「ADS」と一致するもの

GEIST - ele-king

 昨年出た YPY 名義のアルバムも記憶に新しい日野浩志郎。バンド goat の牽引者でもある彼が2015年より続けている大所帯のオーケストラ・プロジェクトをさらに発展させた公演が、3月17日と18日、大阪の名村造船所 BLACK CHAMBER にて開催される。イベント名は《GEIST(ガイスト)》。マルチチャンネルを用いた音響により、空間全体を使って曲を体験できる公演となるそうだ。ローレル・ヘイロー最新作への参加も話題となったイーライ・ケスラー、カフカ鼾などでの活動で知られる山本達久らも出演。詳細はこちらから。

GEIST

Virginal Variations で電子音と生楽器の新たなあり方を提示した日野浩志郎(goat、YPY)の新プロジェクトは、自然音と人工音がいっそう響き合い光と音が呼応、多スピーカー採用により観客を未知なる音楽体験へと導く全身聴取ライヴ……字は“Geist

島根の実家は自然豊かな場所にあって、いまは、雨が降っている。その一粒一粒が地面を叩く音をそれぞれ聞き分けることはもちろんできないから、広がりのある「サー」という音を茫と聞く。やがて雨があがり陽が射すと、鳥や虫の声が聞こえてくる。家の前の、山に繋がる小さな道を登っていけば、キリキリキリ、コンコン、と虫の音がはっきりしてくる。好奇心をそそられ、ある葉叢に近づくと音のディテイルがより明瞭に分かる。さらに、たくさんのほかの虫の声や頭上の風巻き、鳥の声、葉擦れ衣擦れなどを耳で遊弋し、小さな音を愛でる自分の〈繊細な感覚〉に満足、俄然興が乗り吟行でもせんかな、いや、ふと我に返る。と、それまで別々に聞いていた音が渾然となって耳朶を打っていることに気づきなおしてぼう然する。小さな音が合わさって、急に山鳴りのように感じる。……。「〈繊細な感覚〉なんてずいぶんいい加減なものだ」と醒めて、ぬかるんだ山道で踵を返す。きっと、あの時すでに“Geist”に肩を叩かれていたのだ――。

【日時】
2018年 3月17日(土)
昼公演 開場:13:30 開演:14:00
夜公演 開場:19:00 開演:19:30

2018年 3月18日(日)
昼公演 開場:13:30 開演:14:00
夜公演 開場:19:00 開演:19:30

【会場】
クリエイティブセンター大阪(名村造船所跡地) BLACK CHAMBER
〒559-0011 大阪市住之江区北加賀屋4-1-55
大阪市営地下鉄四つ橋線 北加賀屋駅4番出口より徒歩10 分
https://www.namura.cc

【料金】
前売り2500円 当⽇3000円

【ウェブサイト】
https://www.hino-projects.com/geist

【作曲】
日野浩志郎

【出演者】
Eli Keszler
山本達久
川端稔 (*17日のみ出演)
中川裕貴
安藤暁彦
島田孝之
中尾眞佐子
石原只寛
亀井奈穂子
淸造理英子
横山祥子
大谷滉
荒木優光

【スタッフ】
舞台監督 大鹿展明
照明 筆谷亮也
美術 OLEO
音響 西川文章
プロデューサー 山崎なし
制作 吉岡友里

【助成】
おおさか創造千島財団

【予約方法】
お名前、メールアドレス、希望公演、人数を記載したメールを hino-projects@gmail.com まで送信ください。またはホームページ上のご予約フォームからも承っております。

【プロフィール】

日野浩志郎
1985年生まれ島根出身。カセットテープ・レーベル〈birdFriend〉主宰。弦楽器も打楽器としてみなし、複合的なリズムの探求を行う goat、bonanzas というバンドのコンポーザー兼プレイヤーとしての活動や、YPY 名義での実験的電子音楽のソロ活動を行う。ヨーロッパを中心に年に数度の海外ツアーを行っており、国内外から様々な作品をリリースをしている。近年では、クラシック楽器や電子音を融合させたハイブリッドな大編成プロジェクト「Virginal Variations」を開始。

Eli Keszler
Eli Keszler(イーライ・ケスラー)はニューヨークを拠点とするアーティスト/作曲家/パーカッション奏者。音楽作品のみならず、インスタレーションやビジュアルアート作品を手がける彼の多岐に渡る活動は、これまでに Lincoln Center や The Kitchen、MoMa PS1、Victoria & Albert Museum など主に欧米で発表され、注目を浴びてきた。〈Empty Editions〉や〈ESP Disk〉、〈PAN〉、そして自身のレーベル〈REL records〉からソロ作品をリリース。ニューイングランド音楽院を卒業し、オーケストラから依頼を受け楽曲を提供するなど作曲家としても高い評価を得る一方で、最近では Rashad Becker や Laurel Halo とのコラボレーションも記憶に新しく、奏者としても独自の色を放ち続けている。

山本達久
1982年10月25日生。2007年まで地元⼭⼝県防府市 bar 印度洋を拠点に、様々な音楽活動と並行して様々なイベントのオーガナイズをするなど精⼒的に活動し、基本となる音楽観、人生観などの礎を築く。現在では、ソロや即興演奏を軸に、Jim O'Rourke/石橋英子/須藤俊明との様々な活動をはじめ、カフカ鼾、石橋英子ともう死んだ⼈たち、坂田明と梵人譚、プラマイゼロ、オハナミ、NATSUMEN、石原洋withFRIENDS などのバンド活動多数。ex. 芸害。青葉市子、UA、カヒミ・カリィ、木村カエラ、柴田聡子、七尾旅人、長谷川健⼀、phew、前野健太、ヤマジカズヒデ、山本精⼀、Gofish など歌手の録音、ライヴ・サポート多数。演劇の生伴奏・音楽担当として、SWANNY、マームとジプシーなど、主に都内を中心に活動。2011 年、ロンドンのバービカン・センターにソロ・パフォーマンスとして招聘されるなど、海外公演、録音物も多数。


Event details - English -

Following “Virginal Variations”, a project which explored a new way of merging electronic and acoustic sounds, Koshiro Hino (from goat and YPY) presents his latest composition, titled “Geist”. Set in an immersive environment with interacting sounds and lightings, “Geist” invites audience to a new world of live music experience which people listen sounds with their whole body.

My home in Shimane is located in a nature-rich environment, and now, it’s raining outside. Needless to say, I cannot hear each of the raindrops hitting the ground, so I hear the rain’s “zaaaaa” sound that spreads in space. Soon after, the rains stopped and sunshine began to pour, and I started to hear the sounds of birds and insects. As I walk up the small path that connects from my home to the mountain, those insects’ buzzing and creaking sounds became more clear. As I get closer to the trees, the sound details became more distinct. With my ears, I observed closely a myriad of sounds from other insects, the wind blowing above, birds, rustling leaves and my own clothing. I enjoyed my ‘delicate sensibility’ that appreciates those little sounds, thinking, “Maybe I suddenly get excited and start composing a poem…” But soon later, I came back to myself. And suddenly, I got stunned, realizing that the sounds I heard separately now forms a harmonious whole and hits my ears. Those little sounds became one, and I hear it as if the mountain is rumbling... “The ‘delicate sensibility’ is so unreliable. “ I recalled myself and walked back the muddy path. — And by then, I now believe that I had already made my encounter with “Geist”.

[Date / Time]
Saturday, March 17, 2018
Day time performance Open: 13:30 Start: 14:00
Night time performance Open: 19:00 Start: 19:30

Sunday, March 18, 2018
Day time performance Open: 13:30 Start: 14:00
Night time performance Open: 19:00 Start: 19:30

[Venue]
Creative Center Osaka (Old Namura Ship Yard) BLACK CHAMBER
4-1-55, Kitakagaya, Suminoe Ward, Osaka City, Osaka 559-0011
https://www.namura.cc

[Price]
Advanced ¥2500 Door ¥3000

[Website]
https://www.hino-projects.com/geist

[Composed by]
Koshiro Hino

[Performers]
Eli Keszler
Tatsuhisa Yamamoto
Minoru Kawabata (*only on the 17th)
Yuuki Nakagawa
Akihiko Ando
Takayuki Shimada
Masako Nakao
Tadahiro Ishihara
Nahoko Kamei
Rieko Seizo
Shoko Yokoyama
Koh Otani
Masamitsu Araki

[Staff]
Stage direction - Nobuaki Oshika
Lighting design - Ryoya Fudetani
Stage art - OLEO
Sound engineering - Bunsho Nishikawa
Co-direction - Nashi Yamazaki
Production - Yuri Yoshioka

[Supported by]
Chishima Foundation for Creative Osaka

[Reservation]
To reserve your seat(s), please send an email to hino-projects@gmail.com with your name, your contact, number of people, and the performance date you wish to visit.

Loke Rahbek, Frederik Valentin - ele-king

 ありきたりなミニマル・ミュージックを再利用すること。もしくは古い電子音楽をリサイクルすること。さらにはパンクとオルタナティヴを新しいモードに転換すること。つまりはエクスペリメンタル・ミュージックを再定義すること。「今」を再定義し続けること。
 コペンハーゲンでオルタナティヴ/エクスペリメンタル・ミュージック・レーベル〈Posh Isolation〉を主宰するローク・ラーベクの作品と活動には、そのような意志を強く感じてしまう。1989年生まれの彼にとって「歴史」とは、もはや利用可能な残骸に近いものかもしれず、重要なのは新しいモードを生み出すことに尽きるのではないか。われわれはそこにこそ新世代の意志を感じるべきなのだ。
 インターネット以降、「情報」はかつて以上にフラット化したわけだが、それは「歴史」が使用可能な参照領域になったことと同義である。そのような環境においては90年代的な元ネタ=引用的なサンプリングの手つきは既に過去の手法になった。過去と現在の境界線が無効になり、「知ったうえでの引用」が意味をなさなくなったわけである。
 つまり、この「今」という時代は、「この時代を生きる」という運命論的な有限性を獲得するために、常に一回限りの賽子の一振りのような「賭け」のごときアクチュアルな身振りが生の条件となっている。それを新自由主義的社会的な生き方と批判するのは容易いが、むしろ歴史が生んでしまった巨大な「外部=敵」を常に意識し、自らの生を定義しなければならない「緊張」の世代・時代というべきではないか。大きくいえばテロリズムの時代なのだ。「テロ」は人生を剥奪する。そんな「世界」によって根こそぎ剥奪された生の回復が、今の若い世代にとって生きるための至上命題かもしれず、その結果、「継承的な歴史」という概念は「死んだコンテンツ」に近しいものになった。だからといって歴史が死んだわけではない。
 故に新しい音楽を生みだす「彼ら」の音楽が、仮に過去の何かに似ていようと、それをもってして過去の「引用」と関連付けて述べることには注意が必要である。彼らは生を刻印する自らの血=個のような音楽/音響を希求しているだけなのだ。「世界=外部」という巨大な「敵」に、人生を根こそぎ剥奪されないために、だ。そう、2017年以降、終っていないものは(やはり)パンクとオルタナティヴであり、反抗という精神性と美への感性である。だからこそエクスペリメンタルは今、ロマン主義的な様相を纏っているのだ。現在、「ニューロマンティック」という言葉は、このような意味に再定義されるべきだろう。

