「Not Waving」と一致するもの

冬にわかれて - ele-king

 「シティポップ」のリヴァイヴァルが2012年ころから喧伝され、沢山のミュージシャンがその呼称に含まれることに違和感を表明しながらも、結果として「都市の音楽」としてのシティポップを磨きあっていた頃から、寺尾紗穂はそのような時流などどこ吹く風といった風情で、軽やかにピアノを弾きながら自分の歌を歌っていた。そしてそれは、本来的な意味におけるシティポップの美しさ(都市に生き、考え、人を眼指す音楽の美しさ)が、彼女が血肉としてきた音楽と、今を見つめる視点によって、とてもみずみずしい形で息づいているものでもあった。
 しかし彼女にとって、きっと自分の音楽がどんな呼称で評されるか、そんなことはどうだっていいだろう。私はそれがとても嬉しかった。今、音楽を音楽のままだけにしておけるというのは、とっても稀有な才能だから。
 だから、アルバム『楕円の夢』で寺尾紗穂という稀代のシンガーソングライターとともに仕事をする機会を得た私は、彼女の音楽にある何者にも冒し難い清廉を、いかにしてそれが清廉であるまま人々の耳にとどけるかに努めた。早いもので、それから3年半が経った。『楕円の夢』の日々は、音楽制作者としての私の人生において、最も美しい時間でありつづけている。

 「冬にわかれて」は、寺尾紗穂と、これまでも彼女のソロ活動を支えてきたあだち麗三郎、伊賀航というふたりのミュージシャンによる「バンド」である。
 コミュニティの生まれる最小単位である3人というトライアングル、その形態を慈しむように、彼らはそれをバンドと呼んだ。シンガーソングライターとそのサポート・ミュージシャンというにはあまりに有機的な音楽表現主体になっていたこの3人の関係を素直に発展させたとき、自然とバンドという見えない紐帯が浮かび上がってきたのだろう。

 今作『なんにもいらない』は、そんな3人の間に流れる空気をそのままに閉じ込めたようなデビュー・アルバムだ。
 昨年 7 inch でリリースされたシングル“耳をすまして”を始め、寺尾作の曲では、歌と演奏の相関はより密接となった。あだちのドラムスは、寺尾のピアノにも増して全体を包み込むように駆動していく。ときに響く彼のサックスも、アレンジという枠を超えて、鮮やかな肉感を楽曲に与えていく。盤石であり、ときにトリッキーな伊賀のベース・プレイは、サポート・プレイの際の寺尾に付き従うような奥ゆかしさをかなぐり捨て、バンドとしての「合奏」を大胆に形作る。そして、彼らふたりによって提供された“君の街”と“白い丘”(伊賀作)、“冬にわかれて”(あだち作)では、寺尾紗穂の記名的歌声がこれまでと違った旋律、違ったリズムに乗ることで、バンド作品でしか生まれえない好ましい異化作用とでもいうべきものが引き出されている。特に、伊賀がギター演奏を披露する“白い丘”の新鮮さはどうだろう。ゲスト参加の池田若菜による流麗なフルートを交えた、あのカエターノ・ヴェローゾにも通じるようなエヴァーグリーンな和声感覚を湛えたこの曲は、緊張感あるメロディーを寺尾が切々と歌うことによって、小品ながらまったくもって素晴らしい楽曲となっている。

 そしてもちろん特筆すべきは、寺尾作の各曲の充実ぶりだ。モータウン・ビートを大胆に取り入れた躍動的な“月夜の晩に”は、珍しくコーラスも交え、清涼感溢れるシティ・ソウル。アブストラクトな演奏がかえって詩情を引き寄せる“なんにもいらない”と、暖色のフォーキーとも言うべき“優しさの毛布でわたしは眠る”の豊かさ。「君が誰でもいいんだよ ただ今伝えたいことは プリンの美味しいあの店の場所と それがどれほど美味しいか」というチャーミングな一節が、日常を生きる私とあなたの背中を優しく押してくれるような、終曲“君が誰でも”の零れるようなポップネス。そのどれもが、彼女がかつて私に「普通に生きていると歌が生まれてくるんですよ」と笑いながら語ってくれた通り、生活者としての寺尾紗穂の視線にしっかりと貫かれている。そういった意味で、各曲の詩作は、そのどれもがとても「今」であり、その「今」の匂いが聴くものの胸を温めたり、ときにはハッとさせる。

 音楽が音楽そのままでいるということ。「冬にわかれて」の3人は、そんな、貴くてこわれやすいことを得意とする、不思議な人たちだ。私たちも、届けられた音楽がこわれないように、大切にこの作品を聴き継いでいきたい。
 私たちが耳をすませば、この音楽は、音楽そのままの形のままでずっと、私たちに寄り添ってくれるだろう。

Niagara - ele-king

 ポルトガルの〈プリンシペ〉というレーベルがクゥドロをリリースしはじめたとき、それは本当に斬新でモダンなダンス・ミュージックであった。正直、〈プリンシペ〉よりも10年前にクゥドロを先導していたDJアモリムやDKカドゥはまったく垢抜けず、ワールドワイドに知れ渡ることがなかったのも当たり前だと思えた(筆者は2008年にブラカ・ソム・システマのデビュー・アルバムで初めてクゥドロを知ることになった。だから、それ以前のものは遡って聴いただけ)。旧世代ではDJネルヴォソだけが〈プリンシペ〉にサルヴェージされ、作風もアップデートされたものになっている。〈プリンシペ〉はごく初期にフォトンズというポルトガルでは2006年からレコードをリリースしていた中堅のハウス系プロデューサーをレーベルに迎え入れていたので、クゥドロを土着サウンドとして温存するのではなく、ハウスというフォーマットの中で都会的な洗練を施そうという意志を持っていたことは明らかだったと思う。そして、DJニガ・フォックスやB.N.M、あるいはパリのニディア・ミナージュがそのラインで流れ出していったのである。しかし、その中にレーベル番号で言えば3番という早い時期のリリースにもかかわらず、なかなか意図不明なリリースが含まれていた。ナイアガラである。アルベルト・アルルーダ、アントニオ・アルルーダ、サラ・エッカーソンからなり、ノヴォ・ムンドの名義では普通にハウスもやっている3人組が2013年にリリースした事実上のデビュー・シングル「Ouro Oeste」はクゥドロとはまったくかけ離れ、ハウス・ミュージックとしてもどこかしっくりとこないものであった。僕はしばらくすればナイアガラは〈プリンシペ〉を離れ、同じポルトガルの〈エンチュファーダ〉辺りに移るだろうと思うほど〈プリンシペ〉の路線ではないと思っていたぐらいで、それが〈プリンシペ〉における3枚目のアーティスト・アルバムはDJニガ・フォックスでもなければCDMでもなく、まさかのナイアガラだったのである。そして案の定というか、これがやはりダンス・アルバムではなく、初めて9月に聴いてからすでに1ヶ月、いったいこれはなんだろうと思いながら何度も聴き返してしまうことになった。何度聴いても過去の引き出しのどこにも収まってくれない。もう一度、もう一度……

 ポップでもなければ、実験音楽でもない。最初はスフィアン・スティーヴンスやコス/メスがシリーズ化しているライブラリー・ミュージックを狙ったものかなと考えた。冒頭から変調させた声がミニマルというか、循環コードに絡みつき、アンビエント・ミュージックにしては賑やかな情景描写が展開される。このパターンが何曲か続き、ダンス・ミュージックでないことははっきりしてくる。いわゆるヒプノティックな効果は期待されているようで、メンタルに訴えかけようとはしているものの、トリップ・サウンドの要素はなく、特異な世界観に引きずり込まれることはない。なんというか、抽象的でとても醒めている。調べてみるとアルベルト・アルルーダは〈プリンシペ〉と出会う前にノイズやポスト・ロックのバンドで活動していた過去があり、それがどんな音楽だったのかということまではわからなかったものの、実験音楽やアヴァンギャルドにありがちな理性的で酩酊感のない音楽であろうとする感覚は残っているということなのだろう。ノイズやポスト・ロックにありがちな攻撃的要素をすべてスタティックなパーツに置き換えて全体像を組み立て直したという感じかもしれない。それでいてミュジーク・コンクレートに通じる面はまったくないのだから独創的としか言えない。何度も聴いているうちにどこにもなかった扉が開いて自分の中に新たな引き出しが生まれたような気になってきた。違和感が既視感にすり替わったというか。

 後半になると控えめながら、ほとんど曲でパーカッションがフィーチャーされる。催眠的であることに変わりはなく、ポップでも実験的でもないことは変わらないのに、どことなく理性的ではなくなり、知らず識らずのうちにトリップ・サウンドに紛れ込んでいるような体験になっている。“Damasco”“Siena”、そしてポルトガルなのになぜかイタリア全土を統一に導いた“Via Garibaldi”と続く流れは実に素晴らしく、“Matriz”であっさりとアルバムが閉じられてしまうと、え、ちょっと待ってよ、もう一度という気持ちになってしまう(出来の良くないハウスを追加したボーナス・トラックは興ざめ)。ここでやはり今年前半の白眉だったと言えるドゥ・レオンのミニ・アルバム『De Leon』を思い出すのが順当だろう。ナイアガラに比べてテクノのフォーマットにすんなりと順応しているドゥ・レオンは絶対に正体を明かさないユニットとして登場し、ガムランとカポエラにダブを取り入れたサウンドでテクノとワールド・ミュージックの垣根を完全に取り払ってしまった(“A3 Untitled”は確実にベーシック・チャンネルの先をいっている。1年以内に必ずマーク・エルネスタスがリミックスか何かで関わろうとするだろう)。2本のカセットに続いてリリースされたデビュー・アルバムは〈オネスト・ジョン〉傘下の〈マナ〉からリリースされ、その瞑想的なダンス・サウンドはナイアガラ『Apologia』で「それ以上、先に行ってはいけない」と釘を刺されていた領域にズンズンと突き進んでいく。この2枚を続けて聴くことは、結末を読むのが怖い昔話を読むような体験に似ているような気がする。

