「W K」と一致するもの

 ハローハローこちら Mars89。聞こえてるかな? 先月のコラムではマトリックス・ワールドの話の続きをするぞ! って予告をして、文章も書いてたんだけど、もっとしなきゃいけない話ができちゃったからその話をする。手記としては、いま書かなきゃいけないことを書く方が目的にかなってるしね。
 僕が今から話しかけるのは、僕と同じような人。それは、日本に住んでる日本人で、数世代遡ってみてもみんな日本人で、シスジェンダーでヘテロセクシャルの男。で、ちょっと頭とか目とか口が悪い程度で、だいたい健康に過ごしていて、夜には潜り込めるベッドがある。たぶんこの文章を読んでる人の多くはそんな感じだと思う。
 いろんな条件を書いてみたけど、これから一つでも外れると一気に生き辛くなるということを僕たちは知らない。想像するのが難しいと言った方が正確かもしれないね。僕は本名を名乗ることに恐怖心を覚えたこともなければ証明書や在留カードを持つ義務もない。入試で勝手に減点されたり、性的な嫌がらせを日常的に受けたりしないし、性別のせいで給料が安いのに、物件を選ぶときに防犯を気にして割高な物件を選ばなくてはいけないなんてこともない。自分が恋した相手の性別が興味の対象になることもなかった。君もそうでしょう? あらゆる人がこういう生き辛さを抱えている社会の中で僕たちは、そんなことを考えなくても済むという大きな特権を与えられているんだ。
 ここまで書けば、相当カンの悪い人でも僕がいま話そうとしているのが差別の話だと気がついていると思う。一週間ほど前に George Floyd 氏が警官によるヘイトクライムで殺された事件を機に、いま世界中で Black Lives Matter のアクションが活発化しているね。それを受けて、いまこの場所でいくつかの特権を持つ人間として、同じ側にいる君たちに向けてこの文章を書いている。(自戒も含めて)
 差別ってのはめちゃめちゃ最悪なことだという大前提は共有されているものとする。差別万歳! 何が悪いんだよ! って人は、とりあえず自分の心臓をえぐり出して食べるとか(よく噛んでね)、地面に頭を打ち付けるとか(あらかじめブルーシートを敷いておくといいよ)、しっかり勉強するとかして考えを改めてから出直してきてもらいたい。

 それでは本題に。
 僕は自民党議員の杉田水脈の「LGBTQは子供を作らないから生産性がない」という発言に抗議するために自民党本部前に集まったり、外国人差別に抗議するデモに参加したりしたんだけど、そのときに「ゲイなの?」とか「日本人でしょ?」という意見を目にしたんだよね。いわゆる「当事者でもないのに」ってやつ。この「当事者」という言葉をよく覚えておいてほしい。
 例えば、君が路上で通り魔にあったとする。そのとき、問題があるのは通り魔? それとも君? もちろん通り魔だよね。差別だってそう。問題があるのは差別される側じゃなくて、差別を生み出す社会の側。そう考えたときに、問題に向き合うべき「当事者」ってのは誰のことだろう? その社会を構成する一人一人じゃないかな?
 性善説とか性悪説の話じゃないんだけど、人は生まれながらにして差別意識を持っていると思う? 僕はNOだと思う。この社会のシステムが人に差別意識ってものを、少しずつ少しずつ刷り込んでいくんだと思ってる。で、そのシステムの中で僕たちには特権が与えられるんだけど、その特権には、そのシステムと戦うために使うって使い道もある。
 アメリカでの BLM 運動の中で、警官の前に立ちはだかった白人たちがいたよね。警官は相手が黒人だと容赦なく暴力をふるってきたが、白人(特に白人女性)が相手だと手を出しにくい。その特権を利用して自ら盾になったんだ。これが僕たちがやらなきゃいけないこと。フロントラインで差別主義者と戦うのも使い道の一つだし、差別されてる人たちの声や情報を拡散するのも一つ。他にも日常的に使えることがたくさんある。

 こういう問題を語るとき、マジョリティとマイノリティって書き方をするのが一般的な気がするけど、ここではあえてそう書かなかった。なぜなら文字通りの数の問題じゃなくて、力関係の問題だから。この社会のシステムは誰が誰のために作っているのか? 文字通りのマジョリティではないんだよね。それは、金を持ってるやつ、権力を持ってるやつ、いわゆる「勝ち組」みたいな、ほんの一握りの既得権益層。2011年の Occupy Wall Street で使われたスローガンは「We are the 99%」。上位1%の富裕層だけが蓄えを増やし続けていることへの抗議だった。そういう層が「自分たち側」のためにシステムを作っていて、その中には差別意識が染み込んでいる。ブリストルでは先日、奴隷の売買で財を成した Edward Colston の像が引き倒されて Avon 川に投げ込まれたよね。そして、その動きはUK中へと広まっているらしい。街や国への貢献から奴隷商を偉人として扱うのは、人を人と思わず、ただの商品として扱うことを当然のこととして、それで経済を発展させた社会のままの意識の上に成り立つ考え方だと思う。Netflix に『13th』という大変良いドキュメンタリー・フィルムがあるからぜひ見てほしい。合衆国憲法の修正13条が奴隷制度を隠して生きながらえさせる抜け穴だという内容だ。奴隷で財を成した者たちが、既得権益を失わないために作ったシステムと言えるよね。人を人と思わない奴が、それで財を成すってのは海の向こうに限った話じゃないんだよ。この過労死大国の日本は、まさにそういう人を人と思わない既得権益者たちによって、搾取の構造が内包されたシステムが作られているんだよね。竹中平蔵なんてまさに現代の奴隷商人だと思うよ。彼らは身分制度(見えにくくカモフラージュされてるけど、ここにもバッチリ存在してる)を固定化し再生産することで、自分たちの利益を守って、さらにブクブクと肥え太ろうとしている。親の収入と受けられる教育の相関関係、受けた教育と収入の相関関係なんかを調べてみるとわかりやすいかな。

