「KING」と一致するもの

Alva Noto + Ryuichi Sakamoto - ele-king

 『Vrioon』(2002)を皮切りに、先日は『Insen』(2005)もリマスター再発された、アルヴァ・ノトと坂本龍一のコラボレーション、〈V.I.R.U.S.〉シリーズ、9月9日にはその第三弾として2006年にリリースされた『revep』が登場。前2作よりも坂本龍一のピアノがフィーチャーされた本作には、“Merry Christmas Mr.Lawrence”のリミックス・ヴァージョンとも言えそうな“ Ax Mr.L.”も収録。
 なお、今回はオリジナル盤にボーナストラック3曲を追加してのリリース。


◆ボーナストラックとして収録された「City Radieuse」が使用されているカールステン・ニコライ(アルヴァ・ノト)の2012年の映像作品『future past perfect pt.02 -cité radieuse』 



Alva Noto + Ryuichi Sakamoto
Revep (reMASTER)

NOTON
流通:p*dis / Inpartmaint Inc.

Prison Religion - ele-king

 なははは、愛の夏ならぬ怒りの夏だった。やかましい。なんてやかましいことか。これでは眠れないぞ。たたでさえ眠りが浅いというのに、本当に止めて欲しい。が、しかし彼らは手加減などしなかった。この夏、耳を塞ぎたくなるノイズを高々と鳴らしていたのは、ヴァージニア州リッチモンドのパーカー・ブラック(Poozy)とウォーレン・ジョーンズ(False Prpht)のふたり、UKのリー・ギャンブルのレーベル〈UIQ〉からリリースされた、牢獄宗教(プリズン・レリジョン)という名の彼らのプロジェクトによる最新アルバムだった。
 「プリズン・レリジョンを聴くことは、体制を転覆させるために必要な素早い反射神経を身につけるために神経系を鍛えるようなものだ」と書いたのは『Wire』誌だが、こやつらは、ディストピアであることがもはや当たり前になってしまっている現状から目をそらさず、それをよしとしている体制に本気で怒っているのだ。現実社会で人びとが強いられている制度的な苦しみに共鳴し、戦闘的なマシンガン・ビートを打ち鳴らす。超アグレッシヴな周波数を発信し、ノイズまみれのラップ……いや、もはやラップではない、ほとんど原始的な叫びに近い声で訴える。(しかも、複数の評者が指摘していることだが、クラブ・サウンドともリンクするこのサウンドは決してマッチョではないのだ)

 悪酔いしそうなこの圧倒的な音楽を、本人たちはアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの1957年のアルバム、『ハード・バップ』に重ねている。同じように、プリズン・レリジョンの『ハード・インダストリアル・バップ』も時代への挑発であると。あるいはまた、彼らはこの激ハードなエレクトロニック・ノイズ・アルバムを、避けては通れない、作らなければならなかった作品としても見ているようだ。まあ、なんとかなるでしょ、などと彼らはのんきなことを考えていないという、それを音で表現したらこうなったと。当たり前の話だが、怒りはとは愛と裏表の関係にある。ノイズ音楽を聴いて涙した経験がある人にはわかるだろう。だからこれは感動的な作品でもあって、いや、しかしそれにしてもやかましいんだが。

J Jazz Masterclass Series - ele-king

 これまで、松風鉱一トリオ、相澤徹カルテット、森山威男、寺下誠、宮坂高志、峰厚介などなど、和ジャズの発掘シリーズ(J Jazz Masterclass Series)を続けているイギリスの〈BBE〉レーベル、9月に2枚のリイシュー盤をリリースする。

 1枚は、ピアニスト、中島政雄のデビュー・アルバム『Kemo-Sabe』 。1979年に〈ユピテル・レコード〉からリリースされた本作は、繊細で洗練された演奏とパワーに満ちた、勢いのある演奏のバランスが絶妙にとれた、和ジャズの分野では捉えどころのない名盤。エレクトリック・フュージョン全盛の時代に発表された本作は、アコースティック色に満ちている。ハービー・ハンコック作で、クィンシー・ ジョーンズや笠井喜美子などがカヴァーした“Tell Me A Bedtime Story”も収録。解説には、中島政雄本人の最新独占インタヴューが掲載。彼のキャリアや本作の制作の背景について語られている。ジャケットも最高だ。

 もう1枚は、鈴木勲が手がけた女性シンガー、宮本典子の、1978年に発表した、ソウル/ジャズの逸品であるデビュー作『Push』。中古市場でオリジナル盤の価格が高騰しているなかの、待望のリイシューになる。笠井紀美子、阿川泰子をはじめとする女性ジャズ・シンガーのブームの真っ只中に録音された名作、この機会にぜひどうぞ。