 2017年、ローク・ラーベクは〈Editions Mego〉からソロ作『City Of Women』と、キーボード奏者フレデリック・ヴァレンティンとのコラボレーション作『Buy Corals Online』の2作をリリースした。この2作もまた音楽的エレメントが複雑に交錯しながらも、残骸となった過去の音楽的コンテクストをリサイクルすることで、そこに自らの血=個を刻印した美しい電子音楽ミニマル・ノイズ作品となっている。ラーベクは、2017年に Christian Stadsgaard とのユニット Damien Dubrovnik の新作『Great Many Arrows』をリリースし、また Croatian Amor 名義や Body Sculptures でも活動しおり、どちらも2016年にアルバムをリリースしているが、これもまた〈Editions Mego〉の2作と同じく強い「殺気」を持ったエレガントな電子音楽/テクノ/ノイズに仕上がっていた。「生もの」と「花」に託されたセクシュアルなムードも濃厚であり、血と性の交差のごときエクスペリメンタル・サウンドになっている。
 私見だがこれらを含む〈Posh Isolation〉の作品を聴いたとき、これこそ新しいユースが生みだしたエクスペリメンタル・ミュージックと強い衝撃を受けたものだ。「抵抗」の意志が、美しい音像を生み、その音像には実験音楽のエレメントをあえて盗用するように剥奪することで、不思議な色気すら醸し出していたからだ。
 このフレデリック・ヴァレンティンとの新作『Buy Corals Online』も同様である。電子音、ドローン、環境音、ミニマル、クラシカルな要素などいくつもの音楽性が交錯したエクレクティックなサウンドであり、ときに70年代的な電子音楽(クラスターやハルモニア?)を思わせる音だが、そのことを彼らがどこまで意識しているかは分からず、つまりはあくまで「手法」として援用したに過ぎず、彼らが実現したかったのは実験性に託されたある種の壊れそうなまでに攻撃的で繊細な血の匂いのするような美意識なのかもしれない。そう、この音楽/音響には、身を切るような悲痛さ、血の匂い、エモーショナルな感覚があるのだ。そこにロマン主義的ともいえる「個」の存在も強く感じもする。

 彼らは「個」という存在を、音楽の、ノイズの、棘の中に封じ込めようとしている。私見だがそれこそゼロ年代におけるティム・ヘッカーのアンビエント・ノイズ・後継とでもいうべきものであり、「ゼロ年代という歴史のゼロ地点以降の音楽」に思える。かつて「ロック」という音楽が持ち得ていた雑食性と個の拡張と歴史の無化という側面を兼ね備えているのだ。

 ローク・ラーベクは〈Editions Mego〉からのリリース2作では70年代的な電子音の音像と、どこかフィリップ・グラス的なミニマル・ミュージックのムードを勝手に借用/再利用することで自ら=個の実存をノイズに封じ込めた。残骸と化した歴史をハックし、新しいジェネレーションの音楽/音響を生成しようとしている。私などはその方法論の発露に「OPN以降のエクスペリメンタル・ミュージック」のニューモードを強く感じてしまうのだ。いわば残骸のリサイクル。そこでは(さらにもう一周まわって)90年代と00年代という「歴史以降」の世界を生きるノイズ/オルタナティヴ・アーティスト特有の「継承」がなされているようにも思える。

 唐突だがここで「ロック」の歴史を終わらせ、すべてを「ノイズ」の渦に消失させたメルツバウを、あえてローク・ラーベクと接続してみてはどうだろうか。歴史とは、もろもろの事実の継承(だけ)ではない。ノイズとは、音とは、結局のところ事実=歴史を消失するものである。いつの時代も若い世代は、それを本能的に理解しているのだ。

ばぶちゃん - ele-king

 ばぶちゃんは謎のアーティストだ。
 発言は赤ちゃんことば。表記はひらがなに統一され、Twitterでは「だぁだ」や「ばぶばぶ」などのつぶやきで埋め尽くされている。『初音ミク10周年--ボーカロイド音楽の深化と拡張』に掲載されている対談での発言の数々を読んでいただければ、その異質さをしかと感じられるだろう。
 ばぶちゃんが活動しはじめたのは2011年初頭からだ。今でこそ主に初音ミクなどのボーカロイドを用いた作品を公開しているが、活動初期にSoundCloudに投稿された作品はインストが中心だった。ピアノやノイズ、赤ちゃんの泣き声などをいびつに組み合わせ、非現実的で夢うつつな風景を描いている。“ままがやさしくつつみこんでくれるでちゅ”や“ぱぱがしらないばしょにつれてってくれたでちゅ”などは最たる例で、いずれも不安感を煽ってくる作品だ。

 それからまもなくして、初音ミクがヴォーカルとして歌う作品を公開。初期の作品を集めた1stアルバム『はじまりのおわり』は退廃的な美しさをもつエレクトロニカ、ノイズ・ミュージックが主体となっており、初音ミクの無垢な歌声が強烈に印象を残している。
 続く2ndアルバム『おわりのはじまり』は、『はじまりのおわり』と対の作品となっているのか、一変して狂気的で残酷な作風になっている。これまでのノイズやピアノを軸としたエレクトロニカは存在しつつも、ダブやブレイクコアなど攻撃的な音がおそってくる。初音ミクの歌声も強烈に歪み、異常な音となって耳に入り込んでくる。『はじまりのおわり』が心地よい夢だとすれば、『おわりのはじまり』は悪夢といった趣きだ。
 ばぶちゃんは夢や悪夢のような壮大な空間を描いているが、夢であるが故に閉鎖的でもある。そしてばぶちゃんは夢を通して、悲しんだり、怒ったり、絶望したりしている人たちと対話し、癒やそうとしているのだ。

 そして、そうした夢を集めて作ったものが最新アルバムの『Babuland』で描かれている。テーマとしているのは遊園地だ。上記の1stと2ndに加えて病気をテーマにした3rdアルバム『みんなのびょうき』は夢を通して対話する、癒やすという個人に向けた作品であるため、場所を挙げるとするならばベッドが適当であろう。そうした3作とは打って変わって、本作では遊園地という大勢の人が集まる場所を挙げている。夢を通してばぶちゃんの世界へ遊びに行く、そしてばぶちゃんは夢を通して癒やすという関係は変わらないが、遊園地という場所にすることで第3者の存在を匂わせている。対象が個人からマスへと変化したためか、本作はポップな曲も多い。“ばぶらんど”や“ばぶぱれーど”は園内のショーでも流れていそうなメロディだ。だがポップといってもノイズや強烈なダブを入れたり、不気味で狂気的な表現がもちろん混在しているところは揺るがない。

 また、遊園地のキャストのように、今作でははじめて客演を迎えている。Miliのmomocashewは園内アナウンスを担当し、“ブロークン・トイ・マニア”ではきくおの“物をぱらぱら壊す”のフレーズを引用している。トラップのビートを敷いたATOLSとの“死ニ願イヲ”や廻転楕円体との“糞ったれた世界”など、交流の深い人たちも参加しており、来園者を楽しませるために強力な陣を敷いているのも注目したい。

 ばぶちゃんは本作のリリースを皮切りに全国でライヴ・ツアーを開催している。これまで表に出ることは少なかったが、『Babuland』の影響もあり露出が増えている。しかしながら、いまだに正体は明かされていない。だが謎な存在・赤ちゃんだからこそ、色眼鏡なしに作品と向き合えるのかもしれない。


Levon Vincent - ele-king

 NYのテクノ・プロデューサー/DJのレヴォン・ヴィンセントが自身のセカンド・アルバム『For Paris』を期間限定でフリーDL公開すると発表した。ヴィンセントは、2015年に起きたパリのテロ事件の直後、facebookにおいて(ニューヨーカーの彼にしたら)ポケットナイフ持って自衛するのが当たり前のような好戦的なコメントを寄せたことで炎上した。新作は、その発言に対する彼の深い謝罪が込められている。以下、ヴィンセントのコメントとリンク先。

「友人の皆さんへ、セカンドアルバム“For Paris”をリリースすることを発表します。

 まず、お詫びをすることの準備に時間がかかりすぎたことに謝りたい。私は100%の完成ではないと何かをしたくなかったのです。皆さんは想像できると思いますが、2015年に私が投稿した最低のコメントの後、何ができるだろうかとたくさんのことを考え、反省しました。本当にたくさんのことを考えました。

 ことを慎重に進めたことを皆さんにお伝えしたいです。あの時は完全には理解していませんでした。皆が私のことをふざけたヤツとかテクノ野郎が馬鹿げた曲名を付けたと思われていました。音楽業界は政治的な決まり事がたくさんあるんだと学びました。そのことがきっかけで人間性の新しい方向を探ろうと思いました。何年も世界中を旅して、地元ニューヨークと世界には大きな違いがあることも気付きました。その経験を通して、謝罪の意味を込めて何か世界の人のためになるようなものを作ろうとインスパイアされました。

 私の音楽と、そこにあるメッセージが新しい平和活動の推進力になればいいと願っています。平和について私が学んだことと、混乱する世の中についてもっともインパクトのある言葉とともに音楽に込めたことについて話をしたいと思っています。

 私はたくさんの本を読み続けました。多くを読んでもっと大きな世界観を持つべきだと決意しました。老子の本、マーティン・ルーサー・キングJrの自伝、旧約聖書の詩篇、出エジプト記、マルコムX、パティ・スミス、ガンジーの平和的抵抗、NLPの抑制術、軍事評論家John Robbによって書かれた本、アメリカの平和運動と市民権の時代の興亡、ナチスの心理戦術、禁酒法時代のアメリカについて、戦争の本質、平和について。また瞑想を通して何が起きているのか、革新的なスピリチュアリズムを学んできました。

