「E E」と一致するもの

vol.3 ジョジョ展 - ele-king

 「ジョジョ展」ッ! その素敵な好奇心がわたしを行動させたッ!
 本コラムでは、初回から『平清盛』という、このサイトではアウェーすぎる題材を扱い、さらに2回連続でねちっこく語ったことにより、空気が読めないパーソナリティを十二分に見せつけてしまった。たぶん旧来のele-king読者の方は、まだこのコラムの存在に気づいていないと思う。
 しかし今回のテーマは、世界的な漫画家・荒木飛呂彦先生の原画展である「ジョジョ展」ッ! ご本人は50代にして20代と見まごう若々しさを保っていることでも有名であり、控えめに言っても美の化身である。また、作品内に洋楽ネタがディ・モールト(非常に)ふんだんに取り入れられていることが有名だ。ele-king読者も当然、200%の方が『ジョジョの奇妙な冒険』を愛読していることだろう(来世にも読む計算)。

 とはいえ、わたしはけっして人気取りのためにジョジョを扱うのではない。ジョジョ第6部のあおり文句「愛=理解」にならって言えば、わたしにとっては「ジョジョ=人生」であり、それはコーラを飲んだらゲップが出るっていうぐらい確実である。さらに、わたしは他人から見たら気持ち悪いほど荒木飛呂彦先生を敬愛しているがため、本コラムでは「氏」ではなく「先生」という敬称をつけさせてもらう。
 今年は荒木飛呂彦先生の画業32周年、ジョジョ連載25周年の節目であり、豪華企画が目白押しとなっている。さきごろ始まった地上波アニメと、年末に発売されるゲームはじつに「ふるえるぞハート」だが、数ある企画のなかで最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も「燃え尽きるほどヒート」なのは、やはり原画展であろう。

荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展 (11月4日まで)
https://www.araki-jojo.com/gengaten/

 本来、マンガやアニメは、使い捨ての大量複製商品として作られ、安価に流通するポピュラー・カルチャーである。しかし今日では、そのなかでも価値があると認められた作品について、原画や資料が、美術館やそれに準ずる機関で展示されるようになった。ジブリや、昭和を彩った漫画界の巨匠たちにいたっては、常設のための施設(水木しげる記念館など)まで擁している。荒木飛呂彦先生に関して言えば、本格的な原画展がようやく今年開催というのは、遅すぎるぐらいである。

 しかしほんの10数年前まで、一般的に美術館で展示されていたのは、ゴーギャンやロダン、また古文書や仏像といった、いわゆる「アート」もしくは「文化財」であった。マンガに見た目が近いものに、村上隆氏や会田誠氏の一連の作品があるが、これらは「ポピュラー・カルチャーの商品として作られたものがたまたま後にアートとしての価値を得た」というわけではなく、初めからアートとして制作されたものである。
 美術館に展示される栄誉に浴したからには、それが何であろうと等価に扱われるべきではないか、という考え方もある。もちろん美術的な価値に関しては、わたしもそれに異論はない。しかしここでは、前者を「エンタメ系」、後者を「アート系」と分けて考えたい。なぜならこの二者は、そもそも生産の目的や様式がまったく異なるだけでなく、展示の際に観客から求められるものも異なるという意味で鋭く対比されるからである。

 これまで両者の展示を少しばかり観てきて、しろうと目にもわたしが強く感じたのは、展示において、エンタメ系作品は、アート系作品ならば起こりにくい(起こってもいいはずだが、起こることが抑制されている)難題を抱えている、ということである。

 エンタメ系の展示の抱える難題とは何か。それは「作品世界に入りたい」という読者(観客)の典型的な願望と、「原画展示」という形式とが、明らかに相容れず、アンビバレントな関係にあることである。
 『ジョジョの奇妙な冒険』を読んだなら、たいていの人は、「トニオさんのうンま~い料理が食べたァい!」だとか、「ブチャラティたちが戦ったローマのコロッセオに行ってみたいッ!」といった、「作品世界に入りたい」という素朴にして強固な願望を持つだろう。白紙にインクで生み出された世界のなかに入りたいとまで読者に思わせるのは、簡単にできることではない。まさに「俺たちにできないことを平然とやってのけるッ! そこにシビれる! あこがれるゥ!」といったところか。ちなみに、現実ならぬ夢の世界に肉体ごと入りたいという、この手の願望を満たす施設のなかで最も有名な場所は、ディズニーランドであろう。

 ジョジョ展は、優れたエンタメ作品につきものの、読者のこの願望に大いに配慮している。たとえば人気キャラクターの等身大フィギュアや、作品内のキーアイテムを数多く作成・展示している。個人的に気に入ったのは、ちょっと奥まった壁面から飛び出していて見落としがちなところが奥ゆかしい、「シャーロットちゃん」である。
 最新技術を駆使した方法として特にすばらしいのは、ARカメラによる波紋体験である(東京展のみ)。これは床に投影された円形の水面の映像なのだが、円の中に観客の影を感知すると、映像に本物の水のような波紋が生じる。これにより、ツェペリさんになりきって水面を歩く体験が可能なのである。
 また、仙台展限定であるが、実在のLAWSONの1店舗が「OWSON」になるという付属イベントがあった。限定グッズを買うために長蛇の列ができてしまい、作中の閑静なOWSONとは似ても似つかぬ大賑わいになってしまったのはご愛嬌だが、S市(仙台市)に突如として現れたOWSONには、わたしも感極まり少々漏らしかけた。ジョジョ展の仕掛けではないのだけども、わたしは「花京院」「広瀬」というS市内の地名(ジョジョには同名のキャラクターが登場する)にすらも大興奮し、同行者に「ただの地名ですよ」とあきれられた。


仙台市のLAWSON。このジョジョ展に合わせ、原作中に登場する「S市杜王町OWSON」へと様変わりした

 しかしながら。ここまででお気づきの方も多いだろうが、この展覧会の眼目は「原画展」であり、「ジョジョランド」ではない。いわゆる「アート」として鑑賞する対象は、あくまでも壁に掛けられた原画なのであり、作品世界を三次元に立体化したオブジェや、町ぐるみの仕掛けなどはおまけにすぎない。アート系の展示においては、作品世界に入りたいという願望が生じるかどうかもあやしいし、そのような願望が推奨されることもほとんどないだろう。ルノワールの静物画の中に入ってりんごをつかみたいという人に配慮して、同じ構図でりんごを置いたりする展示は、別にあったとしても問題はないと思うが、少なくともわたしは見たことがない。(ちなみに、近代芸術の成立以前は、むしろエンタメ系に近い鑑賞がなされていたことは、木下直之『美術という見世物――油絵茶屋の時代』を参照。)

