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Prison Religion

HardcoreNoise

Prison Religion

Hard Industrial BOP

UIQ

Bandcamp

野田努 Aug 18,2022 UP

 なははは、愛の夏ならぬ怒りの夏だった。やかましい。なんてやかましいことか。これでは眠れないぞ。たたでさえ眠りが浅いというのに、本当に止めて欲しい。が、しかし彼らは手加減などしなかった。この夏、耳を塞ぎたくなるノイズを高々と鳴らしていたのは、ヴァージニア州リッチモンドのパーカー・ブラック(Poozy)とウォーレン・ジョーンズ(False Prpht)のふたり、UKのリー・ギャンブルのレーベル〈UIQ〉からリリースされた、牢獄宗教(プリズン・レリジョン)という名の彼らのプロジェクトによる最新アルバムだった。
 「プリズン・レリジョンを聴くことは、体制を転覆させるために必要な素早い反射神経を身につけるために神経系を鍛えるようなものだ」と書いたのは『Wire』誌だが、こやつらは、ディストピアであることがもはや当たり前になってしまっている現状から目をそらさず、それをよしとしている体制に本気で怒っているのだ。現実社会で人びとが強いられている制度的な苦しみに共鳴し、戦闘的なマシンガン・ビートを打ち鳴らす。超アグレッシヴな周波数を発信し、ノイズまみれのラップ……いや、もはやラップではない、ほとんど原始的な叫びに近い声で訴える。(しかも、複数の評者が指摘していることだが、クラブ・サウンドともリンクするこのサウンドは決してマッチョではないのだ)

 悪酔いしそうなこの圧倒的な音楽を、本人たちはアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの1957年のアルバム、『ハード・バップ』に重ねている。同じように、プリズン・レリジョンの『ハード・インダストリアル・バップ』も時代への挑発であると。あるいはまた、彼らはこの激ハードなエレクトロニック・ノイズ・アルバムを、避けては通れない、作らなければならなかった作品としても見ているようだ。まあ、なんとかなるでしょ、などと彼らはのんきなことを考えていないという、それを音で表現したらこうなったと。当たり前の話だが、怒りはとは愛と裏表の関係にある。ノイズ音楽を聴いて涙した経験がある人にはわかるだろう。だからこれは感動的な作品でもあって、いや、しかしそれにしてもやかましいんだが。

野田努