 その中でジョン・レノンがビートルズの知名度についてコメントして騒動を起こしたことを知りました。彼は自分らを神と比べたのです。彼自身と友人が公にトラブルに巻き込まれてしまった話に惹きつけられました。私自身をジョン・レノンと比較しているのではありません。よく考えずに、言葉を慎重に知的に選ばなかったことが似ていると思ったのです。大きなプラットフォームへ急速に入り込んでいくミュージシャンは盲目的な部分から離れていってしまい、もしこのことを深く知らなければ生活や地位が脅かされていくのです。そしてこの言葉を読みました。“私達が言えることは平和と機会を与えることだ” “全ての人類が想像してみよう・・・”
その時私は泣きました。このことこそが、平和を受け入れること、怒ること無く愛することのコンセプトであり、パニックや恐れのない世界への解答なんだと突然ひらめいたのです。平和こそが答えなのです。なんでもっとうまくやってこれなかったのでしょうか?ジョンとヨーコは彼らの平和のメッセージを広告の形を取ってプロモートしたことを嘲笑われました。彼らはニューヨークのダコタビルに住んでいる時に、この発表のせいでトラブルに巻き込まれてしまいました。最終的にはジョンは殺されてしまうのです。

 考え始めました。平和を広めるコンセプトについて一つの発展的な考えに辿りつきました。テクノというサブカルチャーから自分がこのムーヴメントに何かできるのではないかと思ったのです。もしくはなんでもいいから自分のやり方で世界に平和を加えることができるのではないかと考えました。人は創造と破壊の両方を行えます。私は創造することを選びました。

 平和を広めるにはまだ十分じゃないと気付きました。人の持つ3つの暗黒面という社会病質や病理学についてもっと学ばなくてはいけないと思いました。これは私にとってとても重要な事でした。なぜなら今までの人生で失っていたものや出会わなかった物事を私に気付かせてくれたのです。何千年にも渡って人々が傷つけあってきた行動パターンをなくすにはどうしたらいいのでしょうか?コモディティとしての力、交換や欲しがることなどはよくないことで、力のための競争ではなく、心や精神の中にコモディティとしての知恵を取り入れることに重きを置くにはどうしたらいいのでしょうか?これらのことを考えて、音楽を作りました。若かった頃に人生について楽観的に考えていた頃のアイデアも引っ張り出してきました。
平和を皆で享受するべきだと思います。このことがスタイリッシュでクールなことにしたいのです。私は頑張ってやってみるので、願わくばあなたにもやってもらいたいと思います。文章を書くのは得意ではないですが、無意識に共鳴してもらえたらと思います。私は変わった方法で学びましたが決して軽んじることはありません。このことが音楽を通してあなたに反映されることを願います。このアルバムは来週リリースされます。Ericの作品はその翌週です。彼は常に平和的で愛に満ち溢れています。これは一種のキャンペーンで私なりの最大限の努力です。

 パリへの、そしてヨーロッパを始め世界の人々への敬意を示して11月までは何もリリースしません。12月には4枚のレコードでこのアルバムをリリースします。中身は少し異なっていて、自作のアートワークが付いています。愚かで洗練さの欠けた私のコメントを通して個人的に学んだことについて謝罪と行動を取り続けていきます。

 この音楽を気に入って、何かを掴んでもらえたらうれしいです。これはPRではありません。これは本心です。この経験を通して学んだことに感謝しています。私の心と精神をこのアルバムに込めました。皆さんにこのアルバムを共有することを楽しみにしています。そして全てに対して申し訳なかったと謝罪します。

 愛をこめて、世界の平和を祈っています。」Levon Vincent

interview with Takuma Watanabe - ele-king


渡邊琢磨
ブランク

Inpartmaint Inc.

Ambient

Amazon Tower HMV disk union

 『ブランク』にもその音源を収録する染谷将太監督の短編映画『シミラー バット ディファレント』をはじめて目にしたのは2014年、〈水戸短編映画祭〉に招かれて渡邊琢磨と壇上で話したとき、短くも他者とのかかわりを繊細にきりとったこの映画を渡邊琢磨の音楽は静謐にいろどっていた。あれから3年、同年のソロ名義の前作『アンシクテット(Ansiktet)』が呼び水になったのか、翌年の冨永昌敬監督の『ローリング』、今年に入ってからは吉田大八監督の『美しい星』など渡邊琢磨は映画音楽をじつによくし、映画と音楽の関係がともすればアニメのそれに似通いがちな昨今の風潮の向こうを張る旺盛な実験精神をしめしてきた。ことに『美しい星』は今年の邦画界でも評判をとったのでご記憶の方もすくなくないにちがいない。内容については本媒体の水越真紀の秀抜な評文にゆずるとして、映画が公開するひと月前あたり、私はぶらぶらしていたとき、渡邊琢磨に近所のまいばすけっとの前でばったり会った。聞けば、これから『美しい星』のサントラのマスタリングなのだという。私は渡邊琢磨の音楽を聴くのは、まいばすけっとに行くことの数億倍は楽しみにしているが、はたして『美しい星』のサントラは期待をうわまわる出来映えだった。さらに間を置かず、新作『ブランク』を手にするとなるとよろこびもひとしおである。またこのアルバムは前作からつづくサイクルをいったん閉じるものであり渡邊琢磨にとっての映画と音楽の在り方の回答のひとつでもある。
 毎度ながら、対話は個別具体的な作家評はもとより近況報告まで、多岐かつ長時間にわたった。渡邊琢磨の音楽から現状を透かし見れば話題は尽きない。おそらく坂本龍一とダニエル・ロパティンの試みをおなじ視野におさめられるのは彼をおいてほかにいない。
 どういうことか、みなさんが目にしている印象的なジャケット写真を撮影したその日、ぐずついた日々の幕間のような熱暑にみまわれた東京の渋谷で(映画)音楽家渡邊琢磨に話を訊いた。

映画音楽がおもしろいのも、音楽家個人の作家性の問題にとどまらないからですよ。基本的には映画の演出効果の一環ですし、その点、匿名的なものですが、それでかえって、相関的に音楽がつくられる。

『ブランク』を聴くと、今年の『美しい星』や一昨年の冨永昌敬監督の『ローリング』など、琢磨くんが近年手がけた映画音楽は前作の『アンシクテット(Ansiktet)』(2014年)とひとつながりのように思いました。言い方はわるいかもしれませんが、ひとの土俵で自分のやりたいことをやっていたというか。

渡邊琢磨(以下、渡邊):一面的には、おっしゃる通りです(笑)。牧野(貴)さんの『Origin Of The Dreams』(2016年)もふくめ、付帯音楽の仕事は、僕がつくりたい音楽の実験の場にもなっています。

『アンシクテット』の意味は「顔」で、イングマール・ベルイマンの作品名の引用ですよね。当時すでにそういうことをやっていこうと思っていたと今回あらためて気づいたんですね。

渡邊:あのアルバムの制作を経て、映画監督にサウンドトラックの提案ができるようになりました。低予算でハリウッド映画にひけをとらない音楽がつくれます! というような(笑)。

低予算というのは魅力的だものね。

渡邊:卓録でハリウッドできますよ! というわけです(笑)。とはいえ、計画性があったわけではなく、アルバム制作後、映画音楽の仕事が重なっただけですが。『美しい星』の音楽を担当することになったのも、冨永昌敬監督の『ローリング』をみた(吉田)大八監督が、同作の映画音楽に興味をもったことがきっかけです。

『ローリング』は音楽がながれつづける映画でしたよね。

渡邊:冨永監督は、編集の際に1曲の劇伴を異なるシーンで再利用して、各々の場面や登場人物のエモーションを異化効果的に、重層的にしていく手腕があるのですが、『ローリング』の音楽制作時には、あえて厳密に「ここのTC(タイムコード)から、この位置まで(音楽を)当ててます」という指示書きをつけて完成した曲を送っていました。制作のスケジュールが少々タイトだったので、逆にバタバタとこちらの思惑通りことが運びました(笑)。それが意外に評価いただいた次第です(笑)。

いやよかったですよ。音楽も、映画をひっぱる推進力になっていたし。

渡邊:映画のハイライトあたりに、尋常じゃないテンションの男が電気ドリル片手に主人公を追いかけてくるって、これはもう脚本で読むかぎり、とてもサスペンスフルなシーンのはずですよ! でも、冨永監督が演出した本編シーンをみると、おかしなことに追いかけられてるはずの主人公が切羽詰まってない、なんとなく逃げてる(笑)。音楽家としては大変困ったシーンです(笑)! そこであえてサスペンスに寄せた劇伴、というかこれは冨永監督と私の共通見解で、『ゴッドファーザーⅡ』の暗殺シーンの音楽パロディをつくりまして、それを当てたところ、緊張感を煽る音楽と、滑稽な登場人物たちの挙動のアンバランスさが、さらなる異化効果、なのかすらもわからない不条理な名場面になりまして(笑)。

それが斬新とうけとられると――

渡邊:実際どうなのかわかりませんが(笑)。してやったり、という感じでしょうか(笑)。

『アンシクテット』のとき、お金がないから卓録でオーケストラやるんですよ、と琢磨くんはいっていて、それはそうなんだろうと思いつつ、考えてみればその手法自体が汎用可能な方法になっていたのが、ふりかえって考えるとおどろきでした。きのう『アンシクテット』から『ブランク』をつづけて聴いたんですが、そうすると発見があるんですね。

渡邊:やり方がわかってきて調子に乗ってるのかもしれません(笑)。でもなにがしかの企画や前提条件ありきではなく、自分が聴いてみたい音楽を制約なしでつくることが、結果、映画音楽などの仕事のシミュレーションになってますね。『アンシクテット』をつくっていた時点ではあくまで、映画音楽のようなテクスチャーで自分の音楽をつくる、それで完結でしたから。事後、映画監督との共同作業に派生していったのは、おもしろいながれではありますが。

たとえば往年のハリウッド映画のサントラを卓録でやると聞くと、いかに生の音をPCで再現するかという部分に耳がいきがちですが、それをふくめたサウンド総体に独自性があったんだと『美しい星』のサントラや『ブランク』を聴いて思いました。ところがそれも『アンシクテット』の時点にすでにその萌芽があったということが遡及的に理解できたんですね。

