ドラムの荒井康太とともに、この時代に敢えて伝統のベースレストリオ編成でLPサイズのフリージャズ(ノンストップ45分間)を演奏する試みを始めた。

最初の作品となる“Jya, let​’​s play free jazz​.​”は2024年3月25日に行われたライブ録音でピアノ・サックス・ドラムの打点を生々しく捉えたオンマイクサウンドにより、フレッシュなフリージャズサウンドを聴かせる。

しばてつは1959年東京に生まれ、1980年代より活動を続けるピアノ / 鍵盤ハーモニカ奏者。2016年に鍵盤ハーモニカによる即興演奏集『Plastic Pneuma』をHitorriレーベルからリリースしているが、ピアノによるフリージャズ演奏の音源化は今回が初めて。

荒井康太は伊豆諸島最南端の孤島 青ヶ島出身。アフリカを代表するカメルーンのドラマーBrice wassyの演奏に衝撃を受けBriceと弟のVincentに師事。現地カメルーンに渡りトラディショナルのリズムをエッセンスとしたドラミングを学ぶ。ジャズ、ポップス、ロック、はたまた韓国の農楽やシャーマン音楽、台湾原住民音楽、ブラジル、アフリカなどの民族音楽から、即興音楽や実験音楽、ライブペイントやダンスとの共演など、現代音楽アートフェスや舞台音楽などジャンルにとらわれない幅広い演奏活動を行っている。現在は田中圭や奈緒らと共に舞台『Medicine メディスン』に出演中。

[リリース情報]
アーティスト名: shibatetsu (p) + Hikaru Yamada (sax) + Kota Arai (ds) Trio
タイトル: “Jya, let​’​s play free jazz​.​”
リリース日: 2024年6月15日(土)12:00(正午)
レーベル: OPAC
カタログナンバー: OPAC-1001
フォーマット: Bandcampでのダウンロードとストリーミング

https://opaclabel.bandcamp.com/album/jya-let-s-play-free-jazz

価格: 1000円

■曲目
1. movement1
2. movement2
3. movement3
4. movement4

ミックス/マスタリング: 山田光
アルバムジャケット: しばてつ

■参加ミュージシャン
しばてつ: piano
http://www4.plala.or.jp/soodemonai/

山田光: sax
https://ekytropics.blogspot.com/2024/04/httpswww.html

荒井康太: drums
https://kotatatakataton.jimdofree.com/

■プロフィール
山田光: 1988年生まれのアルトサックス奏者、トラックメイカー。サンプリングを主体とするトラックメイキングとサックスでのフリージャズ/即興演奏をおこなう。自身のユニットであるhikaru yamada and the librariansやfeather shuttles foreverで作品をリリースするほか、入江陽、前野健太、South Penguin、毛玉、んミィバンドなどの楽曲に参加している。監修作品にコンピレーションアルバム『tiny pop – here’s that tiny days』(2020年、P-VINE)がある。

