ジョン・ヒューズ監督が2009年に急逝したとき、勝手に追悼と称して彼の代表作群......『プリティ・イン・ピンク』(脚本)、『ブレックファスト・クラブ』、そして『フェリスはある朝突然に』辺りを観直したことがあったのだが、自分の脳内で作り上げている80年代の決定的なイメージ(のひとつ)はこれだな、とそのとき妙に腑に落ちてしまった。やたらに感傷的で甘いムード、予めノスタルジックな舞台装置としての学園とティーンエイジャーたち、その思春期の恋と青春。たとえばジェイソン・ライトマン監督(『JUNO/ジュノ』)辺りの70年代生まれのひとたちの作品にもヒューズ映画の匂いを感じることがしばしばあるのは、80s学園ドラマや映画の懐かしさがアメリカでは根強いことの証左だろうが、80年代なかば生まれで日本に住む自分ですら、どこかで抗えない感傷を覚えてしまうのはどうしてなのだろう。エイティーズの幻視としてのシンセ・ポップ・リヴァイヴァルがシーンに溢れたとき、それは80年代生まれのミュージシャンたちにとっての「未知」であったから......という分析がなされたが、もっと正確に言うならば、記憶の底にその時代の記憶が微かに刷り込まれていたからではないだろうか。それらが厳密さに欠いたものであろうとも。
ツイン・シャドウとしてのセカンド作『コンフェス(告白する)』において、83年生まれのジョージ・ルイスJrは歌う。「オレは泣くぜ。その映画が終わったら、オレは泣くぜ」......僕には、「その映画」がジョン・ヒューズの作品にしか思えない。
年末年始は多くの音楽好きと同じように各メディアのチャートを見ながら聴き逃していた作品をチェックするのが恒例行事になっているのだが、発売当時はそこそこ評価を集めていたにもかかわらずほとんどチャートからはスルーされていたのが本作で、それならばせめて個人のチャートには挙げればよかったかなと思う。というのは、2012年に聴いたすべての音楽作品のなかでもっとも笑わされたのがこのアルバムだからだ。前作『フォーゲット』のときはタイミング的にチルウェイヴとの距離で説明されたりもしたが、もはやシンセ・ポップということ以外チルウェイヴのチの字もない。音はクリアでゴージャスに、そしてすべてはドラマティックに。捏造されたイメージとしてのニュー・ロマンティックス、そのペルソナを完璧に演じきっている。冒頭の"ゴールデン・ライト"、ムーディなシンセのイントロに導かれてビートが入ると、ルイスJrが悩ましげに歌う......「お前は黄金の光だ」。これはいったい、なんなのだろう。
シングルの"ファイヴ・セカンズ"がケッサクで、アップテンポのシンセ・ポップの上で色男の恋の物語が腰を抜かすほどキャッチーなメロディに乗せられて、無闇にエネルギッシュに情熱的に歌い上げられる。「オレはお前を信じない/お前はオレを信じない/どうやってお前はオレを泣かせるんだ」(←やや意訳)。時折ブレイクが入るとステージでスタンド・マイクを片手にポーズを取っている姿しか思い浮かばず、電車のなかでこれを聴くのはキツい。というか既に3度ほど吹き出して、向かいの席のひとに怪訝な顔で見られている。この味わい深すぎるジャケットにしても、その"ファイヴ・セカンズ"のヴィデオにしてもそうだが、ここではまったくの虚像としてのバッド・ボーイが自己演出されている。のだが、そこで鬱陶しいほどに沸き立つエナジーの動機がまったくわからない。無意味。リリックにおけるメロドラマめいた愛の物語もはっきり言ってどうでもいいものばかりで、逆説的に巷に溢れる大半のラヴ・ソングのどうでもよさを浮き彫りにしていると言えなくもない......と思うのはもちろん勘違いだ。
時折入ってくるハード・ロック風のエレキ・ソロがやかましくもあるが、それもまあ、この舞台を盛り上げるための小道具のひとつだ。アルバムはリーゼントの黒人青年にあくまでスポットライトを当てたまま進行する。"アイ・ドント・ケア"で「その夜オレはお前のところへ行き、真実を告げてお前を泣かせたああーー」と熱唱したあとのラスト・トラック、"ビー・マイン・トゥナイト"は80sの学園ドラマのハイライト・シーン=プロム・パーティの場面で流れるのに相応しい、必要以上に甘美なシンセ・ポップのファンタジーだ。殺し文句は、「オレのものになってくれ、今夜お前が家に帰れないのなら」......。そうたとえば、ギャングスなどは曲名に"ラスト・プロム・オン・アース(この世で最後のプロム・パーティ)"とつけたが、そこでのジョン・ヒューズ的なものの引用は自覚的なユーモアだ。が、ツイン・シャドウにおいては、それが本気と書いてマジで繰り広げられるものだから、かえって笑いを誘われずにいられない。いや、『フォーゲット』のときはもう少し、ムードとしてはチルウェイヴに近接するフワフワしたものがあったはずだ。だが根拠はないが、間違いなくこちらの暑苦しさのほうが彼にとっては正解である、と思わせられる妙な説得力が本作にはある。
とにかく、どこを見ても勇ましいスローガンばかりが溢れる日々のなかにこそ、これほどまでに清々しく意味のないポップ・ミュージックがあってもいいではないか、というか、あってほしいと思う。軽薄な80sへの、偽もののノスタルジー。そのエモーションの熱量だけは、ほかのどんなシリアスな音楽にだって引けを取らない。リヴァイヴァルも80年代のシンセ・ポップから90年代のR&Bやヒップホップに軸足が移ってきたように見えるが、このアルバムに充溢する無意味な情熱に触れていると、まだ何か見るべきものがあるのではないかと錯覚させられる。
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エメラルズからマーク・マッガイアが脱退したそうだが、東京からは昨年の12月ダブ・ストラクチャー#9という4人組のバンドがアルバムを発表、年末はドイツ・リューベックからDJ/プロデューサーのラウル・Kを招いて盛大なパーティを繰り広げている。
ダブ・ストラクチャー#9という名前のバンドが演奏するのは、いわゆるダブではない。彼らが打ち鳴らすのはモータリック・ビート、いつまでも動き続けるミニマルなグルーヴ、すなわちクラウトロックだ。そのアルバム『POETICS IN FAST-PULSING ISLAND』は、クラウトロックが普及したこの10年における日本からの回答とも呼べる作品だ。
しかも......アルバムにはリミキサーとして、ラウル・Kのほか、日本のクラブ・シーンのベテランDJ、アルツとCMTも参加している(ふたりのリミックス・ヴァージョンは12インチ・シングルにもなってもいる)。
結果、彼らのセカンドは、今日の日本ではもはや異端とも呼べるであろう、クラブとライヴハウスの溝を埋めるものともなった。ポーティスヘッドやファクトリーフロアのようなやり方は、果たしてこの国でも通じるのだろうか......昨年末、メンバーのひとりが成田までラウル・Kを迎えに行っているその日に取材した。
クラウトロックは大好きですね。とくにあの曲に関しては、「ノイ!」と呼んでいたくらいなので(笑)。
■アルバムを聴いて、まあ、ぶっちゃけ、すげークラウトロックを感じたんですね。とくに1曲目、"NEW FUNCTION"なんか、ここまで見事なノイ!もそうないというか......。
一同:ハハハハ。
■こんなバンドが日本にいたのかと思って。クラウス・ディンガー的なグルーヴというかね、日本ではかなり珍しいですよ。びっくりしました。やっぱお好きなんでしょう?
Canno(カンノ):大好きですね。とくにあの曲に関しては、「ノイ!」と呼んでいたくらいなので(笑)。
■ハハハハ。
Minami(ミナミ):いや、ホント大好きで。
■海外は多いけどね、クラウトロック系は。日本ではほとんどいないんですよ。
Okura(オークラ):たしかにそうかもしれない。
Minami:すっごく仲のいいバンドで、ノーウェアマンというのがいて。
■ノーウェア(nowhere)?