 ちょっと話が散らかっちゃった気がするけど、今アメリカで BLM が抵抗しているのは差別なんだけど、それは社会の中にシステムとして組み込まれた差別で、ここ日本にも同様に抵抗しなくてはいけない差別とシステムが存在するってことが言いたかった。
 僕の大好きな曲、Smith & Mighty の “No Justice” のリリックにはこういう一節がある。

The reason why our lives they are so rough.
Because the system is unjust.
And the reason why the system is unjust.
Because it's not made for us.

 システムというものを少しでも具体的に見ることができたら、この曲の持つパワーも具体的に感じられると思う。

 これは「人類 vs 人を人と思わないクソ野郎」の戦いだし、社会のシステムそのものを問い直す動きだと思うんだ。僕たちは奴らが決めた「勝ち組」ではないけど、負けたつもりなんてないし、自分たちが持ってるものを使ってあらゆる方法で戦っていかなくてはいけない。人類のあらゆる権利や尊厳をかけた戦いだからね。

 とにかくできるだけ早く書かなきゃと思って急いでアイデアをまとめたから、ちょっと伝わりにくい箇所があるかもしれないけど、これが僕の今の文章力の限界だから許してほしい。間違いがあったらぜひ指摘してほしい。僕はまだまだ日々勉強中だし、分からないことがいっぱいある。この1週間だけでも多くのことを学んだ。みんなもきっとそうだと思う。少しずつでも学んで、知るということは前進するためにとても大事なことだと思う。

 次回こそは前回の続きを書きたいし、それまで大きな事件が起きないことを願って。
 The power to the people they must be released✊

Cuushe - ele-king

 これは嬉しいニュースだ。〈Flau〉レーベルのアーティスト、Cuusheが数年ぶりの音楽活動に復活する。〈Flau〉レーベルとCuusheは、3年前に窃盗及びオンラインハラスメント被害に遭っている(https://jp.residentadvisor.net/news/42385)。機材やデータが盗まれたレーベルの被害も大きかったろうが、オンラインハラスメントに遭ったCuusheの精神的なダメージは察するに余りある。彼女がいま音楽活動に復活できたことに編集部としても心から拍手したい。
 さて、その第一歩だが、新しいバンド・プロジェクトFEMのメンバーとしての再始動になるそうだ。6月20日には7inch Single「Light」がリリースされる
 このB面のリミックスには、Iglooghostが参加しているそうだ。
 また、11月にはCuusheのオリジナル・アルバムのリリースも予定されている。

■ FEM - Light

タイトル:Light
アーティスト:FEM
DIGITAL発売日:2020年6月12日
7” 発売日:2020年6月20日
発売元:Fastcut/FLAU

tracklist:
1. Light
2. Light (Iglooghost Remix)

■ リリース詳細:
https://flau.jp/releases/light/

Cuusheがボーカルを務める不定形バンド、FEMのデビュー7inchがリリース!
Cuusheが新しくスタートした不定形バンドFEMと共に再始動。どこまでも柔らかでメランコリックなギターのレイヤー、オーストラリアのアヴァン音響ジャズ・グループTangentsのEvan Dorrianによるダブステップ~ポストロック的なリズムと交わることで様々な情景を浮かび上がらせ、90年代のJ-POPへのオマージュを込めたというメロディーとCuusheでは聴くことのない力強い歌声は彼女の新境地を見せてくれます。B面にはデビューEPよりCuusheが2作続けてゲスト参加するなど交流の深いBrainfeederのIglooghostがリミックスを提供。すべてがやっと始まっていくかのような期待を感じさせるに相応しいシングルが完成しました。fastcutとFLAU初のコラボレーション作品、7inchは限定クリア・ヴァイナル仕様。


Cuushe

Julia HolterやTeen Dazeらがリミキサーとして参加したEP『Girl you know that I am here but the dream』を2012年にリリース。デビュー作収録の『Airy Me』のミュージックビデオがインターネット上で大きな注目を集める中、全編ベルリンでレコーディングされたセカンドアルバム 『Butterfly Case』を発表。独創的な歌世界が海外の音楽メディア/ブログで高い評価を獲得。近年はアメリカTBSのTVドラマ「Seach Party」、山下敦弘 x 久野遥子による「東アジア文化都市2019豊島」PVへの音楽提供や、PlaceboのStefan Olsdal、Iglooghost、Populousらの作品にゲスト参加。長らく自身の音楽活動からは遠ざかっていたが、今年新たなプロジェクトFEMと共に再始動。秋にはCuusheのニューアルバムの発売も予定している。