interview with John Cale - ele-king

 ジョン・ケイルほどの充実したキャリアがあると、どこから話をはじめればいいのかわからない。ウェールズの小さな村ガーナントで、近所の教会でオルガンを弾き、地元の炭鉱労働組合の図書館が収蔵する楽譜に熱中したのがはじまりかもしれない。ロンドンでフルクサスの芸術家コミュニティと協働していた時期や、アメリカで名前の似たジョン・ケージやラ・モンテ・ヤングと一緒に活動していた時期もある。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドでロックのオルタナティヴな領域まるごとの基盤を築きもした──そこから派生するもうひとつのロック史を、モダン・ラヴァーズやパティ・スミスやハッピー・マンデーズなどのプロデュース仕事を通じて育んだことは言うまでもない。彼の長く多彩なソロ活動のどの時点でも物語の入口となる。
 しかし、彼のすばらしい最新アルバム『Poptical Illusion』は、ジョン・ケイルの現在地とそこに至る歴史の両方への窓口として、ごく自然な出発点となるだろう。
 ケイルはこのアルバムのタイトルにあまり大きな意味を持たせたくないようだが、これは本当に内容を表している。『Poptical Illusion』をポップ・アルバムとして聴くことは可能だし、1曲目の “God Made Me Do It (Don't ask me again) ” から、フックとメロディーと結晶のように完璧なプロダクションが差し出される──その意味で、ここにはポップを求める人に発見されるべきものがたしかにある。
 幻想的な側面はより制約から自由だ。あらゆるポップは幻想やファンタジーの技なのだという感覚がある。それは悲しみの物語を伝えるときでさえ、すべて大丈夫だと嘘をつき、慣れ親しんだコードやメロディーであなたを心地よく抱擁し、期待通りに解決してくれる。だが、それはジョン・ケイルのやりかたではない。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの頃から、彼の音楽はつねに慣れ親しんだものを転覆させ期待を裏切るやりかたを見出してきた。彼のソロ活動はひとつの成功を定型化することを決してよしとしない道のりをたどってきた。初期にはテリー・ライリーと大部分がインストゥルメンタルのコラボレーションをおこない、評価の高い1973年のアルバム『Paris 1919』では繊細なチェンバー・ポップを、続く『Fear』や『Slow Dazzle』では全体的により荒涼とした、歪んで揺れる脱構築されたロックンロールを聴かせた。以降、彼はクラシックとアヴァンギャルドとポップの極致を探求し、決してひとつの場所に留まることなく、つねに次へと動き続けている。
 『Poptical Illusion』自体が多彩なアーティストたちとのコラボレーションを特徴とした前作『Mercy』からの変化を示しており、今回はより音楽的に自己充足した世界となっている。とはいえ、作品のテーマやケイル独自の豊かなヴォーカル、そして歌詞には連続性がある。初期にルー・リードとつながりがあったからだろうか、ケイルは作詞家としては十分に評価されていないようだが、彼はストーリーを理解するのに必要な情報のほとんどを行間に置いて語り人を惑わせる才能がある。曲中の登場人物が恐怖や不安や憂鬱を表現し、それらの文脈となる出来事や行動を断片的にしか明かさないやりかたは、M・ジョン・ハリスンやアラン・ロブ=グリエのような作家たちの不安げでありながら解き放たれた雰囲気を想起させる文学的な色合いを、この新しいアルバムにもたらしている。
 そしてケイルの音楽的な多様性に関して言えば、『Poptical Illusion』には、 “Calling You Out ” の途中でキーが外れて胃が痛くなるような急展開や、 “Shark Shark ” のキャッチーなフックのループを通して何層にも重なってゆくディストーションなど、彼の過去の作品に通じる慣れ親しんだものを脱臼させる感覚がある。
 このアルバムのリリースに先立って、ロサンゼルスの自宅にいるケイルにオンラインで話を聞いた(以下の会話は簡潔性と流れを重視して編集されている)。

図書館はすごく重要だった。あの小さな小さな建物の一室にあらゆる本が揃っていて、そこからたくさんのことを学んだ。

あなたの新しいアルバム『Poptical Illusion』は昨年の『Mercy』から間を置かずにリリースされますね。

JC:できるだけたくさんの仕事をしようとしているんだ。きっかけはロックダウンだった。あれが起こったとき一緒にやってくれる人が周りに誰もいなくて、突然、自分がいつまで仕事をやっていけるのかわからなくなった。本当に周りに人がいなかった。だから動き出したらできるだけたくさんの仕事をしようとした。その結果、プロジェクトの最後まで自分でかなり精力的に取り組むことになった。最終的にはこの成り行きにとても満足した──音楽にはたくさんのアイデアと、さまざまな種類の攻撃性があった。完成に至ったときにはたくさんの曲ができていた。期待していなかったことだけれど、とても満足していたんだ。

すべての曲が他のアーティストとのコラボレーションだった『Mercy』に比べると、新作はより自己充足している感じがします。それはパンデミックの影響ですか?

JC:そうだね。私はただ仕事に取りかかり、自分が音楽に求めるある種の攻撃性を掴んだ。ほんの少し楽になったよ。だけど、あのアルバムが完成してからたくさんの曲を書いたし、このアルバムがあったからすぐに出すのはまあ簡単なんだ。

ある種の攻撃性とおっしゃいましたが……

JC:まあ、それは作品を完成させられるか本当に不安だったから生まれたものだね。

これはまた違う種類の攻撃性かもしれませんが、いくつかのテーマは『Mercy』から続いているように感じます。歌詞はおそらく抽象的だったり斜めからアプローチしているのかもしれませんが、そこには現在進行中の社会の崩壊という一本の線が引かれているようです。

JC:そう、それが歌詞を書くことの魅力のひとつだ。さまざまな言葉の使いかたがある。ものごとの混沌とした側面が自分にとっては本当に魅力的なんだ。ただ要求に合わせようとして、自分の詩的な側面が無視されていることを確認するだけの話じゃない。

あなたは過去に、作詞家としてのルー・リードと曲を作ってよかったことに、彼がものごとの矛盾を扱うのがとても上手かったことがあると言っていましたね。

JC:ああ、そうとも言えるね。つまり、私はそれを心に刻んでいた。混沌が受け入れられるということが自分にとってとても重要だったんだ。

あなたの過去の作品にはディラン・トマスの影響もあるように感じます。

JC:というか、そうしようとしているんだよ! うまくいかないとき、「どうなろうがディラン・トマスの詩を全部音楽にしてやるぞ!」と言った。それは挑戦だった。すごく力強い詩の感覚を持っている人物を相手にしているわけだから、そこからできる限り吸収して学ぼうとしたけど、彼のリズム感はただただ圧倒的だ。ウェールズで育つと、「わあ、僕もこんなふうにできたらいいのに!」と思うようになることのひとつだね。すごく重要なことだ……「わかった、やってみろ! 心配しないで、やるしかない!」ってね。