FUTURE TERROR 2018-2019 - ele-king

 今年も残すところあと7週間。いよいよ2018年の終わりが迫ってきました。ちらほらと年末年始のパーティ情報が出はじめていますが、なかでも強力なのがこちら。12月31日に代官山 Unit / Unice / Saloon にて開催される《FUTURE TERROR》のニューイヤー・パーティに、なんとドレクシアの元メンバー、DJスティングレイことシェラード・イングラムが出演します。これまでも世界じゅうの尖った才能たちを招いてきた同イベントですが、今回も気合いじゅうぶんです。さらに大阪からは Synth Sisters が参加、Wata Igarashi によるライヴや実験的なベース・ミュージックを追求する Lynne など、ほかにも見どころ満載。もちろんレジデントの DJ Nobu、Haruka、Kurusu も出演します。
 なお、スティングレイは大阪と札幌もまわることが決定しており、12月30日には Compufunk Records にて、年明け後の1月2日には Precious Hall にてプレイします。これは最高の年末年始が送れそうです。

FUTURE TERROR 2018-2019
早割チケット販売開始

DJ NOBU 主催のテクノ/ハウス・パーティー《FUTURE TERROR》のニューイヤー・バージョンが大晦日の晩、代官山 UNIT / Unice / Saloon にて開催決定。早割チケットを 11/12(月)18:00より販売開始。

今回《FUTURE TERROR》レジデントの DJ Nobu、Haruka、Kurusu に加え、デトロイトの至宝 DJ Stingray、大阪からサイケデリカル・ドローン・ユニット Synth Sisters、テクノ・ミュージックのティープサイドを探求し続ける Wata Igarashi の Live set、《FUTURE TERROR》初登場となるエクスペリメンタル・べース・ミュージック・アクト Lynne の出演が決定しています。

枚数/期間限定の大変お得な早割チケットを下記サイト上にて11/12(月)午後6時から販売します。
https://jp.residentadvisor.net/events/1182469
次回発表は12月初旬の予定です。どうぞご期待下さい。

FUTURE TERROR 2018-2019
日時: 2018.12.31 - 2019.01.01
会場: UNIT / Unice / Saloon (東京都渋谷区恵比寿西1-34-17 ZaHOUSE)
料金: Early Bird Ticket (早割) ¥2,500 (11月12日18 時よりRAイベント・ページにて販売/枚数・期間限定)

Line up:
DJ Stingray, DJ Nobu, Synth Sisters -Live-, Wata Igarashi -Live-,
Lynne, Haruka, Kurusu 他多数出演予定

more info coming soon...

Notice: You must over 20 with photo ID.
※ 20歳未満の方の入場はお断りします。
※ 全てのお客様のご入場時に写真付身分証明書の確認を行わせていただきます。

■補足情報
なお、DJ Stingray は年末年始にかけて東京・大阪・札幌の計3都市を回るツアーを行います。大阪と札幌の公演日程は下記の通りです。

2018.12.30
"MIDI_sai feat. DJ Stingray"
at Compufunk Records

大阪市中央区北浜東1-29 北浜ビル2号館 2F
TEL: 06-6314-6541
VENUE HP: https://www.compufunk.com
INFO: info@midisai.com

2019.01.02
"Method"
at Precious Hall

札幌市中央区南2条西3丁目13-2 パレードビルB2F
TEL: 011-200-0090
VENUE HP: https://www.precioushall.com

■DJ Stingray Biography


photo: George Nebieridze

DJ Stingray はテクノの世界で20年以上に渡り強力な存在感を保持してきた存在だ。デトロイトに育ち、同級生でありDJパートナーであった Kenny Dixon Jr. と Urban Tribe を1991年に結成し、今ではクラシックとなった“Covert Action”が〈Retroactive〉の『Equinox』コンピレーションに収録され、この街の豊かなテクノ・ソウルの歴史に名を残す。数年後にはロンドンの〈Mo' Wax〉からデビュー・アルバム『The Collapse of Modern Culture』を発表し、そこには同郷の Anthony 'Shake' Shakir、Moodymann、Carl Craig といった友人たちとのコラボレーションが多数含まれていた。彼の最も輝かしい功績は Drexciya のライヴ・メンバーとしての活躍かもしれない。Stingray は、Drexciya の James Stinson による命名である。マスクを被ってのパフォーマンスで世界中を巡ってデトロイトの精神をレプレゼントし続け、数十枚に及ぶリリースを続けてきた彼は、レーベル〈Micron Audio Detroit〉のオーナーとしての顔も持ち、世界中のフレッシュな才能を世に送り出している。

https://jp.residentadvisor.net/dj/djstingray
https://www.discogs.com/ja/artist/724414-DJ-Stingray-2


■DJ NOBU Biography


photo: Cedric Diradourian

DJ NOBU は一つのスタイルに踏みとどまらず、幅広い世界の音楽を引き出し、彼にしか作りえない唯一無二のサウンド・スペースを現出させる、卓越した実力を持つDJである。NOBU のDJを知る人にとって彼はちょっとしたカルト・フィギュア(熱狂的人気の対象)であり、その二十年余りに渡る経験は、厚い信頼を得ているパーティー《Future Terror》や、主宰レーベル〈Bitta〉、いくつかの音源やミックスのリリースとなって世に出ている。ここ数年にわたる活動の中で、ゆっくりと確実に、NOBU は日本のシーンの中心的存在から、フレキシブルでありなおかつ進化を続ける、世界で最も有望なセレクターというあらたなる評価を獲得するに至った。

https://octopus-agents.com/dj-nobu
https://jp.residentadvisor.net/dj/djnobu
https://www.facebook.com/pages/DJ-NOBU-OFFICIAL/236488399758952/
https://futureterror.net/

James Ferraro - ele-king

 3割、いや、4割くらいだろうか。現在OPNに寄せられている賛辞のうち、それくらいはジェイムス・フェラーロに譲ってしかるべきだろう。シンセの音色や展開、音声やノイズの処理法、挿入のタイミング、全体的なテクスチャーやレイヤリング――彼らふたりはサウンドのメソッドをかなりの部分で共有している。それは今年リリースされた作品にも顕著に表れ出ていて、フェラーロの新作「Four Pieces For Mirai」が鳴らすチェンバロや音声ノイズを耳にすれば、それらがほぼ同時期にリリースされたOPNの『Age Of』と共時的な関係を結んでいることがわかるだろう。
 そのようなサウンド面での共振以上に重要なのは、彼らがともにコンセプチュアルなアーティストであるという点だ。バラよりもパンが、想像的なものよりも具体的なものが優先されるこの時代にあって、彼らはフィクションというものが持つ力をどこまでも信じきっている。そんなふたりがじっさいに友人関係にあり、アイディアを交換しあっているというのはなんとも素敵な話ではないか(『Age Of』の「○○時代」という着想は、フェラーロとの読書会をつうじて獲得されたものである)。

 ロパティンの『Chuck Person's Eccojams Vol. 1』やラモーナ・ゼイヴィアの『フローラルの専門店』と同様、ヴェイパーウェイヴの重要作とみなされるフェラーロの『Far Side Virtual』(2011年)は、それまでのロウファイ路線から一気に舵を切った転機作で、彼に大きな名声をもたらしたアルバムだ。PCや携帯電話などの当世風環境音をレトロフューチャリスティックな佇まいで導入・再編した同作は、セカンド・ライフやグーグル、スターバックスのような記号と組み合わせられることによって、「ハイパーリアリティ」や「消費文化」といったタームで評されることになったわけだけれど、最近の『WIRE』のインタヴューにおいてフェラーロは、『Far Side Virtual』の射程がたんなる資本主義批判に留まるものではなかったことを振り返っている。いわく、文化はいかにして存続するのか、今日人びとはどのように関係を結びあっているのか、それはインターネットを介してである、うんぬん。ようするに同作は、今日の資本主義がヴァーチャルを拠りどころにしていることをこそメイン・テーマとしていたのであり、たしかにそれは先に掲げた術語たちと相つうずる側面を持っている。
 その後R&Bを都市の亡霊として利用した『NYC, Hell 3:00 AM』や、合成音声とモダン・クラシカルとの不和をそのまま共存させた『Human Story 3』など、いくつかの重要なアルバムを送り出したフェラーロは、新作「Four Pieces For Mirai」でふたたび『Far Side Virtual』の見立てへと立ちもどり、当時のアイディアをより深く突き詰めている。

 最初に気になるのはやはりタイトルの「ミライ」だろう。これは差し当たり一般的な意味での「未来」ではなくて、2年前に世間を騒がせたマルウェアの「Mirai」を指している。世界じゅうの大量のデヴァイスに侵入し、それら端末をのっとることによって同時多発的に特定のターゲットへと膨大なリクエストを送信、対象のサーヴァーをダウンさせるというその手法は、なるほどたしかに今日のオンライン化した資本主義にたいする勇猛な挑戦であり、電子的なレジスタンスといえなくもない。フェラーロはミライを肯定的に捉えている。トレイラー映像でも触れられているように、ミライはわれわれをヴァーチャルへの隷属状態から解放すべく生み出されたものなのである。