DJ Python - ele-king

 適切な社会的距離の目安が2メートルだとすると、適切な政治経済的距離の目安は2イデオロギーくらいだろうか、であるならたとえばネオリベやリベラルとのあいだには2枚くらいクッションを挟んでおかないと感染してしまう恐れがある……なんてくだらないことを非常事態宣言下では考えていたのだけれど、そんな妄想のお供としてよく聴いていたのがリスボンのDJリコックスのEP「Kizas do Ly」だった。高音と低音の距離感がとにかく絶妙で、落ち着いているのにどこか情熱的な曲調も相まって「離れてても愛してる」的なロマンをビシバシ感じてしまったのである。七夕にはまだ早いというのに。

 きわめて深刻な状況へと追い込まれたニューヨーク、近年かの地のクラブ・シーンを代表する存在にまで成長を遂げたDJパイソンによる、コロナ禍ドンピシャでリリースされたセカンド・アルバムも、リズム・パートと上モノとの距離感に特異性を見出すことのできる作品だ。前作『Dulce Compañia』で確立された「ディープ・レゲトン」なるスタイルと、昨年のEP「Derretirse」で大々的に開帳された「アーティフィシャル・インテリジェンス」への憧憬、その双方をさらに推し進めた内容になっており、引き続き催眠的なムードに覆われている。
 あっと驚く大きな変化があるわけではないのだけれど、ビートを非在化するというか、幽霊化するような音の設計には舌を巻かざるをえない。明確にレゲトンのビートが鳴り響いているにもかかわらず、そしてそれが徐々に細やかな変化を遂げていくにもかかわらず、騙し絵の聴覚版とでも喩えれば伝わりやすいだろうか、むしろそこからは意識を遠ざけるように、全8曲がシームレスに進行していく。「無視できるビート」というのはアンビエント的にもおもしろい着想だが、この距離感にはパイソンの考えるラテン・カルチャーとIDMの関係性が落とし込まれているにちがいないと、そう深読みすることも可能だろう。
 高音部もいろいろと音響的な趣向が凝らされている。印象深いのはやはり冒頭の “Te Conocí” で、本作中唯一ビートを持たないこの曲は、まるでプラスティックの板を優しくつっついているかのごとき柔らかな雨音を堪能させてくれる(じっさいはたぶん窓ガラス)。アルバム中盤の “Alejandro” から “Descanse” までを特徴づけるギロや、“ADMSDP” から最終曲までを際立たせているインダストリアル風のパーカッションも聴きどころだ。
 がらりと流れを変える “ADMSDP” は、本作中唯一ことばを持つ曲でもある。LAウォーマンなる人物によって気怠げに囁かれる「人生に意味などなく/意味はなくとも苦しみはあり」「希望なんかないって感じるのもオーケイ、だって世界に希望はないんだから/死ぬことを考えたってオーケイ」といったフレーズは、このパンデミック下において(そしてジョージ・フロイド事件以降の世界において)なんとも強烈な意味を伴って迫ってくる(制作自体はもっと前のはずだから、けっして意図されたものではないんだろうけど)。

 どこまでも夢見心地な全体と、その夢を食い破るように仕込まれたかすかな毒──その構図自体がどこか、パンデミック下における(最前線で直接的な生命の危機にさらされている医療従事者たちを除いた、大多数の人びとにとっての)「非日常的日常」を想起させる。ここ日本では非常事態宣言もとうに解除され、都の休業要請もまもなく全面解除される見込みであり、多くの問題を残したままむりやり「日常的日常」への回帰が推し進められているわけだが、であるからこそ、早くクラブで彼のプレイに浸りたいと熱望する一方で、数ヶ月前に生起し現在は消失しつつあるこのアンビヴァレントな空間と時間の意味について、これからより思索を深めていかねばならんのではないかと、このアルバムを聴くたびに考え込んでしまうのであった。

6月6日渋谷レポート - ele-king

 欧米各都市でジョージ・フロイド事件に端を発する抗議活動が展開されるなか、去る6月6日の土曜日、渋谷でも集会とデモが敢行されている。

 集会のほうはハッシュタグ「#0606BlackLivesMatterに連帯するハチ公前抗議集会」を旗印とし、ハチ公前でいろんなひとが入れ替わり立ち替わりスピーチ(ラッパーの Awich も登場)。かなりの数の外国人が集まっており、それぞれに「Black Lives Matter」「Enough Is Enough(もうたくさんだ)」などのメッセージ・カードを掲げている。制服を着た高校生の姿も。

