ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Angel-Ho - Death Becomes Her (review)
  2. øjeRum - On The Swollen Lips Of The Horizon (review)
  3. JUST ZINE 3 Book issue ──アンダーグラウンド・シーンが誇る読書家たちをフィーチャーしたZINEが登場 (news)
  4. 追悼・蜷川幸雄(前編) (news)
  5. Emily A. Sprague ──フロリストのエミリー・スプレーグによるアンビエント作が〈RVNG〉よりリイシュー (news)
  6. Ruby Rushton - Ironside (review)
  7. R.I.P. 遠藤ミチロウ (news)
  8. interview with Ralf Hütter(Kraftwerk) マンマシーンの現在 (interviews)
  9. WxAxRxP POP-UP STORE ──〈Warp〉30周年を記念したポップアップ・ショップがオープン (news)
  10. 釣心会例会 ──食品まつり a.k.a foodman がシカゴの RP Boo を迎えパーティを開催 (news)
  11. Anderson .Paak - Ventura (review)
  12. Helado Negro - This Is How You Smile (review)
  13. Amgala Temple ──ジャガ・ジャジストから派生したグループ、アムガラ・テンプルが来日 (news)
  14. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第5回 反誕生日会主義 (columns)
  15. New Order ──ニュー・オーダー、地元マンチェスターでのライヴ盤がリリース (news)
  16. interview with Akira Kobuchi Quiet Wave : 史上もっとも静かな革命 (interviews)
  17. ライター募集! (news)
  18. Columns なぜスコット・ウォーカーはリスペクトされているのか (columns)
  19. Columns UKの若きラッパー、ロイル・カーナーが示す「第四の道」 (columns)
  20. 追悼・蜷川幸雄(後編) (news)

Home >  Regulars >  打楽器逍遙 > 9 イン・サークルズ(2)

打楽器逍遙

打楽器逍遙

9 イン・サークルズ(2)

増村和彦 Jun 25,2018 UP

 アフリカのリズムは「ワン」がいろんなところに共存していて、というか拍の頭という概念が薄く、「あなたはここにいるからわたしはここにいます」と全体のなかの居所をみんな知っていて、集合体となる。道半ばながらこのような理解をしているのだが、トニー・アレンのドラミングは「ワン」は共有するにしても4肢のドラマーがそんなアフリカのリズムのように各々の居所に隙間を抜くように共存しながらエンジンとなって、しかも曲に合わせて変幻自在に動く。



 トニー・アレンによるモーゼス・ボイドへのクリニックはリズム的示唆に富んでいる。7:30~の短いミニマル・フレーズを伝えるシーンはもっともエキサイティング。フレーズで取り込もうとするモーゼスを制止するかのように、まずは右足のバスドラム、左足のフットハイハットからひとつ目のエンジンを確認する。次に左手のスネア。このとき、もうフレーズと言ってもいいものになっているのだが、それはあくまでもできあがってきたもので、フレーズから逆算していく4ウェイ的発想ではなく、右足、左足、左手が歯車のように絡んでいることに注目したい。そして、最後に参加する右手は4ビートに近い。絶妙にいわゆるスイングはしないところがクールだ。各々シンプルながら1人の中に4人いる。
 これを見ながら、アフリカの太鼓を練習しながら4拍目から1拍目へドンドンとすることさえもわからなくなったことがあったのを思い出した。そのときは、あまりになっていないだけだったのだが、「なんか違う」ながらドラムでかなりのフレーズを覚えていたにも関わらずそんな次第な上、同時にその理由を突きつけられたような気がした。しかし、はて、今だってどうだろう。ともすれば陥りがちなフレーズ先行が顔を出すことが大いにあるのではないかという反省を促される動画だ。しかも、気持ちよくだからにくい。楽観的なだけだろうか。その点アフリカのリズム・アンサンブルは本当によくできている。各々は絶妙に絡んでひとつの大きなうねりを形成する。その実はシンプルで、その輪に入ることができたとき最高の練習のひとつになると信じて続けている。

 「でもさ、実はみんな同じものじゃない? ハウスにジャズ云々、いろいろとジャンルはあるものの、要は同じ。誰もがあらゆるものを分け隔てなく聴いている、と。ほんと、ソウルフルな音楽か、リズミックな音楽かどうかってことがすべてなんだしさ」

 そう語るカマール・ウィリアムス筆頭に、多文化で、それに裏付けられた説得力のあるDIY精神(そうが故にリズムも気持ちところから外れないというような共通認識が生まれているのかもしれない)満載である南ロンドンならではのチャレンジは、ジャイルス・ピーターソンのブラウンズウッドからリリースされた『We Out Here』に凝縮されている。別冊ele-king『カマシ・ワシントン/UKジャズの逆襲』に、ここ数年起こっていることの一部始終が記されているが、僕のお気に入り3枚を挙げるなら、Yussef Kamaal『Black Focus』、Joe Armon-Jones『Starting Today』、Kamaal Williams『Return』。トニー・アレン直の影響が面白いとか、面白くないとかではなくて、曲に寄り添いながら、ときに寄り添わずに、自分たちのフレージングをしながら、気持ちいいところから外れようとはしないチャレンジが面白い。モーゼス・ボイド最高です。
 ところで、僕は2年程前にロンドンに行った。そのとき、交差点に信号が少ないのに車が譲り合うともなくするすると通り抜けていくところや、フィッシュ・アンド・チップス屋の兄ちゃんが手持ち無沙汰にポテトを入れる箱をクルクル回しながら、注文を受けて適当に頷いたと思ったらするするときれいに納めていくのを見て、リズムを感じたのだが、これを聞いてどう思われるだろうか? 立ち止まってはものを見ないとでも言うのだろうか。考え過ぎなことは承知で何かご意見があれば伺ってみたい。

 「“アフロフューチャリズム”という用語にはものすごくたくさんの定義を目にしてきたけれど、むしろ僕はこの用語自体が流動的で、それ自体が広い意味を持つようになって、より多くの人たちが自分たちの作品の背景として取り入れるようになったという点が気に入っている。まるでこの言葉そのものが生き物のように、多くの定義を取り込み続けている」  シャバカ・ハッチングス

 僕は、アフロフューチャリズムとは言えない代わりに、イン・サークルズ。堂々巡りなりに気持ちいいところから外れないようGONNOさんとグッド・ヴァイブスを目指すライヴが近づいてきた。

2018年7月8日(日) Open 17:00 / Start 18:00 GONNO × MASUMURA 『In Circles』リリースパーティー 会場:代官山UNIT 出演:GONNO × MASUMURA GUEST:トリプルファイヤー Adv ¥3,300 / Door ¥3,800 (ともに+1D) 2018年7月11日(水) 開場 18:30 開演 19:30 OLD DAYS TAILOR デビューアルバム 『 OLD DAYS TAILOR 』リリースパーティー 会場:吉祥寺スターパインズカフェ 出演:OLD DAYS TAILOR ゲスト:湯川トーベン(b) 前売り: ¥3,300 / 当日 ¥3,800(ともに+1D)


Profile

増村和彦 増村和彦/Kazuhiko Masumura
大分県佐伯市出身。2012年からバンド「森は生きている」のメンバーとしてドラムと作詞を担当。2015年バンド解散後は、ドラマー、パーカッショニストとしてGONNO × MASUMURA、OLD and YOUNG、okada takuro、ツチヤニボンド、水面トリオ、ダニエル・クオンなどの作品、ライヴに参加。

COLUMNS