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Home >  Interviews > interview with MC Kan - ヒップホップ・ドリーム・アゲイン

interview with MC Kan

interview with MC Kan

ヒップホップ・ドリーム・アゲイン

――MC漢、ロング・インタヴュー

二木 信    special thanks to:宇川直宏(DOMMUNE)   Jun 02,2014 UP

組織やグループだったら、ある程度のところまでみんなが潤わないと、誰かが犠牲になることになる。そのあたりで、俺の理想と違うなあっていうところも出てきたわけですね。不安な部分もあるなと。

つまり、そういう背景があって、〈鎖グループ〉を立ち上げようと動きはじめると。

漢:そう。ヒップホップだけで食っていくためにはいろんなところを改善したり、ルールを作らないといけないなと考えるようになったんですよ。独立して、自分のやり方や力を試して、なるべく日本の音楽でアーティストにお金が入るシステムって作れないかと考えた。そのためには、プレイヤーがやるレーベルじゃなきゃ意味がねぇなって考えたわけです。だから、早く〈鎖グループ〉を立ち上げて、軌道に乗せたかったんですけど、俺が独立するとなると、今度は不安がる人たちが増えちゃったんですよ、なぜか。

うーん。

漢:俺は、友だちとか先輩と言うのであれば、自分から問いかけてこないかぎりは信じないスタイルなんですよ。でもそうなると、今度は、「ナメられている」と勘違いしちゃう人も出てくるんですよ。いい歳をして使う言葉じゃないと思うんですけどね、「ナメられている」というのは。

MSCの結束力も揺らいだ?

漢:結束力の前に、そこが崩れることはまずないんです。MSのヘッズのオリジナル・メンバーに関しては、俺が身内社会でなにを言われていようが、風評があろうが、「いや、あいつは最初からそうだから大丈夫でしょ」という感覚なんです。お互いたしかめることもしない。我々は小さいながらも、いろんな形のヤマを乗り越えてきたメンバーだから、そこは大丈夫なんですよ。だけど、それ以上の人間の人数が関わっているので、その影響もある。たとえば、警察だったり、黒い世界の人たちだったり、井戸端会議の勝手な憶測で、そういう名前が浮上して、ぜんぶが俺のせいになるのであれば、俺は離れた方がいいじゃないですか。そういう話になったんですよ、〈ライブラ〉で。だから、まあ俺にも氷河期っていうのがあるんですよ。

氷河期なんてあったんですか!?

漢:ありますよ、ビックリすることに。簡単に言ったら、〈鎖グループ〉を立ち上げて、まずCDを一枚出して、出せなかった曲も出した。で、そのときに俺が予想していた一年から一年半よりももっと早く、半年という期間で〈鎖グループ〉の当時のメンバーとかアーティストたちはいちど散った感じですよね。散ったとしても戻ってくるんだろうなっていうのはわかっていますけど、いまの〈鎖グループ〉は、MASTERとDJ 琥珀と自分の3人がメンバーなんです。俺の氷河期のころのちょっと聞いたことがないおもしろい話をひとつしようか。いまはカタカタ(キーボードをタイプするしぐさ)の時代でしょ。

それ、インターネットのことですか?

漢:はい。駐車場を〈鎖グループ〉の会社名義で借りようとしたら、審査に落ちましたよ。駐車場の審査に落ちるなんて話は、俺はいっさい聞いたことがありませんよ、知り合いの不動産屋に聞いても。銀行系もギリでしたね。

えぇぇ。

漢:はい、ギリでした。そういう氷河期のときに、なるべく俺に暖房をあててくれたのがMASTERだったり、DJ琥珀がすげぇ優しくケツを叩いてくれたり、このふたりがいたから、〈鎖グループ〉は氷河期を越えることができましたよ。その当時、D.Oの曲がグッサリ刺さっちゃって。

どの曲ですか?

