「ele-king」と一致するもの

interview with caroline - ele-king

 ポケットに手を入れたまま、コンクリートの隙間から伸びる雑草をまたいで土手を歩く。川辺には、この季節に相応しく草は青々と茂っているが、向こう側には味気ないマンションが並んで、東京郊外のあいまいな田園地帯の境界をさらにぼかしている。それでもぼくは牧歌的なイメージに浸っている。『キャロライン2』を聴いているのだ。
 いま、これほどロマンティックに聞こえる音楽がほかにあるのだろうか。
 いまどき、8人組という大所帯のロック・バンドが新しく感じられるのはなぜだろう。
 彼ら彼女らは輪になって演奏する。バンドというよりはコレクティヴで、見た目は地味というか目立たないというか、どこかほのぼのしているが楽曲は挑戦的だ。作品の趣きたるや空想的で、陶酔的でもあるが英国風メランコリアも横溢している。フォーキーだがテクスチュアもあって、即興的な要素はバンドの相互作用に大胆な効果をもたらしもするが、総じてキャロラインの音楽は美しい。
 なぜ自分がかくもキャロラインを好きなのかわかっている。けど、その話——チャーリーと過剰消費、現代におけるイアン・マーティンにいわく「20世紀音楽の無限のリミックス状態」等々——をすると長くなるので止めておく。ただ、ぼくはこのバンドの新作を心待ちにしていたひとりであって、いまここで、『キャロライン2』は今年のもっとも素晴らしいアルバムの1枚になると断言しておきたい。1曲目の“Total euphoria”でぶっ飛ばされた。極めて21世紀的なポストモダニストのキャロライン・ポラチェックがゲストで歌う3曲目までは完璧だと思う(君もきっと賛同してくれるはず)。
 インタヴューに答えてくれたマイク・オーマリー(Mike O’Malley)は、キャスパー・ヒューズ(Casper Hughes)、ジャスパー・ルウェリン(Jasper Llewellyn)とともにバンドの中核を作ったひとりだ。2017年、この3人がマンチェスターの大学在学中にキャロラインは産声を上げている。


右で電話をかけているのがマイク。赤いポロシャツがジャスパー。前面に横たわっているのがキャスパー。順に右から左へ、アレックス・マッケンジー、オリヴァー・ハミルトン、マグダ・マクリーン、ヒュー・エインスリー。フレディ・ワーズ・ワース。

すべてのサウンドが調和して作用するのではなく、対立する要素が必要だと思っているんだ。さまざまな要素が対立していて、激しく聴こえるけれど、同時に美しくも聴こえる——その状態まで曲を持っていくまで曲は完成していないと思っている。

お時間ありがとうございます。新作を聴くのがずっと楽しみだったので、今回の取材がとても嬉しいです。

マイク(以下、M):素敵な言葉をありがとう!

古きものと新しきもの、静と動、生楽器とエレクトロニクスの混じったアルバムですね。アルバムの冒頭でやられました。ラフな質感や即興性もあるけど、前作以上に手の込んだ作品でもあると思います。

M:ふむふむ。

■レコーディングはいつからいつまでやっていたんですか?

M:このアルバムは長い時間をかけて作られたんだ。いま挙げられたようなディティールの判断も長い制作期間の途中にほどこされている。レコーディングをいつから開始したのかをはっきりと答えるのは難しい。音源を録音しているときは、まだそれがアルバムに使われることになると気づいていなかったりするからね。でも、アルバムに使われている音源を最初に録音したのはだいたい18ヶ月くらい前だったかもしれない。それくらいの時期から、レコーディングをはじめたり、みんなで音楽合宿をやって作曲をしたり、コンセプトについて話し合ったりしていたんだ。曲のアイデアについて話したり、今回のアルバムではどんなサウンドにして、どんなことをしたいのか——そういうことをみんなで決めていった。アルバムは今年の1月に完成したばかりなんだ。完成してからリリースまでの期間がとても短く感じられたよ。

通訳:その音楽合宿というのは、3人でスコットランドに行ったときのことですか?

M:そうだよ。それが最初の合宿だった。それ以前もロンドンでアイデアについて話し合ったりしていたんだけど、合宿に行ったときに、「これらのアイデアをなんとかまとめて、次のアルバムに使える素材として持って帰れるようにしよう」と初めて決めた。アルバムを作ろうという明確な意志が固まった段階だった。

2022年に『caroline』を出して、ぼくらも大好きでしたが、世界中の多くの人があのアルバムが好きで、そうしたリアクションで得た自信はあったと思います。アルバム制作に迷いはありませんでした? 「俺たちはもう、これしかないぜ!」みたいな方向性は定まっていました?

M:いい質問だね。迷いというものはなかったけれど、今回と前回のアルバムではまったく状況が違った。前回のアルバムを出したとき、キャロラインというバンドを知っている人はあまりいなかった。イギリスに何人かのファンはいたけれど、いまと比べたらずっと小規模だった。アルバムがリリースされて、各所で宣伝されて、ぼくたちの名前が広まった。そして(名が広まったという時点で)セカンド・アルバムを作るとなると、自意識過剰になったり、自分たちの活動に疑問を感じたりするかもしれないとは思っていた。制作に入る前は、どんなサウンドを追求するべきなのかがわからないときがあった。でも制作に入ってからは、何をすべきで何をすべきじゃないかということがわかってきた。制作の流れができてからは、自信を持って自分たちを疑うことなく制作に臨めたから、ぼくたちは幸運だったのかもしれない。セカンド・アルバムにプレッシャーはつきものとよく言うからね。ぼくにもそのプレッシャーはあったけれど、今回のアルバムの仕上がりには満足しているし、制作過程においても自分達のやっていることに自信を持って制作することができたと思う。

歌に関して、前作以上に意識的になっているように感じたのですが、あなたがたはどんな「歌」、どんな「歌手」がお好きなのでしょうか?

M:それもいい質問だね。好きな歌手か……これはぼく個人の答えになってしまうけれど、ぼくはアーサー・ラッセルがすごく好きなんだ。他にも好きな歌手はたくさんいるよ。でも、ぼくはある「歌手」に注目して音楽を聴くということをあまりやらないんだ。いろいろな種類の音楽を聴いているから、ある特定の歌手にフォーカスするということがとても稀なんだ。でも、例えばジャスパー(・ルウェリン)やマグダレーナ(・マクリーン)など、バンドメンバーで歌う機会が多い人たちには好きな歌手がいたり、参考にしている歌手がいると思う。ぼくは今回のアルバムではあんまり歌っていないからね。だから好きな歌手や歌についてはうまく答えられない。毎週好みが変わったりするから、特定の歌手に注目していることが少ないんだ。

クローザーの“Beautiful ending”も凝っていますが、ぼくは1曲目の“Total euphoria”に驚かされました。バンドにとって他の何かに似ていると言われるのはイヤだと思いますが、すいませんと謝りつつ、Still House Plants にちょっと近いアプローチを感じたんですよね。SHPはお好きですか?

M:好きだよ。彼らのライヴはロンドンで何度も観たことがある。“Total euphoria”を書いていたときに、とくに彼らのことを参考にしたわけではないけれど、スティル・ハウス・プランツと比較されるのも理解できる。リズム上で起きていることが似ているのかもしれない。すごくいいグループだと思うし、去年リリースされたアルバムは素晴らしかった。ライヴに何度も行ったことがあるけれど、彼らのライヴはいつ観てもすごくエキサイティングだよ。彼らの体制は完璧に整っていると思うんだ。そんなところが素晴らしいと思う。

“Song two”も魅力的な曲です。これもまた前作にはなかったタイプの曲ですが、曲作りは誰かひとりが作ってきたものをみんなで肉付けするんですか?

M:そうやって曲ができるときもあるけれど、曲によって作られ方は違うんだ。例えば、キャスパーが「最近よく弾いているコードで試してみたいものがある」と言って、みんなに聴かせて、そこからみんなで即興していくというパターンもある。こういう場合は、先にヴァースやコーラスのアイデアがあるというわけではないんだ。今回のアルバムには前回と比べて曲の構成がしっかりとしたものも多いけれど、最終的にそこまで構成がきちんとした曲にはならなかった。だから、いま話したようなパターンや、3人の即興からはじまるパターンなどがある。即興で歌ったり、即興のギター演奏やドラム演奏がたくさんおこなわれる。そうやって曲が作られていくことが多い。でも曲によって違うんだよ。曲のパートが気づいたら浮上していることもあって、それがどこから浮上してきたのかわからないけれど、いい感じのパートだから、それで進めてみる。そんな感じ。

caroline にとって曲はひとつの物語でしょうか?

M:曲には、物語のなかから切り取った断片のようなものがあるかもしれないね。ある行動の詳細や環境、ある出来事など。でも、曲を通して物語が語られるということはあまりない。歌詞に関して言うと、ジャスパーは別に物語を語っているわけではないと思う。彼の頭のなかで何が起こっているのかはわからないけれど、物語というよりは、意識の流れみたいなものだと思う。彼が歌詞や歌のパートを書くときは、即興の歌からはじめることが多いんだ。メロディやサウンドからはじまって、それがじょじょに歌詞としての形を帯びてくる。だから抽象的な意識の流れみたいなものなんだ。でも些細な瞬間や物語を行ったり来たりしているときもたしかにある。ぼくが思うに、歌詞とは、言葉を扱うソングライティングの一種であって、はじまりがあって終わりがあるという直線的なものではなく、大きなボウルにさまざまな要素がたくさん入っている感じに近いと思っている。


中央にいるピンク系のドレスを着ているのがゲストのキャロライン・ポラチェック。

8人で輪になって演奏すると、すごく支えられている感じがする。一体感や支えられているということを強く実感できる体験なんだよ。

歌詞に、社会や政治は関係していますか?[*前作の“Good Morning (Red)”は、2017年のジェレミー・コービンの社会主義労働党運動の台頭と、それにともなう楽観主義の波にインスピレーションを受けたとピッチフォークの取材では語っている] 

M:社会や政治に関する明確な言及はしていないと思う。(ぼくは歌詞を書いていないから)歌詞の由来を答えることはできないけれど、歌詞が生まれる瞬間はぼくもその場にいた。歌詞を聴いていると、無意識にいろいろなものが思い出されたり、感じられたりすると思う。でも、ぼくが知る限り、それが何らかの具体的な説明だったり、社会や政治に関する意見ではない。歌詞にはぼくたちが生きる時代について歌っている内容もあるけれど、そこに批判や強い意見があるというわけではない。現代の生活をほのめかす要素はあるけれど、とても抽象的なものとしてぼくには感じられるね。

3曲目や5曲目のようなフォーキーな響きは、前作にもありましたが、今回はとくに印象的に思います。英国にはフォークに関する歴史が綿々とありますが、そういうことは意識されましたか? 

