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最初の頃に作った曲はあまりにもコンピュータばかりで、人間について語っていなかった。だから、ここにある曲のほとんどは、人間が真っ先に注目を浴びるべきだという考えで作られたんだ。
The Streets Computers & Blues ワーナーミュージック・ジャパン |
■5作目となる『コンピューターズ・アンド・ブルース』でザ・ストリーツは終わるわけですが、いつ、なにをもって今作で終わりにしようと思ったのでしょうか?
スキナー:もともとワーナーとの契約がアルバム5枚だったから、こうするのが簡単だと思っていた。それに時期的にもこうするのが自然な気がしたんだ。
■ザ・ストリーツをいつまでも続けるべきではないと思った理由をあらためて教えてください。それはあなたの美学や流儀ですか、あるいはザ・ストリーツではやることをやったという意味なんでしょうか?
スキナー:ザ・ストリーツでやれることは全部やってしまった気がする。音楽をやりはじめた頃は、プロデューサーになりたいと思っていたし、それにどこかで辞めなければ、この先何年もステージの上で叫び続けてることになるからね。
■『コンピューターズ・アンド・ブルース』は、ザ・ストリーツの10年の歴史に終止符を打つべき特別な作品なわけですが、最後のアルバ ムだと言うことで、どんなプレッシャーがありましたか?
スキナー:他のアルバムに比べて、今作のプレッシャーは少なかったと思う。昔はアルバムごとに何か新しいことをやろうとして、自分にものすごくプレッシャーを掛けていたけど、今回は少しリラックスして、良い曲を作ることだけに集中しようとしたんだよ。
■『コンピューターズ・アンド・ブルース』は、もちろんわれわれの生活を 著しく変えたデジタル文化をテーマにしているんですよね? 最初の曲、"アウトサイド・インサイド"における「世界はこの外に存在する/でも内側にいればあったかく堅苦しさもない/外は荒れ模様/内は平常(the world is outside but inside warm inside informal outside stormy inside normal)」というフレーズは、外の社会とネット社会のことを言っているんですか?
スキナー:アルバムに収録されている曲はすべて、何らかの形で未来を反映したものにしたかった。でも、最初の頃に作った曲はあまりにもコンピュータばかりで、人間について語っていなかった。だから、ここにある曲のほとんどは、人間が真っ先に注目を浴びるべきだという考えで作られたんだ。だから"アウトサイド・インサイド"は「いま」と「ここ」に焦点を当てているけど、同時にインターネットを天気のように捉えてみようって思ったんだ。
デジタル・ワールドを快くとも不快とも感じてないよ。テクノロジーを崇拝するのは簡単なことだと思う。でも俺は、別にそれで自分たちがよくも悪くもなるとは思ってないし、それにテクノロジーは快適さと同時に、より効率的に互いを殺せる方法をもたらした。
■未来というテーマが最初にあったと思うんですけど、最終的にそれが『コンピューターズ・アンド・ブルース』という言葉に表されるテーマに辿り着いた理由を教えてください。
スキナー:ただ、未来を十分近くに感じることができなかったんだよ。つねに遠くのものとして捉えていて、ザ・ストリーツのアルバムにするほどパーソナルなこととして感じることができなかった。だから、いまの俺たちの生活にある未来的なものを取り上げることにしたのさ。
■タイトルに"ブルース"を入れた理由を教えてください。
スキナー:フューチャリズムをアルバムのテーマとして決める前から、シカゴのブルース・ミュージックみたいなブルースを、コンピュータっぽく演奏したものをやりたいというアイディアがあったんだ。結局、いかにもブルースっぽいスタイルの曲はひとつも残らなかったけど、タイトルには残したんだ。自分がやろうとしていることに集中するためにもね。
■あなたは現在のデジタル社会を決して快く思っていないわけですか?
スキナー:デジタル・ワールドを快くとも不快とも感じてないよ。いずれにしても、テクノロジーを崇拝するのは簡単なことだと思う。それで自分がよくなろうと悪くなろうとね。でも俺は、別にそれで自分たちがよくも悪くもなるとは思ってないし、それにテクノロジーは快適さと同時に、より効率的に互いを殺せる方法をもたらした。われわれ人類が1万年以上も遺伝学的に変わっていないという事実をテクノロジーは変えることができないのさ。
取材:野田 努(2011年2月22日)