「ele-king」と一致するもの

COTTON DOPEの手記 - ele-king

MC KHAZZ x DJ HIGHSCHOOL “WHITE GIRL”

 「I'M YA BOY E.P」 いつもいるやつ。
 そう題されたEPのリリースされる前。人に会うたびに「HIGHSCHOOLとMC KHAZZの聴いた?」と興奮気味に聞かれた。BUSHMINDやDJ HOLIDAYがPLAYしていてフロアで聴きながらテンションが上がった。血湧き肉躍るサイケデリックなHIP HOPは確実に2018の音楽をアップデートしたと言える。先日リリース前に行われた池袋BEDでのライヴでは空気を一変させ、CLUB内の空間が沸騰して歪みながら上がった。
 DJ HIGHSCHOOL。東京のDJ集団、SEMINISHUKEIに所属。DJ、トラックメーカー。BUSHMINDやSTARRBURSTとのトリオBBHとしても活動。ERA、O.I.、STARRBURSTとのグループD.U.O TOKYOではラッパーとして活動。DJ HIGHSCHOOL、BBHともにSTRUGGLE FOR PRIDEの2ndアルバム「WE STRUGGLE FOR ALL OUR PRIDE」に参加している。
 MC KHAZZ。東海のHIP HOP集団、RCslumに所属。ラッパー。同じく東海のラッパーMIKUMARIとの与太BROS、RCslumのボスATOSONE、MIKUMARIとのM.O.S. (MARUMI OUTSIDERS ) で不定期なグループ活動も展開。「WE STRUGGLE FOR ALL OUR PRIDE」にもコーラスで参加している。
 交差しそうで交差しない路もあれば、交差しなそうで交差する路もある。とても普通で数奇に満ちた日常の出来事。「いつもいるやつ」同士であるDJ HIGHSCHOOLとMC KHAZZの話。

 「I’M YA BOY」というタイトルはどこから来たのだろうか?

DJ HIGHSCHOOL:I’M YOUR BOY。いつもいるやつっていう。お互いのクルーでの立ち位置っていう。そういう意味ですね。

 横でMC KHAZZがうなずく。出会いのきっかけを聞けばみんながうなずくはずだ。

H : MC KHAZZの存在が一番強く意識されたのは、ATOSONEの店 ( STRANGE MOTEL SOCIAL CLUB ) の前で全員溜まってて、ちっちゃいテーブル出して、赤と白のSOPRANOSテーブルクロスの上に、ブートのDVDを出して、カズオくんが帽子すごい被り方して売っていて。

MC KHAZZ : あれなんなんでしょうね?  あ、バカがいる笑?

H : 勝手に占拠してた時期ありましたよね。売ってたのブートですよね?

K : うんブート。

 肯定するわけではないけれどHIP HOPにはブートを売る文化がある。路上にはブートを売る文化がある。というのはまぎれもない事実だ。何気ない会話が続いていく。

H : MOPのご近所紹介ビデオで、ブート売ってるやつを袋に入れて叩き割るっていう。

K : ありましたねー。

H : 文化的にあれすごいなっていう。

K : お前おれのブート売ってんじゃねーよ。の下り、笑

H : あれやらせでしょ。

K : バッド持ってうろついてますよね。

 ブートビデオのくだりは、人が集まってる時にみんなでうなずいたり、あーでもないこーでもないという話で盛り上がるんじゃないだろうか?実際、この記事を書くために集まってもらった時にDJ HOLIDAYや THE TORCHESのメンバーもいて、話が広がっていった。

 DJ HIGHSCHOOLはCAMPANELLAのアルバム『vivid』にトラックを提供。自身の1stアルバム『MAKE MY DAY』ではCAMPANELLA, TOSHI MAMUSHI, NERO IMAIを東海より招き楽曲を制作している。DJ BISONとのDJユニット「FOOT CLUB」では名古屋でRCslumが開催するパーティー「METHODMOTEL」に多数出演しており、東海との交流が深い。
 MC KHAZZはMIKUMARIやATOSONEと共にフライヤーにクレジットされていなくともクラブで騒ぎ、ステージの上に飛び乗り、飛び降りスピットする。
 お互いの横では東京と東海の仲間が大きな声で笑い騒ぐ。彼らのいるパーティーに行ったことのあれば、お馴染みの上がる光景だ。自然過ぎて二人も出会いの瞬間を忘れていた。

H : 名古屋で会ってると思うんですよ。FOOT CLUBで出た時に。

 出会いに関しては、彼等の「YA BOY」も覚えてないようで、色々な説がある。「YA BOY」があげるエピソードはことごとく二人に違うって言われるのが興味深い。
 MC KHAZZとDJ HIGHSCHOOLはどのようにしてこのEPを作るに至ったのだろうか?この答えは二人とも明確に答えてくれた。

H : 名古屋で MC KHAZZの車に乗ったんですよ。それでMC KHAZZのアルバム「SNOW DOWN」のSTART ME!!を聴かせてもらって。

K : 出来上がってHIGHSCHOOLにもトラックを提供してもらってたので、聴いてもらおうと思って。

H : そしたら公園に着いてて。MC KHAZZが「ここでタイマンはったんすよ」ってぶっこんできて。

K : タイマン公園笑
 ほんとにたまたまっす笑

H : 気づいたら流れてる音楽がDIPSETに変わってた笑

好きなアーティスト、曲から話が広がって行く。

H : SNOWDOWN」があってその中の曲を(NYのBOBBY SHUMUDAのHOT NY SHIT)「HOT NIGGA」のオケでライヴでやってるの観て、熱いってなって。「SNOW DOWN」はBOOM BAP的な所もあるんで、そことの間になるような曲を作りたいと思って始めました。ライヴ映えすることを意識してる。

THE TORCHES:CHILLな要素もあるよね。現行のCHILL。今のLAとNYのCHILLの間

 的確な言葉を仲間が当てはめて。みながうなずく。EPの話に自然と流れて行く。

H : DIPSETが好きなのもそういうのがあって。南部のノリ入ってるじゃないですか?(DIPSETはHARLEMだけじゃなくてSOUTH出身のメンバーもいる)

K : 自分的にはSANTANAとFABOLOUSなんですよね。設定としては。

H : ラッパー同士ってどういうこと?トラックメーカーとラッパーのアルバムなんだけど、、、!

THE TORCHES:現行のCITY SOUNDだよね。トラップでもなくまた新しいもの。

H : BPM的にトラップのように遅くなりすぎないっていうのは意識して作ってます。

K : 短期間で作ってて、レコーディング自体が一ヶ月くらいで終わってるんですよ。

H : レコーディングしたものをこっちでEDITして、名古屋でMIXとMASTERINGをしてもらってますね。

 距離がある中でのレコーディングも「YA BOY」はスムーズに進める。「YA BOY」だから合流したくもなる。EP収録のHIGHSCHOOLのラッパー名義であるOS3が印象的なHOOKを歌う「CLOUDIN‘ AT KITCHEN」のエピソードを話してくれた。

K : HIGHSCHOOLの家でタバコ吸う場所がキッチンなんですよ。で、キッチンで一緒にやろうってなって。 HIGHSCHOOLの家のキッチンで炊くっていうそのままの曲なんですよね。

H : あれ、ERAくんに機材持ってきてもらって自宅でレコーディングしてるんですよ。MAX B(DIPSETのメンバーで現在超長期間で刑務所に収監中のOGラッパー)を意識してます。今も突っ込まれたっすけど、MAX Bって言うと全員違うと言われるんで違うかもしれないですね笑

 PVになっている「WHITE GIRL」は分かりやすい。かもしれない。

K : 綺麗な表現です。わかってますよ笑 露骨な表現というか、、、笑

H : 最近良くある誇示する感じではないんですよね、、、答えにくい笑 汚らしくはないと思います。

K : なるべくクールな表現をしたいっていうのはあるんすよね。$NOWPY…ユーザーラップ!

 それぞれの1stアルバムは「YA BOY」が親交の深い地域から集結した作品に対して今作はトラック、ラップ共にゲストはいるものの1ON1を意識した作品だと2人が口を揃えて言う。どんなシュチュエーションで聴くのがオススメだろう?