 いまやオンライン上の人びとの自我はその領分を逸脱し、フィジカルな世界で具現化を試みている。そもそもデジタルな自己とフィジカルな自己とが一致する必要なんてなかったはずなのに、今日ではオンライン上での振る舞いが現実のそれへとフィードバックされるようになってきている――『WIRE』においてフェラーロはそのような診断を下しているが、たしかに昨今オンラインとオフラインとでまったくちがう自分を演じ分けることが徐々に難しくなってきているというのは、体感的にも賛同できるところだろう。ようするにフェラーロは、ヴァーチャルによって実生活が侵食されつつあると考えているわけだ。その閉塞を打破するのがミライである。「人間はインターネットの支配下にあるけれど、このヴィールスは人間を解放するものなんだ。悪魔が人間を自然の状態へと戻すものであるようにね」とフェラーロは同じインタヴューで語っている。「Four Pieces For Mirai」は、そのようなミライによる解放のプロセスを描いたもので、今後続いていくシリーズの序章に位置づけられている。

 ここでフェラーロが「自然」という言葉を持ち出しているのは重要だろう。なぜなら「Four Pieces For Mirai」からはじまるこの新たなシリーズは、ほかならぬ「文明の衰退」をテーマとしているからだ。それは「人新世」なる語によって人間が相対化される昨今の風潮ともリンクしているし、あるいは「自然」を「文明」に対抗するものとして捉え返した『文明の恐怖に直面したら読む本』と問題意識を共有しているともいえる。しかもフェラーロは、ものごとを刷新するには既存のそれを燃やし尽くす必要があるという考えを表明してもいて、それはアンドリュー・カルプにもつうじる発想だ。既存の体制を維持しながら部分を改良するのではだめなのであって、一度すべてを破壊しつくさなければならない。ミライはそのための「人工的な火災」なのである。
 さらにいえば、フェラーロが着目したマルウェア「Mirai」の生みの親が、「アンナ先輩」と名乗っていたことも示唆的だ。『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』において、体制のもたらす法を無条件に信じこみ、それに従わない者たちを取り締まる立場にあった彼女が、遵守すべき法と自身の欲望とのあいだで折り合いをつけるために、既存の道徳を独自に読み替え、主人公の属するテロ組織以上に過激に立ちまわる人物であったことを思い出そう。彼女は体制を妄信するがゆえにこそ、その法を極度に徹底することによって法それ自体の瓦解を誘発しているのである。だから、「彼女」によって開発された「Mirai」=ミライは、われわれにそのような創造的な誤読=思考の変更を強制的かつ同時多発的に実行させるヴィールスなのだと考えることもできる。

 かつて『Far Side Virtual』が「ハイパーリアリティ」や「消費文化」といったタームで語られてしまったことにたいして、フェラーロはじつはひそかに不満を抱いていたのではないだろうか。というのも、それらの語は68年を契機に力を持ちはじめた概念であり、またそれらの語を用いた人物は80年代に人気を博した思想家だったからだ。『Far Side Virtual』がリリースされた時点ですでに「ポストモダン」という言葉はレトロな響きを携えていたし、何よりヴェイパーウェイヴという運動それ自体にそのような過去の相対化が含まれていたのだから、遠景へと退けたはずのものと親しい概念によって自作が評されてしまうことに、フェラーロは既存の体制の堅牢さを感じとったのではないだろうか。だからこそ彼は今回、ミライという破壊的なコンセプトを考え出したのではないか。

 冒頭の“Fossils”や“Green Hill Cross”、“Butterfly”などで顔を覗かせるチェンバロ、“Green Hill Cross”や“Mirai”や“Gulf Gutters”などで差し挟まれる不気味な音声ノイズ、“Butterfly”や“Mirai”や“Remnant”などで展開されるバロック的だったり東洋的だったりする音階に耳を傾けていると、ロパティンとフェラーロはあらかじめ共謀していたのではないかという気がしてくる(とくに最後の“Gulf Gutters”)。『Age Of』と「Four Pieces For Mirai」は奇妙なまでに対照的で、相互補完的だ。前者がポップとアヴァンギャルドのあいだで引き裂かれているのにたいし、後者はそれと近しいサウンドを用いながらも前者が回避したアンビエントとしての完成度を追求している。あるいは前者が人間と非人間とのあいだで揺れ動くロパティンのためらいそのものをエモーショナルに表現しているのだとしたら、後者は絶滅の危機にある人間(“Remnant”)を救うために非人間が破壊を遂行していく様を淡々と描いていく。コンセプトに重きを置いた作品が目立つ2018年にあってこのふたつの作品は突出している感があるけれど、ラディカルさにかんしていえば、アノーニに引っ張られて躊躇しているロパティンよりも、肯定的に破壊を描き切ったフェラーロのほうが一枚上手なのではないだろうか。

 尋常ではない数の名義を使い分け、尋常ではないペースで作品を発表し続けるジェイムス・フェラーロ。彼によって送り出される無数のピースたちそれ自体がきっと、ミライのようなヴィールスなのだろう。彼の音楽を聴いた世界じゅうのリスナーたちはいつの間にかその毒に感染し、気づかぬうちに思考を変えられてしまっている――フェラーロが想定するミライとは、そのような未来のことなのかもしれない。

Oneohtrix Point Never × Ryuichi Sakamoto - ele-king

 抗鬱剤。レクサプロはその商標のひとつである。一般名はエスシタロプラムという薬で、デンマークのルンドベック社によって開発され、日本では2011年に承認された、といった背景は各自で調べていただくとして、OPNまでもが無視することができなくなっているということは、ほんとうにいま鬱が大問題なのである。それは自己責任が大好きなこの国の多くの方がたの思惑とは裏腹にまったくもって個人の問題ではなくて、たとえばヒップホップのアーティストが多用する抗不安薬(紙エレ22号101頁)やパーラメントの新作が描き出す「医療詐欺」、あるいはマーク・フィッシャーの資本主義批判とも通底する、きわめて社会的なテーマだ。『Age Of』でさまざまな「○○時代」を想定することで逆説的に現代のリアリティを切りとろうとしたロパティンが、それを補完する新たなEP「Love In The Time Of Lexapro」で「抗鬱剤時代の愛」について考えをめぐらせるのはなにゆえか。それはどういうコンセプトに基づいているのか。サウンド面にかんして重要なのは、坂本龍一が参加している点だろう。『ASYNC - REMODELS』ではOPNが坂本の曲をリミックスしていたけれど今回はその逆で、『Age Of』の最後のトラックを坂本がリミックスしている。コンセプチュアルな作品が目立つ2018年の代表格OPNと、近年海の向こうにおいてどんどん存在感を増している坂本、彼らの接触はいったいどのような音のミラクルを発生させているのか。まあなんにせよ、ふたりとも今年最後までわたしたちをひきつけて離さないつもりのようである。

[11月21日追記]
 本日、坂本龍一がリミックスを手がけたOPNの最新音源“Last Known Image Of A Song (Ryuichi Sakamoto Rework)”が公開されました。下記リンクから試聴可能です。

https://opn.lnk.to/Lexapro-Sakamoto

坂本龍一が手がけたリミックス収録で話題のワンオートリックス・ポイント・ネヴァー最新作『LOVE IN THE TIME OF LEXAPRO』ボーナス・トラックを追加収録した超限定CDのアートワークが解禁!
来日公演で完売となったOPNロングスリーヴTシャツも再販決定!
本日より予約受付開始!

アルバム『Age Of』をリリースし、単独来日公演を大成功させたばかりのワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(以下OPN)が、その勢いの余波を止める間もなく最新作『Love In The Time Of Lexapro』を12月7日にリリース。
坂本龍一が手がけたリミックス曲やアレックス・Gとの弾き語り(!)さらに名盤『R Plus Seven』期を彷彿とさせる新曲にして名曲も収録した至高のEP作品に、さらに2曲のボーナス・トラックを追加し、数量限定で日本オリジナルCD化! また印象的だった『Age Of』のレイヤード・パッケージともリンクするユニークなオリジナル・デザインが特別感のある仕様となっている。

今作のリリースを記念して、9月の来日公演で完売となった『Age Of』ロングスリーヴTシャツのオンライン販売が決定! 受注生産になるため、この機会をお見逃しなく! BEATINK.COMにて、本日から12月7日(日)まで予約受付。12月7日(日)より発送開始。

"Age Of" Long Sleeve Tee - Black
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=9952

"Age Of" Long Sleeve Tee - White
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SIZE: S / M / L / XL
PRICE: ¥5,800+税 *送料無料

先行解禁曲「Love In The Time Of Lexapro」
Apple Music: https://apple.co/2D5nsYK
Spotify: https://spoti.fi/2yxP4lq

『Age Of』は、様々なレイヤーで大きな注目と評価を集めたアルバムだった。アノーニをはじめとしたゲスト・ヴォーカルを招き、ミックスにジェイムス・ブレイクを迎えた点。これまでの作品に比べて明らかにポップを志向しながら、さらに実験を推し進めている点。現代社会のあり様を鋭く批評するようなジム・ショウによるアートワークや、ロシアの哲学者ミハイル・バフチンや加速主義を提唱した思想家ニック・ランドを参照したことも話題となった。サウンドとしてもコンセプトとしても、ダニエル・ロパティンが現在、エレクトロニック・ミュージックに限らない音楽シーンの突端に存在することを改めて証明する作品だったと言える。

