「IR」と一致するもの

Scrimshire - ele-king

 これまで浪人アーケストラジ・エクスパンジョンズをリリースしてきた南ロンドンの〈Albert's Favourites〉が、レーベル主宰者であるアダム・スクリムシャーのオリジナル・アルバムをリリースする。スクリムシャーは様々な楽器を弾きこなし、自ら歌うこともでき、プロデュースもDJもどんとこいという多彩な音楽家。今回のアルバムには、ジョージア・アン・マルドロウチップ・ウィッカム、トランペッターのエマ・ジーン・ザックレイらが参加しているとのこと。発売は10月9日。

Scrimshire
Listeners

“現代のニーナ・シモン”とも称される Georgia Anne Muldrow に、新世代UKジャズ期待のトランぺッター Emma-Jean Thackray も参加!!
注目のUKジャズ・レーベル〈Albert's Favourites〉の主宰者でもある Scrimshire が才能を遺憾なく発揮させたオリジナル・アルバムをリリース!!

Official HP: https://www.ringstokyo.com/scrimshire

ヴォーカリスト、マルチインストゥルメンタリスト、プロデューサー、そしてDJでもあるアダム・スクリムシャーは、アコースティック・ギターで弾き語りもすれば、数々の名リエディットでも知られる、マルチな才能に恵まれた真の音楽家。スクリムシャー名義でのソロ作はそんな彼の豊かな音楽的素養が遺憾なく発揮された素晴らしい内容です。rings で紹介したマーク・ド・クライヴ・ロウ、ジ・エクスパンジョンズやイル・コンシダードのメンバーも参加した間違いない一枚! (原 雅明 rings プロデューサー)

アーティスト : SCRIMSHIRE (スクリムシャー)
タイトル : Listeners (リスナーズ)
発売日 : 2019/10/9
価格 : 2,400円 + 税
レーベル/品番 : rings (RINC58)
フォーマット : CD

Tracklist :
1. Theme for Us (feat. Joshua Idehen & Chip Wickham)
2. The Socials (feat. Soothsayers)
3. Life Is Valuable (feat. James Alexander Bright)
4. Before
5. After (feat. And Is Phi)
6. I Never (feat. Madison McFerrin)
7. Won't Get Better (feat. Emma-Jean Thackray)
8. Don't Stop Here (feat. Ego Ella May)
9. Thru You (feat. Georgia Anne Muldrow)
& Bonus Track 2曲収録予定!!

ロンドンで感じた熱いヴァイブス - ele-king

■ 2019年8月16日 午前7時

 トランジットのバンコクから12時間のフライトを経て、ヒースロー空港に到着した。バンコクの30度超えと高湿度から、ダウンが必要な寒さへ。寒暖差による疲労と、その前の中国ツアーの疲れもあって、空港ホテルで仮眠をとることにした。

 今回のメイン・イベントは、Bussey Building で開催されるサウンド・クラッシュだ。ジャンルを超えた異種格闘技のようなクラッシュに、日本からは Eastern Margins として Tohji、Taigen Kawabe (Bo Ningen / Ill Japonia) と僕が参加することになった。

 Whatsapp と LINE を使いながらサウンド・クラッシュについて連絡を取り合う。事前にオンラインでの打ち合わせのみだったものの、Double Clapperz の相方の UKD の制作と Taigen さんのアイディア、Tohji のラップが噛み合い、準備はなんとか間に合った。

 その日の午後には最終の打ち合わせのため、東ロンドンのダルストンに向かった。サウンド・クラッシュのヘッドライナーの Tohji とは、2年半ほど前にメールをもらって以来の付き合いだ。拠点としているのが西東京の近いエリアだとわかり、色々遊んだり制作したりしていた。また、Taigen Kawabe さんはこの機会で初めてお会いすることができた。


■ 2019年8月16日 午後5時


(左:てぃーやま、右:Yaona Sui)

 打ち合わせのためダルストンで Taigen さんと、Tohji と Tohji チームのてぃーやま(@k11080)と Yaona Sui(@llllllll.llllllll.llllllll)と合流。打ち合わせがひと段落したところで、Taigen さんからダルストンの移り変わりの激しさを聞いた。古くはレイヴの街として知られており、The Albi や Birthdays、Dance Tunnel といった小さなクラブも軒を連ねていたが、再開発等の理由で閉店してしまったという。確かに昨年訪れたときに比べて、新しい建物が増えて街並みのカラーが変わってきたなと感じた。

 その足で、NTS Radio のスタジオがある Gillet Square に向かった。NTS Radio はロンドンを拠点とした、アンダーグラウンドからメインストリームまで、さまざまなアーティスト、ミュージシャン、ラッパーに開かれたラジオ局だ。Aphex Twin が特別番組をやったり、Mixpak、Denzel Curry、Onra、Bone Soda などさまざまなジャンルのアーティストがレジデントを担当するなど、ロンドンの音楽シーンの中心的なラジオ局である。

 スタジオの目の前はスケートができる公園になっていて、オープンな場所になっている。公園でたむろする人びとを横目に、ロンドンに帰ってきたなと感じながらスタジオに入った。


(Photo from NTS Radio)

https://www.nts.live/shows/guests/episodes/tohji-16th-august-2019

 ラジオでは Tohji が制作にインスパイアを受けた曲や Twitter でファンが作ったマッシュアップ動画を紹介していた。いい意味で肩の力が抜けていて、ふざけながら放送をしていて、あっという間の時間だった。

 放送中なによりも驚いたのは、日本時間では深夜3時の放送にもかかわらず多くの日本のファンがリアルタイムで聴いていたことだ。彼が起こしている熱狂を感じた。

■ 2019年8月16日 午後11時

 ラジオが終わった足でそのままサウンド・クラッシュが開かれるペッカムに向かう。パーティを主催した Eastern Margins は、Lumi が主催するロンドンのレギュラー・パーティだ。以前紙版の ele-king コラムでも紹介させていただいたが、ロンドンに住むアジア系の人々に対してスペース・居場所を作るというコンセプトでスタートしている。今回はスペシャルな一晩としてサウンド・クラッシュが開催された。会場となった南ロンドンのペッカムの Bussey Building にはサウンド・クラッシュを楽しみにした約500人のお客さんが来場した。ロンドンの普通のクラブでない場所でおこなわれたイベントで、この規模はかなり驚きだ。


(Photo by @asiangirrlfriend

 お客さんの中にはアジア系を含め、セクシュアリティやエスニシティの多様なお客さんがいて、Eastern Margins が実践する「セーファー・スペース・ポリシー」に則って、みんなが居やすい場所となっていると感じた。以前ベルリンのクラブ OHM でプレイしたときの空気に近かった。