 デモのほうのハッシュタグは「#0606渋谷署前抗議」。5月22日に在日クルド人男性が渋谷署の警官に暴力を振るわれ、それに対する抗議デモが5月30日にローンチ、そのとき活動家が不当逮捕されたことを受け、今回の「#0606渋谷署前抗議」が決行されたという次第。30日をはるかに上まわる人数が参加していたようだ(共同通信によれば6日のデモ参加者は約500人。ちなみに同日、アメリカの主な都市では数千人~数万人が、オーストラリアやドイツ各地ではおよそ2万人が、ロンドンやパリでは数千人が、そしてソウルでは数十人がデモに参加した模様)。
 モヤイ像前を出発しスクランブル交差点を北進、井の頭通りを左折し、文化村前~道玄坂を経てふたたびスクランブル交差点を通過、渋谷署前を二度まわるルートで、こちらもやはりさまざまな肌の色の若者が参加している。「Black Lives Matter」はもちろん、「PEACE & LOVE」「SILENCE IS COMPLICITY」「WHO DO WE CALL WHEN THE POLICE MURDERS?」「今ここにいる全ての人が安心できる街を」「暴力警察官を監獄へ」など、メッセージの文言も色とりどり。

 このようにいま、世界と共振するような動きが日本でも起こっている。今後も注視していきたい。なお、ミネソタ・フリーダム・ファンドやジョージ・フロイドの公式支援ファンド、ブラックライヴズマターなど各所へのリンク先は、『Resident Advisor』をご確認ください。(小林)

COVID-19以後の世界に訪れる「野蛮状態」という危機──それを避けるためには?

愛する人と距離をおくことが最大の愛情表現となり、トイレットペーパーがダイヤモンドのような価値を持つコロナ禍の世界。そして権力が無能を顕にしつつあるアフター・コロナの時代に訪れる「野蛮状態」とは何か、そしてそれを避ける道はどこにあるのか。

「最も危険な哲学者」の緊急提言!

※続編『パンデミック2 COVID-19と失われた時』も好評発売中。

目次

序章 我に触れるな。
第一章 我々はみな、同じ舟に乗っている。
第二章 何をこんなに、いつも疲れているのか?
第三章 欧州のパーフェクトストームに備えて
第四章 ようこそ、ウイルスの砂漠へ
第五章 感染流行の五段階モデル
第六章 イデオロギーのウイルス
第七章 冷静にパニクれ!
第八章 監視と処罰? ええ、お願いします!
第九章 人の顔をした野蛮が我々の運命か
第十章 共産主義か野蛮か。それだけだ!
補遺 友人からの二通の有益な手紙
サマラの約束:古いジョークの新しい使い方

解説:リュブリャナの約束 古い理論の新しい使い方?(斎藤幸平)


スラヴォイ・ジジェク(Slavoj Žižek)
1949年スロヴェニア生まれ。哲学者。リュブリャナ大学社会科学研究所上級研究員、ロンドン大学バークベック人文学研究所インターナショナル・ディレクター。哲学や政治理論における新地平を切り拓き、文学や映画を縦横無尽に論じている。
著書に『イデオロギーの崇高な対象』(河出文庫)、『汝の症候を楽しめ』(筑摩書房)、『ラカンはこう読め!』(紀伊國屋書店)、『ポストモダンの共産主義 はじめは悲劇として、二度めは笑劇として』(ちくま新書)他多数。

斎藤幸平
1987年生まれ。大阪市立大学経済学研究科准教授。日本MEGA編集委員会編集委員。
著書に『大洪水の前に:マルクスと惑星の物質代謝』(堀之内出版、2019年)等。
監訳にマルクス・ガブリエル、スラヴォイ・ジジェク『神話・狂気・哄笑』(堀之内出版、2015年)等。
編著に『資本主義の終わりか、人間の終焉か? 未来への大分岐』(集英社新書、2019年)、Marx-Engels-Gesamtausgabe, IV. Abteilung Band 18, De Gruyter, 2019.
2018年、ドイッチャー記念賞を受賞。

中林敦子
大阪大学文学部卒、カリフォルニア州立大学大学院 言語学MA。フリーランス翻訳者として、主に医療、製薬・医療機器の分野で、企業HPやパンフレット、学会資料などの実務翻訳。市役所の外国人相談員でもあり、市内に暮らす外国籍市民の生活上の問題解決にあたる。訳書にゼイナップ・トゥフェックチー『ツイッターと催涙ガス』(Pヴァイン)。好きなものは、フィリピンのスイーツ「ブコ・サラダ」と、白鳳・天平の仏像と、ハリネズミと、民主主義。



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Black Lives Matter Protest in London - ele-king