『Love In The Time Of Lexapro』は『Age Of』時代のOPNの続編と言えるEP作品である。アルバム後のライヴで披露されている未発表音源「Love in the Time of Lexapro」を表題曲として、『Age Of』収録曲のリミックスや別ヴァージョン、未発表曲を収めている。国内盤CDには、先日デジタル・リリースされたEP『The Station』と12インチEP『We’ll Take It』に収録された「Monody」と「Blow by Blow」をボーナス・トラックとして収録。ほとんどのトラックでジェイムス・ブレイクが共同ミックスを担当していることからも、『Age Of』との繋がりの強さが窺える。

レクサプロは有名な抗うつ剤の名称である。「抗うつ薬時代の愛」とでも訳せばいいだろうか、「Love in the Time of Lexapro」はその名の通りメランコリックで陶酔的、そして美しいメロディがゆっくりと広がってくるトラックだ。この静謐な空気感はOPNの出世作にして〈Warp〉からのデビュー・アルバムとなった『R Plus Seven』を思わせる。本EPを貫くのは、たとえば『Garden Of Delete』や映画『Good Time』に存在した烈しさや荒々しさではなく、張り詰めた美である。

坂本龍一が手がけた「Last Known Image of A Song」のリミックスもまた、そうしたトーンを強調する。細やかな電子音や鍵盤打楽器のような金属音を配したアンビエント色の強いエレクトロニカで、オリジナルにも勝るとも劣らない、本作のハイライトとも言えるトラックだ。OPNは坂本龍一のリミックス・アルバム『ASYNC - REMODELS』に参加していたが、音楽家としてお互いリスペクトし合っていることは度々語られている。だからこのトラックはたんなる企画を超えた、同時代を生きる先鋭的なミュージシャン同士の交流の結実だと言えるだろう。「Monody」のシンセ・サウンドにはどこかYMOを思わせるところがあるが、その影響を勘ぐるのはさほど的外れではないだろう。EPはエレクトロニックな質感から打って変わって「Babylon」のアコースティック・ヴァージョンで幕を閉じるが、アレックスGがヴォーカルをとるこのナンバーもまた、OPNの音楽の叙情的な側面を強調している。

『Love In The Time Of Lexapro』は、鋭利な批評性と同時代性、ポップと前衛のせめぎ合いを兼ね備えたアルバム『Age Of』のもうひとつの側面――OPNの音楽のほのかな輝きを結晶化したような作品である。


label: Warp Records / Beat Records
artist: Oneohtrix Point Never
title: Love In The Time Of Lexapro

release date:
2018.12.07 FRI ON SALE

国内盤CD BRE-58 定価:¥1,800+税

[ご予約はこちら]
BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=9928

TRACKLISTING
1. Love In The Time Of Lexapro
2. Last Known Image Of A Song - Ryuichi Sakamoto Rework
3. Thank God I'm A Country Girl
4. Monody (Bonus Track)
5. Blow by Blow (Bonus Track)
6. Babylon - Alex G & OPN

label: Warp Records / Beat Records
artist: Oneohtrix Point Never
title: Age Of

release date:
NOW ON SALE

国内盤CD BRC-570 定価:¥2,200+税
国内盤CD+Tシャツ BRC-570T 定価:¥5,500+税

[ご購入はこちら]
beatink: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=9576
amazon: https://amzn.asia/6pMQsTW
tower records: https://tower.jp/item/4714438

iTunes : https://apple.co/2vWSkbh
Apple Music :https://apple.co/2KgvnCD

Maisha - ele-king

 ジャズの源流はアフリカ音楽にあり、その歴史の中でもデューク・エリントン、ランディ・ウェストン、マッコイ・タイナー、ファラオ・サンダースなど、さまざまなミュージシャンがアフロ・リズムやアフリカ民謡を取り入れた演奏をおこなってきた。現在でもカマシ・ワシントンなどはアフリカ色の濃いミュージシャンの筆頭に挙げられるが、ジャズ・シーン全体を見るとイギリスのミュージシャン、特にサウス・ロンドンのミュージシャンにアフリカ志向を強く打ち出している人が多い。イギリスにはアフリカ系の移民やその子孫が多く住み、1960年代頃からジャズ、ロックなどがアフリカ音楽を融合してきた長い歴史があるので、そうした影響がいまも根強いということが理由としてあるのだろう。特にロンドンにはアフリカ、およびその子孫にあたるカリブ系ミュージシャンが多く、シャバカ・ハッチングスモーゼス・ボイドなどがディアスポラという民族意識やアフリカ回帰色を演奏に強く打ち出している。TMとフェミ・コレオソ兄弟、ジョー・アーモン・ジョーンズらによるエズラ・コレクティヴ、オスカー・ジェロームらによるココロコ、タマル・オズボーン率いるカラクター、ベン・ブラウン率いるワージュ、アイドリス・ラーマンやレオン・ブリチャードらによるイル・コンシダード及びワイルドフラワーなど、さまざまな形でアフリカ音楽を取り入れたバンドが活動しているが、ドラマーのジェイク・ロング率いるマイシャも極めてアフリカ色の濃いグループだ。

 ジェイク・ロング自身は白人だが、ジョー・アーモン・ジョーンズのように南ロンドンの黒人ミュージシャンたちと交流が深く、そのジョーとマックスウェル・オーウィンによる『イディオム』(2017年)でも演奏している。彼が率いるマイシャは6人組で、サックス奏者のヌビア・ガルシアとギタリストのシャーリー・テテという女性ミュージシャン、日系キーボード奏者のアマネ・スガナミ、ベーシストのトゥーム・ディラン、パーカッション奏者のティム・ドイルがメンバー。ヌビアとシャーリーはネリヤという女性バンドも結成し、特にヌビアは自身でもリーダー作をリリースするなど、南ロンドン勢の中でもよく知られる存在だ。マイシャは2016年に〈ジャズ・リフレッシュド〉からEP「ウェルカム・トゥ・ア・ニュー・ウェルカム」でデビュー。ライヴ録音となるこのEPでは、その名もずばり“アフリカ”という曲はじめ、アフリカ色の強いモード・ジャズ、ディープなスピリチュアル・ジャズを披露しており、ジェイクのドラムはエルヴィン・ジョーンズあたりの影響を感じさせる。そのエルヴィンと一緒にコルトレーンのグループの中核を担ったマッコイ・タイナーは、1970年代にアフリカ回帰色を打ち出した作品をリリースしているが、マイシャにはそうしたマッコイの諸作を彷彿とさせるところがあった。その後、2018年になってリリースされたオムニバス・アルバム『ウィー・アウト・ヒア』でも、“インサイド・ジ・エイコン”というアリス・コルトレーン風の瞑想的な楽曲を披露している。そのほかボイラールームでのイベントでサン・ラー・アーケストラのサポートを務めたり、ロンドンのセッション・イベントの《チャーチ・オブ・サウンド》に出演するなどライヴ活動も活発におこなっており、このたび〈ブラウンズウッド〉からファースト・アルバム『ゼア・イズ・ア・プレイス』をリリースする。

 『ゼア・イズ・ア・プレイス』のレコーディングは今年の半ば頃に3日間かけておこなわれ、マイシャの6人のほかサポート・ミュージシャンとしてパーカッションのヤーエル・カマラ・オノノ、トランペットのアクエル・カナー・リンドストロム、そしてストリングス・セクションやハープも加わり、「ウェルカム・トゥ・ア・ニュー・ウェルカム」に比べてずっと厚みや奥行きのあるサウンドを展開している。収録された5曲はマイシャのこれまでのライヴから生まれてきたもので、リハーサルでのアイデア的な原型から、何度もライヴを重ねる中でさまざまなアプローチ、インプロヴィゼイションによる試行錯誤を経て磨かれていき、最終的な完成形がこのアルバムに収められている。古代エジプト神の名前がつけられた“オシリス”は12分近くに及ぶ大作で、マイシャの音楽性や特徴をもっともよく表す楽曲である。ヌビア・ガルシアの幻想的なフルート、土着的なパーカッションによる荘厳なムードはまさに神話的な世界を思わせるもので、中盤からストリングスを交えて盛り上がり、ジェイク・ロングのドラム・ソロによってヒート・アップ。前半から打って変わった高速ビートとなり、シャーリー・テテのギターが疾走感を煽るという展開。1曲の中にいろいろな物語があり、メンバーそれぞれのインプロヴィゼイション、ダイナミックな爆発力が収められている。そして、ストリングスの用い方にはカマシ・ワシントンの諸作に通じるところも見いだせる。“アズール”でもヌビア・ガルシアはフルートを用いているが、本作において彼女はところどころでフルートを重用しており、アフリカ音楽の持つ神秘性を表現するのに効果的な役割を果たしている。この“アズール”はユセフ・ラティーフの楽曲を彷彿とさせ、マイシャの深遠で美しい世界が浮き彫りとなっている。一方“イーグルハースト/ザ・パレス”では、ジェイクのアフロ・ビートとヌビアの情熱的なサックスによるインプロヴィゼイションが楽しめる。シャーリー・テテのギター・ソロも大きくフィーチャーされ、マイシャにおいてこの3名が重要な鍵を握っていることがわかる。変拍子の“カー”はハープを用いることにより、エチオピアン・ジャズのような不思議な哀愁を帯びている。アマネ・スガナミのキーボードとジェイクのドラムが深く沈み込むようなグルーヴを生み出し、その後は熱を帯びたヌビアのサックスをきっかけにトライバルなアフロ・ジャズが展開される。タイトル曲の“ゼア・イズ・ア・プレイス”はアリス・コルトレーン的なメディテーショナルな世界で、フルートとストリングスのコンビネーションが美しい。ジャズとアフリカ音楽の接点にあるディープでスピリチュアルな感覚、抒情的で美しい情感、太古と宇宙を繋ぐミステリアスなフィーリングを収めたのが『ゼア・イズ・ア・プレイス』である。

vol. 106:中間選挙 2018 - ele-king

 昨日11月6日は中間選挙だった。少し前から「投票しよう!」という呼びかけが、あちらこちらで見られたので、この時期なのだ、と思い出された。

 この日の夜は、このスーパーボウルと同じくらい複雑なシステムを理解しようと、選挙ナイトに繰り出した。2年前は、アップステイトで結果を知ったので、今回はNYCで、友だちに説明してもらいながら、開票結果を見ていた。
 トランプ大統領にとって、就任後初めて国民的な審判を受けるのが中間選挙である。