 もちろん、ジョジョ展の主役たる200枚以上の原画は、掛け値なしにすばらしいものだ。独特の大胆なアングル、人体をひねるポーズ(ジョジョ立ち)、エロティックにして意志の強い表情、色彩のコントラスト。荒木飛呂彦先生の作品は常に新しく、「絵」という最も古くて単純な芸術の形式に、まだまだ未踏の地があったのかという驚きを与えてくれる。特にこの1年の間に描かれた新作の、ピンクを基調とするポップな透明感には、ピンクという色はこんなにも美しかったのか、と新たなときめきを覚えさせられた。初期の作品では、余白に「ためし塗り」の筆あとが見られたり、なぜかストレイツォが描いてあったり、バックが白いまま残されていたりするが、こうしたところに作画の現場を盗み見た気がして、新鮮でとてもうれしい。

 アートとして鑑賞する態度というのは、大雑把にいってこのようなものだと思うが、このとき、「作品」と「わたし」は分離される。「わたし」が肉体のまま「作品」のなかに入ってしまうような夢(錯覚ともいう)は、物としての原画を目の前にすることによって、打ち消されてしまう。
 だがひとたび作品から視線をそらすと、自分の足が水面に波紋を刻んでいたり、作品内のアイテムが現れたりする。こうしてジョジョ展では、夢と現実を行き来するような奇妙な感覚が、(現実が圧倒的に優勢ではあるのだが、)間断なく訪れる。
これがもしディズニーランドなら、ウォルト・ディズニーの原画を見せる必要などなく、等身大で現れ愛想をふりまいて踊るキャラクター(中の人などいない)や、あたかも本物のようにそびえたつシンデレラ城など、夢を見せるだけでいいのである。アート系の展示なら、作品の世界を現実化しようなどと努力する必要はなく、原画を並べるだけでいい。「夢を見せる」「原画も見せる」"両方"やらなくっちゃあならないってのが「エンタメ系の展示」のつらいところだ。

 原理的に考えて、このふたつを両立させるのは無理難題であると思う。「これは絵です(現実)」「これは絵ではありません(夢)」という、真逆の命題を同時に立てようとしているのである。スタンド能力でもないと、実現できそうにもない。しかし、二次元のキャラクターを現実化するスタンドである「ボヘミアン・ラプソディ」をもってしても、その作動によって作品中(二次元)のキャラクターは消えてしまうという設定なのだから、せっかくの原画が穴だらけになってしまう。

 溶けたチョコレートでグラスの底に作ったわずかな傾きのような、このきわどい角度をすり抜けることは可能なのか。さまざまなエンタメ系の展示で方法が模索されてきていると思うが、ジョジョ展においてそれは、漫画家「岸辺露伴」の存在にかかっている。

 岸辺露伴(通称、露伴ちゃん)は『ジョジョの奇妙な冒険』のキャラクターで、『週刊少年ジャンプ』に連載を持つ天才漫画家である。この設定からわかるように、このキャラクターは全キャラクターのなかで唯一、わたしたちの生きている「この現実」との接点を持つ。
 岸辺露伴は、ジョジョ展以前のルーブル展(2009年)、GUCCI展(2011年)からトリビュートされていた。『岸辺露伴 グッチに行く』においてはGUCCIの実在の衣装とバッグを身に着けた姿で描かれ、このとき作られた等身大フィギュアも実在のスニーカーを履いていた(これらの衣装、バッグ、スニーカーは実際の商品であり、購入することができる......「お金」があればだがッ!)。今回の仙台展で発行された『杜王新報』ではついに、荒木飛呂彦先生その人との対談までもなしとげた(ちなみにここで、荒木飛呂彦先生が波紋戦士であることが、おそらく初めて公式に証言された)。
 さらにジョジョ展では、岸辺露伴の仕事机と、荒木飛呂彦先生の仕事机が、まるで等価のもののように近く展示されている。わたしははじめ、岸辺露伴の仕事机が、他のさまざまなものをさしおいてまで展示されなければならない理由がよくわからなかった。しかし、こうは考えられないか。荒木飛呂彦先生の仕事机は、本物を持ってきたわけはないので(それだったら仕事ができないから)、よく似た偽物。岸辺露伴の仕事机は、偽物を展示する意味がないので、本物。この地点で「本物」と「偽物」、「現実」と「夢」が逆転する。

 巧妙なことに、荒木飛呂彦先生の仕事机には、キャラクターの岸辺露伴を描いた生原稿が載っている。一方で、先述の『杜王新報』では、岸辺露伴が荒木飛呂彦先生について心中でさまざまに思い描いている。いったい、どちらがどちらを描いているのか? 図と地、夢と現実が反転していくトリックアートのような効果が、こんなにも入念に作りこまれた例を、わたしはほかにしらない。もういちど言うが、原画がすばらしいことは論をまたない。それとは別に、展示をひとつの作品として見たとき、ジョジョ展がエンタメ系においても突出した存在感を示したのは確かであろう。
 
 とはいえ、岸辺露伴のようなメタ的立ち位置のキャラクターを登場させ、原作で活躍させることも含めて、長い年月をかけて展示を作りこむことは、エンタメ系の展示においていつでもできることではない。そもそも岸辺露伴のように現実との接点を緊密に結ぶことができるキャラクター造形は、今日のマンガやアニメにおいてかなり特異であると思う(架空のキャラクターに混じって実在の編集者や漫画家が描かれる『バクマン。』にすら、岸辺露伴ほどのメタ的キャラクターはいない)。だからほかのエンタメ系の展示は、夢と現実をきわどく両立させるための、ほかの方法をそれぞれに模索しなければならない。難題である。しかしだからこそわたしは、アート系よりもエンタメ系の展示で新しいものが生まれるのではないか、という期待を持つのである。

 ジョジョ展とはあまり関係ないのだが、最後にひとつ、小咄を。
 先述のとおり、S市内には花京院という地名がある。今夏、ぶらりジョジョ散歩をしていて、「花京院スクエア」という建物を発見した。それだけならば特筆すべきことはないのだが、なんと、「花京院スクエア」と書いてある礎石のようなもの(?)が、「三角形」なのである。これを見たときわたしは「スタンド攻撃を......受けているッ!?」と戦慄した。さらにこの建物について少し調べてみたら、「三菱地所」の所有なのだという。いったい、スクエアなのか、三角なのか、菱なのか。さらに写真をよく見ると、「SQUARE」の「S」が抜けているのも地味に怖い。このようなミステリーが偶然にも開催地域に仕込まれているのが、「ジョジョ展」の持つ凄み、その血(地)の運命(さだめ)なのだ。