ディラン・トマスの詩を音楽に合わせるのに本格的に取り組んだのは、『Words for the Dying』でしたね。

JC:そのとおり。

自分はウェールズ系の家庭で育ったので、彼の作品の重要性はよくわかります。つまり、ウェールズからの影響というのは、ずいぶん前にそこから離れているにもかかわらず、あなたがたびたび戻ってくる主題だと思うのですが。

JC:(笑)そうだね、それは認めるよ! ウェールズという土地のあたたかさと寛大さに一度気づくと、それはずっと心に残り続けるんだ。誰かに腹を立てるだけで無くなるものじゃない。特にその遊び心。 “Davies and Wales ” を書いたときはそういうユーモアの一面があらわれていて、自分としては満足だ。そして “Shark Shark ” にも、その領域に通じるある種の陽気さがある。

“Davies and Wales ” と聞いて思い出されたのは、自分の家族のウェールズ系の人びとが80年代から90年代にかけて、ジョナサン・デイヴィスがキャプテンを務めていた頃のラグビーを観戦していたことでした。

JC:私はラグビー的感性が織り込まれていることについて聞かれ続けてるよ!

年に一度、シックス・ネイションズ、当時はファイブ・ネイションズ(※ラグビーの国際選手権大会)の期間中に、母が「デイヴィスとウェールズ! カムリュ・アム・ベス!(※ウェールズ語で「ウェールズよ永遠に」)」と叫ぶのが聞こえてくるようでした。

JC:ファイブ・ネイションズ、ちょっと怖いね。ある意味笑えるし、活気と喜びに満ちあふれているけど、それと同時に他のどこでも同じような過ちが犯されてきた可能性がたくさんある。

そこにはある種の暴力性も潜んでいるかもしれませんね。

JC:間違いない。

ウェールズでの少年時代、あなたにとって故郷の村の図書館がとても重要だったと読んだことがあります。

JC:図書館はすごく重要だった。あの小さな小さな建物の一室にあらゆる本が揃っていて、そこからたくさんのことを学んだ。そこに行って探している本が見つからないときは、本の名前を言えば走って取ってきてくれた。バートランド・ラッセルやウィトゲンシュタインなんかの哲学者だったら1週間以内に手元に届いた。でも、音楽は(ロンドンの)メリルボーン公共図書館から取り寄せることになって、そこが楽譜を手配してくれたんだ。シェーンベルクやもっと無名の作曲家が欲しかったりすると彼らが買ってくれる。図書館はとても重要だった。たとえばハウベンシュトック=ラマティの音楽が欲しいとき──図書館のなかでもっともすばらしく、もっとも知られていない曲のひとつだった!──それが突然に自分の手のうちにやってくるんだから、すごくわくわくしたよ。

あの時点で私たちがやろうとしたことを本当にやった人はまだ誰もいなかった。つまり、ルーはそれに夢中になり、私はなんとしてもその境界線を壊してやろうとしていた。自分たちはいい線いってたと思う!

今朝起きてソーシャルメディアのフィードで目にした最初のニュースは、アイダホ州にあるそういう小さな図書館の話でした。新しい州法によって子どもが本にアクセスすることが法的に難しくなりすぎたという理由で、子どもが図書館を利用できなくなったというのです。あなたの新しいアルバムにある歌詞、「右翼が図書館を焼き払う」を思い出しました。

JC:その歌詞にはとても満足している。いい歌詞をいくつか書けたよ!

でも、混沌のなかに身を置いている割に、『Poptical Illusion』というタイトルは……

JC:ただの思いつきだよ! そこにユーモアのセンスが効いていたから、思いついたときに「こんなことを考えたんだけど……」と言ったら、その場にいた人が、「それ使わないと!」と言ったんだ。だから、いろいろなことにあてはまるし、そこに忍び込んできたんだ。

あなたの作品はつねにポップ・ミュージックとある種の関係を結んでいるように見えます。違いますか? あなたはキャリアの早い段階から、広い意味でポップ市場と呼べるようなところで仕事をすることを選んできましたね。したがって、ポップはクラシックやアヴァンギャルドと対話しているわけですよね。

JC:そう、それは豊穣な土地だ。人生で発見する最良のものごとをすごいスピードで吸収する──音楽や他のあらゆるもの、図書館やきみが必要なもの何もかも。アイダホのああいう人びとは思慮が浅い。人生に何が役立つのかについて考えが足りないんだ。私たちは何かを学んだり身の回りのものを吸収したりする機会があるからここにいるのであって、それを利用しなければただ時間を無駄にしているだけだってことを、彼らは考えたこともないんだろう。

この背後に潜んでいるのは子どもたちが学びすぎることへの恐れ、あるいは子どもたちが成長することへの恐れだと思います。子どもの自立に対する恐れです。

JC:そう! その通り! 恥ずべきことだ。愚かなことだ。はっきり言っていい、それはただの無知蒙昧だ!

