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Columns

刺激や目新しさのみが音楽の楽しみ方ではない

刺激や目新しさのみが音楽の楽しみ方ではない

──エディ・リーダー来日公演によせて

文:斎藤遠太 Jun 25,2014 UP


Eddi Reader
Vagabond

Reveal / ソニー・ミュージック

Review Tower HMV Amazon iTunes

 エディ・リーダーの来日公演がいよいよ間近に迫ってきた。私自身もとても楽しみにしている。5月に日本盤が発売となった5年振りのニュー・アルバム『ヴァガボンド』も(毎度のことながら)じつに素晴らしい作品だったからなおさらだ。

 エディの魅力とは何なのだろう。いつも何気な〜く聴いてしまっていて、正直なところこれまで彼女の魅力について深く考えたことがなかったけれども、第一の魅力がその歌声にあることは明白だ。無邪気な少女性と大らかな母性のちょうど中間を行く、伸びやかなその声の魅力はなにものにも代え難い。陳腐な表現だが、まさに心洗われる声だ。

 そしてもうひとつ。「何気な~く」聴いていると述べたけれど、いま思うに、その何気なく聴けてしまう感じこそが重要なのではないか。はっきり言って彼女の音楽には革新性と呼べるものはないし、刺激的とも言い難い。じゃあ保守的で退屈なのかと問われれば、断じてそんなことはなく、むしろいつも瑞々しい感動を与えてくれる。ひと言で言えば、彼女の音楽は純度100%の“グッド・ミュージック”なのである。奇をてらうことなく、ただ実直にいい歌といい曲を届けようというその姿勢は、フェアーグラウンド・アトラクション時代から現在に至るまで1ミリもブレていない。そして、そんな彼女に裏切られたことはいまのいままで一度もない。言うなれば、彼女のもうひとつの魅力とは、この上ない「安心感」だと思う。

 私だって、常日頃は刺激的な音楽を探し求めている。だが、それと同時に、何も考えずただ気持ちよく身を委ねることができ、かつ充足感を与えてくれる音楽の存在というのも非常に大切にしている。私は後者のような音楽を、最大限の敬意と愛着を込めて“障らない音楽”と勝手に呼んでいるのだが、この“障らなさ”を実践できる音楽家というのはじつはなかなかいない。いや、ただ障らないだけのイージーリスニングみたいな音楽ならそこら中に転がっているわけだが、そこに充足感までを求めるとなると、これがじつに貴重なのだ。そんな中で、エディ・リーダーは私にとって“障らない音楽”界のヒロインなのである。繰り返しになるけどこれ、めちゃくちゃ褒めてますからね。

 エディのライヴの思い出というと、私にとっては2005年のフジロックが挙げられる。当時のタイムテーブルはもうすっかり忘れてしまったし、他にも刺激的なアクトを多数観ていたはずだが、もはやその記憶も薄れてきた。だが、あのとき苗場の山に響いた彼女の歌声の清らかさだけは、鮮烈な記憶としていまも脳裏に焼き付いている。これが私にとって初の生エディ。それまでも作品は愛聴していて、その素晴らしさは十分享受しているつもりでいたが、いやいや甘かった。ステージでの彼女の歌は本当に生き生きとしていて、バンドとともに作り出すアットホームな雰囲気も最高。野外での開放感も相俟って、ラストの“パーフェクト”の大合唱ではその多幸感のあまり感極まったのを覚えている。もちろんライヴにおける彼女にもギミックなど一切ない。飾らないステージにシンプルなバンド、あとは歌だけだ。それで十分。ライヴでの彼女の魅力は、間違いなくアルバムを超えていた。

 さあ、今年もエディ・リーダーが日本にやってくる。今回はフェアーグラウンド・アトラクションでの来日時にこけら落としを行った名古屋〈クラブクアトロ〉の25周年アニバーサリー公演を含む東名阪のツアーだ。

 また、新作『ヴァガボンド』の日本盤リリースに加え、来日を記念して、フェアーグラウンド・アトラクション3作とエディの初ソロ作の計4タイトルが紙ジャケット仕様の完全生産限定盤として再発された。
(詳細 http://www.sonymusic.co.jp/artist/EddiReader/info/438207

 彼女のことだから、今回も素晴らしいステージになるのは間違いのないところだろう。そして、ひょっとしたらアニバーサリーイヤーならではのサプライズもあるかもしれない。思いっきり期待して、あとわずかに迫ったその日を待とうじゃないか。

■エディ・リーダー ジャパン・ツアー

大阪公演
6月28日(土)
Umeda CLUB QUATTRO
18:00開演
前売り¥7,000(税込/ドリンク別)
(問)スマッシュウェスト06-6535-5569

名古屋公演
6月29日(日)
Nagoya CLUB QUATTRO
“Nagoya Club Quattro 25th Anniversary”
18:00開演
前売り¥7,000(税込/ドリンク別)
(問)クラブクアトロ 052-264-8211

東京公演
7月1日(火)
Shibuya CLUB QUATTRO
19:30開演
前売り ¥7,000(税込/ドリンク別)
(問)スマッシュ 03-3444-6751

チケット発売中
http://smash-jpn.com/live/?id=2109

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