H : 車で聴いてほしいですね。

K : 夜ですね。春夏の夜の週末というか、

H : 首都高の湾岸ですかね。お台場ら辺。その先行くといつも混んでる所あるから。

K : 名古屋高速。環状ラインですね。

 違う街でも共有できるシュチュエーションに話は仲間を巻き込みながら盛り上がって行く。トピックを変えながら、回っていく。自然とEPリリース後の話へと進んで行く。

H&K:ツアーをやりたい。お誘い待ってます。

各地の「YA BOY」に未来の「YA BOY」が待っている。HIP HOPの重要なメッセージである「UNITY」が「YA BOY」達が遊んでる光景を見て伝わる日が色濃く盛り場に浮かんだ。

MC KHAZZ live at UNIT


MC KHAZZ x DJ HIGHSCHOOL (MC カズ xDJ ハイスクール)
I'M YA BOY E.P (アイム・ヤ・ボーイ・EP)
RCSLUM RECORDINGS RCSRC017

CD (国内盤)
1,800 円(税抜) + 税

Oneohtrix Point Never - ele-king

 最新アルバム『Age Of』の興奮冷めやらぬなか、同作収録曲“The Station”のデモ音源をTwitterにて公開し話題となったOPNですが(アッシャーのために書かれながらも却下されたという音源ですね)、それとほぼときを同じくして、新たなデジタルEP「The Station」と12インチ「We'll Take It」のリリースがアナウンスされました。共通の未発表曲が2曲収録されるとのこと。チェックしておきましょう。

ONEOHTRIX POINT NEVER
未発表音源を含む最新デジタルEP「THE STATION」の配信を発表!
原型となったアッシャー用のデモ音源も合わせて公開
さらに最新12”「WE'LL TAKE IT EP」もリリース決定!

ジェイムス・ブレイクやアノーニら豪華アーティストが参加し、気鋭デザイナー、デヴィッド・ラドニックが手がけた特殊なパッケージも話題の最新アルバム『Age Of』が好評のワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(以下OPN)が、アルバム収録曲“The Station”と未発表曲を収録したデジタルEPと、同じく収録曲“We'll Take It”と同未発表曲を収録した12” EPを7月27日(金)に同時リリースすることを発表した。現在ミュージック・ビデオも制作中という“The Station”は、もともとアッシャーのために書いたデモ音源がベースになっており、却下された音源をメッセージ付きで本人が公開したことも話題となっている。

Oneohtrix Point Never - The Station
https://opn.lnk.to/TheStation

2016年、アノーニとのツアー中にロンドンのホテルで書いたデモ音源で、当時“dejavu”と呼んでたもの。これが後に“The Station”になったんだ。この主旋律はもともとアッシャーのために書いたもので、ここでは右手のメロディーと合わせてある。最終ヴァージョンには異なる主旋律も加えて、ループしたコーダ(終結部)は線路のメタファーになってる。2016年の時点ではただのナイスなコードとメロディだったんだ。いますぐダウンロードしたほうがいいよ、間違いなくすぐ削除されるだろうから。
- Oneohtrix Point Never
https://twitter.com/0PN/status/1016366514394583041

デジタルEP「The Station」と12” EP「We'll Take It」には、同じ3曲が追加収録される。1曲は国内盤のボーナス・トラックでもある“Trance 1”で、もともとはボイジャー探査機の打ち上げ40年を記念して制作された映像作品「This is A Message From Earth」に提供されたもの。加えて“Monody”と“Blow by Blow”という完全未発表の2曲が収録される。

先日7月7日には、大型会場パークアベニュー・アーモリー(Park Avenue Armory)で開催されたニューヨーク3公演に続いて、ロンドン公演が行われ、英ガーディアン紙が5点満点の最高評価を与えている。すでに決定している東京とロサンゼルスに加え、また新たにパリ公演の開催も決定した。日本で初めてバンド編成でのパフォーマンスを披露する一夜限りの東京公演(Shibuya O-EAST)。売り切れ必至のチケットは、各プレイガイドにて現在絶賛発売中。


公演日:2018年9月12日 (WED)
会場:O-EAST

OPEN 19:00 / START 19:30
前売¥6,000(税込/別途1ドリンク代) ※未就学児童入場不可

絶賛発売中!
チケット取扱い:
イープラス [https://eplus.jp]
チケットぴあ 0570-02-9999 [https://t.pia.jp/]
ローソンチケット (Lコード:72937) 0570-084-003 [https://l-tike.com]

企画・制作: BEATINK 03-5768-1277 [www.beatink.com]

https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=9577


label: Warp Records
artist: Oneohtrix Point Never
title: The Station

iTunes Store: https://apple.co/2N63s9j
Apple Music: https://apple.co/2L02Nce
Spotify: https://spoti.fi/2m9Mc7L

1. The Station
2. Monody
3. Blow by Blow
4. Trance 1


label: Warp Records
artist: Oneohtrix Point Never
title: We'll Take It

release date: 2018/09/27 FRI ON SALE

輸入盤12inch (WAP424)
国内流通100枚限定!

[ご予約はこちら]
https://bit.ly/2Jd54Me

A1: We’ll Take It
A2: Monody
AA1: Blow by Blow
AA2: Trance 1


label: Warp Records / Beat Records
artist: Oneohtrix Point Never
title: Age Of

release date:
2018/05/25 FRI ON SALE

国内盤CD BRC-570 定価:¥2,200+税

国内盤CD+Tシャツ BRC-570T
定価:¥5,500+税

【ご予約はこちら】
beatink:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=9576

amazon:
国内盤CD https://amzn.asia/6pMQsTW
国内盤CD+Tシャツ
S: https://amzn.asia/0DFUVLD
M: https://amzn.asia/4egJ96i
L: https://amzn.asia/g0YdP88
XL: https://amzn.asia/i0QP1Gc

tower records:
国内盤CD https://tower.jp/item/4714438

iTunes : https://apple.co/2vWSkbh
Apple Music : https://apple.co/2KgvnCD

【Tracklisting】
01 Age Of
02 Babylon
03 Manifold
04 The Station
05 Toys 2
06 Black Snow
07 myriad.industries
08 Warning
09 We'll Take It
10 Same
11 RayCats
12 Still Stuff That Doesn't Happen
13 Last Known Image of a Song
14 Trance 1 (Bonus Track for Japan)


ALBUM CREDITS -

Written, performed and produced by Oneohtrix Point Never
Additional production by James Blake

Mixed by James Blake
Assisted by Gabriel Schuman, Joshua Smith and Evan Sutton

Mix on Raycats and Still Stuff That Doesn’t Happen by Gabriel Schuman

Additional production and mix on Toys 2 by Evan Sutton

Engineered by Gabriel Schuman and Evan Sutton
Assisted by Brandon Peralta

Mastered by Greg Calbi at Sterling Sound

Oneohtrix Point Never - Lead voice on Babylon, The Station, Black Snow, Still Stuff That Doesn’t Happen
Prurient - Voice on Babylon, Warning and Same
Kelsey Lu - Keyboards on Manifold and Last Known Image Of A Song
Anohni - Voice on Black Snow, We’ll Take It, Same and Still Stuff That Doesn’t Happen
Eli Keszler - Drums on Black Snow, Warning, Raycats and Still Stuff That Doesn’t Happen
James Blake - Keyboards on We’ll Take It, Still Stuff That Doesn’t Happen and Same
Shaun Trujillo - Words on Black Snow, The Station and Still Stuff That Doesn’t Happen

Black Snow lyrics inspired by The Cybernetic Culture Research Unit, published by Time Spiral Press (2015)
Age Of contains a sample of Blow The Wind by Jocelyn Pook
myriad.industries contains a sample of Echospace by Gil Trythall
Manifold contains a spoken word sample from Overture (Aararat the Border Crossing) by Tayfun Erdem and a keyboard sample from Reharmonization by Julian Bradley

Album art and design by David Rudnick & Oneohtrix Point Never

Cover image
Jim Shaw
The Great Whatsit, 2017
acrylic on muslin
53 x 48 inches (134.6 x 121.9 cm)
Courtesy of the artist and Metro Pictures, New York

Silent Poets - ele-king

 静謐な空間をヘヴィーな低音と蒼く燃え上がるような熱を内包した繊細な詩情で満たしてきた下田法晴のプロジェクト、SILENT POETS。1992年のデビューから25周年を迎えた今年2月、長きに渡る沈黙を破り、12年ぶりにリリースしたアルバム『dawn』を携え、渋谷WWWにて、デビュー後、初となるバンド編成によるライヴを行った。

 “マッシヴ・アタックに対する日本からの返答”と評されながら、アシッド・ジャズやトリップホップ、アブストラクト・ヒップホップ、ダウンテンポなど、そのときどきのトレンドやサウンド・フォーマットに身を委ねることなく、ハイブリッドな音楽性とストイックなサウンドデザインを確立した独創的な音楽世界はバンド形態でどのように具現化されるのか。また、ベース・ミュージックが飛躍的な進化を遂げる一方、90'sリヴァイヴァルが音楽シーンに新たなインスピレーションをもたらしている2018年にSILENT POETSの楽曲は果たして、どう響くのか。

