Home > Columns > COTTON DOPEの手記- 第1回:MC KHAZZ × DJ HIGHSCHOOL
MC KHAZZ x DJ HIGHSCHOOL “WHITE GIRL”
「I'M YA BOY E.P」 いつもいるやつ。
そう題されたEPのリリースされる前。人に会うたびに「HIGHSCHOOLとMC KHAZZの聴いた?」と興奮気味に聞かれた。BUSHMINDやDJ HOLIDAYがPLAYしていてフロアで聴きながらテンションが上がった。血湧き肉躍るサイケデリックなHIP HOPは確実に2018の音楽をアップデートしたと言える。先日リリース前に行われた池袋BEDでのライヴでは空気を一変させ、CLUB内の空間が沸騰して歪みながら上がった。
DJ HIGHSCHOOL。東京のDJ集団、SEMINISHUKEIに所属。DJ、トラックメーカー。BUSHMINDやSTARRBURSTとのトリオBBHとしても活動。ERA、O.I.、STARRBURSTとのグループD.U.O TOKYOではラッパーとして活動。DJ HIGHSCHOOL、BBHともにSTRUGGLE FOR PRIDEの2ndアルバム「WE STRUGGLE FOR ALL OUR PRIDE」に参加している。
MC KHAZZ。東海のHIP HOP集団、RCslumに所属。ラッパー。同じく東海のラッパーMIKUMARIとの与太BROS、RCslumのボスATOSONE、MIKUMARIとのM.O.S. (MARUMI OUTSIDERS ) で不定期なグループ活動も展開。「WE STRUGGLE FOR ALL OUR PRIDE」にもコーラスで参加している。
交差しそうで交差しない路もあれば、交差しなそうで交差する路もある。とても普通で数奇に満ちた日常の出来事。「いつもいるやつ」同士であるDJ HIGHSCHOOLとMC KHAZZの話。
「I’M YA BOY」というタイトルはどこから来たのだろうか?
DJ HIGHSCHOOL:I’M YOUR BOY。いつもいるやつっていう。お互いのクルーでの立ち位置っていう。そういう意味ですね。
横でMC KHAZZがうなずく。出会いのきっかけを聞けばみんながうなずくはずだ。
H : MC KHAZZの存在が一番強く意識されたのは、ATOSONEの店 ( STRANGE MOTEL SOCIAL CLUB ) の前で全員溜まってて、ちっちゃいテーブル出して、赤と白のSOPRANOSテーブルクロスの上に、ブートのDVDを出して、カズオくんが帽子すごい被り方して売っていて。
MC KHAZZ : あれなんなんでしょうね? あ、バカがいる笑?
H : 勝手に占拠してた時期ありましたよね。売ってたのブートですよね?
K : うんブート。
肯定するわけではないけれどHIP HOPにはブートを売る文化がある。路上にはブートを売る文化がある。というのはまぎれもない事実だ。何気ない会話が続いていく。
H : MOPのご近所紹介ビデオで、ブート売ってるやつを袋に入れて叩き割るっていう。
K : ありましたねー。
H : 文化的にあれすごいなっていう。
K : お前おれのブート売ってんじゃねーよ。の下り、笑
H : あれやらせでしょ。
K : バッド持ってうろついてますよね。
ブートビデオのくだりは、人が集まってる時にみんなでうなずいたり、あーでもないこーでもないという話で盛り上がるんじゃないだろうか?実際、この記事を書くために集まってもらった時にDJ HOLIDAYや THE TORCHESのメンバーもいて、話が広がっていった。
DJ HIGHSCHOOLはCAMPANELLAのアルバム『vivid』にトラックを提供。自身の1stアルバム『MAKE MY DAY』ではCAMPANELLA, TOSHI MAMUSHI, NERO IMAIを東海より招き楽曲を制作している。DJ BISONとのDJユニット「FOOT CLUB」では名古屋でRCslumが開催するパーティー「METHODMOTEL」に多数出演しており、東海との交流が深い。
MC KHAZZはMIKUMARIやATOSONEと共にフライヤーにクレジットされていなくともクラブで騒ぎ、ステージの上に飛び乗り、飛び降りスピットする。
お互いの横では東京と東海の仲間が大きな声で笑い騒ぐ。彼らのいるパーティーに行ったことのあれば、お馴染みの上がる光景だ。自然過ぎて二人も出会いの瞬間を忘れていた。
H : 名古屋で会ってると思うんですよ。FOOT CLUBで出た時に。
出会いに関しては、彼等の「YA BOY」も覚えてないようで、色々な説がある。「YA BOY」があげるエピソードはことごとく二人に違うって言われるのが興味深い。