M:バンドで使用されている楽器がフォークのものに近いということはときどきあると思う。それらはキャロラインのサウンドを形成する要素のひとつだと思うし、ファースト・アルバムでもそういうサウンドは色濃かったと思う。でも使っている楽器だけでフォークとは言い切れないと思う。キャロラインはアコースティック・ギターやフィドルを使っているけれど、それをすごくフォークっぽい演奏方法で扱っているわけではなくて、むしろぼくたちの関心や嗜好や演奏方法に、フォーク的な要素があるということだと思う。それが無意識に曲に表れてくるのだと思う。バンドとして「こういう風に演奏しよう」とみんなで話し合って、決めたことではないんだ。でもみんなで演奏していると、そこにフォークの響きがあることは暗黙の了解で感じられる。ただし、それはフォークの表面的なサウンドというだけなんだ。ぼくたちの音楽にはフォークの伝統と似通った要素はまったく見当たらないと思うから。また、フォーク音楽をやっている人たちの根本的な理由も、ぼくたちのバントとは関連性のないものだと思うから。でも、ぼくたちのアルバムを聴くと、その節々にフォーク・ミュージックのようなサウンドが含まれているのはたしかだね。

また、レトロでフォーキーな響きのなかにオートチューンを入れることで、どんな効果を狙っているのですか? たんに音響的な面白さなのか、それとも、そこには意味があるのか?

M:深い意味があるかはどうかわからないけれど、ぼくたちは昔から、可能な限り極端なジャクスタポジション(対比)をしたいと思っていて、今回のアルバムではそれをさらに押し進めることができたと思う。ぼくたちが書く曲においては、すべてのサウンドが調和して作用するのではなく、対立する要素が必要だと思っているんだ。さまざまな要素が対立していて、激しく聴こえるけれど、同時に美しくも聴こえる——その状態まで曲を持っていくまで、曲は完成していないと思っている。その要素たちの関係性が自然なものに感じられなければいけないんだ。対立する要素を無理矢理あわせた感じはあるけれど、あえて聴くのに耐えられない対立を探るのではなく、その組み合わせを聴いたら魅力的だと感じられる。そういうバランスを求めている。根本的に異なったスタイルやサウンドを合わせるということが、今回の曲における大きなテーマだった。ふたつやそれ以上の対立した要素を組み合わせるということ。

ちょっとめんどくさい質問で申し訳ないのですが、“Two riders down”はクレシェンドで、じょじょに盛り上がる曲ですが、あの高揚感は何を意味しているのでしょう? アルバムのなかであの曲が直球な盛り上がりを見せているので、気になっています。

M:それは嬉しいね! 何を意味しているか……ストレートな答えを出すのは難しい。というのも、ぼくたちは曲を作っている時の90%は直感でそれをやっているから。それにぼくたちには演奏においてクライマックスに向かっていくという傾向がある。あの曲では、音が常に拡張しては縮小していくということに重点を置いていたから、お互いに覆いかぶさってくるレイヤーがあった。ぼくたちは、最終的な目標(ゴール)を共有して作曲していたと思うけれど、その目標が何なのかという話を具体的にしたわけではないんだ。この曲がまとまったのはアルバム制作の終盤だったんだけど、メンバーみんなが本質的に、この曲で何をやろうとしていたのかわかっていたと思う。終わりのない勢いで突き進んでいくような感じで、常に拡張しては縮小していく曲を作るというのが目標だったと思う。それから当初、表現しようとした感じがあったんだけど、最終的にその感じは少し控えになった。それは、曲を聴くとわかると思うんだけど、ふたつの部屋があって、各部屋では曲が演奏されているということ。つまり、ふたつの部屋から同時に曲が演奏されているという状態。曲を通して、そのふたつの部屋のバランスが崩れてくる。ひとつの部屋では弦楽器のセクションがあって、シンフォニーのような音がするけれど、もうひとつの部屋では騒がしいロック・バンドで、そのふたつのバランスが崩れたり、偏ったりする。この曲では、そういうことを狙いとしていたんだけど、最終的には控えめな響きになったね。

アルバムのタイトルが意味していることは?

M:「セルフタイトル・アルバムから先に進んだ」ということを意味するアルバム名を考えていたんだ。これはぼくたちの2枚目のアルバムだから、そういう意味では『caroline 2』は適したタイトルだと思う。それに、みんなが満場一致でピンときたタイトルが『caroline 2』だったというのもある。すごく壮大で大袈裟。それに自己主張が強いようにも聞こえる。そういう意味で面白いタイトルかなと思ったんだ。とても重要な作品のようなタイトルに聞こえるところが面白いと思った。うまく説明できないけど、『caroline 2』がフィットして気に入ったんだ。

それにしても、メンバーが8人もいると練習もツアーもたいへんですよね。リハーサル・スタジオの広くなきゃいけないし、ツアー中にバスに乗るのもレストランに入るのもたいへんだと思うんですけど、8人いることで良かった、素晴らしい、最高だと思ったことはありますか?

M:素晴らしい質問だね。たしかに8人だとメンバーの移動や予定管理も大変だし、みんなの予定をずっと前から決めて計画しないといけない。でもそれだけの価値はあって、いつでもそれが実感できるよ。ぼくたちはすごく仲が良くて、お互いを大切に思っている。小さなグループに分かれることもあって、それはそれで良いことなんだ。常に大人数のグループでいる必要はないから、小さなグループに分かれる。するといろんな人たちと時間を過ごしていろいろな体験ができる。バンドにはいろいろな人たちがたくさんいるからね(笑)。それに8人で輪になって演奏すると、すごく支えられている感じがする。一体感や支えられているということを強く実感できる体験なんだよ。一緒に演奏していると、みんなで共有した、あるひとつの目標に向かって進んでいる感覚があって、それが8人ともなると、たとえば4人のグループよりも、さらに人と人との交流や交渉がおこなわれるから、その感覚もさらに強いものになる。

それではせっかくの機会なので、最後に、過去でも現在でも、英国のバンドで共感しているバンドがあれば教えてください。

M:これもいい質問だね。どうだろう? ぼくたちみんなが好きなのは、ライフ・ウィズアウト・ビルディングス。グラスゴーのバンドで活動期間は短かったんだけど、キャロラインの活動において大きなインスピレーションになっている存在だ。あと他に英国のバンドだと誰だろう? 他にもたくさんいるけれど、ライフ・ウィズアウト・ビルディングスには大きな影響を受けたから、それをぼくの答えとしたい。とても美しい、蛇行するような音楽。ロック・バンドなんだけど、エモとかスロウコア時代のギターで、ヴォーカリストのスー・トンプキンズがマントラのような歌い方をする。即興の歌い方みたいなんだけど、本当はちゃんと書かれたものだと思う。楽しくて、弾むようなエネルギーがあって本当に最高なんだ。そして本当に美しい。いろいろな要素が美しく組み合わさっている。 

DJ Haram - ele-king

 ニュージャージー出身で現在はニューヨークのブルックリンを拠点とするアーティスト・DJハラムが、デビューアルバム『Beside Myself』を7月18日に〈Hyperdub〉からリリース。
 共同プロデューサーにオーガスト・ファノンを迎え、ハラムのヒップホップ/ノイズユニット・700 Blissの相方としても知られるムーア・マザーのほか、アーマンド・ハマー(billy woods + ELUCID)、ベイビィ・ムタ、シャ・レイ、Dakn、エジプトのエル・コンテッサ、「ジャージー・クラブ・クイーン」として知られるケイ・ドリズ、トランペッターのアキレス・ナバーロ、ギタリストのアブドゥル・ハキム・ビラルを招いている。

 『Beside Myself』はハラムのルーツである中東圏の音楽を土台にしつつ、そこにジャージー・クラブ、パンク、ノイズといった要素を加え、それらを電子音響的な楽器とサンプリング、タンバリン、シェイカー、ダルブッカ、ヴァイオリンといったエッセンスで補完するような、折衷的な内容となるとのこと。恍惚的なレイヴ・シンセ、壁のような808ベース、うごめくような低音で埋め尽くされた注目作、ぜひともチェックしておきたい。

Artist : DJ Haram
Title:Beside Myself
Release Date:2025.7.18
Label : Hyperdub
Format : Digital / LP / CD / Casette
Pre-Order : https://djharam.bandcamp.com/album/beside-myself

Tracklist:
1. Walking Memory
2. Remaining ft. Dakn & Aquilles Navarro
3. Fishnets ft. Bbymutha & Sha Ray & August Fanon
4. Lifelike ft. Moor Mother & 700 Bliss
5. Voyeur
6. Do u Love me ft. Kayy Drizz
7. Stenography ft. Armand Hammer
8. IDGAF ft. Abdul Hakim Bilal
9. Badass ft. Carmen Nebula
10. Loneliness Epidemic
11. Sahel ft. El Kontessa
12. Distress Tolerance
13. Who Needs Enemies When These Are You Allies?
14. Deep Breath (An Ending)

Lucrecia Dalt - ele-king

 今年1月にまさかのデイヴィッド・シルヴィアンをフィーチャーしたシングル “cosa rara” を発表し、一部で注目を集めていたルクレシア・ダルト。単曲でのコラボかと思いきや、なんとアルバム1枚まるごといっしょにつくっていたようです。高い評価を得た前作『¡ay!』から早3年、共同プロヂュースということで期待の高まるニュー・アルバム『A Danger to Ourselves』は、〈RVNG Intl.〉より9月5日にリリース。現在、新曲 “divina” が公開中です。

