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Home >  Interviews > interview with Tyondai Braxton - ひさびさの新作を出した実験音楽家タイヨンダイ・ブラクストン

interview with Tyondai Braxton

interview with Tyondai Braxton

ひさびさの新作を出した実験音楽家タイヨンダイ・ブラクストン

──セオ・パリッシュ、キング・タビー、OPNからの影響について語る

質問・序文:小林拓音    通訳:川原真理子
photo by Ebru Yıldız
Aug 25,2026 UP

 タイヨンダイ・ブラクストンは唯一無二だ。入念に練られたリズムにテクスチュア、断片化されたヴォーカルへのこだわり、あるいはオーケストラなどクラシカルなアイディアの導入、それらによって生成される音の小宇宙は、ほかのだれの音楽とも似ていない。
 その独創性の萌芽をファースト・アルバム『History That Has No Effect』(2002)や「Rise, Rise, Rise」(2003)に見いだすことも不可能ではないだろう。が、当時彼を知る者はかなり限られていたはずで(ぼく自身あとで探して買った口です)、ブラクストンが存在感を放つことになるのはもう少し先、2000年代後半におけるエクスペリメンタル・ロックを代表する一組、バトルズのめざましい活躍をもってである。
 他方、同バンド在籍中に発表したセカンド・ソロ・アルバム『Central Market』(2009)で彼は、いきなりストラヴィンスキーに触発された音楽をとどろかせファンたちを驚かせた。かと思えば6年後の3枚目、『HIVE1』(2015)では潔くそのスタイルを放棄、なんともパーカッシヴでミニマルな電子サウンドを探求している。その後巨匠フィリップ・グラスとのコラボレイションを経て、4枚目『Telekinesis』(2022)では再度オーケストラと組んだり……と、まるで振り子のごとく電子音楽とオーケストラルなアプローチとのあいだを揺れ動くその歩みは、モダン・クラシカルのレーベルとして知られる〈Erased Tapes〉からリリースされた5枚目『Splayed Werks』において、どんな進展をみせているのだろうか?
 はたして今回はエレクトロニック寄り、旧譜でいえば『HIVE1』や「Oranged Out」の側に振れた音楽といえそうだ。鳥の鳴き声が新鮮な “Multiplay” や “Phonolydian” などでは彼らしい音声のエディットを堪能できる一方、“UnFS” や “Oslo” はブラクストン流のダンス・ビートを搭載してもいる。セオ・パリッシュフランキー・ナックルズがヒーローだと明かし、ベーシック・チャンネルが大好きだと述べるブラクストン。最近はプリンストン大学で教鞭をとる立場になっている彼だけど、電子音楽の少なからぬ作品がハイブラウに寄りすぎる傾向がある現況において、彼の音楽がダンス・ミュージックから切り離されていないことは見すごせないポイントだろう。
 来日公演は11月24日(火)@草月ホール。この意欲的な新作を携えて彼は、いったいどんなサウンドを生で構築してみせるのか。

ぼくのヒーローのひとりは間違いなくセオ・パリッシュだね。あとはフランキー・ナックルズといった伝説のハウス・プロデューサーの作品を崇拝している。

前作『Telekinesis』(2022年)は、オーケストラや合唱団と一緒にやった作品でした。これはもともとステージで初演されたのち、レコーディング作品としてもリリースされたのですよね。同作を制作した経験は、その後のあなたになにをもたらしましたか?

タイヨンダイ・ブラクストン(Tyondai Braxton、以下TB):あれはぼくにとってきわめて重要なプロジェクトだった。間違いなく、ぼくが手掛けたもののなかで最大規模だった。ぼくはああいったエナジーを必要とする他のコンポーザーの作品の大ファンなんで、ぼく自身もそういった壮大な作品をつくりたくて、実現させるためのアイディアがいくつかあった。大変な仕事だったよ。ああいうプロジェクトを実現させるために、ぼくのクリエイティヴィティと資源(リソース)をすべて使い尽くしたんだ。というわけで、曲をレコーディングしてああいう形で記録することができてとても満足だった。
 多くのことを学んだけど、もっとも重要だったのは、あのサイズと範囲の作品であってもフル・オーケストラは必要ないかもしれないということだった。スタジオでエレクトロニックものの仕事をしていて、意欲的な作品を実現させられる能力がある人間として、120人も必要ないんだということに気づいたんだ。あれは貴重な体験で、必ずしもあの資源がなくても意欲的なことをやりたいと思う自分を満足させることができたんだよ。

『Telekinesis』以降は、今回のアルバムにも収録されることになったいくつかのシングルが出ていますが、この間、他にはどのような活動をされていたのですか?

