Home > Interviews > interview with Deft & JJ Mumbles - UKベース、前進する音楽の力(フォース)
自分たちの音楽はハウス、ヒップホップ、ベースミュージック、そういったものを全部ミックスしてやっているものだと思ってる。レーベルのアーティスト達とは人間的にもちゃんと付き合っていけて、人間同士の関係性を築けるかどうか、というところはすごく重視している。
■ところでふたりはおいくつなんですか?
JJ:26歳(1986年生まれ)。
デフト:23歳(1989年生まれ)。
■パーティでプレイする側も遊ぶ側も若いんですね。ロンドンでふたりが関わっているパーティ・シーンについてもう少し聞きたいのですが、パーティ・オーガナイズもやるんでしたっけ?
JJ:〈WotNot Music〉でリリースがあったときには、レーベルとしてリリース・パーティをやっているよ。レーベルのクルーみんなでレギュラー・パーティ的なものも運営していきたいとは思うんだけど、ロンドンはいま、そういうパーティをやるには難しい状況でもあって。パーティが飽和状態なのと、日本みたいなサウンドシステムがいいクラブが少ないんだ。なのでレギュラー・パーティをやるには難しい面もあって。
デフト:去年、ロンドンで教会を借りてD.I.Yスタイルのパーティをやったんだ。メンバーは僕、DA-10、マニ・D(Manni Dee)、アルファベット・ヘブン(Alphabets Heaven)、アニュシュカ(Anushka)、チェスロ・ジュニア(Chesslo Junior)という〈WotNot Music〉周辺の仲間たちで。PAは自分たちで入れたし、ヴィジュアルはウィー・アー・イェス(WeAreYes)というチームに担当してもらって、普通のクラブ・イヴェントとは少し違った感じで、ライヴをたくさん入れて。
JJ:教会だから椅子があるよね。最初はみんな椅子に座ってチルしながら映像を楽しんでる感じだったんだけど、だんだん盛り上がってくると前の方に出て踊りだすんだ。他にない雰囲気で楽しかったよ。
デフト:なんでそういうパーティをやったかというと、クラブでパーティするというマジョリティに対して、自分たちはちょっと違うことをやりたかったんだ。DJだけじゃなくヴィジュアルやライヴ・アクトも一緒くたに楽しんでもらうというのが目的で、これまでにもウェアハウスや電車のガード下とか、クラブじゃない場所でそうしたパーティを開催してきたんだ。とはいえそうしょっちゅうやっているわけじゃないんだけど、ロンドンでマジョリティなクラバーたちも、だんだんそういうパーティの楽しさに開眼してきているように感じているよ。
■ロンドンでのふたりの活動の様子をいろいろ聞いたのは、日本でもいま、ふたりがやっているようなイギリス発のハイブリッドなベース・ミュージックが「UKベース」というキーワードのもと非常に注目されてるからなんですけど、ふたりの活動や〈WotNot Music〉の音楽は、地元のロンドンでも「UKベース」というワードで盛り上がっているんでしょうか。それとも何かまた別のキーワードもあるんでしょうか?
JJ:自分たちの音楽はハウス、ヒップホップ、ベース・ミュージック、そういったものを全部ミックスしてやっているものだと思ってる。それを言い表す名前はないけれど、他の誰かに説明する時に「UKベース」という言葉を使うことはある。けど、自分たちとしてはUKベースという言葉はそんなに好きじゃなくて。〈WotNot Music〉に関してもUKベースだけじゃなくて、いい音楽なら何だってリリースしたいと思っているんだ。例えば(WotNot Musicからリリースしているアーティストのなかでも)DA-10とチェスロ・ジュニアとでは、作っている音楽も全然違うよね。DA-10はハードウェアのみでビートミュージック的なサウンドを作るアーティストだし、チェスロ・ジュニアのサウンドはトラップ・ビートの進化型ともいえるものだし。
■いま話に出たように〈WotNot Music〉のサウンドは幅が広いのが特徴ですね。そうなると、リリースする音源を選ぶ基準はどうなっているんですか?
JJ:これまでのリリースに関して言えば、レーベルに関わる全員が楽しんで聴けるものばかり、ということになる。デモもいろいろ届くんだけど、自分でいろんなところに出かけていって、レコードを掘るようにアーティストをディグするのが好きなんだ。あとリサーチの一環としてサウンドクラウドなんかでもいろいろ聴くけど、例えば100回しか再生されてないけどメチャクチャいい曲があるとするよね。そういうのを見つけるとものすごく嬉しいんだ。もっとたくさんの人に聴いてもらいたい、と思えるような人を見つけるのが楽しいんだよね。あと、アーティストのパーソナリティは重視しているんだ。人間的にもちゃんと付き合っていけて、人間同士の関係性を築けるかどうか、というところはすごく大切だと思っている。
■例えば〈WotNot Music〉がフックアップしているアーティストに、沖縄在住でまだ17歳のスティルサウンド(Stillsound)という人がいますよね。彼についてもそういう感じだったんですか。
JJ:スロウ・ディスコというのかスロウ・ファンクというのか、そういう曲を作っているアーティストを1年ぐらいずっと探していて、サウンドクラウドでいろいろ聴いているなかにスティルサウンドがいたんだ。すごくツボだったね。まだ17歳ですごく若くて、例えばミキシングのやり方や音の作り方も未熟というか若さを感じるサウンドなんだけど、そこがすごく気に入ってるんだ。未完成なところもあるけどすごく才能を感じるし、これからどんどん伸びていくアーティストだと確信してるよ。今年の終わりにはロンドンに来てもらって、一緒にギグをする予定なんだ。
DA-10 - The Future Is Futureless取材・文:メタル、 yasuda koichiro(WHY)(2013年6月03日)