Masao Nakajima Quartet
Kemo-Sabe‏/キモサベ』

BBE Music


Noriko Miyamoto with Isao Suzuki
Push/プッシュ

BBE Music


Nwando Ebizie - ele-king

 先日……といってももうかれこれ2ヶ月以上前の話だが、坂本慎太郎のライヴに行って、ぼくがもっとも感動したのはベースだった。OOIOOのAYAのベースは、録音物にはない迫力で身体に響いてくる。それは宇宙的であり、瞑想的でもあったが、あの躍動感は傑出していた。
 女性には男性にはないグルーヴ感覚があるとぼくが確信したのは、テクノやハウス・ミュージックを好きになり、クラブで踊るようになってからだ。クラブに通いだすと、フロアで、ちゃんとリズムに乗って踊りたくなるもので、ロックのライヴのように頭の上下運動や手を振り回したりとか、そんな単純な動きしかできない自分も、それこそいつぞや三田格も書いていたように、腰で踊ることを会得したいと思ったのだ。まあ、壁に張り付いてビールを片手に頭をぐらぐらさせているような男性などまずいなかった時代だったし、踊りたいからそこに通っているわけで、おのずとダンスという行為に自覚的になるわけだが、はっきり言って、ダンスフロアで滑らかにリズムに乗れている多くは女性だった。だからぼくは、女性の動きを教師として踊り方を学んだ。ハウスはもちろんのことドラムンベースのパーティでも、プロのダンサーでもないのにちゃんとリズムに乗れているのは女性で、そこには男性にはない柔軟な身体感覚があるとしかぼくには思えない。フロアでつね女性が目立っていたのは、踊りがうまいからだった(いまでも、そうなのかな?)。
 
 Nwando Ebizie——「ンワンド・エビジ」のカタカナ表記で合っているのだろうか、わかる方がいたら教えてください。とりあえずここはンワンド・エビジで進めます。
 ナイジェリア系で、UKのウェスト・ヨークシャー州トッドモーデンを拠点にしている彼女は、音楽家であり、研究者でもある。2007年頃からアフリカの哲学や宇宙論、神話、〈Black Atlantic〉における儀式の文化を研究しているという。しかも彼女はダンサーでもある。
 エビジは最近、マシュー・ハーバートの〈アクシデンタル〉から『The Swan』なるアルバムを出したばかりで、これがじつになんというか、シャバカ・ハッチングとビョークとOOIOOをナイジェリアのひとつのスタジオに詰め込んだような、衝撃的で、ユニークな音楽だった。因習打破的で、リズムが魅力的で、そしてその音楽はジャンルの壁を越えている。母系社会の可能性を追求し、現在必要とされているものを増幅させるために古代を参照していると〈アクシデンタル〉は解説している。

 アルバムは、それこそサンズ・オブ・ケメットの扇情的な旋律と歩を合わせるかのようにはじまる。そして、ハイパー・ファンク・パンクの“I Seduce”へと展開。この曲は、その次の“The Swan”へと繋がる、共同体的な雰囲気をもったダンス・サウンドだ。先行シングルとして発表された“Myrrha”はアート・アンサンブル・オブ・シカゴを彷彿させるアヴァン・ポップといった趣で、“Liturgy”はムーア・マザーの『Sonic Black Holes』の隣に置きたい曲かもしれない。アリ・アップを思い出さずにはいられないコズミックなダブ空間“True Believer”のような曲もあれば、シャンガーンをやったレインコーツのような“No!”とか、どの曲にも面白いアイデアが詰まっている。最後の2曲、催眠的なリズムの“Renewal”、そしてアフロ版ビョークと形容できそうなクローサー“ Something Like Empathy ”もかなり良い。
 
 歌詞には、(反資本主義、インターネット文化の腐敗など)いろいろな意味が込められてるらしいが、ぼくにはわからないので割愛する。「この宇宙には、現在、未来、過去に存在する女性たちの社会があり、このアルバムはそのメタ・ストーリーのいち部です。彼女たちが見つけたもの、話しているもの、祝っているものを通して語られています」と彼女は『クワイエタス』の取材で話しているが、そのなかで、エビジは人種という概念は西欧の植民地主義が作ったものであることを強く説いている。黒人は白人から黒人と呼ばれたことで自分が黒人であることを認識するというこれは、学者ポール・ギルロイの「反人種(against race)」という考え方と同じで、彼女は植民地化される前のアフリカの音を収集し、作品のなかに注入にしている。これが彼女のいう「過去」から「未来」へという意味だ。
 ちなみに人種とはフィクションだとするギルロイの「反人種」なるコンセプトは、黒人性に特別な執着をもたなかったデトロイト・テクノ第一世代ともリンクしているのだが、アメリカでは受けなかったそうな。黒人社会学者W.E.B.デュボイスがいう「二重意識」、つまり他人の目を通して自己を見る感覚を内包しながら生きること、白人からの蔑称「ニガ」を逆手に取ってひとつの立派な芸(ラップ)にさえしているアメリカでは、それはたしかに夢見るユートピアも良いところ、理想主義的すぎる話だったのかもしれない。だが、いまここにその理想主義に準じるアート作品が生まれたという事実に、ぼくは密かに期待を寄せている。

Nick Cave & Warren Ellis - ele-king

 ザ・バッド・シーズやグラインダーマンという栄光がありながら、アーティストとしてさらに光沢を増しているニック・ケイヴとウォーレン・エリスのふたり。昨年はアルバム『Carnage』が多方面から高く評価された彼らが、その次に手がけたのが映画『ベルベット・クイーン ユキヒョウを探して』のサウンドトラックだった。

 もとよりこのふたりはいくつもサウンドトラックを手がけているのだが、今回は自ら「やりたい」と申し出たいわくつきの作品。しかも、チベット高地に生息する滅多に見ることができない動物、ユキヒョウを追い求める自然ドキュメンタリーとなると、いっしゅんピントが合わないザ・バッド・シーズのファンもいるかもしれないが、これがまた、ライ・クーダーの音楽が『パリ・テキサス』の一部であったように、ケイヴとエリスの歌とサウンドは『ベルベット・クイーン』とばっちり合っているのだ。この神秘的な自然を描写する映像の世界には、やはり一流の詩人が必要だし、その詩人の言葉と崇高な自然との溝を埋めることのできる一流の音楽家の腕前が必要だった。