この1週間あなたの旧譜を聴き直してみて、『Paris1919』の興味深い点は、表面的にはポジティヴだけれど、おそらくいまは抑えつけられているけれどふたたび表に出るのを待っている暗いものの種を体現しているところだと感じました。

JC:ある時点で、『Paris1919』は言ってみればその醜悪さを楽しませるようにして生き延びてきたと思うようになった。でも、あのアルバムが出たときには、「おまえは何をやってるんだ? 自分にとってヨーロッパとは何かを説明した、LAに住んでる、ワーナー・ブラザーズのために働いてる、すごく変わった感性を備えたアルバムを作った、自分がやってきたことのかなりの部分はウェールズからLAに行くことの意味をカタログ化し、そこに戻って何が起こっているかを語ることだ……『そこに戻って』が何であろうとも」と考えていた。

なるほど。自分があの作品に惹かれたのは、あれが参照している時代のためだと思います。第一次世界大戦が終わり、第二次世界大戦が未来に迫っている。ある意味、それはいまの私たちが経験していることに似ています。瓶詰めにされたものがふたたびこぼれはじめている。

JC:同感だ。でも、それは同時に……ひとつの設定なんだ。このまま続けるためにやっているのか、それともただ自分の周りのことを観察するためにやっているのか? これはそれ以上のものだと思う。避けては通れないものだ。これが私たちの持っているもの、つまり、さあ、やってみようという。

いま、私たちは少しばかり暗い時代の最中にいるように感じていますが、新しいアルバムではほんの少し希望や光を求めているところがあるのではないでしょうか?

JC:それほど頑張ってはいない。そんなに頑張ろうとはしていないよ。

“How We See The Light ” について考えているのですが、この歌詞は憎しみが溶けてゆくようなちょっとしたエンパシーの瞬間に触れているように思えます。

JC:ううむ……つまり、それはとても上品な言いかたで、自分にはまだその準備ができているとは思えないな!

音楽をやっていて年をとるのは避けられないことかと思うのですが、『Mercy』はいまは亡き人や、過去に一緒に仕事をした人、あなたにとって重要な人びとの亡霊たちに取り憑かれているような感じがします。

JC:亡くなった人びとというよりも自分にとって重要な人びとという言いかたがしっくりくるね。なぜかはわからないけれどそれを認識し、認識する行為が自分にとって必要なことのすべてであるように祈るんだ。

今回のアルバムにもそうした亡霊たちの一部がまだ残っているのでしょうか?

JC:たしかにいるだろうね。ただ自分がそれらを意識していないだけなんだ。自分には取り組むべきものがたくさんあると思うけど、ただやり続けるだけだ。というのも、自分のやってきたことは作曲や作詞のスタイルに関して手を出してみたことやアルバムのエネルギーそのものにあらわれていると思う。自分がどうやっているか、何をしているかにより多くの情熱が傾けられているんだ。

意識的に何かに取り組むことなく曲を書き、しばらく時間が経ってから「ああ! あれはこういうことだったんだ!」と思うようなことはありますか?

JC:あるある!『Paris1919』について言ったのはそういうことだ。

ブライアン・イーノが自身のファースト・アルバムについてコメントしたのを読んだことがあります。友だちに「あの曲でブライアン・フェリーについて書いたのはとても勇敢だ!」と言われて、「何だって? あの歌詞はただのナンセンスだ!」と思ったけれど、聴き返してみると「うわ、これは彼のことに違いない!」と思ったそうで。

JC:(笑)! ほらほら、認めろよ、ブライアン! ほら! 私たちは結局のところみんな嘘つきなんだ。

ある意味こっそりやるんだ。そこには狡猾さがある。文学的な側面に寛大な態度でアプローチしようとすると、人びとは曲から出てくる言葉に心地よい驚きを覚える。それは重要だった。

ポップという概念と、それがあなたが経験してきた他の分野といかに相互作用を起こしているかの話に戻ります。それがヴェルヴェット・アンダーグラウンドであなたが担った役割の一部だったのでしょうか? つまりある意味で耳慣れた心地よいロックンロールのようなものを採用し、それを複雑化させたり脱臼させたりする方法を見つけることが。

JC:そう。つまり、脱臼させることはとても重要だった。あの時点で私たちがやろうとしたことを本当にやった人はまだ誰もいなかった。つまり、ルーはそれに夢中になり、私はなんとしてもその境界線を壊してやろうとしていた。自分たちはいい線いってたと思う!