Minami:いや、ノーウェア(nowear)、何も着ないっていう。彼らは面白くて、ミニマルな8ビートですけど、ハンマービートって感じじゃない。でも、クラウトロックは大好きですよ。
Canno:そうだね、ノーウェアマンぐらいかな。
■ほかにも、"WHEN THE PARTY BEGIN"とか、"POETICS IN FAST-PULSING ISLAND"とか、クラスターの精神とでも言いましょうか......。
Minami:そのへんは好きっすね。
Canno:なんでも好きなんですけどね。ブリティッシュ・ビートみたいなものも、ジャズも、テクノも、いろいろ好きなんですけど、でも、ノイ!とかクラウトロックは自分たちにとって新しい発見でしたね。
Okura:衝撃だったよね。
Canno:これだ! みたいね。音楽って長いこと聴いていると、自分のなかでマンネリ化するものだと思うんですね。それで、新しい発見によって広がるっていうか。そのひとつだと思いましたね。
■バンドはどんな風に結成されたの?
Okura:ミナミとカンノは小学校が同じで、一個違いの幼なじみで、小中高と同じ。
■東京?
Okura:全員東京です。
Canno:僕らは世田谷、オークラとアライも小学校から一緒で、目黒ですね。
■世田谷のどこなんですか?
Canno:僕が下馬で、ミナミが梅ヶ丘。
Minami:(梅ヶ丘は)奇っ怪な街ですね。古いサックスを売っているお店があったり、超小さいギターのお店があったり、変な街ですね。
Canno:高校が、リズム隊が、白金台と麻布十番だったんです。
■けっこう、街っ子だね。ていうか、最新の東京っ子だね(笑)。
Canno:そうっすね。うちらは田んぼだったあたりの東京なんですけどね
■バンドは?
Canno:僕とオオクラは高校の頃からやってて、けっこう真面目にやってて、ライヴハウスなんかにも出てね。21歳のときに解散するんですけど、解散する頃にミナミが入ってきて。で、この3人で新しいバンドをやることにしたんですよね。最初はベース無しで。で、アライが入ってきて、現在の形になりましたね。
■ダブ・ストラクチャー#9というバンド名は?
Canno:言い出したのはミナミなんですけどね。
Minami:その当時、ダブということにすごく興味があって。格好いいな、と(笑)。
Canno:俺も、格好いいなと(笑)。
■その名前を聞くと、どうしてもダブをイメージするじゃないですか。「ああ、新しいダブ・バンドなのかな」って。
Minami:ダブってジャンルというよりも手法で。
■手法であり、ジャンルでもありますよね。
Minami:音を飛ばすっていう、僕としてはインダストリアルなイメージで付けたんですよね。
■ダブはずっと好きだったんですか?
Minami:そんなに詳しくないんですけど、ずっと好きです。キング・タビーのような、ハッピーではなく......哀愁、キング・タビーにもハッピーなのはあるんですけど。
■キング・タビーは基本、ダークですよね。
Minami:飛ばす方に耳がいってしまいますね。
Okura:結成当時は、まだクラブに行きはじめって感じでしたよね。20歳過ぎたぐらいで。
Canno:クラブ・ミュージックも、テクノ寄りのものを聴きはじめたり。
Minami:もとはロックですけどね。ツェッペリンとかね。
■レッド・ツェッペリン?
Canno:ドアーズとかね。
■へー。みんな20代半ば過ぎたぐらいでしょう? 古いのが好きなんだね。僕らの時代にはあり得なかった(笑)。レッド・ツェッペリンなんか......
Canno:だせーって(笑)。
■王子様みたいだしって(笑)。でも、いまの若い人は古い音楽に詳しいね。
Minami:僕らもガンズとかは聴けなかったですよ。
Canno:ツェッペリンとかになると一周しちゃってたから、再評価ブームとかもあって。昔のものが整理された感じはありましたね。
Minami:小中学校でギターをはじめようとして、『ギターマガジン』とか見ると、ツェッペリンとかクラプトンとか。
■いまでも?
Minami:いまでも。
■それはすごい。俺の時代から変わってないんだね。
Canno:ジミー・ペイジとか何回表紙になってるんだっていうね。
Minami:ソニック・ユースといっしょに聴いていたもんね。
■その感覚は僕の時代にはなかったな。とにかくロックだったんですね。みんなにとってロックは何だったんでしょう? なんでロックだったの?
Canno:少数派の価値を見いだせるっていうか。
Minami:それはあったね。
■でも、みんなの時代にはヒップホップだってR&Bだってあるじゃん。
Canno:世代的にはそうですよね。中学生のときまわりはBボーイだったし。
■ヒップホップは好きでしょ?
Minami:はい、ホントにハマったの最近ですけどね。
Canno:いや、でも、ホント、みんなロック少年だったから。夢がありましたけどね。ロックがすべてを変えるみたいな(笑)。
■ハハハハ。いまでもロックは力があるの?
Minami:クラブ・ミュージックのなかにもそれはあるじゃないですか。サイケデリックな部分だったり、アシッディな部分だったり。共通するところはあると思いますよ。
[[SplitPage]]2年前に、「MONK!!!」というイヴェントをはじめたのが大きかったですね。そのときにヒカルさんとか、アルツさんとか、DJをお願いしていたんですけど、その前からDJを聴くようになっていて、それは僕らにとってクラウトロックと同じぐらいに大きかったですね。
■ミナミさんはヴォーカリストですよね。
Minami:歌うことに関しては、まだ自分のなかで消化しきれてないですね。
■好きなヴォーカリストは?
Minami:若い頃は、ボビー・ギレスピーとか。イアン・ブラウンとか。
■すごい真っ当な......。ただし、みんなが高校時代だとしたら、全盛期はとっくに終わっている人たちでしょう。
Minami:そうっすね。
■世代的に言えば、アークティック・モンキーズとかじゃない?
Minami:いや、その頃は、昔のものを掘りはじめてしまって。
Okura:ストロークスが高一ぐらいだよね。ホワイト・ストライプスとか。ホワイト・ストライプスなんか、もう大好きだった。
■いまのバンドの青写真はどうやって出来上がっていったの?
Canno:2年前に、「MONK!!!」というイヴェントをはじめたのが大きかったですね。そのときにヒカルさんとか、アルツさんとか、DJをお願いしていたんですけど、その前からDJを聴くようになっていて、それは僕らにとってクラウトロックと同じぐらいに大きかったですね。で、どんどんテクノのパーティにも行くようになった。
■クラブが大きかったんだ?
Canno:ダブ・ストラクチャーになる前は、ホントに漫画に出てくるようなコテコテのバンドマンの生活というか、けっこうライヴハウス時代があったんですよね。その頃にもライヴハウスのシステムってどうなんだろうってのがあったんですよね。みんな楽しめているのかなっていうか。
Minami:その前に、セオ・パリッシュとムーディーマンを友だちに貸してもらって、そのときに「あ!」っていうか。セオ・パリッシュを聴いたときに、超格好いいって。
Canno:ムーディーマンが来日した頃でね、もう、びっくりしちゃって。
Minami:あ、ロックスターじゃんって。
Canno:DJでは、ストーンズとかもかけていたし。
Minami:あのヌメッとした感じとか、すごいなって。
■ドラマーとしては打ち込みの音楽との出会いはどうだったんですか?
Okura:いや、もう、やっぱ最初は「冗談じゃないよ」って(笑)。でも、『ブラックマホガニー』を聴いているうちに、「格好いいじゃん!」って。
■あれは生も入っているしね。
Okura:生も入っているし、サンプリングもあるし。
Canno:発想の自由さに影響されましたね。バンドって、やっぱマンネリ化してきてしまうから。でも、ムーディーマンやセオ・パリッシュは、音楽の発想がすごく自由なんですよね。
Minami:ブラック・ミュージックというものにも初めて直面したっていうかね。
Okura:ツェッペリンとかも根底にはブルースがあるんで、その共通するところっていうのがよく見えたっていうか。
■「MONK!!!」は、最初から〈イレヴン〉?