TB:依頼されていたいくつかの作品を仕上げていたんだ。4人のパーカッショニストとエレクトロニクスのための “Sunny X” という作品をやった(サード・コースト・パーカッション『Between Breaths』収録)。これは2023年にリリースされたんだ。他にも取り組んでいた作品がいくつかあったけど、この2〜3年間は今回の『Splayed Werks』を仕上げることに専念していた。それから、4年前から教鞭をとりはじめたんで、この経験に慣れるとともに音楽の仕事も並行してやることに専念してきたんだ。というわけで『Splayed Werks』とパーカッション作品、あとなにかやったかな。それが大半だったと思う。この3つのことにかかりきりになっていたんだ。

この間、あなたの身に起こったことでもっとも大きな変化はなんでしたか? 教鞭を執りはじめたことでしょうか? 他になにかありましたか?

TB:教鞭を執りはじめたことは、もちろんライフスタイル的にはもっとも大きな変化だった。それまでのぼくは、ツアー・アーティストとして、そしてアンサンブルの楽曲制作の依頼で生計を立てていた。いまでもツアーはやっているしライヴもやっているけど、教鞭の仕事が加わったいまのぼくの人生はもっとバランスがとれているから、ここ2〜3年間のライフスタイルでもっとも大きな変化はそれだったんだ。

プリンストン大学では、どういったことを教えているのですか?

TB:ぼくはプリンストン大学の音楽作曲科の教授で、いくつかの授業を考案した。その大半はエレクトロアコースティック音楽が中心になっているし、あとスタジオを楽器として活用する理念もあるんで、エレクトロニック・ミュージックのスタジオ制作やエレクトロニック・ミュージックの歴史の授業を開設したんだ。この2〜3年はそうやって新しい環境に順応していったんだよ。

プリンストンは学生街、学園都市のようですが、音楽シーンはどのような感じなのですか?

TB:かなりささやかなシーンだけど、在校生や卒業生が大学で活気あるコミュニティを築いていて、つねにパフォーマンスやショウがおこなわれている。あと、ここにはすばらしいラジオ局と、北東部ではとても有名な〈Princeton Record Exchange〉というレコード店もある。だから、活気のあるコミュニティだ。とても素晴らしいよ。

これまでは〈Nonesuch〉からのリリースでしたが、今回はロンドンの〈Erased Tapes〉からのリリースです。〈Erased Tapes〉からリリースすることになった経緯を教えてください。

TB:〈Nonesuch〉と一緒にやれたことはすばらしかった。彼らのところで『Telekinesis』のような作品をつくることはじつに理にかなっていた。チャレンジングなオーケストラ作品や、ああいった作風のコンポーザーと一緒にやってきた歴史が彼らにはあるからね。でも、エレクトロニック・ミュージックはそんなに扱っていないんだ。彼らの専門分野ではないんだよ。歴史的には、ほんとうにすばらしくて重要なエレクトロニック・アルバムを出したけど、いまの彼らはそういったもので運営しているわけではない。だからぼくとしては、今回の作品が落ち着ける場所を見つけることが重要だったんだ。楽譜に書かれた作品やアンサンブル作品ではなく、理念的にチャレンジングなエレクトロニック・アルバムをリリースできる場所を見つけることがね。そしてそれには〈Erased Tapes〉がうってつけだったんだ。

〈Erased Tapes〉で気に入っている作品があれば教えてください。

TB:ぼくが初めて知った〈Erased Tapes〉のグループはドーン・オブ・ミディでね、とても気に入ったんだ。その後、あのグループのメンバーのカシム・ナクヴィ(Qasim Naqvi)があそこからたくさんリリースしたけど、アルバムはどれもすばらしかった。トリスタン・ペリッチ(Tristan Perich)もあそこからリリースされているコンポーザーで、その作品はすばらしい。ライヴァル・コンソールス(Rival Consoles)というプロデューサーがいて、長年にわたって〈Erased Tapes〉からアルバムをリリースしているけど、その仕事にたいする姿勢もすばらしいね。あのレーベルにいるアーティストにはすばらしいひとたちが大勢いるんだ。

新作には、これまで断片的に発表されてきた曲が多く含まれています。これは、コンセプトをもった1枚のオリジナル・アルバムというよりも、ここ何年かのドキュメンタリー、コレクションととらえるべきでしょうか?