 クラッシュの内容は、TT (fka Tobago Tracks) がグライム・ベースラインをプレイし、ICEBOY VIOLET や M.I.C といったMCが口撃すると、〈Warp〉からデビューした Gaika が率いる The Spectacular Empire がクラシックなダンスホール・スタイルで応戦。Kamixlo 率いる Ángeles y Demonios はハードコアな4つ打ちで盛り上げるなど、ジャンルを超えたサウンド・クラッシュが熱を帯びた。お客さんもそれぞれのジャンルを受け入れつつ、ダブやMCに盛り上がっていった。


(Photo by @asiangirrlfriend

 Taigen Kawabe のソロ・プロジェクト ILL JAPONIA のラフなライヴと、Tohji のUKデビュー・ライヴでは満員のフロアの注目を集めた。Tohji の英語の「俺たちはモールからやってきた、わかるだろ、俺はモール時代のリーダーなんだよ」という言葉はお客さんにも刺さったように見えた。確かにショッピングモールは世界中のどこにでもあるし、そのバックグラウンドから生まれるヴァイブスは、国境を越えて共有できるものだ。シンプルな彼のメッセージが海を越えてロンドンの若者と共鳴している感じがした。

 3時間に及ぶサウンド・クラッシュを制したのはMCが入り乱れて盛り上げた地元のクルー TT。彼らの優勝をフロアが拍手で称えた。お互いを認め合う雰囲気が溢れた素晴らしい一晩だった。
 長い1日の疲労感と達成感を感じつつ、Uber を捕まえてホテルに帰ったのは朝の7時だった。

■ 2019年8月24日 午後5時

 サウンド・クラッシュで出会った M.I.C は、TT の一員としてエネルギー溢れるMCを披露していた。そんな彼が、Reprezent ラジオでのショーに招待してくれた。Reprezent ラジオは Brixton Pop という場所にある。蒸し暑い地下鉄を乗り継いで、Brixton に向かった。


(手前が KIBO (237 mob)、奥が M.I.C

 ジャマイカ系やアフリカ系のルーツを持つ人びとが多く暮らすこのエリアでは、翌日から開催予定のカーニヴァルを前にして賑わいにあふれていた。Reprezent Radio のラジオ局がある Brixton Pop でも屋台やサウンドシステムのステージが大盛況で、そんな街のエネルギーに押されてか、M.I.C と 237 mob の KIBO との2時間セッションも熱に溢れたセットとなった。ライヴセットやサイドMCで鍛えられたフリースタイルとふたりのエネルギーには感嘆するばかりだった。

 約1週間のロンドン滞在の端々で感じたのは、他のクルーに対するリスペクトだ。例えばセッションした M.I.C が「言葉はわからないけど Tohji は凄くよかったよ、(対戦相手ではなくて)お客さんとして見たかったよ」と言ってたように、お互いが違う生まれ育ち、違う言語を話すことをリスペクトして、言語や違いを超えたヴァイブスを共有するという姿勢が感じられた。

 言葉やバックグラウンドの違いを認め合い、それぞれをリスペクトした上で、共有できるヴァイブスを掴みにいく。インターネットで分断された時代に、感性を通じて繋がれる。そんなアイディアをロンドンで見つけたような気がした。

Tohji - ele-king

 先日リリースされた初のミックステープ『angel』が話題の Tohji が、同作収録曲“Snowboarding”(prod. by MURVSAKI)のMVを公開した。監督を務めているのは、『angel』のアートワークを担当した Anton Reva で、Tohji の属する Mall Boyz のプロダクション・チームによって制作されており、ダークなトラックとリンクした独特の雰囲気を携えている。要チェックです。

Tohji による話題の 1st Mixtape 『angel』から、カバーアートを担当した Anton Reva ディレクションによる “Snowboarding” のミュージック・ビデオがリリース

8月7日にリリースされ、シーンを超えて大きな話題を呼んでいる Tohji の1st Mixtape 『angel』から、“Snowboarding” のミュージック・ビデオが9月1日19時に公開される。

Mixtape のティーザー時点から高い注目を集めていた、カバーアートを担当したアートディレクター Anton Reva によるディレクション、Mall Boyz のプロダクションチームによって本MVは制作。

日本を代表するトラックメーカーである MURVSAKI によって作られた、不気味ながらもハードなトラックに Tohji ならではのフローが加えられているこの楽曲。ミュージック・ビデオでは我々には馴染んだよくある景色がディレクター独自の解釈で切り取られ、Tohji の姿と共にデジタルとアナログ両方の手法で再構築されることにより、他のアーティストでは表現できない唯一無二の雰囲気を醸し出している。

ベトナム・ハノイを拠点とする気鋭の映像制作チーム、ANTIANTIART による「HI-CHEW」のミュージック・ビデオに続き、Post Malone や Rejjie Snow を手がけるロシア人アートディレクター Anton Reva による2つ目のビデオ公開となったが、この後も何曲か収録曲のビデオ公開が予定されているため、今後もグローバルにクリエイティビティの幅を広げ続ける Tohji と Mall Boyz の動きから目が離せない。

“Snowboarding” MV
https://youtu.be/oeZUDIRPl6M

クレジット
Director/Editor: Anton Reva https://www.instagram.com/savemymind
Producer: Keiichi Toyama
Production Assistant: Yaona Sui https://www.instagram.com/llllllll.llllllll.llllllll

Mika Vainio Tribute - ele-king

 電子音楽の前進に多大なる貢献を果たしながら、惜しくも2017年に亡くなってしまったミカ・ヴァイニオ。きたる10月19日に、怒濤の《WWW & WWW X Anniversaries》シリーズの一環として、彼のトリビュート公演が開催されることとなった。会場は WWW X で、発案者は池田亮司。彼とカールステン・ニコライのユニット cyclo. や、行松陽介、Haruka など、そうそうたる面子が出演する。パン・ソニックをはじめ、さまざまなプロジェクト/名義でエレクトロニック・ミュージックの最前線を切り開いてきたミカの面影をしのびつつ、出演者による音の追悼を体験しよう。

WWW & WWW X Anniversaries "Mika Vainio Tribute"

極北の中の極北、電子音楽史に名を残すフィンランドの巨星 Mika Vainio (Pan Sonic) のトリビュート・イベントが Ryoji Ikeda 発案の元、WWW X にて開催。Mika Vainio とコラボレーション・ライブも行った同世代の Ryoji Ikeda と Alva Noto とのユニット cyclo. の8年ぶりの東京公演が実現、欧州やアジアでも活躍中の行松陽介と Haruka 等が出演。