 シティバイクが、投票者が投票場所に行けるように、フリーで自転車を貸し出したり、「投票しました」というステッカーを見せると、半額になったり、スペシャルがあるバーやレストランが続出した。1人1人の票がアメリカを変えるかもしれない、ひとつの票が大事なのである。この日は1日雨で、しかもグリーンポイントやウィリアムスバーグでは、投票の機械が壊れるなど(4つのうち3つなど)、投票者は長い列を2時間も待たないとダメ、という結果だったが、投票が終わった後は、みんな、あーだこーだ言いながら、行きつけのバーに集まってきた。今日は、スクリーンに開票結果の模様が映し出されている。私は、政治に詳しくないし、選挙権もないので、今回の結果がどうこう言うつもりはないが、友だちに色々聞いてみた。

 私は、NYはてっきり民主党だと思っていたら、アップステイトはほとんど共和党だと指摘され、NYに何年も住んでるのに、まだ故郷のジョージア州で投票している人がいたり、自分が登録した学区でないと投票出来なかったり(仕事先の近くではダメらしい)、それぞれの州が違う法律を持つなど、アメリカの大きさ、アメリカの政治の複雑さを、長々と語ってくれた。

 今回の中間選挙については、「これでダメだったら、アメリカは終わりだね」と諦めている人が大多数だった。みんな投票に行っているが、誰に投票したか、などは話題に上らず、自分も100%理解しているわけじゃない、と一般論を長々と話し合った。

 私が興味があったのは、テキサス州の民主党候補者のベト・オルーク氏。昔、アット・ザ・ドライヴ・インのセドリックと一緒にバンドをやっていたという経歴を持ち、たくさんのミュージシャンが彼を支持していたので、30年間共和党だったテキサス州が変わるかもしれない(その差1%)、とドキドキしていた。が、結局共和党のテッド・クルーズが再選。「これが現実か」と愚痴言ってたら、「テキサス州なら選挙の機械を不正稼動させることもありえるわよ。なにせテキサス州よ」とピシャリと言った友だちがいた。それ以上は聞けなかったが、テキサス州には、特別な法律があるらしい。

 ミッドナイトを過ぎたので、開票結果を待たずに、選挙パーティはお開きになったが、彼らの意見を繰り返し思い出しながら歩いていたら、どこのバーでも、大きなスクリーンで開票結果を映し出し、みんなが集まっていた。これが選挙日の夜に、見られる光景なのであるが、普通の日とも変わらない、とも思った。

Lori Scacco - ele-king

 ロリ・スカッコの音楽を聴くと、いつも「波紋」のようなサウンドだと感じる。水滴と波紋。その水面での折り重なり。いわば「丸と円」のレイヤーのような音楽。もしくは「輪」のような音のアンサンブル。それはカタチや現象の問題だけではなくて、どこか人と人との関係性、つまり「縁」を表しているのではないか。
 じっさい2004年にスコット・ヘレン(プレフューズ73)が運営し、あのサヴァス・アンド・サヴァラスのアルバムなどもリリースしていたレーベル〈Eastern Developments〉から発表された彼女のソロ・ファースト・アルバムも『Circles』というアルバム名だった。このアルバムを制作する前、ロリ・スカッコはバンド、シーリー(Seely)の解散を経験していたわけだし、それなりに人間関係の大きな変化の只中にいたのだろう。
 ちなみにシーリーは、1996年にトータスのジョン・マッケンタイア・プロデュースのファースト・アルバム『Julie Only』を〈Too Pure〉からリリースしたバンドである。シューゲイザーからステレオラブまでのエッセンスを持ちながらミニマル/ドリーミーなポップを展開し、熱心なリスナーも多かったと記憶している。ロリはこのシーリーのピアニスト/ギタリストだった。シーリーは2000年にアルバム『Winter Birds』をスコット・ヘレンとの共同プロデュースでリリースし、そして解散してしまったが、その解散から4年の月日をかけて彼女はソロ・アルバム『Circles』をリリースしたわけだ。
 そしてその音楽性はバンド時代から大きく変わった。ギターやピアノ、弦楽器などにエレクトロニクスが控えめにレイヤーされた「アコースティック・エレクトロニカ」とでも形容したい作品に仕上がっていたのだ。日曜の朝とか晴れた日の夕暮れ時を思わせる穏やかで美しいクラシカルなアルバムである。永遠に耳を澄ましていたいような心地良さがあった。もちろん聴き込んでいくと、音と音の重なりは和声感も含めて、実に繊細に織り上げられていることに気が付く。まさに「サークル」の名に相応しい作品である。このアルバムは熱心な聴き手に深く愛され、リリースから10年後に日本盤CDが〈PLANCHA〉からリイシューされ、新しいリスナーからも歓迎された。
 『Circles』リリース以降のロリ・スカッコは、ダンス、映画、ビデオ・アートの音楽制作を行いつつ、サヴァス・アンド・サヴァラスのメンバーのスペインのアーティスト Eva Puyuelo Muns とのストームス(Storms)としても活動し、2010年にはアルバム『Lay Your Sea Coat Aside』をリリースした。そして2014年にはデジタル・リリースのソロ・シングル「Colores (Para Lole Pt.2)」を発表。加えて先にも書いたように〈PLANCHA〉から『Circles』がリイシューされた(ボーナス・トラックを追加収録)。

 新作『Desire Loop』は、14年ぶりのセカンド・ソロ・アルバムである。リリースは、ニューヨーク・ブルックリンを拠点とするアンビエント・レーベル〈Mysteries Of The Deep〉から。〈Mysteries Of The Deep〉は、ニューヨーク・ブルックリンのエクスペリメンタル・バンド、バーズ・オブ・プリティのメンバー、グラント・アーロンによって運営されており、Certain Creatures、William Selman などの作品をリリースしている。
 本作も生楽器主体の『Circles』から一転し、シンセサイザーをメインに据えたアンビエント/トライバルな電子音楽に仕上がっていた。この変化には一聴して驚いてしまったが、しかし何度も聴き込んでいくと、どんどん耳に馴染んでくる。『Circles』と同じように波紋のような音がレイヤーされていく構造になっているからか、聴くほどに耳と身体に浸透するような音楽なのだ。音と音が泡のように生成しては変化し、持続やリズムをカタチづくっていく。あの見事なコンポジションは、形式を変えても健在であった。いや、深化というべきかもしれない。
 シンセ中心のサウンドのムードは、どこか現行のアンビエントやニューエイジ・シーンともリンクできる音楽性だが、浮遊感に満ちた和声感覚と音のレイヤー感覚などから、やはりロリ・スカッコという「作曲家」の個性が強く出ている電子音楽にも思えた。

 とはいえ、あざとい作為は感じられない。ごく自然にミニマルな音とミニマルな音が重なり、そこにコードやリズムが必然性を持って生まれていた。1曲め“Coloring Book”には、本作の特徴が良く出ている。やや硬めの電子音の持続から音が分岐するようにいくつかのループが生まれ、やがて糸がほぐれるように変化したかと思えば、それらはループを形成し、トライバルなビートが鳴り始めもする。持続と反復。その中断と非連続性の美しさ。まるで確かに水の波紋のように、一種の自然現象のように、電子音たちが踊っている。続く2曲め“Strange Cities”はニューエイジなムードのシーケンスから幕を開け、それらが電子音の層へと溶けるように変化を遂げていく。この最初の2曲に象徴的なのだが、ロリ・スカッコの作曲は音の反復を持続の中に「溶かす」。電子音という生成変化が可能な音響だからこそ実現する反復と非反復の融解とでもいうべきか。
 アルバム中、重要な曲は5曲め“Back To Electric”ではないか。トライバルなリズムが鳴らされていくのだが、もう1階層、別のリズム/ビートがレイヤーされており、そこに規則的な電子音と民族音楽がグリッチしたような旋律が鳴る。聴いていくと時空間が「ゆがんで」いくようなサイケデリック感覚を味わうことができた。続く6曲め“Tiger Song”は細やかなノイズと、どこか日本的な旋律に反復的なビートが重なる印象的な曲だ。7曲め“Red Then Blue”もノイズのレイヤーからミニマルな反復が生成し、ゆるやかに聴き手の知覚を変化させるような見事なトラックである。アルバム・ラストの8曲め“Other Flowers”では、それまでサイケデリックに歪む時空間が、次第に知覚の中で整えられていく。まさに「花」のような端正な電子音楽である。

