ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. 別冊ele-king パンク50周年記念号──それは何だったのか、何でありえるのか
  2. Robert Del Naja ──マッシヴ・アタックの3D、二度目の逮捕
  3. Malaria! ——80年代初頭の西ベルリンから、ポスト・パンク/アヴァンギャルド・シーンを象徴する最重要バンド、マラリア!再発
  4. Black Marble - Life in Small Spaces | ブラック・マーブル
  5. 細野晴臣 - Yours Sincerely | Haruomi Hosono
  6. Klara Lewis - Opening | クララ・ルイス
  7. Columns 9月のジャズ Jazz in September 2026
  8. interview with Actress UKテクノ界の奇才が語るみずからの哲学 | ──アクトレス、インタヴュー
  9. Horse Lords - Demand to Be Taken to Heaven Alive!  | ホース・ローズ
  10. Columns ♯17:もしもパンクがなかったら ——その基礎知識と『パンク50周年記念号』刊行のお知らせ
  11. ele-king vol.37 ボーズ・オブ・カナダ大研究/サイケ&ドリーミー特集
  12. 食品まつり a.k.a foodman - HIKARIGASASHIKOMU
  13. Arca - XXXXX
  14. AMBIENT KYOTO ──2027年春、レイ・ハラカミの展示が決定
  15. interview with Toshimaru Nakamura 世界を魅了する、類い稀なる電子音響 | ──中村としまる、待望の初期ベスト盤リリースと超ロング・インタヴュー
  16. Cornelius - Refractions | コーネリアス
  17. Dusty - Dusty & Friends / Commodo - Deep Harbour ft. Alfa Mist / Untold - False Vacuum
  18. ボカロが世界に与えた衝撃 一億回再生の意外な背景
  19. Stones Taro ──京都のハウス・プロデューサーによる新作
  20. R.I.P. 鷲巣功

Home >  Interviews > interview with DEXPISTOLS - 「バカになれ」以後

interview with DEXPISTOLS

interview with DEXPISTOLS

「バカになれ」以後

──デックスピストルズ、インタヴュー

野田 努    写真:小原泰広   Apr 02,2014 UP

俺に立ち返るところがあるとしたら、パーティです。パーティにはたぶん、一生戻るんです。そこに何がかかってるかは、その時代ごとでわからないけど。でも、自分の帰るところはパーティですね。

■さっきから話しているけど、本人たちの引き出しはこれほど多様なのに、DEXPISTOLSはエレクトロで売れたから、一般的には、いまだにそのイメージが強いよね。

DARUMA:そうですね。で、マッシュアップのときにふたりでやりはじめて、エレクトロのときに波が来るのがわかったんで、「ここで俺らやんないと!」って意識がすごくあったんですよね。まわりを見渡したときにジャスティスが「ヤバい」って言ってるDJがひとりもいなかったし。たんなるノイジーな、わけのわかんない音楽っていう認識だったとたぶん思うんですけど。ジャスティスが、っていうか〈エド・バンガー〉が出てきて、「東京から俺らがここに乗っかってやるぜ」っていう意識はすごくありましたよね、やっぱり。

■ロラン・ガルニエも〈エド・バンガー〉のことは評価してるもんね。

MAAR:忘れもしない、だってジャスティスのあのシングルが出る前に──。

DARUMA:「ウォーターズ・オブ・ナザレス」?

MAAR:うん。当時〈シスコ〉のハウス店にいた西村(公輝)さんがすんごいニンマリした顔で、「好きそうなの出てきちゃったよー」って言って、聴いたのがあれで。

■へー(笑)。

MAAR:でもよく見たら、〈ジゴロ〉から出てる「ネヴァー・ビー・アローン」(2004年)とか俺持ってて。「あーこのひとなんだー」と思いましたね。最初みんなに聴かせても全員ハテナ出されて。「ビービー言ってるね」って。DARUMAくんすら最初ハテナだったから(笑)。

DARUMA:俺は〈ラ・ファブリック〉で、トレヴァー・ジャクソンと2メニーDJズのお兄ちゃんとペドロがバック・トゥ・バックでやってたのを見たことがあるんです。そのときは、俺、全然わかってなかったんですけど。そこでペドロがジャケット見せながらかけてて、それがノイジーすぎて理解出来なくて。サウンドの質感は違うけどウータン・クランとか最初聴いたときの異物感に近かったっていうか。

MAAR:で、俺サウンドチェックとかで聴いてると、大体PAのひとがバーって走ってきて、「これこういう曲ですか?」って毎回言われるっていう(笑)。

■ジャスティスはその後、アメリカですごくウケたよね。

MAAR:ヘヴィメタですもんね。

■あれがアメリカのいまのレイヴに与えた影響ってデカいのかなあ?

