Home > News > Wendell Harrison & Phil Ranelin - ──70年代デトロイトのジャズ・レーベル、〈Tribe〉の代表作が豪華仕様で大復刻
これはすごい復刻だ。70年代スピリチュアル・ジャズ三大レーベルのひとつ、デトロイトの〈Tribe〉の代表作が豪華ボックスセット仕様となって蘇る。
〈Tribe〉のもっとも名の知られた作品であろう、ウェンデル・ハリスンとフィル・ラネリンによる『A Message From The Tribe』は、じつは3ヴァージョン存在している。72年発表のジャケが「崖」のヴァージョン、73年発表の「地球」ヴァージョン、74年発表の「顔」ヴァージョンだ。それぞれの詳細は下記をお読みいただきたいが、今回のリイシューではその全ヴァージョンが網羅されている。とくに「崖」ヴァージョンは、世界初のアナログでの復刻となる。
そして忘れてはならないのが、〈Tribe〉はたんにレコードを発売するだけの組織ではなかったということだ。「ア・メッセージ・フロム・ザ・トライブ」というタイトルが示しているように、〈Tribe〉はメディアやイベントなどを通して、黒人たちが置かれている状況を発信する、ある種のコミュニティでもあった。その活動の一例が、雑誌『TRIBE MAGAZINE』の発行。今回のボックスセットがすごいのは、その『TRIBE MAGAZINE』全15巻が同梱されているところだろう。入手困難だった同誌の復刻はきっと、文化史的にも大きな意味を持つにちがいない。
全6枚組+15冊のボックスセット、ご予約はこちら(https://vga.p-vine.jp/tribe)から。
なお、来週発売の『別冊ele-king VINYL GOES AROUND presents RARE GROOVE』でも、〈Tribe〉は特別な存在としてコラムを設けています。ぜひ手にとってみてください。
WENDELL HARRISON & PHIL RANELIN
A MESSAGE FROM THE TRIBE BOX SET (6 Vinyls + 15 Magazines)
70年代デトロイトの伝説、〈TRIBE〉の代表的なアルバム、PHIL RANELIN / WENDELL HARRISON『A Message From The Tribe』3ヴァージョンを全てコンプリート。加えて70年代のアメリカのジャズ誌では重要なメディア『TRIBE MAGAZINE』全15巻を復刻しBOXセットにして発売致します。
1972年、デトロイトにて初声を上げたジャズ・レーベル〈TRIBE〉。1997年にP-VINEは世界に先駆けて〈TRIBE〉のコンピレーションをリリースし、それを皮切りに一連のカタログのリイシューを手掛けました。〈TRIBE〉の活動はクラブ・ミュージック周辺で再評価され、以来その活動全体が音楽シーンの伝説となっています。
今回リリースするのは〈TRIBE〉の代表的なアルバムでもあり、3種類のタイプがあることでも有名なPHIL RANELIN / WENDELL HARRISONによる『A Message From The Tribe』。これらを全てコンプリートし、加えて70年代のアメリカのジャズ誌では重要なメディアに位置する『TRIBE MAGAZINE』全15巻をBOXセットにして発売致します。
●『A Message From The Tribe』について
1972年発表の「崖」の写真をあしらった1stヴァージョン、1973年発表の「地球」のイラストを使用した2ndヴァージョン、そしてレーベルの主宰者でもあるWENDELL HARRISONとPHIL RANELINの「顔」のイラストが使われた1974年発表の3rdヴァージョン。わずか3年間で3種類リリースされた本作。これらはそれぞれ内容が異なります。
□1stヴァージョン『崖』:他のヴァージョンとは全く内容の異なる幻の初回録音盤が初のLPリイシュー! ボーナス7インチ付き
記念すべきレーベルの第一弾アルバムが世界で初めてアナログ復刻します。Tribeのコミュニティは、発足当初はライブを主な活動としていましたが、その延長で音楽と寸劇と詩で構成されたミュージカルをデトロイト美術館にて公演。その録音を一枚のLPに収めたのがこのアルバム。激しいフリージャズから徐々にブリージンなジャズ/フュージョン・サウンドへと変化していくWENDELL HARRISONの代表曲 “Where Am I” や、自由と自立のためにいま何が必要かを問いかけたメッセージが妖艶に紡がれていくグルーヴィーなヴォーカル・ジャズファンク “What We Need” の最初のテイクがここで聴くことができます。また本作はボーナス7インチを付属。こちらは “Where Am I” と “How Do We End All Of This Madness” を収録。どちらもここでしか聴くことのできないヴァージョンです。
□2ndヴァージョン『地球』:未発表のインスト・ヴァージョンがボーナス10インチとして初のレコード化
このアルバムで一番有名なジャケットと言っても良い「地球」をあしらった2ndヴァージョンは、あらたに再録音された全くの新しいテイク。1stヴァージョンとは収録曲の内容も異なり、より洗練された内容。A面にはPHIL RANELINの楽曲が収録され、1stヴァージョンよりも曲の精度を上げて作られておりファンキーな仕上がりに。B面のWENDELL HARRISONの楽曲は全曲差し替えられ、こちらもグルーヴィーな楽曲が並んでいます。全体的にも1stよりもコマーシャリズムが優先されており、それによって時流に合わせたモダンなサウンドに生まれ変わっています。そして本作には初のアナログ盤でリリースされるインストゥルメンタルを収録した10インチが付属。当時のミュージシャンの演奏力や楽曲自体の素晴らしさがあらわになり、折り重なるようなホーンセクションがクールなジャズファンクとして新しい側面を感じます。これらはジャズの音楽史でも貴重なテイクです。
□3rdヴァージョン『顔』:3つの中でもっとも良い録音に仕上げられたヴァージョンをTRIBE初の45RPM / 2枚組LPに