 開演時間を過ぎ、暗転したステージには、バンドマスターであるギターの小島大介(Port Of Notes)以下、ベースのSeiji Bigbird(Little Tempo)、キーボードのYOSSY(ex - DETERMINATIONS / YOSSY LITTLE NOISE WEAVER)、ドラム/パーカッションの小谷和也(PALMECHO)、チェロの徳澤青玄、ヴァイオリンのグレート栄田、越川歩と共にバンドのエレクトロニクスを一手に司る下田が登場。さらにPA卓にはDub Master Xが陣取り、スタッフロールを皮切りに、ステージのバックエンドに映し出された映画さながらの美しい映像と共に、オープニング・ナンバー“Distant Memory”にフィーチャーされた厚みのあるストリングスがオーディエンスをSILENT POETSのエモーショナルな世界へとゆっくりと引き込むと、サンプリングとプログラミングで構成された楽曲をリアレンジしたバンド・サウンド、その揺れやうねりはノスタルジーをまとうことなく、曲の根幹を成す喜怒哀楽を鮮やかに浮かび上がらせた。

 そこにさらに2000年にSILENT POETSを脱退し、現在はLittle Tempoで活動するサックスの春野高広、トランペットの坂口修一郎(Double Famous)、トロンボーンのicchie(ex - DETERMINATIONS / YOSSY LITTLE NOISE WEAVER)からなるホーン隊をフィーチャー。 12年前の楽曲である“Future“ではやわらかさを、20年以上前の“Bassman's Talk”ではソウルフルなあたたかみを際立たせたかと思えば、立体音響の匠であるDub Master Xのミキシングが高解像のスピーカー“FUNKTION-ONE”のフルレンジを最大限に活かして、新作からの楽曲であるディープ・ダブ“Division of the world”をより深く、ステッパーズ・チューン“Non Stoppa”をより重厚に鳴らしてみせた。

 また、その作品では作者である下田とリスナーが一対一で対峙することで深く響く楽曲がこの日のライヴでは、脱退した春野高広と下田の共演が象徴するように、人が行き交い、出会い、再会する場として機能していたことも新鮮な体験だった。'99年の『HIBAHIHI+SILENT POETS 001』以来のコラボレーションとなる“Eternal Life”で登場したNIPPS、古くから親交はありながら、“Rain”で初の共演を果たしたこだま和文の2人は、舞台裏でNIPPSがNY在住時以来の再会を果たしたといい、リスナーにとっては“Tokyo”にフィーチャーした5lackをはじめ、ダブ詩人の山崎円城(Noise On Trash、F.I.B JOURNAL)やヴォーカリストの武田カオリ(TICA)、asuka andoといったゲストが体現するSILENT POETSのエクレクティズムに実感をもって立ち会えた瞬間でもあった。

 そして、そのエクレクティズムは、2000年代のリヴァイヴァルを経て、近年、ジャンルに収まりきらないマージナルなレゲエ、ダブにさえ光を当てている“バレアリック”にも通じるものだ。新作に迎えた櫻木大悟(D.A.N.)のヴォーカル・フレーズを強烈なディレイで飛ばしたスローモーなハウス・トラック“Simple”はそのことを雄弁に物語る楽曲であったし、この日のラストに披露された'93年作のエレガントなダブ・ハウス“Moment Scale (Dubmaster X Remix)”はそれこそ名作コンピレーション『Cafe Del Mar』に収録された正真正銘のバレアリック・クラシックであることをまざまざと思い起こさせ、また、その楽曲が2018年においても瑞々しく響くことを見事に証明してみせた。

 この25年で音楽シーンは大きく様変わりしたが、その変化があるからこそ、不変の音楽もまた際立つ。新しいものが瞬く間に古くなる時代に不変の音楽を不言実行で作り続ける強い意志を胸に秘めたSILENT POETSだが、一夜限りにしてはあまりに惜しいライヴに対する熱いリアクションを受け、明言したライヴ活動の継続、そして、さらなる新作の制作へとその活動は今後も続いていくはずだ。

ゲッベルスと私 - ele-king

 撮影時この物語の主人公ブルンヒルデ・ポムゼルは103歳だった、と『ゲッベルスと私』の監督のひとりであるクリスティアン・クレーネスはふりかえる。撮影は2014年に開始し2016年に映画が完成するまでのあいだ、クレーネスはじめ、ブラックボックス・フィルム&メディアプロダクションの4人のメンバーは2度の撮影機会に都合30時間のインタヴューを敢行した、この映画はそれらをまとめたものであり、原題を『A German Life』といい、訳すると「ドイツ人の生(活)」となるこのドキュメンタリーは極限の状況下でひとはだれしもおなじ行動をとる可能性があり、過酷であればあるほどそれはひとがひとたる条件を剥ぎとり、人口という数値のなかに裸にする、そのことを歴史上もっとも苛烈に体現したのはいうまでもなく第二次世界大戦である。ナチの宣伝相の名称を題名にした『ゲッベルスと私』の背景はいうまでもなくこの時代の第三帝国だが、いたずらにセンセーションに逃げはしない。1933年、22歳で、思想的な理由からというより生活のためにナチ党に入党し、42年にヒトラーの片腕であるヨーゼフ・ゲッベルスの秘書となったごくふつうのドイツ人女性の記憶と語りをこの映画はたよりにする。

  「第二次大戦というテーマは手垢がついたものでもあるわけです。いまさらこれか、もうすべてあきらかになったではないか、映画もテレビ番組もうんざりするほどあるじゃないか」。クレーネスの傍らにすわるフロリアン・ヴァイゲンザマーは本作の資金調達がかならずしも順調でなかったことを淡々とのべる。「スタイルとしてドキュメンタリーという方法を採る、さらに映画というメディアをもちいる、この点について理解を得るのは至難の業でした。はじめのうちはなかなか資金が集らなかった。結果からいえば、そのために強制力がかからず、自由に撮ることができたのですが」。

  結果映画は当事者だけがかもしだす息のつまる緊張感と、子どものころ昔話に耳を傾けた祖父母たちがそうだったように、私たちの目の前にことばと身ぶり、彼女の存在そのもので時間をつみあげていく。ブラックボックス・フィルム&メディアプロダクションはそれを強調するかのようにモノクロームを基調の色に選ぶ、というより画面から色彩をおいはらうことで、そこに映る老嬢は無人の地にたたずむ一本の樹木のようになる。深い皺の一本一本は年輪のようでもあり、大地から十分な養分を吸いとれず立ち枯れたようでもある。映画はほとんどの時間を彼女の語りについやす、冒頭で彼女は彼女自身にしずかに問いかける。「私のやっていることはエゴイズムなのか」と。その内省はどこからきたのか、それ以前に彼女の「やったこと」とはなにか。ポムゼルは上述のとおり、第二次大戦がはじまって3年目の1942年にゲッベルスの秘書となった。ヒトラーはすでに国家元首として第三帝国のあまねく空間にその身体を浸透させていた。ゲッベルスは総統(フューラー)の側近としてあらゆるメディアをとおしたプロパガンダで国民の内面をあやつる国家の頭脳というより感情だった。作中でポムゼルはエレガントなスーツを着こなすものごしやわらかな上司であったゲッベルスがひとたび壇上に立つと激越な扇動者に豹変したのをおののきながら回想する。秘書の職に就いてまもない1943年2月18日、ベルリンのスポーツ宮殿で、ポムゼルはゲッベルスの演説に、彼の妻マクダのすぐうしろの席で耳を傾けていた。直前のスターリングラードの攻防戦に敗れ、やがて窮迫する状況を、ゲッベルスは国民を結束させてのりきろうともくろんだ。彼らを束にするのは感情である。スポーツ宮殿のゲッベルスの、のちに総力戦演説と呼ばれるスピーチでゲッベルスはボリシェビキへの不安を最後にはユダヤ人へとむすびつける。おそらくそこには1933年、首相に任命されたヒトラーがただちにとりかかったユダヤ人の公職追放、その2年後のニュルンベルク法、さらにその3年後の1938年11月のポグローム、すなわち「Kristall-nacht(ガラスの夜)」で決定的に奈落の底へ転がり落ちていくユダヤ人政策がもとはアーリヤ民族主義とシオニズムとの相対化をふまえ仮構した合意のもとにたちあらわれたことに由来するのではないか。おそるべきオーセンティシティが裏打ちする運命のようにとどめようもない状況。ポムゼルは彼女のユダヤ人の友人であるエヴァの暮らしぶりをとおしてそのことを、皮膜一枚とおした向こうに感じながらも目を瞑りつづける、この不作為こそ彼女のいうエゴイズムの正体だとすれば、それは当時のドイツ人だれしも例外的でなかったことも、「A German Life」の原題は暗示している。

