「AY」と一致するもの

øjeRum - ele-king

 デンマークのコペンハーゲンを拠点とするダーク・アンビエント・アーティスト øjeRum の新作『On the Swollen Lips of the Horizon』が、音響作家リチャード・シャルティエが主宰する音響系レーベルの老舗的存在の〈LINE〉からリリースされた。
 このニュースを知ったとき øjeRum をリリースするというレーベルの審美眼に唸ってしまった。いっけん意外なキュレーションだが、音響レーベルの老舗〈LINE〉が送り出す必然性があるように思えたからだ。彼の音楽/音響にはエクスペリメンタル、アンビエントにおける2010年代後期的な「何か」がある。ダーク/ゴシックな感覚とでもいうべきか。これは極めて現代的なセンスである。

 øjeRum、本名はポウ・グラボウスキー(Paw Grabowski)という。2007年頃にフランスの〈Rain Music〉から音響フォーク『There Is A Flaw In My Iris』という作品をリリースしているが、現在のようなダーク・アンビエントへと変化を遂げ、大量のリリースを実践するのは、2014年に『He Remembers There Were Gardens』をセルフリリースしてからのことだ。以降、『Sange Til Døende』(2014)、『The Blossoming Of The Nothingness Trees』(2016)、『Needleshaped Silence』(2017)『Sometimes I See Myself Sleeping In A Stone Of Falling Eyes』(2018)、『Træerne & Intetheden』などのアルバムやEP、カセット、CDや7インチ盤の超限定盤リリースを膨大におこなってきたわけだ。
 くわえてヴィジュアル・アーティストでもある彼によるアートワークも美麗で、ゴシックな美意識で統一されている。CD-Rとアート写真をセットにした『A Certain Grief』(2018) のように75部しかコピーしないような私家盤に近い作品もあり、コレクションへの欲望を喚起してきた。ちなみにフランスのレンヌにあるギャラリー「Le Bon Accueil - Lieu d'arts sonores」において個展が開催されるなどヴィジュアル・アーティストとしての評価も高い。

 彼の膨大な作品の中で、2017年に発表された『Skygge』はCD作品であり、多くの耳に触れられる機会のあったアルバムである。美しい悪夢のようなゴシックなサウンドスケープがまとまったコンポジションで展開しており、「øjeRum の膨大なディスコグラフィの中で最初に聴くべきアルバムはどれか」と問われたら、「これまで」ならば『Skygge』と答えたであろう。
 この『Skygge』も含めて、øjeRum のフィジカルはほぼ売り切れとなっているものの、その多くは bandcamp などで聴くことができる。2019年もすでに『Silent Figure With Landscape』、『Syv Segl』、『Sange Til Døende {Pladeselvskab Reissue}』、『Nattesne』、『There Is A Flaw In My Iris』、『Don't Worry Mother, Everything Is Going To Be Okay』などの作品を送りだしてしているが、〈LINE〉にピックアップされたことで、さらに多くのアンビエント・音響マニアの耳に届くことになるのではないか。
 むろん著名レーベルからのデジタル・リリース作品だからといって、これまでの彼の作風となんら変わっているわけではない。そのサウンドは、闇夜で祈るかのごとき「崇高さ」を感じさせるアンビエンスだが、『On the Swollen Lips of the Horizon』も「ゴシック・ノスタルジア・アンビエント」とでも形容したいサウンドに仕上がっていた。〈LINE〉は、彼の作品・楽曲を「手書きのコラージュの視覚的な対応物を用いて、大気中および感情的に帯電した環境記録を作成する」とインフォメーションしているが、まさにそのとおりの音といえる。デイヴィッド・トゥープの語る「エーテルトーク」のようなアンビエントだ。
 アルバムには30分に及ぶ“on the swollen lips...”、22分35秒にわたる“...of the horizon”の長尺2曲と5分8秒ほどの“on the swollen lips... (excerpt)”が収録されている。ドローン、電子音、環境音が交錯し、まるで記憶にのみ存在する映画の音響空間のように霞んだ質感のサウンドスケープを生成していく。レーベルは「ウィリアム・バシンスキーとセラーのファンのための催眠的な周期的感情ジェスチャー」と書いているが、確かにバシンスキーセラーのように記憶を融解させてしまうような音響的質感を感じた。深いノスタルジアが、エーテルのように漂っているとでもいうべきか。記憶の夢、夢の記憶。夢幻のサウンドスケープ。そのアンビエンス、アンビエント……。

 本年2019年はザ・ケアテイカー、ザ・フューチャー・イヴ・フィーチャリング・ロバート・ワイアット、ヤン・ノヴァク、フェネス、サンO)))、ティム・ヘッカーの新作など、個性は違えどもアンビエントやドローンの傑作が多くリリースされているが、本作も負けず劣らず重要なアルバムだ。『Skygge』に次ぐ øjeRum の新たな代表作がここに生まれた。

Emily A. Sprague - ele-king

 覚えていますか? フロリストのあのいまにも壊れそうな、だがそれでいてどこか生命の力強さのようなものを喚起させる音楽を。同バンドでなんともはかないヴォーカルを響かせていたのがエミリー・スプレーグである。彼女はフロリストの活動を続けるかたわらアンビエント作品の制作も進めていて、すでに『Water Memory』『Mount Vision』という2作をカセットで発表しているのだけれど、即完したというそれら2作がなんとテイラー・デュプリーの手によってリマスタリングを施され、〈RVNG〉によって復刻されるというのだから落ち着かない。日本盤ボーナストラックには工藤キキも参加しているらしい。詳細は下記よりチェック。

大注目のアンビエント・アーティスト、Emily A. Sprague が自主カセット・リリースし即完したアンビエント作品2作がリマスター&ボーナス・トラック追加してリリース!
シンセサイザーを駆使してアンビエント~ニューエイジを横断する夢幻/無限の桃源郷サウンドスケイプ!
日本盤のみオリジナルのアートワークを使用した独自紙ジャケット、ボーナス・ディスク付き2枚組仕様!