MAAR:デカいと思いますよ。暴れりゃ勝ちでしょ、みたいな。ジャスティス自体はほんとは音楽性が高いんですけどね。サウンド処理とかじつはとんでもないことやってて。あれぐらい音のトレンド自体を変えるひとたちはいないと思ってるんですけど。あれはたぶん、〈エド・バンガー〉チームが作ったものではあるんですよ。

DARUMA:そうそう。ペドロの手腕ってところがあるよね、やっぱり。ソー・ミーのアートワーク含めて。

MAAR:第二のダフト・パンク作りたいですっていうのがね。

DARUMA:やっぱりあのエレクトロの波っていうのは、ペドロの功績が相当大きかったなっていう。

■実際、ペドロが仕掛けたものだしね。

MAAR:ペドロって、若干20歳にして、〈クラブ・レックス〉に初めてマスターズ・アット・ワークを呼んだ人なんですよ。フランスのクラブにディープ・ハウスやテクノを持ち込んだひとりなんです。で、そこにダフト・パンクが遊びに来て、お互いマスターズ・アット・ワークが好きだったと。それが縁でマネージャーになったらしいんですよね。

■いまのは、ダンス・ミュージック好きには良い話だね。

MAAR:最近〈エド・バンガー〉がサインしたボストン・バンとか、新しい、すげー遅いハウスなんですけど。なんとなく理解できるなと思って。

■MAARくんは、さっきの自分のルーツは何なのか? っていう話の続きなんだけど、本当にそこはどう考えているの?

DARUMA:僕はそこはヒップホップです。

■DEXがもし迷ったとき、立ち返る場所っていうのは?

DARUMA:僕個人のなかではヒップホップを感じるか、その1点だけなんですよね。そこがブレていくってことはこの先たぶんもうない。僕はきっとそこだと思います。だからベース・ミュージックっていうのも、トラップとかダブステップとか、ポスト・ダブステップとか言われているものも、ヒップホップ的な感覚で聴いてるところが僕はあるかな。

■じゃあジェイムス・ブレイクはダメでしょ。

DARUMA:いや、好きですね。

■はははは。

DARUMA:ジェイムス・ブレイクに僕はそういう要素を感じることがもちろんできるから。

■MAARくんは?

MAAR:俺に立ち返るところがあるとしたら、パーティです。パーティにはたぶん、一生戻るんです。そこに何がかかってるかは、その時代ごとでわからないけど。

■MAARくんが理想とするパーティっていうのはどういうもの?

MAAR:面白いひとがいるところですね。面白いひとがいる、刺激的な場所である、刺激的な音楽がかかってるっていうところですかね。最近は、モノを作るのがやっとほんとに楽しめるようになってきたんですね。でも、自分の帰るところはパーティですね。
 いま、世のなか的には右傾化してて……海外からは右傾化してる日本に対してけっこう警告されたりはするんですけど。ケータイもテクノロジーも含めてどんどんガラパゴスになっていってるって言われる。でも、かたや、日本人のスキルも上がって、海外の有名なDJを呼ばなくても良いセットを聴けるようになったし……、あまりにもDJがロック・スター化したシーンがあって、料理人だったようなものがロック・スターになっちゃって。ただ、パーティというのは、もっとトータルに見せるものだと思うんです。空気感だったり……。

■70年代のNYなんか、ある曲がかかると冷房入れるとかさ(笑)、そこまで考えていたそうだからね。

MAAR:昔、イビサでけっこう有名なDJでガン踊りしてたら、隣で似た様にガン踊ってた外人に「今日のDJ、誰?」って訊かれて「お前、知らねーのかよ!」みたいな。それぐらいひとつの面白い空間として、DJが誰とか関係ないひとも音にこだわるひとも、そこに集まるっていうのが理想すね。

DARUMA:最近は、二極化してる感じしますよね。すっげーひと入ってる大バコがあって、EDM的な、トップ40的なものでみんながワッショイ盛り上がってるっていう現場。もう一方では、大バコ程は人は入ってなかったりするかもしれないけど、良い音楽があって、良い空気感のあるパーティもあって。同じクラブ・シーンのなかでも、まったく別のものとして存在していますよね。

■そもそもヤンキー的な方向に行くのって、絶対抑えられないと思うのね。もうずーっと、欧米だってそうじゃない?

MAAR:ベルリンでもありますもん。EDMのクラブ。

■UKだってそうだよ。でもクラブ・カルチャーっていうのはさ、実は、そういうヤンキー臭さ、下世話さも受け入れているところがじつは良さだとも言えるんだよね、矛盾しているようだけど(笑)。理想を言えば、誰もが自分を解放しなきゃ意味ないんだし。

MAAR:いや俺もほんとそう思います。ただ、昔はおっかないひとたちってけっこうカッコいい音楽掘ってたんですよ。俺の先輩とか、エンジニア・ブーツで革パン履いて革ジャン着て、背中にラリー・レヴァンのサインですからね。

■最高だね。

MAAR:「これいつもらったんすか!?」って訊いたら「この格好でNY行ったときに10時間踊ってやったら、『ユーはシリアス・ダンサーだ』って言われてサインしてもらった」みたいな(笑)。で、ジャラジャラとクロムハーツとかつけてて。たぶんそのミックス感も、クラブだけで許されるような気が俺はしてて。

■その猥雑な感じっていうのをDEXPISTOLSはすごく出してると思いますよ。

MAAR:それはヤンキー感が強すぎなんじゃないですか(笑)。

■はははは! 言ったね(笑)。

MAAR:それは、もう、俺らの地元の問題なんですよ。

取材:野田努(2014年4月02日)

12345

INTERVIEWS