スクエアなのに三角形。これも開催地域に仕込まれたミステリーなのか

 もしかしたら、S市花京院だけではなく、六本木にも恐ろしいスタンド使いが潜んでいるかもしれない。それでも、いやそれだからこそ、読者はジョジョ展に行かざるを得ないに違いない。
 覚悟はいいか? オレはできてる。

Mediafired™ - ele-king

Mediafired™ - Pixies

"we had Pepsi™ sponsorship" misssequence(メディアファイアード™本人。上記動画のコメント欄にて)

 違法ダウソしてますか?™
 愉快なコマーシャル映像まで作られたオンライン・ストレージ〈メガアップロード〉は、違法ダウンロードの温床となっていたとされ、現在は閉鎖されている(https://www.megaupload.com/)。いっぽう、おなじく人気だったオンライン・ストレージ〈メディアファイアー〉は存続してはいるが、共有が違法と思われるファイルについては積極的に削除しているようだ。アーティスト名やタイトルとともに「mediafire」を入力してグーグル検索すれば音源ファイルが見つかりますよと友人に教えられたのは3年ほど前。いま同じことをしても、ダウンロードへのリンクは見つけづらい状況だろう。それが道理なのかもしれない。しかし、利用するか否かに関わらず、オンライン文化も全盛だというのに息苦しい出来事だなとも感じる。™

 メディアファイアード™ことジョアン・コスタ・ゴンサルヴェス(Joao Costa Goncalves)もポルトガルでそういった違和感をすこしは抱えているに違いない。今作『ザ・パスウェイ・スルー・ワットエヴァー』はあからさまに他者の著作物をカットアップして作られたものだ。素材となった曲を収録順に並べると、クイーンの“イニュエンドウ”/ヴァン・ヘイレンの“キャント・ストップ・ラヴィン・ユー”/インナー・サークルの“スウェット(アララララロン)”/ケイト・ブッシュの“嵐が丘”/バックストリート・ボーイズの“アイ・ウォント・イット・ザット・ウェイ”と、そうそうたる有名どころばかり――MOR(Middle Of the Road)的である。いずれも古い。商業的にも旬を過ぎたものであって、〈メディアファイアー〉にアップされていたとしてもちょっとイケてないではないか。™

 ビートルズやマイケル・ジャクソンをおなじように剽窃したジョン・オズワルドの『プランダーフォニック』との大きな違いとして、今作には過剰にエコーがかけられていることが挙げられる。これは、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーのダニエル・ロパーティンによる『チャック・パーソンズ・エコージャムズVol.1』の、80年代のアダルト・コンテンポラリー(日本でいうAOR)やソウルの一節をループさせエコーの海に浸した手法「エコージャム」であり、「エコージャム」はタグの一種でもある(ちなみに、同アルバムの楽曲にダニエルがレトロな映像をつけたプロジェクト〈Sunsetcorp〉――斜陽企業がヴェイパーウェイヴの起こりだと思われる)。™

 今作でループさせられている一節一節は、ガンガンにエコーをかけられ、まるで巨大な聖殿に響き渡っているかのように祝祭的ですらある。景色はまるで真っ白で、鳩がパタパタと飛び立っていく画が見えるようだ。しかし、そんな演出とは対照的に、チョップとループのタイミングも展開も聴き手に心地よさを与えるものとはけっして言えないほど荒々しい。ピッチは原曲より低くされたりしながらも、スピードは上げられていたりする。祝祭的な響きをもちながらも、ポップソングがゾンビのように知性のないうめきを上げているようでもある。仕事中などにわけもなくなにかの歌の一節が脳内ループしてしまう体験に等しい。非常にストレスフルである。荒々しいが繊細に編集されている。ジェームス・フェラーロはポップ/ロックがリビングでつけっぱなしのMTVから垂れ流され平坦な環境音となり死んでいる様子を捉えたが、今作ではメディアファイアード™によってポップスがゾンビとして目覚め、リスナーに襲いかかってくる。™

 カセットのB面には「shit's cold / roam as you are」というサブタイトルがついているが、「私、キャシーよ!帰ってきたの。とても寒いから、窓から入れてちょうだい」と歌うケイト・ブッシュと、別れた恋人への未練を歌うバックストリート・ボーイズに対してメディアファイアード™が吐き捨てた言葉なのだろう。それらの曲名は“ピクシーズ”なんてバンド名がもろにつけられていたり、ソニックユースの曲名だったり、ニルヴァーナの“イン・ブルーム”の歌詞(“Spring Is Here”“Tender Age”)が引用されていたりする。俗なポップスに対して自分の趣味――すなわち自分にとっての聖(ノイジーなロック)をぶつけていく幼稚で原初的な対抗意識を演出している。™

 『ザ・パスウェイ・スルー・ワットエヴァー™』が『プランダーフォニック』のようなカルト的な支持を得ることはないだろう。なにしろ元ネタが基本的にcheezyでダサい懐メロからだ。しかし、それらはストレスフルな編集がなされているぶん原曲以上に印象的でもある。繰り返すが、編集は凝っている。最後の曲のアウトロでは飛行機が風を切る音が聞こえるが、これは“アイ・ウォント・イット・ザット・ウェイ”のミュージック・ヴィデオのイントロで挿入されている音だ。そう。つまり、そういうことだろう(I want it that way)。™