 5月25日にアメリカ合衆国のミネアポリスで白人警官によって黒人男性のジョージ・フロイド氏が殺害され、それに端を発する人種差別撤廃を掲げる抗議運動「Black Lives Matter(以下、BLM)」が、現在世界各地で行われている。先週末の日曜日、6月7日にイギリスのロンドンで開催された抗議集会に僕は参加してきた。この記事では、そこで自分が見たものを記していきたいと思う。
 ロンドン市内での大規模な抗議は5月31日から合計4回開催されており、この日のデモの開始地点は、ロンドン中心地のテムズ川の南に位置するエリア、ヴォクソールにあるアメリカ大使館(『007』シリーズに出てくるMI6本部の建物もここにある)。現在のコロナ禍に対応するため、抗議運動の主催者からは、マクスの着用が求められていた。抗議には多くの年齢層が参加していたが、20代から30代の若者が多かった印象を受けた。人種は黒人系を中心に、白人層やその他のバックグラウンドを持つ者も大勢集まっていた。政府の発表によれば、この一週間のロンドンの抗議運動には、合計137500人が参加し、警察からは35人の怪我人を出し、逮捕者は135人に登ったというが(The Guardian, 2020) 、僕の周りでは終始、平和的に抗議が行われていた。
 今回のデモには多くのアフロ/カリブにルーツを持つミュージシャンや俳優などの文化人も参加している。先週はディズニー版『スター・ウォーズ』三部作にフィン役で出演していたジョン・ボイエガがハイド・パークの集会でスピーチをし、他にはグライムMCのストームジーやUKラップのデイヴ、サックス奏者のヌビヤ・ガルシアなど、多くの人物が抗議に参加した。サウンド・カーで音楽を披露するわけではなく、文化の現在を形成する者たちはイギリスを生きる黒人として、一般人と同じ立場から、彼らはその声を届けにきていた。
 この日の天候は決して良くはなかった。そして、徐々に規制が緩和されているとはいえ、イギリスはまだコロナ禍によるロックダウン(都市封鎖)の最中である。都心部から電車でだいたい40分ほど離れた場所に位置する、サウスイースト・ロンドンのルイシャム地区、ブロックリーに住む僕は、自転車で目的地まで向かう必要性を感じていた。いくつかの駅は閉鎖され、運行本数は減らされているものの、電車やバスは動いているし、「不要不急」の使用を避けるように要請されているだけで、実際は使用することはできる。しかし、出来る限り感染のリスクを下げるため、お互いの「ソーシャル・ディスタンシング」を保ちながら、近所に住む友人たちと雨に降られながら、僕は自転車で集合場所へ向こうことにした。
 現場に到着する10分ほど前から、歩道と自転車道は抗議への参加者でいっぱいだった。バスターミナルがあるものの、普段はそれほど混むことはないヴォクスホールだが、駅周辺に自転車を駐めるのは困難なほどの人混みだったため、そこから少し離れた公園の柵に自転車をくくり付け、アメリカ大使館へと向かった。この時点で携帯がネットになかなか繋がらない。ロンドンでは、大勢が密集する地域ではよく起こることだ。僕は以前、三日間で100万人以上が集まるノッティングヒル・カーニヴァルで同じ現象を経験したことがある。電波が悪くなるのに十分な人数がこの時点でもう集まっていた。
 集合時間の2時から30分ほど遅れ現場に到着した。集合エリアでは、脱中心的にいたるところでシュプレヒコールが巻き起こっていた。すでに道路は閉鎖され、集合地点であるアメリカ大使館へは到達できないほどの群集ができあがっている。「Black Lives Matter」、「No Justice! No Piece!(正義がなければ平和もない)」、「I can't breathe (息ができない)」、「Fuck Donald Trump!」「What's his name? George Floyd!」など、25日以降、世界中で叫ばれている言葉が群集から飛び出してくる。参加者たちがヒートアップするなか、大使館前にいるグループからの掛け声で、集合エリアの参加者は跪き、拳やプラカードを掲げ、1分ほど沈黙によって抗議の意を示した。


(抗議マーチの起点となったアメリカ大使館近くのヴォクソール橋)

 その後、参加者たちは列を作り、徐々に移動を開始する。ヴォクスホールの再開発によって奇妙な形のタワマンが立ち並ぶエリアから橋を渡り、川の北川の伝統的でポッシュな建物が立ち並ぶエリアをぬけ、一般的市民が住めるレベルの建物がやって見えてくる。周知の通り、ロンドン中心地の家賃は恐ろしいほど高騰しているが、そんなエリアでも公営住宅は存在している。窓からは「Black Lives Matter」のプラカードを掲げた家族や子供たちが、シュプレヒコールを路上に向けて叫んでいる。
 この周辺には、ロンドンで最も混雑する駅のひとつ、ヴィクトリア駅があり、普段は多くの車が行き交っているのだが、この日はその道路も抗議マーチによって封鎖された。立ち往生し、不満が募っている周囲のドライバーたち……、と思いきや、その多くからは抗議への賛同を示すクラクションが聞こえてきた。なかには、わざわざマーチが進行する道路に車を駐車して、車中から音楽を流し、窓から上半身を乗り出してプラカードを掲げる者もいた。


(マーチが通る場所に位置するバス停や電話ボックスには、「Black Lives Matter」や「George Floyd」、「ACAB(All Cops Are Bastards:すべての警察はクソ野郎)」などの文字が書かれていた)

 ヴィクトリア駅周辺のビル街を抜けると、国会議事堂があるウェストミンスター地区がある。いわゆる「ビッグベン」で知られる、現在は修復中の時計台が見下ろす議会広場を中心に、このエリアもすでに抗議の参加者たちで溢れていた。この広場にはデビッド・ロイド・ジョージやウィンストン・チャーチルといったイギリスの歴代政治家とともに、マハトマ・ガンジーやネルソン・マンデラといった国外の政治指導者たちの銅像も並んでいる。その周辺では有志の若者たちがマスクと手の消毒液を無料で配っていた。広場でしばらく休憩したのち、僕は抗議の終着地点に向かった。首相官邸がある、ダウニング・ストリートである。


(議会広場のネルソン・マンデラ像)