Mitski、Frankie Cosmos、Hatchie なども輩出してきた、〈Double Double Whammy〉から作品をリリースしている、ブルックリンのローファイ・フォーク/ポップ・バンド、Florist のフロントマン、でヴォーカル、ギター、シンセサイザーなどをマルチに担当する Emily Sprague。2017年から2018年にかけて彼女がバンド活動の合間を縫って録音し、自主リリースしていたアンビエント作品2作『Water Memory』『Mount Vision』が、彼女の才能に着目したNYの最先鋭レーベル〈RVNG〉よりリマスター、ボーナス・トラックを追加してフィジカル化。

エミリーのサウンドは全ての繋がりに関係しており、地上の活動に人との触れ合いを導く神秘的な力に生き生きとした中心的形を与えている。
音と詩を通して、エミリーは水晶の透明性の束の間の瞬間に焦点を合わせ、複雑な意味作りのために拡張された人生について瞑想する。このビジョンは間違いなく美しく、やさしく、そして深い。
この2つの作品は海と山というタイトルからも分かるように対をなす鏡のような構造を持ち、書かれた詩によって補完される2つの章として機能している。

『Water Memory』はエミリーによる初めてのロングフォームのインストゥルメンタル・アンビエント・ミュージックで、マサチューセッツとニューヨークの間でユーロラック・モジュラー・シンセサイザー(Monome、Mannequins、Mutable Instruments、ALM Bust Circuits、4ms、Xaoc、Verbos Electronics)、Teenage Engineering OP1、および Valhalla VST Reverb を使用し、1年間の自己と音の探求によって生まれた。
古代の格言集のように展開する。時々遊び心があり、幻想的でさえあるが、常にきらびやかでリアルだ。タイトルのように、意味は水性であり – 決して固すぎず、あくまで実態がある。
対照的に、『Mount Vision』はカリフォルニア北部でもっと短い期間で録音された。シンセサイザーを駆使し、ディープに配された拡張トーンのコンポジションが天空へと漂っていくようなサウンド。ニューエイジ調のシンセ・ドローン、センシティティヴなピアノ、ミニマル・アンビエントが3編に渡って構成されている。

この惑星におけるエミリーの使命は、人間の最も深い知識と知的な性質との間の接続を容易にする、または明るくすることであろう。そして、『Water Memory』、『Mount Vision』は、この共有経路に沿った最も確かに記念碑的作品である。

今回のリリースにあたりリマスターは Taylor Deupree が担当。日本盤には追加ボーナス・トラックに加え、エミリーがそれぞれの作品に書いたポエムを Anthony Naples によるレーベル〈Incienso〉からも作品をリリースしているNY在住の日本人アーティスト/ライター、工藤キキが日本語で朗読したタイトル・トラックの日本語バージョンも収録。

Artist: Emily A. Sprague
Title: Water Memory / Mount Vision (Special Japanese Edition)
Cat#: ARTPL-116
Format: 2CD

※解説:佐々木敦(HEADZ)
※オリジナルのアートワークを使用した独自紙ジャケット
※ボーナス・ディスク付き2枚組仕様

Release Date: 2019.06.07
Price (CD): 2,300 yen +税

TRACKLIST:
01. Water Memory Poem
02. A Lake
03. Water Memory 1
04. Water Memory 2
05. Dock
06. Your Pond
07. Mount Vision Poem
08. Synth 1
09. Piano 1
10. Synth 2
11. Huckleberry
12. Synth 3
13. Piano 2 (Mount Vision)
14. Outdoor (Bonus)

BONUS DISC FOR JAPAN:
01. Water Memory Poem (Japanese – Kiki Kudo)
02. Blessings
03. Mount Vision Poem (Japanese – Kiki Kudo)
04. Untitled

■ Emily A. Sprague

幼少期に母の教えでピアノを始める。11歳の頃からギター・レッスンを受け始めたものの、一旦やめてしまうが、14歳の時に再びギターを弾き始め、本格的にソング・ライティングに興味を持つ。その後バンド Florist を結成し、2013年に6曲入りEP「We Have Been This Way Forever」でデビュー。もう1枚の自主制作EPを経て、〈Double Double Whammy〉と契約し、2015年にリリースしたEP「Holdly」で Stereogum の「50 Best New Bands Of 2015」に選出される。2016年に『The Birds Outside Sang』、2017年に『If Blue Could Be Happiness』の2作のアルバムを発表し、インディ・ミュージック・リスナーから多くの支持を受ける。その活動と並行し、Emily はモジュラー・シンセサイザーを用いたアンビエント・ミュージックの制作を開始しセルフ・リリースした『Water Memory』、『Mount Vision』が高い評価を得ている。