テクノイズ、接触不良音楽、ピュア・テクノ、ミニマルとハードコアの融合、といった形容をされながら、90年代初期に Ilpo Väisänen (イルポ・ヴァイサネン)とのデュオ Pan Sonic の結成と同時に自身のレーベル〈Sähkö〉を立ち上げ、本名名義の他、Ø や Philus といった名義で、インダストリアル、パワー・エレクトロニクス、グリッチ、テクノ、ドローン、アンビエント等の作品を多数リリース、アートとクラブ・ミュージックのシーンをクロスオーバーした実験電子音楽のパイオニアとして、2017年の逝去後も再発や発掘音源のリリースが続き、新旧の世代から未だ敬愛され、後世に絶大な影響を与える故・Mika Vainio (ミカ・ヴァイニオ)。本公演では昨年音源化が実現し、〈noton〉よりリリースされた Mika Vainio とコラボレーション・ライブも行った Ryoji Ikeda の発案の元、Mika Vainio のトリビュート企画が実現。同じくそのコラボレーション・ライブに参加し、〈noton〉主宰の Carsten Nicolai (Alva Noto) が来日し、2人のユニット cyclo. で出演が決定。DJにはここ数年欧州やアジア圏でもツアーを行い、ベルリン新世代による実験電子音楽の祭典《Atonal》にも所属する行松陽介と、DJ Nobu 率いる〈Future Terror〉のレジデント/オーガナイザーであり、プロデューサーでもある Haruka が各々のトリビュート・セットを披露する。 ピュアなエレクトロニクスによる星空のように美しい静閑なサウンドス・ケープから荘厳なノイズと不穏なドローンによる死の気配まで、サウンドそのものによって圧倒的な個性を際立たせる Mika Vainio が描く“極限”の世界が実現する。追加ラインナップは後日発表。

WWW & WWW X Anniversaries "Mika Vainio Tribute"
日程:2019/10/19(土・深夜)
会場:WWW X
出演:cyclo. / Yousuke Yukimatsu / Haruka and more
時間:OPEN 24:00 / START 24:00
料金:ADV¥4,300(税込 / オールスタンディング)
チケット:
先行予約:9/7(土)12:00 〜 9/16(月祝)23:59 @ e+
一般発売:9/21(土)
e+ / ローソンチケット / チケットぴあ / Resident Advisor
※20歳未満入場不可・入場時要顔写真付ID / ※You must be 20 or over with Photo ID to enter.

公演詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/011593.php

Mika Vainio (1963 - 2017)

フィンランド生まれ。本名名義の他、Ø や Philus など様々な別名義でのソロ・プロジェクトで〈Editions Mego〉、〈Touch〉、〈Wavetrap〉、〈Sähkö〉など様々なレーベルからリリースを行う。80年代初頭にフィンランドの初期インダストリアル・ノイズ・シーンで電子楽器やドラムを演奏しはじめ、昨今のソロ作品はアナログの暖かさやエレクトロニックで耳障りなほどノイジーなサウンドで知られているが、アブストラクトなドローンであろうと、ミニマルなアヴァン・テクノであろうと、常にユニークでフィジカルなサウンドを生み出している。また、Ilpo Väisänen とのデュオ Pan Sonic として活動。Pan Sonic は自作・改造した電子楽器を用いた全て生演奏によるレコーディングで知られ、世界中の著名な美術館やギャラリーでパフォーマンスやサウンド・イスタレーションを行う。中でもロンドンのイーストエンドで行った警察が暴動者を鎮圧する時に使う装置に似た、5000ワットのサウンドシステムを積んだ装甲車でのギグは伝説となっている。ソロや Pan Sonic 以外にも、Suicide の Alan Vega と Ilpo Väisänen とのユニット VVV、Vladislav Delay、Sean Booth (Autechre)、John Duncun、灰野敬二、Cristian Vogel、Fennesz、Sunn O)))、 Merzbow、Bruce Gilbert など、多数のアーティストとのコラボレーション、Björk のリミックスも行う。2017年4月13日に53歳の若さで永眠。Holly Heldon、Animal Collective、NHK yx Koyxen、Nicholas Jaar、Bill Kouligas (PAN) など世界中の世代を超えたアーティストたちから、彼の類稀なる才能へ賛辞が贈られた。
https://www.mikavainio.com/


Photo: YCAM Yamaguchi Center for Arts and Media

cyclo.

1999年に結成された、日本とドイツを代表するヴィジュアル/サウンド・アーティスト、池田亮司とカールステン・ニコライ(Alva Noto)のユニット cyclo.。「サウンドの視覚化」に焦点を当て、パフォーマンス、CD、書籍を通して、ヴィジュアル・アートと音楽の新たなハイブリッドを探求する現在進行形のプロジェクト。2001年にドイツ〈raster-noton〉レーベルより1stアルバム『. (ドット)』を発表。2011年には前作より10年振りとなる2ndアルバム『id』、そして同年、ドイツのゲシュタルテン出版より cyclo. が長年リサーチしてきた基本波形の可視化の膨大なコレクションを体系化した書籍『id』を出版。
https://youtu.be/lk_38sywJ6U

Ryoji Ikeda

1966年岐阜生まれ、パリ、京都を拠点に活動。 日本を代表する電子音楽作曲家/アーティストとして、音そのものの持つ本質的な特性とその視覚化を、数学的精度と徹底した美学で追及している。視覚メディアとサウンド・メディアの領域を横断して活動する数少ないアーティストとして、その活動は世界中から注目されている。音楽活動に加え、「datamatics」シリーズ(2006-)、「test pattern」プロジェクト(2008-)、「spectra」シリーズ(2001-)、カールステン・ニコライとのコラボレーション・プロジェクト「cyclo.」(2000-)、「superposition」(2012-)、「supersymmetry」(2014-)、「micro | macro」(2015-)など、音/イメージ/物質/物理的現象/数学的概念を素材に、見る者/聞く者の存在を包みこむ様なライブとインスタレーションを展開する。これまで、世界中の美術館や劇場、芸術祭などで作品を発表している。2016年には、スイスのパーカッション集団「Eklekto」と共に電子音源や映像を用いないアコースティック楽器の曲を作曲した新たな音楽プロジェクト「music for percussion」を手がけ、2018年に自主レーベル〈codex | edition〉からCDをリリース。2001年アルス・エレクトロニカのデジタル音楽部門にてゴールデン・ニカ賞を受賞。2014年にはアルス・エレクトロニカがCERN(欧州原子核研究機構)と共同創設した Collide @ CERN Award 受賞。
https://www.ryojiikeda.com/