渡邊:シンフォニックな生楽器の響きと、電子音ないしダンストラックなどの機械的な響きの整合性をはかるのは、サンプリング技術などが発達した現代にあっても悩ましい問題です。表層的には異種の音の垣根などなさそうに思えますが、そこには楽曲や音響上の問題だけではなく、ジャンル固有の歴史的文脈や修辞法による先入観もあり、実際、アレンジやミックスの段になると、個々の音の差異に生理的な違和感をもつことが多々あります。とはいえ、その水と油をあえて混ぜる好奇心には抗えませんし、当初から関心がありました。

生楽器なりオーケストラなりと電子音楽をブレンドするのは、だれでも考えつくんですが、ジェフ・ミルズにしろカール・クレイグにしろ、彼らのオリジナル以上になるかといえばそうではないもんね。

渡邊:演奏者と作曲者、または編曲者の関係性にも依拠する問題かと思います。作曲者に明確な音のイメージがあっても、その音をどのように記譜して演奏者に伝えるかを熟慮しなければなりませんし、音符や記号に忠実な演奏をしても、作曲者の意図に沿わない場合もあります。そういう作曲者の苦悩というか、演奏者と作曲者の障壁の解決法として、様々な記譜法が20世紀以降に考案されてきたわけですが、私的には、演奏者の想像力を頼りにするか、もしくは仮想オーケストラでてっとりばやく具体化するか(笑)、いずれにせよ、いろいろハードルがありますね。かといってポスト・クラシカルだとか、そういうサブジャンルに逃げ込むのもイヤですし。

ポストロックはむろんのこと、琢磨くんはジャズにせよ、ラテンやロックでもいいんですが、そういうことの中心にはいかないように気をつけているようにみえるんですが、それは意識的なんですか。

渡邊:結局ラテンといっても、僕の場合〈アメリカン・クラーヴェ〉というか、キップ・ハンラハンですからね(笑)。自分はラテン音楽の当事者にはなりえないですが、周縁からラテンというか、移民、多民族のアンサンブルにアプローチして音楽をつくる、それもある種ラテン的なおもしろさだと思います。ラテン音楽の歴史やなりたちの複雑さを考えると、人種や文化のちがいから生じる摩擦ありきの音楽も、広義の意味でラテンじゃないかと。映画音楽がおもしろいのも、音楽家個人の作家性の問題にとどまらないからですよ。基本的には映画の演出効果の一環ですし、その点、匿名的なものですが、それでかえって、相関的に音楽がつくられる。染谷監督の『ブランク』などは、音楽制作に関しては自己完結してますが、映画の主題ありきですし、ふだん自分ではつくらない音楽がひっぱりだされています。そうした想定外のところにいかないと、なんにせよおもしろくないというのはありますね。

染谷さんの『シミラー バット ディファレント』は、以前琢磨くんが〈水戸短編映画祭〉に呼んでくれたときに上映したのをみましたが、あれがおふたりの最初の共同作業ですよね。

渡邊:そうです、2013年なので『アンシクテット』の1年前。

染谷さんとの出会いはそもそも――

渡邊:冨永昌敬監督の映画『パンドラの匣』(2009年)の打ち上げ会場に、冨永監督に呼ばれてお邪魔したら、たまたま隣の席が染谷くんだった。それがきっかけで一緒に遊ぶようになって。『シミラー バット ディファレント』の音楽を手がけたのは、出会ってからだいぶ時間も経っていて、いちおう僕が音楽担当になってますけど、染谷監督から映画音楽の依頼がきたわけでもなく、「映画音楽ってどうすればいいんですかね……」「そうねぇ……」とかいう相談からはじまったんですよ(笑)。あーだこーだ話しているうちに、面倒になってきて1曲つくって送ったところ、結果的に音楽担当になったような感じです。

自主制作でしたよね。

渡邊:そうです。仕事という感じでもなかったですね。映画によっては、映像に音を当てる前段階から音が聴こえてくるような作品がありますが、染谷監督の映画にも独特のグルーヴのようなものがあって、音楽の方向性は比較的つかみやすいです。もちろん軌道修正が必要になることもありますが。『美しい星』は、少々大変でした(笑)。

吉田監督のどういったところがたいへんだったんですか。

渡邊:大八監督がたいへんというより、音楽制作の期限に対して必要とされる曲数が、少々多かった(笑)、そういう時間的な問題です。それでかつ、大八監督から「この曲にはもうちょっとベースが欲しいですね」等々いわれると「ベースは後回しです!」とか、なりますよね(笑)。

ベースって音楽的な意味でのベースということ?

渡邊:大八監督は音楽に関しても独特の嗜好がありまして。監督は趣味でベースも弾くのですが、ミック・カーンが好きなんですよ(笑)!

私もそうですが、ベーシストといってミック・カーンとコリン・ムールディングとパーシー・ジョーンズを挙げるひとはたいがいひねくれていますよ。

渡邊:あまりベースっぽくない演奏をするベーシストですね(笑)。なのでわりと詳細な音のオーダーもあったりするのです。時間があればいくらでも実験したいのですが。

工程の話でしたね。

渡邊:そうです。

でも『美しい星』は本編もそうですが、音楽もよかった。ここにこういった音をつけるのかと思いました(笑)。

渡邊:制作期間中は終始ハイテンションでした(笑)。楽しかったです。

“Messenger”とか、亀梨(和也)くんの場面でこれでいいのかなと思いましたよ。

渡邊:ぼく自身、あれが正解なのかどうか半信半疑でしたよ(笑)。

ああいう疑似ワールド・ミュージック的な音楽は、私は琢磨くんがやっているのを知っているからおもしろがれるんだけどよく考えると唐突だよね。

渡邊:あのシーンには別テイクがありまして、最初は他のシーンとも整合性のある音楽を当ててたのですが、大八監督から「もっと振り幅出してください」というリクエストが再三きまして、その結果、ああいう擬似ワールド・ミュージックになりました(笑)。最初の数テイクがNGになったので、ひとまず、素地にしてたデータを全部捨てて、サンプリングのネタ探しをするという。シンフォニックな映画音楽をつくりたいという、こちらの思惑からどんどん逸脱していくプロセスに切り替えました(笑)。アフロ・ポップのレコードから数拍をサンプリングして逆再生したり解体したり、なんかヘンだなと思いつつ「振り幅だからな」と自分にいいきかせながらつくった曲を送ったら、大八監督から「これです!」というOKをいただきまして。「これなんだぁ……」とは思いましたが(笑)。

吉田監督のミック・カーン好きに助けられたかもしれないですね。

渡邊:(笑)独断ではあの曲は当ててませんね。亀梨さんの場面で、音楽的にここまで振り切ってもいいということが分かったので、そのあとの金沢の海岸で橋本愛さんが覚醒するシーン(“Awakening”)も躊躇うことなくつくれました。

幅を承知して自由度が高まったんですね。

渡邊:タガが外れました(笑)。


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特定の映画のために書き下ろした音楽を、パーソナルな作品に作り変えるという、領域横断的なプロセスに興味がありました。その作業の過程で映画作品のイメージが漂白していって、その結果、本来的な機能を失った用途不明の音楽だけが残りました。この使いどころ、用途不明な状態にある音楽が、ぼくの考えるアンビエント・ミュージックなのかもしれません(笑)。


渡邊琢磨
ブランク

Inpartmaint Inc.

Ambient

Amazon Tower HMV disk union

映画においても音楽のつけ方はいろいろありますよね。演出効果と考えることもできるし異化効果とみなすこともできる。琢磨くんの基本的なスタンスはどのようなものですか。

渡邊:基本的には、映画の主題によって自分のスタンスは変調します。異化効果などの方法論を踏まえるまでもなく、映画の見せ方は監督の感性、場合によっては人柄に依拠してますし、そのシーンをどう見せるべきかは、やはり監督の意向ありきです。その前提の上、あくまで音楽でこちらの解釈を提案します。ただバジェットや製作事情を音楽をつくる上での制約にはしたくないですね。音楽予算が潤沢になくても、ある場面からハリウッド大作映画のような音を想起したら具体化する方法を模索します。とにかく一度、具体を提案してみないことには、監督も判断できませんし。ただ、こういうなりたちの仕方が基準になってしまうと、それ以降は、琢磨くんだったらできるでしょ的なことになるので厄介です(笑)!

吉田さんだって、冨永さんのでそういうことをやっていたから琢磨くんにお願いしたわけだから、次はまたちがうことをやってくれますよね、という含意ありきだったでしょうからね。

渡邊:じつは『美しい星』のラッシュには『ローリング』のサントラがテンプトラック(既製曲を監督のイメージとして仮当てしておくこと)として当ててあって(笑)。黒澤明監督と武満徹さんが『乱』の音楽制作時に、マーラーみたいな音をつくってください、つくりませんというような既製曲を巡って侃々諤々するのはべつの次元で大変だと思いますが、過去の自己作品が仮当てされてあって、かつ、その曲に合わせて編集まで施してあって、これはなかなか厄介だと思いましたよ(笑)。別の映画のためにつくった音楽なので、そのイメージを払拭しなければならいし、元来、金沢の海岸に円盤が登場するシーンではなく、水戸の荒野で悪巧みをするロクでなしたちというシーンのためにつくったわけで(笑)、でも、それでかえって意気込んで、アルペジエーターでシンセをグワングワン鳴らして、のっけからトランスでいこうと思ったんです(笑)。同作のトークイベントのさいにも同じような話しをしたのですが、デヴィッド・シルヴィアンのツアーにいったじゃないですか――

そうでした! ということは、琢磨くんはミック・カーン好きにはぴったりじゃない(笑)。

渡邊:なのですが、大八監督は、僕がデヴィッド・シルヴィアン・ツアーのメンバーだったことは制作中は知らなかったのです(笑)。『美しい星』の打ち上げ会場かどこかで、覚醒のシーンの音楽はどう着想したんですか? というような話しになって、そのさい、デヴィッドの欧州ツアー中の出来事に言及したのです。欧州ツアーの中盤はベルリンだったのですが、そのとき、前ノリしたんですね。到着した日はオフで、ぼくはバンド・メンバーとは別行動でベルクハインに行ったんです。たしか、〈Perlon〉のレーベル・イベントだったと思うのですが、雰囲気とお酒にストレスも相俟ってたいへん昂揚しまして(笑)、その場にいた見知らぬカップルと仲よくなって、酒を奢ったり奢られたりしながら踊っていたんです。その瞬間の恍惚さと、できあいの友情はとてもリアルだったのですが、結局、朝になってお開きになり、そのカップルとは連絡先も交換せずわかれてタクシーも拾えず、数時間後にはデヴィッドの公演があるし、その後はまたバスに乗って夜走りでオッフェンバッハまで移動しなければならない。一挙に現実に引き戻されました(笑)。こういう一過性のリアルは、「覚醒」シーンと通底するなと思って、作曲のあいだ、その夜の出来事を思い返してました。金沢の海岸に出現する円盤や、宇宙人に覚醒したことは当人にとっては紛れもない事実ですが、あくまで一過性のリアルであって、事後的に現実に立ち返るわけですが、その瞬間は恍惚とともに壮大に円盤を出現させたい(笑)! 要するにこれは異化というより、その場面でみえてる状況を音楽でさらに煽って明確化することで、事後的に「あれはなんだったのか?」という価値転倒が起こるというか、解釈が分岐するような演出効果かなと。SF映画のおもしろい部分でもあると思うのですが。