 そんなわけで、これは音楽ファンもチェックして欲しい映画です。野生写真家と小説家のふたりの冒険を軸にした物語もじつに感動的で、最後に流れるニック・ケイヴの歌がまた泣かせる。
  8月27日から新宿K’s cinema 全国順次公開予定。詳しくはホームページをご覧ください。そういえば、グラインダーマンのジャケットは動物だった……
 


Takuma Watanabe - ele-king

 渡邊琢磨が10月1日、河口湖円形ホールにてライヴ公演をおこなう。
 昨年イギリスのレーベル〈Constructive〉よりリリースされた渡邊琢磨のアルバム『ラストアフタヌーン』と新作初演を、弦楽アンサンブルにドラマー山本達久を迎えた編成で演奏。またスペシャル・ゲストとして、ベルリンから次世代ECMを担う英国のピアニスト、オルガニスト、Kit Downes(キット・ダウンズ)と、ニューヨークからキップ・ハンラハンのディープルンバへの参加ほかで著名なキューバ出身ドラマー、Daphnis Prieto(ダフニス・プリエト)がリモートで参加する。

【日時】
2022年10月1日(土)
11:00〜21:00(予定)

【出演】
■12:00-13:15
地行美穂(vn1)波多野敦子(vn2)角谷奈緒子(va)橋本歩(vc)千葉広樹(cb)山本達久(dr) 渡邊琢磨(cond)Guest:Daphnis Prieto(drum)from New York ※海外オンライン出演

■19:00-20:15
渡邊琢磨アンサンブル
地行美穂(vn1)波多野敦子(vn2)角谷奈緒子(va)橋本歩(vc)千葉広樹(cb)山本達久(dr)渡邊琢磨(cond)Guest:Kit Downes(Charch organ)from Berlin ※海外オンライン出演

【会場】
河口湖円形ホール:https://stellartheater.jp/halls/enkei/
〒401-0304 山梨県南都留郡富士河口湖町河口3030
TEL:0555-76-8822
駐車場について:https://stellartheater.jp/halls/stellar/parking/

【料金】
1プログラム:¥5,000(前売)¥6,000(当日)
1日通し券 :¥10,000(前売)¥12,000(当日)
※チケット販売は2022年8月19日より

詳細:https://www.jjazz.net/jjazznet_blog/2021/08/post-89.php

Ryoji Ikeda - ele-king

 現在、青森で大規模な個展を開催中の池田亮司だが、12月に新作『ultratoronics』が発売されることになった。オリジナル・アルバムとしては2013年の『supercodex』以来、9年ぶりの作品となる。リリースに先がけ、10月15日(土)には渋谷WWW Xで最新ライヴも決定。新作ともども楽しみです。

池田亮司、『supercodex』以来約10年ぶりとなるオリジナルアルバム『ultratoronics』を2022年12月にリリース予定。
新作発表に先駆けた最新ライブセットを10月15日(土)WWW Xにて世界初演。

視覚メディアとサウンドメディアの領域を横断して活動する数少ないアーティストとして、国際的に活躍する池田亮司。
体験する者の知覚を揺さぶるライブパフォーマンスとインスタレーション作品は、唯一無二の圧倒的強度で常に世界から注目されている。
本公演は、知覚の極地を開拓し続ける池田亮司の、約10年ぶりとなるオリジナルアルバム『ultratoronics』リリースに先立って行われる最新ライブセット世界初演となる。

なお、池田は2009年以来となる国内美術館での大規模な個展を青森「弘前れんが倉庫美術館」にて現在開催中(8月28日まで)。
国内初展示となる《data-verse 3》や、約100年前に酒造工場として建造され2020年に美術館へと生まれ変わった建築空間にあわせて構成された作品など、貴重な作品が展示されている。

ultratronics [live set]のチケットは、8月10日18:00より先行予約受付を開始。
25歳以下のオーディエンスが購入可能な「U25チケット」も枚数限定で販売する。

Ryoji Ikeda
ultratronics [live set]

出演:池田亮司 / Ryoji Ikeda
日程:2022年10月15日(土)
会場:WWW X
開場/開演:19:30 / 20:30
料金:
・一般:¥5,000(ドリンク代別)
・U25:¥3,500(ドリンク代別) *枚数限定

チケット情報:
・先行予約 8月10日(水)18:00 〜 8月14日(日)23:59 ※先着受付
・一般発売 8月20日(土)10:00
・受付URL:https://eplus.jp/ultratronics1015/

※U25チケットは25歳以下のお客様がご購入可能なチケットです。ご入場時に年齢確認のため顔写真付き身分証明書の提示が必要となります。ご持参がない場合、一般チケットとの差額をお支払いいただきます。

公演詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/014756.php
問い合わせ:WWW X 03-5458-7688

[バイオグラフィー]

池田亮司 / Ryoji Ikeda
1966年岐阜生まれ、パリ、京都を拠点に活動。
国際的に活躍する作曲家/アーティストとして、電子音楽の作曲を起点としながら体験としてのアートを提示する。音やイメージ、物質、物理現象、数学的概念などの様々な要素の精緻な構成を用いて、見る者/聞く者の存在を包みこむライブ・パフォーマンス、インスタレーションを発表している。2018年に自身のレーベル「codex | edition」を立ち上げた。2022年には弘前れんが倉庫美術館にて大規模な個展を開催。アルスエレクトロニカがCERN(欧州原子核研究機構)と共同創設したCollide@CERN Award受賞(2014年)、第70回芸術選奨文部科学大臣賞(メディア芸術部門)受賞(2020年)。
www.ryojiikeda.com
www.codexedition.com