Carsten Nicolai (Alva Noto)

本名カールステン・ニコライ。1965年、旧東ドイツのカールマルクスシュタット生まれ。ベルリンを拠点にワールドワイドな活動を行うサウンド/ビジュアル・アーティスト。音楽、アート、科学をハイブリッドした作品で、エレクトロニック・ミュージックからメディア・アートまで多彩な領域を横断する独自のポジションを確立し、国際的に非常に高い評価を得ている。彼のサウンド・アーティストとしての名義がアルヴァ・ノトである。ソロ活動の他、Pan Sonic、池田亮司との「cyclo.」、ブリクサ・バーゲルトなど注目すべきアーティストたちとのコラボレーションを行い、その中でも、坂本龍一とのコラボレーション3部作『Vrioon』『Insen』『Revep』により、ここ日本でも一躍その名を広めた。2016年には映画『レヴェナント:蘇りし者』(アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督)の音楽を坂本龍一、ブライス・デスナーと共同作曲し、グラミー賞やゴールデン・グローブ賞などにノミネートされた。また、1996年に自主レーベル〈Noton〉をByetone 主宰の〈Rastermusic〉と合併し〈Raster-Noton〉として共に運営してきたが、2017年に再解体し、Alva Noto 関連の作品をリリースする〈Noton〉を再始動。
https://www.alvanoto.com/

行松陽介 (Yousuke Yukimatsu)

2008年 SPINNUTS と MITSUKI 主催 KUHIO PANIC に飛び入りして以降DJとして活動。〈naminohana records〉主催 THE NAMINOHANA SPECIAL での KEIHIN、DJ NOBU との共演を経て親交を深める。2014年春、千葉 FUTURE TERROR メインフロアのオープンを務める。2015年、goat のサポートを数多く務め、DOMMUNE にも出演。PAN showcase では Lee Gamble と BTOB。Oneohtrix Point Never 大阪公演の前座を務める。2016年 ZONE UNKNOWN を始動し、Shapednoise、Imaginary Forces、Kamixlo、Aïsha Devi、Palmistry、Endgame、Equiknoxx、Rabit を関西に招聘。Arca 大阪公演では Arca が彼の DJ set の上で歌った。2017年、2018年と2年続けて Berlin Atonal に出演。2018年から WWW にて新たな主催パーティー『TRNS-』を始動。Tasmania で開催された DARK MOFO festival に出演。〈BLACK SMOKER〉からMIX CD『Lazy Rouse』『Remember Your Dream』を、イギリスのレーベル〈Houndstooth〉のA&Rを手掛ける Rob Booth によるMIXシリーズ Electronic Explorations にMIXを、フランスのレーベル〈Latency〉の RINSE RADIO の show に MIX を、CVN 主催 Grey Matter Archives に Autechre only mix を、NPLGNN 主催 MBE series に MIX TAPE『MBE003』を、それぞれ提供している。
https://soundcloud.com/yousukeyukimatsu
https://soundcloud.com/ausschussradio/loose-wires-w-ausschuss-yousuke-yukimatsu

Haruka

近年、Haruka は日本の次世代におけるテクノDJの中心的存在として活動を続けている。26歳で東京へ活動の拠点を移して以来、DJ Nobu 主催のパーティ、かの「Future Terror」のレジデントDJおよび共同オーガナイザーとして、DJスキルに磨きをかけてきた。彼は Unit や Contact Tokyo、Dommune など東京のメジャーなクラブをはじめ、日本中でプレイを続けている。また、フジロックや Labyrinth などのフェスでのプレイも経験。Haruka は、緻密に構成されたオープニング・セットからピークタイムのパワフルで躍動感のあるテクノ・セット、またアフターアワーズや、よりエクスペリメンタルなセットへの探求を続ける多才さで、幅広いパーティで活躍するDJだ。このような彼特有の持ち味は、Juno Plus へ提供したDJミックスや Resident Advisor、Clubberia のポッドキャスト・シリーズにも表れている。ここ数年都内で開催されている Future Terror ニューイヤー・パーティでは長時間のクロージングセットを披露、2017年にはロンドン・ベルリン・ミュンヘン・ソウル・台北・ホーチミン・ハノイへDJツアーを行なうなど、着実に活動の場を広げている。
https://soundcloud.com/haruka_ft
https://soundcloud.com/paragraph/slamradio-301-haruka

Telefon Tel Aviv - ele-king

 2001年のファーストと2004年のセカンドでエレクトロニカの歴史に大きな足跡を残したシカゴのテレフォン・テル・アヴィヴ。片割れのチャールズ・クーパーの死により活動休止状態にあった同プロジェクトが、もうひとりのヨシュア・ユースティスによって再始動させられたのが2016年で、同年あらためて〈Ghostly〉から再発されたファーストは異例のヒットを飛ばし、ヴィジブル・クロークスなどが台頭する下地を用意したとも言える。そして活動20周年を迎える今年、ついにテレフォン・テル・アヴィヴの新たなアルバムがリリースされる運びとなった(ちなみにこの間、ヨシュアはセカンド・ウーマンとして2枚のアルバムを発表)。現在、新曲“a younger version of myself,”のMVが公開中。

Telefon Tel Aviv の 9/27 リリースの10年ぶりのニュー・アルバムから“a younger version of myself,”のMVが公開

Telefon Tel Aviv が活動20周年となる今年、実に10年ぶりにリリースする通算4作目にして Joshua Eustis 1人となってからは初のアルバム『Dreams Are Not Enough』からセカンド・シングルとなる「a younger version of myself,」のMVを公開致しました。

Telefon Tel Aviv – “a younger version of myself,” (Official Video)

Director – Lance Drake
Executive Producer – Austin Simons
Producer – David Ledwith
Cinematographer – Joshua Zucker-Pluda
AC – Nobuyoshi Sakurai
Gaffer – Drew Valenti
PA – David Stokes
Editor – Jeremiah Mayhew
AI Artist – Michail Rybakov (https://rybakov.com/)
Colorist – Bryan Smaller at Co3
Production Company – Wrong Creative

圧倒的なセンスでゼロ年代のエレクトロニカ・シーンを牽引し、今日においてもその評価を高め続け、2017年に行われた来日公演(東京公演はソールドアウト)ではそのアップデートしたサウンドで衝撃を走らせた Telefon Tel Aviv が、活動20周年となる2019年、実に10年ぶりとなる通算4作目にして Joshua Eustis 1人となってからは初のアルバムを完成!!