Angel-Ho - ele-king

 『Death Becomes Her』は南アフリカ共和国ケープタウンを拠点に活動するアーティスト、エンジェル・ホのキャリア通算2枚目のアルバムである。2017年に自身も設立に関わったレーベル/共同体である〈NON〉から1枚目の『Red Devil』を、そして今作はロンドンの〈Hyperdub〉からのリリースとなった。
 ここで時間を2015年に巻き戻す。当時21歳だったアンジェロ・アントニオ・ヴァレリオは、植民地主義の爪痕や人種主義がアパルトヘイト後も色濃く残る南アフリカの政治に憤りを感じながら、ケープタウン大学でファイン・アートを専攻していた。『FADER』による当時のインタヴューによれば、同学部の自学年で、有色人種は彼しかいなかったという。ヴァレリオは、この年に実施された同校のキャンパスに建っていた植民地主義の象徴であるセシル・ローズの銅像を撤廃する運動などにも参加している。
 彼の創造力はローカルにとどまることなく、サイバースペースへとトランスコーディングされ、アメリカ合衆国リッチモンドのチーノ・アモービとフェイスブックで知り合い、ロンドンのアーティスト、キシとも出会う。人種、政治、ジェンダー、ディアスポラなどのトピックで共振した彼らは、2015年に〈NON〉を始動させる。
 ヴァレリオは幼い頃からのあだ名である「Angel-Ho」を自身に冠し、エンジェル・ホとしてデビューEP「Ascension」をラビットのレーベル〈Halcyon Vale〉と〈NON〉の共同リリースとして発表。このEPはアルカがマスタリングを担当している。ぶつ切りにされた多種多様な事物の音が、波形をねじ曲げられたパーカッションやシンセサイザーとリズムを構築するミュータント・サウンドが反響を呼んだ。グライムのウェイトレスな感覚を暴力的に発展させた前述のラビット、『Xen』(2014)以降のアルカ、インターネットの暗黒面をサーヴェイする M.E.S.H らのダーク・ベースミュージックらと共振しつつ、2015年の音を作り出していたといえるだろう。
 2017年、アルバム『Red Devil』を〈NON〉から発表。「Ascension」の流れを汲みつつ、南アフリカが生んだダンス・ミュージックであるゴムのような、低重心ファンクネスを内包する形で独自のテクスチャーを編み出している。この間、エンジェル・ホは「彼」から「彼女」になっている。2018年には同じく南アフリカ拠点のクイアラップ・ユニット、フェイカ(FAKA)の“Queenie”のプロダクションを手がけた。
 そして2019年、自身の声で歌うことによって生まれたのが今作『Death Becomes Her』である。「VICE」のインタヴューによれば、タイトルが物語るように、ここに様々な「死」が交差している。「ポップの死、アイデンティティの死、政治の死、すべての死。私の音楽はポップとそれらの出会い」であると彼女はいう。そして、それは「大きな葬式」であるとも。
 ゲイの男性から、トランス・ウーマンへの変化。リズムからメロディを主軸にした音楽的変化(本人は「Ascenssion」はサウンド的には自身の分岐点だったとも述べている)。「死」を「A」が「非A」へと変化するミューテーションのプロセスと捉えるならば、このアルバムはその結実だともいえるだろう。
 たしかに『Death Becomes Her』において、声は重要な要素である。クリス・ケッツ(Chris Kets)のディレクションによって制作され、アルバムに先立って公開された“Pose”のヴィデオでは、『エヴァンゲリオン』のクリップをコラージュした映像で、ガイカとボンによってプロデュースされたゴシックなベース・トラックでラップをする。ここで煽られた期待通りにアルバム冒頭の“Business”では、スロー・テンポなリズムに、ダブやエコー、波形をハックされた彼女自身の声のコーラス上でエンジェル・ホが歌う。アメリカのシンガー、Kリズをフィーチャーしたポップ・ダンスホール“Like a Girl”、ケープタウンの Qweezy と放つ声帯ノイズのトンネル“Good Friday Daddy”、同じく地元のラッパー、K-$と歌う淡いアーバンなR&B、“Baby Tee”。
 アンダーグラウンド・ダンスミュージックの作り手が、このようなダイナミックな変化の渦中で歌うのは、愛について、セックスについて、そしてトランスとして生きることについて、などである。「DAZED」のインタヴューにおいて、「トランスであることは、そうであることによる苦難を体験することを必ずしも意味しない。人生とは驚きとともに経験するもの」と、エンジェル・ホは答えている。声という身体/アイデンティティのフィルターは、彼女のマニフェストを加速させる。さらには苦痛を想定外の驚きをもってして中和し、ポップネスへと転換する装置として機能しているようだ。
 今作においてトラックそのものもかなりの強度を持っている。 “Drama”はトラップ、ゴム、トライバルの中間項を見事に射抜いたリズム・トラックであり、“Jacomina”はスラップするベース・ラインが跳ね回る生ドラムスやパーカッションの分子と接合し、極めてファンキーにグルーヴする。 “Cupid”では1分間の間に、光沢感のあるシンセとノイズが音の真空地帯を生む。彼女は音においてもトランスであること、つまり横断的かつダイナミックであることをやめてはいない。
 『Death Becomes Her』は、南アフリカのルポルタージュでも、アパルトヘイト以降の政治や人種主義との闘争でもなく、パーソナルであることをトラックと声で突き詰めて表現したアルバムである。そこで歌われるのは、アモービ『PARADISO』(2017)におけるポスト・アポカリプスでも、キシ『7 Directions』(2019)のアフロ・コスモロジーでもなく、現在に濃縮されたエンジェル・ホの「生」そのものだ。ポップでファンキーでケオティックなサウンドによってアルバムの統一感は希薄に映るかもしれない。けれども、彼女の言葉にあるように「驚き」に満ち触れた人生に、そんなものはハナから必要ないのだろう。

New Order - ele-king

 先日本国で刊行されたジョン・サヴェージによるジョイ・ディヴィジョンの本、『This searing light, the sun and everything else』の日本版を準備中です。今年はジョイ・ディヴィジョンの『アンノーン・プレジャー』から40年ですから。JDとニューオーダー、『レコード・コレクター』誌も特集してましたね。
 さて、そこでニュー・オーダーです。7月12日に、新しいライヴ盤が出ます。2017年7月、地元マンチェスターの伝説の会場=オールド・グラナダ・スタジオ(ファクトリーの創始者トニー・ウィルソンのTV番組の収録会場で、当然ジョイ・ディヴィジョンもライヴをやっている)での演奏が収録されているわけだが、まあ、ちょっと前にライヴ盤って出ているよねと思う人、今回のそれは収録曲が面白い。ほとんどライヴでやってこなかったJD〜NOの曲を中心に18曲、です。JDの“ディスオーダー”も入っております。
 こちらは先行発表されたNO“サブカルチャー”です。
  ◼︎「Sub-culture」https://smarturl.it/NOM