前作がThe Wireの年間ベスト1位に輝いたLucrecia Daltのデヴィッド・シルヴィアンを共同プロデューサーに迎えた新作『A Danger to Ourselves』が9/5にリリース決定
先行1stシングル「divina」がMVと共に公開

2022年にリリースした『¡Ay!』が英The Wireで年間ベスト1位を獲得し、MUSIC MAGAZINE誌でもロック(ヨーロッパほか)で年間ベストに選出されるなど注目を集めさらに評価が高まる中、待望の新作アルバム『A Danger to Ourselves』がRVNG Intl.から9月5日にリリース決定。本作はデヴィッド・シルヴィアンを共同プロデューサーに迎え(1曲ゲスト・ヴォーカルも)、フアナ・モリーナやCamille Mandoki等も参加し、集大成であると同時に出発点とも言える作品。本日先行ファースト・シングルとして「divina」がミュージック・ビデオと共に公開。

『A Danger to Ourselves』は、人間関係の複雑さをありのままに描き出した、大胆な作品。近年のアルバムに見られる虚構の物語を削ぎ落とし、本作は真摯な感情の表出を体現している。深く個人的な対話のように響き渡るサウンドの中で、ダルトの歌声は力強く前面に押し出され、豊かなアコースティック・オーケストレーションとプロセッシング、コラージュされたパーカッション・パターン、そして豪華絢爛な共演者たちの力強いサポートが彩りを添えている。

ファースト・シングル「divina」はダルトが創り上げる多面的なサウンド・コレオグラフィーを見せている。その本質は型破りなドゥーワップ・ラブソング。スペイン語と英語が行き交う中、スタッカートのピアノの音とフィンガー・スナップが、カスケードするエレキギターにグルーヴ感を添える。「divina」は、炎、冥界、そして愛の告白といったイメージの中を舞う、まるで割れた鏡のように、反射が現れては消え、曲全体を通して意味が揺らめき、変化していく。

同時に公開されたミュージック・ビデオは、ルクレシアがコンセプトを手掛け、サウスウェスタン出身の映画監督で、2012年のドキュメンタリー映画『ICON EYE』も記憶に新しいTony Loweが監督を務めている。このミュージック・ビデオでは、ルクレシアとマルチディシプリナリー・アーティスト、Lucia Maher-Tatarが共演する。

Lucrecia Dalt New Single “divina” out now

Artist: Lucrecia Dalt
Title: divina
Label: PLANCHA / RVNG Intl.
Format: Digital Single
Listen / Buy: https://orcd.co/ar7rq3r

Lucrecia Dalt – divina [Official Video]
YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=r23tegbbCDw

Featuring Lucrecia Dalt and Lucia Maher-Tatar
Directed by Tony Lowe

Lucrecia Dalt New Album “A Danger to Ourselves”
Available September 5, 2025

Artist: Lucrecia Dalt
Title: A Danger to Ourselves
Label: PLANCHA / RVNG Intl.
Cat#: ARTPL-238
Format: CD / Digital

※日本盤ボーナス・トラック収録予定
※解説・歌詞・対訳付き

Release Date: 2025.09.05
Price(CD): 2,200 yen + tax

2022年にリリースした『¡Ay!』が英『The Wire』で年間ベスト1位を獲得し、MUSIC MAGAZINE誌でもロック(ヨーロッパほか)で年間ベストに選出されるなど一躍注目を集めたコロンビア出身、ドイツはベルリンをベースに活動しているエクスペリメンタル・アーティスト、Lucrecia Daltの待望の新作アルバム。
デヴィッド・シルヴィアンを共同プロデューサーに迎え、フアナ・モリーナやCamille Mandoki等豪華ゲスト陣も参加し、集大成であると同時に出発点とも言える新たな傑作が完成。

コロンビアのペレイラで生まれたルクレシア・ダルトは、音楽愛好家の家庭で育ち、9歳のときにギターを手にするよう勧められた。ダルトはこの創造的な衝動に従い、コンピュータを使った制作に魅了され、土木技師としての急成長のキャリアを捨て、メデジンからバルセロナ、そして最終的にはベルリンへと移り住み、そこで自身の独特で冒険的なサウンドを発展させた。彼女の作品は、RVNGに移籍してから『Anticlines』(2018年)、『No era sólida』(2020年)、そして2022年に発表した特筆すべき画期的なSFボレロ・アルバム『¡Ay!』の3作をリリースし、その過程で、『On Becoming a Guinea Fowl』(2024年)、HBOのシリーズ『The Baby』(2022年)、そして近日公開のサイコホラー『Rabbit Trap』などの映画音楽制作にも活動の幅を広げ、サウンド・インスタレーションやパフォーマンスでは、彼女の光り輝く転調と独特で進化するヴォーカル・アプローチを披露している。

このたびリリースとなる『A Danger to Ourselves」は、ダルトが『¡Ay!』のツアー中の生活や新しい人間関係の形成期に書き留めた断片的な宣言から生まれた。彼女は2024年1月に、これらの親密な断片を音楽的な構成に結晶化させ始め、目的のある曲群を徐々に形にしていった。アルバムのサウンド構成は、コラボレーターのAlex Lázaroが提供するダイナミックなドラム・ループを基盤としており、そのパーカッシヴなバックボーンは、『¡Ay!』と同様、ダルトの重層的なヴォーカルのキャンバスとなった。従来のメロディックな構造に従うのではなく、このアルバムはベース・ライン、リズム、作曲デザインの相互作用によって音楽性を生み出している。大胆なプロダクションの選択と緻密なレコーディング・テクニックによって、声と楽器が新たな深みと輝きをもって調和する、ダルトの妥協のない音の明瞭さへの探求を明らかにしている。

明確に反コンセプチュアルな『A Danger to Ourselves』は、ダルトが音楽そのものに遮るもののない集中を導く詩的な本能であり、楽曲の枠組みを超越するボーカルと、原始的でロマンチックなスリルのきらめく響きを探求している。ダルトの細部への明晰なこだわりは、あらゆる小節に感じられ、献身的な姿勢が同心円を描きながら、個人的なものと霊的なものを統合する場を形成している。直感的な実験から生まれたこのアルバムは、シンプルなジェスチャーと複雑な構成を用いて、スペイン語と英語の間を伸縮自在なサウンドスケープと魅惑的な聴覚コラージュを通して行き来する「divina」のように、彷徨うようなラインを織り成している。

アルバム・タイトルは、デヴィッド・シルヴィアンの歌詞「cosa rara」から生まれたもので、人生の儚さ、愛の揺らぎ、奇跡への憧れを象徴的に映し出している。『A Danger to Ourselves』は、こうした超越的な状態を映し出し、人間の複雑な絡み合い、より啓示的な内面世界へ向かうドーパミン・スパイラルや一般的な経路からの解放への願望を屈折させている。高名なアーティストが多数参加したコラボレーションのコラージュであり、シルヴィアン自身も『A Danger to Ourselves』で共同プロデューサーとミュージシャンの二役を演じた。また、フアナ・モリーナが「the common reader」で共同作曲と演奏を、Camille Mandokiが「caes」でヴォーカルを、Cyrus Campbellがエレクトリック・ベースとアップライト・ベースの基礎を、Eliana Joy が複数のトラックでバッキング・ヴォーカルとストリングス・アレンジを担当している。

『A Danger to Ourselves』の光り輝く深淵において、ダルトは、音の錬金術を通して個人的なものが普遍的なものとなる深遠な変容を演出している。このアルバムは、集大成であると同時に出発点でもあり、彼女のこれまでの実験的な旅が、驚くほど親密でありながら広大なものへと収束する入り口でもある。感情的な啓示が網の目のように張り巡らされており、各曲は、ダルトの歌声が新たなハーモニーの領域を超えて啓示を体現する、脆弱性の的確に示している。従来の境界を超えた直感の生きた記録を創り上げ、音楽が鏡となり窓となる世界へと導いている。

TRACK LIST:

01. cosa rara (ft. david sylvian)
02. amorcito caradura
03. no death no danger
04. caes (ft. camille mandoki)
05. agüita con sal
06. hasta el final
07. divina
08. acéphale
09. mala sangre
10. the common reader (ft. juana molina)
11. stelliformia
12. el exceso según cs
13. covenstead blues

+ボーナス・トラック収録予定

Concept by Lucrecia Dalt
Music by Lucrecia Dalt and Alex Lazaro
Produced by Lucrecia Dalt and David Sylvian
Mixed by David Sylvian
Mastered by Heba Kadry, NYC
Lacquers cut by Josh Bonati *Vinyl only credit
Cover photo by Yuka Fujii
Photo retouching by Louie Perea
Design by Will Work For Good

Lyrics and vocals by Lucrecia Dalt except “cosa rara” by Lucrecia Dalt and David Sylvian; and “the common reader” by Lucrecia Dalt and Juana Molina
Vocals on “the common reader” by Lucrecia Dalt and Juana Molina
Vocals on “caes” by Lucrecia Dalt and Camille Mandoki
Backing vocals on “amorcito caradura”, “no death no danger” and “covenstead blues” by Eliana Joy
Backing vocals and howls on “divina” by Alex Lazaro

All instruments performed by Lucrecia Dalt except:
Percussion by Alex Lazaro
Feedback guitar on “cosa rara” by David Sylvian
Electric guitar solo on “covenstead blues” by David Sylvian
Electric guitar on “stelliformia” by Alex Lazaro
Electric bass and contrabass by Cyrus Campbell except
Electric bass on “mala sangre” by William Fuller
Soprano and tenor saxophone by Chris Jonas
Violin by Carla Kountoupes and Karina Wilson
Cello by Amanda Laborete
Palms and finger snaps by David Sylvian and Alex Lazaro

All instruments and vocals recorded by Lucrecia Dalt except strings recorded by Marc Whitmore and vocals by David Sylvian, Camille Mandoki and Juana Molina by the artists themselves.
String arrangements in “hasta el final” by Lucrecia Dalt and Eliana Joy

dublab.jp - ele-king

 1999年にLAで立ち上がった非営利インターネット・ラジオ局のdublab。2012年にその日本支部として発足したのがdublab.jpだ。LAと深い関わりをもつ彼らが、今年1月に発生した当地の大規模な山火事被災者たちの支援を目的として、チャリティ・コンピレーション・アルバムをリリースする。