今は無き名門〈Hefty〉から『Fahrenheit Fair Enough』『Map Of What Is Effortless』をリリースして、USのエレクトロニカを代表する存在となり、2009年にベルリンのDJ/プロデューサー、Ellen Allien 主宰のレーベル、〈Bpitch Control〉から3作目『Immolate Yourself』をリリース。しかしその直後に Charles Cooper が突然他界。1人となった Josh Eustis は Telefon Tel Aviv としての活動を停止する。その後は Nine Inch Nails や Puscifer のライヴのサポート・メンバーとしての活動や、ソロ・プロジェクト、Sons of Magdalene、Belong の Turk Dietrich とのユニット、Second Woman、Vatican Shadow や Drab Majesty、Tropic Of Cancer などの作品への参加など、メジャーからアンダーグラウンドまで多岐に渡る活動をしてきた。

そういった活動を経て、2016年に遂に Joshua 1人で Telefon Telefon Aviv を再始動。廃盤となっていたファースト・アルバムを〈Ghostly〉から再発。2017年にはセカンドの再発に加え、およそ8年ぶりとなる新曲も披露し、同年9月にはおよそ11年ぶり2度目の来日にして、初の国内ヘッドライン公演を行い、東京公演はソールド・アウト。その漆黒の衝撃的なパフォーマンスでオーディスンスを震撼させた。

そして活動20周年となる2019年、遂に10年ぶりとなる4作目にして Joshua 1人となってからは初となるアルバム『Dreams Are Not Enough』を完成。もちろんこれまでの作品の延長線上であるが、10年間の経験を経て、よりアップグレードした作風をみせている。本作は損失、怒り、そして年齢についてのストーリーについて書かれており、Telefon Tel Aviv らしいハイパーモダンなサウンド・デザインとスモーキーで夜を想起させるエモーションは、より鮮やかになった印象。

ダークでメランコリックなムードが漂う中、アブストラクト且つ瞑想的な世界観にミステリアスなモダンポップ・テイスト~インダストリアルが融合し、蒸気のようなメロディとヴォーカル、そして複雑なリズムと反復を操りながら構築される、最新の Telefon Tel Aviv サウンドに固唾を呑むこと必至。
図太く重厚でありながら、無駄が削ぎ落とされたストイックで孤高のサウンド。その美しくエモーショナルな音像に否応なしに引き込まれる。

Artist: Telefon Tel Aviv
Title: Dreams Are Not Enough
Cat #: ARTPL-118
Format: CD / Digital
Release Date: 2019.09.27
Price (CD): 2,000 yen +税
解説: 小野島 大
※ 歌詞・対訳付き
※ 正方形紙ジャケット仕様
※ 特典〈Ghostly〉レーベル・ロゴ・ステッカー付き

TRACK LIST:
01. I dream of it often:
02. a younger version of myself,
03. standing at the bottom of the ocean;
04. arms aloft,
05. mouth agape,
06. eyes glaring,
07. not seeing,
08. not breathing,
09. still as stone in a watery fane.

Floating Points - ele-king

 これまた2019年の重要作となりそうなタイトルの登場だ。フローティング・ポインツが待望のニュー・アルバム『Crush』を10月18日にリリースする。4年前のファースト・アルバム『Elaenia』以降、「Kuiper」や『Reflections』ではバンドを結成し、ロック的なアプローチに取り組んできたフローティング・ポインツだけれど、この7月にリリースされたシングル「LesAlpx / Coorabell」で彼は一気にダンスへと回帰している。今回公開された新曲“Last Bloom”もエレクトロのビートが効いている。ベリアルやテンダーロニアスがそうであったように、UKのアンダーグラウンドはいまテクノへの傾斜を強めている感があるが、フローティング・ポインツのこの新作はその流れを決定づけるものになりそうだ。それに、トラックリストを眺めていると、何やら意味深な言葉が並んでいる。タイトルも「粉砕」だし、テーマも深く練られているにちがいない。この秋最大の注目作である。

interview with The Comet Is Coming - ele-king

ものをつくるプロセスって、宇宙ができあがったそもそもの経緯なんじゃないかなと思う。だから音楽をつくるということは、この宇宙という神聖なものにどこかつうじるところがある。 (マックス)

 今年もそろそろ、年間ベスト入り確実となるだろう候補作が出揃いはじめている。ザ・コメット・イズ・カミングの『Trust In The Lifeforce Of The Deep Mystery』もその最右翼の1枚だ。むべなるかな、フジでのパフォーマンスも圧巻だったそうだけれど、細やかなエレクトロニクスと重厚な低音とセクシーなシャバカの管が鮮やかなコントラストを織り成す“Birth Of Creation”や“Blood Of The Past”、ロックの躍動を最大限に活用した超絶クールな“Summon The Fire”に“Super Zodiac”、あるいは“Timewave Zero”のブロークンビーツや“Unity”のアフロ・パーカッションなど、縦横無尽にさまざまな音楽を食い散らかし、もはやジャズという言葉を用いるのもためらわれるほど独自の試行錯誤が繰り広げられる同作は、その宇宙的なモティーフによって不思議な統一感を与えられてもいる。
 興味深いことに彼らは、音にたいする想像と他人にたいする想像とをおなじ地平で捉えている。まさにそのような想像こそ政治に欠落しているものなわけで、楽曲制作のプロセスをそのまま世界情勢と重ねて考える彼らのあり方は、何もかもが悪化の一途をたどっているこの悲惨な惑星において、文字どおり希望と呼ぶべきものだろう。彼らの宇宙とは、実践なのである──とまあそのように、最上の実験と、最上の雑食と、最上のスピリチュアリティを同時に響かせるザ・コメット・イズ・カミング、苗場へと発つ直前の3人に話をうかがった。


言おうかなと思ったんだけど、(ボリス・ジョンソンの名を)口にするだけでも口が汚れると思ったから、言いたくなかったんだ。 (ダン)

私たちは1年前に、UKジャズの特集号を出したんですよ(『別冊ele-king』を差し出す)。

シャバカ・ハッチングス(Shabaka Hutchings、以下SH):(ぱらぱらめくりながら)ヘンリー(・ウー)とは友だちなんだ。あいつ、いつも写真が変なんだよ(笑)。

(笑)。まず、ザ・コメット・イズ・カミングというプロジェクトの成り立ちですが、ダン・リーヴァーズさんとマックスウェル・ホウレットさんのふたりがサッカー96をやっていて、そこにシャバカ・ハッチングスさんが加わるかたちではじまった、という認識でいいでしょうか?