[リリース情報]

作品タイトル:ultratoronics
アーティスト名:Ryoji Ikeda
レーベル:codex | edition(国内盤) / NOTON(海外盤)
発売予定日:2022年12月

※詳細後日発表

David Sylvian - ele-king

 デイヴィッド・シルヴィアンが2010年にリリースした『Sleepwalkers』が、新装版となって蘇る。同作は彼が00年代に制作したコラボ楽曲などを集めた編集盤で、坂本龍一高木正勝フェネス渡邊琢磨藤倉大などが名を連ねているが、このたび2022年リマスター盤として、あらためてCDとLPで発売される運びとなった。未発表曲 “Modern Interior” も収録とのことで、要注目です。

孤高の音楽家デイヴィッド・シルヴィアンの00年代におけるコラボレーションやサイド・プロジェクト作品で構成されたコンピレーション、『スリープウォーカーズ』の改訂&リマスター版がCDおよび2枚組LPでリイシュー。未発表曲追加収録。

『ブレミッシュ』(2003年)と『マナフォン』(2009年)という二枚の強力きわまるソロ・アルバムを2000年代に発表したデイヴィッド・シルヴィアン。彼が同時期にクリエイトしたコラボレーションやサイド・プロジェクト作品のなかから最上のものを厳選した、2010年にリリースされて好評を博したコンピレーション『スリープウォーカーズ』に改訂、およびリマスターを施した新装版が登場。坂本龍一や高木正勝、クリスチャン・フェネス、渡邊琢磨、藤倉大といったアーティストとの作品、バーント・フリードマンとのプロジェクト、ナイン・ホーセスの作品等の16曲に加え、新たな未発表曲「Modern Interior」を追加収録。コンピレーションだからこそ、あらためてヴォーカリスト、デイヴィッド・シルヴィアンの圧倒的な存在感が際立っている。世界を一変させる唯一無二の歌声が、このコンピレーションに不思議な統一感をもたらしている。

《リリース情報》
ARTIST: DAVID SYLVIAN
Title: Sleepwalkers
アーティスト:デイヴィッド・シルヴィアン
タイトル:スリープウォーカーズ


[SHM-CD]
商品番号:PCD-27062
フォーマット:SHM-CD
価格:定価:¥2,970(税抜¥2,700)
発売日:2022年7月13日(水)
解説/歌詞・対訳付
2022年リマスター盤


[2枚組LP]
商品番号:PLP-7874/5
フォーマット:2枚組LP
価格:定価:¥6,050(税抜¥5,500)
発売日:2022年8月10日(水)
2022年リマスター盤
完全限定生産
輸入盤国内仕様

収録曲
01. Sleepwalkers
02. Money For All
03. Do You Know Me Now?
04. Angels
05. World Citizen - I Won’t Be Disappointed
06. Five Lines
07. The Day The Earth Stole Heaven
08. Modern Interior
09. Exit / Delete
10. Pure Genius
11. Wonderful World
12. Transit
13. World Citizen
14. The World Is Everything
15. Thermal
16. Sugarfuel
17. Trauma

Tonalism - ele-king

 きたる8月20日、渋谷PARCOの上階(SUPER DOMMUNE&ComMunE)で興味深いイベントが開催される。アンビエント・ミュージックとヴィジュアル・アートをオールナイトで楽しむ試みで、その名も「Tonalism」。ネットラジオ局のdublabが2006年から開催しているイベントだ。やけのはらやあらべえ、FUJI||||||||||TAらが出演、マシューデイヴィッドの収録ライヴ配信もあります。聴くもよし、観るもよし、寝るもよし、参加者各人思い思いの過ごし方ができるイベントのようだ(枕や寝袋も持参できる模様)。詳しくは下記をチェック。

LA発、オールナイト・リスニングエクスペリエンス「Tonalism (トーナリズム)」が日本初開催!

夕暮れから夜明けにかけて、風景画のように変化し続けるアンビエント・ミュージックとビジュアルアートの融合をロングセットで楽しむ「Tonalism (トーナリズム)」。渋谷PARCO10FのComMunEとROOFTOP PARK、9FのSUPER DOMMUNEの2フロアを往来しながら、異なる音響空間で瞑想的なライブミュージックを楽しめる、この日だけのスペシャルな環境となっている。前半は、SUPER DOMMUNEでのトーク、DJの配信も実施。LAからはSam Gendelらを輩出した〈LEAVING RECORDS〉を主宰し、dublabコミュニティの一員でもあるMatthewdavidのライブセットも収録配信が決定。ComMunEの特設会場では、日本屈指の才能を持つアーティスト、DJをキュレーション。ビジュアルは大阪が誇るビジュアルアート・ラボCOSMIC LABのColo Müllerが空間を変貌させる。Tonalismのコンセプトでもある、集団でのリスニングエクスペリエンスを実現する、初の試みに、ぜひ参加頂き、思い思いにフロアに座り、ときには寝ながら、夢と現実のはざまを行き交うマインドフルネスの世界に誘われてください。

参加アーティスト

AKIE
ATSUKO HATANO | 波多野敦子
COLO MÜLLER
FUJI||||||||||TA
MATTHEWDAVID(収録)
RAY KUNIMOTO | 國本 怜
SAKURA TSURUTA
TARO NOHARA
YU ARAUCHI+HIROKI CHIBA | 荒内佑+千葉広樹
YUSAKU ARAI | 荒井 優作
TOMOYA KISHIMOTO | 岸本 智也(ヴィデオエンジニア)