Canno:最初はセコバーでやって、2回目が〈イレヴン〉でしたね。最初はセコバーにドラムもシステムも入れてやりましたね。
Minami:DJはヒカルさん、アルツさん、CMTさん、あとクロマニヨン。
■ヒカルさん、アルツさん、CMTさんというのは、どういう経緯で?
Canno:客としてずっと好きだったので。CMTさんは群馬にDJハーヴィーが来たときに行ったらやってて、初めて聴いたんですけど、もうDJとは思えないっていうか、とにかくショックを受けましたね。友だちにトミオってDJがいるんですけど、そいつが詳しくて、そいつにいろんなパーティに連れてってもらいましたね。
■20代前半の子にとってクラブって行きづらい場所だってよく言われるんだけど、入っても年上の連中ばっかりだし。
Minami:たしかに僕が高校生のとき、マッド・プロフェッサー聴きたいからクラブに行こうか迷ったことがあって、でも、そのときはなんか怖いから止めました(笑)。
Canno:うん、その感覚がわかるからこそ、同世代の連中に「MONK!!!」に来て欲しいんです。
Minami:DJの人たちって、ホントにいい人ばっかだし。
Canno:偏見があるんですよね。僕らぐらいの世代から。
■偏見じゃないと思うよ。単純な話、20歳の子がクラブに入ってみて、30代以上の人たちがざーっといたら、ひたすら踊るか、やっぱ居場所ないじゃない(笑)?
Canno:みんな話してますもんね(笑)。俺も、いまでもそうなっちゃうときがあるけど、そうなったら、もう目をつぶって音楽に集中するっていうか(笑)。
■ハハハハ!
Minami:いや、俺はもうずっとフロアにいるよ。
Canno:クラブを好きになったのも、音楽を聴きたいっていうのがあったんで......、でも、いま思うと、我ながらよく行ったなとは思いますね(笑)。
Minami:いや、もう、みんな社交性がないヤツらなんで。
■社交性がないから、音に集中できたんだ(笑)。
一同:ハハハハ!
Canno:まわりでクラブ行ってるヤツってあんまいなかったよね。
Minami:ただ、20歳ぐらいのときに、友だちでDJのほうに進んだヤツがいて、それは大きかった。
Canno:そうっすね。トミオっすね。
■トミオ君、重要だね。なんか、欧米はクラブ・カルチャーが良い意味で世代交代しているし、僕はクラブ・カルチャーの恩恵を受けている人間だけど、やっぱ、その主役は20代だと思うし、しかも20代前半だと思うんだよね。なぜか日本だけが圧倒的に30代以上の、ていうか、40代以上の文化になっているようで。
Minami:やっぱ年上の人たちのDJって、丁寧だし、繊細だし......。
■やっぱ勝てないって?
Minami:年功序列っていうのはあるんですかね(笑)?
■ディスコやハウスの世代にはあったけど、テクノ以降はなかったと思うよ。
Minami:若くて、すげー、格好いいDJもいるもんな-。
■ただし、DJって、たとえばハウスやろうとしたら、知識と経験があるDJを超えるのって、よほど何かないと難しいとは思うよ。
Minami:レコードの量も違うし。
Canno:でも、うちらにも、若者でやろうという気概はあるんですよね。
Minami:うちらの「MONK!!!」も、遊びに来てくれた子たち年齢はけっこう若いと思いますよ。
■それは良いね。
Canno:本当に、みんなからもそこが良いねって言ってもらえた。
■ハハハハ。しかし、みんなから見て、クラブのどこが魅力だったんでしょう? さっきライヴハウスに限界を感じていたって言っていたけど。
Minami:いやもう、単純にノルマ制が。
■ハハハハ。
Canno:それに、クラブって、やっぱ終電を吹っ飛ばして朝まで踊るっていうのがいいじゃないですか。
■うわ、若い!
[[SplitPage]]迷いはなかったでね。能動的にやった感じですね。まさに、クラブとバンドの溝を埋めたいと思ってやったことだから。
(ここで、今回の「MONK!!!」のゲストDJとして招聘したラウル・Kの送迎に行っていたベースのアライが登場)
Arai:こんにちわ。
■お疲れ様です。いや、もう、話はすっかり佳境に入ってしまってますが......。でも、いま行った「朝まで踊る」っていうのが嫌なんだっていう話も聞くけど。
Canno:それもあると思う(笑)。明日の朝のことを考えちゃうんだって。俺は良いと思うんですけどね。
Minami:あと居心地とかね。
Canno:そうだよね。オールナイトでやるなら、そこに長時間入れるような場を作る努力をしなくちゃね。
■僕は仕事柄ライヴハウスに行くんですが、ライブハウスのつまらなさって、そのバンド目当ての人しかいないってことなんですよね。Aというバンドが出ると、Aの客しかいない。次に出るBの客は裏でタバコ吸ってたり。なんかね、同じ種類の人間しかいないっていうか、だいたいトライブが固定されちゃってるでしょう。でも、クラブはふだんまず会わないヤツと会うじゃない(笑)。女でも男でも。そこが良いよね。
Canno:そこが楽しいですよね。
Minami:中規模や小規模のDJバーだと、そういう、知らない人と話すような感じがありますよね。
■みんなそこまでDJ好きなら、DJもやってる?
Canno:最近ちょっとずつ練習してて。
Minami:トミオと一緒に小さい場所でDJパーティもやったりしてますよ。
■自分たちで12インチ・シングルを作るくらいだから、ターンテーブルを使う?
Canno:はい、俺はまだ練習中ですけど。
Minami:ライヴではPC使ってますが、DJは......。まあ、僕らの場合はバンドがメインで、たまにDJやってるぐらいだから。
■今回の12インチではアルツさんみたいな大先輩がリミックスしているわけだけど、やっぱ声をかけるのに勇気がいる?
Minami:最初はもう......、いや、もうすごく勇気が入りましたね。
Canno:でも、話してみるとみんな優しいんですよ。それもまたクラブにハマった理由でしたね。最初はやっぱおそるおそる話しかけるんですが、いざ、実際に話したら、みんなすごく優しいんですよね。
Minami:「えーよー」みたいなね。
■アルツさんとCMTさんっていうのは、バンドにとってホントに大きな存在なんだね。
Minami:とくにそうっすね。でも、ふたり、タイプは違いますよね。アルツさんにはワールドな感覚もあるし。
Canno:ジャンルにとらわれないDJが好きっすね。ヒカルさんも自分のジャンル持ってる感じだし。
■今回のアルバムが2枚目になるわけだよね。ファーストは2010年に出しているけど、どんな感じだったんですか?
Minami:いまよりもポップですね。
■クラブっぽいの?
Canno:いや、それをクラブと言ったらクラブの人に申し訳ないというか(笑)。
Minami:4つ打ちでしたね。
Okura:人力4つ打ちっていうかね。
■タワーレコード渋谷店の国内クラブ・チャート1位だったわけでしょう?
Minami:いや、でも、まだ自分たちが目指している音を作れてなかったですね。
Okura:CDのなかに「MONK!!!」のディスカウントチケットを入れたんですよね。そうしたら、リリース・パティのときのそれを持って来てくれた子がけっこう多くて。
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■なるほど。今回の『POETICS IN FAST-PULSING ISLAND』(※2012年12月発売)には、クラウトロックへのアプローチとクラブ・ミュージックへのアプローチと両方があるけど、それはバンドにとっての迷いって感じではない?
Minami:迷いはなかったでね。
Canno:能動的にやった感じですね。まさに、クラブとバンドの溝を埋めたいと思ってやったことだから。
■ドイツにライヴに行ったんでしょ?