 また、トラックリストは以下の通り。大名曲“ビザール・ラヴ・トライアングル”も入っていますね。

CD-1
1 - Times Change (Original version on 1993’s Republic)
2- Who’s Joe (Original version on 2005’s Waiting For The Sirens’ Call)
3 - Dream Attack (Original version on 1989’s Technique)
4 - Disorder (Original version on 1979’s Unknown Pleasures)
5 - Ultraviolence (Original version on 1983’s Power, Corruption & Lies)
6 - In A Lonely Place (Original version on B-Side to 1981’s Single Ceremony)
7 - All Day Long (Original version on 1986’s Brotherhood)
8 - Shellshock (Original version featured on the 1986 soundtrack to Pretty In Pink)
9 - Guilt Is A Useless Emotion (Original version on 2005’s Waiting For The Sirens’ Call)
10 - Subculture (Original version on 1985’s Low Life)
11 - Bizarre Love Triangle (Original version on 1986’s Brotherhood)
12 - Vanishing Point (Original version on 1989’s Technique)
13 - Plastic (Original version on 2015’s Music Complete)

CD-2
1 - Your Silent Face (Original version on 1983’s Power, Corruption & Lies)
2 - Decades (Original version on 1980’s Closer)
3 - Elegia (Original version on 1985’s Low Life)
4 - Heart + Soul (Original version on 1980’s Closer)
5 - Behind Closed Doors (Original version on B-Side To 2001’s Single Crystal)

 例によって商業主義を度外視したデザインによるパッケージも相当に格好いいです。まあ、ファンは必聴ですが、それにしてもアルバム・タイトルの『∑(No,12k,Lg,17Mif) / ∑(No,12k,Lg,17Mif) New Order + Liam Gillick: So it goes..』、これなんて読んだらいいんだろうか……。


◼︎商品概要
アーティスト:ニュー・オーダー / New Order
タイトル:∑(No,12k,Lg,17Mif) / ∑(No,12k,Lg,17Mif) New Order + Liam Gillick: So it goes..
発売日:2019年7月12日(金)
品番:TRCP-243~244/ JAN: 4571260589032
定価:2,600円(税抜)*CD:2枚組
解説/歌詞対訳付
https://trafficjpn.com

大好評につき重版出来!
続編も発売中!!

ゲーム音楽は偉大なるアートである!

1978年に産声をあげたゲーム音楽レコード、
その40年以上にもわたる歴史を網羅した決定版
膨大な数のなかから選び抜かれた名盤950枚を紹介!

「日本のゲーム音楽は、この国が生んだもっともオリジナルで、もっとも世界的影響力のある音楽だ」と『DIGGIN'』のプロデューサー、ニック・ドワイヤーは言う。これは、長年ゲーム音楽を研究し続けてきた本書執筆陣が、それぞれに思い続けてきたことでもある。ゲーム音楽は単なるゲームの付随物で終わるものではなく、かけがえのない価値を様々な形で具有している。〔……〕本書はゲーム音楽の歴史に散らばる何万枚ものサントラ盤やアレンジ盤から、これはという名盤たちを「音楽的な」観点から選び抜いた、ありそうでなかったディスクガイド本である。 (本書序文より)

試行錯誤の黎明期からサウンドチップの音楽、スーファミ~初代プレステの小容量サンプリング時代、ハードの制約から解放されたPCエンジン~CD-ROM、そして Bandcamp を筆頭に無数のサウンドが湧出し続ける配信~サブスク全盛の今日まで──膨大なタイトルのなかから厳選された極上の950枚を聴け!

監修・文:田中 “hally” 治久
文:DJフクタケ/糸田屯/井上尚昭

[執筆者紹介]

田中 “hally” 治久
ゲーム史/ゲーム音楽史研究家。チップ音楽研究の第一人者で、主著に『チップチューンのすべて』ほか。さまざまなゲーム・サントラ制作に携わる傍ら、ミュージシャンとしても精力的に活動しており、ゲームソフトや音楽アルバムへの楽曲提供を行うほか、国内外でライブ活動も展開している。

DJフクタケ
90年代よりDJとして活動。95年に世界初の GAME MUSIC ONLY CLUB EVENT 「FARDRAUT」開催に関わるなど最初期から活動する VGMDJ であり、ビデオゲーム関連アナログ盤のコレクターでもある。2014年より歌謡曲公式 MIX CD 『ヤバ歌謡』シリーズをユニバーサル・ミュージックよりリリース。2017年には企画・選曲・監修を務めた玩具・ビデオゲーム関連のタイアップ楽曲集CD『トイキャラポップ・コレクション』Vol.1~3をウルトラ・ヴァイヴより発表するなど過去音源の紹介や復刻にも精力的に取り組む。

糸田 屯 (Ton Itoda)
少年期にゲーム・ミュージックとプログレッシヴ・ロックに魅了される。レコード店スタッフなどを経て、兼業ライターとして活動。2019年現在、『ミステリマガジン』誌で「ミステリ・ディスク道を往く」を連載中。ゲーム・ミュージックというジャンルの背景に連綿と広がる影響関係、コンポーザーの音楽的背景/変遷に強い興味・関心を持ち、新たな知見を求めて日々digにいそしむ。敬愛するクリエイターは Tim Follin。

井上尚昭 (rps7575)
2001年、“レコード会社別で捉えるゲーム音楽カタログレビュー” をコンセプトにしたウェブサイト「電子遊戯音盤堂」を開設。洋邦映画アニメ実写問わずサウンドトラック全般が守備範囲で、別名義でDJプレイなども。ライター諸氏とは別機会にて妙縁があったが、商業出版への寄稿は今回が初。本業はサウンドデザイナー。

