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Home >  Interviews > interview with Seiho part.2 - テクノ新世紀・愛慾篇

interview with Seiho part.2

interview with Seiho part.2

テクノ新世紀・愛慾篇

──セイホー、ロング・インタヴュー(後編)

野田 努    写真:小原泰広   Jul 08,2013 UP
part.1から続く
interview with Seiho part.1- テクノ新世紀・立志編

Interviews

レコード聴くのとCD聴くのは、明らかに感覚が違うじゃないですか。それは理解してるんですけど、CDをiTunesに入れて聴くのと、CDをコンポで聴くのと、僕のなかでは違うんですよ。まったくおんなじデータのはずやのに。それに近いです。

セイホー君はガキの頃からネットに馴染んで、ナップスターも経験してている。音楽はカネで買うもんじゃないってことを最初に覚えてしまった世代かもしれないじゃない? それなのにレーベルやって、配信ではなく、CDというモノとして売るってさ......

セイホー:僕がお金を出して買っているものは、さっき言ったような〈12K〉とか、どっちかって言うと美術品として買ってるようなCDが多かったんですよね。それと、TSUTAYAに並んでるシングルCDとは明らかに違うじゃないですか。そこですかね。

ああ、そういう感覚って僕らの世代ではあんまりないけど、たしかにセイホー君ぐらいの世代から見たら、その辺の線引きがはっきりしちゃってるのかもな、って感じがするね。

セイホー:レコード聴くのとCD聴くのは、明らかに感覚が違うじゃないですか。それは理解してるんですけど、CDをiTunesに入れて聴くのと、CDをコンポで聴くのと、僕のなかでは違うんですよ。まったくおんなじデータのはずやのに。それに近いです。
 ほんとに感覚だけの話なんですけど。別にiTunesから出そうが、そのPCが繋がってるスピーカーは同じやし、これが読み取ってるだけなんですけど、それをコンポに入れてスピーカーで聴くのと、なんか違うんですよね。わかんないですけど。それと、パッケージを開けて聴く、その行為も含めて。

レーベルとしてとくに意識してること、作り手として意識してることってありますか?

セイホー:大阪も含め地方都市のイヴェントに行って思うのは、まあそれも対東京になっちゃうんですけど、東京は「チャラい」っていうジャンルでも細分化されてイヴェントがあるんですよ。「ひとりでどうにかせなあかん」ぐらいの感じなんですよね(笑)。僕らはどっちかって言うと、全員集めてどうにかせんとパーティとして完結できないっていうのがあって。だから、4つ打ちのビートをやってる子らも、ジュークやってる子らも、ヒップホップから来てビートやってる子らも、同じ場所に来てお披露目っていうかライヴをせんと、パーティとして成立しないっていうのがひとつです。
 もうひとつは、そんなガチャガチャやってるなかでお客さんが「今日はやっぱりジューク良かったなー」ってなると、ダンス・ミュージックをやってる子のBPMが上がっていくんですよね、やっぱり(笑)。そのなかで、135とかで作ってた子が、155ぐらいまで行ったときのジュークっていうのもまた、新しくて。それで違う進化をしていくというか。更新されていくところが楽しいなと。

PCがここまで普及したこんにちでは、家でユースト観たらいいやってやつも逆に増えてきちゃって。べつにクラブに行かなくてもいいや、っていう人もセイホー君の世代では多いじゃない? 