たしかに! その後、あなたはソロアルバムの制作に移行しましたが、『Vintage Violence』の際により馴染みのある伝統的なやりかたでの曲作りを学ぶ必要があるという感覚はありましたか?

JC:少しはあったけど、ロックの作曲法には取り止めなく実験的な部分もあって、それもちょっと邪魔になったな。

何かに斜めから取り組むことが、あなたがつねに追求しているアプローチなのでしょうか。そうでなければストレートでありふれたものになってしまいかねないような。

JC:私の問題は歌詞でも曲でもシンプルに完成させることができないことで、だからつねに何かにぶつかってしまうんだ。衣装棚か何かにつまづいて自分が追い求めていたのは何だったっけと考えなければならない。それは最近でも続いている。つまり、こんな話をするほど私の頭ははっきりしていないんだ。

なるほど。近頃では音楽制作技術の進歩によって、やりたいことに関して技術的な制約がほぼないようなものになって、無限の選択肢がありますよね。

JC:そうだね。自分が何をやってみたいかを選ぶことの方が問題になるね。

それについて今回はいかがでしたか?

JC:このレコードにどれだけ怒りを込めることができたか、かな。ただ、人に気づかれないようにね。

それをどのようにやりましたか?

JC:ある意味こっそりやるんだ。そこには狡猾さがある。文学的な側面に寛大な態度でアプローチしようとすると、人びとは曲から出てくる言葉に心地よい驚きを覚える。それは重要だった。

怒りに満ちたものによりソフトなアプローチを採用することで、力強いものが生まれるかもしれません。つまり、パンクとそれがノイズ・ミュージックに発展していく過程において、衝撃を与えるために音響的にできることには限界があると、かなり前に結論が出ています。

JC:かつてアヴァンギャルドはそれを大量に提供し、その背後にはジョン・ケージの微笑みがあった。それはきみの人生を少しだけ楽にしただろう。「これを理解しようとしなくてもいい」と言って。一方でシュトックハウゼンなら「これを聴こうが聴くまいがどうでもいい!」と言うだろう。だから、もうそういうゲームの時代は過ぎ去ったという意見には同意するよ。いずれにしてもヒップホップがすべてを追い越していったと思うね。

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“I think how much anger I could get into the record. But without people noticing it.”
interview with John Cale
by Ian F. Martin

In a career as rich as John Cale’s, it’s hard to know where to start. You could start at the beginning, in the small Welsh village of Garnant, playing organ in a nearby church and immersing himself in sheet music from the local miners’ union library. His early years in London collaborating with the Fluxus art community, or in America working with his near-namesake John Cage and La Monte Young. Creating the foundations for a whole alternative universe of rock with The Velvet Underground — not to mention fostering the parallel rock history that spun out from it through his production work for The Modern Lovers, Patti Smith, The Happy Mondays and more. Any point in his long and diverse solo career is the entry point into a story.

But for both a window into where John Cale is now and into the history that underscores it, his superb new album “Poptical Illusion” is the natural starting point.

For all Cale’s reluctance to attribute too much meaning to the album’s title, a big part of why it works is because it rings true. It’s possible to listen to “Poptical Illusion” as a pop album and it delivers right from the moment opening track “God Made Me Do It (don’t ask me again)” in the hooks, melodies, the crystalline perfection of its production — in that sense, there’s certainly a pop album in there to be found by those with a mind to seek it out.

The illusory aspect is more open-ended. There’s the sense in which all pop is the art of illusion or fantasy: that it lies to you that everything is OK, wrapping you in the comforting embrace of familiar chords and melodies that resolve just how you’re expecting them, even when relaying stories of of sadness. That’s not how John Cale does things, though. Ever since his days with The Velvet Underground, his music constantly finds ways to subvert the familiar and upend expectations. His solo career has followed a path of never letting one success become a formula. His early years took in a largely instrumental collaboration with Terry Riley and the delicate chamber pop of his well regarded 1973 album “Paris 1919”, followed by the deconstructed rock’n’roll and generally starker, lopsided lurch of the subsequent “Fear” and “Slow Dazzle”. From there, he has explored classical, avant-garde and pop extremes, never satisfied to stay in one place, constantly moving on to the next thing.

“Poptical Illusion” itself marks a shift from its predecessor, “Mercy”, which was characterised by its many collaborations with a wide variety of artists. Instead, it’s a far more musically self-contained world. There are nonetheless markers of continuity in the themes, Cale’s distinctive, rich vocal delivery, and also in his lyrics. Perhaps partly due to his early connection with Lou Reed, Cale seems like a songwriter who has never fully got his due as a lyricist, but he has a disorientating talent for telling stories that leave most of the information needed to fully understand them in the gaps between the lines. The way characters in the songs express their fears, anxieties and melancholy, rarely revealing more than fragments of the events and actions that give them context, lends this new album a literary hue recalling the queasy and untethered atmosphere of writers like M. John Harrison or maybe Alain Robbe-Grillet.