MC KHAZZとDJ HIGHSCHOOLはどのようにしてこのEPを作るに至ったのだろうか?この答えは二人とも明確に答えてくれた。
H : 名古屋で MC KHAZZの車に乗ったんですよ。それでMC KHAZZのアルバム「SNOW DOWN」のSTART ME!!を聴かせてもらって。
K : 出来上がってHIGHSCHOOLにもトラックを提供してもらってたので、聴いてもらおうと思って。
H : そしたら公園に着いてて。MC KHAZZが「ここでタイマンはったんすよ」ってぶっこんできて。
K : タイマン公園笑
ほんとにたまたまっす笑
H : 気づいたら流れてる音楽がDIPSETに変わってた笑
好きなアーティスト、曲から話が広がって行く。
H : SNOWDOWN」があってその中の曲を(NYのBOBBY SHUMUDAのHOT NY SHIT)「HOT NIGGA」のオケでライヴでやってるの観て、熱いってなって。「SNOW DOWN」はBOOM BAP的な所もあるんで、そことの間になるような曲を作りたいと思って始めました。ライヴ映えすることを意識してる。
THE TORCHES:CHILLな要素もあるよね。現行のCHILL。今のLAとNYのCHILLの間
的確な言葉を仲間が当てはめて。みながうなずく。EPの話に自然と流れて行く。
H : DIPSETが好きなのもそういうのがあって。南部のノリ入ってるじゃないですか?(DIPSETはHARLEMだけじゃなくてSOUTH出身のメンバーもいる)
K : 自分的にはSANTANAとFABOLOUSなんですよね。設定としては。
H : ラッパー同士ってどういうこと?トラックメーカーとラッパーのアルバムなんだけど、、、!
THE TORCHES:現行のCITY SOUNDだよね。トラップでもなくまた新しいもの。
H : BPM的にトラップのように遅くなりすぎないっていうのは意識して作ってます。
K : 短期間で作ってて、レコーディング自体が一ヶ月くらいで終わってるんですよ。
H : レコーディングしたものをこっちでEDITして、名古屋でMIXとMASTERINGをしてもらってますね。
距離がある中でのレコーディングも「YA BOY」はスムーズに進める。「YA BOY」だから合流したくもなる。EP収録のHIGHSCHOOLのラッパー名義であるOS3が印象的なHOOKを歌う「CLOUDIN‘ AT KITCHEN」のエピソードを話してくれた。
K : HIGHSCHOOLの家でタバコ吸う場所がキッチンなんですよ。で、キッチンで一緒にやろうってなって。 HIGHSCHOOLの家のキッチンで炊くっていうそのままの曲なんですよね。
H : あれ、ERAくんに機材持ってきてもらって自宅でレコーディングしてるんですよ。MAX B(DIPSETのメンバーで現在超長期間で刑務所に収監中のOGラッパー)を意識してます。今も突っ込まれたっすけど、MAX Bって言うと全員違うと言われるんで違うかもしれないですね笑
PVになっている「WHITE GIRL」は分かりやすい。かもしれない。
K : 綺麗な表現です。わかってますよ笑 露骨な表現というか、、、笑
H : 最近良くある誇示する感じではないんですよね、、、答えにくい笑 汚らしくはないと思います。
K : なるべくクールな表現をしたいっていうのはあるんすよね。$NOWPY…ユーザーラップ!
それぞれの1stアルバムは「YA BOY」が親交の深い地域から集結した作品に対して今作はトラック、ラップ共にゲストはいるものの1ON1を意識した作品だと2人が口を揃えて言う。どんなシュチュエーションで聴くのがオススメだろう?
H : 車で聴いてほしいですね。
K : 夜ですね。春夏の夜の週末というか、
H : 首都高の湾岸ですかね。お台場ら辺。その先行くといつも混んでる所あるから。
K : 名古屋高速。環状ラインですね。
違う街でも共有できるシュチュエーションに話は仲間を巻き込みながら盛り上がって行く。トピックを変えながら、回っていく。自然とEPリリース後の話へと進んで行く。
H&K:ツアーをやりたい。お誘い待ってます。
各地の「YA BOY」に未来の「YA BOY」が待っている。HIP HOPの重要なメッセージである「UNITY」が「YA BOY」達が遊んでる光景を見て伝わる日が色濃く盛り場に浮かんだ。
MC KHAZZ live at UNIT
MC KHAZZ x DJ HIGHSCHOOL (MC カズ xDJ ハイスクール)
I'M YA BOY E.P (アイム・ヤ・ボーイ・EP)
RCSLUM RECORDINGS RCSRC017
CD (国内盤)
1,800 円(税抜) + 税