Minami:すげー楽しかったです。
Okura:ベルリンと、ケムニッツという田舎町とドレスデン。
Canno:ほぼベルリンだよね。
■どういう経緯で?
Canno:最初にラウル・Kとか呼んだ頃から、もう、クラウトロックは大好きだったし、ドイツでライヴやりたいってずっと思ってって。それで......。ひょっとしたら「受けるんじゃないねー?」って(笑)。
Minami:「行ってみたくねー?」って。
Canno:日本でやってもそんなお客さんが入るわけじゃないし、まあ、可能性を探りに。あとは、もっといろんなレコード買えるんじゃないかと。今回のリリースにこじつけて、ブッキングを探して、行ってきたって感じですね。
Minami:無理矢理行ったんです。
■ハハハハ。
Minami:まずは行くことが重要でした。
■行って良かったことは?
Minami:自由があるってことですよね。
Canno:音に対しても寛容だし。
Minami:僕らはそこに住んでいるわけじゃないですからね、住んだらまた別でしょうけど。
■まあ、ベルリンをデフォルトに思わないほうがいいけどね(笑)。ちなみに今回の『POETICS IN FAST-PULSING ISLAND』というタイトルの意味は?
Minami:やはり震災のことですよね。いろいろな意味で、その影響が出ているなって、アルバムが完成してから聴き直して思ったので。
■ダブ・ストラクチャー#9としては、とくに今回のアルバムのどこを聴いて欲しいですか?
Canno:良い音楽を共有したいってことですかね。壁を崩したいっていうか。
Minami:わかりやすい話が求められていると思うんですけど、クラブでの経験って、そんなものとは違うじゃないですか。イメージというか、曖昧なイメージの積み重ねで、わかりやすくないじゃないですか。逆に言えば、そこを伝えたいっていうのはありますね。
■ぜひがんばってください。ところで、アルバムには使用機材のクレジットが細かく記されているでしょう。ヴィンテージのアナログ機材から使用楽器まで。これは?
Canno:もう、そういうの大好きなんです。自分で(楽器屋を)やりたいくらいですね。
Minami:レコ屋と楽器屋が大好きなんです。
なかなかいいレーベルになってきました。注目の〈アンダーウォーター・ピープルズ〉からまとめて2枚。
ジェイムズ・フェラーロとのスケイターズやマーク・マッガイアーとのイナー・チューブでも知られるスペンサー・クラークことチャールズ・ベルリッツによるモノポリー・チャイルド・スター・サーチャーズ(以下、MCSS)名義の2作目(正確にはRを入れて3部作となるらしい)。最初から最後まで竹のような響きのパーカッションがフィーチャーされていた『バンブー・フォー・トゥー』(10)と同じくトライバル・サウンドにインプロヴァイゼイションを絡めたつくりながら、打楽器はやや背景に退かせて怪しげなメロディやSEを豊富に取り込み、全体に迷宮をさ迷わせるようなマジカル・ムードに転じている(前作が森の入り口なら、そのまま奥深くに進んできたというか)。レジデンツが『エスキモー』ではなく南洋の島を題材にし、それこそマーティン・デニーのカヴァーに取り組めばこうなるかなと思う反面、インチキ臭さをことさらにアピールしているわけでもないので、エキゾチック・サウンドの最新型として素直に楽しめる。イエロが脱力したようなスウィング・ムードも楽しく、曲のヴァリエイションも格段に増えた(前作の路線を追う人はむしろイナー・チューブと同じパシフィック・シティ・サウンド・ヴィジョンズからリリースされたフォース・ワールド・マガジン名義『スペクタクル・オブ・ライト・アブダクションズ』を)。
https://soundcloud.com/underwaterpeoples/sets/monopoly-child-star-searchers
MCSSと同じく、デビューは〈オールド・イングリッシュ・スペリング・ビー〉からとなるビッグ・トラブルズからイアン・ドレナンのファースト・ソロはシューゲイザーを基本とした母体からは思いもよらないミュージック・コンクレートやアヴァン・ポップが雨あられ。音楽性があまりに違い過ぎて、最初は同姓同名ではないかと疑ったけれど、XTCとアンディ・パートリッジの関係を思えば、こういうこともたしかにあると。しかも、過去の実験音楽に対して造詣が深いとか、少なくとも手だれではないようで、あくまでもロック・ミュージシャンの視点で取り組んでいるので、初々しい視線が冴え渡り、けっこうなことをやっても重くならず、最初から最後まで可能性の三文字しか浮かんでこない。それこそサン・アロウ以来の快挙ではないだろうか。ミニマルかと思えばクルト・ワイル調、あるいは激しいカット・アップにスロー・テンポのホルガー・ヒラー。『ファイナル・ファンタジー』の音楽などで知られる葛生千夏が80年代に自主でリリースした「エレイン・ザ・フェアー」のカヴァーなどという稀少なこともやってたり。
https://soundcloud.com/underwaterpeoples/sets/ian-drennan-the-wonderful
ドローンやノイズからハウスやチルウェイヴへ。そのような推移のなかでベルリッツやドレナンは実験的な精神を諦めてしまうことなく、別なフィールドに移し変えることで数多の同世代とは異なる道を必死に模索している。そして、それらは少なからずの成果に結びついていると僕には思えるし、実験的でありながらエンターテインメントとしても充分に機能したニューウェイヴ期の空気を思わせる。音楽がただ音楽としてあるだけで、いまだ哲学でもファッションでもない瞬間。〈アンダーウォーター・ピープルズ〉にジュリアン・リンチやドルフィンズ・イントゥー・ザ・フューチャーが集まってくる理由もそこにあるのだろう。
Sekitova - Premature Moon And The Shooting StarZamstak |
ele-kingの創刊は1995年1月、編集部を作ったのは1994年の秋、初めて友だちとクラブ・イヴェントを企画したのが1993年で、当時の僕はターゲットとする読者やオーディエンスの年齢層を訊かれたらはっきり「17歳」と答えていた。17歳に読んで、聴いて欲しい。企画書にもそう書いた。17歳、セックス・ピストルズの曲名にもあるし、大江健三郎の短編にも「セブンティーン」がある。
セキトバは、昨年、17歳にしてデビュー・アルバム『PREMATURE MOON AND THE SHOOTING STAR』を発表したDJ/プロデューサーである。「1995年生まれの高校生トラックメイカー兼DJ」として騒がれてしまったようだが、彼のバイオを知らなくても、いや、知らないほうがむしろ『PREMATURE MOON~』を素直に楽しめるんじゃないかと思う。スムーズなグルーヴも心地よいが、繊細なメロディ、アトモスフェリックな音響の加減も魅力的で、デトロイトのジョン・ベルトラン風の優しいアンビエント・テイストもあれば、クルーダー&ドーフマイスター風のダウンテンポからスクリュー、お茶目な遊び心もある。その多彩な曲調、お洒落さ、そしてバランスの良さを考えると、ホントに17歳なのかと信じられない。が、彼は間違いなく、日本のクラブ文化の未来の明るい星のひとつなのだ。
元旦生まれなので、数日前に18歳になったばかりのセキトバへのメール取材である。
■何歳から、どのようなきっかけでハウス・ミュージックを作っているんですか?
SEKITOVA:はじめてDTMを触ったのが14歳の頃なんですけど、その頃はテクノやハウスよりもエレクトロをよりたくさん作っていました。理由は「ディストーションをかけるだけでなんかそれっぽい音が出たから」っていう安直なものなんですけれど。逆にテクノやハウスなんかは音をつくるのがとても難しかったので僕にはなかなかつくれませんでした......。当時はちょうどDigitalismやJunkie XL、Justiceなんかが情報として得やすかったのでそこからエレクトロやその周辺の影響を受けたということもありますね。
年月を重ねるうちに技術があがってきて、自分のやりたいことが徐々に思い通りに出来るようになってきたので、じゃあ自分のやりたかったことをやってみようって意気込みで始めたのが現在のスタイルです。
■子供の頃、ピアノなど、楽器を習っていたんですか?