And for all Cale’s musical diversity, “Poptical Illusion” shares his past work’s sense of dislocating the familiar, from the stomach-turning lurch out of key in the middle of “Calling You Out” to the layers of distortion that build up through the catchy, looping hook of “Shark Shark”.

In advance of the album’s release, I spoke to Cale online from his home in Los Angeles (transcript edited for concision and flow):

IM:Your new album “Poptical Illusion” comes quite swiftly after last year’s “Mercy”.

JC:I’m trying to get as much work done as possible. It all started because of the lockdown. When that happened, all of a sudden I didn’t know how long it was going to be possible to get the work under my belt because there was no one around to work with me on it. A lot of people were really not around. So I tried to get as much work done as I could when I got going. It turned out that I was pretty aggressive about getting to the end of the project. In the end, I was very happy about how things were going — there were plenty of ideas around and different kinds of aggression in the music. By the time I finished it, I had a whole lot of songs. I didn’t expect it, but I was very happy about it.

IM:Compared with “Mercy”, where every track was a collaboration with other artists, the new one feels more self-contained. Was that the influence of the pandemic?

JC:Yeah. I just got to work, and I got a grip on the kind of aggression that I wanted in the music. And it just came a little bit easier. But the fact I wrote so many songs since that album was finished, and now I have this one so it’s a little easier to bring it out quickly.

IM:You say about a kind of aggression…

JC:Well that’s something that just happened because I was really anxious to get the work finished.

IM:Maybe this is a different sort of aggression, but it feels like some of the themes carry over from “Mercy”. The lyrics maybe approach it from an abstract or oblique angle, but there does seem to be this thread of an ongoing breakdown of society.

JC:Yeah, that’s one of the attractive things about writing lyrics. You have different ways of using language. The chaotic side of things are really attractive to me. It’s not just trying to fit the bill and make sure your poetic side is is ignored.

IM:You’ve said in the past that one of the great things about working with Lou Reed as a lyricist is that he was so good at teasing out the contradictions in things.

JC:Yeah, you could say that. I mean, I took it to heart. It was very important to me that chaos is acceptable.

IM:I feel like there’s also been this influence of Dylan Thomas that runs through your work in the past.

JC:I mean, I try to! And then when I didn’t quite get it together, I just said “To hell with it, I’m going to try to set all of Dylan Thomas’ poems to music!” That was a challenge. You’re really dealing with someone who has a very powerful sense of poetry, so I took what I could and tried to learn as much from it, but his sense of rhythm is just stunning. It’s just one of those things when you grow up in Wales that you… “Wow, I wish I could do that!” It’s very important… “OK, go ahead and do it! Don’t worry about it, get on with it!”

IM:It was on “Words for the Dying” that you went really hard into setting Dylan Thomas’ poetry to musig, wasn’t it?

JC:That’s right.

IM:Growing up with Welsh family, I understand exactly what you mean about the importance of his work. I mean, I think the influence of Wales generally is a topic you keep coming back to, despite having moved away a long time ago.

JC:(Laughs) Yeah, I confess to that! It’s really, once you’ve had that inkling of the warmth and generosity of that place, it stays with you. It’s not something you can get rid of just by getting angry at somebody. Especially the sense of fun. When I wrote “Davies and Wales”, that was something satisfying to me because it showed that side of humour. And “Shark Shark” too, there’s a certain frolic that goes with the territory.

IM:When I heard “Davies and Wales”, what it reminded me of was the Welsh side of my family watching the rugby in the 80s and 90s when Jonathan Davies was captain.

JC:I’ve been grilled about the tapestry of rugby sensibilities!

IM:I could kind of hear my mother crying out “Davies and Wales! Cymru am byth!” once a year during the Six Nations, or the Five Nations it was then.

JC:The Five Nations, it’s kind of scary. It’s kind of funny in a way, and full of life and joy, but at the same time, there’s so much potential there for the same sort of mistakes that have been made everywhere else.

IM:Maybe a kind of violence lurking inside there as well.

JC:No doubt.

IM:In your early days in Wales, I read that the library in your home village was very important.

JC:The library was very important, very important. I learned so much from that small, little building with one room in it that had all the books. And you could go in there and if you couldn’t find what you were looking for, you gave them the name of the book and they would run off and get it. Bertrand Russell, Wittgenstein, any of the philosophers, you would get within a week, but if you went and asked them for music, I would get the music from Marylebone Public Library (in London), who would make sure they got you the scores for the music. If I wanted Schoenberg or I wanted some obscure composers, they would go and buy it for you. The library was very important. It was very exciting for me if I wanted a piece of music by Haubenstock-Ramati, for instance — one of the finest, obscurest titles in the library! If you suddenly had it in the palm of your hand.

