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interview with DEXPISTOLS

interview with DEXPISTOLS

「バカになれ」以後

──デックスピストルズ、インタヴュー

野田 努    写真:小原泰広   Apr 02,2014 UP

べつに暗いものが高尚だとは思わない、でも、やっぱりオリジナリティが欲しい……それがオリジナリティか変な音楽かはひとそれぞれなんですけど、俺は毒があって癖があるものが、すべてにおいて好きなんです。

■なるほど(笑)。話を戻すと、ふたりとも90年代のクラブ・カルチャーを通っているんですね。で、2000年代に入って、2メニーDJズやジャスティスみたいなものが出てきて、そしてDEXPISTOLSとなって世に登場する。で、俺は、2000年代のクラブ・カルチャーって、90年代に対する反省であったり、そういったものも含めてなんだろうけど、すごく下世話になったと思うのね。90年代っていうのは、良くも悪くもスノッブだったでしょう。良く言えばオシャレだったし、悪く言えばスカしてる感じもあったと思うんだよ。2000年代っていうのは良くも悪くも、下世話で、言うなれば、ヤンキー臭くなったという印象なんだよね。で、DEXPISTOLSってその象徴的な存在じゃない(笑)?

DARUMA:そうですね。お恥ずかしながら(笑)。

■たとえばだけど、90年代のピチカート・ファイヴが2000年代になるとカプセルになるというように、2000年代は物事が下世話になったと思うんだよね。たとえば大沢伸一みたいなひとはずっと下世話なままでやっていけるひとなんだろうし、それはそれですごいと思うんだけど、いや、悪い意味じゃないよ。

MAAR:いや、でも俺それ、すげーわかります。2000年代の下世話感。

■だってさ、アンダーグラウンドもヤンキーっぽくなったからね。精神論ばっかというかさ。DEXPISTOLSは、そういう意味ではまったくヤンキーではないんだけど、ただ、下世話なことを確信犯としてやってきていて、で、その下世話さだけでは満足できないように見えるんだよね。

MAAR:いろんなものが好きだっていうのは基本的にあるんですけどね。まー、ギリありっていうEDMもかけてますし、“ゲット・ラッキー”もかけてます。ただ、自分が大事にしてるのって、結局、場の空気感なんです。どういうひとがいて、どういうものがかかってて……まあ、どういうひとが集まってほしいかっていうのがデカいんですよ、自分的に。だから音楽が先行していないと言えばそうなんですけど、でも、好きな音で思想とか嗜好とかが近いひとたちが集まる場所がクラブだと思ってるんで。

■スクリレックスにはなりきれなかった?

MAAR:初期はかけてたんで何とも言えないんですけど、あれの世界観をほんとに「カッコいいよね、これ!」って言ってるひとたちと俺は馴染めないってだけで(笑)。でもドッグ・ブラッドは、ガンガンかけてたり(笑)。

■その引き裂かれ方、ていうか、「両方好きで何が悪い」って感じなのかな。

MAAR:べつに暗いものが高尚だとは思わない、でも、やっぱりオリジナリティが欲しい……それがオリジナリティか変な音楽かはひとそれぞれなんですけど、俺は毒があって癖があるものが、すべてにおいて好きなんです。映画も、ただ、ワー、ドッカーン、ハッピー、ブチュー、ラブー! みたいなものより、「……どういう意味だったんだろうな、これ?」っていうほうが好きでですね。音楽もそういう感じがいい。
 何だろうな、喜怒哀楽の外側に持って行かれるものすべてに興味がある。バーンってぶつかったら痛てーし、肩ぶつけられたらイラッとするし、女の子のパンツ見えたらウォーってなるし。そうじゃない何か、踊っててもどこか掴まれるもの。要はディープ・ハウスでもテクノでも、それを聴いたときの快感がヤバくて。日常に落ちてねーやってところでクラブに行ってたから。あまりにも日常的な感情だけをボンって出されると、「これだったら家でゲームやっててもいっしょだな」みたいな(笑)。

■なるほどね。

DARUMA:たぶんエレクトロのヤンキー的な感覚のままもし行ってたら、僕らはガッツリEDMのトップ40とかもガンガンかけるようなDJになっていく流れだったと思うんですけど……。

■そうなの(笑)?