First Person Shootr - ele-king

 そもそもインタヴューをおこなうつもりで返事を待っていたのだが、担当者の骨折りにもかかわらず、彼からは返事がこなかったようだ。それからもうずいぶんと時間がたった。ファースト・パーソン・シューターとは誰なのか。リリース当初ほんとうにわずかな情報しかなく、フレッド・ワームズリーとかリー・バーノンという名前にたどりつくのすらやっと。その頃デビュー作をリリースしたばかりだったサクラメントのプロデューサー、リー・バーノンと、このリー・バーノンを結びつける記事もなかったし、フレッド・ワームズリーと記されることがもっぱらであって、いまではリー・バーノンのサイド・プロジェクトらしいということはわかっているが、ファースト・パーソン・シューター(以下FPS)名義でのインタヴューは見かけない。情報がないというよりも意図的に覆面性を持たせたのではないかと、いまでは思う。彼にはファースト・パーソン・シューター(以下FPS)をリー・バーノンの名前から切り離したい理由があったのではないか? それは「少なくとも僕が本当に好む最後のチルウェイヴ作品になるだろう」という数ヶ月前の発言を再度引用しながらはじまるタイニー・ミックス・テープスのレヴューにも透けてみえるように、チルウェイヴ的な音への留保つきの共感、あるいはそのブームとしての消費期限を瀬踏みするかのような思惑ではなかったか。リリース元の〈レフス〉もチルウェイヴ系のレーベルとしての印象が強く、〈プラグ・リサーチ〉のような硬派な名門とはキャラクターとして差が大きい。もしそのようなことのために素性をあいまいにするような経緯があったのだとすれば、本作にとってもチルウェイヴにとってもあまりにもったいないことだと思う。「ピュア・ベイビー・メイキング・ミュージック」......それが、リリース後にやっと読むことのできた彼のFPS評だ。リー・バーノン名義では卓抜にして自在なエディットと、スマートなセンスによって、自由な発想に打ち抜かれたヒップホップを展開している。「それこそフライング・ロータスのモンド・ヴァージョンでしょう」というのは三田格の評で、そのように込み入った自身の作家性を、FPSの「ベイビー・メイキング」な作風と混在させたくなかった。そのようなことではないかと推察する。

 KEXPなどではFPSの音源にリーン・ウェイヴというタグがつけられている。それは「やせ細ってかぼそく、ふしぎなことにウェイヴィだ」そうで、実際のところ、R&Bを基調としながらも、シンセを重ね、リヴァービーにドリーム・スケープを広げていくやりかたにはチルウェイヴのヴァイブが色濃い。全体的にはかなげで繊細、隙間が多く、とてもスローに展開する。また自在なビート感覚、あるいはタイム感覚がそなわっている一方で、メディテーショナルなアンビエント・ポップへと展開していきそうな芽もある。要するにはっきりとポスト・ヒプナゴジックを彩る才能のひとりである。それを当人の言で表すなら「リアル・アンビエント・R&B・ノスタルジア・タイプ」ということになるだろうか。アンビエントとR&Bとを接続する感性がチルウェイヴを介して登場してくる例を鮮やかに示している。クラムス・カジノと比較するサイトもあるが、ハウ・トゥ・ドレス・ウェルも引き合いに出さねばならない。

 「リーン」という言葉が定着することはなかったが、それはファットな要素をごっそりとそぎ落とした音楽、というような意味とともに、リテラルなかぼそさに言及したものであろう。FPSにはひどく栄養不足な男性のイメージも重なっていて象徴的だ。そもそもFPSとはプレイヤーの視点で争われるシューティング・ゲームの総称。ゲーム画面はイコール自分の視界であり、プレイヤーは不断の緊張をしいられる。自分の存在が戦闘空間に巻き込まれている緊迫感と臨場感、サバイバル感。それがFPSの肝だそうで、それはけっしてファットな体験ではなく、神経をすり減らし摩耗させるものだ。"パンチ・ストラック""シー・イン""ザ・ビッグ・ミステイク"と、ゲームの体験をほうふつさせるような曲名が並び、食事もとらずにモニターにはりつくプレイヤーを描出しながら、最終的に"ペイン・フォー・ユア・ウィン"(勝利の痛み)をうたい、再度「ニュー・ウェブ」(あらたなクモの巣)へとからめとられていくことを暗示して本作はぶつりと終わる。それはこうしたゲームへの両義的な返歌であるとともに彼の世界観でもある。ドリーミーでありながら、モニターから見えるものはすべて敵という、酷薄な現実認識がその裏側にはりついているのではないか。パンダ・ベアやチルウェイヴはマッチョイズムの対極にあるフィーリングをとらえたが、FPSの「リーン」は挫折したマッチョイズムを内側からあかすものなのかもしれない。奇妙に栄養のない音は、とてもデリケートにその空虚さをうずめていく。男性の表現はいつこのような細やかなタッチを得たのだろうかと筆者は驚く。

 そうした、女性らしさを経ない非マッチョイズムの可能性に対して、FPSはもっと意識的であっていい。それを「赤ちゃんが作ったようなピュアな音楽」として、一見肯定するようでいて実際は恥じているかのような自己評価が下されていることは、筆者にとっては悲しいものだ。このデビューEPの次がリー・バーノンの作品になるかFPSの作品になるかはわからないが、ぜひともFPSは続けてほしい。そして、どうせ名義わけるのならもっと限界まで「赤ちゃんが作ったようなピュアな音楽」性をつきつめてほしいと思う。本作は今年聴いたもののなかでも出色の作品なのだから。

[UK Bass Music, Darkwave, etc] - ele-king

Darkstar - Timeaway



 『ノース』への大胆な方向転換の直後に〈ハイパーダブ〉から〈ワープ〉へ移籍したダークスターによる2年ぶりの新曲。ヴァイナルは11月20日に発売される(https://bleep.com/release/39342-darkstar-timeaway)。野田編集長はいまだにデュオだと思っていたみたいだが、『ノース』の時点ですでにヴォーカルにジェームス・バタリーを迎えたトリオになっている。
 プロデューサーにはワイルド・ビースツ/スペクタクルズ/エジプシャン・ヒップ・ホップなども手がけたリチャード・フォーンビーを起用しており、「イギリス北部ペナイン山脈のどこか深いところ」にある「ヴィクトリア調のジェントルの邸宅」を借りて録音されたアルバムは、来たる2013年初頭にリリース予定とのこと。
 この録音場所がなるほどと思えるほど、"タイムアウェイ"の旋律は、荘厳なエコーでメランコリーなイメージを讃えている。ダブステップ期もいまは昔。たださえ意外な方角へ舵をきった『ノース』以上にヴォーカルとハーモニーがフューチャーされ、いくぶんか明るくなった印象もあるが、陰鬱さを讃える美学はよりいっそう磨かれている。

 ダークスターのYouTubeアカウントには、レコーディング中のスローモーション映像にドローン/アンビエント風で静かな音楽を添えたものが"Nowhere"として4つアップされている。

 忘れもしない2011年4月9日、ロンドンはショーディッチにあるヴィレッジ・アンダーグラウンドというヴェニューにて、ダブステップのダも知らなかった僕がダークスターを観た。日本では聴いたことがないほどバカデカいベース音に全身を震わせられたとき、心臓を潰されて死ぬかと本気で思った。おおきな教会を改修したような広い会場。酒で酔っ払い喋りまくる、カルチャーめいたオーディエンス。機材トラブルによる1時間近くの遅延を経て、不穏な空気が拭えないなか、殺気だちながら透き通った目の青年が喉を震わせた。