  ある日「夜明けに店を開くやいなや、どの通りの入口も武装した者たちに占められている」(カフカ「一枚の古文書」池内紀訳、白水社)のにも似た状況がふってわいたように出来するが、気づいたときに彼らは「すでに堂々と居すわって、みたところ日ごとに数がふえていく」「彼らはわれわれの言葉を解さないし、そもそも彼は言葉というものをもたぬらしい」――ユダヤ人カフカは原稿用紙数枚の掌編にこのようにしたためるが、むろんナチを意図したものではない。「しかし、外からやってくるこの死は、内から立ち現れてきた死でもある」とドゥルーズとガタリはカフカのこの小説を評していう(『アンチ・オイディプス 上』、宇野邦一訳、河出文庫)。内とは共同体の内側であるとともに個々のひとびとの内面でもあり、ハンナ・アーレントが喝破した「悪の陳腐さ」をもたぐりよせる。いやたぐりよせる必要さえない。それらはもとからそこにあったものなのだ。

 あとはほんのすこし刺激するだけでいい。ゲッベルスはポムゼルが彼の秘書になる前、すでに地ならしを終えていた。ナチはガラスの夜の一年前、37年7月にミュンヘンで「大ドイツ美術展」と「退廃美術展」と題したふたつの展覧会を開催している。前者はドイツに冠たる芸術を集めたもので後者はそれとあいいれない「狂気、厚顔無恥、無能の産物」(「退廃美術展」開催時のアドルフ・ツィーグラーの開催の辞)作品を集めておりカンディンスキー、クレー、オットー・ミュラーなどもふくんでいるこの展覧会は終戦から半世紀経った1995年、その4年前にロスで開催した企画展を再編するかたちで日本でも「芸術の危機――ヒトラーと退廃美術展」として巡回したはずだ。私はたしかこの展覧会を当時通っていた学校のそばの宮城県立美術館に、題名に惹かれてみにいったのに、展示していたのが20世紀モダニズムを代表する作品の数々であったのに衝撃を受けた。もっとなんというか、ヒエロニムス・ボス風ないしソドムとゴモラ風の人間の退廃を描いた作品がならんでいると思いきや、うきぼりになっていたのはそれらの作品を「退廃」と名づけた思考の退廃だった。とはいえそれはナチに特有のことではないし芸術の政治利用という単純な構図におさめるべきものでもない。真正性は瑕疵を認めず、ツルツルの球体のような空間から基準を満たさない者は徹底的に排除する。開戦前に多くの芸術がドイツの地を去った。むろん去ることさえかなわない無数の市民がいた。利口にふるまえる者ならのりきることもできただろうか。そのときアートや文化に携わる人間はどのような行動をとるのか。とるべきか、という教条的な正義ではなく、どのようなことが思考できるのか、私はクリスティアン・クレーネスとフロリアン・ヴァイゲンザマーに以下のように問いかけた。

 ナチは、ゲッベルスは文化を巧みに操作しました。なかでも映画は彼(ら)にとってもっとも有効なプロパガンダの道具でした。たとえばフリッツ・ラングはゲッベルスにナチ映画の制作の打診を受け、アメリカに亡命しました。『意志の勝利』や『オリンピア』を撮ったレニ・リーフェンシュタールはそのかわりをつとめたといえるかもしれません。ところが彼女はアートによる美学の追究を戦争責任と切り離し、スーザン・ソンタグもそれを1964年の『反解釈』所収の「様式(スタイル) について」などで擁護しています。映像ないしアートを制作する側の倫理についておふたりは『ゲッベルスと私』の制作をとおしてどのように考えましたか。

フロリアン 倫理については映画、ことにドキュメンタリー映画については大きな問題です。リーフェンシュタールのいう美学が優先するという言い方は一面では正しいかもしれない。ところが映画はつねにべつな面をもっています。簡単にいえば、だれのためにつくっているのか、なぜつくるのか、それがなんの役に立つのか、どういう方向を向いているのか、それも映画の重要な構成要素です。リーフェンシュタールの美学が優先するということばはポムゼルさんのことばとも重なります。

――そのとおりです。

フロリアン 自分は自分のやるべきことを追求した、と彼女は当時の彼女の行為を正当化しています。ポムゼルさんについていえば世俗的な意味での利益が優先され、モラルを越えてしまったのです。ポムゼルさんはナチの行為をみないことで利益を優先した。リーフェンシュタールの問題が大きいのは、ポムゼルさんのように秘書の立場ではなくて、積極的に働きかける映画をつくってしまった、プロパガンダの一翼を担ってしまった、それは大きな問題です。子どもがとる姿勢を考えてみれば、おわかりになると思います。子どもは父親に叱られると耳をふさぎます。叱りつける声を遮断することでそれが存在していないと考えようとします。そういうようなところがポムゼルさんにあったようにリーフェンシュタールもおなじことをしたのではないかと私は思います。

クリスティアン リーフェンシュタールの場合はいろんな意味で功績もありました。その一方で彼女がつくりあげたナチ的なスタイルは日和見主義者の行為であり、彼らに捧げたもののなかでも最悪の部類に入るものです。

――ときに私たちがそういった状況にまきこまれたとき、私たちはどのように行動できるでしょうか。おふたりはリーフェンシュタールと同じ立場に立たされたとき、それを断る勇気はありますか。

クリスティアン 正直にもうしあげて、私がそのような立場に置かれるとき、どのように行動するかわかりません。目をそむけるかもしれない。おそらくそのようなことはないであろうと自分に期待はしていますが。大事なのは映画をつくるにあたり、そのようなことがあるかもしれないと観ているひとたちにつきつけることだと思います。それにたいしてみなさんも考えてください。正解はありませんが、考えて思いをめぐらせること、自分に問うてみてください。これがいちいばん大事だと思います。

フロリアン 私もまったく同じように考えます。大切なのは自分に正直であること。かなうならただしい判断ができるよう自分自身をよく観察しなければなりません。ポムゼルさんの時代は戦争という巨大な状況がありましたが、状況はかならずしも大きなものである必要はありません。現在の自分にたいしてそれを問う、日々それを考えているかが大切なのではないでしょうか。きょうはパーティだから考えるのをやめてそっちに行こう、それもまた現実です。大きなことばかりではなく、日常の細々したところにそういった考えをおよぼすことが大切なのではないでしょうか。

 『ゲッベルスと私』をみて、最初におぼえ、みおえてからみじかくない時間がたったいまあらためて感じるのはその誠実さである。むろんショッキングな場面も少なくない。ポムゼルの語りのあいまには当時記録された幾多の映像をさしはさんでいる。ニュース映画、プロパガンダ映像ばかりではなくプライベート・フィルムもふくむ、戦時の日常を思わせる断片と目を背けたくなる凄惨な映像が背中合わせに、20世紀中葉の数年の人類史においても特異というほかない現実を伝えてくる。ブラックボックス・フィルム&メディアプロダクションはこれらの映像をアメリカ合衆国ホロコースト記念博物館所蔵のスティーヴン・スピルバーグ・フィルム&ビデオ・アーカイヴ・コレクションから未公開のものを引いてきたという。私は原稿のアップがおくれにおくれてしまったことをお詫びしつつ、公開期日もなかばをすぎ、それでもこれからこの映画をはじめて目のあたりにする、願わくは、より若い世代の方々のために、詳述は避けるが、数々のアーカイヴ映像と、昨年1月106歳でこの世を去ったブルンヒルデ・ポムゼルがのこした語りを前に、ひとはときに想像を絶する悪に手をそめる、というよりむしろ、悪において想像は逆向きに跳躍するが、逆流をのりきる術を私たちはまだ学びきっていない、そのようなことを、ナチが開発したサリンを地下鉄にまいた事件の首謀者が死刑になり、73回目の終戦の日を迎えようとしている東京のはやすぎる夏に思った。
(通訳=上田浩二)

予告編


ブラックボックス・フィルム&メディアプロダクションのクリスティアン・クレーネス(左)とフローリアン・ヴァンゲンザマー

Throbbing Gristle - ele-king

 去る2017年、デビュー・アルバム『ザ・セカンド・アニュアル・レポート』の発売40周年を記念し、リイシュー・プロジェクトが始動したスロッビング・グリッスル。その後クリス・カーターソロ・アルバムが発表されるなど、徐々にTG熱が高まってきておりますが、ここへきてリイシュー第2弾となる3作品の発売がアナウンスされました。
 今回復刻されるのは、1980年と81年のライヴ盤2作『ヒーザン・アース』『ミッション・オブ・デッド・ソウルズ』と、TG最後のスタジオ録音作となった1982年の『ジャーニー・スルー・ア・ボディ』。いずれも紙ジャケにて、9月14日にリリースされます。

 なおその前々日、9月12日にはele-king booksよりコージー・ファニ・トゥッティの自伝『アート・セックス・ミュージック』が刊行予定。あまりにも赤裸々な内容が綴られております。こちらもお楽しみに!

