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interview with Interpol

interview with Interpol

3ピースの絵

──インターポール、インタヴュー

橋元優歩    インタヴュー:原口美穂   Oct 20,2014 UP

Interpol
El Pintor

Matador / ホステス

Indie RockPost-Punk

Tower HMV Amazon

 ニューヨークを代表するバンド、インターポールのデビュー・アルバム『ターン・オン・ザ・ブライト・ライツ』が各メディアから絶賛され、時のアルバムとなったのが2002年。ロックンロール・リヴァイヴァルにポスト・パンク・リヴァイヴァルと、「リヴァイヴァル」からはじまったインディ・シーンのモードに先鞭をつけた作品のひとつだ。いまだにいわゆるバンド・サウンドというと、このころ出てきたアーティストたちの音の射程を抜け出せないところがあるというか、彼らはそもそも使い古した型である音楽のいちスタイルの、その半永久的な強度をもった部分だけを摘出してやすりをかけて、無限のリサイクルに耐えるものに鍛えたというようなところがあるから、フランツ・フェルディナンドにしろ、ザ・ストロークスにしろ、そうした作品の数々が途切れることなく後続を生むのは理屈にたがわない。2000年代を生きつづけてきた『ターン・オン・ザ・ブライト・ライツ』は、当初「ジョイ・ディヴィジョンのような」と形容されまくったが、ジョイ・ディヴィジョンのようなバンド、あるいはジョイ・ディヴィジョンに影響を受けたバンドなら、その一点においてはもっと秀でた存在が他にももっといるだろう。しかし、インターポール以降の「そういった」バンドは、「インターポールのような」バンドである可能性も高い。彼らがやったこととは、おそらくそういうことではないかと思う。

 そして、だからこそデビューから10何年を経たいまも、前線を走るというわけではないけれども彼らは良質なポップ・ミュージックとして息を継いでいける。インディ・バンドのようなたたずまいを崩さずに、メジャーな市場においてアルバム5枚と多くのシングルをリリースし、2000回を超えるというショーをこなし、メンバーによってはソロ活動なども並行して行いながら年齢を重ねてきたインターポールに、今作『エル・ピントール』について訊ねた。答えてくれたのはドラマーのサミュエル・フォガリーノ。グレッグ・ドルディに代わってデビュー作の頃からインターポールのサウンドを支えてきたメンバーだ。今作からはベースのカルロス・D脱退にともなって3ピースでの制作となったが、前作のツアーから参加している、ザ・シークレット・マシーンズのブランドン・カーティスや、ポップ職人、ロジャー・マニング・ジュニア、またアントニー・アンド・ザ・ジョンソンズなどにも参加するマルチ・インストゥルメンタリスト、ロブ・ムースなどさまざまなゲストを迎えており、音としてはむしろリッチに仕上がっている。

 また、本文に入る前に、彼らが当時のニューヨークを代表するバンドとはいえ、その人気に火をつけたのがUKのポップ・シーンだったことを付言しておきたい。それは最初のシングル(「Fukd I.D. #3」、2003年)がスコットランドの名門〈ケミカル・アンダーグラウンド〉からリリースされていることにも顕著で、2001年には早々とジョン・ピール・セッションにも登場している。ギャング・ギャング・ダンスやブラック・ダイスのブルックリンとは異なるニューヨークの重要バンドとして、UKを刺激するロック・バンドだったということは、彼らを説明する上では外しがたい点だろう。

■Interpol / インターポール
1997年ニューヨークにて結成。2002年に〈マタドール〉よりデビュー・アルバム『ターン・オン・ザ・ブライト・ライツ』を発表。同年を代表するアルバムとして注目を浴び、大きなセールスを記録した。2007年のサード・アルバム『アワー・ラヴ・トゥ・アドマイヤー』(キャピトル)は、全米チャート第4位、全英チャート第2位。そして2014年、2010年の『インターポール』以来約4年ぶり通算5作めとなるスタジオ・アルバム『エル・ピントール』を発表。


ニューヨーク、あの街のエネルギーに駆り立てられるんだ。

むかしからUKのアーティストと比較されることが多いと思います。いまさらながらにポストパンクという文脈と比較することは控えますが、実際のところ、UKのバンドと錯覚するような音の系譜にはあるかと思います。実際のところ、そのあたりのルーツをどのように考えておられますか?