Tonalism
2022年8月20日(土) 20:00〜 8月21日(日)6:00
SUPER DOMMUNE + ComMunE | 渋谷PARCO
(〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO9F・10F)
一般(18歳以上)5,000円
https://tonalism2022.peatix.com
※完全限定販売、予定枚数終了しだい発売終了となります。

DOMMUE番組概要
2022年8月20日(土) 20:00〜 24:00
dublab.jp presents Tonalism「Collective listening experience」
at SUPER DOMMUNE(渋谷PARCO 9F)

<第一部> 「ユニークベニュー×アンビエント・ミュージックで創られる体験」
■司会 : 原 雅明(dublab.jp / rings)
■出演 : 齋藤 貴弘(弁護士、JNEA、dublab.jp)

<第二部> 「DJ for Tonalism 」
■DJ : TARO NOHARA、Akie

<第三部>「Special Live from LA」
■出演:Matthewdavid(収録)

主催:
株式会社トゥー・ファイブ・ワン
企画制作:
原 雅明(dublab.jp / rings)
玉井 裕規(dublab.jp / epigram inc.)
金子 和司(dublab.jp / epigram inc.)

協力: 
epigram inc. / GENELEC JAPAN Inc. / DOMMUNE / ComMunE / 渋谷PARCO / infusiondesign inc. /株式会社ティーアンドイー

【dublab.jpとは】
アメリカ、ロサンゼルスの非営利ネット・ラジオdublabの日本ブランチとして有志により2012年に設立された。世界中に多くのリスナーを持ち、絶大な支持を集めてきたdublabの協力のもと、日本独自の視点から、音楽、アート、カルチャーを紹介する放送やイヴェントをおこなっている。
https://dublab.jp

interview with Hudson Mohawke - ele-king

 トラップ(ラップ・ミュージックのではなく、ダンス・ミュージックのそれ)のヒットメイカーとしてハドソン・モホークが自身の名をメジャー・シーンにまで轟かせたのはいまから遡ることちょうど10年前、2012年のことだ。彼とモントリオールのプロデューサー、ルニスによって結成されたユニット TNGHT がリリースしたEP「TNGHT」は、2010年代初頭からトラップがビート・ミュージックから巨大なダンスフロアを沸き立たせるサウンドへと進化する過程を語るには欠かせない作品であり、そのサウンドの鮮やかさはいまもなお保たれている。2015年にはソロ名義では 2nd アルバムとなる『Lantern』をリリース、その後もカニエ・ウェスト、クリスティーナ・アギレラ、FKA・ツイッグスなど数々のビッグネーム・アーティストとのコラボや Apple のCMへの起用、ゲーム『Watch Dogs 2』のサウンドトラックを手がけるなど、フロアからデジタルな画面の中までをも席巻してきた。

 そして悪夢のようなパンデミックが世界中を襲った2020年、マッチョでクレイジーなアートワークが特徴の未発表音源集「B.B.H.E.」「Poom Gems」「Airborne Lard」のミックステープ3作品を突如リリース。この作品群にはビート・ミュージックやヒップホップ、IDMなどと自由度が高く、かつレイヴィーな彼のエッセンシャル的サウンドがみっちりと詰め込まれており、彼がビートメイカーの神童として登場してから、世界中のシーンを席巻するいちプロデューサーになるまでの道筋をリスナーに深く実感させたはずだ。そうして2020年代初頭も、ハドソン・モホークはサウンドの進化をじわじわと重ねながらユニークなアイデアを世に放出し、ついに2022年のこの夏、新作としては7年ぶりとなるニュー・アルバム『Cry Sugar』を引っ提げてエレクトロニック・ミュージック・シーンに華々しく帰ってきた。

 アメリカの退廃といった背景がある本作は、マシュマロマンとジャックダニエルの瓶が描かれたアートワーク、けたたましい彩度で次々と繰り出されるサイケなティザームービーは彼らしいユニークさがありながらもどこか薄暗さを感じさせる。アシッドでレイヴィーな “Bicstan” ではカオスに弾けながら、壮大なストリングスが響く “Lonely Days”、ブラック・ミュージックからのインスピレーションが感じられる “3 Sheets To The Wind” ではメロディアスな側面を垣間見せ、7年の間にアップデートされたサウンドの裏に潜む彼の心象が伺えるだろう。

 カオスな現実に対して独自のレイヤーを高精細に投影し、創造性を体現するハドソン・モホークが今日のシーンに示すものは一体何か。この10月には来日も決定し、待望の帰還を果たす彼に話を聞いた。

人気のレコードを作ることに成功すれば、それを再び作ることはもちろん難しくはない。でも、創造的に自分が面白いと思うことができ、満足できるものを作るためには、そのアプローチじゃダメなんだ。

今年で自身としてはデビューEPのリリースから14年、TNGHT としてのデビューから10年とアーティスト活動の節目を迎える頃になります。ファースト・アルバムのリリースや(“Chimes” が) Apple のCMで起用されたこと、ゲーム『Watch Dogs 2』のサウンドトラックを手がけるなどいくつかのターニング・ポイントがあったと思います。この十数年の軌跡をどのように振り返りますか?