セイホー:うーんと、ひとつは、ユーストリーム観てて楽しいのはほんまにわかります、っていう。やっぱこう、再生数が上がっていく感じのテンションの上がり方っていうのは、ドミューンができる直前ぐらいにオカダダくん(註:関西拠点の、その界隈で人気のDJ)がクリスマスの日に自宅からぽっと放送したら、すごい数の再生になったんですよ。なんかもう、爆発しちゃって。べつに、なんとわなしにDJしてただけなんですけど。「寂しい夜にひとりでDJします」みたいな感じで。ツイッターが盛り上がってきたときと、ユーストリームができ出した頃やったんで、ドミューンができる前にバーンと再生数が増えて。
 ああいうのがあって、やっぱ面白いなっていうところと、けれども、さっき言ったジュークとかハドソン・モホークのトラックとかをヘッドフォンで聴いても面白くないですよね、みたいな。クラブのウーハーが鳴っているところでしか味わえないもの、僕のなかでは「アトラクション音楽」って呼んでるんですけど。

はははははは。

セイホー:アトラクションっぽい音楽ってやっぱあるんですよね、クラブ・ミュージックでは。

音を体感するっていうね。

セイホー:そうですね。だから3D映画は自宅でもいいけど、USJぐらいの規模になるとやっぱ行きたいな、みたいな。

なるほどね。橋元が観たのはゴールド・パンダのときだよね。

橋元:そうですね。

わりと最近、いろんなところに呼ばれてるでしょ? 〈ロウ・エンド・セオリー〉とか、そのゴールド・パンダ、あるいはソナーであるとか。やっぱ意識してるの? 壁を作らないようにというか、小宇宙化しないようにとか。

セイホー:僕はそうですね。僕はけっこう意識してます。

いまはDJが専門家化しているから、それが意外と難しいんだよね。

セイホー:そうですね。だからさっきの大阪の話で言うと、対応力だけはついてるんですよ。場数は踏んでて。たとえば全然知らんバンドの前座に呼ばれてみたいなときにどうするか、ってさんざん悩んだ挙句、編み出した方法とか(笑)。あと4つ打ちのパーティに呼ばれて、「こんなオシャレなとこで俺どうしたらええねん」みたいなときに編み出した手法とか。っていうので積み上げてきたものがあって、それをフルに生かしてる感じですね、いまは。

あと、なんでそんなにカセットが好きなの?

セイホー:カセット好きなのはさっき言ったのといっしょで、フェティッシュな部分っていうか、CDをコンポで聴くのといっしょで、カセット・ウォークマンで聴く行為そのものが好きで。で、〈リーヴィング・レコーズ〉がやっぱ好きやって、マシュー・デイヴィッドから〈リーヴィング〉のカセットを直接こっちに送ってもらったりしてて、カセットが好きやっただけですね。レーベルを立ち上げたちょうどぐらいのときに、〈リーヴィング〉をずっと聴いてたっていうのがありますね。

〈リーヴィング〉やマシューデイヴィッドって、日本ではストイックに受け止められてるフシがあるからさ。もっとイージーというか快楽的というか、いい意味でテキトーだと思うけど。

セイホー:そうなんですよ。雑多な音出すし、それこそカセットテープとかもチャチいしひずんでたりもするんですけど、でもそれが面白いなっていうか。ほかに〈ノン・プロジェクツ〉っていう、もうちょっとマイナーなレーベルなんですけど、そことかは......うちのマジカル・ミステイクがLA出身ニューヨーク育ち、で、いま日本で仕事してるんですよ。で、彼がアメリカ行ったときにカセットのレーベルからカセット買って来てくれたり。

音はめちゃくちゃデジタルなのに、そういうアナログ愛みたいなものがあったり、いろんなところで重層的に矛盾があるんだね。

セイホー:そうなんですよ! その矛盾をずっと話し合ってるんですけど、結果的によしとしようかってなってるんで。いろいろ話し合ってても、「あれ? さっき言ってた美的感覚とちょっとズレてない?」ってことがよくあるんですよ、僕らのなかで。

矛盾がないものなんてつまらないからね、ほんと。

セイホー:それはその瞬間に立ち会ったときに、どっちがカッコいいかを言えればいいか、ぐらいの(笑)。

(笑)じゃあその辺りも話し合うんだ。

セイホー:話し合いますね。それこそ美的感覚をきっちりしたいって言ってる連中もいるし、でもけっこう雑多な人間が集まってくるんで。

取材:野田 努(2013年7月08日)

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