 その『dublab.jp presents A Charity Compilation in Aid of the 2025 LA Wildfires -resilience-』は計38曲ものトラックをフィーチャー。岡田拓郎、食品まつり a.k.a. FoodmanやBUSHMIND、Daisuke Tanabe、Albino Sound & Daigos (D.A.N)、SUGAI KEN、優河、Ramza×hotaru、TAMTAM、嶺川貴子、白石隆之などなど、おもに日本の有志たちによる楽曲が収録されている(カール・ストーンも参加)。収益は全額、被災者に寄付されます。この試みが少しでもLAのアーティストやDJ、被害に見舞われた人びとの助けとならんことを願って。

https://dublabjp.bandcamp.com/album/a-charity-compilation-in-aid-of-the-2025-la-wildfires-resilience

Artist : V.A.
Title:dublab.jp presents A Charity Compilation in Aid of the 2025 LA Wildfires -resilience-
Release Date:2025.6.7(予定)
Label : dublab.jp
Format : Digital
Buy : https://dublab.jp/show/resilience/
Tracklist:

1. BLUEVALLEY: own -minimal mix-
2. BUSHMIND: Sunbright
3. Carl Stone: The Fiery Crab
4. Daisuke Tanabe: for the twin (masutomi edition)
5. Dekai Fune|でかい船: K0
6. DJ Dreamboy: Beyond A Dream
7. DJ Pigeon: Echo Chamber Recovery
8. "Dungeoneering -Albino Sound&Daigos(D.A.N)- “: Hua Jiao
9. Endurance: Jonesy
10. Final Drop: ASAKURU
11. Foodman|食品祭り: sunflower
12. Fujimoto Tetsuro: Akashi
13. Kankyo (Yu Arauchi + Hiroki Chiba)|王睘 土竟(荒内佑 + 千葉広樹): Yuku
14. Leakman: When I was 8、I drank orange juice、in LA
15. mamekx: UTOPIA
16. methodd: Adaptive Radiation
17. Metome: Toucan
18. Ramza×hotaru: kagashima,kodomo mikoshi#3
19. RGL: Echoes for the West
20. RLP: Memories
21. Sakura Tsuruta: MB
22. Shöka: Polaris
23. SUGAI KEN: れじりえんす
24. SUISHOU NO FUNE. |水晶の舟: Cherry Appears in a Dream|夢に現れた"チェリー
25. SUNNOVA: 救
26. suzuki keita: contingency
27. Suzuki-33rpm-Masao|鈴木33回転正夫: Yattokame Biscuit
28. Takako Minekawa|嶺川貴子: みんなへ
29. Takayuki Shiraishi|白石隆之: Kōsen-ga
30. Takuro Okada, Aska Mori, Kazuhiko Masumura: Valley
31. TAMTAM|花を一輪 - Hana Wo Ichirin
32. TARO NOHARA: AIR
33. Tidal: Nagi
34. YAMAAN: LAKE
35. yohei: Home For Now
36. Yoshio Ojima & Satsuki Shibano: Germinatio
37. Yosi Horikawa: Second hand
38. Yuga. |優河: 愛を Session at the Hut

Compile and Produce: Yuki Tamai, Hi-Ray, mamekx
Mastering: AZZURRO
Production Management: Yusuke Ono
Advisory: Masaaki Hara
PR Support: Kunihiro Miki
Design: Kohei Nakazawa

2025年1月7日、ロサンゼルスを襲った広範囲かつ長期にわたる山火事は、多くの住民の生活を一変させました。
家を失い、大切なものを奪われた人々の中には、我々のdublabの仲間であるアーティストやDJたちも含まれています。

あれから5ヶ月が経とうとしている現在、日本国内はもちろん、現地でも報道されることは少なくなっていますが、被災者たちの困難な状況は今なお続いています。

それでも、ロサンゼルスのコミュニティは力強く結束し、復興に向けたさまざまな活動を行っています。特にdublabを中心とした音楽コミュニティは、支え合いながら歩みを進めています。

インフラの完全な復旧には莫大な資金と、長期的な支援が必要です。
災害復興は短距離走ではなく、マラソンであるとも例えられます。私たちは今こそ、音楽を通じた持続的なサポートのかたちを考えるべき時だと感じています。

そして、その一環として、私たちはチャリティ・コンピレーションアルバムを制作しました。
このアルバムには、ロサンゼルスの音楽文化に影響を受けてきた日本のクリエイターたちが、リスペクトと共感を込めて参加しています。

驚くほど幅広いサウンドが詰まったこの作品は、ロサンゼルスの多様で豊かな音楽文化そのものであるといえ、その文化に敬意を表し、それを今に繋いでいるコミュニティを、音楽を通して支援していただければ幸いです。

本アルバムの収益は全額、ロサンゼルスのdublabを通じて被災者へ寄付されます。

*ENG

On January 7, 2025, a widespread and prolonged wildfire struck Los Angeles, drastically changing the lives of many residents. Among those who lost their homes and cherished possessions were artists and DJs who are part of our dublab community.

Nearly five months have passed since the disaster. While media coverage has declined both in Japan and locally, the affected individuals continue to face challenging circumstances.

Still, the Los Angeles community remains resilient and united, actively engaging in various recovery efforts. In particular, the music community centered around dublab is moving forward by supporting one another.

Full restoration of infrastructure will require substantial funding and long-term assistance. Disaster recovery is often likened not to a sprint, but to a marathon. We believe now is the time to consider sustainable forms of support through music.

As part of that effort, we have created a charity compilation album. This album features Japanese creators who have been influenced by Los Angeles’ musical culture, participating with deep respect and solidarity.

Packed with an astonishingly wide range of sounds, this project embodies the diverse and rich musical culture of Los Angeles. We hope that through music, you can help support the community that honors and continues this cultural legacy.

All proceeds from this album will be donated to the victims of the wildfire through dublab in Los Angeles.

5月のジャズ - ele-king

Emma-Jean Thackray
Weirdo

Brownswood Recordings / Parlophone

 トランペットやキーボードなどを操るマルチ演奏家/作曲家にしてシンガーでもあるエマ・ジーン・サックレイが、2021年のデビュー・アルバム『Yellow』以来となる新作『Weirdo』を発表した。女性ミュージシャンが多く活躍するロンドンの中でも極めて多彩かつユニークな才能を有するエマは、多くのミュージシャンが通ってきたトゥモローズ・ウォリアーズの出身者とはまた異なる個性を持つ。クラシックに始まり、インディ・ポップやグランジ、フリー・インプロヴィゼイションやジャズ/フュージョン、ソウルやファンク、ゴスペルやアフロなどさまざまな音楽の影響を受けてきたエマだが、『Yellow』はそうした影響や多様性が融合したもので、世間からも高い評価をもって受け入れられた。個人的な印象では思いのほかにダンサブルなサウンド・カラーを感じさせる部分があり、ディープ・ハウスやブロークンビーツ的なアプローチを感じさせるところもあったわけだが、彼女自身がダンス・サウンドやグルーヴィーな音楽が好きで、そうした方向性の作品もアルバムに収録したかったからということだった。ゴスペルもそうだが、ダンス・ミュージックは強いパワーを周囲の人と共有したいというエナジーから生まれるもので、エマの楽曲にはそうしたパワーが備わっている。2023年にエマは長年のパートナー亡くしていて、そのときに制作途中だった『Weirdo』は方向性の変更を余儀なくされた。深い絶望の淵にいたエマを救うべく、『Weirdo』は再生や生存のパワーを持つ作品となっていった。『Yellow』にあった生命力のパワーを、さらに強く感じさせるアルバムとなっている。

 『Yellow』ではほかのミュージシャンとのライヴ・セッションの素材を、自宅スタジオで彼女が演奏した素材などを交えて編集した内容だったが、『Weirdo』はほぼ彼女ひとりで演奏・録音・編集をおこなっており、トランペットはじめ管楽器、鍵盤楽器、ギター、ベース、ドラムス、パーカッションやヴォーカルと全てを担当する。例外的にアメリカからエマと同じマルチ・ミュージシャンのカッサ・オーヴァーオールと、俳優/コメディアンでラッパー/ヒューマン・ビートボクサーとして知られるレジー・ワッツがゲスト参加。そのレジー・ワッツのヴォーカルをフィーチャーした “Black Hole” は、『Yellow』でも見られたファンカデリック・スタイルのパワフルなファンク・ナンバー。ファンカデリックのアフロ・フューチャリズムを投影したような楽曲で、彼女自身は黒人ではないのだが、黒人以上にブラックネスやファンクネスに溢れている。『Weirdo』は『Yellow』以上にヴォーカルの比重が高くなっており、ネオ・ソウル調の “Stay” などは彼女のシンガーとしての成熟度を物語る。ディープ・ハウス調の “Thank You For The Day”、ほのかにアフロビートを取り入れた “Save Me” にしても、基調となるのはエマのソウルフルなフィーリングで、彼女のシンガーとしての資質にうまく目を向けたアルバムと言えよう。


Chiminyo
NRG 4

NRG Discs

 サウス・ロンドンのジャズ・シーンを中心に、マイシャやシカーダなどのグループでも演奏してきたドラマー/パーカッション奏者のティム・ドイル。彼のソロ・プロジェクトであるチミニョは、2019年にEPの『I Am Chiminyo』でデビューし、2020年にはファースト・アルバムの『I Am Panda』をリリースしている。チミニョにおいては生演奏とエレクトロニクスの融合が顕著で、ダブステップ、ベース・ミュージック、ビート・ミュージックなどとジャズやエクスペリメンタル・ミュージック、インプロヴィゼーションを結び付けたユニークなサウンドを展開する。『I Am Panda』においても自身でドラムやパーカッションのほかに、ピアノとヴォーカル、そしてエレクトロニック・プロダクション全般も手掛け、ゲスト・ミュージシャンでストリングスや民族楽器の演奏家らも交え、アフリカ、中央アジア、東南アジア、東ヨーロッパなどのエスニックなサウンドを取り入れた独特の世界を表現していた。『I Am Panda』以後は自主レーベルの〈NRGディスクス〉を主宰し、『NRG』というアルバムを定期的にリリースしている。これまで第3集まで発表してきたが、それぞれ構成メンバーは異なるもののシンセ類を交えたエレクトロニックな作品集となっている。ロンドンにおけるフューチャリスティックなジャズにおいては、ザ・コメット・イズ・カミングと双璧と言えるような内容だ。