マックスウェル・ホウレット(Max Hallett、以下MH):ダンと僕は16年くらい一緒にやっているんだけど、サッカー96は10年前からふたりでやっているね。そういう意味ではチームとして深い関係があるんだ。僕たちは基本的にベッドルームで、生楽器を使って、テープマシーンを使って、マイクも自分たちで置いて、すべてのレコーディング・プロセスを自分たちの手でやる、というのがはじまりだった。だから長い年月を重ねてやっていくことでプロセスじたいもできあがっていったんだ。だからシャバカが入ったときは、そのプロセスの上に、その瞬間瞬間に、いかにインプロヴィゼイションとかジャムとかを乗っけていくかという感じだった。もともとそれが好きだったしね。ものをつくるプロセスって、けっきょく、宇宙ができあがったそもそもの経緯なんじゃないかなと思う。だから音楽をつくるということは、広い意味で、この宇宙という神聖なものにどこかつうじるところがあると思うんだ。そういう、自分たちにとってのプロセスがあるんだよ。

曲づくりの際に、誰かが主導権のようなものを握ることはあるのですか?

ダン・リーヴァーズ(Dan Leavers、以下DL):このバンドかんしていえば、リーダーはいないね。スタジオで直感で生まれるものを実践しているからね。けっきょく、人間がいかに互いに協力しあって何かを想像していけるか、っていうのが大事だから、スタジオのなかではあえて会話もあまり交わさない。「レス・トーク、モア・リッスン」というか、聴きあうという感じだね。プレイヤー3人それぞれが演奏するときも、カオスになるようなことはしない。混沌と統制みたいなもののバランスを考えてる。それぞれがマックスの演奏をしつつ、互いを聴きあう。それを同時に実行しあってやっているんだ。いまそれが地球において人間にとっても必要なことじゃないかと思うよ。このままいくと、もしかしたら地球はなくなってしまうんじゃないかというくらい、いまは破壊的な状況にあると思う。そんな地球のなかでいま、男のリーダーたち、ブラジルの新しい大統領が熱帯雨林を切り刻んだり、トランプが人種差別的なことを言ったり。トップダウン式のリーダーがいることによって物事は崩壊していくから、みんながひとつになって何かを作るということのほうが、世界にとっても音楽にとっても良いと思うよ。

なるほど。

DL:でも、けっしてリーダーシップの資質を出してはいけないということではないよ。たとえばシャバカが「ここをこういうコードにしたらどうだろうか」とか、その瞬間においてリーダーシップを発揮することはあるし、マックスが「このビートはこうしたい」とかいうこともあるわけだから、その瞬間瞬間のそれぞれの意見をコレクティヴにしたのが僕たちなんだ。

ボルソナーロやトランプの話が出ましたけれど、まさにあなたたちの首相も……

DL:イグザクトリー。いま言おうかなと思ったんだけど、(ボリス・ジョンソンの名を)口にするだけでも口が汚れると思ったから、言いたくなかったんだ。

ははは。ブレグジットなど、いまのイギリスの状況についてはどうお考えですか?

MH:その話をしだすときりがなくなっちゃうから言わないけれども、いま物事をふたつにわけて、それぞれの宗派みたいなものがカルチャー的に互いを嫌いあっているような、そういう状況だと思う。アーティストとしての責任は、そこにひとつになる場を提供することじゃないかな。少なくとも自分たちの音楽はそういう音楽でありたい。互いを信じ、そこからユニティみたいなものをつくる。だから僕たちは、みんなのための音楽をつくっていると思っているよ。ボリス・ジョンソンさえ含めてね。分断のための音楽ではなく、みんなそれぞれ平等で、「他人だったらどう思うだろう?」と自分を他人の目に置き換えて考えるような想像力を使って、相手を理解しようとするような、そういう音楽をつくりたいと思っている。音楽を含めて、世界にたいしてそういうふうに感じているね。

ザ・コメット・イズ・カミングというグループ名は、BBCレディオフォニック・ワークショップの作品からとったそうですけれど、これにはどういう思いが込められているのでしょう?

DL:物事にはいろんな意味があるし、ザ・コメット・イズ・カミングにもいろんな意味があるんだけど、イメージとしては彗星(コメット)がやってくるということ。じっさいに彗星がやってくれば、地球は滅亡するわけだしね。彗星が来たからこそ恐竜たちは死に、マンモスは消え、いまこういう人類の時代になっているわけだよね。もしかしたら明日にも彗星が来るのかもしれないし、それはある意味毎日来ているのかもしれない。毎日、1日が終わるのは、彗星が来ているからかもしれない。人間が死んだらどうなるのかっていうのを考えるときに、地球が一度滅亡したらそこで人類すべてがなくなるわけだから、死ということにかんして人間は忘れてはいけないと思う。死を忘れないことによって、いま生きている人生の尊さ、いまというものの尊さがわかると思うんだ。ある意味警鐘を鳴らしているというか、彗星はやってきてしまうから、いまできることをやらないと、明日はもうないかもしれない。そういう意味も含めている。

グループ名もそうですし、前作にも今回の新作にも宇宙を想起させる曲名が多くあります。宇宙をモティーフにする理由は?

DL:(回答を促すようにシャバカを見る)。

MH:僕の父親が言っていたのは、コミュニケイトできるアーティストがいちばん素晴らしいアーティストだということ。たんに音だけではなくて、その音をどう自分たちが聴いてほしいように聴いてもらえるか、どうコミュニケイトできるかということで、それを考えたときに、宇宙は真っ白なキャンヴァスだと思うんだ。地球を離れた宇宙、いま自分が生きている社会や状況とはまったく異なるところに、一度でもいいから離れてみる。そこではいろんな想像力を発揮することができる。自分たちつくる側もそうだけど、聴く側もそれはおなじだと思う。そこにはいろんな色があり、いろんな新しいあり方があり、言葉がある。それぞれのイマジネイションを働かせて使うことができるし、そのなかにいることもできる。だから、音をただ聴かせるだけではなくて、そういったみんなの想像力が使える場を提供するということが、もっともコミュニケイトできる方法のひとつなんじゃないかなと思う。

DL:いまこの現代社会ではすごく個が尊ばれていて、その結果としてたとえば自殺する人の数がすごく増えたりしているよね。かつてはそこでキリスト教だったりほかの宗教だったり、いろんなものが人間たちをある種ひとつにまとめるコミュニティとして役立っていたわけだけど、いまのこの時代はそういうスピリチュアリティみたいなものがすごく欠落していて、どうしたらみんなひとつになれるかという、つながりがない。それは、そういう自殺の問題にも関連していると思うんだ。そんなときに宇宙という考え方は、僕たちの日常や自我をも超えたところで存在しているから、自分は宇宙のなかのたったいちパートにすぎないんだと思うことで、ヒーリング的な、心が癒されるような……自分を自分じゃないもの、宇宙のひとつと思えるんじゃないかな。