IM:The first piece of news I saw in my social media feed when I got up this morning was a story about a small library like that in Idaho that has just announced they can’t allow children anymore because new state laws make it too legally difficult to let children access books. It reminded me of the lyric on your new album about “the right wingers burning their libraries down”.

JC:I was very satisfied with that. I got a good few licks in there!

IM:But for all of this immersing yourself in chaos, the title “Poptical Illusion”…

JC:I just made that up! The thing with it was that it had a sense of humour that worked, so when I came up with it and said, “Here’s something to think about…” the other person in the room said, “You’ve got to use that!” So that covers a lot of ground, it sneaks in there.

IM:Your work does always seem to be in a sort of relationship with pop music though, doesn’t it? You chose from an early point in your career that you were going to work in what I suppose we could broadly call the marketplace of pop, so pop’s in this conversation with the classical and the avant-garde.

JC:Yeah, it’s a fertile ground. It’s the speed at which you can absorb the best things you can find in life — music and everything else. Libraries and whatever you need. These people are thoughtless: whoever these people are in Idaho are. They’ve no consideration for what is useful in life. I don’t think it ever occurred to them that you’re around here because you have a chance to learn something or absorb what’s available to you, and if you don’t take advantage of it, you’re just wasting time.

IM:I think what’s lurking behind this is almost a fear of children learning too much or a fear of children growing up. A fear of the independence of children.

JC:Yes! Absolutely! It’s shameful. It’s so stupid. You’ve got to call it what it is: it’s just ignorance!

IM:Listening back over your back catalogue this past week, I felt that an interesting aspect of “Paris 1919” was that it’s positive on the face of it but maybe it embodies the seeds of something dark that’s been repressed, waiting to come out again.

JC:I think at one point, Paris 1919 did have a life that had these uglinesses being entertained, shall we say, but by the time the album came out, I thought “What are you doing? You’ve now explained what Europe means to you, you live in L.A., you’re working for Warner Brothers, you’ve written an album that has very peculiar sensibilities in it, and pretty much what you’ve done is you’ve catalogued what it means to go from Wales to L.A. and talk about what’s happening back there… whatever ‘back there’ is.”

IM:I see. I suppose what caught me with it was the time period it references, between the end of the First World War and with the second looming in the future. And in some ways that feels like what we’re going through now, with things that had been bottled up starting to spill out again.

JC:I agree, but it’s also… it’s a set up. Are you doing this to carry on or are you doing this just to observe what’s around you? I think it’s more than that: it’s something you can’t evade. This is what we have: let’s get on with it.

IM:We’re in the midst of what feels like a bit of a dark period right now, but on the new album aren’t there perhaps places where you looking for a bit of hope or light?

JC:Not too hard. I’m not trying too hard.

IM:I’m thinking of “How We See The Light”, where the lyrics seems to touch on these little moments of empathy where the hatreds can dissolve.

JC:Hmm… I mean, that’s such a genteel way of putting it, I’m not sure I’m ready for that yet!

IM:I suppose this might be an inevitable feature of growing older in music, but “Mercy” seems like it was haunted by the ghosts of people who’ve now passed, or who you’ve worked with or were important to you.

JC:That’s the way to put it: not so much people who’ve passed but people who were important to me. You don’t know why, but you recognise it and you pray that the act of recognising it is everything that you need.

IM:Are some of those ghosts still present on this current album?

JC:I’m sure they are. I just haven’t addressed them. I think I’ve got plenty of stuff to work with, but I carry on. Because I think what I’ve done is I’ve put my finger on something in the style of writing and the lyrics, and the energy of the album itself, that’s a lot more passionate about how I’m doing and what I’m doing.

IM:Do you find something that happens is that you’ll write music without consciously addressing something and then after some time’s passed between you and the music’s passed, you think, “Ah! That’s what that was about!”

JC:Yes! Yeah, that’s what I was saying about “Paris 1919”.

IM:I remember reading a comment by Brian Eno about his first album and having a friend come up to him and say, “It’s so brave what you wrote about Bryan Ferry on that song!” and him thinking, “What? Those lyrics were just nonsense!” but then listening back and thinking, “Oh God, this is absolutely about him!”

JC:(Laughs!) Come on, own up, Brian! Come on! We’re all liars in the end.

IM:To come back to this idea of pop and how it interacts with the other disciplines you’ve experience in, was that part of your role in The Velvet Underground? To take something that could be kind of familiar, comforting rock’n’roll and to find some way of complicating or dislocating that?

JC:Yes. I mean, the dislocation was very important. No one had really done what we tried to do at that point. I mean, Lou was enthralled by it and I was hellbent on breaking the boundaries. I think we got somewhere with it!

IM:Definitely! When you moved onto making your solo album after that, with “Vintage Violence”, was there a sense where you had to learn how to write songs in that more familiar, traditional way as well?

