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interview with the insect kids

interview with the insect kids

変だ、変だ、変だ

――昆虫キッズ、インタヴュー

天野龍太郎    Jun 10,2014 UP

いま、「ロック・バンド」ってどういうバンド? 自分たちはロック・バンドなのかなあっていう疑問がある。

高橋:ところで、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドは何枚めが好き?

僕は3枚めですね。

高橋:絶対3枚めでしょ! 俺もそう。でも俺はジョン・ケイルが好きなんだよなあ。(※)

なんでですか?

高橋:なんか中途半端だから(笑)。

アカデミックなほうへも、ロックのほうへも振りきれない感じがありますね。絶対に権威になれない感じが。

高橋:なれないね。そこにかわいげがある(笑)。

もしジョン・ケイルの音楽を一言で表わせって言われたら困るような音楽家ですよね。

高橋:そう。そういう人が好き。いまだにジョン・ケイルが何者なのかわからないよね。そんなにジョン・ケイルのことは知らないんだけど、なぜかシンパシーはある。

ジョン・ケイルを言語化できない感じは、昆虫キッズとも似ているかもしれませんね。

高橋:天野くんはこのアルバムはロックとパンクだったらどっちだと思う?

うーん……。

高橋:いま、「ロック・バンド」ってどういうバンド? 自分たちはロック・バンドなのかなあっていう疑問がある。つねに思うのは、(アルバムを指しながら)こういうものを聴いて10代の子が「こういうバンドをやりたいなあ」って思ってくれたら、それがひとつのゴールなんだよね。

それはロック的な夢ということですか?

高橋:ロックというよりバンドの、だね。

高橋さんがさっき訊かれた「ロック」と「パンク」という、その両者のちがいは高橋さんにとってはどういうものですか?

高橋:パンクは弱い人間から生まれた音楽だと思う。社会的にも経済的にも追い込まれて、あらゆる面で淘汰されてしまいそうな人というか。ロックはもっと計画的で、エンターテイメントというか、芸能文化のレール上にあるのかなあと思う。同じようなものとして考えていたけど、やっぱりちがうと思うんだよね。ラモーンズはパンクだなって思うのは、追い込まれたけどそこから脱出できる強さがあった人たちだから。世間がどうとか社会の情勢がどうとか関係なく、それでも前に出てこられる強さがある――俺の思うパンクっていうのはそういうこと。
それ(“変だ、変だ、変だ”)は自分自身にも言っているし、対外的にも言っている。「変じゃないこと」がなくなってきちゃったなあって。ノーマルにやることが逆に難しいような。  でも、いまはそういうものがあまりない。日本だと、より難しいと思う。嫌な言いかただけど、そういう時代じゃないというか。でもやっぱり、いつもそういう人たちが出てこないとダメじゃないかなあと思うんだよね。お笑いで言えば、たとえばダウンタウンみたいに泥のなかから這い出て栄光を掴んできたような人たち。いまはなにかを始めようという時点でそのフィールドがある程度整備されていて、なんでもやりやすい。みんな同じ整った環境でスタートできるから、そこにはそれほど差がない。そうなると、そこから突出することは難しい。そうなると、えげつないほどの力やとてつもない個を持ったやつがいても出てこられないと思うし、そいつの受けとめられかたもちがってくるんじゃないかなあ。
 たとえばどついたるねんが1970年代や80年代に出てきたとしたら、またちがっていたんだろうね。どついたるねんがじゃがたらと同じ時代にいたらどうだろう……。江戸アケミにぶっとばされるかな(笑)。いま、なんでもできちゃうっていうのは、また重荷なのかもしれないね。だから、音楽自体の持っている魅力というか、魔力みたいなものが霞んじゃう気がするんだけどね。

僕は昆虫キッズの音楽はどこかマージナルな場所から聴こえてくるように思います。そういう意味では「パンク」的です。

高橋:たぶん、自分はそういうものに憧れてはじまったけど、憧れは捨てなきゃ次にいけない。パンクの思想や方法とは別の角度からバンドをディレクションするのも自分の仕事だから。そこで訪れる変化のタイミングを受けとめて、アメーバのように細胞分裂を繰り返していて、得体の知れないものになると思う。

だから、そうやって4人でバンドをやっている?

高橋:そうだね……。そうだと思う。

“変だ、変だ、変だ”という曲のタイトルがまさに昆虫キッズだと僕は思うんですよね。

高橋:そうだね。それ(“変だ、変だ、変だ”)は自分自身にも言っているし、対外的にも言っている。「変じゃないこと」がなくなってきちゃったなあって。ノーマルにやることが逆に難しいような。普通にやることがいちばん大変かもしれないよね。


※誤解を招くおそれがありましたため「でも」を加えております(6/12訂正)

昆虫キッズ『BLUE GHOST』発売記念公演「Stay Ghost」

会場:東京・渋谷WWW
公演日:2014年6月11日(水)
開場 18:30 開演19:30
出演者:昆虫キッズ、高島連 with ハイハワ原田

チケット料金:前売¥2,800  当日¥3,300
(各税込、Drink代別途¥500 全スタンディング)

・プレイガイド予約
(1) チケットぴあ コード:230-962
(2) ローソンチケット コード:77728
(3) e+ http://eplus.jp/sys/main.jsp

・WWW店頭

・メール予約
the_insect_kids@yahoo.co.jpまで、お名前、ご来場人数(お1人様につき4名まで予約可能)、連絡先を明記の上メールをお送り下さい。
※公演前日6/10(火)まで受け付け致します。
※当日受付にて前売料金をお支払い頂きます。
※ご入場順はプレイガイド、WWW店頭チケットご購入者が優先となります。
※やむを得ずご来場できなくなった場合、お手数ではございますがその旨ご連絡をお願い致します。

チケット絶賛発売中

主催:P-VINE RECORDS
お問合せ:渋谷WWW 03-5458-7685

取材:天野龍太郎(2014年6月10日)

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Profile

天野龍太郎天野龍太郎
1989年生まれ。東京都出身。音楽についての編集、ライティング。

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