SEKITOVA:4歳か5歳の頃から10歳の辺りまでまさにピアノを習っていましたが不真面目すぎてまったく上達しませんでした。当時は音楽よりサッカーに夢中で、ピアノ=女々しいと思っていたくらいですし。
そこからは楽器を習ったりすることだとかは今日までまったくないですね。ただ学校でたまにあった民族音楽を聴く授業はとても好きでした。東南アジアやアフリカのダンサンブルなものがとくに好きで間違いなくいまの僕はそこから影響を受けている部分があります。
■たくさんの音楽を聴いているようですが、ご両親からの影響ですか?
SEKITOVA:両親のほかに母方の祖父がジャズの好事家だったり、トラック制作をはじめた頃知り合った人たちにとてもライブラリがあったり周りからの影響はとても強いと思います。
中学の頃には友だちの母親から立花ハジメやkyoto jazz massiveだとかのCDを貸してもらったりしてました。昔から音楽だけに限らずなにかと大人と接する機会が多かったわけです。
またインターネットの発達で、年代や距離の障壁がより薄くなっていたことも大きな要因の一つですね。なにせいまはとても簡単にレアトラックにアクセスできる時代ですから。
あ、もちろんテクノディフィニティヴも買いましたよ!
■あ、ありがとうございます! 機材は何を使っているんですか?
SEKITOVA:けっこう驚かれるのですが、GaragebandというDAW(DTM)をつかっています。iMacに最初から入っているソフトウェアで、手軽に遊び始めてからずっとこれですね。最近ではほかの有料DAWも色々使ってみたりしたのですが中々慣れなくて・・・。
Garagebandをシーケンサーとして利用してそこに様々なプラグインやソフトシンセを導入する形でやっています。ハード機材が一切ないので2013年はまずMIDIキーボードを入手するところから始めたいです。
■DTMはどうやって学びました?
SEKITOVA:「曲を作ってるうちに出来るようになっていく」というパターンがいちばん多いですね。どうしてもわからないときはインターネットの知恵を借りたりもしますが基本的に面倒くさがりなのでDTM上でだらだらしながら解決策を探す感じです。たまに○○が上手だなんて言われたりもするんですが僕自身技術なんてほとんど勉強したことがないので褒められても言われてる本人はよくわからなかったりします。
■レコードとCDではどちらが好きですか?
SEKITOVA:どちらもいいところがあるので難しいですね......。というかあまり対立させるものでもないのでは、と思ったりもします(あるいはもう対立させて語ってもしょうがないのでは、という考え)。
レコードはやっぱりかっこいいです。よく音質を語る際に「レコードの音には温かみが~~~」なんて言われますが、視覚的にもけっこう温度を持っていると思います。アナログDJの動作なんかはそれだけでヴィジュアライザ要素を果たしてしまうくらいにかっこいいです。
CDは取り扱いの手軽さが良いですね。手軽ゆえにいろいろ工夫が出来たりして、それを考えるのも楽しいです。レコードショップのドッシリ感も好きなのですが、CDショップでたくさんのCDがズラッと無機質に並んでいるのもテクノ感があって素敵です。
■少し前、20代前半の連中に取材したとき、テクノに興味持ってクラブに行っても「30過ぎたおっさんとおばさんしかいなかった」と言われたことがありました。欧米では若年層がメインですが、日本では違います。だから、もし自分がいま20歳前後だったら同じことを思ったかなーと思います。逆に言えばセキトバ君のような若い人がよくテクノを作っているなーと思ったんですが、この音楽のどこが魅力だったんですか? セキトバ君にとってのハウスやテクノの魅力をがんがんに語って下さい!
SEKITOVA:そもそもの話になっちゃうんですけど、僕はテクノをつくってるつもりなんです。DJをするときも作った曲にもどこかしら「ハウス」の文字が入ってしまう僕ですが、ハウスのなかにとてもテクノを感じる曲が好きだし、自分で作るときにも常に頭のなかにはテクノへの憧れと尊敬があります。だから、音的にはハウスかもしれないし、どちらかに言いきっちゃうならばハウスなんですけど、実際ハウスを作っているつもりっていうのはあまりないんです。
僕が好きなテクノっていうのはその曲やアーティストの思想や哲学をついつい深読みしたくなってしまうようなもので、その思想や哲学を理性で考えさせてくれるのではなく、もっと直感的なところで感じさせてくれるものです。
■自分と同世代の人たちにもハウスやテクノを聴いて欲しいと思いますか?
SEKITOVA:常々思っています。
■セキトバ君の世代では、たぶん、洋楽を聴いている子すら少ないと思うのですが、音楽の趣味が合う人はいますか?
SEKITOVA:お察しの通り、同じ年代のDJやアーティストでもなかなか僕の好きなテクノ、ハウスについて一緒に同じ価値観から一晩明かせるような人はいないですね。当然学校にもまったくいないです。僕はポップスやほかのジャンルの音楽にあまり抵抗はないので、こちらから話を合わせることはできるし、話に困ったりすることってそんなにないんですけど、やっぱり自分のいちばん好きなところの話をもっと同世代としていきたいです。
■自分と同世代や自分に近い世代の音楽って、どんなイメージを持っています?
SEKITOVA:これは難しい質問......。というのも音楽を聴くときにあまり年齢を気にして聴いたりはしない(文脈を踏まえて聴く時には勿論必要な情報にはなってきますけど)ので、イメージって言うイメージが特にないんですよね......。
基本的に僕らの世代はもう時代やジャンル関係なくいろんな音楽を聴ける環境なので、いろんなルーツを持ってる人がいて面白いなぁとは思います。
■DJはどういう場所でやっているんですか?
SEKITOVA:すごく真面目に答えるなら風営法をなぞりながら「そもそもクラブとはなにか」ってところから説明をしないといけないのですが、長くなるので、まず先に省略して答えるなら「DJセットがあって、それなりに音が出るところ」ですね。大阪や関西もそうですが、東京でプレイする機会もそれなりにあって、月に一回とかそのくらいのペースで東京に出てきています。現場でDJをやる前はよくustreamなどインターネットでもやっていました。
■IDチェックがあるようなクラブに行けない年齢なわけですが、ハウスやテクノで踊るのも好きなんですよね?
SEKITOVA:むしろそれがいちばん好きです。
■ダブステップ以降のベース・ミュージックだは好きになれなかったんですか?
SEKITOVA:詳しくはないですけど、けっこう聴いたりしますし、嫌いではないです。好きな曲もいっぱいありますよ。ただ長時間聴くのはやっぱり辛いですね。
■とくに影響を受けたDJ /プロデューサーがいたら教えてください。
SEKITOVA:Dave DK、Kink、Tigerskin、Robag Wruhme、Christopher Rau、ADA、Henrik Schwarz
ほかにもたくさんいるんですけど、いつも必ず頭に出てくるのは彼らです。
■80年代や90年代に対する憧れはありますか?
SEKITOVA:これは説明が難しいんですけど、懐古主義的、再興的な意味での憧れは全然ないんです。あくまで自分の理想のサウンドを追求する過程で90年代や80年代の環境や音や世界観が必要になってくるって感じで。だから「80年代や90年代あるいはそれ以前に残されたもの」に憧れはあっても、時代そのものにはあまり憧れはないです。これから後世に憧れられるような時代を僕が作っていけたら素晴らしいですね。
■IDMやエレクトロニカにいかなかったのは、やっぱりダンス・ミュージックが好きだからですか?