 日本でのステージが実現することを期待しよう。


Dazed and Confused Live PART 2 with Darkstar & Gang Gang Dance

 これは先述の〈DAZED LIVE〉での映像。ダークスターはもちろん、トリのSBTRKTも凄かった。1時間以上も時間が押した結果、ギャング・ギャング・ダンス終了後には25:30近くなりオーディエンスは続々と帰ってしまった。ガラガラの会場にイラついていたように見えたが、SBTRKTは圧倒的にベスト・アクトだった。

Trimbal - Confidence Boost (Harmonimix)



 ロンドンのグライム系ラッパーであるトリンバル(元ロール・ディープ・クルー、基本的にはトリム名義)と、ジェームス・ブレイクの別名義ハーモニミクスによる作品のミュージック・ヴィデオ。ツイッターを見ていても、発表されると同時に瞬く間に話題となっていた。リリースは〈R&S〉から。撮影は、ザ・トリロジー・テープスの記事でも紹介したロロ・ジャクスンである(と、このようにウィル・バンクヘッドの陰がロンドンの地下水脈では散見される)。
 ミスター"CMYK"がトリムの叩きつける言葉を名義のごとくハモるその後ろでは、ノイズが大胆にブーストしている。

ポーズをとれ。
アイツがどれだけ信頼を寄せていようと知ったこっちゃないなら。
ポーズをとれ。
ガール、自分の服を着て自分がイケてると思ったなら。
ポーズをとれ。
きみが問題を抱えているなら、気にするな、
誰も知ったこっちゃない。
ポーズをとれ。ポーズをとれ。
Strike a pose.

 ポーズをとっているのかはわからないが、時折出てくるジェームス・ブレイクがイケメンであり可愛いことは間違いない。

Eaux - i



 〈ソーシャル・レジストリー〉に在籍していた気高く美しいシアン・アリス・グループ(Sian Alice Group)は解散してしまったが、そのメンバーであったシアン・エイハーンとベン・クルックにステフン・ウォリントンが合流したトリオがオー(EAUX)だ。
 11月に発売される新作EP『i』からタイトル曲が先行公開された。以前にリリースしていた両A面7インチ『Luther / No More Power』はダークなシンセ・ポップで、それこそ女性ヴォーカルの気高いダークスターという印象だったが、今作はほぼインストゥルメンタルである。ドラムがいないため、打ち込みのリズムにベンのギターやステファンのシンセを被せるかたちに落ち着いている。シアンは1音節の語を繰り返し発語する。

i i i i i i i i i
gotten gotten gotten gotten

 ジ・XXの新譜の先行試聴会で思い出したのが、サウンドこそ違うが、似た編成のオーだった。こちらはメランコリーを秘めていながらも甘美な部分を見いださせようとはせず、むしろ厳しさをたずさえる姿勢は、シアン・アリス・グループから通じているものだ。
 これだけではまだなにも分かる気がしないので、EPの発売を待ちたい。

Eaux - Luther

Zomby - Devils

https://twitter.com/ZombyMusic/status/256219187247210496

 ゾンビー(Zomby)が1分半ほどの新曲"Devils"をツイッター上で突如フリーでリリースしている。おそらくアルバムには収録しないということなのだろう。ゾンビーが「5人目のビートルズ」と称える亡き父親を弔った『デディケイション』とはずいぶん違う忙しなさがある。EP「Nothing」にも高速ビーツのトラックはあったが、今作にはより不安を煽るような態度がある。
 ツイッターも相変わらず順調に挑発的でブッ飛ばしているし、次のアルバムはダークで扇動的なものになりそうだ。

 他にもホット・チップのアレクシス・テイラーから、彼がチャールズ・ヘイワード/ジョン・コクソン/パット・トーマスとともに組んでいるアバウト・グループ(About Group)のアルバムが完成したということと、彼のソロEPが12月にドミノからリリースされるという報告を受けました。これは喜ばしい。

 ちなみに、今日ご紹介したアーティストはすべて〈ザ・トリロジー・テープス〉主宰のウィル・バンクヘッドと関わりがある。

Ryoma Takemasa - ele-king

10/17にファース・トアルバム『Catalyst』をUNKNOWN seasonからリリースしました。かなり濃い内容になってますので是非チェックお願いします。また、『Catalyst』のミュージック・クリップをYoutubeで配信中 です。テンポ良くモダンな映像でかなりかっこいい作品に出来上がってますのでこちらも是非宜しくお願いします。
Ryoma Takemasa "Catalyst (Autumn Evening Mix)"

10/26@原宿Lily
DJ : Ryoma Takemasa、TBA
10/27@恵比寿Zubar
Music : Yoshi Horino、Ryoma Takemasa、Kyoko Kamichika
11/24@恵比寿Zubar
Music : Yoshi Horino、Ryoma Takemasa、Kyoko Kamichika
11/30@Loop
DJ : Shinya Okamoto、DJ Nori(Posivision)、Ryoma Takemasa
Live : Cherry、ngt.

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CHART


1
Ryoma Takemasa "Catalyst" UNKNOWN season

2
Yoshio Ootani "Strange Fruits (Gonno Remix)" Black Smoker

3
Manzel "Manzel2" Manzel

4
Ryoma Takemasa "Deepn'(Gonno Remix)" UNKNOWN season

5
Ryoma Takemasa "Deepn'(The Backwoods Remix)" UNKNOWN season

6
Sutekh DIrty Needles Drop Beat Records

7
Kenlou "The Bounce" MAW

8
Unbalance "Unbalance5" Unbalance

9
Milton Bradley "Reality is Wrong" Prologue

10
Reality Check "Fantasy" Strictly Rhythm

Mala - ele-king

 コーキとのデジタル・ミスティックズ名義でロンドンのダブステップの動きをリードしてきたマーラが、ジャイルス・ピーターソンの招きでキューバを訪れ、ハバナのミュージシャンの演奏を持ち帰って完成させたのがこのアルバムだ。