TB:むしろアルバムと呼びたいね。ぼくがこれまでつくってきた他のアルバムはたいてい、完成するまでに何年もかかっていた。アルバムとコレクションの境界線はたいてい、アルバムづくりがどれだけ長くかかったかによる。今回のアルバムに収録されている曲は、おもにこの4〜5年のあいだにつくられたものだ。8年ほど前にできたかなり古い曲がひとつあるけど、大半は比較的最近の楽曲なんだよ。そしてどの音楽も似たようなプロセスや作業の仕方でできたんで、作品としての統一性がある。まとめるのにしばらく時間はかかったけどね。シングル・コレクションとして2〜3年前にリリースされたものもあるけど、いずれより大きなコレクションの一部になることは決まっていたんで、そういった構成になっていた。だからぼくとしては、これはコレクションというよりはアルバムと捉えたいね。

通訳:いちばん古い曲はどれですか?

TB:アルバム中もっとも古い曲は “4 Zones” なんだ。これはたしか、2018年につくったんじゃないかな。8年前だね。

“UnFS” はあなた流の独自のハウスとも言えそうな側面をもっています。好きなハウスのプロデューサーまたは作品はなんですか?

TB:ぼくのヒーローのひとりは間違いなくセオ・パリッシュだね。デトロイトを拠点とした独創性に富んだ、ぼくの大好きなプロデューサーなんだ。彼と、あとはフランキー・ナックルズといった伝説のハウス・プロデューサーの作品を崇拝している。ぼくは、そういったアイディアをいただいて、割れたビックリハウスの歪み鏡に取りこんで、アイディアを抽象化してぼくにとって興味深いものにする。ぼくはつねに巨匠たちをリスペクトしてきた。ダンス・ミュージックのパイオニアたちの作品が大好きなんだ。

ひるがえって “Oslo” は、これまたあなた流の独自のダブと言えそうですが、気に入っているダブ作品があれば教えてください。

TB:そうだなあ、キング・タビーやリー・スクラッチ・ペリーからモーリッツ・フォン・オズワルドまで。モーリッツのグループ、ベーシック・チャンネルが大好きなんだ。おなじことで、音の追求にエキサイトしているひとたちだよ。いまのぼくたちは、そういったアーティストたちを「ダブ」といったジャンルをつうじて知っているけど、当時のアーティストたちはたんに実験して、音をべつの形で効果的に出したり操作したりしたかったにすぎない。ああいった探究心はすごいと思う。

ちなみに「サイケデリック」ということばからはなにを思い浮べますか?

TB:そうだなあ、「サイケデリック」を考えるとき、ぼくたちにとっては決まりきったものにたいする「歪んだものの見方(warped perspective)」を思い浮べるね。抽象化された美しいもの、宇宙のようなものかもしれない。ぼくたちがまっとうだと思っていたアイディアをいかに歪められるかを示しているんだ。

ぼくはアーティストはアーキヴィスト(記録保管人)のようなものだと思っている。どの時点においても、自分が考えているとおりにアーカイヴに保管しているんだ。

あなたの音楽はエレクトロニックであっても打楽器の身体性を想起させます。パーカッションをフィーチャーした『Hive1』のときのインタヴューであなたは、打楽器をテクスチュアを生みだすものとして扱うことに興味をもっていると語っていました。今回、ギターとピアノ以外は電子音でつくられていると思いますが、やはりあなたならではのテクスチュアが生まれています。リズムの探求とテクスチュアの探求において、いまあなたがもっとも重視していることは何ですか?

TB:とくにひとつだけのものを重視しているわけではないんだ。音を生みだすときは、それがなんであるのか、どういったアイディアであるのかをそれに語ってもらうんだよ。テクスチュアが主体でそれが決定打となる作品もあれば、リズムが主体な場合もあるし、ハーモニーやメロディが主体な場合もある。ぼくの音楽づくりの観点に、そういったアイディアにかんするヒエラルキーはない。互いに協調しあってひとつのものとして成立する場合もあれば、リズムなりメロディなりテクスチュアなり、主要な要素がある場合もある。曲に取り組んでいると、それが発展していくにつれ、どういったものになるかは音が教えてくれるんだ。

基本的にベースを入れないのはなぜですか?