 混雑する通りを進むと、ゲートが閉まったダウンニング・ストリートの入り口では、群集がザ・ホワイト・ストライプスの “Seven Nation Army” の替え歌を大合唱していた。この歌は、前回の総選挙時にはジェレミー・コービン支持者らが「オー、ジェレミー・コービン!」の替え歌で合唱したことでも有名だが、今回の歌詞は「Boris Johnson is a racist!(ボリス・ジョンソンは人種主義者)」である。政府機関が入る周囲の建物には抗議者がよじ登り、壁には「Black Lives Matter」の文字が殴り書かれていた。この場所では先日6日の抗議では抗議者と機動隊が衝突した場所でもある。けれども、この日は建物や信号によじ登る者はいたものの、警察の介入はなく、暴力的な場面に遭遇することもなかった。通りには過去の大戦での戦没者を追悼する記念碑もあり、そこに座ろうとする者を注意する抗議参加者たちもいて、秩序立ったなかで抗議は進行していった。そこでしばらくシュプレヒコールをし、僕たちは南へと帰ることにした。時刻は5時近く。国会周辺からは一向に人が減る気配はなかった。


(ダウニング・ストリート周辺の抗議)

 この原稿の目的はあくまで抗議の様子を紹介することなので、イギリスにおけるBLMの考察などには踏み込まないが、最後にひとつだけ触れておきたいことがある。先ほどの「彼の名前は?」のシュプレヒコールで、ジョージ・フロイドに加えて、組織的な人種差別の犠牲者となった者たちの者たちの名前が叫ばれていた。そのなかのひとりに「Stephen Lawrence(スティーブン・ローレンス)」がいる。
 1993年4月23日、サウスイースト・ロンドンのエルタムのバス停で、友人ともに外出していた18歳の黒人青年、スティーブン・ローレンスが、16〜17歳の5人組の白人の少年たちによって刺殺されるという凄惨な事件が起きた。殺害は彼が黒人だったからという、あまりにも稚拙で愚劣な人種主義的動機によるものだった。
 このような残忍な犯行であったにもかかわらず、逮捕された5人は証拠不十分で不起訴となる。このような不当な事態を受け、被害者の母親であるドーリーン・ローレンスは警察側に正当な捜索をするように抗議運動を開始する。この遺族が中心となった活動により、警察内部での組織的な人種的偏見から、捜査そのものが適切に行われていなかったことが判明した。これを機に、イギリス国内における、この事件や人種政策に対する関心は大きな高まりを見せる。容疑者のうちゲーリー・ドブソンとデービッド・ノリスに有罪判決が出たのは、2012年。それぞれ禁固15年2月以上と14年3月以上の判決が言い渡された。事件発生からあまりにも長すぎる時間が流れ、刑の内容も十分とは思われないものの、関係者の努力により形で事件は大きな進展を見せた。
 多文化主義が謳われるロンドンだが、権力レベルで人種差別が行われている制度的人種主義とそれが引き起こす問題が広く認知されるようになったのは、27年前の事件を境にしたことにすぎない。スティーブン・ローレンスの命日は、今日も人種差別撤廃を意識づける日として、毎年多くの者に追悼されている。ドーリーン・ローレンスは人種差別撤廃の活動を今日も続けており、2020年に入ってから、キア・スターマーを新たに党首に選出した最大野党の労働党によって、ローレンスは党の人種関連アドバイザーに任命されたばかりだ。
 文化面に与えた影響も大きい。ロンドンを拠点に活動するサックス奏者、シャバカ・ハッチングスは積極的にイギリスのブラック・ムーヴメントにコメントをしてきた人物のひとりだ。彼が率いるバンド、サンズ・オブ・ケメトの2018年作『Your Queen Is A Reptile』は、歴史上に名を残す黒人女性たちの名前を曲名に関したアルバムで、終曲の名前は “My Queen Is Doreen Lawrence” であり、今作には彼女への大きな敬意が込められている。ハッチングスとも繋がりがある、グライムを産んだ音楽家であるワイリーもSNSで、この事件に関する投稿をローレンスの命日とBLMプロテストの日にしていた。イギリスのギラついた音楽は、人種主義へのカウンターとして、今日も鳴り響いている。
 2011年、ロンドンで警官が黒人男性を射殺したことを発端に、イギリス全土で大規模な暴動が発生した。それから9年後、海を渡ったアメリカで起きたジョージ・フロイドの事件がトリガーとなり、今回のロンドンでの大規模なBLMの抗議運動へと繋がっている。イギリスは政治的にも、デモグラフィー的にもアメリカとは決して同じではない。しかし、警察や権力による日常的な人種主義的偏に対する怒りという意味では、この運動には国境は存在しない。そこには分断を超えていくようなエネルギーが満ち溢れている。帰り際、発煙筒からピンク色の煙が上がるチャーチル像の近くでスティーブン・ローレンスとジョージ・フロイドの名前を耳にしたとき、僕はそんなことを考えていた。


(議会広場のチャーチル像。この銅像には、このあと、「チャーチルは人種主義者(racist)だった」の落書きがされる。)

[参考資料]