SEKITOVA:そんなことないですよ、って思ったけれど、やっぱりそうかも知れないですね。もちろんエレクトロニカもすきですが、それ以上にダンス・ミュージックが好きです。エレクトロニカのような技術をもってダンス・ミュージックのなかに分解再構築が出来ればまた理想のサウンドに一歩近づくので、そう言う意味ではこれからもどんどん制作手法としてIDMやエレクトロニカの研究は続けていきたいです。
■テクノ以外でよく聴く音楽、これから追求してみたい音楽ってありますか?
SEKITOVA:もっと漠然に「趣味」として最近はヒップホップとか、そういう音楽に興味を持っています。仲の良い知り合いにbanvoxってエレクトロのアーティストがいるんですが、彼がとてもヒップホップに詳しくて、そこから情報をいつも得ています。もちろん音楽としても僕の好きなアーティストもBPMが遅くなっていく過程でヒップホップの要素を入れていったり、もともとヒップホップ上がりだったりなんて事もよくある話になってきたので、これからどんどん聴いていきたいです。
■やっぱマルチネ・レコーズの存在は大きかったですか?
SEKITOVA:とても大きいですね。明確な目標のひとつとしても、自分のなかでのトピックとしても、計り知れない大きさがあります。マルチネのサウンドって手広いようで絞られていて、僕がそのなかにいるかどうかって言うと微妙な話なんですが、そのどれもがいろいろな方向に手を伸ばしていて、なおかつ一定以上のクオリティがあってとても影響をうけています。マルチネ主宰のtomadさんなんかはいつも次の一手が気になる存在だし、彼からも大きな影響を受けていますね。
■自分の作った音楽を同級生に聴かせることはありますか? その場合、どんな反応がありますか?
SEKITOVA:限定して言えば、むしろはじめは僕の曲を聴いてくれるのなんて親しい男友だちのふたりだけでしたよ。それ以外はネットにあげてもまったくビューなんて伸びませんでしたし。その彼らがいまだに僕の曲を喜んで聴いてくれるのが「SEKITOVA」にとってもっとも嬉しいことのひとつです。彼らはいつも「すごい」と褒めてくれますが、まぁそれは身近な「僕」の事を知ってくれているからこその評価だと思っています。
本題に戻って答えると、ほか不特定多数の同級生らに自分の音楽を聴かせることはこれまでまったくないですね。僕の名前は龍生って言うんですけど、SEKITOVAと龍生ってある意味では別人というか、なんというかそう言う感覚があって、普段龍生として接している人にSEKITOVAとしての一面を見せる事に違和感が結構あるんですよ。その逆の場合はそうでもないんですけどね。
■曲名はどんな風に決めますか?
SEKITOVA:大体の場合は曲から連想するか、いいなと思った言葉をメモっておいてそこから想起して曲を作るか、です。どうしても出てこない時はツイッターとかで呼びかけてもらった答えからつけたりする場合もあります。
どの場合も基本的に曲を作ってる時間と同じくらい曲名に時間がかかります。曲の世界観をイメージしてその世界の人やモノになりきってインスピレーションを沸かす事がよくあるんですが、たまに親とか姉に見つかって奇異の目でみられます。
■アルバムのタイトル『PREMATURE MOON AND THE SHOOTING STAR』にはどんな意味がありますか?
SEKITOVA:もともと自然現象の名前にしようと思ってたのもありますが、僕のなかで「ノスタルジー」ってなんだろうって考えてたら、だんだん思考がそれちゃって、感傷に浸れるような世界ってなんだろうってことを考えるようになり、そのとき直感で出てきたのが思わず背筋が伸びるような、冬の朝の澄んだ青空に出る月だったんです。いわゆる昼の月というモノなんですけれども。それがビビッときてpremature moonとつけました。あとはさっきも書きましたけど名前が龍生なのでそこから音をとって英訳してshooting starとつけました。
■アルバムの水墨画は何を表しているのでしょうか?
SEKITOVA:「空間」です。これは水墨画という手法に対してなんですけど。絵になったときに浮き上がってくる滲みであったり、基本的には白と黒の2色なんだけれども、濃淡によってとても表情豊かで眩しすぎるほどにその世界観を表してくれるところに、イーヴンキックのミニマルやダブ、そしてテクノの美学と通ずる所を感じて、という具合です。僕の好きな音楽の「空間」を絵画手法的に表すと、水墨画になるなぁと思ったんです。
■DJ/トラックメイカーとしての将来の夢を教えてください。
SEKITOVA:良くも悪くも国内市場が大きくて、ガラパゴス化してしまっているが故の弊害がたくさんある音楽シーンに一石を投じられる存在になれればと思います。
あと、DJとトラックメイクで生きていきたいです。もちろんセルアウト用の大衆主導のものじゃなくて、僕の好きな音楽だけを作り続けて。いろいろな考えがあるとは思いますが、大衆主導の音楽をつくったり、そういうDJしかしないのは、結局どこどこ勤めのサラリーマンと変わんないじゃんって気持ちがあって。もちろんそう言う人たちのことは本当にすごいと思いますし、サラリーマン自体のことも凄いと思っていますし、存在の必要性もわかっていますが、「僕が音楽で生きていくなら」、常にこちらから提示するアーティスティックな方向性でありたいです。
そしていまの日本ではそういう生き方が尋常じゃなく難しいし、僕のやってるジャンルなら尚更も良い所なので、そう言う所のインフラ整備というか道も僕が作っていきたいなと思っています。
......という野望を達成するにはまだまだ実力も経験も足りなさすぎるので、そこをあげていく事が当面の目標です。
■ありがとうございました! 最後に、オールタイムのトップ10 を教えてください。
1. Dave DK - Lights and Colours
2. Akufen - Fabric 17
3. Tigerskin - Torn Ep
4. Daft Punk - Alive 2007
5. Dr.Shingo - Nike+ Improve Your Endurance 2 / initiation
6. Chet Baker - Albert's House
7. MAYURI - REBOOT #002
8. Penguin Cafe Orchestra - Penguin Cafe Orchestra
9. Muse - H.A.A.R.P
10. Underwater - Episode 2
厳選しすぎると10もいかず、ちょっと基準を緩めるとたちまち10どころか50、60となってしまって、この項目だけ1週間くらい悩んだのですが、やっぱりシンプルに思いついた順から答えていこうということで、こんな感じになりました。たぶんまだまだ経験が足りないのだと思います......。なのでトップ10というか、ここに書いてないものでも好きなのはたくさんあります。
1はもう言わずもがな、僕が数少ない神と崇めているDave DKのアルバムです。彼はこのアルバム以外にもとても良い曲をたくさん作ってて、どれも本当に好きで、僕にとてつもない影響を与えています。
2はAkufenによる名門FabricからのDJ MIX。
Akufenといえば"Deck The House"がとても有名で、僕もそこから入ったんですが、こっちを聴いて本当に鳥肌が立ちました。もとより僕はクリック系の音数が少ないテクノやハウスが好きだったのはあるんですが、そこにグルーヴの概念を痛烈に刻み込んでくれたのは間違いなくこのアルバムです。
4はおそらく中学2年生の頃、もっとも聴いたアルバムかもしれません。もともと僕が音楽なんて何も知らなかった頃に親が家でよくかけてたのが彼らの伝説的なアルバム、『Discovery』でした。そういう経緯もあってDaft Punkはどのアルバムもとても好きなんですが、その好きな曲たちがこの1枚に凝縮されてるのがたまらないです。ライヴ盤なので生のグルーヴがあるのが本当に良いです。もちろん出てる音はエレクトロニック・ミュージックに基づいた電子の音で、途中途中のアレンジも事前に仕込んだものとはわかってはいるのですが、それでもお客さんのあげる歓声の熱気や空気感から、最高に生のグルーヴが僕に伝わってくるんです。
7は小学生の頃よく親がかけてました。その頃はうるさくて嫌いだったんですが、あるとき自分から指を伸ばして聴いてみたら、なにかが違って聴こえた感じがしました。ほんとに衝撃というか、いままで意識せずに聴いてきた音楽たちが、その瞬間にすべて脳内でつながった感覚をいまでもよく覚えています。このアルバムのバイオによるとMAYURIさんはセカンド・サマー・オブ・ラヴをリアルタイムで経験していたそうですが、僕にとってのサマー・オブ・ラヴは、間違いなくこのアルバムです。ちなみにこれに入ってるChester Beattyの"Love Jet"ネタのトラックはマジで超ヤバイです!