 そして、この度『NRG』の第4集がリリースされたが、今回はロンドンのジャズ・クラブの名門であるロニー・スコッツでのライヴ録音となる。サウス・ロンドン・シーンを支えるベーシストのダニエル・カシミールほか、ヌバイア・ガルシア、エマ・ジーン・サックレイ、ザラ・マクファーレンらと共演してきたキーボード奏者のライル・バートンなどが伴奏し、ライヴ・エレクトロニクスも参加する。“Into The Storm” でチミニョはドラムンベース的なビートを叩き出し、緊迫感を煽るジェイムズ・エイカーズのサックスやSEが絡み、後半へ向けて爆発していくコズミック・ジャズとなっている。“Chrysalis” はダブステップ調の楽曲で、ダブ・エフェクトが霧のように立ち込めて幻想性を際立たせる。“Luminescence” はブロークンビーツ調のビートの上で、ジェイムズ・エイカーズのディープなサックスとライル・バートンのきらめくキーボードが交わり、エレクトロニクスによるエフェクティヴな音響が全体を包み込んでいく。“Sonder” はダブを取り入れたミスティカルな楽曲で、アラビックな音階が幻想性を高めていく。“Nightfall” でチミニョはヴォーカルをとり、シンセによる音響空間の中で深くエモーショナルな歌声を披露する。


Luke Titus
From What Was Will Grow A Flower

Sooper

 ルーク・タイタスはシカゴ出身のプロデューサー/ドラマー/マルチ・ミュージシャンで、同郷のラッパーのノーネームや、R&Bシンガーのレイヴン・レネイなどの作品に参加したこともあり、どちらかと言えばヒップホップ/R&Bの文脈から注目を集めるようになった。2020年の『Plasma』はレイヴン・レネイ、セン・モリモト、ブライアン・サンボーンといったゲストを招きつつ、ルーク自身はドラムスのほかにギター、ベース、キーボードなど各種楽器を演奏し、作詞・作曲・歌唱を行うシンガー・ソングライター的な立ち位置を見せるものとなっていた。DIY的なアルバムではあるが、その演奏技術はかなり高いもので、楽曲によってはサンダーキャットなどを彷彿とさせるものも。ヒップホップやR&B的な部分もあるが、全体的にはジャズやオルタナティヴな要素も強く、ロンドン勢で比較するならトム・ミッシュオスカー・ジェロームあたりと比較すべき人材に思ったものだ。

 それから5年後のニュー・アルバム『From What Was Will Grow A Flower』は、アーロ・シムズ、ジョナサン・フーバー、イライジャ・フォックス、マイク・ハルデマンらと共同で作曲をおこない、シカゴ、ニューヨーク、ロサンゼルスの音楽仲間の中からミゲル・アットウッド・ファーガソンなどがレコーディングに参加している。ヴォーカル曲の印象が強い彼だが、インスト曲の“Lotus Leaf” を聴くと、彼のジャズ・ミュージシャンとしての資質が逆に鮮明になる。ドラムはドラムンベース的な小刻みなビートを叩き出し、コズミックな空間を作り出すキーボードにメロディアスなサックスが絡んでいくという、非常に繊細で美しい楽曲。ロサンゼルスのキーファーと、マンチェスターのゴーゴー・ペンギンが合体したような楽曲だ。ヴォーカル作品を見ると “What Am I – Radio Tower” はドリーミーなフォーキー・ワルツで、ニック・ハキムあたりに通じるオルタナティヴなムードを感じさせる。“Sideline” や “Up In The Stars”、“Above Us” はJディラ譲りのズレたビートを持ちつつ、70年代から続くフォーキー・ソウルやAORの伝統的なエッセンスも感じさせ、それこそトム・ミッシュやオスカー・ジェロームのグルーヴ感に繋がる楽曲だ。


Lauri Kallio
Turtles, Cats and Other Creatures

Mustik Motel

 ローリー・カリオはフィンランドで活動するギタリスト、およびマルチ・ミュージシャンで、作曲やヴォーカルまでおこなう。これまでヒップホップ系バンドのソウル・ヴァルピオ・バンドや、エレクトロニック・ジャズ/フュージョン・バンドのウニヤ、ドリーム・ポップ・デュオのパンビカリオなどで活動してきており、ジャンルにとらわれない多彩な音楽性を持つ。ソロ・アルバムとしては2020年に『Rusko』を発表しており、ジャズ、アンビエント、実験音楽などを交えた作品だった。それから5年ぶりの新作『Turtles, Cats and Other Creatures』は、前作に比べてポップな要素が増えつつも、彼ならではの多様な音楽要素が折衷した内容となっている。

 そうした折衷的な音楽要素を手助けする人物として、フィンランドの奇才であるジミ・テナーの参加が大きい。フルート、サックス、シンセの演奏として4曲に参加しているが、そのうちの1曲である “Spiralling Down” はエコウマニアのヴォーカルをフィーチャーしたアフロビート×ジャズで、かつてジミがドイツのアフロビート・バンドのカブ・カブと共演して作ったアルバム群を思い起こさせる。実際のところエコウマニアことエコウ・アラビ・サヴェージは、ガーナ出身のドラマー/シンガーで、カブ・カブのメンバーでもあった。ジミのフルートとシンセをフィーチャーした “Forgetting Things” にもエコウはパーカッションで参加していて、フォークロアな風味のジャズ・ファンクとなっている。同じくふたりが参加した“Meirami (The World Awaits)” は、ハープシコードを用いたレトロでサイケな風合いのジャズ・ファンクで、映画音楽やライブラリーに近いような雰囲気。ドリーム・ポップなども作ってきたローリーの才が生かされた作品だ。

Ami Taf Ra - ele-king

 〈Brainfeeder〉があらたなアーティストを迎え入れた。モロッコ出身、現在はロサンゼルス拠点で活動するアーティスト、アミ・タフ・ラ。モロッコの伝統音楽であるグナワとジャズ、ゴスペルを融合させた独自のトライバル・サウンドを得意としているようだ。

 アミ・タフ・ラは〈Brainfeeder〉との契約にともない、かねてからツアーに参加するなどして親交のあるカマシ・ワシントンのプロデュースによるシングル“Speak To Us (Outro)”を公開中。タイトルに(Outro)とあるように、これはアルバムのリリースにも期待したいところ。以下、詳細です。

Artist : Ami Taf Ra
Title : Speak To Us (Outro)
Label : Brainfeeder / Beat Records
Release Date : Out Now
Format : Digital
Stream : https://amitafra.lnk.to/stu-outro

 今回新たに〈Brainfeeder〉との契約が発表されたアミ・タフ・ラは、北アフリカのモロッコ出身でロサンゼルスを拠点に活動するシンガーソングライターで、モロッコのグナワ音楽などアラブの伝統音楽をジャズやゴスペルと融合させ、高く評価されている。

 アミ・タフ・ラが契約発表にあわせて、長年のコラボレーターである伝説的サックス奏者カマシ・ワシントンがプロデュースを手がけた新曲「Speak To Us (Outro)」をクリオン・アレイが監督したミュージックビデオと共にリリースした。

 この曲は、“悟り”を求める旅が一生涯続くものであり、終わるのではなく、人生の光が強くなるにつれて深まっていくことを思い出させてくれる。〈Brainfeeder〉ファミリーの一員になれて本当にワクワクしているし、彼らがこれまで世に送り出してきた偉大なアーティストたちの系譜に加われることを光栄に思う。 ──Ami Taf Ra

 音楽を通じて文化の融合を探求し続けているアミ・タフ・ラは、自身のルーツを大切にしながら、さまざまな言語や国籍から新たな影響を取り入れ、独自のサウンドを築いている。文化の垣根を越えた融合と、アブドゥル・ハリム・ハーフェズ、ウンム・クルスーム、ワルダ、アスマハーン、ファイルーズといったアラブの伝説的ボーカリストたちの豊かな伝統に根ざしており、カマシ・ワシントンの影響により、スピリチュアル・ジャズ、アフロセントリックと呼ばれるアフリカ中心性理論、オーケストラの壮大さも融合している。

 キャリアを通じてアミ・タフ・ラは、デンマーク、トルコ、モロッコ、ベルギー、レバノン、ヨルダンなど世界中のステージで観客を魅了してきた。また、カマシ・ワシントンとのツアーにも参加しており、ハリウッド・ボウル・ジャズ・フェスティバルなどの全米の名高い会場やフェスティバルで共演を果たしている。他にも、トロンボーン奏者ライアン・ポーター、サックス奏者リッキー・ワシントン、パーカッショニストのカリル・カミングス、ベーシストのベン・ウィリアムス、ドラマーのジョナサン・ピンソン、ピアニストのジャメール・ディーンといった多彩なミュージシャンと共演してきた。この秋、アミ・タフ・ラは北米ヘッドラインツアーを開始し、9月22日にニューヨークのブルーノート公演で幕を開ける。

 アミ・タフ・ラは、音楽を通じた「つながり」と「癒し」の力に深い信念を持ち、ステージを超えて紛争や避難の影響を受けた地域社会とも関わってきた。オランダ人ミュージシャンのグループと協力し、子どもたちに向けた音楽と絵画のワークショップを開催した。その活動は子どもたちとミュージシャン、そしてアミ・タフ・ラが共演する2014年のアンマン・ジャズ・フェスティバルのオープニング・パフォーマンスとして結実した。

caroline - ele-king

 5月30日にセカンド・アルバム『caroline 2』のリリースを控えるキャロライン。初の来日公演が決定しました。東京は9月3日(水)@WWW X、大阪は9月4日(木)@BANANA HALLの2公演。総勢8名のユニークな面々はいったいどんなパフォーマンスを披露してくれるのか――新作が出たばかりという絶好のタイミング、逃すことなかれ。

caroline
ロンドンの8人組キャロライン、
2ndアルバムと共に記念すべき初来日ツアー決定!
襲い来る陶酔のノスタルジアに完全包囲される夜。


Designed by Sho Hanafusa

TOKYO - 2025.09.03(WED) - WWW X
OSAKA - 2025.09.04(THU) - BANANA HALL

先行リリースされた1stシングル「Total euphoria」に続く、キャロライン・ポラチェックをフィーチャーした2ndシングル「Tell me I never knew that」でインディー・ロック・ファンの心を鷲掴みにし、既にザワザワが拡がりを見せていたロンドン拠点の8人組キャロライン。新世代UKインディーズの中でも最も亜流に位置するマニアックなバンドと思われていた彼らが2ndアルバム『caroline 2』を5月30日に遂に放つ。1stシングルでありアルバムの幕開けを飾る「Total euphoria(完全なる幸福感)」のタイトルそのままにブッ飛んだ傑作の誕生だ。寄せては返す永遠のリフレイン、襲い来る陶酔のノスタルジア、気付いた時には彼らの音に完璧に包囲されているのだ。そして遂に記念すべき初来日ツアーも決定!もう出来ることはライブの衝撃を待つのみ。これは是非ライブで体験を!