JC:I mean, there were a few, but there were also some disjointed experiments in rock writing that got in the way a little bit as well.

IM:So is that approach of always looking for oblique approaches to something that otherwise might be straightforward and familiar something you always gravitate towards?

JC:My problem was that I couldn’t complete a verse or a song with simplicity, so there was always something that I was bumping into. I’d trip over a chest of drawers or something and I’d have to figure out what it was I was going after. And it kept going, even recently. I mean, I’m not clear-headed enough to talk about all of that.

IM:Sure. Though nowadays, with music production technology’s advances, it’s almost like there are almost no technical restrictions on what you want to do if you want to because there are so many options available.

JC:That’s true. It’s more a problem of choosing what it is you want to mess with.

IM:How about this time round?

JC:I think how much anger I could get into the record. But without people noticing it.

IM:How do you go about that?

JC:It’s kind of sly. There’s a trickiness to it. You try and approach the literature side of it in a forgiving way, and people can be pleasantly surprised by the kind of language that comes out of these songs. Not quite as understandable, which was important.

IM:It can be powerful to take a softer approach into something angry. I mean, with punk and how it evolved into noise music, it’s almost like the limits of what you could do sonically to shock reached their conclusion a while back anyway.

JC:The avant-garde used to provide this in reams, and behind it there would be a John Cage smile that would make your life a little easy, saying “Don’t worry about understanding this.” Whereas Stockhausen would have said, “Listen to this or get lost! I don’t care.” So I agree with you that the time has passed for that game. I mean anyway I think hip-hop has overtaken the whole lot.

FUMIYA TANAKA & TAKKYU ISHINO - ele-king

LIQUIDROOM 20th ANNIVERSARY
-HISTORY OF TECHNO-

djs
FUMIYA TANAKA
TAKKYU ISHINO

vj
NAOHIRO UKAWA
with REAL Rock DESIGN
(FULL GENERATIVE AI VJ SET)

2024.08.03 saturday
LIQUIDROOM
open/start:23:00
TICKETS:¥4000(+1drink order別) 
先着先行:6/15(sat)10:00-7/7(sun)23:59
https://eplus.jp/sf/detail/4123530001-P0030001

・注意事項
※ご入場の際、ドリンクチャージとして700円頂きます。
※本公演は深夜公演につき20歳未満の方のご入場はお断り致します。本人及び年齢確認のため、ご入場時に顔写真付きの身分証明書(免許書/パスポ ート/住民基本台帳カード/マイナンバーカード/在留カード/特別永住者証明書/社員証/学生証)をご提示いただきます。ご提示いただけない場合 はいかなる理由でもご入場いただけませんのであらかじめご了承ください。

歴史は夜作られる

 夜は、昼に対するオルタナティヴだ。いつだってそう、歴史は夜作られる。とはいえ、何もわかっちゃいなかった。90年代がはじまったばかりの頃、ある程度、ハウスやテクノの知識はあったし、そうタグ付けされたレコードも所有していた。クラブに行って踊ってみたりもした。だが、じつは何もわかっちゃいなかった。自分はただ、それまで好きだったロックの耳で、ハウスやテクノを聴いていたに過ぎなかった。ダンス・ミュージックとしての、身体的で、肉欲的な、解放の音楽を、感覚や魅惑がつねに優位にたつ、言うなればこのエクスタシーの音響科学の本質を30年前のぼくに教えてくれたのは、田中フミヤと石野卓球である。
 すばらしく安全で、しかしまったく安全ではない自由。熱狂的で過激な欲望が、この音楽文化のイマジネーションと創造性の原動力になる。彼らふたりが日本のテクノ史において重要なのは、まさにそこだ。フロイト的に言うならイドの解放。テクノに対するこうした解釈、すなわち週末が楽しみでならないライフスタイルの喜劇と悲劇を、その最高の瞬間の数々を、この日本で、ディスコもハウスも知らない世代に叩き込んだ偉大な、罪深きDJたち(笑)。ダンス・ミュージックとしてのテクノが彼らからはじまったとは言わない。しかし、それをこの日本にいっきに広めたのは、間違いなく彼らだった。
 ふたりはある時期からは、それぞれの道へと進んで、それぞれの音楽を更新し続けている。同時に、あれから30年、シーンの細分化は加速し、多くのサブジャンルが生まれている。みんなが同じ場所にいるということは、いまでは滅多に見られない。だから、いまいちど、彼らふたりのDJというだけでじゅうぶんに胸アツなのだ。「history of techno」などというお題がなくても、彼らがまたその夜、歴史の新たな1ページを作ってくれるだろう(もうひとりのすばらしい共演者、我らが宇川直宏がREALROCKDESIGNとタッグを組んだ、フルAIによるVJとともに)。
ele-king 野田務

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