SEKITOVA
1995年、元旦生まれの高校生トラックメイカー兼DJ。14歳の頃よりDTM でのトラックメイク、16歳でDJとしてのキャリアをスタートさせる。2011 年にはインターネット・レーベル『Maltine Records』よりEP をリリース。その認知度をより深めた。初期には幅広いジャンルの制作を行っていたが次第にルーツであるミニマルテクノやテックハウスにアプローチを寄せるようになる。中でも昨年末にsoundcloudにて発表したアンビエンスなピアノハウストラック『Fluss』は大きな評価を得て、日本のみならずドイツなど本場のシーンからも沢山のアクセスを受けた。DJとしても歌舞伎町Re:animation、新宿でのETARNAL ROCK CITY Fes. への出演など大規模イベントへのブッキングも増えており、これからの活動に期待が寄せられる。
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https://soundcloud.com/SEKITOVA
https://twitter.com/SEKITOVA
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こんにちわ二木信です。嘘です。ニック・グリフィンです。昨年アナウスされた二木信の初の単行本『しくじるなよ、ルーディ』が今週末の18日に発売されます。著者の所業の数々ゆえなのか、政治やデモの本だと勘違いされている方もいるようですが、これはヒップホップの本です。主に、この10年の日本で生まれたヒップホップ・シーンの本と言えましょう。多くのラッパーが登場します。S.L.A.C.K./SEEDA/Killer-bong/田我流/環ROY/鎮座Dopeness/haiiro de rossi/MIC JACK PRODUCTION/SHINGO☆西成/MS......他に、ビッグ・ジョー、ザ・ブルー・ハーブ、デレラ、シミラボなどについての言葉が綴られている。平岡正明やURついて書いたエッセイもある。
日本のなにかしらについて書くとき、日本の内部のみを見ることがその手立てではない。日本の外部すなわち異文化を対立させることによって、内部の空想にひたっているだけでは見えないもうひとつの内部が浮かび上がる。二木信は、彼にとっての内部を照射させるための外部からの知恵を「ファンキー」という言葉で説明している。
「ファンク」は、もうひとつの内部の悦びであり、生命の根源のようなものであり......まあ、とにかく、しくじることを恐れるなってことだ。勝つと思うな~思わば負けよ~と美空ひばりも歌っているように、「どんなにアホっぽく、拙く、荒削りだとしても、自分のスタイルで......(略)」と二木は書いている。
巻末には書き下ろしで、60枚のアルバムが紹介されています。日本のヒップホップに興味がある人、とくにこれからの暗黒時代をファンキーに生きたい方、あるいは街で暴れたい人は手に取りましょう!
戦争中から戦後にかけて、センチメンタリズムは氾濫した。それは、いまだに続いている。しかし、わたしには、その種のセンチメンタリズムは、イデオロギーぬきの生粋のセンチメンタリストに特別にめぐまれているやさしさを、いささかも助長するようなシロモノではなかったような気がしてならない。
──花田清輝
DLカードが入っていたのでアドレスを打ち込んでみたが、何の応答もない。彼ららしい虚偽なのかもしれない。だいたい世相が荒れてくると、人はわかりやすいもの、真実をさもわかった風に言うもの、あるいは勇ましい人、あるいは涙に支配された言葉になびきがちだ。未来はわれらのもの......この言葉は誰の言葉か、ロックンローラーでもラッパーでもない。ヒトラー率いるナチスが歌った歌に出てくるフレーズである。
こんなご時世にロンドンのディーン・ブラントとインガ・コープランドという嘘の名前を懲りずに使用する、ハイプ・ウィリアムスというさらにまた嘘の名前で活動しているふたりの男女は、相も変わらず、反時代的なまでに、嘘しか言わない。希望のひと言ふた言でも言ってあげればなびく人は少なからずいるだろうに、しかし彼らはそんな嘘はつけないとばかりに嘘をつき続けている。
DLカードが虚偽かどうかはともかく、『ザ・ナルシストII』は、ディーン・ブラントを名乗る男が、もともとは昨年冬に(『ブラック・イズ・ビューティフル』とほぼ同時期に)フリーで配信した30分強の曲で、金も取らずに自分の曲を配信するなんて、まあ、そんなことはナルシスティックな行為に他ならないと、間違っても、なるべく多くの不特定多数に聴いて欲しいからなどというつまらない名分を口にしない彼らしい発表のした方を選んだ曲(というかメドレー)だった。それから半年後になって、〈ヒッポス・イン・タンクス〉からヴァイナルのリリースとなったというだけの話だ。
映画のダイアローグのコラージュにはじまり、ダーク・アンビエント~R&Bの切り貼りにパイプオルガン~ヴェイパーウェイヴ風のループ~ギター・ポップ~ノイズ、ダウンテンポ、R&B、アシッド・ハウス......ディーン・ブラントは一貫して、腰が引けた情けな~い声で歌っている......インガ・コープランドと名乗る女性が歌で参加する"ザ・ナルシスト"は、最後に彼女の「ナルシストでした~」という言葉と拍手で終わる......そのとたん、ライターで火を付けて煙を吸って、吐く、音楽がはじまる......。『ザ・ナルシストII』は、時期的にも音的にも『ブラック・イズ・ビューティフル』と双子のような作品だが、こちらのほうが芝居めいている。催眠的で、ドープで、ヒプナゴジックだが、彼らには喜劇的な要素があり、そこが強調されている。
正月の暇をもてあましていたとき、エレキングからネットで散見できる言葉という言葉を読んで、この世界が勝ち気な人たちで溢れていることを知った。勝ち気と自己肯定の雨あられの世界にあって、怠惰と敗北感と自己嘲笑に満ちた『ザ・ナルシストII』は、微笑ましいどころか清々する思いだ。
しかも、正月も明け、ゆとり世代の最終兵器と呼ばれるパブリック娘。が僕と同じようにこの作品を面白がっていたことを知って嬉しかった。音楽を鼓膜の振動や周波数ないしは字面のみで経験するのではなく、それらが脳を通して感知されるものとして捉えるなら、真っ青なジャケにイタリア語で「禁止」と描かれたこの作品の向こうに広がっているのは......苦境を生き抜けるなどという啓蒙すなわち大衆大衆と言いながら媚態を呈する誰かとは正反対の、たんなるふたりのふとどきものの恋愛の延長かもしれない。
2ミニット・ポップとは、2分の間に美しい形式性をともなって完結するポップ・ソングの謂であり、その意味ではここに並んだ22曲の対極にある音楽である。『プロ・ハビタット』の、曲ともいえない、端切れのようなサンプリング・トラックの平均時間はわずかに1分20秒。定形を逃れ、R&Bやジャズやオールディーズなどから任意に摘み取られてきた音の切片が、ヒス・ノイズにまぶされ、スクリューに仕立てられ、ループしながら消えていく。マナーとしてはヒップホップに数えるべきかもしれないが、ここに介在する時間感覚には、そうしたジャンル性を些細な問題へと変えてしまうような鮮やかさがある。たとえば、こうした音の隣りにこそジュリアナ・バーウィックを並べたいと思う。
アーヌことリーランド・ジャクソンによる本作では、トラックの短さにも明瞭に表れているように、ひとつひとつのサンプリングはきわめて散漫に用いられている。何かを構築しようというよりは、吐く息のようにどんどんと前方へ放たれ、飛ばされていくような印象だ。これはバーウィックが声を重ねるのと同じメカニズムではないか。彼女も構築的にハーモニーを生もうとしているのではない。結果的にそれは和音をなしてはいるが、どちらかといえばひとつひとつ息をリリースしているのだと感じさせる。いまそれを体内から放たなければならない。彼女にはなにか一瞬を際限なく際立たせるような働きかけがあり、そのようにして身を離れた音が反響している。彼らに共通するのは、なにか回収のきかない時間性を生みだそうとする、はかなくも挑戦的な取り組みだ。