 こうして14年ぶりとなるロリ・スカッコの新作アルバムを聴いてみると、やはりこの歳月は必要だったのだと痛感する。反復と非反復の往復。知覚の遠近法を変えてしまう音のゆがみ。それらを曲として成立させること。作曲と即興のあいだにある音と音の自然な生成の追求。そのための時間。何より音楽それじたいが聴き手に対しても長い時間をかけて浸透するような時を内包しているのだ。それは自分の音楽を作り続けた人だからこそ獲得することができる「時の流れ」の結晶ではないか。そんな感覚を『Desire Loop』の隅々から聴き取ることができた。

 かつてはアトランタで建築を学ぶ学生であった彼女だが現在はニューヨーク在住という。いまのアメリカの政治や社会状況には憤りを感じているというが、音楽にそのような感情は直接には反映されていないように思えた。しかし、彼女の音楽に耳を澄ましていると見えてくるのは、脆さや弱さ、そして美や強さに向かい合いつつ、極めて誠実に音楽=世界と向かい合っている音楽家/作曲家の姿だ。この酷い世界を音楽によって肯定すること。音と人の関係性を、その弱さを脆さと共に感じ取ること。そんな意志が音の粒子に舞っているのだ。

 本作は繰り返し聴取することで、どんどんその魅力が増してくるようなアルバムだ。ぜひとも「電子音楽家としてのロリ・スカッコ」が鳴らす音の波に耽溺してほしい。世界の事象が溶け合っていくような見事な作品である。


Kojo Funds - ele-king

 UKガラージ、グライムからアフロビーツまで、現在のUKの音楽のいくつかは「垂直のゲットー」とも呼ばれるロンドン郊外の団地から生まれてきた。グライムが生まれた2000年代初頭、MCはそれぞれの郵便番号でエリアをレペゼンした。郵便番号が表す1区画が彼らが守っていたエリアであり、またそれぞれクルーの境界でもあったという。一方で、同時期の投資と民間主導の都市再開発はオリンピックを契機にさらに加速していった。“公共”住宅が“高級”住宅へと建て替えられ、もともと住んでいた家族はより不便なエリアに追い立てられたり、予算が切り詰められたことでユースセンターが閉鎖されたりしているという。例えば、Dizzee Rascal や Wiley がしのぎを削った Deja Vu FM がもともとあった団地も、いまや警備員の配備された高級住宅地であるという。

 こうした背景から楽しみを失い、行き場を失ったロンドンの若者のギャング化が問題となっている。ナイフによる殺傷事件の増加はギャング・カルチャーと結びつけられ、ひいてはギャングスタ・ラップやグライムが槍玉に上げられることもある(*)。

 音楽の中で彼らがレペゼンしているのは、郵便番号ではなく、仲間やグループ、そして彼らが住む団地一棟である(**)。彼らは団地やアパートメント周辺で撮ったMVをYouTubeで公開し、自らのエリアを誇示する。「ハイパーローカル」と形容されるような極度の地元傾向、そしてその「ギャング」傾向は、ギャングスタ・ラップの競争的で暴力的な一面ではある。一方で、ストリートのハスラーとして名を馳せてきたロンドンのラッパーのスタイルは、若者から羨望の眼差しを受けている。ギャング・カルチャーの槍玉に音楽が上がることの是非もあるが、彼らの音楽が絶大な影響力を持っているということでもある。

 そんなUKラップのニューカマーとして注目を集めているうちのひとりが、Kojo Funds である。2016年に Kojo Funds がロンドンのMC、Abra Cadabra とのコラボ曲“Dun Talkin”をヒットさせ、「ラップする」のではなくパトワ交じりのスタイルで「歌い上げる」スタイルのパイオニアとなった。そして翌年には Mabel のラヴ・ソング “Finders Keepers”での客演で、YouTube再生回数3000万回の大ヒットを記録した。そして、遂に彼のデビュー・アルバム『Golden Boy』がリリースされた。

 アルバムはハードなギャングスタ・ラップをベースに、時折ソフトな曲やラヴ・ソングがくるような展開になっている。出だしは“Golden Boy”。自分を大きく見せようとする「ギャングスタ」の嘘について歌った“0%”、そして彼のヒット曲“Warning”へ流れる。彼の歌い方からは、肩に力が入ったような「怒り」ではなく、むしろ勝者としての余裕が感じられる。

フィールドに出ても、何も言わない
充電器みたいにプラグする
まるで Kolo と Yoyo
警察が俺の仲間を追ってる
やつらは言う、Kojo は悪魔だ
続編は見たくないって
俺の Nigga はディーゼルみたく Furious
“Warning”

 続いての“Million”から2曲は、昨年の“Finders Keeper”で見せたソフトで粋な一面が表れる。Raye を迎え、アコースティック・ギターが印象的な“Check”では、ラヴ・ソング・デュエットを披露している。落ち着きながらも、Kojo Funds のメロディックな暗喩の才能が開花する“Stallin'”。そして、Bugzy Malone を迎えたガラージ・チューン“Who am I?”はこのアルバムのハイライトだ。

俺のビジネスは失速しない
ひとつは足元のなかには
駅では会話するな
ひとつはドレッドの中に



失速しない、大金を手に入れた Nigga
太陽が昇るまでストリートで金をゲットする
Yeh Kojo Funds、俺が支配者
俺の兄弟が重りを測る
それでやつらがカットするんだ
“Stallin'”

 後半はポップスへトライした“High Grade”や、Giggs を迎えた“PNG”、エモーショナルな歌を披露する“Thug Ambition”など、幅広い音楽性へと拓けていく。そして、最大のヒット曲“Dun Talkin”でアルバムは締めくくられる。

 アルバムを通して彼自身のアフロ・カリブ、そしてギャングスタ・ラップのルーツを存分に発揮している。そして、ダンスホール、レゲエ、ガラージやトランス、ポップスまでミックスし「アフロビーツ」を開拓し続けている。

(*) Resident Advisor ニュース「「ドリルやグライムよりナイフ犯罪が問題」ロンドンの音楽コミュニティが議会に訴える」 https://jp.residentadvisor.net/news/41626
(**) Dan Hancox による著『Inner City Pressure』から。

interview with Gilles Peterson - ele-king


Maisha
There Is A Place

Brownswood

Spritual Jazz

ジェイク・ロングを中心としたセクステットで、人気サックス奏者のヌビア・ガルシアもメンバーとして参加している。ファラオ・サンダース直系のスピリチュアル・ジャズの現代解釈。

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 UKジャズは、ジャズとはこうあらねばならないという固定観念から自由だ。UKジャズは、50年前はロックと結合し、40年前はパンクに共鳴し、30年前はカリブ海のリズムを導入するいっぽうで、ヒップホップとDJカルチャーにジャズを見いだし、90年代なかばにはテクノとジャングルをジャズの延長で解釈した。そして21世紀も20年近くを経た現在、UKジャズはアフロビートと連結しながらデジタル・テクノロジーへの打ち壊し(ラッダイト)よろしく生演奏にこだわり、人種混合の理想とフェミニズムとリンクしながら躍動している。
 UKジャズにおける“ジャズ”とは拡張する契機であり、ゆえに「こんなのジャズじゃない」と思われがちだが、じつは逆説的にそれは褒め言葉である。UKジャズはつねにおりおりの若い世代に開かれているからだ。

 さて、今回の躍動の象徴となったのが、2018年の初頭に〈Brownswood〉からリリースされた『We Out Here』で、そのコンピレーション・アルバムのトップバッターを務めたマイシャ(Maisha)も11月9日にアルバム・デビューする。
今回は、〈Brownswood〉レーベルを主宰しながら、BBCのラジオ番組によっていまでは世界中にUK解釈のジャズを発信しているジャイルス・ピーターソンに話を訊いた。以下、UKジャズの特徴や面白さをじつに簡潔に語ってくれている。

たとえば〈ヴァーヴ〉や〈ブルーノート〉の社長から電話がかかってきて『非常にエキサイティングだ、もっと欲しい、どこに行けばいいか教えてくれ』と言われると、これは何かが起こっているなと確信するよね(笑)。

ここ2年、UKの若々しいジャズ・シーンの熱気がじょじょにですが日本にも伝わってきています。とくに2018年は、年の初頭に『We Out Here』というコンピレーション・アルバムが出たことがその勢いのひとつの印のようにも見えましたし、サンズ・オブ・ケメットに続いて、ジョー・アーモン・ジョーンズカマール・ウィリアムスといった若いひとたちの素晴らしいアルバムがリリースされました。日本でも松浦俊夫のアルバムがこうしたUKの動きにリンクしていたと思います。あなた自身、この1~2年を振り返って、やはりこのシーンの熱量には手応えを感じていると思うのですが、いかがでしょうか?