The Guardian (2020), “Bid to defuse tensions as Black Lives Matter protests escalate”
AFP (2012), “18年前の黒人少年刺殺事件、白人被告2人に禁錮刑 英国”
•スティーブン・ローレンス事件と制度的人種主義の関連は、イギリス人ジャーナリスト、Richard Power Sayeedが著書『1997: The Future that Never Happened』(Zed Books, 2017)で、現在の英国の人種政治と絡めて詳しく書いている。

ele-king臨時増刊号 コロナが変えた世界 - ele-king

いま、新しい現実が広がる──

何が終わり、何が始まるのか
ニュースでは語られなかった、社会・科学・文化からの検証

インタヴュー:
上野千鶴子、内田樹、宮台真司、ブライアン・イーノ
天笠啓祐、宇都宮健児、ヤニス・ヴァルファキス、ほか


目次

INTERVIEW インタヴュー

内田樹 失ったものを数えるよりも、残っているものを数えること
天笠啓祐 新型コロナウイルスとは何か?──科学的見地から探る原因と対策
ブライアン・イーノ × ヤニス・ヴァルファキス ウイルス後の世界を考える
宮台真司 絶望こそが希望である──パンデミックが照らし出す未来への道筋
上野千鶴子 政治は女の方が向いている──コロナ禍が可視化した女性差別の実態
五野井郁夫 日本は軍隊がないからこそ戒厳令を敷かなくて済む──世界各国の対応と日本との見比べ
桔川純子 住民がお互いにワクチンになった──市民の自発性をベースにしたソウル市のコロナ対策
宇都宮健児 緊急事態宣言の意味──本当に困っている人たちに必要なこととは
重光哲明 ウイルスは万人に平等に襲いかかる?──フランス在住の医師が語る公衆衛生と疫学の重要性
篠原雅武 新しい感覚の構造に私たちは気づきつつある──エコロジーの観点から見たパンデミック
ダニエル・ミラー 多くは壊滅的な打撃を被っている──音楽産業とりわけインディ・シーンの将来について
ブライアン・イーノ 利益の出ないモノをいかに大切にすることができるか──再解釈される文化とアート

COLUMN コラム

イアン・F・マーティン コロナ・ローカリズム──瀬戸際のライヴハウスから
坂本麻里子 ユートピアはこうして描かれる──ブライアン・イーノからウィリアム・モリスへ
後藤護 疫病文化逍遥──ファクトからネオグロテスクへ
仲山ひふみ アポステリオリな思考
高島鈴 洪水と生存──誰も外に出ない家の中で
白石嘉治 トンネルをぬけて風にふかれる──あたらしい精神の形式について
三田格 ホリデー・イン・ザ・サン(密)

表紙写真:小原泰広


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Kamaal Williams - ele-king

 かつてユセフ・デイズ(先日トム・ミッシュとの共作を発表)と組んだユニット「ユセフ・カマール」でUKジャズ・ムーヴメントに先鞭をつけたヘンリー・ウー。2018年にはカマール・ウィリアムス名義でこれまたすばらしいアルバムを送り出している彼が、ついに同名義でセカンド・アルバムをリリースする。ジャズやファンクはもちろん、エレクトロニック・ミュージックからの影響も巧みに落とし込んだ、彼らしい内容に仕上がっている模様。南ロンドンのシーンからはずっと良質な作品が出続けているので、これも要チェックです。

Kamaal Williams

ユセフ・デイズとのユニット、ユセフ・カマールでの活躍でも知られる
ヘンリー・ウーことカマール・ウィリアムスが待望の最新作『Wu Hen』を
7月24日リリース! 新曲 “One More Time” を公開!

俺たちがジャズを学んだのは教室ではなくて、ストリートなんだ ──Kamaal Williams (Henry Wu)

トム・ミッシュとの共作で話題のユセフ・デイズと組んだユニット、ユセフ・カマールとしての活動が絶大な評価を受けたことでその名を知らしめ、ヘンリー・ウー名義でフローティング・ポインツが主宰する〈Eglo〉、〈MCDE〉、〈Rhythm Section〉といったレーベルからリリースした12インチが、DJより支持を集めているカマール・ウィリアムス。自身が運営する〈Black Focus〉より待望の最新作『Wu Hen』を7月24日にリリースすることをアナウンスし、同時に新曲 “One More Time” を公開した。

Kamaal Williams - One More Time (Official Audio)
https://youtu.be/Q3vJLO0pXWU

『Wu Hen』は南ロンドンを拠点にクロスオーバーに活動するアーティスト、カマール・ウィリアムスことヘンリー・ウーによるセカンド・アルバムであり、これまで以上に聴き手を高みへと誘うアルバムとなっている。

これはマインド革命であり、精神的な反抗だ。新しい高みに到達するためには、物質的な世界から自分自身を切り離し、実体のないものに力を見出すことが必要なんだ。それがアートとか音楽っていうものなんだ。原始的な感情であろうと、何か深いものであろうと、それをただ感じるんだよ。そして、俺の作品全体には潜在的に共通した要素がある。もし絵を描いているなら、それは絵を描いている時に感じることだ。作品を見ている人も、音楽を聴いている人も、それを感じることができる、なぜならそれは嘘偽りのないものだから。 ──Kamaal Williams (Henry Wu)