彼らの次のアルバムは傑作だ。(自分が参加した)この曲は困惑するほど美しいパズルの1ピースに過ぎない。
- キャロライン・ポラチェック

caroline Japan Tour 2025
TOKYO - 2025.09.03(WED) - WWW X
OSAKA - 2025.09.04(THU) - BANANA HALL

OPEN 18:00 / START 19:00
前売:8,000円 (税込 / 別途1ドリンク代 / オールスタンディング) ※未就学児童入場不可

【チケット詳細】

先行発売:
BEATINK主催者先行:5/19(mon)18:00 (※限定枚数・先着、Eチケットのみ)
イープラス・プレイガイド最速先行受付:5/21(wed)10:00~5/25(sun)23:59 (抽選)
LAWSONプレリクエスト(大阪のみ):5/26(mon)12:00~5/27(tue)23:59 (抽選)

一般発売:5月31日(土)10:00~

《東京公演》
イープラス
LAWSON TICKET
BEATINK
INFO: BEATINK 03-5768-1277 www.beatink.com

《大阪公演》
イープラス (pre:5/26-27)
チケットぴあ
LAWSON TICKET
BEATINK
INFO: SMASH WEST 06-6535-5569 https://smash-jpn.com/

公演詳細ページ: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=15067

label: Rough Trade Records / Beat Records
artist: caroline
title: caroline 2
release date: 2025.05.30.
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=14915

国内盤CD
(解説書・歌詞対訳付き/ボーナストラック追加収録)
輸入盤CD
輸入盤LP
国内仕様盤LP
(数量限定/ブラック・ヴァイナル/日本語帯付き/解説書・歌詞対訳付き)
国内盤CD+Tシャツ
国内仕様盤LP+Tシャツ

Tracklist
01. Total euphoria
02. Song two
03. Tell me I never knew that (ft. Caroline Polachek)
04. When I get home
05. U R UR ONLY ACHING
06. Coldplay cover
07. Two riders down
08. Beautiful ending
09. _you never really get that far_ (Bonus Track for Japan)
10. Before you get home from the club bathroom (Bonus Track for Japan)

国内盤CD + Tシャツセット

日本語帯付きLP + Tシャツセット

CD

ブラック・ヴァイナル

日本語帯付きLP

※商品写真と実際の商品は異なる場合がございます。

rural 2025 - ele-king

 独自のバランス感覚で電子音楽にフォーカスした野外フェスを続ける〈rural〉が、去年に引き続き福島・沼尻高原を舞台に7月18日(金)から4日間にわたって開催される。
 国内外から総計39組ものアクトを招聘し、PhewによるライヴやOCCA、YAMARCHY、悪魔の沼などによるDJセット、ローカル・アクトにも通好みの信頼できるアーティストが勢揃い。ミニマルに、グルーヴィに、アブストラクトに、4日間のなかで沼尻高原の豊かな自然のなか、思い思いに素敵な音の旅を楽しめることでしょう。以下、詳細です。

rural 2025
7月18日(金)〜21日(月)
開場: 12:00、開演: 15:00、終演: 18:00
会場:nowhere CAMP, Fukushima (福島県耶麻郡猪苗代町大字蚕養字沼尻山甲2864)

LINE UP :
Akey
Akie
Amelia Holt
Atsushi Maeda
CHIDA & Manfredas - Solo + B2B Set
Cosmo
DJ Healthy
DJ HISUI
DJ KURI
ENA - Live
Erika - Live
Ginger Coven (Erika, Mareena, Resom)
illrinai
Innerworld
Inqapool - Live
Jane Fitz
KABUTO
Konstantin
Lily
Mareena - UNRUSH set
Nao
OCCA
olevv
Oscar Mulero
Phew - Live
Qmico
Resom
SAITO
Santaka + Yuki Nakagawa - Live
Takaaki Itoh & DJ Yazi
teppei
Toner
YAMARCHY
YANNY
YELLOWUHURU
ZUNDOKO DISCO
悪魔の沼 / Akuma No Numa
鏡民 / Kyomi

Ticket Price / チケット料金:
・全日券 / Full Days Entrance Ticket
Category5 / 25,000円 – 4枚以上の購入で1枚につき1,000円割引
25歳以下 / U25 Ticket / 14,000円
東北割 / Tohoku Region Discount / 17,000円

・3日券 / 3Days Ticket(7月19日(土)12:00開場)
Category5 22,000円 – 4枚以上の購入で1枚につき1,000円割引

・駐車場&キャンプチケット / Parking & Camping Ticket
場内駐車券 / On-site Parking Ticket / 7,000円
場外駐車券 / Parking Ticket / 4,000円
キャンプ券 – テント1張り/ Camping Ticket for 1 Tent / 4,000円
オートキャンプ券 – 車1台とテント2張り/ Auto-camp Ticket for 1 car and 2 Tents / 20,000円
└追加の駐車券1台 / Extra 1 Car / 8,500円
└追加のテント券 1張り/ Extra 1 Tent / 5,500円

野外フェスティバル rural 2025 は、去年に引き続き沼尻高原「nowhere CAMP」を舞台に、国内外それぞれの地域におけるテクノ、ハウス、実験音楽、またそれらを横断するシーンで際立った活動を続けるアーティストたちを招いて、7月18日(金)〜21日(月)の4日間の日程で開催をいたします。

前回もご好評頂いた福島県沼尻の温泉地帯に位置する温泉施設が隣接する会場で開催される本イベントには、今年もアウトドアステージとインドアステージにサウンドシステムを設置。海外から13組、国内から26組の総計39組のアーティストを招聘します。

今年はスパニッシュテクノの礎を築き、現行テクノシーンの生きる伝説とも形容される Oscar Mulero、ruralと長年にわたって深い関係性を築いてきた世界有数の稀有なセレクター、Jane Fitz がソロセットで登壇を予定。さらに〈The Bunker NY〉の創設者による特別なオファーによって誕生したスペシャルユニットGinger Coven(Erika、Mareena、Resom)の日本初公演が決定しており、各メンバーによるソロセットも披露されます。

加えて、ジャーマンミニマルの歴史の中で燦然と輝く〈Giegling〉共同創設者である Konstantin や、リトアニアを拠点にラジオDJからキャリアを始めた鬼才でありIvan Smagghe とのDJデュオ Dresden の片割れとして広く知られる Manfredas が 日本を代表するセレクター CHIDA とのB2Bとソロセットで出演。また今回Manfredasは、ドラマーのMarijus Aleksaと組むライブバンド Santakaとしての出演も決定しており、チェリストのYuki Nakagawa(KAKUHAN)とコラボレーションした一夜限りのスペシャルなユニットの演奏が初披露される予定です。

他にも、韓国出身のバイナルDJの Cosmoやニューヨーク拠点の稀有なセレクター Amelia Holt、〈PACIFIC MODE〉を主宰しニューヨークと東京のシーンを繋ぐDJ Healthy、近年益々勢いを増すインドのエレクトロニックミュージックシーンからは Innerworld と注目のグローバルアクトが名を連ねます。

国内シーンからは、日本電子音楽黎明期から現在に至るまで活動を続ける Phew によるライブセット、カルト的な人気を誇る屈指のディガートリオ 悪魔の沼 に加えて、緻密な国産ハードテクノミュージックの代表格であるTakaaki Itohと圧倒的な技術力と信頼で世界の舞台にまで上り詰めたDJ YaziがB2Bセットで登壇。他にもアブストラクトベースミュージックの雄として世界で活躍するENAによるライブセット、世界最高峰の舞台でも認められるミニマルグルーヴの旗手KABUTO、近年世界中の名門クラブ/フェスティバルからの指名も相次ぐ OCCA、YAMARCHY が登場。ZUNDOKO DISCO や Akieら注目のアーティストたちも再びruralに帰還します。他にも多数のそれぞれの地域で信頼の厚いローカルDJたちが登壇を予定しています。

東北の美しい山々と湖に囲まれた沼尻高原は、日本百名山のひとつ安達太良山の麓に位置し、敷地内にある沼尻高原ロッジでは源泉かけ流しの温泉を楽しめるほか、フロアとのアクセスも良い場所で快適にキャンプを楽しんでいただける会場です。去年に引き続きレンタルテントやオートキャンプサイトもご用意しておりますので、キャンプ初心者の方やフェスに身軽に参加したい方はこちらをご利用ください。また会場近くには幾つかの提携宿があり、中ノ沢温泉エリアと会場間はシャトルバスを運行予定。会場へは車で都内から約3時間半程度、渋谷から出発するツアーバスは約4時間で会場へと到着します。

他にも、選りすぐりのフェス飯出店や地元の銘酒、クラフトビールを取り揃え、普段とは違った贅沢な音楽体験を楽しんでもらえるよう準備を進めています。都会の喧騒から離れて、大自然に囲まれた環境で楽しむ電子音楽の祭典で、今年もお会いしましょう。