ハドソン・モホーク(以下HM):多くを学んだ10数年だったと思う。いい意味で、成功するぞという意欲に駆り立てられて突き進んできた10数年だったと思うね。僕はすごくシャイな性格だから、本当は積極的に何かをやるタイプではないはずなんだけど、仕事に関しては成功したいという大きな向上心を持っていたんだ。金銭的な成功というよりは、音楽で自分のメッセージを伝えられるようになりたいという成功。活動の中で起こったことのいくつかは、僕の想像をはるかに超えたものもあったね。良い意味でも悪い意味でも。この10数年内には、すごくエキサイティングな瞬間もあったし、同時に、こんなことになるなんて、と、自分が行きたくない方向に物事が進むこともあった(笑)。でもまあ、人生ってそういうものだから仕方がない(笑)。

ロックダウン中はどのように過ごしていましたか。住んでいたのはLAでしょうか? 当地の状況を教えてください。

HM:ロックダウンの直前に、パンデミックが起こるとは知らずに、LAに自分のスタジオを買ったんだ。でも、そのタイミングは良かった。家の他に時間を過ごす場所を持つことができたからね。誰かに会う必要まではなかったけど、もしそのスタジオを持っていなかったら、ずっと家にこもりきりになってたと思う。家以外どこにも行けなかった人たちは、本当によくやったと思うよ(笑)。期間中はほとんどLAにいたけど、イギリスにまた入れるようになった段階で、すぐ戻ったんだ。僕の姉妹がコロナ期間中に子どもを産んだけど、ずっと会えていなかったから。僕にとって初の姪っ子なんだけど、彼女が1歳になるまで会えなくてさ。でも、ロックダウン中にLAにいられたのはよかったと思う。あの街は開放感があって、閉じこもるのに悪い場所じゃないからね。

パンデミック下の2020年にリリースされた未発表音源集「B.B.H.E.」「Poom Gems」「Airborne Lard」のミックステープ3作品はあなたのビート・ミュージックやヒップホップ、IDMなどといったサウンドのエッセンスが多彩に詰め込まれているように感じました。あのタイミングでリリースに至った経緯を教えてください。

HM:もう何年も、未完成のトラックがいろいろなハードドライヴにたくさん放置されていたんだ。それをわかってはいたんだけど、まあ、もうそれらのトラックを完成させることはないだろうなと思っていた。忙しくて時間がないし、何か劇的なことが起こらない限り、そのための作業をすることはないだろうって。でも、パンデミックという劇的な何かが起こって、作業をする時間ができた、というわけ。その曲の中には、ライヴやラジオでだけ披露したことがあるものもあって、周りから「あの曲はどうなったの?」なんて聞かれることもけっこうあったんだよね。だから、完全な自由な気持ちで新作作りに挑みたければ、そういった曲の数々をまず世に送り出す必要があると思った。外に出して処分するってわけじゃないけど、振り返って作業すべきものがあるっていう気持ちを持ったまま新しい作品にとりかかるのは少し落ち着かなくて。まっさらなクリーンな気持ちで新作にとりかかりたかったから、あのミックステープをリリースして、まずは気持ちをリセットすることにしたんだ。

状況から目をそらして、全てがうまくいっているようなフリをするレコードは作りたくなかった。物事がうまくいっていないことは事実で、いま世界はゾッとするような状況下にある。僕は、それを認識しつつも希望を抱くようなアルバムを作りたかったんだ。

いま現在の(ダンス・ミュージックの)トラップは、10年代にシーンで勃興した初期に比べ、ビート・ミュージックの文脈からメインストリームのヒップホップやダンス・ミュージックにも浸透し、かなり異なるサウンドへと進化を遂げたように思います。EDMやヒップホップに影響を与えたトラップ・ミュージックの立役者としてあなたの名が挙げられることが多々ありますが、進化過程をどのように見つめていたか興味があります。

HM:僕がルニスと曲を作りはじめたとき、トラップ・ミュージックはラップの一種とみなされていた。当時はまだEDMではなくて、ラップ・ミュージックのサブジャンルだったんだ。だから、僕自身はEDMとしてのトラップがあまりしっくりこないんだよね。僕とルニスが作った最初のレコードは、あれは偶然でき上がったとさえ言える作品で、ふたりでただ楽しみながら音楽を作っていた結果でき上がったのがあの TNGHT のアルバムなんだけど、あれを作っていたときは、あの作品をパフォーマンスしたいとか、人にどう受け取って欲しいなんて思ってもみなかった。でもリリースされると、これまた偶然人気になってしまった。もちろんそれは嬉しいことだったよ。でも、そのあとあれと同じ音楽を作ることを人びとから求められるようになってしまって、僕はそこにフラストレーションを感じるようになってしまったんだ。そして結果的に、トラップ・ミュージックはジャンルとしての進化が止まってしまったと思う。フェスティヴァルで盛り上がるエキセントリックな音楽になってしまってからは。トラップ・ミュージックといえば花火、みたいになってしまったし、男性アーティストが中心になった。あのときは、僕もルニスも、これは自分たちが進みたい方向じゃないなと思ったね。あれはもう、僕たちがアルバムを作っていたときに作りたいと思っていた音楽とは方向が全然違ってしまっていたから。だから僕たちは、少し距離を置くことにしたんだ。トラップというものが、もう何なのかわからなくなってしまったから。もちろんトラップは僕のキャリアの一部であり、ディスコグラティの一部でもある。でも、僕は自分の音楽がトラップだと認識される必要はないと思っているし、僕は新しいアイディアで、あのときの音楽とは全く違うものを作りたいと思ってる。人気のレコードを作ることに成功すれば、それを再び作ることはもちろん難しくはない。でも、創造的に自分が面白いと思うことができ、満足できるものを作るためには、そのアプローチじゃダメなんだ。同じことを繰り返さず、何か新しいものを作ってこそ、自分の創造性を満たすことができる。所属しているレコード会社が自由に好きな音楽を作ることを認めてくれているのは、すごく幸運だと思うね。あと20年同じレコードを作りつづけろ、なんてレーベルもきっとあると思うから。