スロッビング・グリッスル、リイシュー第2弾となる3作品を9/14に発売!
収録曲公開! 日本盤はHQCD仕様。

インダストリアル・ミュージックのオリジネーターであり、いまなお現在の音楽シーンのみならず、カルチャー/アート・シーンにまで絶大な影響を与え続けているスロッビング・グリッスル、彼らの伝説のカタログ3作品が9月14日に発売されることとなった。

昨年発売されたデビュー・アルバム発売40周年を記念したリイシュー第1弾は、往年のファンのみならず、現代のエレクトロニック・ミュージック・ファンも巻き込んで大きな話題となった。今回はリイシュー第2弾となる。彼らのクリエイティヴが最高潮だった時期にレコーディングされたドキュメント作品『ヒーザン・アース』、第1期最後のパフォーマンスを収録した『ミッション・オブ・デッド・ソウルズ』、そして、最後のスタジオ録音作品となった『ジャーニー・スルー・ア・ボディ』の3作品が発売される。また『ミッション・オブ・デッド・ソウルズ』と『ジャーニー・スルー・ア・ボディ』は、新たにリマスターが施され、2009年以来のCD発売となる。

今回はその中から『ミッション・オブ・デッド・ソウルズ』収録曲“Persuasion U.S.A.”の音源が公開された。
https://youtu.be/9tlAO-IZLwY


◆商品概要(9月14日発売/3タイトル)

■『ヒーザン・アース』(1980年発売作品)

1980年2月16日、ごく少数の招待された観客の前で演奏されたスロッビング・グリッスルによるライヴ・ドキュメンタリー作品。彼らのクリエイティヴが最高潮だった時期にレコーディングされたドキュメント作品であり彼らの“遺言”として存在している作品。8Pブックレット付き紙ジャケ仕様。発売当時のライヴ音源やシングルなど全11曲収録のボーナス・ディスク付きの2枚組CD。

・タイトル:ヒーザン・アース (Heathen Earth) 2CD
・発売日:2018年9月14日 (金) / ・価格:2,650円 (税抜)
・品番:TRCP-231~232 / ・JAN:4571260588066
・紙ジャケット仕様 / ・リマスター作品
・HQCD (高音質CD) 仕様 (日本盤のみ) / ・解説付
・Tracklist:https://bit.ly/2ughxcA

[amazon] https://amzn.to/2KHsZbX
[Apple Music / iTunes] https://apple.co/2m2utir
[Spotify] https://spoti.fi/2u1nMl9

■『ミッション・オブ・デッド・ソウルズ』(1981年発売作品)

1981年5月29日、サンフランシスコのケザー・パヴィリオンで行われた、スロッビング・グリッスル第1期最後のパフォーマンスを収録した作品。このアルバムのリリースに続いてスロッビング・グリッスルによって発表された「今回のミッションは終了した」との声明によって、このバンドの伝説がスタートし様々な世代にもその後影響を与えていくことになる。新たにリマスターが施された。紙ジャケ仕様。2009年以降CD生産なし。

・タイトル:ミッション・オブ・デッド・ソウルズ (Mission Of Dead Souls) 1CD
・発売日:2018年9月14日 (金) / ・価格:2,300円 (税抜)
・品番:TRCP-233 / ・JAN:4571260588073
・紙ジャケット仕様 / ・リマスター作品
・HQCD (高音質CD) 仕様 (日本盤のみ) / ・解説付
・Tracklist:https://bit.ly/2KJejJx

[amazon] https://amzn.asia/9RWW7B0
[Apple Music / iTunes] https://apple.co/2m3cgRV
[Spotify] https://spoti.fi/2u1nMl9

■『ジャーニー・スルー・ア・ボディ』(1982年発売作品)

1981年の3月、ローマにあるイタリア国営ラジオ局RAIのためにアート作品のひとつとしてレコーディング。
これがスタジオ録音としてはスロッビング・グリッスル最後の作品となる。レコーディングは5日間にわたって行われ、一曲を一日単位で録音していった。どのトラックもその後再録音や追加録音などされていない。それぞれ録音後すぐにトラックダウンをおこなった。全てのトラックにおいて事前の録音準備など行われずぶっつけ本番で行われ直接テープに収録されていった。新たにリマスターが施された。紙ジャケ仕様。2009年以降CD生産なし。

・タイトル:ジャーニー・スルー・ア・ボディ (Journey Through A Body) 1CD
・発売日:2018年9月14日 (金) / ・価格:2,300円 (税抜)
・品番:TRCP-234 / ・JAN:4571260588080
・紙ジャケット仕様 / ・リマスター作品
・HQCD (高音質CD) 仕様 (日本盤のみ) / ・解説付
・Tracklist:https://bit.ly/2KYBFKv

[amazon] https://amzn.asia/eZxRp3H
[Apple Music / iTunes] https://apple.co/2J6bBbj
[Spotify] https://spoti.fi/2u1nMl9


◆関連作品
・スロッビング・グリッスル リイシュー第1弾3作品
https://bit.ly/2JioArF
・クリス・カーター(オリジナル・メンバー)のソロ作品
https://trafficjpn.com/news/cc/


◆スロッビング・グリッスル(Throbbing Gristle)

クリス・カーター(Chris Carter)
ピーター・クリストファーソン(Peter 'Sleazy' Christopherson / 2010年11月逝去)
コージー・ファニ・トゥッティ(Cosey Fanni Tutti)
ジェネシス・P・オリッジ(Genesis Breyer P-Orridge)

インダストリアル・ミュージックのオリジネーターであり、今なお現在の音楽シーンに絶大な影響を与え続けている伝説のバンド。バンド名は直訳すると「脈打つ軟骨」、男性器の隠語。1969年から1970年代のロンドンのアンダーグラウンドにおいて伝説となったパフォーミング・アート集団、クーム・トランスミッション(Coum Transmission)を母体とし、1975年にバンドを結成。彼らのライヴは、クーム・トランスミッションから発展したパフォーミング・アートが特徴で、イギリスのタブロイド紙でも取り上げられるほど過激なパフォーマンスを繰り広げた。1977年、衝撃のデビュー作『ザ・セカンド・アニュアル・レポート』を発売。その後彼らの代表作『20 ジャズ・ファンク・グレーツ』(3rdアルバム/1979年)を発売するなど精力的に活動をしていたが1981年に一度解散。その後、各メンバーはサイキックTVやクリス&コージーとして活動するも、2004年に再結成し2010年10月まで活動を続けた。同年11月、ピーター・クリストファーソン逝去。

2017年、デビュー・アルバム発売40周年を記念としてリイシュー第1弾3タイトルを発売し、往年のファンから現代のエレクトロニック・ミュージック・ファンまで大きな話題を呼んだ。2018年9月、リイシュー第2弾3タイトルを発売。またクリス・カーターは、2018年3月にソロ・アルバム『ケミストリー・レッスンズ Vol.1』を発売。

www.throbbing-gristle.com
www.mute.com


MOVEMENT CLUB EDITION - ele-king

 これは驚きの、そして待望のニュースです。デリック・メイが2003年にデトロイトで始動させたフェスティヴァル《MOVEMENT》が、なんと東京でも開催されます。題して《MOVEMENT CLUB EDITION》。デリック・メイ本人はもちろんのこと、テックハウスの第一人者 Mr. G がライヴで出演するほか、Hiroshi Watanabe や JUZU a.k.a MOOCHY、今春 Gonno & Masumura として強烈なアルバムを届けてくれたばかりの Gonno らも参加します。7月14日。これはもう行くしかないですね。
 なおデリック・メイは同時にジャパン・ツアーも開催、福岡・札幌・大阪を巡回します。また Mr. G も翌15日に DJ BAR Bridge にてファンク~ソウルのDJセットを披露してくれるとのこと。

「世界で最も平和な暴動」MOVEMENTが日本初上陸!