[目次]

序文
凡例

第1章 試行錯誤の黎明期

ゲーム音楽レコードの胎動 | ヒア・カムズ・マリオ! | アレンジの模索 | 声なき時代のゲーム歌謡

第2章 サウンドチップの音楽

任天堂 | ナムコ | コナミ(アーケード) | コナミ(家庭用) | タイトー | セガ | カプコン | データイースト | アイレム | SNK | アーケードその他 | 家庭用その他 | 古代祐三 | 崎元仁・岩田匡治 | 日本ファルコム | 日本テレネット~ウルフチーム | パソコン系その他 | 海外 | リバイバル

第3章 ミニマムサンプリングの音楽

スクウェア | コナミ | タイトー | ナムコ | セガ | カプコン | ソニー系 | 任天堂 | 家庭用その他(SFC) | 家庭用その他(PS・SS・N64ほか) | アーケードその他

[コラム] インターネットミームと非公式ゲーム音楽リミックス ~All Your Base are Belong to Us~ (糸田屯)

第4章 ハード的制約から解放された音楽

最初期(カセットテープ~CD-ROM初期) | 劇伴作家の仕事 | シンフォニック | シンフォニックロック | アコースティック~ニューエイジ | プログレ | フュージョン | ジャジー | シンセロック | ハードロック/ヘヴィメタル | ロックその他 | アンビエント~エレクトロニカ | クラブミュージック | ディスコ~ダンスポップ | ポスト渋谷系 | 音楽ゲーム | ヴォーカル | ジャンルミックス | その他 | CD-ROMから聴けるゲーム音楽

シリーズ作品や関連作品をまとめて聴ける「CD BOX系サントラ」リスト

第5章 ダウンロード配信世代のゲーム音楽

エレクトロニカ | エレクトロニック・ダンス | 80sリバイバル&ウェイヴ系 | レトロモダン(チップチューン進化系) | ロック | シンフォニック | アコースティック | ジャジー | ジャンルミックス | 民族音楽

シリーズ作品や関連作品をまとめて聴ける「CD BOX系サントラ」リスト2

第6章 アレンジバージョン

第一次バンドブーム | フュージョン | プログレ | ロック | 管弦・器楽 | アコースティック | シンセ | ダンス&クラブ | ジャンルミックス | ヴォーカル | その他

シリーズ作品や関連作品をまとめて聴ける「CD BOX系サントラ」リスト3

第7章 アーティストアルバム

日本(バンド) | 日本(ソロ/ユニット) | 海外

索引
あとがき

オンラインにてお買い求めいただける店舗一覧
amazon
TSUTAYAオンライン
Rakuten ブックス
7net(セブンネットショッピング)
ヨドバシ・ドット・コム
HMV
TOWER RECORDS
disk union
紀伊國屋書店
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e-hon
Honya Club
mibon本の通販(未来屋書店)
とらのあな

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お詫びと訂正

[関連情報]

・続編『ゲーム音楽ディスクガイド2──Diggin' Beyond The Discs』も好評発売中!

・『ゲーム音楽ディスクガイド』掲載作品よりリイシュー・シリーズが始動。
 第1弾は和製RPGの先駆け『ガデュリン全曲集』
  ⇒ https://p-vine.jp/music/pcd-25309
 第2弾は2021年最新リマスタリングの『銀河伝承』
  ⇒ https://p-vine.jp/music/pcd-27052

・田中 “hally” 治久(監修)『インディ・ゲーム名作選』も好評発売中!

パンク以降の 英国音楽に興味のある方、 全員必読!! ──小山田圭吾
「10代の頃ベッドの端に腰かけて、レコードを聴きながらバンドに加わることを思い描いていた者たちにとって、本書は我々のいわば“夢の書”なのである」  〈メイル・オン・サンデイ〉
「エヴリシング・バット・ザ・ガールの顔であり、以前にはマリン・ガールズの一員でもあった彼女は、ずっと我々の心をしっかり掴んで離さなかった。彼女の文体は歌声と同様優しく低く、そして強烈な磁力を有している」  〈ガーディアン〉
「ポストパンク期のスマートで明察な年代記として、脚光を浴びてはそこから外れることを繰り返して来た一つの人生の記録として、本書に勝るものは見つからない」  〈インデペンデント・オン・サンデイ〉

ネオアコの女王であり、
DIYポストパンクの継承者であり、
フェミニストであり、
そして、
パンク/ニューウェイヴ大大大好き少女の物語

トレイシー・ソーン自らの半生について
パンク、ポストパンク、ダンス・ミュージックやトリップホップについて
ザ・クラッシュ、ポール・ウェラー、ザ・スミスについて
プライマル・スクリーム、マッシヴ・アタックについて
ラフトレードや、ポストカード、チェリー・レッドについて
そして政治とフェミニズムについて
ウィットに富んだ文章で綴るベストセラー本です。

訳者は、小説家の浅倉卓弥。
トレイシー・ソーンの洒落た文体をみごとな日本語に変換。
また、本文中にはトレイシー・ソーンの訳詞も多数掲載。

エヴリシング・バット・ザ・ガールのファン、
およびUKギターポップ・ファン、
およびポストパンク期のUK音楽のファンは必読!

