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interview with Lone

interview with Lone

孤独な男のビート

──ローン、インタヴュー

高橋勇人    通訳:原口美穂   Jun 13,2014 UP

影響を受けたアーティストっていうのは、ボーナスみたいなものなんだよ。ボーズ・オブ・カナダも他のアーティストに影響は受けているだろうけど、彼らは彼らのやるべきことをやってるわけだからね。自分で自分の曲を作るっていうのがまず前提。


Lone
Reality Testing

R&S RECORDS / ビート

AbstractIDMHip Hop

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あなたはノッティンガム出身ですが、生まれ育った街でどのようにしてクラブ・ミュージックと出会ったのですか?

ローン:10代の頃、ヒップホップのイヴェントがあったらから、そこに行くようになったんだ。クラブ・シーンとはまた違うけど、そこで街に来たお気に入りのDJがプレイするのを聴いていたよ。オウテカとかスクエア・プッシャーみたいな、後々までインスピレーションを受けるアーティストたちもたくさん来ていたね。それがクラブ・ミュージックを体感した最初の経験なんだ。

10代の頃に〈ワープ〉のミュージシャンに大きな影響を受けたそうですが、なぜその音楽に惹き付けられたのですか?

ローン:〈ワープ〉の作品の魅力は、ジャンルが定まっていないこと。他にはない新しい音楽を常に作り出していると思う。そこがエキサイティングだ。ルールに制限されてないしね。テクノのレコードを聴けばどのアーティストでもテクノに聴こえてしまうけど、例えばボーズ・オブ・カナダなんかのレコードは他と全然違う。そこがすごく面白くて、どんどんハマっていったんだよ。

大きな影響を受けたミュージシャンに、あなたはマッドリブや、いま言ったようにボーズ・オブ・カナダを挙げていますが、彼らの音楽は現在のあなたにどんな影響を与えていますか?

ローン:いまは正直どう影響を受けてるかはわからない。いまはもっといろいろな音楽に影響を受けてるからね。もちろん、彼らの初期の音楽には衝撃を受けたのは事実だ。僕の活動の基盤を作ってくれたアーティストたちだということに変わりはない。だから、いまも直接的ではなくても影響は受けてるかもしれないね。
 でも、ずっと同じものから影響を受けていると、退屈してしまうんだ。そうすると、音楽がダメになってしまうと思う。自分をハッピーにするものを作らないとね。彼らも自分たちで音楽を作っているし、僕もそこに影響を受けて曲を作り始めた。影響を受けたアーティストっていうのは、ボーナスみたいなものなんだよ。ボーズ・オブ・カナダも他のアーティストに影響は受けているだろうけど、彼らは彼らのやるべきことをやってるわけだからね。自分で自分の曲を作るっていうのがまず前提。僕が作ろうとしているものもそれと同じなんだ。

それではあなたが音楽を作るようになったきっかけを教えて下さい。

ローン:最初は9か10歳くらいだったと思う。古いレイヴ・ミュージックなんかを聴いていて、自分が最初に気に入った音楽がそういうジャンルだった。自分で言うのもなんだけど、クリエイティヴな子供だったから、自然にそういう音楽の自分のヴァージョンを作りはじめた。テープレコーダーしかなくて、最悪の環境だったけどね(笑)。それから15歳くらいでコンピュータを買ってもっと真剣にやりはじめたんだ。もっと曲作りに興味を持つようになって、自分の世界にどっぷりつかってキーボードを弾いたりするようになった。そんな流れかな。

ノッティンガムからマンチェスターへ引っ越したことは、あなたのキャリアにどう影響を与えましたか?

ローン:たくさんの人に出会ったことは変化のひとつだった。クラブにも行くようになって、自分がクラブで聴きたいと思う音楽を作るようになったっていうのも影響のひとつだね。でも、それ以外はあまり変わってないんだ。家にいてヘッドフォンをつけている分にはどこにいたって同じだからね。


ルーク・ヴァイバートだね。彼がエイフェックスツインとDJしているのを見たんだ。それは自分が行った最初のフェスでのことだから、2002年だと思う。彼らはジャングルやヒップホップをプレイしていて、テクノもたくさんかかっていて、僕が大好きな音楽だらけのセットだったんだ。

日本であなたの人気のきっかけになった作品は2009年発表の『エクスタシー&フレンズ』でした。国によって、あなたの音楽の受け入られ方にどのような違いがありますか?