それをおこなうには作品に内在しながら批評性が求められますよね。

渡邊:そうですね。原作も、三島由紀夫作品のなかでは異色ですし。

三島という点にも解釈の幅がありますからね。

渡邊:そうなんですよ。最初の打ち合わせのとき、大八監督とあまり明確な意見交換ができなかったので、仕事の内容としていろいろ伏線というか、落とし穴があり過ぎるような気がして、少々疑心暗鬼になりましたよ(笑)。

さっきおっしゃったアフターアワーズについていえば、昂揚はそのあとに現実が来ることがわかっているから昂ぶるのかもしれないですよね。

渡邊:その途上がすでに気持ちのマックスかもしれませんね。クラブの扉の向こうから、キックの低音が聴こえてきたときとか、バーカウンターからクラウドを遠巻きに見てる瞬間とか。

音楽にも過剰さのなかにそのあとの予兆がありましたよね。

渡邊:やはり相関的なものですね。ある一方だけでは成り立たない。

と同時に、音楽と映像との関係が短絡しないから一度目は素通りしてしまう場面が見直すとちがう印象になるとも思うんです。そしてそれは琢磨くんのここさいきんの音楽にも通底しているとも思うんですね。『アンシクテット』以降、曲数も多くないし大作主義ではないから聴くことへの負荷はないけれど1曲ごとに多様なレイヤーがありますよね。

渡邊:それは音楽にかぎっていえば、カテゴライズされることに対する拒否反応かもしれません(笑)。映画音楽の場合、監督やスタッフとの共同作業という点で、つねに重層的な仕事です。

いま琢磨くんがかかわっている映画音楽はありますか。

渡邊:ここ数ヶ月は『ローリング』あたりから地つづきだった感じがひと段落したところですが、年末から12月にクランクアップする若手監督の映画音楽にとりかかる予定です。

べつのプロジェクトはどうですか。現在構想していることなどあれば。

渡邊:Mac買い替えたいですね。

それいまここでいうことじゃないよね(笑)。

渡邊:いや、データの量がハンパないんですよ(笑)! しかもそれらは基本的にひとの作品のためのデータなので。音素材だけならHDDに移し替えてしまうのですが、アプリケーションやらプラグインやらになると判断が難しいし、自分の作品に着手するにあたっては、五線紙と同じで、まっさらなところからはじめたいというのもあるし。とはいえ次はポスト・プロダクションでなにかをつくるのではなくて、アンサンブルを一発録りしたいですね。いい加減ピアノ・クインテットやアンサンブル編成のレコーディングに着手したいです。

PCで構築する音楽と譜面の音楽にとりくむさいの構えはどうちがいます?

渡邊:ピアノ・クインテットの場合はバンドというか、メンバーが決まっているので、彼らに向けて音を書いているというか。彼らの演奏を受けて曲を改訂したりもします。逆に、彼らの表現の嗜好性や音色、そして技術的なことも含め、不相応なものはつくりません。

ピアノ・クインテットも、私は〈水戸短編映画祭〉に呼んでいただいたときに拝見しましたが、あれの時点では――

渡邊:2014年で結成してしばらく経ったころです。メンバーはチェロの徳澤青弦とヴァイオリンの梶谷裕子、コントラバスは千葉広樹、最後にヴィオラの須原杏がメンバーになってだいたい固定しました。このメンバーで演奏するときのテクスチャーというか音色の妙が好きですね。ふだん彼らは多方面で活動していますし、詳細な記譜や指示を出さなくても彼らの音楽的感性とキャパシティで作品を解釈してくれることが多々あります。会っていないときにいろいろやっているんだなぁ、というのがそれでわかる。それにたいして、作曲者本人は単調な生活を送っているわけですが(笑)。

だれかと音楽をつくるさい、変化というか意想外の演奏を聴きたい、と考えている?

渡邊:結局のところ、作曲者にとって演奏者の技量や特性は未知数ですし、これは楽器法などにも通じますが、たとえば、弦楽器奏者に重音を指定する際、ラ→ドよりも、ド→ラの方が弾きやすいとか、開放弦を使ったほうがより響くとか、そういう楽器の特性上、多少の改訂を施した方が作曲者の本意に沿ってる場合が多々ありますし、私的には弦楽器なら弦奏者に、ある程度の判断を委ねたほうが、よい意味で意想外に奏功すると思います。作曲者だけですべて判断するには、相応の経験が必要になりますし、それは演奏者とのやり取りを通して身につくものですからね。ただこちらも奏者が手癖に固執したり、一般論を持ち出してきたときは、何がしかの奇策で対応しますよ(笑)。ただ最近はどの分野においても、旧来のやり方や枠にとらわれないことを模索する音楽家やアーティストがいますし、こういうやりとりは比較的、容易だと私的には思います。ただしミーティングであれば建設的なやり取りができますが、メールやネットを介したやりとりだと、いっそう、こじれることもあります(笑)!
 ピアノ・クインテットもアルバム1枚分くらいの曲はあるのですが、もう少し可能性を模索してからレコーディングやライヴを頻発させたい。とくに音源化すると、それが決定稿になってしまうので。五線紙上にある音符の段階なら、いくらでも改訂できますからね。

リリースは来年くらい?

渡邊:そうですね。映画音楽などの仕事で得た実感やアイディアなどもフィードバックしつつ、つくれればよいなと。

海外での活動はどうですか?

渡邊:2016年に牧野貴さんとハンブルグ国際短編映画祭で『Origin Of The Dreams』の現地ライヴ上映を企図したさい、ケルン在中のパーカッション奏者、渡邉理恵さんを介して、ジョン・エックハルトというコントラバス奏者を紹介されて、彼はエヴァン・パーカーとの共作からクセナキスの作品演奏までかかわるツワモノでして(笑)、彼を中心に弦楽アンサンブルを編成することを考えたのですが、結局、日程の関係で実現しなかったので、なにがしかの機会を探ってます。あとは、こちらの弦楽アンサンブルとの共演を打診をしている海外のアーティストがいて、のちのちレコーディングやコンサートを行う予定です。なんにせよ、グローバルな視座だけでなく、異質性ありきです。ローレンス・イングリッシュに『ブランク』のマスタリングをお願いしたさいもどういう仕上がりになるかまったく予想できませんでしたが、彼の音響に対するアプローチ自体に興味があったので、どういう仕上がりであれ楽しみでした。結果、すばらしかったですし。

彼と仕事したことは?

渡邊:はじめてです。彼が主催するレーベル〈Room40〉の動向には、以前から興味がありましたが、たまたま〈インパートメント〉の下村さんからローレンスがマスタリングも手がけるという話しをうかがって。彼はやはりアーティストですし、マスタリングに特化していえば、多少懸念する部分もありましたが、エンジニアリングの観点でもすばらしい耳をしていると思いました。

彼がふだんやっているような音楽ではないですもんね。

渡邊:そうですね。ただ職人性を求めたわけではないですし、マスタリング・エンジニアと比較すると、多少の作家性はついてると思いますが、それ自体とてもオーガニックなものだったので。音質は変化しましたが、違和感はまったくなかったです。そういう趣向性自体とても刺激的でした。

『ブランク』は『シミラー バット ディファレント』『清澄』『ブランク』という染谷将太監督の3作品の音楽を再構成したアルバムですが、別々の映画に書きおろした楽曲を1枚のアルバムに再構成するさい、統一感を出すために留意した点はありますか?

渡邊:まず、特定の映画のために書き下ろした音楽を、パーソナルな作品に作り変えるという、領域横断的なプロセスに興味がありました。その作業の過程で映画作品のイメージが漂白していって、その結果、本来的な機能を失った用途不明の音楽だけが残りました。この使いどころ、用途不明な状態にある音楽が、ぼくの考えるアンビエント・ミュージックなのかもしれません(笑)。この本来的な機能を音楽から剥奪するというプロセスが、音の統一感に作用してるように思います。

そのなかで使用している雨音、和楽器、パイプオルガン、合唱、鐘の音などのマテリアルの記名性になにがしかの意図はある?

渡邊:どういう音楽が映画『ブランク』に相応なのかまったくわからない反面、なにを当てても正解にみえてくるという、ひとを食ったような問題が制作当初あり(笑)、かつ、染谷監督からとくに要望がなかったので、ひとまず、なにか極端なことにトライしてみようと思い、映像上、可視化されてない現象や動きに、私の一存で音を当てて、どこまでそのシーンが変容するか見てみようと、そういう実験をやってみたんです(笑)。そのさい、雨、風、鐘といった、どちらかといえば効果音に相当する音と、なにがしか先入観のある音、例えばパイプオルガン=教会とか、三味線=日本の情景であるとかを取捨選択し、それらを音から想起するイメージとは相反するシーンに当ててみたのですが、さすが『ブランク』というだけあって、スポンジのように、どんな音でも吸いとってしまいました。

ある側面からみると等価もしくは無秩序と思えても、秩序や管理、あるいは支配が別のなにかにとってかわっただけ、もしくはほかのレイヤーに移行しただけということは、社会構造もしくは、インターネットの仕組みなどを考えれば容易にわかりますし、もはやそこになんの疑いもなくユートピアをみるひとはいないと思います。

アンビエントといえば、マスタリングを担当したローレンス・イングリッシュの作風のいったんもそのようなものですが、琢磨くんは彼らのようなアンビエントないしエクスペリメンタルな音楽の現在の在り方についてはどう考えます?