表紙イラスト:オオクボリュウ




Logos - ele-king

 これは最新のダンス・ミュージック・レコードだ。「えっ、いったいどこが?」と思われる方もいるかもしれない。たしかにどのトラックもほぼビートレスだし、あってもビートは断片化されている。その意味で相当にエクスペリメンタルな音楽であることには違いない。しかしこの『Imperial Flood』は、あのロゴスの新作アルバムである。となればここにはリズム/律動の拡張があると考えるべきではないか。
 ロゴス(ジェームス・パーカー)はかつて「ウェイトレス=無重力」というサウンド・スタイルによって、インダストリアル/テクノやアンビエント以降のUKグライムの新しいビート・ミュージックを創作した人物である。彼の関わったアルバムをざっと振り返ってみても、2013年にソロ作品『Cold Mission』(〈Keysound Recordings〉)、2015年にマムダンスとのコラボレーション作品『Proto』(〈Tectonic〉)、2016年にロゴスとマムダンスが主宰する〈Different Circles〉のレーベル・コンピレーション『Different Circles』などを継続的に送り出し、しかもそのどれもが先端的音楽マニアたちの耳と身体の律動と感性を刺激する傑作ばかりであった。いわば「テクノ」の概念を拡張したのだ。
 そんな先端音楽シーンの最重要人物のひとりであるロゴスの新作『Imperial Flood』が、自身の〈Different Circles〉からついにリリースされたわけだ。となれば「新しい律動への意志」が問われているとすべきではないか。じじつ、『Cold Mission』以来の待望ともいえるソロ・アルバムであるのだが、そのサウンドは6年の月日の流れを反映したかのようにわれわれの予想を超え、新しい電子音響空間が生成していたのだ。〈Different Circles〉から2018年にリリースされたシェヴェル『Always Yours』のビート・ミュージックの実験性を継承しつつ、ビートにとらわれないモダンな先見性に富んだ電子音楽に仕上がっていた。ここにはリズムと持続への考察と実践がある。では、それはいったいどういうものか。このアルバム全体が、一種の「問い」に私には思えた。

 アルバムには全9曲が収録されている。どのトラックもビートよりも電子音のミニマルな持続や反復を基調にしつつ、加工された具体音・環境音がレイヤーされている構造となっていた。インダスリアルのように重厚であり、アンビエントのように情景的でもある。いわゆるシネマティックなムードも濃厚だ。とはいえチルアウトが目的のアルバム/トラックではない。耳のありようを規定しない「緊張感」が持続しているからだ。
 曲を順にみていこう。まず1曲め“Arrival (T2 Mix)”と2曲め“Marsh Lantern”のビートレスにしてオーセンティックなシンセ・サウンドからして、その意志を明瞭に聴きとることができた。つまり彼が「UKグライム以降」という立ち位置すら超越し、まったく独自の「電子音楽の現在」を刻印するような作品を生み出そうとしていることが分かってくる。
 続く3曲め“Flash Forward (Ambi Mix)”はアシッドなシーケンスが反復し、薄いリズムがレイヤーされるシンプルなトラックである。2019年におけるアシッド・リヴァイヴァルだ。4曲め“Lighthouse Dub”では“Arrival (T2 Mix)”と“Marsh Lantern”の波打つように反復するオーセンティックな電子音楽が継承され、断続的/性急なグライム的ビートがレイヤーされる。どこか不穏なムードを醸し出す極めて独創的なトラックである。
 5曲め“Omega Point”では環境音・具体音と霞んだ電子音が折り重なり、シネマティックかつダークなムードが生成されていく。わずか2分57秒ほどのトラックだが、アルバムのコア(中心)に位置し、本作のムードやテーマ(曲名からして!)を象徴する曲に思えた。続く6曲め“Zoned In”は盟友マムダンスが参加した本作のビート・トラックを代表する曲だ。まさにアシッド・テクノな仕上がりで、本作中もっともストレートなダンス・トラックである。
 7曲め“Occitan Twilight Pyre”は微かにノイジーな音が生成変化する実験音楽的トラック。何かを静かに押しつぶす音と高音域のスプレーのようなノイズによるASMR的な快楽が横溢している。8曲め“Stentorian”はリズムの連打とアトモスフィアな電子音が交錯する。名作『Cold Mission』を思い出させるトラックであり、「ウェイトレス」の現在形を提示しているようにも思えた。やがてビートは(「オメガ・ポイント」の先に)消失・融解し、9曲め“Weather System Over Plaistow”へと辿り付く。この終曲でも波打つように反復する霞んだ電子音が展開されていく。どこか懐かしく、しかし聴いたことのないサウンドだ。
 本作の電子音は70年代のドイツの電子音楽(クラウトワークやタンジェリン・ドリーム)のごときサウンドでもあり、同時に10年代以降/グライム以降ともいえる未知のサウンドがトラック内に溶け合っているのだ。

 知っている。だが聴いたことがない。本作には「未聴感」が濃厚に漂っている。UKのグライム以降の最先端のビート・トラックを提示したマムダンスとロゴスのシングル「FFS/BMT」(2017)に横溢する「新しさ」の「その先」を見出そうとする強い意志を強く感じる。それはいわば「複雑さ」から「単純さ」を選択し、電子音/音のマテリアルな質感へと聴き手の意識を向かわせようとする意志だ。むろん「素朴さ」への反動ではない。ロゴスは常に「聴きなれた音」から「未知の音」のプレゼンテーションを行ってきたアーティストではないか。その意味でジェームス・パーカーはもはや「ウェイトレス」だけに拘っていないし、その先を意識しているのだろう。
 じっさい、本作『Imperial Flood』は、ビート・ミュージックとミュジーク・コンクレートとドイツ電子音楽とアシッドテクノの融合/交錯するような作品に仕上がっていた。じじつ、あるトラックはオーセンティックな電子音楽であり、あるトラックはアシッドテクノのモダン化であり、あるトラックはインダストリアル/テクノ以降のモダンなミュジーク・コンクレートである。こう書くと多様な音楽性によるトラックが収録された雑多なアルバムのように思うかもしれないが、アルバム全体はモノトーンのムードで統一されてもいる(このクールなミニマリズムはロゴスとマムダンス、〈Different Circles〉からリリースされた音楽に共通する)。
 同時に聴き込むほどに乾いた砂が手から零れていくような「つかみどころのなさ」を感じてもくる。これはネガティブな意味ではない。そうではなく新しい音楽を聴いたときによく感じる現象である。提示された音の遠近法がこれまでの聴き手のそれに収まっていないのだ。この「とりとめのなさ」「つかみどころのなさ」にこそ新しい電子音楽の胎動があると私は考える。
 「とりとめのなさ」「つかみどころのなさ」「未聴感」。「未聴感」は、いわば過渡的な状態を意味するものだ。「新しさ」をいわば「不定形な状態」とすると、「新しさ」とは「過渡的」な状態を常に/意識的に選択し、その絶え間ない変化のただ中に身を置こうとするタフな意志の表出といえる。そう、ロゴスは、そのような「未知の新しさ」を希求・提示する稀有なアーティストなのだ。