GP:素晴らしい時代が来たよね。ただそれほど驚いてはいないんだ。というのもそれはつねにそこにあったものだから。わりとよくUKジャズの歴史について訊かれるんだけど、ぼくは1988年に……ちなみに30年前のことだけど、『Acid Jazz And Other Illicit Grooves』と『Freedom Principle』をリリースしたんだけど、それは当時UKに存在したシーンのスナップ写真のようなもので、ジャズに関連した、もしくはジャズに影響を受けた音楽だったんだ。それ以来この音楽とムーヴメントは持続的に成長してきて、すごく注目された時期もあれば無視された時期もあったわけだよ。UKが盛り上がることもあれば、ドイツや日本といった場所が盛り上がることもあって、そして2018年、2017年、2016年くらいで、若い世代のミュージシャンたちがついにこのムーヴメントを自分たちのものとして引き受けて、自信を持ち、演奏技術を身につけて、SNSを駆使してクラブ・イベントを主催したりスタジオでのセッションを企画したり、そういったすべてのことがハリケーンのように巻き起こったんだ。
それを率先してやってるのがモーゼス・ボイド(Moses Boyd)やシャバカ・ハッチングス、ヌビア・ガルシア(Nubya Garcia)といった素晴らしい人たち、あるいはJazz re:freshedのようなグループや、サウスロンドンのペッカムやデトフォード周辺、イーストロンドンのダルストン辺りのクラブ、そういったものすべてが、より伝統的なジャズの世界に対するオルタナティヴとしてあるんだ。
ジャズはものすごく深い音楽で、強い基盤があるだけに、自分たちがジャズの所有者だと思ってる人たちがいるんだよ。どういうわけか上の世代はジャズを囲い込んでおきたいと思っている。それで、いま起きていることがこれだけエキサイティングな理由は、若者たちがジャズを自分たちのものにしたからなんだ。もちろん年配の人たちに対するリスペクトはあるけど、自分たちが立つ舞台を自分たちで作り出さなければならないことを理解して、実際それでいまこういうことになっているわけ。資金援助やスポンサーやサポートの必要を感じていない……いや、もちろんぼくたちは彼らの音楽を応援しているしプッシュしていきたいし、ぼく自身もこの動きに参加できて嬉しいし助けていきたいと思ってるけど、彼らはぼくのような人を必要としていないんだよ。ぼくがいようがいまいが関係なくて、いずれにしろ自分たちはやるんだという。それがこのムーヴメントを力強いものにしているんだ。だから若い人たちも共感できるんだ。友だちがやってたり、似たような育ち方をした誰かがやってたり、ステージに立っているミュージシャンが年寄りばっかりじゃなくて同世代の連中だからさ。

いろんな国からのリアクションがあると思うのですが、いかがでしょう?

GP:ジャズって面白くて、世界中でフェスティヴァルが開催されていて、彼らはコンテンツを欲しがっているわけさ。それで、新しい世代が出てきたことで、じゃあもうウェイン・ショーターやハービー・ハンコックやソニー・ロリンズに頼らなくていいんだと思うようになった。もちろん彼らはいまでもみんなから愛される素晴らしいアーティストだけど、でも世界中のフェスティヴァルやクラブは餌を欲しがってるわけだよ。そして食欲が旺盛なところへ、いまここからたくさんのパンが供給されつつあるという(笑)。
本当にみんな色めき立っているんだ。去年パリにいたときに、New Morningっていう素晴らしいジャズ・クラブがあるんだけど、そこに貼ってあるポスターに毎晩のようにイギリスのバンドが出演者として載っていたんだ。その翌日の新聞には、たしか『ル・モンド』だったと思うけど、その状態を“British Invasion”と名付けていた。フランス人がイギリスのジャズについてそんな風に書くなんて初めてのことだと思うよ。イギリスは変な破壊的な音楽とかは素晴らしいけど、ことジャズに関してはたぶんフランスの方が伝統があるんだ。だからそれは興味深かったね。
 あとは今年の初めにニューヨークのWinter Jazzfestに招かれたときも、ザ・コメット・イズ・カミング(The Comet Is Coming)やヤズ・アハメド(Yazz Ahmed)、ヌビア・ガルシア、オスカー・ジェローム(Oscar Jerome)といった人たちを紹介したんだ。それで来年の1月には、ドラマーのユセフ・デイズ(Yussef Dayes)やエズラ・コレクティブ(Ezra Collective)、ヤスミン・レイシー(Yazmin Lacey)、エマジーン・チャクレイ(Emma-Jean Thackeray)といった人たちが出ることになっていて。ニューヨークでも盛り上がっているというのは嬉しいことで、たとえば〈ヴァーヴ〉や〈ブルーノート〉の社長から電話がかかってきて『非常にエキサイティングだ、もっと欲しい、どこに行けばいいか教えてくれ』と言われると、これは何かが起こっているなと確信するよね(笑)。

今日のUKジャズの盛り上がりはどのようにして生まれたのか、あなたの分析を聞かせてください。

GP:このムーヴメントはとても自然発生的で、これがきっかけだったとはっきり言える瞬間がない。だからこそ力強いムーヴメントだと思うんだ。これ以前のムーヴメントはメディア主導だったんだよね。でも今回はとてもオーガニックで、それはもちろんいいことで、もしメディアが別の何かに注目しようと決めても存在し続けるし生き残り発展し続けるんだ。通常何かムーヴメントが起こったときは少し注意する必要がある。ちょっとフェイク・ニュースと似ていて、記事を読んで『いまはこれが流行ってるのか』と思っても実態がなかったりする。でもこれは間違いなく起こっていることなんだ。ぼくがこのムーヴメントの何が好きかというと、演奏のクオリティが高いことと、音楽のアイデアが非常に興味深くて、しかも成長し続けているということ。2年前と比べてもいろんなレベルでかなり変化があって、技術的には世界レベルになりつつある一方で音楽的なアイデアはユニークだから余計面白いんだよね。

このムーヴメントに「新しさ」があるとしたら、それはなんだと思いますか?

GP:いま言ったようなことも新しさだと思うし、自分の声を見つけるのが難しい音楽のなかに自分の声を見つけたということが、新しいと思う。というのもジャズのような長い歴史を持った音楽のなかに自分の場所を見つけてオリジナルな存在になるというのは難しいことなんだ。これまでのグループはもしかしたら少し伝統を重んじすぎてきたのかもしれないと思う。でもいま彼らはその伝統のなかにそれぞれ自分の声を見つけつつある。そのいい例がシャバカ・ハッチングスで、彼はサンズ・オブ・ケメットのリーダーでザ・コメット・イズ・カミングというグループもやってるんだけど、ぼくは彼は本当に素晴らしいと思っていて。というのも彼のレコードは単なるレコードではなく、ひとつのテーマだったりコンセプトのようなものでもあって、この時代を定義付ける重要なものだと思うんだ。彼が今年出したアルバムは伝統的な女性の役割に疑問を投げかけていて、いまの時代と波長が合っていて、そこも非常に重要だよね。

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Maisha
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ぼくにとってマイシャは、ぼくがクラブでDJをするときにかける音楽にいちばん近いんだ。クラブでぼくがジャズをかけるときは、スピリチュアル・ジャズを選ぶ傾向があって、浮遊感があるものというか。だからドラマーのジェイク・ロングがマイシャとして新しい音楽を聴かせてくれたとき、瞬時に引かれたんだ。

ジョー・アモン・ジョーンズはひじょうに若々しいアルバムをリリースしましたが、あなたはあのアルバムの良さはなんだと思いますか?

GP:まずジョーが作曲家として成長するのを見ているのはすごく喜ばしい。どの音楽でも、ムーヴメントが起こっていろんなクラブや人が関わって盛り上がるというのはもちろん素晴らしいことなんだけど、やっぱりそこには記憶に残る曲が必要なんだ。アンセムが必要なんだよ。それでジョーには、アンセムを書く能力があるとぼくは思う。彼のアルバムには3、4曲、本当にいい曲が入ってると思うし、そこはスタンダードなジャズ・レコードと一線を画す部分じゃないかな。構成もアレンジもアイデアも素晴らしいし、しかも彼の場合まだはじまったばかりだからね。先週末BBCでやった企画があって、ロンドンのメイダヴェールでライヴをやって、彼がハウス・バンドだったんだけど、オーガナイズもプレゼンも素晴らしくて、ある意味彼はイギリス版ロバート・グラスパーだね。


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There Is A Place

Brownswood

Spritual Jazz

ジェイク・ロングを中心としたセクステットで、人気サックス奏者のヌビア・ガルシアもメンバーとして参加している。ファラオ・サンダース直系のスピリチュアル・ジャズの現代解釈。

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ほかにも〈22a〉のテンダーロニアス(Tenderlonious)のアルバムもありましたし、この年末には、マンスール・ブラウン(Mansur Brown)のソロも出ますし、このたびあなたの〈Brownswood〉からはマイシャのアルバム『There Is A Place』がリリースされます。彼らは『We Out Here』の1曲目でもありましたよね。いまのシーンを象徴しているバンドのひとつのように思うのですが、あなたの口からマイシャとはどんなグループで、どんな魅力があるのか語ってもらえますか?