渡邊:ポピュラー音楽とはまた別の観点で時代や社会状況が反映されてると思いますね。それもすごい速さでリフレクションしてる。最近は少しおちついた気もしますが、たまに突然変異体が時勢に即して出現しますよね(笑)。なぜそういう音色や音像になったのか、方法論的にはまったくわからないけど、あきらかにいまの状況の裂け目から生まれた音だなと、そこは明瞭だと思います。ローレンスの新譜『Cruel Optimism』を聴いてみてくださいよ。音に尋常じゃない批評性を感じます。あぁ世の中狂ってるなぁと、その事実を音で再認識して、それで癒されるという重層的なアンビエント・ミュージックですよ(笑)! 音に関していえば、耳がいいひとが手がけるものは、それがエクスペリメンタルであれ、フィールド・レコーディングの音であれ、音楽的ですね。ローレンスや、クリス・ワトソンもそうですが、彼らがつくる、あるいは録る音はノイズにしろ虫の声にしろ、可聴領域的にも心地よい(笑)。音楽はいろいろ聴きますが、映画音楽など時間に追われる仕事をやると、朝6時くらいから作業を開始して、夕方までに1曲納品するというような生活サイクルにせざるえないのですが、その後さらに聴ける音楽を考えると、耳の耐性的にもキャパオーバーでなかなか難しい。でもお酒を飲んだりボーッとするときになにか音が流れててほしいなと思ったとき、手にとるのはやはりポピュラー音楽ではなく、エクスペリメンタルというか、カエルの声や雨音、せいぜい、やさしい笛の音などになるんです(笑)。そういう生活実感を経て一層、アンビエントや実験音楽に嗜好が寄るようになりました(笑)。

ちょっとジョン・ケージ化してきた?

渡邊:概念的にですか?

それもありつつですが。ちなみに、ケージ的な概念についてはどう思います?

渡邊:なかなか複雑ですよね。ケージ的な概念といっても表層的な意味においてですが、環境音やノイズを意識的に音楽に取り込むことが、ここまで常態化した現在、ジョン・ケージが提唱してきたことはあらためて言及するまでもないと思いますが、たとえば“4分33秒”をコンサートで聴くのは、いまだに稀有な音楽体験になると思いますし、それはやはり革新性うんぬん以前に作品がよいのだと、あえて申し上げたい(笑)! 偶然性を採用した諸作でも、ほんとうにコインを投げて音を決めたのか? と勘ぐりたくなるような美しい曲もあって(笑)。逆に、武満さんの音楽評論などを通して考えると、ケージの東洋思想に対してはいささか抵抗したくなるし。まぁ、ぼくにとってジョン・ケージは、沈黙でも、きのこでもなく、音大時代に読んだ『サイレンス』と、あのチャーミングな笑顔ですよ(笑)!

音のヒエラルヒーについてはどう考えます? すべての音が等価であると、琢磨くんは考えなさそうですが。

渡邊:たとえば、異なる文化に属するラテン音楽のリズムなどを活用して作曲するさいに、どこまでラテンと自分の趣向を相対化して音楽をつくれるのか考えるわけですが、メロディや和声進行を非ラテン的なものにしても、それがクラーヴェのリズム構造に即してないと、あのキップ・ハンラハンが招集する強靭なプレイヤーたちは真価を発揮しません、というより、「Oh No」とか残念そうな表情でいいやがるので、たいへん腹立たしいんです(笑)! そこでリズム構造だけは採用して、その上に自分なりの旋律をつくればよいとか思うのですが、このリズムの磁場というか重力が相当なもので、なにをどうやっても、ラテン音楽風の既成概念をふりほどけない(笑)。これには面喰らって頭を抱えましたが、結果どうにか自分の音楽に引き寄せることができました。しかし彼らと一緒に飲みにいって、あの尋常でない酒量につきあった結果、体調を崩したので、やはりラテンに抗うことはできませんでした(笑)。それは冗談ですが、ある側面からみると等価もしくは無秩序と思えても、秩序や管理、あるいは支配が別のなにかにとってかわっただけ、もしくはほかのレイヤーに移行しただけということは、社会構造もしくは、インターネットの仕組みなどを考えれば容易にわかりますし、もはやそこになんの疑いもなくユートピアをみるひとはいないと思います。話しが飛躍しましたが、一面的にはすべての音が等価なこともありえるかもしれませんが、疑念は晴れません、自分の性格上(笑)。ただ平坦な意味で、あのひとのドラムよいなとか、先述のように、あの虫の声いいなとか、そういうこともありますし、やはり音楽的な志向の問題かなと。『ブランク』の音楽も、ほとんどすべて自分でコントロールして自己完結でつくっていますが、工程上、一番最後に音に触れたのは、ローレンス・イングリッシュですし。

別ヴァージョンがあるわけではないので比較はできませんが、つくるのがひとりで完結したぶん、マスタリングではじめてのひとと組んだのは結果的によかったのかもしれませんね。

渡邊:彼はオーストラリア在住なので、カンガルーみながらマスタリングしたのかなと思っていました。

すべてのオーストラリア人がカンガルーのそばで暮らしているわけではないですけどね。

渡邊:(笑)ブリスベンなので都会だとは思いますが、オーストラリア大陸から派生した電気が音に影響してるかと思うと興奮します(笑)。 (了)


Gladdy Unlimited - ele-king

 2015年に他界した、ジャマイカのレゲエ黄金時代を60年代から支えてきた天才ピアニスト/プロデューサーのグラッドストーン・アンダーソンを讃えるイベント「Gladdy Unlimited」が、10月6日渋谷クアトロにて開催される。出演は、KODAMA AND THE DUB STATION BANDとMatt Sounds。
 グラッドストーン・アンダーソンといえば、ハリー・ムンディの〈Moodisc〉からリリースしたちょっとメロウなインスト作品もいまだクラシックとして人気で、日本の先駆的レゲエ・レーベル〈Overheat〉からも素晴らしいオリジナル盤を何枚も残しています。同レーベルから出ている、1987年のミュート・ビートとのライヴを収録した『Gladdy meets Mute Beat 1987 February. 14』もその当時の熱気を伝える貴重な作品です。そこには、当時のミュート・ビートのすごさも記録されているわけですが、今回の「Gladdy Unlimited」では、バンド演奏でのこだま和文が見れるのも楽しみのひとつです。数々のレゲエ・リジェンドたちのバック演奏を務めてきたMatt Soundsの演奏にも期待しましょう。
 10月6日とまだまだ先の話ですが、いまのうちから予定を空けておきます。
 

 

OVERHEAT MUSIC Presents Gladdy Unlimited

出演:KODAMA AND THE DUB STATION BAND、Matt Sounds
Selector:Tommy Far East

会場:渋谷クラブクアトロ
公演日:2017年10月6日(金)
19:00 開場 20:00 開演
前売り 4,500円(ドリンク代別)
当日 5,000円(ドリンク代別)
チケット発売日:2017年8月19日(土)
主催:株式会社OVERHEAT MUSIC
問い合わせ::OVERHEAT MUSIC(03-­‐3406-­‐8970)
発売所:ぴあ、ローソン、e+

https://www.overheat.com/g_unlimited/


●Gladdy Unlimitedとは?
 50年代末にジャマイカで産まれた音楽が地球の裏側のここ日本でも幅広く認知されるようになり、ジャマイカン・テイストの音楽がポピュラリティを得た。それは多くの日本のセレクター、シンガー、バンドがその魅力に気づき、ジャマイカのクオリティを手に入れてパフォーマンスすることができたからだ。
 世界的に見てもこのジャマイカ音楽が持っているオリジナリティとクリエイティブなアイディアは偉大だ。
 この独自のジャマイカ音楽を創り上げてきた草創期(1960年代〜)に大きく貢献したのがピアニスト、シンガー、プロデューサーであったGladstone ”Gladdy” Andersonである。彼は2015年に他界したが、彼の功績を讃えようと16年からスタートしたイベントが「Gladdy Unlimited」。同年5月には、彼の残した曲を愛する人たちによって「Tribute to Gladdy」と言うイベントが代官山UNITで開催され大盛況であった。

 現在の東京でおそらく最も熱望されている2つのバンドが、この「Gladdy Unlimited」でGladdyへの想いをひとつに初共演。こだま和文(THE DUB STATION BAND)は過去にGladdyと共演、レコーディングの経験もあり、Matt SoundsはGladdyのデモ曲をライヴで演奏しレコーディングもした。

-Gladstone Anderson (1934〜2015)-
 ジャマイカのセント・アンドリューで生まれトレンチ・タウンに移り、50年代末期から伯父のオウブレイ・アダムスの手ほどきでピアノを習得しカリプソ、メント、R&R、R&Bなどをプレイし、愛称はGladdyと呼ばれた。彼の才能を見抜いたデューク・リードが主宰したトレジャー・アイル・レーベルを始めとして、コクソン・ドッドのスタジオ・ワン、レスリー・コングのビバリーズ、ソニア・ポテンジャーのゲイ・フィートなどで数えきれないほどのセッションをしたピアニスト、シンガー、プロデューサーである。盟友ストレンジャー・コールは「60年代のレコーディングの80%はグラディが参加していた」と言う。スカタライツやドラゴニアーズがツアーなどを始める前のオリジナル・メンバーでもあり、ドン・ドラモンド、トミー・マクック、ジャッキー・ミットゥ、ローランド・アルフォンソ、リン・テイト、ボブ・マーリィ、ジミー・クリフ達ともレコーディング、さらに70年代後期から80年代にレゲエの時代を作ったレボリューショナリーズ、ルーツ・ラディックスなどでも活躍。
文字通り″ジャマイカン・ミュージックの父″であり、ジャマイカ音楽の黎明期に絶大な貢献を果たした伝説のキーボーディスト。
 彼をメインにしたドキュメント映画『ラフン・タフ』(監督:石井志津男 1987年制作)がある。Mute Beatとはジョイント・ライヴ(DVD『Gladdy meets Mute Beat』)とレコーディング曲「Something Special」もある。来日は4回。
OVERHEAT Records発売アルバム:『Don’t Look Back』(1985),『Caribbean Sunset』(1987),『Caribbean Breeze』(1989),『Piano In Harmony』(1994),『Gladdy’s Double Score』(2010)

■出演アーティスト

KODAMA AND THE DUB STATION BAND
こだま和文は、80年代を駆け抜けたジャパニーズ・DUBバンド、MUTE BEATのリーダーとして活躍。その後ソロ・トランぺッターとしてアルバムをリリース、現在は精鋭THE DUB STATION BANDを率いて、唯一無二のライヴを行っている。最新12インチ・シングルは「ひまわり」。メンバーはHAKASE-SUN(Key)、森俊也(Dr)、コウチ(B)、AKIHIRO(G) 。