Flying Lotus × Anderson .Paak - ele-king

 先日待望の6枚目のアルバム・リリースがアナウンスされ、ユキミ・ナガノを招いた“Spontaneous”とサンダーキャット、ブランドン・コールマン、オノシュンスケの参加する“Takashi”が先行公開されたばかりのフライローですが、本日新たにアンダーソン・パークをフィーチャーした新曲“More”が解禁されました。やばい、めっちゃかっこいい……。きっとこれが2年前に報じられたコラボだったのでしょう。ますますアルバムへの期待が昂まりますね。リリースまであと2週間。日本先行発売です。

5/22リリースの最新作『FLAMAGRA』より
アンダーソン・パーク参加の新曲“MORE”が解禁!

デヴィッド・リンチをフィーチャーしたトレーラー映像と共に、待望の最新アルバム『フラマグラ』の完成を発表したフライング・ロータス。その後、リトル・ドラゴンのユキミ・ナガノをフィーチャーした“Spontaneous”、サンダーキャット、ブランドン・コールマン、オノシュンスケが共演した“Takashi”の2曲を公開し、ポップで軽快なサウンドに注目が集まる中、アンダーソン・パークが最高にソウルフルなヴォーカルを披露する新曲“More”を解禁!

Flying Lotus - More feat. Anderson .Paak
https://www.youtube.com/watch?v=Xl0XBQ08wbg

彼(アンダーソン・パーク)と知り合ったのはもっと前だけど、ちゃんと話すようになって6、7年かな。アイツ演奏もすごいんだよ! 危険なヤツさ…… ──Flying Lotus

全27曲(国内盤にはさらに1曲追加!)収録というスケールはもちろん、過去作品以上に豪華な参加アーティストも話題となっている本作。アンダーソン・パークの他にも、ジョージ・クリントン、リトル・ドラゴンのユキミ・ナガノ、ティエラ・ワック、デンゼル・カリー、シャバズ・パレセズのイシュマエル・バトラー、トロ・イ・モワ、ソランジュ、そして盟友サンダーキャットがヴォーカリストとして参加。さらに、デヴィッド・リンチの不気味なナレーションが今作の異様とも言える世界観を炙り出している。

またフライング・ロータス本人のSNSを通して、本作のアートワークで使用されたタイポグラフィは、ニッキー・ミナージュやポスト・マローンへの作品提供も行ってきた日本人グラフィックデザイナー、GUCCIMAZE(グッチメイズ)が手がけ、その他の参加ミュージシャンには、ハービー・ハンコックやロバート・グラスパーらも名を連ねていることが明かされている。

フライング・ロータスが投稿した制作風景


フライング・ロータスが、マグマのごとく燃えたぎるイマジネーションを詰め込んだ超大作『フラマグラ』は、5月22日(水)に日本先行リリース。国内盤にはボーナストラック“Quarantine”を含む計28曲が収録され、歌詞対訳と吉田雅史による解説に加え、若林恵と柳樂光隆による対談が封入される。初回生産盤CDは豪華パッケージ仕様。またTシャツ付セット(BEATINK.COM限定でXXLサイズ取扱あり)も限定数販売決定! 2枚組となる輸入盤LPには、通常のブラック・ヴァイナルに加え、限定のホワイト・ヴァイナル仕様盤、さらに特殊ポップアップ・スリーヴを採用したスペシャル・エディションも発売。

なお国内盤CDを購入すると、タワーレコードではオリジナル・クリアファイル、BEATINK.COM、HMV、diskunion、その他の対象店舗では、GUCCIMAZEによるロゴ・ステッカー、amazonではオリジナル肖像画マグネットを先着でプレゼント。また、タワーレコード新宿店でアナログ盤を予約するとオリジナルB1ポスターが先着でプレゼントされる。

label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: FLYING LOTUS
title: FLAMAGRA
release: 2019.05.22 wed ON SALE
日本先行リリース!

国内盤CD:BRC-595 ¥2,400+tax
初回盤紙ジャケット仕様
ボーナストラック追加収録/歌詞対訳・解説書付
(解説:吉田雅史/対談:若林恵 × 柳樂光隆)

国内盤CD+Tシャツセット:BRC-595T ¥5.500+tax
XXLサイズはBEATINK.COM限定

TRACKLISTING
01. Heroes
02. Post Requisite
03. Heroes In A Half Shell
04. More feat. Anderson .Paak
05. Capillaries
06. Burning Down The House feat. George Clinton
07. Spontaneous feat. Little Dragon
08. Takashi
09. Pilgrim Side Eye
10. All Spies
11. Yellow Belly feat. Tierra Whack
12. Black Balloons Reprise feat. Denzel Curry
13. Fire Is Coming feat. David Lynch
14. Inside Your Home
15. Actually Virtual feat. Shabazz Palaces
16. Andromeda
17. Remind U
18. Say Something
19. Debbie Is Depressed
20. Find Your Own Way Home
21. The Climb feat. Thundercat
22. Pygmy
23. 9 Carrots feat. Toro y Moi
24. FF4
25. Land Of Honey feat. Solange
26. Thank U Malcolm
27. Hot Oct.
28. Quarantine (Bonus Track for Japan)

