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interview with Soggy Cheerios

interview with Soggy Cheerios

生まれ直すロック

――ソギー・チェリオス、インタヴュー

松村正人    Jul 19,2013 UP

惣一朗くんのドラムは音が小さいんだけど、ふたりの世界にすごく合っていて、演奏をみていたら星が降ってくるような感じがしたの。それが音楽の不思議、ひとがプレイすることのすばらしさを感じた最初かもしれないですね。(直枝)

■ソギー・チェリオスの話は直枝さんからですか?

直枝:そうそう。

■どういうきっかけで?

直枝:僕たちひとの音楽が好きで――

鈴木:語り部的にね(笑)。

直枝:そうそう。よく対談とかするわけ。ポール・マッカートニーのマニアックな話とかになるとかならず話が来るんだけど、そんなことが何度が続いたんですよ。惣一朗くんと対談したある日、ちょうど僕は一週間、あまり寝てなくて頭おかしかったのかもしれないけど、「いまいえよ、いまいったほうがいいよ」という声がどこからか聞こえてきて(笑)、「今度音楽やろうよ」と声をかけたの。

鈴木:片づけして帰ろうとしたら、何気なくポンといわれて。非常にさわやかに僕には聞こえたんですよ。

■学校の放課後にクラス・メイトにいわれた感じですね。

鈴木:そうそう。その言葉がスパンって僕のこころに入ってきたの。僕は「やろうよ」といってプロデュースしてきたから、逆にひとにいわれることはあまりなかったわけ。直枝くんがどうしてそういってくれたのか、その後、僕は一週間ほど咀嚼したんだけど、ああいってくれるなら本気で考えてみようかなと思ったの。この音楽業界に入ってからの直枝くんと僕の30年。さっきいっていた、ロック・カルチャーをわかったっていうんじゃなくて、もう一回対峙してみたいなという気持ち、ビートルズやポールをこれだけ楽しく聴いているんだから、ザ・バンドにももう一度対峙できるだろうし、わかったふりでいる気はさらさらないし、聴けば聴くほど発見があるということ、ロック・カルチャーの歴史はたかだか50年ほどだけど、それをわかったふうにはしたくなかった。そういったいろんなものが直枝くんの言葉でつながった感じはありましたね。

直枝:僕は理屈じゃなかったんだな。82年くらいにすきすきスウィッチのおっかけやっていたんですよ。

■直枝さん、影響受けたっておっしゃっていましたもんね。

直枝:パンゴとかすきすきとかが好きで、あと「天国注射の昼」なんかも観にいっていたクチなんで。その82年くらいのすきすきのドラマーが惣一朗くんだったの。そのとき僕は鈴木惣一朗くんというひとは知らないけれども、横浜のとてつもない小さいバーというかライヴハウスで聴いて、そのときの影響で"夜の煙突"をつくることができた。すべて佐藤幸雄さんと惣一朗くんのおかげなんですよ。惣一朗くんのドラムは音が小さいんだけど、ふたりの世界にすごく合っていて、演奏をみていたらライヴハウスに星が降ってくるような感じがしたの。それが音楽の不思議、ひとがプレイすることのすばらしさを感じた最初かもしれないですね。

鈴木:そんなのを観てくれているとは思わなかったからね。

直枝:あそこにいたんだよ(笑)。

鈴木:ついでにいうと、すきすきスウィッチのキーパーソンである佐藤幸雄に去年の夏僕は再会したのね。

■活動を再開したんですよね?

鈴木:レコーディングもしていて、ディスク・ユニオンから8月に出るんですよ。3枚同時リリース(註:『それでもはじめて』『ここへきてはじめて』『ライヴ・レコーディング・アット・ラストワルツ』)で40曲録ったかな。

■それはソノシートじゃないですよね(笑)?(註:すきすきスウィッチの『忘れてもいいよ』はソノシート5枚組だった)

鈴木:今度はCDです(笑)。彼と再会していくこと、直枝くんと会っていくこと、去年で僕はワールド・スタンダードの活動を止めたので、休んでもいいかなとも思っていた。でもそういった出会いがこういうふうにまわって、いっしょに音楽をやることが自然なことのように思えるようになった。直枝くんに、いっしょに音楽をやらないかといわれて、今度は佐藤くんに僕のほうからいっしょにやらないかと声をかけた。それは僕が直枝くんに声をかけてもらったことで刺激されたのかもしれないですね。

■いっしょに音楽をやることに惣一朗さんが驚いたのは、お互い違う場所で音楽をやっているという認識があったからでしょうか?