MATT SOUNDS

2014年のキース&テックスのバックから始まり、カールトン&ザ・シューズ、リロイ・シブルス、ストレンジャー・コール、クリストファー・エリス、BBシートンらのバックを努め、彼らから「こんないいバンドがあったのか?」と驚嘆されてきた。60年代ジャマイカ音楽の黄金期を再現できる世界でも稀なバンドがMatt Sounds。16年4月、故“Gladdy”Andersonのデモ曲「How Good And How Pleasant」をレコーディングし7インチ・デビュー。2017年4月待望のファースト・アルバム『Matt Sounds』をリリース。レコーディング、ミックス、マスタリング、プレスにまで拘ったアルバムは、多方面から高い評価を受けている。 アルバムに収録された黒澤明監督の映画「七人の侍」のテーマ曲のSKAカバーは、シングル・カットされ話題。森俊也、外池満広、小粥鐵人、秋廣真一郎を中心に小西英理、大和田BAKUに加えライヴではホーンセクション(西内徹、黄啓傑、永田直、大沢広一郎)も加わり10人になる。

LONDON ELEKTRICITY & MAKOTO - ele-king

 あなたがジャジーでソウルフルなドラム&ベースをうんと浴びたいと思っているなら、このイベントがおあつらえ向きでしょう。
 今年で創立21周年を迎えるUKのドラム&ベース・レーベル〈ホスピタル・レコード〉。そのボスであるトニー・コールマンのソロ・プロジェクトとして知られるロンドン・エレクトロシティが、7月21日に代官山ユニットで開催される「HOSPITAL NIGHT」に出演する。
 昨年20周年を迎えた「Drum & Bass Sessions(DBS)」が開催する今回のパーティでは、ロンドン・エレクトロシティがレーベル21周年を祝す「21 years of Hospital set」を披露するそう。
 さらに日本勢からは今年〈ホスピタル・レコード〉と契約し、9月にアルバムをリリース予定のマコトが出演する。競演はダニー・ウィーラーや、テツジ・タナカ、MC CARDZ、などなど。

UNIT 13th ANNIVERSARY
DBS presents "HOSPITAL NIGHT"

日時:2017.07.21 (FRI) open/start 23:30
会場:代官山UNIT
出演:
LONDON ELEKTRICITY (Hospital Records, UK)
MAKOTO (Hospital Records, Human Elements, JAPAN)
DANNY WHEELER (W10 Records, UK)
TETSUJI TANAKA (Localize!!, JAPAN)
host: MC CARDZ (Localize!!, JAPAN)

Vj/Laser: SO IN THE HOUSE
Painting: The Spilt Ink.

料金:adv.3,000yen door 3,500yen

UNIT >>> 03-5459-8630
www.unit-tokyo.com
Ticket 発売中
PIA (0570-02-9999/P-code: 333-696)
LAWSON (L-code: 74079)、
e+ (UNIT携帯サイトから購入できます)
clubberia: https://www.clubberia.com/ja/events/268846-HOSPITAL-NIGHT/
RA: https://jp.residentadvisor.net/event.aspx?974718


(出演者情報)


★LONDON ELEKTRICITY (Hospital Records, UK)
"Fast Soul Music"を標榜するドラム&ベースのトップ・レーベル、Hospitalを率いるLONDON ELEKTRICITYことTONY COLMAN。音楽一家に生まれ、7才からピアノ、作曲を開始した。大学でスタジオのテクニックを学んだ後、'86年にアシッド・ジャズの先鋭グループIZITで活動、3枚のアルバムを残す。'96年に盟友CHRIS GOSSと共にHospitalを発足し、LONDON ELEKTRICITYは生楽器を導入したD&Bを先駆ける。'98年の1st.アルバム『PULL THE PLUG』はジャズ/ファンクのエッセンスが際立つ豊かな音楽性を示し、'03年には2nd.アルバム『BILLION DOLLAR GRAVY』を発表、同アルバムの楽曲をフルバンドで再現する初のライヴを成功させる。’05年の3rd.アルバム『POWER BALLADS』はライヴ感を最大限に発揮し多方面から絶賛を浴びる。’08年には4th.アルバム『SYNCOPATED CITY』で斬新な都市交響楽を奏でる。そしてロングセラーを記録した’11年の名盤『YIKES !』を経て’15年に通算6作目のスタジオ・アルバム『Are We There Yet?』をリリース、多彩なヴォーカル陣をフィーチャーし、ピアノ、ストリングスといった生音を最大限に活かしたソウルフルな楽曲の数々で最高級のクオリティを見せつける。'16年にはTHE LONDON ELEKTRICITY BIG BANDを編成し、ビッグ・ブラスバンド・スタイルでのライヴを敢行する。
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★MAKOTO (Hospital Records, Human Elements, HE:Digital, JAPAN)
DRUM & BASSのミュージカル・サイドを代表するレーベル、LTJ BUKEMのGood Looking Recordsの専属アーティストとして98年にデビュー以来、ソウル、ジャズ感覚溢れる感動的な楽曲を次々に生み出し、アルバム『HUMAN ELEMENTS』(03年)、『BELIEVE IN MY SOUL』(07年)、そしてDJ MARKYのInnerground, FABIOのCreative Source, DJ ZINCのBingo等から数々の楽曲を発表。DJとしては『PROGRESSION SESSIONS 9 – LIVE IN JAPAN 2003』, 『DJ MARKY & FRIENDS PRESENTS MAKOTO』の各MIX CDを発表し、世界30カ国、100都市以上を周り、数千、数万のクラウドを歓喜させ、その実⼒を余すところなく証明し続けてきた、日本を代表するインターナショナルなトップDJ/プロデューサーである。その後、自らのレーベル、Human Elementsに活動の基盤を移し、11年にアルバム『SOULED OUT』を発表、フルバンドでのライヴを収録した『LIVE @ MOTION BLUE YOKOHAMA』を経て13年に"Souled Out"3部作の完結となる『SOULED OUT REMIXED』をリリース。15年にはUKの熟練プロデューサー、A SIDESとのコラボレーション・アルバム『AQUARIAN DREAMS』をEastern Elementsよりリリース。17年、DRUM & BASSのNo.1レーベル、Hospitalと契約を交わし、コンピレーション"We Are 21"に"Speed Of Life"を提供、同レーベルのパーティー"Hospitality"を初め、UK/ヨーロッパ・ツアーで大成功を収める。そして今年9月、待望のニューアルバム『SALVATION』が遂にリリースされる!
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寺尾紗穂×マヒトゥ・ザ・ピーポー - ele-king

 寺尾紗穂×マヒトゥ・ザ・ピーポー、さらに前野健太。なにが起こるんでしょうか。
先日、マヒトゥ・ザ・ピーポーがギターで参加した、寺尾紗穂の“たよりないもののために”がYoutubeで公開されましたが、みなさんもう聴きました? その言葉と音響に浸ることができたひとたちに、以下のイベントを紹介します。まだ聴いていないひとたちは、ヴィデオを観てみてください。

 寺尾紗穂は6/21に最新アルバム『たよりないもののために』を、そして6/28にはマヒトゥが2ndアルバム『w/ave』をリリースします。6月27日はなにが起こるんでしょうか。詳細は以下にまとめたので、お見逃しなく。

■にじのほし9『月の秘密Prime』

出演:寺尾紗穂×マヒトゥ・ザ・ピーポー/前野健太
日程:2017年6月27日(火)
会場:渋谷WWW(東京都渋谷区宇田川町13-17ライズビル地下/TEL:03-5458-7685)
時間:19:00開場/19:30開演
料金:前売券¥3500+1d/当日券¥4000+1d
※ 一部座席有り/整理番号順入場


■寺尾紗穂
1981年11月7日東京生まれ。
2007年ピアノ弾き語りによるアルバム「御身」が各方面で話題になり,坂本龍一や大貫妙子らから賛辞が寄せられる。大林宣彦監督作品「転校生 さよならあなた」、安藤桃子監督作品「0.5ミリ」、中村真夕監督作品「ナオトひとりっきり」など主題歌の提供も多い。2015年アルバム「楕円の夢」を発表。路上生活経験者による舞踏グループ、ソケリッサとの全国13箇所をまわる「楕円の夢ツアー」を行う他、2010年より毎年青山梅窓院にてビッグイシューを応援する音楽イベント「りんりんふぇす」を主催。昨年リリースの最新アルバム「私の好きなわらべうた」では、日本各地で消えつつあるわらべうたの名曲を発掘、独自のアレンジを試みて、「ミュージックマガジン」誌の「ニッポンの新しいローカル・ミュージック」に選出されるなど注目された。
みちのおくの芸術祭「山形ビエンナーレ」での絵本作家荒井良二とのコラボ、金沢21世紀美術館企画「AIR21:カナザワ・フリンジ」でのソケリッサとの共演など、演奏の場もライブハウスを超えて広がりつつある。
活動はCM音楽制作(ドコモ、無印良品など多数)やナレーション、書評、エッセイやルポなど多岐にわたり、著書に「評伝 川島芳子」(文春新書)、「原発労働者」(講談社現代新書)、戦前のサイパンに暮らした人々に取材した「南洋と私」(リトルモア)。8月に集英社より「あのころのパラオをさがして」を発売予定。平凡社ウェブにて「山姥のいるところ」、本の雑誌ウェブで「私の好きなわらべうた」を連載中。その他資生堂の広報誌「花椿」、高知新聞、北海道新聞でも連載を持つ。6月21日最新アルバム「たよりないもののために」と伊賀航、あだち麗三郎と結成したバンド「冬にわかれて」の7インチを同時発売。
https://www.sahoterao.com/


■マヒトゥ・ザ・ピーポー
2009年 バンドGEZANを大阪にて結成。作詞作曲をおこないボーカルとして音楽活動開始。
2011年沈黙の次に美しい日々をリリース。HEADSの佐々木敦の年間ベスト10のデイスクに選出され、全国流通前にして「ele-king」誌などをはじめ各所でソロアーティストとしてインタビューが掲載されるなど注目が集まる。
2014年、kitiより2ndアルバムPOPCOCOON発売。
2014年には青葉市子とのユニットNUUAMMを結成し、アルバムを発売する。
2015年にはpeepowという別名義でラップアルバム Delete CIPYをK-BOMBらと共に制
作、BLACK SMOKER recordsにてリリース。
2016年には今泉力弥監督の映画の劇伴やCMの音楽などを手がける。
また音楽以外の分野では中国の写真家REN HANGのモデルや国内外のアーティストを自
身の主催レーベル、十三月の甲虫でリリース、
野外フェスである全感覚祭を主催したり、近年は仲間とweb magazine PYOUTHを始
動。ボーダーをまたいだ自由なスタンスで活動している。
2017年 6/28にNUUAMMの2nd album「w/ave」を十三月の甲虫より発売。
https://mahitothepeople.com/


