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Owl Beats

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三田 格   Apr 26,2012 UP

 クラシック大国のドイツにはオペラを巧みに使ったヒップホップもあったりするけれど、鹿児島からデビュー作が届いたオウル・ビーツ(=フクロウ叩き?)にもそれなりにクラシックの素養があるようで、のっけから不況和音が雨あられと注ぎ、意外な高音の面白さにまずは耳を奪われた(実はオールド・マシーンと間違えて買った。でも、正解ネというパターン)。そればかりではもちろんなく、ビートの組み合わせだけで構成された"コールド・ウォルツ"や"リリース・マイセルフ"など、全体にチャンジングなつくりは「いい傾向」である。ブンフラグメントイーライ・ウォークス、RLP、AZ、EeMu......と、毎週のように気になる人が増えていく。

 18曲中5曲にラップが入っていて、最初に出てくるラップが日本ではよくあるフテくされたようなフローなので期待を殺ぐけれど、続いて、よくこんな曲にラップがのるなーと思った"タイム・レス"とか、初期のK・ザ・アイ???を思わせるフリー・ジャズ風のピアノを使った"ターゲットA"はラップもオル・ダーティ・バスタードばりで最終的には全部納得。エイフェックス・ツインとスクエアプッシャーが新たにスタートさせたと噂されているドリルン・ベースのユニット、ステインヴォルドに勝るとも劣らない"オウビーツ・イルビーツ"や、とくに"ストップレス"などビートに対する感性だけでなく、インプロヴァイゼイション的なモードを染み渡らせる"58ストーリー"や"P.D.タイム"との対比も効果的で、日本人にしては非常に体力のあるデビュー作になったのではないだろうか。

 ちなみに最近の若者は酒離れしているという話を聞くのに、スラックにもシミ・ラボにも、そして、ここでも大酒飲んで......みたいな曲があるのは、もしかしてヒップホップって最近の若者を代表してないのかなー。それとも、そのすべてがECDへの果たし状なのかw。

 同じくヒップホップという枠組みのなかで、さらに自由にやっていると感じさせたのがリー・バノンのデビュー作で、LAならぬカリフォルニアはサクラメントからフリー・ザ・ロボッツに続いてのエントリー。

 ここでいう「自由」の多くは、おそらくジャズに由来するもので、走り出すドラミングを殺してしまうようなテンポでスネアを絡ませたかと思うと、転調を超えて曲自体がフィールド・レコーディングにすり替わったり、俗っぽいラウンジやサーフ・ロック(『ファンタスティック・プラスティック』ですからね)に流れて、いきなりラップに戻ったりする流れの軽妙さは、リズムの巧みさもあって、前衛的には聴こえないところがスゴいというかなんというか。たっぷりと聴かせるところは聴かせるし、相乗的にカット・インの効果を高め、なんか、自由自在です。ヒップホップとジャズをどうのという課題を持っている人はこういうことをやったらいいんじゃないでしょうか。つーか、フライング・ロータスが開けた扉は途方もなくデカかったということかも。それこそフライング・ロータスのモンド・ヴァージョンでしょう。

 これまでにビートを提供してきた縁もあり、デル・ザ・ファンキー・ホモサピアンやインスペクタデックほかが参加。アナログはホワイト盤、CDは3曲プラスで、このボーナス・トラックがまた侮れない。

 全曲フル試聴→http://soundcloud.com/plugresearch-music/...

三田 格