漢:「みんな俺に大丈夫か? って訊くが/みんなは逆に大丈夫か?」(“I'm Back”のD.Oのラップの真似をしながら)ってリリックに、「うわーっ」ってなっちゃって。

(会場大爆笑)

アハハハハハッ。

漢:まさに俺に「大丈夫か?」って訊いてくる「おめぇが大丈夫か?」って話だったんですよ、当時は。それを俺に言わせんなよって。だから、俺もひとりずつメンバーを呼んで、「俺は〈鎖グループ〉をやるから」と宣言したんですよ。


いち早く、若いうちにがっつりメイクできるのが、ヒップホップのひとつのドリームじゃないですか。そっから失敗しようが、成功しようが、そういう夢があるのがヒップホップだから。

こういう言い方も陳腐かもしれませんが、一世一代の勝負だったと。

漢:お笑いの世界とかをバカにしているわけじゃないけど、日本ルールで「30になってから売れる」とか「男は30から」とか、そういうのはヒップホップじゃないと俺は思っている。いち早く、若いうちにがっつりメイクできるのが、ヒップホップのひとつのドリームじゃないですか。そっから失敗しようが、成功しようが、そういう夢があるのがヒップホップだから。音楽を作って出して、もらえるもんはもらう、それで、見る夢は見る。そうじゃないと、モチヴェーションがなくなっちゃうでしょ。だから、〈鎖グループ〉を立ち上げたんです。俺もこれまで吐いたツバは多少、三口、四口飲んだことはラップやっているからあるかもしれないけど、たとえば、夏だからって、吐いたツバをキンキンに冷やしたジョッキでガブ飲みするようなことはしませんよ。

アハハハハ。

漢:そんな吐き気がするようなことはしないし、したくない。ただ、さすがに氷河期のころは、そこまであからさまにガブ飲みするような現象が起きるのかもしれないってところまで行った。だけど、もう氷河期を越えることができました。

最後に、今後のMC漢と〈鎖グループ〉の野望について訊かせてください。

漢:お互いがちょっとでも理にかなっていたり、おもしろい曲ができたり、意外とこういう人らがつながって、こういう曲になるんだとか、いまの日本で物足んなかったヒップホップやスタイルを提示していきたいと思っているね。さっきも言ったけど、「縦でもない横でもない斜め社会」で、タテノリ、ヨコノリよりも、35歳でいまだにワルノリで、ブリブリになれればいいなって感じですよ。俺の場合はやっぱりヒップホップだから、正式契約書にサインして、その場で楽曲を発表する契約公開を次はやりたいと考えていますね。宇川さん次第ですけど、できればドミューンで第2回めの放送もやらせてもらいたいなと。〈鎖グループ〉で俺がやろうとしているヒップホップ・ドリームは実現できると思っているんで。そうしたら、もっと威張りクサリますよ。

■2014年6月4日(水)

19:00~21:00 「BLACK SWAN presents THE SHO a.k.a. 佐藤将~ある日本語ラップ狂の唄~」

出演:DARTHREIDER(BLACK SWAN)、TONY BOY、黒鳥 司会:二木信

21:00~24:00 「9SARI OFFICE presents 鎖グループ&BLACK SWAN公開記者会見&SPECIAL LIVE!!!」

出演:MC漢(鎖グループ)、DARTHREIDER(BLACK SWAN)、MASTER(鎖グループ)、鎖グループ&BLACK SWAN契約アーティスト8、9組 司会:二木信

DJ:琥珀(鎖グループ)、KOPERO(BROTHER'S MACHINEGUN FUNK) & MORE!!!

DOMMUNE前回放送で話題が爆裂したMC漢率いる鎖グループ。社内別LABEL 〈BLACK SWAN〉の代表にDARTHREIDERを向かえ、新体制でついに始動! 前半は、〈BLACK SWAN〉前代表、故佐藤将氏の功績を辿る、佐藤将追悼特集「THE SHO a.k.a. 佐藤将~ある日本語ラップ狂の唄~」。後半は、公開記者会見を放送しレーベル構想を一気に語りまくります。メディアを呼び込み、それぞれが報道する新しい情報発信の形を提示します。所属アーティストとの公開契約、アーティストライヴ、質疑応答など内容は盛りだくさん。さらに、MC漢による爆弾発言のコーナーも……? 何が起こるのか……。間違いなく想定外な2時間! 今年、もっとも見逃し厳禁なHIPHOP放送!

www.dommune.com

取材/本文構成:二木信(2014年6月02日)

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Profile

二木 信二木 信/Shin Futatsugi
1981年生まれ。音楽ライター。共編著に『素人の乱』、共著に『ゼロ年代の音楽』(共に河出書房新社)など。2013年、ゼロ年代以降の日本のヒップホップ/ラップをドキュメントした単行本『しくじるなよ、ルーディ』を刊行。漢 a.k.a. GAMI著『ヒップホップ・ドリーム』(河出書房新社/2015年)の企画・構成を担当。

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