■前野健太
シンガーソングライター。俳優。
1979年埼玉県生まれ。
2007年、自ら立ち上げたレーベル"romance records"より『ロマンスカー』をリリースしデビュー。
2009年、全パートをひとりで演奏、多重録音したアルバム『さみしいだけ』をリリース。2009年元日に東京・吉祥寺の街中で74分1シーン1カットでゲリラ撮影された、ライブドキュメント映画『ライブテープ』(松江哲明監督)に主演。同作は、第22回東京国際映画祭「日本映画・ある視点部門」で作品賞を受賞。
2010年、『新・人間万葉歌~阿久悠作詞』へ参加。桂銀淑(ケイ・ウンスク)「花のように鳥のように」のカバー音源を発表。
2011年、サードアルバム『ファックミー』をリリース。映画『トーキョードリフター』(松江哲明監督)に主演。同年、第14回みうらじゅん賞受賞。
2013年、ジム・オルークをプロデューサーに迎え『オレらは肉の歩く朝』、『ハッピーランチ』2枚のアルバムを発表。
2014年、ライブアルバム『LIVE with SOAPLANDERS 2013-2014』をリリース。文芸誌『すばる』にてエッセイの連載を開始。
2015年、雑誌『Number Do』に初の小説を発表。CDブック『今の時代がいちばんいいよ』をリリース。
2016年、『変態だ』(みうらじゅん原作/安齋肇監督)で初の劇映画主演。ラジオのレギュラー番組『前野健太のラジオ100年後』をスタート。
2017年、『コドモ発射プロジェクト「なむはむだはむ」』(共演:岩井秀人、森山未來)で初の舞台出演。初の単行本となる『百年後』を出版。
https://maenokenta.com/

行松陽介 - ele-king

ZONE UNKNOWN List

Coldcut × On-U Sound - ele-king

 これは事件です。サンプリング・ミュージックのパイオニアにして〈Ninja Tune〉の設立者であるコールドカットと、UKダブの巨匠にして〈On-U Sound〉の創始者であるエイドリアン・シャーウッドがコラボしました。これは昂奮します。夢の共演とはまさにこのこと。もはや説明不要のこの二組は、Coldcut x ON-U Sound という名義で5月19日にアルバム『Outside The Echo Chamber』をリリース。現在、リー・ペリーやジュニア・リードをフィーチャーしたトラック“Divide And Rule”が先行公開されています。これは昂奮します。


Coldcut x On-U Sound

ヒップホップとレゲエのスピリットをUKに持ち込み
その後の音楽シーンを一変させた先駆者がまさかのコラボ!
歴史的アルバム『Outside The Echo Chamber』から
リー・スクラッチ・ペリー参加曲“Divide and Rule”を公開!

コールドカットのマッシュアップは〈ON-U〉からヒントを得たんだ。
〈ON-U〉がなければ〈Ninja Tune〉も存在していなかったよ。
- Matt Black (Coldcut)

サンプリング・カルチャーのパイオニアにして〈Ninja Tune〉を主宰するコールドカットと、UKにおけるダブ/ポストパンク勃興の象徴にして、〈ON-U Sound〉を主宰するエイドリアン・シャーウッドが、驚きのコラボ・アルバム『Outside The Echo Chamber』を発表し、リー・スクラッチ・ペリー、ジュニア・リード、エラン・アティアスが参加した新曲“Divide and Rule”を公開した。

Coldcut x On-U Sound - 'Divide and Rule feat. Lee ‘Scratch’ Perry, Junior Reid and Elan'
https://www.youtube.com/watch?v=t1HtUqJ4zSk

10曲のオリジナル楽曲に加え(国内盤にはさらに1曲を追加収録)、6曲のダブ・ヴァージョンを収録した今作には、リー・スクラッチ・ペリー、ジュニア・リードのほか、ルーツ・マヌーヴァやチェジデック、セシル、メジャー・レイザーのメンバーとしても活躍したスウィッチの新たなプロデューサー・コレクティヴであるウィズ・ユー、トドラT、など、グローバルなミュージシャンやヴォーカリストが集結し、ロンドン、ラムズゲート、ジャマイカ、ロサンゼルスでレコーディングされている。

ジャマイカ移民が持ち込んだサウンドシステム・カルチャーによって、1960年代から徐々にUKに根付き始めたレゲエ・ミュージックは、ザ・クラッシュのジョー・ストラマーやセックス・ピストルズのジョン・ライドンらパンクスたちの心を掴んだことによって、70年代後半以降の音楽シーンに大きな影響を及ぼしたことはよく知られている。当時の社会情勢に対する反抗的な姿勢ともリンクした大きなうねりの中で、その象徴的存在だったのが、エイドリアン・シャーウッドが1981年に立ち上げた〈ON-U Sound〉だった。エイドリアンは、その輝かしいキャリアの中で、ザ・スリッツのアリ・アップやポップ・グループを率いるマーク・スチュワート、PiLのキース・レヴィンらが集結したニュー・エイジ・ステッパーズをプロデュースするなど、当時のパンク/ポストパンク・バンドとジャマイカの伝説的アーティストを繋ぐ重要なキーマンとしての役割を果たしている。このムーヴメントはいっときのトレンドでその役目を終えることなく、マッシヴ・アタックの登場をはじめ、その後の音楽シーンに様々な痕跡を残している。

この重要な時代の節目を肌で感じながら、エイドリアン・シャーウッドとはまた違う歩みを辿り、UKシーンのその後の発展に多大な影響を及ぼしたのが、コールドカットである。ターンテーブルのみで制作した87年リリースのデビュー曲“Say Kids, What Time Is It?”はその画期的なサンプリング手法が世界に衝撃を与え、同年リリースされたエリックB&ラキムのリミックス“Paid in Full (Seven Minutes Of Madsnes - Coldcut Remix)”によって、一気にその名を轟かせる。彼らはラップをレイヴァーたちに紹介し、またヒップホップとアシッド・ハウスを融合し、エレクトロニカやブレイクビーツといったより多様性のある分野で先駆的存在となった。90年代には〈Ninja Tune〉を設立し、〈Mo’ Wax〉主宰のジェームス・ラヴェルや、DJシャドウらとともにトリップ・ホップやアブストラクト・ヒップホップと名付けられたムーヴメントの礎を築いていく。

ダブ、ロック、レゲエ、ダンス・ミュージックを独自のアプローチで融合させ、革新的なサウンドを追求していたエイドリアン・シャーウッドは、80年代中盤に入ると〈Tommy Boy Records〉と親交を深める中で、メリー・メルやKRS-1が活躍し、絶頂期にあった当時のNYブロンクスのヒップホップ・シーンを目の当たりにする。その時期に出会ったタックヘッドのスキップ・マクドナルドとダグ・ウィンビッシュは、ヒップホップ・レーベル〈Sugar Hill〉のハウスバンドのメンバーであり、グランドマスター・フラッシュの“The Message”や“White Lines”といったヒップホップの金字塔のリズム・セクションを担当しており、〈ON-U Sound〉の長年のコラボレーターとなった。

レゲエとヒップホップのスピリットをUKに持ち込み、それぞれが独自のキャリアを重ねるなか、型破りな姿勢で繋がっているこの両者のコラボレートは、その気になればいつでも実現する可能性があった。しかしコールドカットが今年デビュー30周年を、〈ON-U Sound〉が昨年35周年を迎え、混乱の政治情勢が続くこの2017年は、彼らがコラボレートし、音楽史にまた新たな歴史を刻むにはこれ以上ないタイミングとも言えるだろう。

コールドカットが〈Ninja Tune〉設立以前に立ち上げたレーベル〈Ahead Of Our Time〉からリリースされるコールドカットと〈ON-U Sound〉のスペシャル・コラボ・アルバム『Outside The Echo Chamber』は、5月19日(金)世界同時リリース! 国内盤にはボーナス・トラック“Beat Your Chest feat. Roots Manuva”を追加収録し、国内盤限定のスリーヴケースとコールドカットのジョン・モア、マット・ブラック、そしてエイドリアン・シャーウッドの3人が、彼らの出会いや、パンク、ポストパンク、レゲエ、ヒップホップなどそれぞれの音楽的背景を語ったスペシャル・インタヴューを掲載したスペシャル・ブックレットが封入される。iTunesでアルバムを予約すると公開された“Divide and Rule feat. Lee ‘Scratch’ Perry, Junior Reid and Elan”がいちはやくダウンロードできる。

label: Ahead Of Our Time / Beat Records
artist: Coldcut x ON-U Sound
title: Outside The Echo Chamber

cat no.: BRC-548
release date: 2017/05/19 FRI ON SALE
国内盤CD: スリーヴケース+スペシャル・ブックレット付き
ボーナス・トラック追加収録 / 解説書封入
定価: ¥2,400+税

【ご購入はこちら】
amazon: https://amzn.asia/4nWz8zX
beatkart: https://shop.beatink.com/shopdetail/000000002154
iTunes Store: https://apple.co/2mHpzbZ

[TRACKLISTING]
01. Vitals feat. Roots Manuva
02. Metro
03. Everyday Another Sanction feat. Chezidek
04. Make Up Your Mind feat. Ce’Cile
05. Aztec Riddim
06. Kajra Mohobbat Wala feat. Hamsika Iyer
07. Divide and Rule feat. Lee ‘Scratch’ Perry, Junior Reid and Elan
08. Make Up Your Mind feat. Elan
09. Robbery feat. Rholin X
10. Livid Hip Hop
11. Beat Your Chest feat. Roots Manuva *Bonus Track for Japan
12. Vitals feat. Roots Manuva (Dub)
13. Everyday Another Sanction feat. Chezidek (Dub)
14. Make Up Your Mind feat. Ce’Cile (Dub)
15. Kajra Mohobbat Wala feat. Hamsika Iyer (Dub)
16. Divide and Rule feat. Lee ‘Scratch’ Perry, Junior Reid and Elan (Dub)
17. Robbery feat. Rholin X (Dub)

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