アルバムのタイトル『Wu Hen』は、ヘンリーのおばあちゃんが子供の頃に彼につけたニックネームでもある。彼の台湾側の家系は呉王朝の出身で、呉という名前は「天国への入り口」という意味である。『Wu Hen』では、彼の家系から現在の精神的な使命に至るまでの道のりが描かれており、Othelo Gervacio による雲のようなカバーアートにもそれが反映されている。

「俺たちがジャズを学んだのは街角であって、教室ではない」とヘンリー・ウーは公言しているが、その言葉は至極真っ当なものだ。彼がアーティストとして受けてきたヒップホップ、グライム、UKガラージ、ハウスに70年代のファンク、ソウル、ジャズを重ね合わせることで、自身が “ウー・ファンク(Wu Funk)” と表現する独自フュージョンを生み出している。

今回のアルバムには、ストリングにミゲル・アトウッド・ファーガソン、べースのリック・レオン・ジェイムス、サックスのクイン・メイソン、ロサンゼルスを拠点にするドラマー、グレッグ・ポール(カタリスト・コレクティブ所属)、ハープ奏者アリーナ・ジェジンスカラ、ラッパーのマック・ホミー、そしてケイトラナダとの共作で知られるローレン・フェイスがボーカルとして参加している。中でもフライング・ロータスとの共同制作を始めレイ・チャールズ、ドクター・ドレ、メアリー・J・ブライジなどと共作をしているミゲル・アトウッド・ファーガソンは、彼らしい特徴的なストリングスのサウンドを披露しており、鮮やかな色彩と豊かな深みを与えている。

『Wu Hen』は多様な色合いに満ちた作品だ。“Street Dreams” の軽やかで美しいメロディーから “One More Time” の爆発的なブレイクビーツのドラムに繋がるさまは、エロクトロニック・ミュージックとファンクの力強い混成となっている。“Toulouse” と “Pigalle” がロニー・リストン・スミスやジョン・コルトレーンのような古典的な雰囲気を持っている一方、“Hold On” にはコンテンポラリーな感覚があり、カマールはローレン・フェイスの甘美な歌声とともに情感豊かなR&Bサウンドを提示している。『Wu Hen』のスタイルはロイ・エアーズによるフュージョン作品を想起させるところもあれば、それを支えるリズムはむしろ鈍重なヒップホップを思わせるものであり、海賊版ラジオの音声を細かくつぎはぎしたサウンドが、それとはわからないように織り交ぜられている。

待望の最新作『Wu Hen』はデジタル、国内盤CDで7月24日リリース、輸入盤CD/LPは8月14日リリースとなっている。国内盤CDにはボーナストラックが収録され、輸入盤LPは通常のブラックヴァイナルに加え、限定のレッドヴァイナルが発売される。

label: Black Focus / Beat Records
artist: KAMAAL WILLIAMS
title: Wu Hen
release date: 2020.07.24 Fri On Sale
国内盤CD BRC-643 ¥2,200+tax
国内盤特典:ボーナストラック追加収録/解説書封入

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TRACKLISTING
01. Street Dreams (feat. Miguel Atwood-Ferguson*)
02. One More Time
03. 1989*
04. Toulouse*
05. Pigalle
06. Big Rick
07. Save Me (feat. Mach-Hommy)
08. Mr.Wu
09. Hold On (feat. Lauren Faith)
10. Early Prayer
11. 3 Yourself (Bonus Track for Japan)

Derrick May - ele-king

子供の頃からずっと人種的不正と共に生きてきた。二等市民として扱われたことのある人間ならば、人種差別・偏見は心に永遠に消えない傷を刻むことを知っているだろう。このようなメンタリティを持つ人たちの憎悪と無知は、恐怖と愚かさによるものだ。これからも、この惑星には常に人種差別主義者は存在するだろう。だから、人種差別を撲滅・根絶しなければならない! この社会から差別を時代遅れにしてしまおう。(デリック・メイ)

I have lived with racial injustice my entire life since I was a young boy, such as anyone who's ever been treated as a second-class citizen knows Racisim and bigotry leave painful deep permanent scars and injuries to the psyche that never go away! The hate and ignorance that lives in this mentality is due to fear and stupidity! There will always be a racist on the planet, our job is to eliminate and eradicate them! Make them obsolete to our society. (Derrick May)

CRASS Remix Project - ele-king

 ビョークを発掘したことで知られる〈One Little Indian〉が、興味深いプロジェクトを始動している。

 伝説のアナーコ・パンク・バンド、クラス(CRASS)が昨年、デビュー作『The Feeding of the Five Thousand』(1979)に新たな息を吹き込むべく、同作のオリジナル・トラックをフリーでダウンロードできるようにし、みんなにリミックスを呼びかけていたのだけれど、結果、プロ・アマ問わず100ほどの応募があったそうで、このたびその成果が12インチEPとしてリリースされる。〈XL Recordings〉のボス、リチャード・ラッセル(rLr 名義)と、グラッサーによるリミックスだ。すべての収益は、DV被害に遭っている女性や子どもたちを支援する慈善団体の Refuge に寄付されるとのこと。

 プロジェクトの詳細はこちらから、リチャード・ラッセル・リミックスの試聴・購入はこちらから。

artist: Crass
title: Normal Never Was
label: One Little Indian
release: 24th July 2020

tracklist:
A: Bomb (rLr Remix)
AA: Do They? (Glasser Remix)

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