ローン:違うとは思うけどあまり直接意見は聞かないから、あくまでも現場で自分が感じる範囲での話だけど、日本ではとくにクリエイティヴなものが好まれているような気がする。そっちのほうが日本っていう場所にも合っているしね。日本の文化や映画もクリエイティヴだし。だから、僕の音楽のような作品は日本では受け入れてもらいやすいのかも。

あなたのアルバムのジャケットのアート・ワークはとても刺激的です。『エメラルド・ファンタジー・トラックス』のジャケットのような時間を忘れてしまうような美しい写真を使ったものから、今作の現実と夢の世界が入り交じった抽象的なものまであり、音楽を聴かずともあらゆるイメージが伝わってきます。あなたの作品にとって、ジャケットはどう重要なのでしょうか?

ローン:ジャケットやアートワークは音楽と同じくらい重要なものだ。レコードを聴くときも、僕はいつもアートワークを見る。良いレコードっていうのは、音楽とアートワークのふたつが繋がっていると思うんだ。相乗効果で、それぞれがより良く感じられる。アートワークとの繋がりが強い方が、音楽もより良く聴こえると思うしね。
 だから、自分のレコードでは毎回その繋がりをかかさないようにしているんだ。僕自身のレコードの楽しみ方は、音を聴きながら、またはその後でジャケットやなかのスリーブを見ること。そのアートワークに情報がつまっていたりもするから音楽とアートワークとの繋がりは本当に大切だと思うよ。

ライブセットよりもDJセットを披露することが多いそうですが、なぜ自身を表現する手段としてDJを選んだのですか?

ローン:エレクトロのライブってめちゃくちゃつまらないと思うんだ(笑)。ひとりの人間がコンピュータの後ろに立っているだけだろ? 今年は僕もライヴをするけど、DJの方は音楽に焦点があたっているから好きなんだ。プレイする人間はメインじゃないし、DJがやるべきことは音楽を皆のために選ぶこと。そっちの方がパソコンの後ろに立っているより楽しいんだ。

では自分のライブをやる時は、どうやってオーディエンスを楽しませることが出来ると思いますか?

ローン:まだあまり経験がないから何とも言えないんだけど、アートワークを担当してくれたトム・スコールフィールドにステージへ来てもらおうかと思っているんだ。ビジュアルを取り入れるっていうのが今考えている次のステップかな。ビジュアルの要素があれば、人が見に来る意味が出来ると思うから。

前回のボイラー・ルームでの自身の曲にDJ スピナなどのヒップホップを混ぜ合わせたDJセットが印象的でしたが、現在はどのようなセットでDJをすることが多いですか?

ローン:自分が音楽を作る上で影響を受けた音楽をたくさん流しているよ。でもあまりヒップホップはプレイしないんだ。みんなクラブへダンスをしに来ている場合が多いからね。だからテクノやハウスをプレイすることが多いかな。あと、もちろんそれに影響を受けた自分の音楽もプレイする。あとはセット全体が楽しいことを心がけていて、あんまりシリアスなDJセットはやらないんだよね。

いままでの人生で最高のセットを披露したDJは誰ですか?

ローン:そうだな……。たぶんルーク・ヴァイバートだね。彼がエイフェックスツインとDJしているのを見たんだ。それは自分が行った最初のフェスでのことだから、2002年だと思う。彼らはジャングルやヒップホップをプレイしていて、テクノもたくさんかかっていて、僕が大好きな音楽だらけのセットだった。当時16歳だったから、年齢もあってそういう音楽を探求するのがめちゃくちゃ楽しかったんだよね。サウンドシステムでジャングルみたいな音楽を聴くのは初めてだったから、「ワーオ! 超クレイジーだな!」って感激したんだ(笑)。

あなたのレーベルである〈マジック・ワイヤー・レコーディングス〉の最後のリリースは2012年でしたが、今後のリリースの予定はあるのでしょうか?

ローン:今実はそれに向けてイタリアの若いプロデューサーと一緒に作業しているところなんだ。僕の活動やツアーで忙しかったからなかなか進められてなかった。でもそれが落ち着いたら、今年と来年はもっと新しいアーティストのレコードをたくさんリリースしたいと思っているよ。

最後に次回作をリリースするまでの計画があれば教えて下さい。

ローン:まずはライブだね。今年はツアーでいろいろ回るんだ。でもすぐに次のレコードを作りたいね。ビートのないアンビエント作品っていうのがいま考えているプランで、ドラムの音のない美しいものを作りたいと思っているんだ。どうなるかわからないけど、とりあえずトライしてみて様子を見てみるよ。これから数週間はロンドンへの引っ越しでバタバタするだろうけど、スタジオを見つけ次第、たぶん来月くらいには作業を始められるんじゃないかな。

なるほど。ありがとうございました。

ローン:こちらこそ。また次回日本に行けるのを楽しみにしているよ!

取材:高橋勇人(2014年6月13日)

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Profile

髙橋勇人(たかはし はやと)髙橋勇人(たかはし はやと)
1990年、静岡県浜松市生まれ。ロンドン在住。音楽ライター。電子音楽や思想について『ele-king』や『現代思想』などに寄稿。

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