2003年、Derrick May は立ち上がった。2000年にスタートした Detroit Electronic Music Festival は Carl Craig によるキュレーションで開催され大成功を収めたが、2年目の2001年の開催直前に主催側が Carl Craig を解雇するという事件が起きた。2002年も同じ体制のまま継続されたが、2003年に Derrick May はアーティストたちの手にフェスティバルを戻すべく、大型フェスティバルのオーガナイズ未経験にも関わらず、Movement Festival を開催することを決めた。一人のクレイジーなまでに強い信念を持つ人間が動き出す時、ムーヴメントは生まれる。

2003年には筆者もデトロイトで Movement を体験している。印象に残っているのは、フェスティバルは大成功を収め、最後のアクトが終わった後、完全に声を枯らした Derrick May がマイクを持ってステージに現れて「永遠にやるぞ!」と叫んだシーンだった。本当に全身全霊をかけた男の魂の叫びがデトロイトのハート・プラザに響き渡った。

あれから、15年。現在 Derrick May はデトロイトで毎年行われている Movement には関わっていないが、その間もずっと「東京で Movement をやりたい」と言い続けてきた。震災直後に、日本への渡航に対してネガティブな空気が漂っていた中、彼が一切ためらわずに来日したことを覚えているだろうか? 彼は東京に特別な想いを持っている。そして、自らが名前をつけた Contact にも……。この場所で Movement Club Edition が、ついに実現することを、心して受け止めたい。きっと最高のパーティにしてくれるはずだ。 Studio では、デトロイト・テクノのイノヴェイター Derrick May がヘッドライナーを務める。エモーショナルなテクノでダンスフロアに歓喜の祝祭をもたらしてくれるだろう。そして、Transmat 系デトロイト・テクノ・ファンから熱くサポートされている Mr.G がライブを披露する! 前回の来日でのプレイもコアなファンたちの間で話題になっていたので、これは注目だ。Derrick May が主宰するレーベル〈Transmat〉の歴史上初めて日本人アーティストとなった、Hiroshi Watanabe がサポートを務める。“Threshhold of Eternity”は海外の音楽ジャーナリストから「Derrick May による不朽の名作“Strings of Life”を超えるアンセム!」と評価されるほどだったので、彼のプレイも見逃すことはできない!

Contact では、Transmatから“The Diamond Project EP1”を発表したばかりの、ドープなハウスを奏でるデトロイト出身アーティスト、Drummer B が初来日を果たす。そして、日本からは Gonno、Juzu aka Moochy、Sakiko Osawa、Naoki Shirakawa らがサポートを務める。

Time, Space, Transmat! 時間と空間を超えた Transmat Experience が Cotanct Tokyo で繰り広げられる一夜となるだろう!

「世界で最も平和な暴動」は、まだ終わらない。

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7/14(土)MOVEMENT CLUB EDITION
10PM

Before 11PM / Under 23 ¥2,000
GH S members ¥2,800
w/f ¥3,500
Door ¥3,800

Studio:
Derrick May (Transmat | Detroit)
Mr.G (Phoenix G | UK) - Live
Hiroshi Watanabe a.k.a Kaito (Transmat | Kompakt)

Contact:
Drummer B (Soul Touch | Transmat | Detroit)
Gonno (WC | Merkur | mule musiq | International Feel)
JUZU a.k.a MOOCHY (NXS | CROSSPOINT)
Sakiko Osawa
Naoki Shirakawa
and more


■Derrick May

Derrick May Boiler Room x Ballantine's True Music: Hybrid Sounds Russia DJ Set
https://youtu.be/Bog6l3w2PS4

1980年代後半、デトロイトから世界へ向けて放たれた「Strings Of Life」は、新しい時代の幕開けを告げる名曲であった。自身のレーベル〈Transmat〉からRhythim Is Rhythim 名義で「Nudo Photo」、「The Beginning」、「Icon」、「Beyond The Dance」等今でも色褪せない輝きを放つ数々の傑作を発表し、Juan Atkins、Kevin Saunderson と共にデトロイト・テクノのオリジネーターとして世界中のダンス・ミュージック・シーンに多大な影響を与える。シカゴ・ハウスの伝説の DJ Ron Hardy や Godfather Of House Frankie Knuckles に多大な影響を受け、Music Institute で確立されたその斬新なDJプレイは唯一無二。時代に流されることなく普遍的輝きを放ち、テクノ・ファンのみならず全てのダンス・ミュージック・ファンから絶大なる支持を得ている。そして2010年、レコード店に衝撃的ニュースが流れる。何と実に13年ぶりとなる待望のミックスCDをリリースしたのだ。「Mixed by Derrick May x Air」と題された同作は1月に発表され国内外で大反響を巻き起こした。スタジオ・ライブ一発録りで制作されたそのミックスには、彼のDJの全てが凝縮されていると言って良い。そこには「熱く煮えたぎるソウル」「多彩な展開で魅せるストーリー」「華麗なミックス・テクニック」等、天才DJにしか作り得ない独特の世界がある。自分の信じている音楽やファンへの情熱全てを注ぎ込んだかのような圧倒的パワーがそこには存在する。聴くものを別次元の世界へと誘ってしまうほどだ。世界中を旅していて日本でのプレイが最も好きだと語る Derrick May、彼は本当に心から日本のファンの方達を大切にしているのだ。2011年には奇跡的に「Mixed by Derrick May x Air vol.2」を発表。また、2013年には自身のレーベルである〈Transmat〉のコンピレーションCD『Transmat 4 - Beyond the Dance』を発表し更なる注目を集めている。

★☆ HI TECH SOUL JAPAN TOUR 2018 ☆★

7/13 (金) 福岡 @KIETH FLACK
https://www.kiethflack.net/jp/2806/2018-07-13

7/14 (土) 東京 @CONTACT -MOVEMENT CLUB EDITION TOKYO-
https://www.contacttokyo.com/schedule/movement-club-edition/

7/20 (金) 札幌 @PRECIOUS HALL
https://www.precioushall.com/schedule/201807/0720hitechsoul.html

7/21 (土) 大阪 @CIRCUS
https://circus-osaka.com/event/derrick-may-japan-tour-2018/


■Mr. G

Mr G Boiler Room London Live Set
https://youtu.be/0HffibenJl8

UK出身のアーティスト Mr.G。1994年、Cisco Ferreira と共にテクノ・ユニット The Advent を結成。〈Internal〉レーベルから数々の作品をリリースし、世界的人気アーティストとなる。その後 The Advent を脱退し、ソロ・アーティストとして活動を開始。1999年には自身のレーベル〈Phoenix G〉を設立。自身の作品を中心に数々のフロアー・キラー・トラックをリリースし続け、現在も尚DJ達から絶大な信頼を得ている。また、2010年にはターニング・ポイントとなるアルバム『Still Here』を〈Rekids〉からリリースし、大ヒットを記録。各メディアでその年の年間ベスト・アルバムに選出される程高い評価を得る。その後も〈BAass Culture〉、〈Underground Quality〉、〈Moods and Grooves Detroit〉、〈Holic Trax〉、〈Monique Musique〉、〈Lo Recordings〉、〈Running Back〉等、数々のレーベルから多数の作品をリリースし続けている。デトロイト・テクノ、シカゴ・ハウスに影響されたファンキーかつロウでセクシーなサウンドは世界中のファンを魅了し、ここ数年リリースされた作品も Derrick May や Francois K 等の大御所DJ達もヘヴィー・プレイし、大絶賛されている。

★☆ Mr. G -DJ BAR Bridge- ☆★
7/15 (日) Open 20:00 Entrance Fee ¥1,000 (1D)
https://bridge-shibuya.com/event/1934/

編集後記(2018年7月6日) - ele-king

 ロンドンの高橋勇人からはいっこうにレヴュー原稿(NONのコンピ/sound patrol原稿)が送られてこないけれど、先日ロンドンの坂本麻理子さんから以下のようなリンクが送られてきた。

https://www.theguardian.com/football/live/2018/jul/02/world-cup-2018-japanese-language-liveblog-japan-belgium-last-16