TB:ベースはもっているけど、『Splayed Werks』では使わなかったかな。でも、ギターのピッチを下げてベースとして使ったんだ。

通訳:それは面白いですね。本物のベースを使う代わりになぜそのようなことを?

TB:わからない。たんにそのときたまたまギターを弾いていたんで、「これのピッチを下げてみたらクールなサウンドになるかも」と思ったんじゃないかな。ぼくがプレイしているときは、とても直感的な作業の仕方なんだ。うまく行く場合もあれば行かない場合もあるけど、ぼくが取り組んでいる膨大な数のレコーディングがあるから、それを集めてまとめていく。今回は、ピッチシフトしたギターが入っていると思う。

ストラヴィンスキーから触発された『Central Market』(2009)、パーカッシヴな『Hive1』(2015)、オーケストラとの『Telekinesis』、そして今回の新作と、あなたのこれまでの歩みはクラシック音楽のアプローチやオーケストラ・サウンドと、ラディカルなエレクトロニック・ミュージックのあいだを往復しているように映ります。先ほど、『Telekinesis』をつくったことであれだけのスケールの作品でもオーケストラ抜きでできるのだということを認識したとおっしゃっていましたが、毎回、反動が起こるのでしょうか?

TB:そう思う。これがぼくのパターンなんだということに気づくまでにアルバム2〜3枚分かかったけどね。それまでは、ちゃんと認識していなかったんだ。でもアルバムをつくっていくうちに、反対方向に進んでいってそっちを試してみる自分の傾向がわかってきた。だから、様子を見ようじゃないか。今回もまた同じことが起こるかもしれない。いまのぼくはスタジオで作業することをとても楽しんでいる。とても自由な気分でいられる。それでも、アンサンブルのために曲づくりをするのも好きなんだ。細かいところまで作曲した曲が演奏されるのが好きなんで、次にぼくがどこへ行くかは様子を見ようじゃないか。

AIには面倒な仕事をしてもらいたいわけで、自分のために音楽をつくってもらいたいわけじゃない。間違った見方をされているんだ。ぼくたちがもっと人間らしくあることを助けてくれるツールになって欲しかったのに、皮肉なことにぼくたちはこのツールをぼくたちの生活の人間らしさの部分に使ってしまっている。

プレスリリースのコメントで、おそらくはインターネットやSNSが普及した現代についての話だと推測しますが、いまはメディア過多で、アーティストの仕事の意味が以前とは変わってしまったことについて語っていました。どのように変わってしまったのか、詳しく教えてください。

TB:アーティストの役割は必ずしも変わっていないと思う。どんなアーティストも、本質的には人生で自分が見たり感じたりエキサイトしているものに反応して、そのフィーリングやアイディアをなんらかの作品をつうじて形にしてドキュメント(記録)することができる。そこからまた先に進んでいけるんだ。ぼくはアーティストはアーキヴィスト(記録保管人)のようなものだと思っている。どの時点においても、自分が考えているとおりにアーカイヴに保管しているんだ。
 インターネットやSNSはまたべつの話で、どのアーティストもSNSやストリーミングといったいまの仕事のやり方に取り組まないといけない。20年前とは間違いなく別世界だし、10年前と比べてもちがう。テクノロジー的にもカルチャー的にも、ぼくが子どもの頃と比べると、ぼくたちは美術や音楽をかなりちがう形で受けとっている。だからこの世界で作品を世に送りだすために、アーティストは順応しないといけないんだ。SNSはいまや、ぼくたちの生活において中心的な要素になっている。ある意味、人びとがアイディアを共有する術を民主化しているけど、それはすばらしいことだ。一方で、ストリーミング・サーヴィスによって派生する飽和状態とシニシズムがあって、アート・カルチャーは社会全体から切り離されている。これは悲しいことだし、懸念すべきことだ。その意味やそれがぼくたちにどういう影響を及ぼすかについてはまだわかっていないけど……わからないな。
 ぼくたちはアートにたいする相反した感情(アンビヴァレンス)を反映している世界にも生きていて、社会や政治の仕組みや統治のあり方をシニシズム的に見ている。世代によって世界の価値観は変化していて、それが世界のアート・カルチャーにたいする馴染み深さや理解度、そしてそれが社会においてどういった意味をもたらすものであるかをあらわしているんだ。