DARUMA:DEXPISTOLSをやってるときから一般的にはそういう風に見られてるんだけど、だけど、すごくいろいろなことを掘って僕らのことを見てくれているひとは、「アイツらはそういう感じになってるけど、そうはなってないギリギリ感があるからアリ」って思ってくれてて──

MAAR:乳首の話だ(笑)。

DARUMA:乳首見せてないから、アリっていう風に思ってくれてるひとがなかにいて。その乳首は絶対に見せないって感じのところが僕らのなかで共通項としてあるから、今回もこういうミックスCDになってるんじゃないかなって僕は思うんですけどね。

■うん、ふたりを見てると、それは本当にそう思いますよ。たとえば、『Lesson.04』を出した頃っていうのは、世のなかに一発お見舞いしてやりたいっていう気持ちががこめられてたと思うのね。で、『Lesson.05』を出して、そのまま続けることはできたと思うんだけど、ある意味、そこで踏みとどまってる……でしょ?

MAAR:ルー・リードの「ワイルドサイド」の歌詞じゃないですけど、ワイルドサイドを歩くと変人に当たるっていう(笑)。俺は、ゲットーに生まれたわけでもないし、恵まれた家にも生まれたわけでもないけど。父親は、大阪のゲットー生まれで、母親は、ワイルドサイドを渡り歩いてきた人でしたけどね。いろいろあって幼少期、家庭環境は劣悪そのものだったり(笑)。とにかく俺にとっては、リアルってものがしっくり来る。でもね、やりきってお金持ちになっててもそれはそれで違ったのかなとも思うんですけど(笑)。

■はははは。

MAAR:でも結局やりきれない自分がいるんで。どこかカッコつけたがりだし、ビビりだし。とはいえ踏みとどまったって、音楽でガッツリお金稼いでとんでもない生活してるひとたちもいるんですけどね。目指すのは茨の道ではあるとは思うんですけど、そういうほうが俺には心地よく思える。友だちがいいこと言ってて。「アンダーグラウンドっていうのはジャンルとか音楽的なものじゃなくて、生き様だ」って。俺もそう思うんです。

■要するに、DIYってことだよね。だからね、90年代にもいいところはたくさんあってさ、たとえば当時のクラブでクライマックスにかかった曲は、オリコン・チャートでは出ない曲なんだよね。「ヒットする」っていう意味にもうひとつべつの回路を作ったのがクラブ・カルチャーっだったわけで、みんな知ってるヒット曲をかけるのがDJじゃないから。EDMというか、いまのレイヴ・ミュージックって、アメリカでは中高生の音楽なんで、俺がとやかく言うスジでもないんだけど、ダンス・カルチャーという観点で見たときのがっかりさをひとつ言うと、結局は、ヒット・チャート的な価値観に回収されているというか……。ダンス・カルチャーのオルタナティヴ感をすっかり無くしているところなんだよね。

MAAR:たしかに、〈イエロー〉や〈マニアック・ラヴ〉はアンダーグラウンドでしたね。まあ、レコードとかクラブ・ミュージックって、昔はきちんとショップに行かないと買えなかったじゃないですか。でもいまって、クラブ・トラックがエクスクルーシヴなものじゃないんですよね。iTunesで買えるし、YouTubeでも聴けるし。ある意味ですべてがエクスクルーシヴではないんですよね。
 若い子たちってすべてを怖いぐらいにフラットに見てて、ラップもやればアニメも大好き、みたいなやつも平気でいたりとか。この前〈レッドブル・アカデミー〉の〈ヴィジョン〉の試写会行ったら、すげーコンサバなお姉ちゃんが帰り際電話でビートについて誰かと熱く語ってて、「あーもうすぐ作りたいわー、曲」みたいな。「どんな時代?」と思って。