 日本ではあまり知られてないが、今回ガーディアンはW杯特設ページにて、すべての日本戦を(もちろんイギリス人が)日本語で実況していたのである。リンクを読んでくれればわかるように、なかなか熱い。この実況者、世間から非難を浴びたポーランド戦も感情的にはかんぜんに日本の側だ。

 https://www.theguardian.com/football/live/2018/jun/28/2018w

 日本戦の実況をイギリス人の日本語で読むというのも21世紀的で面白いといえば面白い。ベルギー戦で、あんなルカクのような怪物がいるチームを(マリーシア=ずる賢さ、ナシで)ギリギリまで追い詰めた日本代表は、いっきに国際的な評価を高めたけれど、じっさい、いままでW杯で日本が評価されたことといえば、サポーターが席をたつときゴミを持って帰るだとか、そんなことぐらいだったので、今回の評価というか、試合を通じて世界にインパクトを残せたというのはほとんど初めてのことだったんじゃないだろうか。

 音楽の世界でも、今世紀に入って日本の音楽がいままで以上に、エキゾティシズムとしてではなく純粋に作品として評価されてきていると言われている。が、そのひとつの発火点に、たとえばWIREのような左翼系知識人が関わっているメディアが、おそらく英米中心主義に対するアンチも込めてだろう、それ以外の文化圏の音楽を積極的に取り上げ続けていることがあると思う。日本だけが評価されはじめたわけではない。同じように、東南アジアも南米もアフリカもオセアニアもカナダも中東も。
 しかしながら、たとえば昨日挙げたイタリアのテクノのコンピレーションの参加アーティストのほとんどがUK(ないしはNYないしはベルリン)のレーベルから作品を出している。これは、アンダーグラウンドのシーンにおいて長い時間をかけて培われてきたものがあるからだろうな。

 W杯の事実上の決勝戦というのは、だいたいベスト8からベスト4あたりにあるものだ。今夜……というか深夜から朝方にかけての2試合は、そんなような試合だ。今大会のひとつの山場だろう。盛り上がりたい人は、ON-Uサウンドとシュガーヒル(オールドスクール・ヒップホップのリズム隊)との融合体、タックヘッドによる1987年のこの曲を聴いて気合いを入れましょう。

Tackhead - The Game

Various Artists - ele-king

 アルバムはSilvia Kastelによるウェイトレスな“Errori”からはじまる。シンプルな鍵盤、ミステリアスなシンセ。煙がシューッと鳴る。声の断片、チャイム……、21世紀の“アーティフィシャル・インテリジェンス”シリーズへようこそ。インターネットが普及する前、911もトランプもまだまだ知らない90年代初頭に〈WARP〉がリリースしたそれと違って、ずいぶんとダークだ。なにせ彼女は昨年、かの〈Blackest Ever Black〉からアルバムを出している。続くアンビエント・トラックは、ローレンス・イングリッシュの〈Room40〉からもアルバムを出しているAndrea Belfiによる。フィールド・レコーディングであろうぐしゃぐしゃした音、透き通るシンセ、控え目な打楽器、『アンビエント・ワークスvol.2』スタイルの遠い音──

 本コンピレーションはその副題通り、現代のイタリアのアンダーグラウンド・エレクトロニック・ミュージックを集めたもので、「灰からの花々」がタイトルだ。ジョルジョ・モロダーやアレキサンダー・ロボトニクスは忘れよう。スエニョ・ラティーノやボローニャのレーベル〈DFC〉の甘くセクシーな夢も。
 コンパイラーは、ベルリン在住のイタリア人、Lucy。シチリア島パレルモ生まれ。
 このコンピレーションからイタリアらしさを見いだすには、ぼくはあまりにもイタリアを知らない。が、ひとつ思い出したことがある。昔、デリック・メイからこんな話を聞いたことがある。UR(ジェフ・ミルズもロバート・フッドも在籍時)が最初にヨーロッパ・ツアーをやったとき、おどろくほどもっとも熱く彼らを迎えた国はイタリアだった。会場に集まったほとんどがあの「UR」Tシャツを着ていたとか。 Lory Dの1991年の「We Are In The Future」をチェックしてみて。いわばローマのUR。ハードなテクノがある。
 ハードなサウンドといえば、〈AVC〉というローマのレーベルから突然ロバート・アルマニ(というアシッド・ハウスの王様のひとり)の作品がリリースされたこともあった。日本からは見えづらいだけで、そこにはずっとあったのだ。デリック・メイの2011年のミックスCDは、英米中心の音楽の見え方に対する反論とでも言えるほど、国際色豊かな選曲になっているが、とうぜんそのなかにもRoberto Boscoというイタリア人プロデューサーの曲が入っている。本作では、Alessandro Adrianiがいまにも壁が崩れてきそうなデトロイティッシュなダーク・テクノを聴かせてくれる。

 ぼくたちはNYの〈Hospital Productions〉からリリースされたポストパンク上がりのふたり組、Ninos Du Brasilのアルバムを知っているし、彼らの3枚目も知っている。本作においても彼らは、インダストリアルな暗い音響とパーカッションの混合を提供している。ぶ厚い曇り空のウェイトレス・サウンドに高じるChevel は、UKグライムの売れっ子プロデューサー、マムダンスとロゴスのレーベル〈 Different Circles〉から昨年アルバムを出している。
 くるまった灰色の植物がアルバムのアートワークだ。実験音楽レーベル〈Important Records〉から作品を出しているCaterina Barbieriは、憂鬱な音の叙情詩を描いている。カール・クレイグの“アット・レス”をさらに頽廃的にしたかのような。アルバムを締めるのは、〈Editions Mego〉からも作品を出しているNeelのウェイトレス。それはぼくたちが思い描くシチリア島の風景とは180度対極にある気配を運ぶ。そしてそれは21世紀の“アーティフィシャル・インテリジェンス”シリーズに相応しいエンディングなのだ。

ブリグズビー・ベア - ele-king

 日本では現状、ロマン・ポランスキーの『告白小説、その結末』やウディ・アレンの『女と男の観覧車』は問題なく公開されているようだが、アメリカでは今後ふたりの作品を観ることはますます難しくなっていくだろう。養女の性的虐待疑惑から多くの俳優たちに「今後は出演しない」と言われているウディ・アレン、70年代の少女への淫行でアカデミーから追放されたロマン・ポランスキー。とくに厄介なのはポランスキーで、彼の過去の作品には未成年のセックスがモチーフとして入りこんでいるものもある。#MeToo以降の世界で彼らの新たな作品が成立しにくいのはともかく、かつての「名作」たちもまた封印されていくのだろうか。
 表現の作者と作品をどの程度切り離して考えるべきかというのはいま盛んにおこなわれている議論で、大ざっぱに言うとポリティカル・コレクトネス的価値観からアメリカはより作者のありように厳しくなり、ヨーロッパがそれに抵抗している……という図式があるにはある。が、アメリカもまた、Spotifyから「ヘイトコンテンツ」に当たるとされる楽曲が削除されたことに対しケンドリック・ラマーらミュージシャン陣が表立って反発するなど、一筋縄ではいかない様相となっている。たしかに、表現者が清廉潔白でなければならない世界は窮屈だし、ましてや表現の中身が当たり障りのないものばかりになってしまっては本末転倒だろう。表現規制に抵抗する勢力が台頭し始めているということだろうか。いずれにせよ、いま、ポリティカル・コレクトネスと表現の自由、そして作者の振る舞いと作品の関連性についてより時代に合った枠組が模索されており、多くの人間がそのことに頭を抱えている。

 現在アメリカのなかで、こうした議論にもっとも敏感なのはコメディアンたちだろう。大人気コメディ番組〈サタデー・ナイト・ライヴ〉出身のチームで制作された『ブリグズビー・ベア』を見ても、ある表現(今風に「コンテンツ」といったほうが適切かもしれない)が作者とどの程度紐づけられるべきなのか考えていることがわかる。主人公の青年ジェームズは外界から隔離されたシェルターで暮らしており、両親に愛されて育ったものの自由はなく、唯一の楽しみはクマのキャラクターが冒険をしながら数学や日々の生活のルールを教えてくれる教育番組〈ブリグズビー・ベア〉だった。が、あるとき警察がやって来て両親は逮捕されてしまう。ジェームズが「両親」だと思っていたのは彼を赤ん坊のときに攫った誘拐犯であり、信じてきた世界はすべて嘘で、彼が大好きな〈ブリグズビー・ベア〉ですら偽の父親がジェームズのために作っていたものだった……。そして物語は、ジェームズが本当の両親に迎え入れられ、「リアル」の世界にどうやって馴染んでいくか模索していくところから動き出す。
 そこで鍵になるのが〈ブリグズビー・ベア〉、つまり犯罪者が作ったコンテンツなのである。ジェームズは番組への愛を語ることでギークの友人を作り、その続きを制作することで「リアル」の世界での生き甲斐や人間関係を構築していく。が、本当の両親からすると〈ブリグズビー・ベア〉は犯罪者どもが作った忌まわしい呪いでしかなく、見ようによってはジェームズはストックホルム症候群を引き起こしているとも言える。映画はそうした葛藤を経て、〈ブリグズビー・ベア〉という作品そのものの力でジェームズの新たな人生を祝福しようとする……たとえ犯罪者が作ったものであろうとも作品の価値はあると、ひとまずそうした結論の映画だと言えるだろう。なかでも、ジェームズが〈ブリグズビー・ベア〉の制作のために、原作者でありかつての「父親」(しかも演じるのがマーク・ハミル=ルーク・スカイウォーカーという、世界中に愛された「嘘の人物」である!)と向き合う場面は本作でもっとも美しい瞬間だ。