 ソン、ルンバ、チャチャチャ、マンボなど、多彩なスタイルのリズムで20世紀の世界のポピュラー音楽に影響を与えてきたキューバ音楽は、演奏の約束事がとても多い。約束事が多いということは、そこに他の要素が入りこみにくいということでもある。ライナーによれば、キューバで録音してきた演奏と自分のビートやサウンドの組み合わせ方を探るのが難しくて、マーラは途中で投げ出したくなった。そこでジャイルスに相談したら、プエルトリコで出会ったことのあるシンバッドが送りこまれてきて、そこからようやく作業が好転したのだそうだ。平凡なDJなら自分流のドラムとベースのリズムにキューバの打楽器類を上モノ的に飾って一件落着にしそうだが、マーラとシンバッドは一歩踏みこんだ組み合わせを考えていった。
 たとえば"The Tourist"はリズムの骨格をキューバのミュージシャンにまかせた伝統的なソンのスタイルの、ふだんのマーラならやりそうにない曲だ。弦楽器トレスのように聞こえる音は演奏者のクレジットがないが、サンプリングだろうか、音は加工されているが、フレーズは伝統的。マーラはイントロや途中で合成音を加え、伝統的なソンの新しい音色による再解釈といったおもむきの曲に仕上げている。
 もう1曲キューバ色が強いのは、アフリカ系の宗教サンテリアのお祈りを使った"Como Como"だ。地元では打楽器類の伴奏だけでうたわれるお祈りだが、ここではエレクトリック・ピアノをループして使ったり、ハーモニー感のある女声コーラスを入れたりして、これまた伝統的なものとは次元の異なる編曲をほどこしている。
 それ以外の曲はふだんのマーラ色がもっと発揮されている。冒頭の"Introduction "から"Mulata"にかけては、おしゃべりとコンガのソロからはじまり、ロベルト・フォンセカのピアノとサンプリングのマラカスが加わるところまではキューバ風だが、その後のドラムや背後のかすかな謎めいた音やベース、ピアノの残響をカットする手法などはマーラ風ということになるのだろう。美しい曲で、フルートがのっかっていれば、ぼくなどフランキー・ナックルズの未発表曲だと言われても信じてしまいそうだ(彼のハウスはキューバン/ラテン・リズムを換骨奪胎したものだった)。"Mulata"はアフリカ系とヨーロッパ系の混血女性のことだが、異なる音楽の要素がバランスよくミックスされたこの曲らしい。
 4つ打ちのリズムにピアノや打楽器がのっかる"Tribal"やテクノ系の音楽でアイコン的に使われてきたリズムを強調した"Cuba Electronic"などは、よりロンドン色の強い音楽ということになるのだろうか。ダナイ・スアレスのうたう"Noches Suenos"のようなバラードでさえ、途中で初期のダブステップ的なドラムが出てくる。

 デジタル・ミスティックズ名義の作品からすると、生楽器度が高く、過激な実験が少ないので、ダブステップのファンにはどう受け止められるのかわからないが、キューバ音楽とのフュージョンとしては誠実によく作られたアルバムだと思う。

Meditations 2012.10.15 - ele-king

Chart


1

Jean Dubuffet - Experiences Musicales (II) Rumpsti Pumsti (Musik)
これは事件でしょう...アール・ブリュット提唱者Jean Dubuffetによる61年美術館級音源の未CD再発部分が遂にCDになりました。以前のCDでは聴けなかった激しい演奏ばかりが満載です!

2

Sensations' Fix - Music Is Painting In The Air (1974 - 1977) Rvng Intl.
Spectrum Spoolsの再発で知られるFranco Falsiniが中心である伊プログレバンドの既発、未発&新ミックス盤。黄金色に輝くギターの浮遊感が素晴らしい!

3

Uku Kuut - Estonian Funk Bigtree Records
PPUの編集盤で度肝を抜かされたエストニアのファンク作家による最新作。新曲&リミックスのトレンドからは微妙に外れたハウス/ファンクな音楽性は、今回も多くの音楽好きに爪痕を残します!

4

Ricardo Donoso - Assimilating The Shadow Digitalis Recordings
2LPに渡る壮大な宇宙への旅~ 退廃した近未来世界を思わ暗さを持つコスミッシェ作品。派手な展開はないものの、宇宙地下道をロマンチックに突き進む展開は素晴らしい。影の傑作!

5

Ian Drennan - The Wonderful World Underwater Peoples Records
OESB周辺からこんなものが...!Big Troublesのメンバーによる初ソロ作。ワールド/ニューエイジ臭漂うアンビエントを軸に、破天荒な展開を重ねるポップ/アヴァンの混沌具合...たまりません。

6

Woo - It's Cosy Inside Drag City
Nite Jewelお気に入りのユニットによる89年2ndが再発。現れては消えて行く優しいアンビエンスは唯一無二で、あらゆる人に聴いもらいたい名盤です。今再発されるというのも良いタイミング。

7

M.B. - Neuro Habitat Urashima
言わずと知れたイタリアのノイズ巨匠の82年代表作が再発。ミンチ状に怪音が刻まれ続けるA面に、幻覚から必死に抜け出そうと重くもがき苦しむB面。絶品です...

8

Elg - Mil Pluton Hundebiss Records
Ghedalia Tazartesとの共作でも知られるElgの怪ポップ! 宇宙電子音、コンクレート、EBMにボーカルが絡むという破綻寸前の所でポップに仕上げてます。今年の発狂盤の中でもこれは上位でしょう!

9

Natural Snow Buildings - Night Coercion Into The Company Of Witches Ba Da Bing!
フォークとドローンの間から陰惨な破滅を導き続ける男女ユニット。08年作の再発盤となるここでは、3CDという長尺で最初から最後まで一直線に破滅へと導くノイズ・ドローンを披露。純粋なノイズでは無い分余計にむごいです。

10

Roberto Cacciapaglia - Sei Note In Logica Wah-Wah Records Sound
前作に続いて79年の2ndも再発。児童による演劇を観ているような、危なっかしいハラハラした感覚と素朴な楽しさが心地良い電子音楽/ミニマリズム。蛍が現れては消えていく淡々とした美しさです。

JET SET 2012.10.15 - ele-king

Chart


1

Trimbal - Confidence Boost (R&S)
ご存じ時代の寵児James BlakeがHarmonimix名義でWiley率いるRoll Deepの元メンバーTrimbalとのタッグで作り上げたポスト・ポストUkベース/ヒップホップ・アンセム!

2

Lapalux - Same Other Time (Brainfeeder)
初来日も果たしているポストR&Bを牽引するビートメイカー=Stuart HowardことLapaluxが、類い稀な音楽センスを存分に披露した深化したコズミック・ソウル全5トラックを披露! これまた話題に上ること間違いなし!