前作『Lantern』はポップ・シーンを席巻するハウシーな要素だけでなく、ここ数年のベース・ミュージックやハイパーポップなどに繋がる要素も含まれているかと思います。近年のシーンの流れを踏まえ、前作からどのように制作軸やサウンド面がアップデートされていったか教えてください。

HM:それをどう思うかは聴く人次第だとは思う。僕自身は、自分が作る音楽の核は変わらず存在しつつ、少しだけ洗練されたと感じるかな。今回のアルバムでは、他のプロジェクトの中でさえも試したことのないサウンドに挑戦してみたりもしたからね。生演奏をここまでフィーチャーしたことも初めて。これまでそれをやってこなかったのは、自分の音楽がシンセやサンプルベースだったから。だから、ここまで生演奏をフィーチャーしていると、今回のサウンドを嫌う人も必ずいると思う。でも、やっぱり僕にとっていちばん大切なのは、自分自身が納得のいくサウンドを作ることなんだ。

今作はハウスやUKG、ガバ~ハードコアといった様々なダンス・ミュージックの要素がありつつ、一方ではアッパーなだけでない側面も感じさせますよね。改めてアルバムのコンセプトを教えてください。

HM:コンセプトはひとつではないんだけど、メインのひとつを説明すると、いま僕たちは、怖くて、気が遠くなるような世界の中に生きているけど、その状況から目をそらして、全てがうまくいっているようなフリをするレコードは作りたくなかった。物事がうまくいっていないことは事実で、いま世界はゾッとするような状況下にある。僕は、それを認識しつつも希望を抱くようなアルバムを作りたかったんだ。

アルバムの制作はいつ頃からはじめましたか? 構想のインスピレーションを受けたものなどがあれば教えてください。

HM:制作をはじめたのは、たぶん2020年の初めだったと思う。インスピレーションというか、僕がつねに意識していたのは、自分自身の鳥肌が立つようなサウンドを作ること。パンチが効いて、明るくて、エキサイティングでありながら、効いた瞬間にゾクッとするような作品をイメージしながら作業したんだ。例えば、高揚感のあるサウンドと30秒間の奇妙なインタールードが組み合わさっているとかね。自分自身が聴きたくなるような、自分自身がその展開に驚かされるような作品を作るというアイディア、自分自身を驚かせたいという気持ちが、アルバムのインスピレーションだったと思う。

制作中に気になったトピックやアーティスト、作品は何かありますか? あるいは制作期間だけでなく、近年気に入っているアーティストや作品があれば教えてください。

HM:おもに聴いていたのは、ライラ・プラムク(Lyra Pramuk)の『Fountain』っていうアルバム。アルバムを聴いて泣くなんてめったにないんだけど、あのアルバムを聴いたときは涙が出た。ドラムもシンセも使われていなくて、アルバム全体がひとりの人間の層でできているんだ。まるで聖歌隊みたいなんだけど、人数はひとりだけ。あのアルバムは本当にたくさん聴いたな。自分のアルバムにも少しは影響していると思う。10分間の曲なんかもあって、聴いたらきっと気に入ると思うよ。是非チェックしてみて。

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自分自身が聴きたくなるような、自分自身がその展開に驚かされるような作品を作るというアイディア、自分自身を驚かせたいという気持ちが、アルバムのインスピレーションだったと思う。

アルバム・タイトル「Cry Sugar」は70年代のソウル・グループであるダイソンズ・フェイシズに由来しています。その曲をサンプリングした “3 Sheets To The Wind” のように、アルバムではソウルやゴスペルのサンプル、浮遊感のあるヴォーカルがユニークに織り交ぜられています。かつてなくブラック・ミュージックへの愛を表現している作品のようにも思えましたが、それは2020年の事件が関係していますか?

HM:2020年の事件に関係しているかはわからないけど、僕自身は、さっきトラップのEDM化の話をしたけど、そういった音楽や TNGHT の音楽にソウルフルな要素が欠けているからなんじゃないかと思う。トラップって、けっこう白人化してしまったと思うんだよね。TNGHT 以外の僕の音楽は、これまでもラップやヒップホップといったソウルフルな音楽の影響がたくさん反映さていた。でも、TNGHT の僕だけを知っている人たちは、僕の音楽のその側面を知らないんじゃないかと思う。だから、その僕の音楽の根源的なものを見せようとした部分はあったと思うね。

今作の制作プロセス、機材面などは以前に比べて何か変化はありましたか?

HM:これまでとは少し違ったんだ。LAにいる何人かの友人のひとりが、TV・オン・ザ・レディオのメンバーのデイヴ(・シーテック)なんだけど、彼とはすごく親しくて、僕も彼もふたりとも機材オタクでさ(笑)。ロンドンでは彼みたいな友だちはいなかった。僕はつねに違う機材を試したいタイプなんだけど、ロンドンでは同じタイプの人があまりいなくて。でもLAでデイヴに出会った。彼は、試したい機材があると即手に入れるんだ(笑)。まるでおもちゃで遊ぶかのように、いろいろな機材を散りばめ、それを使いこなす彼を見ているのは刺激的だったし、僕は彼の機材を使えたおかげで新しい機材にお金を使わなくてすんだから、すごく良かった(笑)。

アルバム・リリース後、どのようなパフォーマンスをしていきたいと考えてますか?