GP:ぼくにとってマイシャは、ぼくがクラブでDJをするときにかける音楽にいちばん近いんだ。クラブでぼくがジャズをかけるときは、スピリチュアル・ジャズを選ぶ傾向があって、浮遊感があるものというか。だからドラマーのジェイク・ロングがマイシャとして新しい音楽を聴かせてくれたとき、瞬時に引かれたんだ。ちょっとヴァイオリン奏者のマイケル・ホワイトだったり、あと日本で2枚レコードを作ったハリス・サイモンという人がいて、『New York Connection 』と『Swish』というアルバムがあって、そのストリングスとジャズというアイデアがぼくは大好きなんだけど、マイシャにはちょっとそれを彷彿させるものがあるんだよね。開かれていて、自由で、でもパーカッシヴなフィーリングもあって、おもしろことに、マイシャでぼくがいちばん好きな特徴のひとつがピアニストで、たしか日本人なんだよね。彼のソロは注目に値するよ。名前はアマネ・スガナミ(Amane Suganami)っていうんだ。あともちろんヌビア・ガルシアもシャーリー・テテー(Shirley Tetteh)もいるしね。
だからこういう作品を自分のレーベルから出せるのはすごく嬉しいよ。あと最近ココロコ(Kokoroko)とも契約したんだ。彼らの新作を年明けにリリースする予定なんだけど、ココロコもすごく好きなバンドで、彼らの音楽にはどこか西アフリカ的な雰囲気が感じられて、『We Out Here』に入っている彼らの“Abusey Junction”はYouTubeで800万回くらい再生されたんだよ。ジャズのトラックとして考えると、かなり異例だよね(笑)。

〈Brownswood〉のスタジオでセッションしているマイシャのPVを拝見しました。親密感があって、グッド・ヴァイブなところですね。見ていて、あなたがここ数年アプローチし続けているキューバやブラジルの音楽のようなファミリー感がある場面だと思いました。誰かの家に行ってセッションしちゃうみたいな。そんなフィーリングがいまのUKジャズにはあるんでしょうか?

GP:間違いなくあると思う。そこもこのシーンの強みなんだよ。ひとつのチームとして取り組んでいて、さらにみんながお互いから刺激を受けているという。そこがロンドンの良さでもあって、ジャズでもエレクトロニック・ミュージックでもインディ・バンドでも、そのなかでの競争があるんだけど、協力もするっていう。健全ないい意味でのライバル関係があるというか。みんなより上手くなりたいと思ってるから、それがそのシーンを強くしていく。いまのジャズ・シーンも一緒に演奏したり、お互いから学んだりしながら、それぞれが自分の個性を見つけていて、素晴らしいんだ。

いまの人たちはインターネットのおかげで音楽を探す能力が高いし速いから、非常に洗練されているよね。新世代のリスナーたちは、あっという間に音楽の核心部までたどり着くんだ。ぼくの場合はサン・ラを発見するまでに15年かかったけど、いまだったら15時間で見つけられる(笑)。

スピリチュアル・ジャズからの影響は、マイシャのほかにも、たとえばエズラ・コレクティヴにも感じますし、もちろんシャバカ・ハッチングスからも感じます。なぜいまになって、スピリチュアル・ジャズが見直されているんだと思いますか?

GP:見直されるべくずっと待ち続けていたと思う。正直、ぼくがパトリック・フォージなんかと一緒にDJをやってた80年代、90年代、最後にかけるのがスピリチュアル・ジャズだったんだよね。ぼくにとっては、たとえばダブ・レゲエとスピリチュアル・ジャズには通じるものがあって、何ていうか、実存的な、白昼夢のような、それをもっと構造がしっかりしてる音楽の前後にかけると、一種の美しいトランジションとしての効果があるというか、だからDJとしてぼくが生み出そうとしていた空気感にとっては欠かせないものとして常にそこにあったんだ。
何だろう、感情を動かす音楽というか……ああそうだ、カマシ・ワシントンはそういうサウンドを追求しているよね。ファラオ・サンダースやジョン・コルトレーンは、もうベスト中のベストな人たちなわけで、見直されるのは必然だったと思うよ。というのもいまの人たちはインターネットのおかげで音楽を探す能力が高いし速いから、非常に洗練されているよね。新世代のリスナーたちは、あっという間に音楽の核心部までたどり着くんだ。ぼくの場合はサン・ラを発見するまでに15年かかったけど、いまだったら15時間で見つけられる(笑)。

アフリカのリズムというのも、いまのUKジャズの特徴だと思います。これはもう、UKにおけるアフリカ系移民の増加を反映しているのでしょうか? あるいは、アフリカのリズムの多様さにジャズの“次”を見いだしたというか。

GP:そこはやっぱりロンドンの美しいところで、非常に多文化的な場所だからね。ロンドンとパリはすごく似ている部分もあるけど、全然違う部分もあって、パリのコミュニティは結構が分かれてるんだよね。UKの方が混ざってると思う。その結果として音楽もUKの方が混ざってるんだよ。アフリカン、レゲエ、カリビアン、コロンビア、南米と、あらゆる文化がロンドンのタペストリーとして織り交ぜられているんだ。そこがロンドンのマジカルなところだよ。たとえばザ・クラッシュのジョー・ストラマーのような人も世界中の音楽を擁護していた。その頃はちょっとアウトサイダーのものという感じがあったけど、いまはすべてが混ざってるんだ。いまの若いリスナーたちは、キング・サニー・アデの曲も聴けばグライムも聴くって感じなんだよね。アークティック・モンキーズからアート・ブレイキーまでが繋がってる。それは変わったことじゃなくて、ごく普通のことで、みんな幅広く聴いてるんだ。ぼくの頃はそうじゃなかったんだよね。

ヌビア・ガルシアもいろんな主要作品でサックスを吹いているキーパーソンだと思いますが、あなたは彼女をどのように評価しているのでしょうか?

GP:もちろん彼女はとても重要な存在だよ。あとはココロコのキャシー(Cassie Kinoshi )もそうだし、このシーンには多くの強い女性がいるんだ。それもこのシーンがすごく面白い理由のひとつだと思う。キャシーもシャーリーもシーラ(Sheila Maurice-Grey)も、みんな男連中と同じようにパワフルなんだ。演奏にしてもアイデアにしても独自のものを持っている。
ヌビアはスターになるだろうね。たぶんみんな彼女と契約したがってると思う(笑)。彼女はぼくにとってはもうビッグすぎるけど、すごく嬉しいよ。去年ぼくが観たなかでいちばん良かったライヴが、彼女が〈Jazz Re:freshed〉のアルバムを出すときにThe Jazz Cafeでやったもので、テオン・クロス(Theon Cross)がいて、シーラ・モーリスグレイ(Sheila Maurice-Grey)がトランペットで、フェミ・コレオソ(Femi Koleoso)とモーゼス・ボイドという2人のドラマーがいて、そしてジョー・アーモン・ジョーンズがいて……そのコンサートの場にいて、ぼくは『これは歴史的だ』と思ったのを覚えてるよ。とにかく彼女はこのムーヴメントにとっては非常に重要な大使の1人だね。

アシッド・ジャズの時代はDJカルチャーが主体でしたが、今日のUKジャズのシーンは個性的な演奏者たちが複数いて成り立っています。エレクトロニック・ミュージックが主流の現代において、この逆転現象は面白いと思うのですが、これはジャズ・ウォーリアーズの功績もあるんでしょうけれど、ほかにはどんな理由があると考えられますか?

GP:実は世界のいろんなところで起こっていることじゃないかと思う。職人の技を称えるというか、オーガニック・ワインも、クラフト・ビールも、家具職人も、あるいは芸術家もね。何でもデジタルで簡単にできてしまう時代だからこそ、伝統的な演奏が求められているということはあると思う。ドラムでもギターでも歌でもさ。だから誰でもDJになれるという状態に対するリアクションだよね。
こういう時代に、技術を習得するために努力した本物のアーティストを観ると、その良さが分かるという。人間がここまでできるんだっていうことに、すごいと思えるんだよ。職人の技が見直されているのには、そういう理由があるんじゃないかと思う。それに加えてジャズはすごくオープンな精神で演奏するもので、ステージ上で相互作用が起こるのを目の当たりにすることができるし、ミュージシャン同士の間でも、ミュージシャンと観客の間でも相互作用が起こるからね。

モーゼス・ボイドのように、シーンのなかにはほかにも複数の個性的で優れたプレイヤーがいますよね。あなたがとくに注目しているひとがいたら教えてください。

GP:ぼくがすごく好きなサラ・タンディ(Sarah Tandy)というピアニストがいるよ。来年あたり出てくると思うから彼女は注目しておいた方がいい。あとは……たくさんいすぎてわからないな。ヴェルス・トリオ(Vels Trio)もすごく好きだよ。それから今だったらスチーム・ダウン(Steam Down)、この人たちがアルバムを作ったら本当に面白いものになると思う。あとフランスでもドイツでも何かが起こりつつあって、ベルギーも色々面白くなってる。DJ Leftoが出した『Jazz Cats』というすごくいいコンピレーションがあって、ベルギー産の曲が20曲くらい入ってるんだ。
それに日本も絶対に期待を裏切らないよね。社長とかToshioもそうだし新世代もそうで、Shuya Okino(沖野修也)といった人たちも、彼らの素晴らしいところは新しい世代をプッシュして応援しているところだよね。だから今のこの動きがどう日本に影響を与えるのか、今後5年くらいがすごく楽しみだし、日本が何かやる時は絶対に面白いからね」

2019年も引き続きこの流れから良い作品がリリースされるものと思います。現在、リリースが決まっているものでいま言えるものを教えて下さい。

GP:ココロコのアルバムが年明けに出る。それは個人的にも楽しみだね。ええと他には……みんな作ってるんだよなあ。〈Brownswood〉からは、ザラ・マクファーレン(Zara Mcfarlane)の新作が出て、あとピート・ビアーズワース(Pete Beardsworth)というピアニストがいて、個人的にものすごく好きなんだ。ヤスミン・レイシー(Yazmin Lacey)も素晴らしいから要注目だよ。ぼくは彼女がいちばん好きなシンガーかもしれない。

(了)

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