そして3rdヴァージョンは本作品群における最終形態。2ndヴァージョンから大きくミックスを変え、マスタリングやカッティングまでこだわりリリースされたのが本作。2ndヴァージョンと聴き比べても別物と思えるほど音の違いがはっきりとわかります。特に “What We Need” のファンキーさは、キックやベースの音圧やボーカルの輪郭などが格段にアップし、現在であればダンスミュージックとしても十分に使える音像に変化。そのほか反復するウッドベースのフレーズやローズの音色などがグルーヴィーな “How Do We End All Of This Madness” や、刻んだハットと乱れ打つスネアが印象的なウェンデル・ハリソンらしい疾走感あるジャズファンク “Beneficent” などもファットなビートに進化しています。今回は元の音源を忠実に再現しつつ、アナログは2枚組の重量盤LPでより高音質な仕様にしています。
●復刻版『TRIBE MAGAZINE』について
□全15巻を完全復刻
TRIBEがレコードのリリースと並行して出版していたマガジンがこの『TRIBE MAGAZINE』。70年代当時、アフロ・アメリカンたちのコミュニティで起こっている凄惨な出来事を明確に伝えるメディアが全く無かった中、WENDELL HARRISONが中心となって立ち上げられた黒人のための音楽情報誌兼、ニュース・メディアです。当時のデトロイト周辺のジャズや著名な音楽家などの記事に加え、黒人の歴史家/人類学者のコラムや日常の知られざる出来事をレポートしたニュースを発信。"何も知らなければ何もできない" 〜 "We can't do anything about it, if we don't know about it." を主張しアフロ・アメリカンの自立を目指して発行されていました。また誌面のデザインや写真などもローカル誌とは思えない斬新なビジュアルで、眺めているだけでも楽しめる内容です。
今回、スピリチュアル・ジャズ史上最も重要な紙媒体でもあるこのマガジン全15冊を完全復刻します。『TRIBE MAGAZINE』は現在、非常に入手困難なメディアであり、これは世界中で待たれていた待望の復刊になります。
[商品情報]
■早期購入者特典としてオリジナルTシャツ付き!(2023年1月5日まで)
■箱のデザインは2タイプから選べます
ボックス・タイプA
ボックス・タイプB
■伝説のJAZZマガジン TRIBE MAGAZINE 全15冊を完全復刻!
■限定シリアルナンバー入り
■レーベル代表作が3バージョン、デラックスエディションで復刻!(全て見開きジャケット)
■(LP+7”)+(LP+10”)+(45RPM 2LP)
■世界初インスト・ヴァージョン・アナログ化!
■LPは180g 重量盤!
■ジャケット/TRIBEマガジンをモチーフにしたポスター(515×728mm)封入!
(The back side is TRIBE x Pharoah Sanders or Herbie Hancock from Tribe Magazine.)
価格:434.5 USD(税抜き 395 USD)
[収録内容]
□Message From The Tribe 1st Version [LP+7"]
Side A
1. Mary Had An Abortion
2. Where Am I
3. Angry Young Man
Side B
1. What We Need
2. Angela's Dilemma
3. How Do We End All Of This Madness
Side C
1. Where Am I (7" Short version)
Side D
2. How Do We End All Of This Madness (7" Short version)
□A Message From The Tribe 2nd Version [LP+10"]
Side A
1. What We Need
2. Angela's Dilemma (Instrumental)
3. Angela's Dilemma (Vocal)
4. How Do We End All Of This Madness (Instrumental)
5. How Do We End All Of This Madness (Vocal)
Side B
1. Wife
2. Merciful
3. Beneficent
Side C
1. What We Need (Full Instrumental Version)
2. Angela's Dilemma (Full Instrumental Version)
Side D
1. How Do We End All Of This Madness (Full Instrumental Version)
□A Message From The Tribe 3rd Version [2LP / 45rpm]
Side A
1. What We Need
2. Angela's Dilemma (Instrumental)
3. Angela's Dilemma (Vocal)
Side B
1. How Do We End All Of This Madness (Instrumental)
2. How Do We End All Of This Madness (Vocal)
Side C
1. Wife
2. Merciful
Side D
1. Beneficent
□TRIBE MAGAZINE(完全復刻版)全15冊
□TRIBE MAGAZINE B2サイズ・ポスター
●〈TRIBE〉について
モータウンの発祥の地として知られるデトロイトで発足し、70年代ブラック・ミュージック/スピリチュアル・ジャズを語る上では超重要なレーベル、〈TRIBE〉。
1972年にモータウンがロサンゼルスに移転、そこでレギュラーで仕事を得ていた地元の多くのミュージシャンが突然失業していくさなか、デトロイト音楽シーンの新たなコミュニティ/クリエイティブ集団として、ウェンデル・ハリソンとフィル・ラネリンが中心となり設立。当時、アフリカ系アメリカ人達が直面していた貧困や人種差別などの困難な状況の中で、生活や社会がより良くなるよう、音楽やメディア、イベントなどを通してメッセージを発信した。その活動は90年代以降のHIP HOPやテクノなど、クラブ・ミュージック文脈で大きく評価され、2009年にはカール・クレイグによって主要メンバーが集められて作られた『Rebirth』がヒット。近年では『A Message From The Tribe』のオリジナル・レコードがオークションで1500ドルを超えるなど現在でもその影響力は衰えていない。