3

Prins Thomas Orkester - Oving Ep (Full Pupp)
2年前にリリースされた自身の過去楽曲をバンド・リワークした大注目の作品!片面1曲、2枚組12"という贅沢な仕様も嬉しい"こだわり"の逸品です

4

Felipe Venegas - Critmical Baco (Cadenza)
Hoehenreglerからの前作"Tutu Calling Ep"や同レーベルからの"I Ching"等も大好評、チリの気鋭Felipe Venegasによる最新作!

5

Southern Shores - New World
昨年のデビューEp「Atlantic」が最高だったトロントの新星Southern Shores。2枚目のEpも当店大人気のCascineから!!ダウンロード・コード封入。

6

Sascha Dive - Move On (Oslo)
自身の主催するDeep Vibesを中心に、TsubaやOslo傘下のL.l.f.o.から数々の傑作を生み出すフランクフルトの才人Sascha Diveによる最新作品!

7

Dj Nu-mark - Broken Sunlight Series 4 (Hot Plate)
MochillaからリリースされたミックスCd『Take Me With You』でも感じられた質感で挑んだシリーズ第4弾! Quanticを迎えたスチール・パン入りトロピカル・グルーヴ、辺境アフロビートを収録したダブルサイダー!

8

Daphni - Jiaolong (Jiaolong)
CaribouまたはManitoba名義でもお馴染みDan Snaithが、美麗音響工作やフリーキーな仕掛けも満載のレフトフィールド・ハウス/ミニマル特大傑作を完成しました!!

9

V.A - International Feel A Compilation (International Feel)
2009年のリリースを皮切りに度肝を抜くクオリティーの作品を次々に世界に送り出してきた、ウルグアイのInternational Feelを120%堪能出来るコンピレーション!

10

Kylie Auldist - Changes / Nothin' Else To Beat Me (Tru Thoughts)
オージー・ファンク最高峰バンド、Bamboosの女性ヴォーカリスト。最新サード・ソロ・アルバム『Still Life』からの素晴らしい2曲を収録した限定7インチ!!

Zazen Boys - ele-king

 ザゼン・ボーイズのファンで座禅を経験しているのは何人いるのだろう。バンドのメンバーはやはり経験しているのだろうか。向井秀徳とは何度か酒を飲み、音楽について「何が好きか」とか「ビートルズだったら何が好きか」などというたわいのない話を延々としたことがあるけれど、肝心なことを聞き忘れていたといまさら気がついた。

 只管打坐というのは有名な禅宗の教えで、座禅を組むのは、それで心が洗われるからとか、浄化されるとか、悩みが消えるとか、そうではないと。座禅をしたいから座禅をするのである。掃除をしたいのは、部屋を綺麗にしたいからではない。掃除をしたいから掃除をするのである。原稿を書きたいのは、ただ書きたいから書くのである。なにかの目的があって行動があるのではない。行動は行動そのものによって成り立つ。ポテトサラダが食べたいのは、ポテトサラダで野菜を取りたいからではない。ポテトサラダが食べたいから食べるのだ。禅という東洋で生まれた「考え方のシステム」は、1960年代のヒッピーからジョン・ケージ、あるいはディスコ(アーサー・ラッセル)にまで影響を与えている。僕は西欧人ではないからわからないが、早い話、煮詰まりかけていた欧米の「考え方のシステム」に別次元の自由を与え、気持ちを楽にしたのだろう。

 ザゼン・ボーイズなるそのバンド名の、座禅という、ある意味反ロック的な言葉(なにせ座っているのだから)をボーイズという実にクリシェたるクリシェとくっつけているところに彼らの本質が見える。片方の耳で般若心経や落語を聴きながら、もう片方の耳ではロックが、ファンクが、ジャズが、電子音楽が、ディスコが、白い音楽と黒い音楽が注入される。音の実験には余念がないが、ザゼン・ボーイズの音楽は洗練されている。

 彼らのファンクへのアプローチには本当に目に見張るものがある。それぞれの楽器のそれぞれの反復のあいだには、よろめく身体を鞭打つようなフィルイン、ユニゾンが入る。"ポテトサラダ"の奇数拍子をリズミックな躍動は見事なもので、ある意味バトルズと同じ次元で鳴っていると言えよう。
 向井秀徳は、彼のマス・ロック的なアプローチのいっぽう、"はあとぶれいく"ではシンプルな8ビートを面白がり、また"破裂音の朝"や"サンドペーパーざらざら "ではUKのポスト・パンク・バンド、ワイヤーのようにデザインされた音の配列を披露する。"電球"における5拍子のグルーヴを聴いていると、しかしマス・ロックと呼ぶには......なんというか、彼らのよりフィジカルな衝動を感じる。ダンス・ミュージックとして成立しているのだ。

 "気がつけばミッドナイト"や"暗黒屋"のような曲は、彼らの旺盛な実験精神の結実のひとつだ。向井秀徳のジャズに対する共鳴は、その装飾性やたんなる情緒的なものとしてではない。音楽的論法の連なりによって表されている。ドラム、ベース、ギター、時折入る鍵盤の音は、IDMのビートメイカーがソフトウェアを使ってもできない領域があるところを見せている。彼らにとって5枚目のアルバムは、前作で見せたダンス/ファンク/エレクトロニック・ミュージック、それからキモノスで試みたシンセ・サウンドをさらに押し進めるものとなった。"泥沼"は、『セクスタント』時代のハービー・ハンコックがキャプテンビーフ・ハートとセッションしているかのようだ。
 タイトル曲の"すとーりーず"は、いわばディスコだ。ベタな4/4キックドラムを使い、ユニークな録音をもって生まれた、彼らのコズミック・ディスコである。クローザーの"天狗"でもバンドは拍子数を操り、見事なアンサンブルで、おおらかなグルーヴを創出する。『すとーりーず』は、彼らの高度な演奏の妙で、スリルと興奮の音楽体験を我々を差し出す。僕はその態度にとても共感を覚える。

 向井秀徳の歌詞は、敢えて道徳心(J-POPでお馴染み)を踏みにじるような、ときに露悪的なきらいもある。ユーモアのふりをして、揺さぶりをかけているかのように、彼はきわどい言葉遣いを好む。たとえば「陸軍中野学校予備校理事長 村田英雄」といったフレーズは、いまのご時世では笑えない(徴兵制が検討されているくらいだから)。そして、彼の言葉は道徳心を説いてばかりいる日本の多くの音楽にくらべれば異色であるばかりか、陳腐なことのいっさいを聴き手に強制しない。これから起こりうるすべてのことを思いつつ、パンツ一丁で踊りたいと向井秀徳は叫んでいる。ザゼン・ボーイズが人間を小馬鹿にしているのか愛しているのかよくわからくなったときには、アルバムの1曲目に戻れば良い。

