ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Galen & Paul - Can We Do Tomorrow Another Day? | ポール・シムノン、ギャレン・エアーズ
  2. KLF KARE. ——ザ・KLFが介護をサポートする!?
  3. interview with Shinya Tsukamoto 「戦争が終わっても、ぜんぜん戦争は終わってないと思っていた人たちがたくさんいたことがわかったんですね」 | ──新作『ほかげ』をめぐる、塚本晋也インタヴュー
  4. Zettai-Mu “KODAMA KAZUFUMI Live in Osaka 2023” ──大阪のロングラン・パーティにこだま和文が登場
  5. Columns 11月のジャズ Jazz in November 2023
  6. Lost New Wave 100% Vol.1 ——高木完が主催する日本のポスト・パンクのショーケース
  7. Oneohtrix Point Never - Again
  8. yeule - softscars | ユール
  9. DETROIT LOVE TOKYO ──カール・クレイグ、ムーディーマン、DJホログラフィックが集う夢の一夜
  10. Philip K. Dick ——もういちどディックと出会うときが来た——『壊れゆく世界の哲学 フィリップ・K・ディック論』刊行記念トークショー
  11. 『壊れゆく世界の哲学 フィリップ・K・ディック論』 - ダヴィッド・ラプジャード 著  堀千晶 訳
  12. interview with Gazelle Twin UKを切り裂く、恐怖のエレクトロニカ  | ガゼル・ツイン、本邦初インタヴュー
  13. AMBIENT KYOTO 2023最新情報 ──撮りおろしの作品動画が期間限定公開、コラボ・イベントも
  14. Ezra Collective ──UKジャズを牽引する一組、エズラ・コレクティヴの東京公演が決定
  15. CS + Kreme, Kassem Mosse, livwutang & YPY ──ファッション・ブランド〈C.E〉による年内最後のパーティが開催
  16. interview with (Sandy) Alex G 塩と砂糖の誘惑  | (サンディー)・アレックス・G、インタヴュー
  17. interview with JUZU a.k.a. MOOCHY 生き方を求めて  | ムーチー、インタヴュー
  18. interview with Evian Christ 新世代トランスの真打ち登場  | エヴィアン・クライスト、インタヴュー
  19. Ezra Collective - Where I’m Meant To Be  | エズラ・コレクティヴ
  20. Columns JPEGMAFIA『Veteran』の衝撃とは何だったのか

Home >  Regulars >  Random Access N.Y. > vol. 106:中間選挙 2018

Random Access N.Y.

Random Access N.Y.

vol. 106:中間選挙 2018

沢井陽子 Nov 08,2018 UP

 昨日11月6日は中間選挙だった。少し前から「投票しよう!」という呼びかけが、あちらこちらで見られたので、この時期なのだ、と思い出された。

 この日の夜は、このスーパーボウルと同じくらい複雑なシステムを理解しようと、選挙ナイトに繰り出した。2年前は、アップステイトで結果を知ったので、今回はNYCで、友だちに説明してもらいながら、開票結果を見ていた。
 トランプ大統領にとって、就任後初めて国民的な審判を受けるのが中間選挙である。

 シティバイクが、投票者が投票場所に行けるように、フリーで自転車を貸し出したり、「投票しました」というステッカーを見せると、半額になったり、スペシャルがあるバーやレストランが続出した。1人1人の票がアメリカを変えるかもしれない、ひとつの票が大事なのである。この日は1日雨で、しかもグリーンポイントやウィリアムスバーグでは、投票の機械が壊れるなど(4つのうち3つなど)、投票者は長い列を2時間も待たないとダメ、という結果だったが、投票が終わった後は、みんな、あーだこーだ言いながら、行きつけのバーに集まってきた。今日は、スクリーンに開票結果の模様が映し出されている。私は、政治に詳しくないし、選挙権もないので、今回の結果がどうこう言うつもりはないが、友だちに色々聞いてみた。

 私は、NYはてっきり民主党だと思っていたら、アップステイトはほとんど共和党だと指摘され、NYに何年も住んでるのに、まだ故郷のジョージア州で投票している人がいたり、自分が登録した学区でないと投票出来なかったり(仕事先の近くではダメらしい)、それぞれの州が違う法律を持つなど、アメリカの大きさ、アメリカの政治の複雑さを、長々と語ってくれた。

 今回の中間選挙については、「これでダメだったら、アメリカは終わりだね」と諦めている人が大多数だった。みんな投票に行っているが、誰に投票したか、などは話題に上らず、自分も100%理解しているわけじゃない、と一般論を長々と話し合った。

 私が興味があったのは、テキサス州の民主党候補者のベト・オルーク氏。昔、アット・ザ・ドライヴ・インのセドリックと一緒にバンドをやっていたという経歴を持ち、たくさんのミュージシャンが彼を支持していたので、30年間共和党だったテキサス州が変わるかもしれない(その差1%)、とドキドキしていた。が、結局共和党のテッド・クルーズが再選。「これが現実か」と愚痴言ってたら、「テキサス州なら選挙の機械を不正稼動させることもありえるわよ。なにせテキサス州よ」とピシャリと言った友だちがいた。それ以上は聞けなかったが、テキサス州には、特別な法律があるらしい。

 ミッドナイトを過ぎたので、開票結果を待たずに、選挙パーティはお開きになったが、彼らの意見を繰り返し思い出しながら歩いていたら、どこのバーでも、大きなスクリーンで開票結果を映し出し、みんなが集まっていた。これが選挙日の夜に、見られる光景なのであるが、普通の日とも変わらない、とも思った。

Random Access N.Y. - Back Number

Profile

沢井陽子沢井陽子/Yoko Sawai
ニューヨーク在住20年の音楽ライター/ コーディネーター。レコード・レーベル〈Contact Records〉経営他、音楽イヴェント等を企画。ブルックリン・ベースのロック・バンド、Hard Nips (hardnipsbrooklyn.com) でも活躍。

COLUMNS