 ひとつ思うのは、こうした議論で表現の自由派はしばしば「作者と作品はまったく別物である」と主張するが、そんなに単純に割り切れるものではないということだ。少なくとも本作はその地点に問題を矮小化してしまっていない。YouTubeにアップされた〈ブリグズビー・ベア〉はヴァイラル的にヒットするのだが、その人気の理由は作品の力「のみ」ではどうやらなさそうである。サイケデリックでシュールな教育番組はそのカルト的な佇まいからひとを惹きつけるが、と同時に、犯罪者が偽物の息子への愛情から作ったものであるという「作品背景」がフックになっていることが示唆される。〈ブリグズビー・ベア〉が世のなかに受け入れられるのは、そこに何だかんだ言って愛情がこめられていたからだし、だからこそジェームズも作品を通して「リアル」の世界と交流できたという描かれ方である。
 しかしながら、もし仮に、偽の両親が性的虐待をジェームズにおこなっていたら〈ブリグズビー・ベア〉はどう描かれていたのだろう。偽の両親が本当には悪い人間ではないことが本作の優しさとも言えるし、踏みこめていない点だとも言えるだろう。描かれることはなかったのでわからないが、もし彼らの犯罪がある一定のラインを超えてしまっていたら、〈ブリグズビー・ベア〉は許されないコンテンツだし、ジェームズの番組に対する情熱もストックホルム症候群とされていたのではないか。そこの明確な線引きはどうしたってあるように思える。「作者と作品はまったく別物である」と結論づけてはならない何かが。
 だから、当たり前でつまらない着地点になってしまうのだが、そのラインがどこにあるのかを見極めることが重要なのだろう。が、つまらないからこそ価値があることなのだ。そしてそれは、時代によっても場所によっても、作品によっても背景によっても変わってくる。つまり、いまこそ批評の力が試されているということだろうし、アメリカのコメディアンたちは表現の自由を勝ち取るために怜悧な批評家であろうと努力しているということなのだろう。“This Is America”で今年話題を独占したチャイルディッシュ・ガンビーノ=ドナルド・グローヴァーがコメディアンであるのもそういうことだ。チャーミングな小品であるこの映画もまた、そうしたコメディが輝く時代を示している。

予告編

Akuphone - ele-king

 いわゆる「ワールド・ミュージック」に分類される音源がリリースされる際、しばしば「辺境」という言葉が用いられるけれど、それはつまり自分たちは「辺境」ではない、自分たちは「中央」である、という意識の表れとも言える(西洋から見れば日本だってある意味「辺境」なわけだけど、日本のアーティストの新譜が出たときに「辺境」サウンドなんて紹介のしかたはしない)。「辺境」だから良いんじゃなくて、その音楽それ自体が良いんだと、そういうふうに紹介していきたいものである。
 ともあれ、昨年のコゥ・シン・ムーンやキンク・ゴングなど、まずはサウンドありきで良質な発掘を続けているフランスのレーベル〈アクフォン〉から、またもや強烈なタイトルが送り届けられた。今回は60年代~70年代のスリランカの大衆歌謡にフォーカスした2枚組コンピレーションで、アフロとアジアが交錯する収録曲もたいへんエキサイティングなんだけれど、ブックレットの解説もおもしろい。たとえばアフリカ系ディアスポラの影響下で生まれた「バイラ」を、エドゥアール・グリッサンの「クレオール」と関連づけて紹介したりしている。日本語訳のついた国内流通盤がおすすめです。

世界音楽の新興レーベル〈アクフォン〉がスリランカのヴィンテージ歌謡をディグ

旧音源発掘、フィールド録音から新作まで、世界音楽を様々な切り口から掘り起こす注目の新興レーベル〈アクフォン〉によるスリランカ・ポップの企画盤をご案内。M.I.A.のルーツ。紅茶と香辛料と宝石の国。実は素晴らしい音楽の宝庫でもあるスリランカ。隣国インドや仏教、ヒンドゥ教、大航海時代にまで遡るポルトガルとアフリカからの影響。様々なエレメントがミックスして出来上がった1960年代後半から70年代にかけてのこの国の大衆歌謡を総括した、ありそうでなかった画期的なコンピです。

◆ 「バイラ」や「サララ・ギー」などと呼ばれるスリランカの大衆歌謡を、同国のポップ音楽を黎明期から支えた重要レーベル〈スーリヤ・レコード〉の音源を中心に、民族や宗教をまたいで横断的に総括した2枚組コンピレーション。

◆ カリプソにも通じるトロピカル感、シタールやタブラの絶妙なスパイス加減、アシッドなフルートやサーフなエレキ・ギター、ハレやかなフェスティバル・ムードなどなど、様々な要素が混然一体となり醸し出される独自の音世界にただただ驚かされるばかり。スリランカのポピュラー音楽の多様性と豊かな響きを堪能できる決定盤。

◆ スリランカ音楽の歴史やスーリヤ・レコードの成り立ち、各アーティストの紹介などを含む、充実した24ページにわたるブックレットも必読(日本語対訳付)。

◆ キンク・ゴング(祝来日!)、コゥ・シン・ムーンやガムラン・ウォーリアーズなどなど、アジアを中心とした驚きの復刻、フィールド・レコーディングから新録まで、世界の音楽を様々な切り口から掘り起こすフランス発の注目新レーベル〈アクフォン〉からのリリース。

◆ https://akuphone.com

■アーティスト名:V.A.
■アルバム・タイトル:SRI LANKA : The Golden Era of Sinhalese & Tamil Folk-pop Music(スリランカ ― シンハラとタミルのフォーク・ポップ音楽黄金時代)
■商品番号:RTMCD-1305
■税抜定価:3,200円
■発売日:2018年7月1日
■レーベル:Akuphone / カレンティート
■直輸入盤(帯・24頁英文ブックレット英文解説対訳付)

【収録楽曲】

CD1

01. PAUL FERNANDO : Egoda Gode
02. W.D. AMARADEVA : Soken Pala Ne
03. CLARENCE WIJEWARDENA : Gamen Liyumak
04. PARAMESH : Naan Unnai Thedum
05. THE FORTUNES : Instrumental Baila Medley
06. SANATH & MALKANTHI NANDASIRI : Netha Giya Hematana
07. A. E. MANOHARAN : Kaffiringha
08. PANI BHARATHA & PARTY : Ceremonial Drums
09. MIGNONNE & THE JETLINERS : Jeevithe Vasanthaye
10. SHAN : Anbil Valarnthai
11. AMITHA DALUGAMA : Pinna Mal
12. MAXWELL MENDIS : Mama Bohoma Bayauna
13. POLICE RESERVE HEWISI BAND : Vairodi Wannama
14. SHIROMI FERNANDO : Handa Haami
15. WIMALA AMARADEVA : Goyam Gee

CD2

01. INDRANI PERERA : Eka Dawasak
02. W.D. AMARADEVA : Mindada Heesara
03. WINSLOW SIX : Roshi
04. THE MOONSTONES & INDRANI PERERA : Sigiriya
05. SANATH NANDASIRI : Deepa Tupe Vihare
06. SIDASI TURYA VADAYAKO : Drum Orchestra
07. NALINO NEL : Gavaskar The Century Maker
08. LOS FLAMINCOS : Bolanda Katha
09. W.D. AMARADEVA : Sinidu Sudu Muthu
10. LILANTHI KARUNANAYAKE : Malli
11. CLAUDE & THE SENSATIONS with NOELINE MENDIS : City Of Colombo
12. H.R. JOTHIPALA : Durakathanaya
13. INDRANI PERERA : Amma
14. THE GOLDEN CHIMES : Kimada Naave
15. VICTOR RATNAYAKA : Perakumba Davasa

Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/B07CJ6G5DH/

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