その他の詳しい情報はruralオフィシャルサイトをご確認ください。

https://ruraljp.com/

 デイヴィッド・リンチは、ポップ・ミュージックの秘めたる威力をよくわかっていた映画監督である。それが無防備なリスナーのなかに入ると、やがては禁じられた欲望に火を点けて、ときにその人の人生に深刻な影響を与えてしまう。ゆえに、ササクレだった言葉ややかましい音響などではない、相手を警戒させないポップ・ミュージックこそ危険になりうるのだ。 『ブルーベルベット』で挿入されるロイ・オービソンの “イン・ドリームス” を思い出してほしい。映画的異化効果は、平凡な日常品、たとえば部屋の照明やドアノブなどを突然不気味なものに変えてしまう。同じように、他愛のないポップソングこそが見せ方によっては深い意味を持ちえるものなのだが、それを、つまり異化効果を音楽それ自体において高めることもできる。すなわちテクスチュア(質感)に注力するかどうか、その要素があるかないか──初期のヴェイパーウェイヴがわかりやすいかもしれない。テクスチュアを持った楽曲は、それがどんなに凡庸なラヴソングであったとしても違って聞こえる。普通だと思っていたものが奇妙に聞こえる。

 テクスチュアを聞かせるポップソングのことを現代ではドリーム・ポップと呼んでいる。リフやメロディやリズムではない、テクスチュア。そのルーツにあるのが、コクトー・ツインズでありディス・モータル・コイル(あるいはA.R.ケイン)だ。デイヴィッド・リンチが『ブルーベルベット』で使用したかった曲は、ディス・モータル・コイルのファースト・アルバムの2曲目、 “Song to the Siren” だったことは有名な話である。ヘロインの過剰摂取により28歳で夭折した唯一無二の声を持つ歌手、ティム・バックリーの1970年のアルバム『Star Sailor』に収録された、セイレーン神話──ホメロスの叙事詩に登場する、人間を死へと誘う魔性の歌声をもつ妖女──に着想を得たこの曲を、1984年にリリースされたUKの〈4AD〉というレーベルの金字塔の1枚、『It'll End in Tears』のなかで歌ったのは、ほかでもない、コクトー・ツインズのエリザベス・フレイザーだった。

ディス・モータル・コイルの当時の日本盤では“Song to the Siren”が “警告の歌” なる邦題という、「Siren」を妖女ではなく「サイレン」だと誤謬している。いかにTMCやコクトー・ツインズが日本で理解されていなかったかを物語っている実例だ。

 エレクトロニック・ミュージックを好きなリスナーがドリーム・ポップを好むのは、エレクトロニック・ミュージックの多くがテクスチュアの音楽であるからだ(ザ・ケアテイカーを思い出そう)。エレクトロニック・ミュージックを好きなリスナーがフィル・スペクターやジョー・ミークに関心を示すのも、彼らの人工的に脚色されたサウンドにはテクスチュアへの渇望があるからだ。まあ、エレクトリック・ギターにおけるエフェクターだってテクスチュアを生んではいるけれど、曲全体にそれがなければドリーム・ポップとは言えない。
 90年代のなかばだったか、三田格から「いまコクトー・ツインズを聴くとすごくいいぜ」と言われたことがあるが、それはじつに理にかなった話で、コクトー・ツインズは、そのテクスチュアにおいて、つまり何を歌うかよりも、そのサウンドをどう響かせるのかには注力した先駆的バンドのひとつで、しかもその恍惚とした音響はあたかも天上の音楽を想わせた。エレクトロニック・ミュージックがもっとも勢いのあったその時代、ドリーム・ポップの始祖と再会するのは時間の問題だったのだろう。当時の〈4AD〉がコクトー・ツインズにとっての相応しい音響を求めてアンビエント作家のハロルド・バッドと組ませて1枚のアルバム、『The Moon And The Melodies』を作ったということは、アイヴォ・ワッツ=ラッセル(*)に30年後の音楽が見えていたとは言わないまでも、感覚としては未来を感知していたことになる。

 さて、「株主資本主義とクレジットカード、規制緩和による見せびらかし消費が傲慢に跋扈する80年代末期」──ゴスの歴史をみごとに描いた『魔女の季節』の著者、キャティ・アンスワースにいわく「異界の気配を喚び起こす術を身につけていた」コクトー・ツインズは、スコットランドのフォルカークなる町にて、1979年、まだ十代だった男女によって誕生した。産業革命のとき重工業で栄えた運河の町で、1970年代以降は製油業の拠点となり、やがて巨大な石油化学コンプレックスとなった、アンスワースにいわく「誰にも愛されず、美しさとも無縁な土地」から、やがてこの世のものとは思えないと評された声と天上のサウンドを持つドリーム・ポップが生まれたという事実には、このスタイルの本質を知る手がかりがある。
 その霧深さゆえに神秘的で、容赦なくリスナーを異界へと連れ去ってしまうコクトー・ツインズは、既述したようにのちにドリーム・ポップと呼ばれるスタイルの大いなる始祖とされているが、フレイザーの、気体のような歌声をもったサウンドを現代ではエーテル(英語読みすれば「イーサー」)系ないしはイシリアル・ウェイヴともタグ付けされている。「イシリアル(Ethereal)」の語源、古代ギリシャ語では「上空の澄んだ空気」や「神の住む天の領域」を意味するそうだ。コクトー・ツインズの──何を語っているのかではなく、どのようなテクスチュアで語るのか、どのように響かせるのかというアプローチには、大衆音楽におけるオルタナティヴな可能性が広がっていた。それはよく言われるように、詩を書くよりも絵画を描くことに近い。(**)

 軽く説明しておこう。ディス・モータル・コイル、「この死すべき肉体/この儚き現世」なる詩的な名前を持つコレクティヴは、80年代なかばの〈4AD〉、つまりワッツ=ラッセルが仕組んだ企画もので、言うなればレーベルの才能を結集させたプロジェクトだった。コクトー・ツインズのフレイザーとロビン・ガスリーの2人、そして、もうひとりの重要メンバー、60年代にはダスティ・スプリングフィールドやウォーカー・ブラザーズらと仕事をしていた作曲家/編曲家の父を持つ音楽人、ベガーズ・バンケットのレコード店で働いていたサイモン・レイモンド。『It'll End in Tears』の1曲目“Kangroo”では、20年後には〈エディション・メゴ〉から作品を出すことになる若きシンディトークが歌っているが、その曲──ドラッギーな熱狂的な夢、ワッツ=ラッセルの説明よれば「ヴェルヴェッツの “ヘロイン” とシド・バレットを足して二で割った曲──のレイモンドによるベースラインを聴いたら、数年後の『ツイン・ピークス』のあの有名な “Fallin” を連想できるはずだ。
 予算の都合からディス・モータル・コイルの“Song to the Siren”の使用を断念せざるをえなかったことで、デイヴィッド・リンチは、その代案として自ら詞を書き、アンジェロ・バダラメンティに曲を依頼し、そしてジュリー・クルーズに歌ってもらうことにした。こうして生まれた曲が『ブルーベルベット』の終盤、ジェフリーとサンディがスローダンスを踊るシーンで挿入される“Mysteries of Love” だ。当初リンチは、“Song to the Siren”の音響を模した曲を求めたが、すでに職業音楽家としてのキャリアのあるバダラメンティを起用したことで、結果、ディス・モータル・コイルにはないオーケストレーションと、そしてエーテル系ではあるがエリザベス・フレイザーとは別種の、羽の生えたような声を持つジュリー・クルーズという稀代のシンガーと巡り会えることができたのである。


Julee Cruise  Fall - Float - Love: Works 1989-1993 Cherry Red

 先日、〈チェリー・レッド〉からCD2枚組で、ジュリー・クルーズ(1956–2022)の最初の2枚のアルバムに、ボーナス曲を加えてカップリングした『Fall · Float · Love(Works 1989–1993)』がリリースされたので、この1週間はこればかりを聴いている。ジュリー・クルーズはリンチ映画の専属歌手ではなかったし、彼女にはより幅の広いキャリア(クルーズはかのB-52's にも参加)がある。しかし、ぼくのなかのクルーズは、“Mysteries of Love” がきっかけとなり、リンチ、バダラメンティとの素晴らしい共犯関係のなかで歌うクルーズであることから逃れられない。そこで生まれた名曲 “Fallin” ——このドリーム・ポップの古典は、『ツイン・ピークス』第一話の最後のほう、ロードハウス〔*物語の舞台となった町のナイトクラブ〕のステージ上で披露された。黒いレザージャケットにミニスカート、頭には黒いレザーのフラットシルクハット、一時期の戸川純ないしはマーク・アーモンドのような服装で歌うクルーズは、さながら悪夢から目覚めることがないこの世界から逃避するゴスの使徒だ。エリザベス・フレイザーの腕には「Siouxsie」というタトゥーがあった。もちろんこれはスージー・スーへの尊敬であり、だからコクトー・ツインズの、要するにドリーム・ポップがパンク・ロックとゴシックとの交差点から生まれたことの証左でもある。

 クルーズの最初の2枚のアルバム(1989年『Floating into the Night』と1993年の『The Voice of Love』)とは、ともにリンチ(作詞)、バダラメンティ(作曲)との共作で、ともにリンチ作品と連動している。前者には“Mysteries of Love”や“Fallin” があり、『ツイン・ピークス The Return』の最終回でクルーズがロードハウスで歌う“The World Spins”がある。後者には、リンチで唯一のコメディ(暴力ロマンス)映画『ワイルド・アット・ハート』に挿入された“Kool Kat Walk”、また、『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』に挿入された“She would Die for Love”と“The Voice of Love”があり、劇中ロードハウスでクルーズが歌う“Questions in a World of Blue”もある。
 だが、彼ら3人の2枚のアルバムは、リンチ映画に使われている曲が収録されているから価値があるのではない。デイヴィッド・リンチが好んだ50年代アメリカのポップス(もしくはアメリカン・ポップスの源流のひとつ、ブロードウェイ・ミュージカルなど)の再解釈/80年代的解釈が、いまでも魅力的だから価値があるのだ。リンチは一時期、それこそ『ワイルド・アット・ハート』におけるエルヴィスとマリリンがわかりやすいが、50年代アメリカに執着した。そして、『ブルーベルベット』のもっとも重要な登場人物のひとりの名前が『オズの魔法使い』の主人公からの引用であろう、ドロシーで、『ワイルド・アット・ハート』のルーラが自分を重ねているのもドロシー。そして、1939年の『オズの魔法使い』でドロシーを演じているのは戦前の、つまり最初期のポップスター、現代でいうところのセレブ、反逆児でもないのにアウトサイダーたちの絶対的アイドル、葬儀においてストーンウォールの暴動を促したジュディ・ガーランドそのひとである。