Sam Fogarino(以下SF):俺には正直何とも言えないな……。人が何を感じるかは自分たちにはコントロールできないし。ロック・ミュージック、つまりギターが基本となっている音楽をやる中で、自分たちのアイデンティティを見つけようとしているのが俺たち。他のバンドもそれをやっていて、その中でいろいろな比較やカテゴライズがされているんだろうけど。自分たちのロックンロールを探求する、最初の時点ではそれが自分たちが音楽を作る理由だった。曲を作っているアーティストやバンドはみなそうだと思う。それでも人と比較されてしまうのは仕方のないこと。俺たちが気にしているのは、誰であれ俺たちの音楽を気に入ってくれる人がいるということ。俺たちは、自分たちがやりたいことをやっているだけなんだ。

NYという場所から音楽を発することを意識しますか?

SF:どうだろうね。もちろん、NYに繋がる強いアイデンティティは持っていると思う。でも、やれと言われればどこでも音楽はできるよ。ニューヨークでの生活が長いから、思い出がたくさんあって曲にしやすいだけなんだ。長い時間を過ごしてるから、自分たちの一部みたいになってしまっていて(笑)。俺はもうニューヨークに住んでさえいないんだけどね。いまは南部、ジョージアに住んでるんだ。でもバンドのベースはニューヨークだから、しょっちゅうニューヨークにいるけどね。あと、あの街のエネルギーも関係あると思う。あのエネルギーに駆り立てられるんだ。でも、いつか他の国でレコードを作るのもおもしろいかもしれないね。

文化的に非常に強い発信力を持った地域でもありますよね。そのカルチャーを引っ張るというような意識があったりしますか?

SF:あるかもね。その責任を負いたいとまでは思わないけど(笑)。でも同時に、ここまで自分たちと強く結びついているっていうのもすごくいいことだと思う。軽くは考えてない。名誉だと思ってるよ。

“NYC”のニューヨークから10年ほど経ちますが、もっとも大きな変化だと感じられるのはどのようなものでしょう?

SF:実際には12年なんだ。時間が経つのは早いな。たくさんのことが変わらずそのままだと思うけど、やっぱり人生の中で前より経験を積んでいるから、いろいろなことがベターになってる。自分たちのやることすべてがね。もっと自信がついているし、ちゃんと考えて活動できるようになってる。若い頃って、多くのことが偶然起こってるって感じだった。だけどいまは、やりたいと思うことがちゃんと計画してできるようになったんだ。さまざまな場所を旅して、パフォーマンスを続けてきたから。計2000公演もやればベターになるよな(笑)。自然の流れや偶然に任せるんじゃなくて、もっと自分たちでいろいろと操れるようになってきたんだ。

デビューの頃から、みずみずしさよりは達観したような物腰があったかと思うのですが、歳を重ねたこととバンドが生み出す音とはどのように影響しあったと思いますか?

SF:歳を重ねると、自分の周りのものや人生がそこまでミステリアスではなくなってくる。いろいろなことがより簡単になってくるんだ。自分を苛立たせていたものがそれほど気にならなくなったり。音楽も、それ以外のこともそうだね。

ファンも年齢を重ねていると思いますが?

SF:ファンの年齢層は広いよ。ステージからは、18歳から50歳くらいのファンが見える。すごく幅広いんだ。

なるほど。では、いまだからこそ、『エル・ピントール』だからこそ表現できたと思うところはどのようなところでしょうか?

SF:各レコードが、書いているそのときを反映していると思う。そのときの自分たちと強く関連しているんだ。活動をつづけていくにつれファンの年齢層も広がって、自分たちも経験を積んできた。だから、いまの俺たちはより人に語りかけることができるようになってきたと思う。より説得力が増してきたというか。あと、共感もしやすくなっていると思う。そうだな、説得力よりも共感という言葉のほうが適切かも。そこは歳をとることのプラスな部分だね(笑)。

質問作成・文:橋元優歩(2014年10月20日)

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