鈴木:直枝くんは確固たるものを持っている男だから。

■お互いそうだと思いますよ。

鈴木:僕はあまりひとのコンサートは観に行かないんだけど、カーネーションは何度か観に行ったことがある。で、びっくりしちゃうわけよ。このレコーディングに入る前にも渋谷の〈WWW〉で観て、もうびっくりして飛んで帰っちゃった。

■私も拝見しましたけど濃密でしたよね。

鈴木:理屈じゃないよね。身体から発せられる光みたいなもので。それが同い年で2013年にやっている。確固たるものがあるひとといっしょに音楽ができるだろうかという不安が僕にもあったし、でもやってみようかなと思ったのは、非常にさわやかに「惣一朗くんいっしょにやろうよ」って中学生みたいな感じでほんとうにいってくれたのが、彼の人柄だろうけれども、そんなふうにいえるひとは素敵だなと思ったし、もっと覗いてみたかったんですよ。

直枝:ほんとうに上から「いえ」って聞こえてきたんだ。それは俺、節目節目によくあるんだよ。あと、エブリシング・プレイというバンドを惣一朗くんがやっていたとき、『ポッシュ』ってアルバムが発売中止になったんですけど、そうなる前のテスト盤をうちの最初のマネージャーが彼からもらって、そのカセット・コピーを僕は聴いていたことがあったの。89年かな。それを聴いたときは同い年でこんなに音楽的に成熟したヤツがいるのかと思ったんだよね。僕にないものばかりもっていた。そのとき僕は、作品をつくってきて、批評の部分であれ、歌詞のつくり方であれサウンドであれ、ロック・バンド特有の悩みを抱えていたときだったんだけど、そんなときにエブリシング・プレイはここまで想像力豊かな、それも内省を怖がらないサウンド志向の音楽をつくっていた。しかも同世代。それはすごいと思った。ニューエスト・モデルとか岡村靖幸とか、自分にはない何かをもっているひとたちを僕はそのころつねに意識していて、それでようやく自分で納得いくものがつくれたのが92年の『天国と地獄』というアルバムで、これだったら惣一朗くんたちにも聴かせられるクオリティだと思ったんだよ。

■自分にないものをもっているひとを意識するのは、ミュージシャンであるとともにいちリスナーであるということだと思うんですよ。

鈴木:成熟したクリエイターは本来いちばんいいリスナーでもあるはずなんです。いっぱいアルバムを聴いたらいいクリエイターになれるし、逆もあるんですね。だから、よくあるけど、自分の音楽しか聴かないアーティスト、周辺しか聴かないひと、洋楽を全然聴かない邦人アーティストはほんと悔しいよね。

■そういうひとにかぎってオリジナリティを云々しますからね。

鈴木:ジェームス・テイラーは知っていますとか。でもあとは自分の音楽ばっかりとか(笑)。もっといろんな世界があるわけで、なぜそこに触手が伸びないのかな、とは思いますね。根本的なかけちがいというか、ものをつくるとか音楽のあり方のかけちがいがあるんですよ。直枝くんと僕が似ているのは、そこは健康的に思春期に育ったっていうのがあるんだと思う。それが1959年生まれの特徴というか、ビートルズはすでにいなくて、スタートから終わっているんだけど、終わっているということは出そろっているということでもある。ジミ・ヘンドリクスは死んでいたけど、ほかはまだ生きていたわけだし。

直枝:あの当時は独特な疲労感をもったロックが出てきた時期だったんだよね。

鈴木:アーリー70Sには倦怠期があったよね。

直枝:同世代にはヘヴィ・メタル好きが多いんですよ。ツェッペリンが初来日したころですね。あとデヴィッド・ボウイが来日したし、いくつか分かれ道があるんですよ。バングラディシュのコンサートもあって。

鈴木:そっちだ(笑)!

直枝:俺たちはそっちなの(笑)。いっこ上の兄ちゃんたちは「おまえ、レッド・ツェッペリン聴かないでどうすんだよ!」っていうんだけど、でも俺は「ボブ・ディラン聴いているから」って断ったことあるもん(笑)。大学入るとそういうひとばかり。ブラック・サバスとか。そういうなかで俺らはオリジナルの曲をつくっていたりしたんだけどね。

取材:松村正人(2013年7月19日)

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