田我流 - ele-king

 stillichimiya の一員としても活躍する田我流のソロとしては実に7年ぶりとなる待望のサード・アルバム。前作『B級映画のように2』リリース以降も、バンド・プロジェクトである“田我流とカイザーソゼ”名義でのアルバム・リリースや、ヒップホップを中心とした数々のアーティストやプロデューサーの作品にゲスト出演を果たしたり、さらにライヴ活動も精力的に続けてきたことで、この7年間の彼に対する評価は常に上昇を続けている。その彼の魅力はリリックから滲み出てくる等身大の人間臭さや、その裏にあるユーモアの部分だけではない。常に真っ直ぐ芯を通しながらも、時にはやんちゃに振る舞ったかと思えば、しっかりと男としての色気すらも漂わせる。声の良さやラッパーとしての存在感の強さはもちろんのこと、ヒップホップとしての新しさもあれば、どこかオールドスクールなフレイヴァも匂わせ、山梨県を拠点に活動していることも、彼にとってはハンデどころか大きなプラスになっている。日本人ラッパーとして、これほどまでに全方位的な要素を備えている人物は他に見当たらず、本作『Ride On Time』は、そんな田我流の魅力が十二分に詰まった傑作だ。

 今回のアルバムでまず特筆すべきは、“Falcon a.k.a. Never Ending One Loop”名義で田我流自身が実質的にメイン・プロデューサーを務めているところだろう。これまで Falcon としてはビートCDや僅かなプロデュース作を発表してきただけであったが、本作ではその自らのサウンドによって見事にアルバム全体のカラーを作り上げている。さらに田我流にとっても代表曲である“ゆれる”を手がけた EVISBEATS を筆頭に、DJ UPPERCUT、Automatic (ゆるふわギャング)、VaVa、KM、ジュークのビートメイカーである Ace-up といった、実に幅広いメンツをプロデューサーとして揃え、この鉄壁な布陣によって作品として強度はさらに増している。これらの色彩豊かなサウンドに対して、田我流自身のラップも実にバラエティ豊かなスタイルを繰り広げており、“Vaporwave”のように敢えて今っぽいスタイルを取り入れたり、あるいは“Cola”のように歌を披露してみたり、自らの新しい引き出しを次々と広げている。もちろん、同時にタイトル曲“Ride On Time”や盟友、EVISBEATS との“Changes”のような彼自身の王道とも言えるスタイルも健在だ。

 フィーチャリングに関しては C.O.S.A. (“Wave”)とシンガーの NTsKi (“Anywhere”)とふたりのみであるが、いずれもゲストのカラーもしっかり反映された見事な出来で、さらにスキット“Small Talk From KB”での KILLER-BONG の存在感も絶妙なアクセントになっている。他にもイントロ明けの田我流節が全開な“Hustle”での鮮やかな疾走感であったり、ファースト・アルバム『作品集 JUST』からの続編である“Back In The Day 2”でのネタ使いも含めた良い意味でのイナタさや、素直に苦悩をリリックに綴った“Deep Soul”など、全ての曲が聞きどころと言えるほど、隙間なくアルバム全体に魅力が溢れている。頭から最後まで、じっくりと何度も何度も噛み締めてほしい作品だ。

Panda Bear - ele-king

 リリースから3か月遅れのレヴュー。なので好きなひとはとっくに聴いておのおの感想を持っていることだろう。聴いてないひとは、パンダ・ベアが嫌いか,もう彼の表現に興味を持てないか、飽きたか、もしくは生活のなかに取るに足らない、役に立たない、無用な喜びを見出さないひとかもしれない。しかし彼のまったくぶれない夢想癖が好きなひとにとっては、じつはこの『Panda Bear Meets The Grim Reaper』以来、6枚目のソロ・アルバム『ブーイ』はけっこう良かったりする。評判の良かった『Panda Bear Meets The Grim Reaper』と『Tomboy』よりも、ぼくは新作のほうが良いと思っている。昨年、最初に“Dolphin”を聴いたときにそう思った。

 オートチューンを使って昨今のR&B/ヒップホップの影響を取り入れているからではない。パンダ・ベアの作品を特徴付ける音のがちゃがちゃした感じ、空間を埋めたがるやかましい感じが綺麗に整理されて、より奥行きのある音像になっているのがひとつ、で、もうひとつの長所はメロディラインが良い。音響工作にに関しては、思うに、前作でダブを意識したとはいえは、キング・タビーの最小限の音による広がる空間とはほど遠いダブをやったパンダ・ベアも、いやまてよ、ダブにはもっと空間(スペース)とミニマリズムが必要であると気がついたのかもしれない。
 アルバムは、“Dolphin”に続く“Cranked”と“Token”も良い流れになっている。

 この2曲にも魅力的なメロディがあるわけだが、本作のひとつのスタイルが明らかになっている。それはアコースティック・ギターと歌を基調にし、サンプル音か電子音が控え目にミックスされるというシンプルな構造だ。それはフリー・フォークと括られた時代の、在りし日のアニマル・コレクティヴを思い出させるかもしれないが、『ブーイ』に収録された9曲は1曲1曲が成熟している。
 なるべく良い音響再生装置で聴いて欲しいというのが〈ドミノ〉からのリクエストのようだが、それはたしかで、間違ってもPCやイヤフォンで満足しないように。なるべく大きな音量で、独立したスピーカーから音を出そう。わかっていると思うけど、パンダ・ベアの音楽に自己救済なんて求めても無駄。たとえあなたが窮していようとも、空想力で楽しいことや嬉しいことで頭を満たして、ただただ純粋に楽しめば良い。

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