ROOM FULL OF RECORDS - ele-king

 さまざまな配信サイトやデジタル機器の発展のおかげで、我々は世界中の良質な音源をたやすくゲットできるようになった。
 デスクトップ・ミュージックは、一昔前なら高価な機材を揃えなくては実現できなかった表現をパーソナルなモノにしてくれて、アーティストの金銭格差を縮めてくれた。
 これはとても歓迎することではあるのだが、ここ最近日本のアンダーグランド・シーンにわざわざアナログでリリースをする若者が増えて来たことは特筆するように思う。HOLE AND HOLLANDDJ P-RUFFの7インチ、まだ未見だが主に中央線沿線で活動を続けるBlack SheepもカセットテープによってMIX TAPEを新規でリリースしているという具合。
 彼らに共通して私が面白いと感じるのは、私のような昭和生まれのヴァイナル・ノスタルジー世代が「レコードこそ至上」と言うのとは違い、主に20代~30代前半でデジタル技術の恩恵を最大限に享受しながらも、自身の表現の手段としてアナログフォーマットを選択しているところだ。
 今回そんな流れから紹介させて頂くのは、長年CLUB MUSICを発信し続けている「manhattan records」内に設立されたヴァイナル専門のROOM FULL OF RECORDSだ。

 今年に入って着々とリリースを重ね、日本国内はもとより、つい先日東欧のディストリビューターとも契約した。日本発のヴァイナルがいよいよ世界各国へと発信される。一昔前ならこういう話も多々聞かれたことではあるが、前述の通り世界的にデジタル化が進む昨今では賞賛に値することだ。

 このレーベルの陣頭指揮を取っているのが、元CISCO HOUSE店にて長年店長を勤めていた野口裕代嬢。レーベル躍進の理由もうなずけると言えばそうなのだが、そこには並々ならぬ彼女の愛情と熱意が込もっている。
 私が何より嬉しいのは、こう言った先人のノウハウや熱意が若い世代といい具合にリンクしはじめていることだ。このような現象はDJカルチャーに留まらずさまざまな場面で起こっている(例えば宮大工や農業等)。
 ある意味技術革新も飽和状態になりつつある昨今、若者が自らの感性で失われつつある文化を選択している。そしてこういった伝承の精神こそが何でも画一化されて行きやすい今日において素晴らしい文化を守るヒントになっているのだと私は考える。

 随分前置きが長くなってしまったが、今回ご紹介させて頂くレコードはその〈ROOM FULL OF RECORDS〉から第3弾シングルとして発売されたばかりの「The Dubless - JAMKARET」だ。
 グループを率いるRyo of DEXTRAXは小生も関わらせてもらった「20years of Strictly Rhythm" Mixed by DJ NORI & TOHRU TAKAHASHI」でRE-EDITをお願いした彼の新ユニットである。〈Strictly Rhythm〉のときには来るべきデジタル時代を表現すべく「サンプリングスポーツの面白さ」として彼にRE-EDITを依頼したのを覚えている。今作とはまったく真逆の発想でお願いしたのだが、見事なEDIT-WORKを披露してくれたのも記憶に新しい。
 そんな彼が現在の地元である「吉祥寺Cheeky」にて開催されているPARTY「JAMKARET」にてUZNKと出会い結成されたのが、「The Dubless」だ。
 前作は同じく吉祥寺を地元とするLighthouserecordsの増尾氏にオープンリールのMTRを借りて作られたCD-R版のみのミニアルバム。思えばこの時からこのユニットの方向性は定まって居たのかも知れない。せっかくのCDであるのに悪く言えば「こもった音質」だったり、良く言えば「どこか懐かしい音質」を感じる意欲作であり問題作だった。余談だがこの夏の暑さでマスターのテープが少しノビ気味になったらしく「もう2度と同じマスターで違うアプローチが出来なくなった」と本人は嘆いていたが、そんな2度と同じ物が作れないからこそ、その時一瞬の価値が高まるとも僕は感じている。

 末筆だが最近デジタル機器を存分に駆使してる友人のMOODMANが、最近のデジタル音源をその店の出力機器に合わせマスタリングを自ら施し、同じ音源でも3種類は用意して臨んでいると言う話も付け加えておく。
 要は画一化されてると思われやすいモノでもどれだけの手間や愛情を注いだかでフロアでのプレゼンテーションの幅は広がり、その気を感じることもDJとクラウドとの素敵な相関関係としてのCLUBの醍醐味ではないだろうか。それは音質博士のウンチク話とは別次元の話だ。
 この辺の話は小生も熱くなりすぎるので、The Dublessの新作の紹介は彼らとも親交の厚い長谷川賢司にお願いしよう。(五十嵐慎太郎)

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The Dubless
JAMKARET/Blackkite

ROOM FULL OF RECORDS

 ライブ・アクトの出来るアーティストの作品をオリジナル+ダンス・リミックスという形態でヴァイナル化。〈ROOM FULL OF RECORDS〉の第3弾リリースとなる本作、Ryo of DextraxとUZNKからなるユニット、The Dublessの人気曲が遂にアナログ化~!!!
 吉祥寺を拠点に活動するryo of dextraxが、地元のナイスなミュージックバー"bar Cheeky"で仲間たちと開催しているパーティ名をタイトルに冠した "JAMKARET"は大気圏を突破し無重力の宇宙空間まで一気に飛び抜けるかのような強い推進力と高揚感に溢れたバレアリック・チューン。
 スペイシーなエフェクトとウネりまくるベースがやけにカッコイイ"Blackkite"はまさに漆黒のサイケ・ファンク!
 そして、Rondenionによるリミックスはカット&ループとエフェクトがムーディーマンやセオ・パリッシュに通じるデトロイト・ハウス・フィールでよりフロアー仕様!
 彼らのロッキッシュなサイケ・メタル感とUR的なヘヴィー・ファンク感が渾然一体となって聴く者を次元上昇へと誘うフロアーフィラー3チューンを180gのヘヴィー・ヴァイナルに収めた一枚!
 是非、フロアーに向けガンガン鳴らしていただきたい。末筆になるが、ジャケのアートワークも素晴らしい!  (Kenji Hasegawa)

The Dubless リリースPARTY @新世界
https://shinsekai9.jp/2012/10/12/dubless/

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