HM:あのとき、もうツアーはやりたくないと思ったんだ。毎日がパーティーだったし、気分的にもあまりいい状態ではなかったから。でも、しばらくそれから離れたおかげで、またツアーをやるのがいまはすごく楽しみになった。音楽シーンや音楽文化の動きや変化はものすごく早い。5、6、7年ギグをしてなかったり、アルバムをリリースしていないと、オーディエンスもガラっと変わっていると思う。だから、いまライヴをするということがどういう感じなのかをこの目で見て体感するのがすごく楽しみなんだ。10月には日本でもショーがあるし、ヨーロッパでもいくつかフェスに出る。いまいちばん興奮しているのは、それがどんなショーになるかがまったく予想できないこと。何が起こるか、どんなショーになるのかが全くわからない。それはもちろん強くもあるけど、同時に楽しみでもあるんだよね。

パンデミックの状況を鑑みつつ、各所でフェスやイベントが再開されていますが、パフォーマンスにおいてムードの変化は感じますか?

HM:フェスにはいくつか行ったけど、変化を感じたかどうかはなんとも言えないな。実際のところムードがどんな感じか、判断するのがすごく難しいと思う。またショーが再開して皆やっと普通に戻りそれを楽しんでいるように見えるけど、なんとなくそこには心配もまだ隠れているような感じがする。だからわからないな。完全に前のように戻るには、もう少し時間がかかりそうな感じはするね。

トラップって、けっこう白人化してしまったと思うんだよね。TNGHT 以外の僕の音楽は、これまでもラップやヒップホップといったソウルフルな音楽の影響がたくさん反映さていた。でも、TNGHT の僕だけを知っている人たちは、僕の音楽のその側面を知らないんじゃないかと思う。

“Lonely Days” はストリングス使いが印象的で、アルバム全体のなかで浮いているように感じました。「孤独な日々」という曲名ですが、ご自身の体験が反映された曲でしょうか?

HM:そうだね。もちろんパンデミックもその一部だけど、LAで数年暮らして感じた孤独も反映されているんだ。LAって広大な場所で、果てしなく広がっているから、ときには誰にも会わない日があったりもするんだよね。LAは、友だちに会いたいと思ったときに、サッと会いにいけるような環境じゃない。みんなお互い遠くに住んでいるし、僕はLAに越してきたときは車が運転できなかったから、なおさら大変だった。だから、最初の数年はものすごく孤独を感じたんだよね。それが映し出されているんだ。

パンデミック下では多くのアーティストが自己内省の機会を得ていましたが、自身も過去やキャリアを振り返ることはありましたか?

HM:いつもだったら、周りが動き続けているから、人ってなかなかそういう機会はないよね。でも良い意味で、僕らは今回そのチャンスをもらえた。だから僕もここ10数年のことを振り返ったし、最初に話したように、良い意味で想像を超えたこともあれば、悪い意味で想像を超えたこともあったな、と考えていたね。

パンデミックの影響で制作やライフスタイルに大きな変化はありましたか?

HM:僕は、いままで早起きを楽しんだことなんて一度もなかった。これまでは早起きが大嫌いだったのに、パンデミックに入ってから、朝方人間になって、それを楽しむようになったんだ。自分でもびっくりだよ。

今作では楽観主義と持続可能性を強く意識し、ご自身も健康面を優先されているとのことですが、日頃から健康面で実践していることは何かありますか?

HM:ははは(笑)。それってプレスリリースに書いてあった? あれは僕の友だちが書いたんだけど、あの資料のほとんどはでっちあげなんだ(笑)。超真面目なプレスリリースにうんざりしちゃってさ。無理やり賢くきこえるような文章を書いたりとか。だから、でっちあげの方が面白いんじゃないかと思ったんだ(笑)。一応早起きはしてるけどね(笑)。あとはときどきジムに行く。

今回のアルバムでいちばん好きな曲は “Bicstan” なのですが、クラシックなハウスの旋律が根底にありながらもリズミカルなガバキック、フーバー音やアシッド音などレイヴィーな要素が散りばめられています。ここ近年ではレイヴ・カルチャーのリヴァイヴァルの流れが生まれてきていますが、あなたにとってのレイヴ・カルチャーとは何ですか?

HM:レイヴ・ミュージックは、ラジオから流れてくるポップの次に僕が最初に夢中になったアンダーグラウンドの音楽。かなり前の話だね。レイヴ・ミュージックにハマったのは9歳とか10歳のときだった。1995年くらいかな。僕には年上の従兄たちがいて、彼らが皆パーティーに行ってたんだ。それに影響を受けてレイヴ・ミュージックが大好きになったから、僕の音楽はもう長いことレイヴ・ミュージックにインスパイアされてる。あのサウンドとエナジーは、僕のハートのそばにずっとあるもの。いまレイヴ・ミュージックのリヴァイヴァルが起こっているのはちょっと変な感じがするけど、流行りに関係なく、レイヴ・ミュージックはずっと僕の一部なんだ。

通訳:ありがとうございました。

HM:ありがとう。10月に日本に行けるのを楽しみにしているよ。

[ハドソン・モホーク来日情報]

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SPECIAL GUESTS
HUDSON MOHAWKE (DJ SET)
DAITO MANABE

10/25 (TUE) 梅田 CLUB QUATTRO
10/26 (WED) 名古屋 CLUB QUATTRO
10/27 (THU) 渋谷 O-EAST
10/28 (FRI) 渋谷 O-EAST

イベント詳細はこちら:
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