ザ・コメット・イズ・カミングの音楽にはテクノの要素もあり、デトロイトを思わせる瞬間もあるので、その影響もあって宇宙的なイメージをとりいれているのかなとも思ったのですが。

DL:(回答を促すようにシャバカを見る)。

MH:僕らはエレクトロニック・ミュージック全体からすごく影響を受けている。もちろん、テクニック的な部分でそれを使っているところもあるかもしれないけど、それ以上にエレクトロニック・ミュージックの何に自分たちが惹かれるのかといえば、意識のトランス的な状況に人をアクセスさせるところなんだ。そこに興味があるんだよ。

テクノロジーに恋をさせてしまえば、人間をコントロールすることができる。人間はすぐそういったものに中毒になって夢中になってしまうわけだから。 (マックス)

マックスさんとシャバカさんはほかのプロジェクト(サンズ・オブ・ケメット)でアフロフューチャリズムを扱っていますけれど、ザ・コメット・イズ・カミングにその要素はない?

SH:うーん。イエス・オア・ノーだね。アフロフューチャリズムの定義にもよると思う。アフリカを起源とする音楽をどのように人びとが見ているのか、それがどういうふうに定義されているかによるね。

たとえばサン・ラーやジョージ・クリントン、あるいはデトロイト・テクノの人たちはよく宇宙のイメージを用いますけど、そういうブラック・ミュージックにおけるSF的な想像力みたいなものが、ザ・コメット・イズ・カミングにも込められているのかなと。

SH:そういった意味でアフロフューチャリズムを定義しているのであれば、それはあると思うね。自分たちは互いのあり方、接し方において……さっきザ・コメット・イズ・カミングにはリーダーがいないという話が出たけれど、自分たちはグループとして、いかに互いのあり方をはかるかということにすごく想像力を使っている。そういう意味では、あるね。

ザ・コメット・イズ・カミングの音楽は、大枠としてはジャズに分類されることが多いと思いますが、とりわけ今回のアルバムはいわゆるふつうのジャズとはかけ離れていて、むしろパンクやテクノを思わせる瞬間も多いです。あなたたちにとってジャズとはなんでしょう?

DL:ジャンルって、レコード店で早く盤を見つけるためのグループ分けにすぎないと思う。そこに置いておけばいいという、ただそれだけのことで。だって、テリー・ライリーがミニマル・ミュージックだと言われたら、それだけじゃないって思うよね。そもそも音楽にはそういうジャンル分けみたいなものに抗うようなところがあるし、いまはさらに進んでいる世の中なんじゃないかな。いろんな音楽が……社会もそうだけど、ジェンダーにしろセクシュアリティにしろ、服だってすごく流動的だ。ひとつには決められない。人びとは日々学んでいるんだと思う。先入観をもつと、ちがいだけがあらわれるようになってしまう。他人と自分とのちがいだけが浮き彫りになる。でも、そういう目で見ないようにすれば、自分たちは一緒なんだということのほうが逆に見えてくると思う。だから、ブラックメタルとスカンディナヴィアの音楽がおなじなのかちがうのか、テクノとスピリチュアルがおなじなのかちがうのか、それは言葉の問題であって、ようはいかに自分たちのヴィジョンを音楽として表現したいかという欲求それだけじゃないかな。

テクノロジーについてはどう考えていますか? たとえば昨今はA.I.が話題ですけれど、そういうものは音楽にとってどういう意味をもつでしょう?

MH:テクノロジーはバイオロジーを超えたところにある自然だと思う。生物学を超えて生まれた木みたいなもの。僕は昔のほうがテクノロジーに適応できていたけど、もう年齢かな、テクノロジーは人間を操作しようとしている部分があると思うんだ。たとえばハンマーは有用な道具だけど、これも技術なわけだよね。このハンマーが中毒的に人間を支配していくようなものになってしまったら、それが怖い方向に使われていくわけで、どっちがどっちを使っているのかということをつねにチェックして、どちらがコントロール権をもっているのかということを自分自身で見直していく必要がある。ただ、テクノロジーがすごいのは、そうできないように、人間が100%テクノロジーに恋をするようにつくられているところだ。テクノロジーに恋をさせてしまえば、人間をコントロールすることができる。人間はすぐそういったものに中毒になって夢中になってしまうわけだから、テクノロジーの欲望の部分が増えてきて、それがとてもパワフルになっているような気がするよ。音楽面では、僕たちは音楽をつくるときコンピューターは基本的には使わないんだ。使わないというか、使い方をつねにリマインドしながら使っているね。

DL:コンピューターを使わないわけではなくて、最初はアナログテープでレコーディングするんだけど、最終的に現代のものであるコンピューターを使って、両方を合体させる。古代のテクノロジーであるアナログテープといまのテクノロジーの、両方を使っているんだ。古いものを捨てればいいというわけではないからね。捨てずに、新しいテクノロジーのなかで呼吸させればいいんだよ。呼吸って人間にとっての瞑想だから。古い時代、人間の先祖たちがマッシュルームを植えて、そこからある種の感覚を得ていたというようなことだね。そういう古いものから新しいものまで、その両方を持っているということが僕たちの音楽にかんしては正しいと思うんだ。

SH:テクノロジーはプリミティズムと相反するものだと考えがちだけれど、そうではない。ほんとうの意味でのテクノロジーは、すべての人間を反映させるものであって、滅亡させるものではあってはいけない。テクノロジーによってごく一部の人間だけが潤って、それ以外のものがなくなってしまうというのは正しくない。滅亡することなく、正しいかたちで人類が続いていくためには、プリミティズムを含んだうえでプログレッシヴなものでなければいけない。相反してはいけないんだ。


Moor Mother - ele-king

 先日、JKフレッシュ&ザ・バグによる新プロジェクトへの参加がアナウンスされたばかりのムーア・マザーが、ついに自身のセカンド・アルバムをリリースする。アクティヴィストとしても活動している彼女らしく、やはりブラックや奴隷にまつわるあれこれがテーマになっているようで、バンドキャンプのタグには「アフロフューチャリズム」や「ブラック・アンビエント」といった語が並んでいる。ゲストとしてフィラデルフィアのラッパー、リーフ・ザ・ロスト・コーズや、ソウル・ウィリアムズ(!)が参加、プロダクションには件のジャスティン・ブロードリックやキング・ブリット(!)などが力添えしているとのこと。これは今年の最重要作になる予感がびんびんだわわ。発売日は11月8日。

artist: Moor Mother
title: Analog Fluids Of Sonic Black Holes
label: Don Giovanni Records
catalog #: DG-190
release date: November 8, 2019