■はははは。

MAAR:ある意味すべてがフラットになっているでしょう。クラブ自体がエクスクルーシヴな場所じゃないし。とはいえみんな、世界中のエクスクルーシヴな場所を一生懸命探して、いまだとベルリンに集まってたりとかしてるんでしょうけど。それからルーマニア・ハウスが盛り上がってきてたりとか、メキシコが盛り上がってたりとか。南米の4つ打ちいま面白いですもんね。

■東欧と南米。北欧から東欧に行って、南米行って(笑)。

MAAR:北欧ありましたよね! ちょうどおとといルオモ聴いて、これカッコいいなって思ってました。

■EDM……っていうか、現在のクラブって、大きなところは、90年代初頭で言うところのユーロ・ディスコ化しているよね。まあ、いいんだけどさ。

MAAR:あれですね。ボン・ジョヴィとかに近いですね。もう。

■しかし、MAARくんは本当に詳しいよね。世間的にはそういうイメージないけど……。ところで、DEXPISTOLSにとってベース・ミュージックっていうのはどういうものだったんですか?

MAAR:俺は、いちダンス・ミュージックっていう以外の捉え方はしてないんで。たぶんロックかけてたときも踊れるか踊れないかが基準なんですよね。

■〈ナイト・スラッグス〉のTシャツ着てるからさ、今日。ガール・ユニットの曲も今作には入ってるしね。俺も好きですよ、〈ナイト・スラッグス〉。

MAAR:ガール・ユニット(の曲をCDに)入れたから着てこようかなと(笑)。ただ、「括られちゃったらいやだなー」っていうのはある。野田さんもメールに書いていていたけど、ベース系の世代の子たちが4つ打ちやりだしているのも、現場行ったら「踊らせたい」っていうことだと思うんですよ。

■最近の、その4つ打ち回帰はどう思う? 血気盛んな10代を相手にしているとはいえ、EDMがブローステップからトラップへと、ちょっと凶暴な方向に進んでいるんで、ピースなヴァイブを求める大人はあらためてクラブを重んじるんだろうし。

MAAR:まあ当然そうなりますよ。やっぱクラブでギグ増えてきたら、踊らせなきゃって思うだろうし、作ってるとだんだん、4つ打ち、シカゴ・ハウスが何だかんだ言って「やべー、これ完成されてる」ってなりますもんね。4つ打ちって、結局、帰ってきちゃう場所だと思うんですよ。

■言い方を変えると、いまハウスが一番ヤングの音楽なんだから。ケリー・チャンドラーとかマスターズ・アットワークがね。

MAAR:ディスクロージャーとか……。でも、クラブ・ミュージックにおいては、テクノ、ハウスって、もう世界的に確立したものではあると思うんです。何だかんだ言って一番踊りやすいっていうシンプルさではじまっちゃってるんで。そこに戻ってくるとは思うし、結局そのシンプルななかで何かやるっていうのが難しいわけだし。

■まあでも、2年前ならトッド・テリー(ハウスのリジェンドのひとり)とか、DEXのミックスCDには入らなかったと思うんだよね。

MAAR:たしかにそうですけど、じつは俺らの『Lesson.02』か何かで──。90年代ハウスのミックスを作ってたりするんですよ。

■それいま出したら売れるよ(笑)。

MAAR:90年代のハウスとか、ボム・ザ・ベースとか、ああいう80年代90年代にクラブで聴いてたものを超エディットして、30曲ぐらい入れてるんだよね。あれはすっげーBPMを下げて出したらヤバいかも。

DARUMA:うん。でもあれはあれで面白い。一生懸命やってるんですよね、なんか。

取材:野田努(2014年4月02日)

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