しかし『プロ・ハビタット』は、その「いま」という時間がたえず「いま」ではなくなりつづけることへの諦めもある。瞬間の象徴として放たれた音の端切れどうしをビートが意図的に撹乱しているように聴こえないだろうか。アブストラクトなビートは、一瞬一瞬を単調には切り分けられない唯一無二なものとして演出するようでいて、その実、唯一無二な一瞬(=音の端切れどうし)を単調にくっつけている。バーウィックにおける音の一片が、「いま」が永遠に「いま」であるという矛盾を成立させようとする祈りであるならば、アーヌのそれは自身のビートによって断念された「いま」のむくろとも言えるだろう。しかしその心のうちにはバーウィックの影ともなる、相似した時間感覚が広がっている。
あらゆるものがネットワーク上で相対化されるように、アーヌの音もそこで時間を失う。その顛末を儀式として22回再現したような作品だ。
リリースはデジタルとカセットで〈WTR CLR〉から。ダスティン・ウォンやジェイソン・ユリックの作品もリリースするレーベルだが、全曲無料試聴とダウンロードが可能だ。フリーの視聴環境を舞台とするアーティストたちに彼もまた連なっている。アーヌ自身は昨年はじめにもう1作品『カフ(咳)』というタイトルもあり、「息」の連想がそう間違ってもいないことがわかるだろう。
初めまして。THE NOVEMBERSというバンドで活動をしている小林祐介です。2012年によく聴いた(最近よく聴いている)ものを選びました。今回書かせていただいたチャートを見返すと、個人的に2012年は新たなアーティストとの出会いは少なかったように思いました。(Wild Nothingはele-kingで知りましたが。)
あと、3/10が4ADという結果的な贔屓っぷりにも驚きです。
Chart
![]() 1 |
Godspeed You! Black Emperor - Allelujah! Don't Bend! Ascend! (Constellation) |
|---|---|
![]() 2 |
Wild Nothing - Nocturne (Captured Tracks) |
![]() 3 |
Chairlift - Something (Columbia) |
![]() 4 |
Flying Lotus - Until The Quiet Comes (Warp) |
![]() 5 |
Ariel Pink's Haunted Graffiti - Mature Themes」 (4AD) |
![]() 6 |
THA BLUE HERB - TOTAL (THA BLUE HERB RECORDINGS) |
![]() 7 |
Grimes - Visions (4AD) |
![]() 8 |
Scott Walker - Bish Bosch (4AD) |
![]() 9 |
OGRE YOU ASSHOLE - 100年後 (VAP) |
![]() 10 |
Beach House - Bloom (Sub Pop) |
現京都在住です。
DJ予定
2013/1/19(FRI)GADOGADO@某所(大阪)
2/1(FRI)@fab-space(姫路)
2/3(SUN)BLACK HALL番外編@BLACK BOXxx(京都)
2/10(SUN)@bar txalaparta(徳島)
https://www.almadella.jp/
https://rillamadella.blogspot.com/
https://www.twitter.com/rilla_
2012年ベスト(順不同)
![]() 1 |
Dino Sabatini - Shaman's Paths - Prologue |
|---|---|
![]() 2 |
Alex Coulton - Bounce - Dnuos Ytivil |
![]() 3 |
Shackleton - Music For The Quiet Hour/The Drawbar Organ Eps - Woe To The Septic Heart! |
![]() 4 |
Keihin - This Heat - Almadella |
![]() 5 |
Shapednoise - Features Vol.2 - Repitch |
![]() 6 |
Deadbeat - Eight - Blkrtz |
![]() 7 |
Phrasis Veteris ? Humble Ep - All Inn Black |
![]() 8 |
Shifted - Crossed Paths - Mote Evolver |
![]() 9 |
Pushim - The Great Songs - KRE |
![]() 10 |
Marter - Finding & Searching - Jazzy Sport |
明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。
2013年最初は、去年の11月にアクシデント(ハリケーン・サンディで家から出れず、自力で歩いて行った。往復4時間!)で、初めて行った、ファースト・サタデイズをレポートする。
ファースト・サタデイズは、その名前の通り毎月最初の土曜日にブルックリン・ミュージアムで行われるイベントで、スポンサーはターゲット。入場料からアトラクションすべてがフリー。
https://www.brooklynmuseum.org/visit/first_saturdays.php

ブルックリン・ミュージアム外観
前回は、そこでブルックリン・バンドのSavoir Adore(サヴォア・アドア)を観たり、展示作品やシアター上映も体験でき、一日いても飽きず、もういちど行きたくなるイヴェントである。
今回のメイン・バンドはDas Racist (ダス・レイシスト)のheemsのソロ。その他、東ヨーロッパのジプシー・ミュージック、ダンス・パフォーマンス・アート、ヒップホップ・ワークショップ、アートの新しい見せ方、「ウォール街を占領せよ」についてのトークなど、盛りだくさん。
筆者の目当ては、Prince Rama(プリンス・ラマ)とLez zeppelin(レッズ・ツェッペリン)。

本イヴェントのフライヤー
プリンス・ラマは美人姉妹によるサイケデリック・アートなブルックリン・バンド(https://princerama.tumblr.com/)。レッズ・ツェッペリンは、レッド・ツェッペリンの女の子カヴァー・バンド(https://www.lezzeppelin.com/)。
残念ながらプリンス・ラマは逃してしまったのだが、レッズ・ツェッペリンのパフォーマンスに圧倒され、すべてがぶっ飛んでしまった。実際のレッド・ツェッペリンを観たことがないのでとやかく言えないのだが、理解できたのは、ツェッペリンの音楽を男女の壁を超えて最もパワフルに、情熱的に表現したのが、彼女たちであるということだ。

終演後のレッズ・ツェッペリン
この現代において、パンタロンである。ソバージュである。ヘソ見せである。フラワー・チルドレンである。王道を行く音楽は、観客(+子供たち)にとどまらず、ミュージアム中の人たちをトリコにし、至るところでダンスに狂喜している集団が見えた。終わった後の取り巻きの多さもさすが(警備員も総出)。小さな女の子3人が、「あなたたちみたいなロック・バンドになりたいです!」とみんなで挨拶に行っていたのが微笑ましかった。これぞ、正しいロック・バンドの姿。

4Fからの眺め
ミュージアムのなかを散策すると、4Fまで、展示物やペインティング、家一軒のミニチュアなど、目の保養、発見で有意義な時間を過ごせ、4Fからは吹き抜けの3Fが見え、ダンス・パフォーマンスを観ることもできるので、ミュージアム鑑賞だけでも十分楽しい。人が多すぎるのと、ドリンクが高い(缶のハイネケンが$6!)のが難点だが、フリーだし、月1回の娯楽として大いに利用させていただきたい。こんなイヴェントを開催してくれるブルックリン・ミュージアムとターゲットに感謝。

展示されたスケートボード
さて、2013年。スポンサーの助けを借りて娯楽を提供しながら、DIYの本拠地はよい方向に動いている。
サイレント・バーン(https://m.facebook.com/silentbarn)が再オープンし、マーケット・ホテル(https://markethotel.org/)もそれに追いつく勢い、さらにブルックリンのブッキング王、トッド・Pも新しい会場をブシュウィックにオープン予定。2013年もいろんなDIY音楽情報他、ランダムにお届けできるように走り回る予定ですので、サポートよろしくお願いします。


二木信評論集 ──しくじるなよルーディ