Tracklist:
01. Repeater
02. Don't Die
03. After Images
04. Engineered Uncertainty
05. Master's Clock
06. Black Flight (feat. Saul Williams)
07. The Myth Hold Weight
08. Sonic Black Holes
09. LA92
10. Shadowgrams
11. Private Silence (feat. Reef The Lost Cauze)
12. Cold Case
13. Passing Of Time (feat. Jucara Marcal)

https://www.dongiovannirecords.com/products/649373-moor-mother-analog-fluids-of-sonic-black-holes

Rough Trade / Boomkat / Bandcamp

Local X5 World - ele-king

 先日アナウンスのあった WWW と WWW X のアニヴァーサリー企画《WWW & WWW X Anniversaries》。そのうちのひとつとして開催される《Local X5 World》の詳細が発表された。すでに告知済みのツーシン(Tzusing)およびキシ(Nkisi)の初来日公演に加えて、2年前の CIRCUS でもその存在感を見せつけてくれたガイカ(Gaika)と、日本の現代美術家にしてホーメイ歌手の山川冬樹がライヴを披露する。また、《Local World》のコア・メンバーである行松陽介、Mars89、Mari Sakurai、speedy lee genesis らも勢ぞろい。9月20日は WWW X に集合だ。

WWW & WWW X Anniversaries Local X5 World - Third Force -

未来へ向かう熱狂のアジア&アフロ・フューチャリズム! ハードに燃え盛る中国地下の先鋭 Tzusing とコンゴ生まれ、ベルギー・ハードコア/ガバ育ちのアフリカン・レイヴなロンドンの新鋭 Nkisi (UIQ)、同じくロンドンのゴス・ダンスホール等で話題となったディストピアン・ラッパー/シンガー GAIKA (WARP)、日本のアヴァンギャルドから己の身体をテクノロジーによって音や光に拡張する現代美術家/ホーメイ歌手 Fuyuki Yamakawa をゲストに迎え、ローカルから WWWβ のコア・メンバー Yousuke Yukimatsu、Mars89、Mari Sakurai、speedy lee genesis が一同に揃い、世界各地で沸き起こる “第3の力” をテーマとした WWW のシリーズ・パーティ《Local World》のアニヴァーサリーとして開催。

WWW & WWW X Anniversaries
Local X5 World - Third Force -
2019/09/20 fri at WWW X

OPEN / START 24:00
Early Bird ¥1,800 / ADV ¥2,300@RA | DOOR ¥3,000 | U23 ¥2,000

Tzusing [Shanghai / Taipei]
Nkisi [UIQ / Arcola / London] - LIVE
GAIKA [WARP / London] - LIVE
Fuyuki Yamakawa - LIVE
Yousuke Yukimatsu [TRNS-]
Mars89 [南蛮渡来]
Mari Sakurai [KRUE]
speedy lee genesis [Neoplasia]

※ You must be 20 or over with Photo ID to enter.

Local 1 World EQUIKNOXX
Local 2 World Chino Amobi
Local 3 World RP Boo
Local 4 World Elysia Crampton
Local 5 World 南蛮渡来 w/ DJ Nigga Fox
Local 6 World Klein
Local 7 World Radd Lounge w/ M.E.S.H.
Local 8 World Pan Daijing
Local 9 World TRAXMAN
Local X World ERRORSMITH & Total Freedom
Local DX World Nídia & Howie Lee
Local X1 World DJ Marfox
Local X2 World 南蛮渡来 w/ coucou chloe & shygirl
Local X3 World Lee Gamble
Local X4 World 南蛮渡来 - 外伝 -

Dego - ele-king

 今年は4ヒーローの『Parallel Universe』がリリースされてから25周年である。デトロイト・テクノとジャングルとジャズとの奇蹟的な出会いが実現されたあのコズミックな名盤以降、ディーゴはつねに前を向いて走り続けてきた。その飽くなき探究心は2年前のカイディ・テイタムとの共作『A So We Gwarn』にもあらわれていたが、この秋、いよいよディーゴ単独名義での新作がリリースされる。それにあわせて来日公演も決定。9月13日から22日にかけて、京都・仙台・東京・大阪の4都市をまわる。足を止めることなく実験を続ける彼が、2019年のいま見すえているものとは? あなた自身の耳と目で確認しよう。

クラブ・シーンにおけるブラック・ミュージックを更新し続ける圧倒的存在=ディーゴによる待望のニュー・アルバム『Too Much』が9/4(水)にリリース決定!
リリースに合わせた来日ツアーも開催!!

セオ・パリッシュの〈Sound Signature〉、フローティング・ポインツの〈Eglo Records〉にも作品を残す真のカリスマが放つ待望の新作!!

90年代から今日にいたるまでUKのドラムンベース~クラブ・ジャズ・シーンを常にリードしてきた、4 HERO のメンバーにしてロンドンに音楽シーンの礎を築いたディーゴが、自身が主宰するレーベル〈2000 Black〉から入魂の新作をリリース! ソロ・アルバムとしては『The More Things Stay The Same』以降となる4年振りとなる待望の1枚で、ハウス、ブロークン・ビーツ、ソウル、アフロ、ジャズ、ヒップホップ等を飲み込んだ、職人ディーゴならではのジャンルをクロスオーヴァーした極上のトラックを披露! セオ・パリッシュにも匹敵する黒さ漲るグルーヴ感溢れるソウルフルなサウンドと、近年盛り上がりを見せるロンドン・ジャズとも呼応した本作は、ブラック・ミュージック~クラブ・ミュージックの未来を切り開く最高傑作だ!

【アルバム詳細】
DEGO 『Too Much』
ディーゴ 『トゥー・マッチ』
発売日:2019年9月4日
価格:¥2,400+税
品番:PCD-24864
★日本独自CD化 ★ボーナス・トラック収録

【Track List】
01. A Strong Move For Truth feat. Nadine Charles
02. Good Morning feat. Samii
03. Remini Dream feat. Ivana Santilli
04. I Don’t Wanna Know feat. Obenewa
05. Unknown Faults
06. Life Can Be Unreal feat. Sarina Leah
07. Too Much feat. Sharlene Hector
08. You Are Virgo
09. Come Of Age
10. Just Leave It feat. Lady Alma
11. Numero 15
12. Ogawa Okasan Said Just Play
13. A Where Pringle Deh?
14. My Standards Are (Not) Too High
15. Forward Walk *
 *=Bonus Track

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