「この世界全体が野性の心で、そのうえ極めて奇妙(This whole world’s wild at heart and weird on top)」、『ワイルド・アット・ハート』でルーラはそう繰り返す。この世界全体が、抑制不能な心であると。これは、『ブルーベルベット』で反復される「変な世界(It's a strange world)」に対応している。そしてそれより数年前に、スージー・スーはこう歌っている。「異常な世界から正常を求めて地上を目指したら、私はより悪化した」(“Overground”)
 異界から抜け出してきたかのような、クレオパトラめいた化粧のじつに堂々としたパンクの女王とリンチとの直接の繋がりはまったくない。シュルレアリスム的な表現という点と、正常だと思われるものを異常に見せる(バンシーズの“Happy House”を思い出せ)という点では似ているかもしれないが、パンクとリンチを繋げるのは、ラモーンズもジョニー・サンダースもブロンディも、そしてマルコム・マクラレンがまさにそうであったように、50年代的なスタイルへの偏愛だろう。ゆえにレトロなポップスが遍在する80年代ニューウェイヴに、当時のリンチは共感できた。

 

『Floating into the Night』と『The Voice of Love』を聴いてあらためて思うのは、この2枚において、リンチとバダラメンティは50年代ポップスのクリシェを使い倒していることだ。そう、クリシェばかりだから退屈なのではない。クリシェばかりだからいい。それを限界まで使うことはリンチが映像でもやっていることだ。敢えてクリシェにこだわることでテクスチュアが活かされる。このアプローチは、ドリーム・ポップというタグを一躍有名にしたビーチハウスの3枚目、ないしはマジー・スターのようなサウンドにも見受けられる。
 とはいえ、『ロスト・ハイウェイ』を映画館で観た人にはわかることだが、あの映画で印象的なサウンドは不穏なドローンでありサブベース、あるいは金属音だ。この特異なサウンドはそれこそデンシノオトが本サイトで紹介しているような音響作品を先取りしているし、かのフェリシア・アトキンソンのオールタイム・ベストにクルーズの『Floating into the Night』が挙げられていたことも、じつに感慨深い。(***)

 3人が作ったこの朦朧としたポップソング集は、なにか別の世界に繋がっている装置である。ぼくたちはこれらポップソングを耳に流し込みながらなにか別のものを聴いているのだ。それはポップソングが異様に思えるさかしまの世界のことではなく、ポップソングが気持ちよく鳴っている世界そのものがさかしまであるかもしれないという反転をうながしている。ロードハウスは、エッシャーの絵のようにどこからかこの現実の裏側にめくれている。『ブルーベルベット』は絵に描いたような幸福な50年代的アメリカの風景からはじまる。しかし主人公が、茂みのなかに切断された耳──いわば闇の世界へのパスポート──を拾ってしまってから世界は一変する。

 闇のない世界などない、すべては試される。今夜もまた羽の生えた声がどこかへ連れていってくれるだろう。「私が夢見たのは、あなたが私の夢を見ていたから?(Did I dream, you dreamed about me?)」──これはリンチが使いたくても使えなかった “Song to the Siren” の一節である。ティム・バックリーが歌ったこの曲に永遠の命を与えたのはエリザベス・フレイザーとロビン・ガスリーだった。そしてその妖光を世界中にばらまいたのが、デイヴィッド・リンチ、アンジェロ・バダラメンティ、そしてジュリー・クルーズだった。周知のようにクルーズは2022年6月に旅立ち、同年12月にはバダラメンティも永眠した。リンチが突然逝ったのは今年の1月のことである

(*)アイヴォ・ワッツ=ラッセルはベガーズ・バンケット創設メンバーのひとりにして〈4AD〉の設立者。〈4AD〉のイメージ、つまりコクトー・ツインズのサウンドはこの人なしではあり得なかった。ディス・モータル・コイルもこの人のアイデアから生まれている。

(**)エリザベス・フレイザーのもっとも有名な歌のひとつに、マッシヴ・アタックの “Teardrop” がある。この曲の歌詞を訳して意味を探っても徒労に終わる。重要なのは言葉の発語されたときの音感であり、全体から聞こえるイメージなのだ。

(***) https://thequietus.com/interviews/bakers-dozen/felicia-atkinson-bakers-dozen-favourite-albums/9/

【追記】コクトー・ツインズの物語は、ここに書いたのはほんのひと欠片に過ぎない。彼らのとくに素晴らしい4枚のアルバム『Head Over Heels』(83)、『Treasure』(84)、『Victorialand』(86)、『Blue Bell Knoll』(88)で聴けるあの天上の音楽を思えば、しかしじっさいは残酷なまでに両義的で、不幸な崩壊をしている。また、これはよく知られている話だが、バンドが終わり、ロビン・ガスリーと別れたエリザベス・フレイザーが恋に落ちたのは、かつて“Song to the Siren”を歌ったティム・バックリーのひとり息子、スージー・スーを大きな影響だと公言するジェフ・バックリーだった(ちなみにジェフは、ディス・モータル・コイルの『It'll End in Tears』の1曲目、 奇才アレックス・チルトンの曲“Kangroo” を演奏しているが、このオリジナル曲が VUの“ヘロイン”に近いことは、バックリーのヴァージョンのほうがよくわかる )。周知のようにバックリーは30歳で溺死する。それからフレイザーはブリストルに移住し、やがて、明らかにコクトー・ツインズの影響がうかがえるかの地のコレクティヴ、マッシヴ・アタックと出会うのだった。

Saho Terao - ele-king

 寺尾紗穂のニュー・アルバムが6月25日にリリースされる。これまでも『わたしの好きなわらべうた』のように、日々を暮らす人民の歌と向かいあってきた寺尾紗穂。その新作は『わたしの好きな労働歌』と題されている。日本各地の、いまとなってはほぼ忘れられた歌たちに新たな息が吹き込まれているにちがいない。現在、先行シングルとして “エンヤマッカゴエン” の配信が開始している。これは山形は最上の、「寝させ唄」だそうだ。6月21日には草月ホールでライヴもあります。詳しくは下記を。

”歌はいつも仕事の隣にあった” 寺尾紗穂多彩なゲストアーティストを迎えたコンセプトアルバム「わたしの好きな労働歌」発表

寺尾紗穂が『わたしの好きなわらべうた』(2016)、『わたしの好きなわらべうた2』(2020)に続く、新たなるコンセプトアルバム「わたしの好きな労働歌」を6/25に発表する。

今作では、寺尾がライブで全国を訪れる中で見つけた楽曲や、アートプロジェクトのリサーチで出会った楽曲がおさめられており、古くから日々の暮らしの中で育まれ、さまざまな心情を纏って日本中で歌われてきた労働歌を中心に、行事歌や子守唄などを含めて13編を収録。
あだち麗三郎、伊賀航、歌島昌智、小林うてな、近藤達郎、チェ・ジェチョル、やぶくみこ、大熊ワタル、音無史哉、Altangerel Undarmaaといったゲストプレイヤーを迎えて新たなアレンジを吹き込んだ。
岩手の行事歌「あらぐれ」では、折坂悠太とのデュエットも収録される。

5/14には第1弾先行配信シングルとして、山形・最上の船歌から生まれ、寝させ唄として伝わる「エンヤマッカゴエン」を、6/11には第2弾先行配信シングルとして、東京・板橋に伝わる、麦打ちの時に歌われた労働歌「板橋の棒打ち歌」が先行配信リリース。
また、6/21に開催される東京・草月ホールのワンマンライブではアルバムの先行販売も実施。

労働歌を通して過去と現在を繋ぎ、日本の歴史や社会性をも紐解く寺尾紗穂の本質とも云える作品となっている。

寺尾紗穂コメント

月ぬかいしゃなど一部の知られた曲を除き、 収録した歌の多くはすでにその土地でも忘れられています。なんとか歌を残そうとした40~50年前の人たちののこした記録によって、 出会うことができた曲たちです。ふるさとにかつてこんな歌があったのか、 と思いを寄せてもらえたらうれしいです。

アルバムリリース情報

発売日:2025年6月25日(水)
品番:KHGCD-005
定価:¥3,300(本体¥3,000)
発売元:こほろぎ舎
販売元:PCIMUSIC

【収録曲】
01 島根「佐津目銅山鉱夫歌」(出雲市佐田町)
02 山形「エンヤマッカゴエン」(最上郡真室川町安楽城)
03 福岡「ずくぼじょ」(八女市豊福、大牟田市)
04 東京「ひとつとせ」
05 岩手「あらぐれ」(和賀郡和賀町山口)
06 愛媛「浜子歌」(今治市大三島町口総)
07 東京「田うない」(板橋区徳丸)
08 愛知「せっせ」(豊田市稲武)
09 東京「籠の鳥より」
10 兵庫「宍粟の守子歌」(宍粟郡千種町奥西山)
11 高知「宿毛田植え歌」(宿毛市仲市)
12 沖縄「月ぬかいしゃ」(八重山地方)
13 東京「板橋の棒うち歌」(板橋区)

「エンヤマッカゴエン」配信リンク
LinkCoreYoutubebandcamp

公演情報
寺尾紗穂
草月ホール公演(予定販売枚数終了、当日券販売あり)

2025年6月21日(土)
開場17:00 /開演18:00
一般指定席¥7,000/中~大学生指定席¥5,000/子ども指定席¥4,000
※未就学児童は、保護者1名につき、膝上観覧1名まで無料。
赤坂・草月ホール
東京都港区赤坂7丁目2-21

出演:寺尾紗穂、あだち麗三郎、伊賀航、歌島昌智、音無史哉、折坂悠太、小林うてな、近藤達郎、やぶくみこ

お問い合わせ
HOT STUFF PROMOTION
050-5211-6077(平日12:00~18:00)
https://www.red-hot.ne.jp/

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