近年の大きなトピックといえばAIですが、音楽とAI、アートとAIの関係についての、あなたの考えを聞かせてください。

TB:それだけを考えれば、AIはたんなるツールで、アーティストはそのツールを使ってクールなことができると言える。でももちろん、AIはツール以上のものだ。その使われ方や美術や音楽への影響の及ぼし方は、当然ながらとても深刻なものになる。もうなっている。Spotifyは、AIによって生成された5700万もの曲を削除した。存在しないひとたちによって金儲けがおこなわれていたからだ。そういったことが起こるわけで、商業的な面ではAIがものすごい邪魔ものになることは間違いない。でも、美術や音楽における人間的表現が大好きな愛好家たちによる小さなコミュニティにとってそこまで邪魔ものになるかどうかはわからない。もちろん、多少の邪魔にはなるだろうけど、そこまでひどくはならないんじゃないかという気がしている。
 はっきりしているのは、ぼくがどんな予想を立てようが、ぼくたちはそのかなり初期の段階にいるということ。そして、よくなる前にさらに悪化していくことは間違いないだろう。AIには面倒な仕事をしてもらいたいわけで、自分のために音楽をつくってもらいたいわけじゃない。間違った見方をされているんだ。ぼくたちがもっと人間らしくあることを助けてくれるツールになって欲しかったのに、皮肉なことにぼくたちはこのツールをぼくたちの生活の人間らしさの部分に使ってしまっている。それはぼくたちの仕事を奪うことにもなる。ぼくらには自分たちがやるべきことがわかっていないのかもしれない。ぼくたち自身を守るための安全策や規制がまだ整っていない。だから、とても怖くて興味深い時代が待っていると思うね。

最近のアーティストかまたは作品で、シンパシーを抱いている音楽家/作品はありますか?

TB:音楽はよく聴いているけど、とくにだれとはあげられないな。音楽をじゅうぶんに聴いていると突然……ぼくは48歳だけど、すべてがぼやけてくるんだ。(笑)いろんな形でやっていて、いろんな媒体を使っているミュージシャン、コンポーザー、アーティストがぼくは好きなんだよ。それだけに留めておくことにする。

4月にはワンオートリックス・ポイント・ネヴァーのブルックリン公演で前座を務めましたね。最近の彼の音楽についてはどう見ていますか? 『Tranquilizer』は聴きましたか?

TB:彼の新作『Tranquilizer』は、21世紀最高のエレクトロニック・アルバムの部類に入ると思う。とてつもないアルバムだと思うね。あのアルバムはよく聴いたよ。ぼくは彼の音楽のファンだし、とくにあのアルバムは彼にとってだけでなく、エレクトロニック・ミュージック全体にとってきわめて重大な転換点だと思う。

以前あなたはフィリップ・グラスと共演しています。その経験はあなたになにをもたらしましたか?

TB:すばらしい経験だった。彼はすばらしいコンポーザーだからね。彼との共演でいちばん楽しかったのは、どんな経験になるのか、コンポーザーとしての彼の作業の仕方にかんしてぼくが思い描いていた先入観にたいして、とても嬉しい驚きがあって自分が間違っていたことだった。ぼくの予測がネガティヴなものだったわけじゃないけど、ぼくが思い描いていた彼のやり方とあまりにもちがっていたんだ。彼との共演はまったくもってすばらしいものだった。彼はパフォーマーとして、そしてコンポーザーとしてほんとうにすばらしい精神を備えているんで、ぼくはあの経験にすごくインスパイアされ面食らったんだ。あと以前、〈All Tomorrow’s Parties〉というニューヨークのフェスティヴァルにぼくを招いて一緒にパフォーマンスさせてくれた彼にはとても感謝している。

あなたが抜けて以降のバトルズの作品を聴くことはありますか? もしあれば、どういう感想をもちましたか?

TB:聴いたよ。彼らがやったアルバムをチェックした。バトルズはすばらしいバンドだ。バンドの切り口が変わったのを確認できてクールだったよ。すばらしいアルバムをつくっているから、今後も続けてほしいね。

11月の東京での公演を楽しみにしています。来日に向け、メッセージをお願いします。

TB:ぼくはいつも日本でのライヴを大いに楽しんでいると言いたい。つねにすばらしい経験だから、パフォーマンスしてファンに会って、日本で時間を過ごすことをとても楽しみにしている。

Tyondai Braxton
JAPAN TOUR 2026

Support Act: TBC

2026/11/24 (Tue) 草月ホール Sogetsu Hall

質問・序文:小林拓音(2026年8月25日)

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