Home > News > ジャズ、それは古く、しかしものすごく新しい - ──別冊エレキング『カマシ・ワシントン/UKジャズの逆襲』、刊行のお知らせ
ラジオを聴いていて、カマシ・ワシントンの新曲、“Fists of Fury”がかかると「おっ」となる。もう圧倒的に際立っている。6月22日に発売予定のアルバム、「天国と地球」という、じつに壮大なスケールの『Heaven and Earth』を楽しみにしている人は多いでしょう。
今週の水曜日(30日)に発売される別冊エレキングのジャズ特集号では、カマシ・ワシントンの最新ロング・インタヴューがどこよりもいち早く読むことができます。カマシは記事のなかで、彼の音楽観からブルース・リーへのシンパシーまで、そして新作についてのコンセプトなどなど惜しみなく語っております。新作を聴く前の予習としても、ぜひ読んでいただければと思います。ところで、今日にスピリチュアル・ジャズ・ブームを巻き起こした張本人である、ロサンジェルスを拠点とするこのサックス奏者は、今回のアルバムをロンドンの〈ヤング・タークス〉からリリースします。ここにもまたいまの時代が見えます。つまり、UKにおけるジャズ(ではないジャズ)の再燃です。
UKにおけるジャズ(ではないジャズ)は、いまもっとも勢いを感じるシーンです。アシッド・ジャズの時代を知る世代にとってはちょっとした驚きでしょう。ほとんど30年ぶりのUKジャズ熱ですから。本サイトでもコンピレーション・アルバム『We Out Here』や松浦俊夫のソロ作品においてその断片をレポートしてきましたが、「ジャズ」をキーワードにしたそれらいろいろは、英国らしい雑種を良しとするものとして、どこかに中心があるわけではないのにリゾーム的にどんどん拡大しています。さまざまな人種のジャズの演奏家/DJ/ビートメイカー/シンガーたちは、お互い交錯し合って、さまざまなプロジェクトを組みながらいくつもの魅力的な作品を生んでいます。ちょっとしたムーヴメントです。
特集では、しかし今日のUKジャズにおいてもっとも重要なアーティストであろう、シャバカ・ハッチングスのロング・インタヴューをフィーチャーしました。記事のなかでは彼のバイオ、彼の思想、彼の信念が語られています。
ほかにもあります。新進気鋭のピアニスト、ジョー・アーモン・ジョンズ、ブロークン・ビーツをアップデートするカマール・ウィリアムス(ヘンリー・ウー)、昨年素晴らしいアルバムを発表したシンガーのザラ・マクファーレンのインタヴュー。また、小川充氏の全面協力のもと、シーンを知る上で押さえておきたいいくつかのトピックを挙げつつ、ディスクガイドとして80枚の主要作品を紹介しています。インプロヴィゼーションからアフロビート、ブロークン・ビーツからハウスまで、あらゆるものを飲み込みながらのこのシーン、いまもっとも熱いです。
もうひとつの小特集は、NYのフリー・ミュージックのシーンにスポットを当ててみました。このきっかけを与えてくれたのは、もちろん女性インプロヴァイザーのメアリー・ハルヴァーソンです。こちらは細田成嗣氏の全面協力のもとで現在のNYのもっとも先走っているシーンを捉えることができました。
自分たちで言うのもなんですが、かなり力の入った特集です。どうぞどうぞ、ご高覧ください~。
■ロング・インタヴュー
カマシ・ワシントン──地上と楽園、スピリチュアル・ジャズ曼荼羅
■特集:UKジャズの逆襲
・UKジャズ史──それはいかに根付き、発展したのか
・UKジャズ人脈図
・21世紀UKジャズ・ディスク・ガイド80枚
INTERVIEW
シャバカ・ハッチングス──ブラック・アトランティック大航海
ザラ・マクファーレン──当世UK風ジャズ・シンガー、レゲエを歌う意味
カマール・ウィリアムス──南ロンドン・ペッカム発、ジャズ・ファンク物語
ジョー・アーモン・ジョンズ──期待のピアニスト、その若々しい混交とハーモニー
COLUMNS
トゥモローズ・ウォリアーズ──UKジャズの重要拠点
トニー・アレンとジャズではないジャズ
UKにおけるサン・ラー
ジャズ・ロックの同心円
新世代ソウル──キング・クルール以降のシンガーたち
ブロークン・ビーツなる出発点
デトロイトとUKジャズの関係
グライムからハウス、ジャズへ
電子音楽家としてのエヴァン・パーカー
■特集:変容するニューヨーク、ジャズの自由
・NYジャズ人脈図
・NYジャズ・キーワード(アンソニー・ブラックストンからウィリアム・パーカーまで)
・NYジャズ・ディスク・ガイド30枚
・対談:多田雅範×益子博之
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