「AY」と一致するもの

Yoshinori Hayashi & DJ Today - ele-king

 昨年ノルウェイの良心〈Smalltown Supersound〉からファースト・アルバム『Ambivalence』を発表し、最近どんどん評価を高めているDJの Yoshinori Hayashi。一昨日のマシュー・ハーバートの来日公演でも身体にずしんと響く最高なテクノ・セットを披露してくれた彼が、詳細不明の謎の DJ Today とともにWWWβにてレギュラー・パーティをスタートさせることが決定。その名も《BRAIN MOSS/ノウコケ》。記念すべき第1回となる6月8日の前売り券には、Yoshinori Hayashi の未発表音源CDRも付属するとのこと。売り切れてしまう前にチェック!

BRAIN MOSS/ノウコケ

世界へ躍進する奇才プロデューサー/DJ Yoshinori Hayashi が詳細不明な DJ Today を召喚し、明快オブスキュアなレギュラー・パーティー《BRAIN MOSS/ノウコケ》をWWWβにて始動。前売には Yoshinori Hayashi の未発表音源CDR「Low rec series vol.2」付、合わせてY.Hオリジナル・グッズ、私物レコードなども販売予定。

2015年の〈Going Good〉からの衝撃デビュー作「終端イーピー」、Sotofett のリミックスも収録したEP「The Forgetting Curve」〈JINN Records〉等のリリース等を経て、2017年には Boiler Room に出演、2018年には「Uncountable Set」〈Disco Halal〉、「Harley's Dub」〈Jheri Tracks〉、そしてクラブ・ミュージック・シーンの外からも絶賛された 1st Album 『AMVIBALENCE』と怒涛のリリースで存在感を見せつけた Yoshinori Hayashi が、謎のベールに包まれた DJ Today と共にWWWβにて、レギュラー・パーティー《BRAIN MOSS/ノウコケ》を始動する。初回となる今回はレジデント2名によるオープンラストのセットを披露します。

特典として Yoshinori Hayashi の未発表音源CDR「Low rec series vol.2」を前売チケット購入者にプレゼント。
更にY.Hブランドのオリジナル・グッズや彼らのレコード・コレクションが少量、会場にて販売予定。

BRAIN MOSS / ノウコケ
LINE UP:Yoshinori Hayashi / DJ Today
2019/6/8 sat at WWWβ
OPEN / START 23:00
ADV ¥1,500 @RA + WWW店頭 w/ Yoshinori Hayashi Unreleased Track CDR
DOOR ¥1,500
※ 前売チケットを購入した方にはエントランスにて Yoshinori Hayashi の未発表音源を収録したCDR「Low rec series vol.2」をお渡します。
※ 未成年者の入場不可・要顔写真付きID / You must be 20 or over with Photo ID to enter

詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/011100.php
前売:https://jp.residentadvisor.net/events/1256849

Yoshinori Hayashi (Smalltown Supersound / Going Good)

18歳より独学で音楽制作をスタートさせた林良憲は、2008年に作曲家/ピアニスト/プロデューサーの野澤美香に師事することで、その稀有な才能を花開かせた。2015年、衝撃のデビュー作「終端イーピー」は、探究心旺盛なフリークスのみならず世界中のリスナーを驚かせ、決してフロアライクとは言えない内容ながら Juno plus Best of2015 : Top 50 Singles に於いて6位に選出される。その後も世界中の様々なレーベルから、精力的なリリースを続けることで、彼の音楽は多くの人々を魅了してきた。2018年10月待望のデビュー・アルバム『AMBIVALENCE』をオスロの老舗レーベル〈Smalltown Supersound〉より発売。青山の MANIAC LOVE からスタートしたDJキャリアは15年に及び、House、Techno、Disco、Leftfield を転がるように横断し、時に危ういボーダーさえも往来するプレイ・スタイルは、古典的でありながら実験性に富び、独自のオブスキュアを形成することでダンスフロアに貢献。欧州ツアーや Music Festival への出演を重ね、世界的注目を浴びる今、更なる飛躍が期待されている。音楽的ロジックを最優先する彼の感性は今まさに渇望されている。

https://m.soundcloud.com/yoshinorihayashi13
https://www.facebook.com/yoshinori.hayashi13

DJ TODAY

プログレッシブな展開を構築するスタイルを信条とする。

https://soundcloud.com/s5tzlhappveu/heavy-mix

 ハウス・ミュージックは、今日世界でもっとも広く愛されているダンス・ミュージックのスタイルのひとつ。そのスタイルは1980年代のシカゴで発明されていることは有名だが、それはアンダーグラウドで起きたため、当時の状況や細かい経緯についてはあまり明らかにされていなかった。ジェシー・サンダースが『ハウス・ミュージック──その真実の物語』を著すまでは。
 ジェシー・サンダースは、いちおう歴史上最初にハウスのレコードを作ったと言われている人物で、また、栄光と悪名にまみれた〈Trax〉レーベルの設立者のひとりでもある。そして、最初のハウスのヒット作、“Love Can't Turn Around”の作者のひとりでもある(もうひとりは、そう、ファーリー・ジャックマスター・ファンクだ)。
 不思議なもので、ひとを惹きつける音楽作品には、個人の才能だけでは生まれ得ない何かがある。UKのポストパンクやジャマイカのレゲエ、NYのディスコや初期ヒップホップなんかのように、時代と環境が音楽に魅力を与えることはおうおうにしてある。その後スキル的にも環境的にも向上したのに関わらず、乱雑さのなかで生まれた初期作品の魅力を越えることができなかったというアーティストは珍しくない。
 シカゴ・ハウスも時代と環境が作った音楽と言える。シカゴ・ハウスとは、そう、ハウスの原点であり、いまではハウス・ミュージックは、世代的にもひとまわりしてしまい、若い世代の音楽にもなっている。世代や国に関係なく、たくさんのひとを踊らせる音楽として広がっている。『ハウス・ミュージック──その真実の物語』はその起源についての、その時代と環境についての物語だ。もちろん、ほとんど同時代に生まれたデトロイトのテクノ、NYのガラージュとの繋がりについても触れられている。
 発売は今週水曜日(4月26日)。これを読むと、ますますハウスが好きになること請け合いです。
 また、『ハウス・ミュージック──その真実の物語』と同時に、ジェシー・サンダースが最初に関わった伝説のハウス・バンド、Z・ファクターの幻のアルバム『ダンス・パーティー・アルバム』も再発される。シカゴ・ハウス・フリークにはマストな作品で、まだニューウェイヴ・ディスコの延長だったプレ・シカゴ・ハウスの若々しさ、楽しさが詰まっている。こちらのほうもチェックしてみてください。

『ハウス・ミュージック──その真実の物語』
ジェシー・サンダース(著) 
東海林修+市川恵子(訳)
西村公輝(解説)
2019/4/24 
本体 2,800円+税 
ISBN:978-4-909483-27-0

Disk Uunion
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【アルバム詳細】
Z-FACTOR Feat. JESSE SAUNDERS 『Dance Party Album』
Z・ファクター・フィーチャリング・ジェシー・サンダース 
『ダンス・パーティー・アルバム』
発売日:2019年4月26日
価格:¥2,400+税
品番:PCD-24836
★解説:解説:Dr. Nishimura (Sunline Records/Lighthouse Records/悪魔の沼) 
★世界初CD化

【Track List】
1. I Am The DJ
2. Fantasy (vocal)
3. Thorns
4. Fantasy (Instrumental)
5. Fast Cars
6. My Ride
7. Her Way

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Shafiq Husayn - ele-king

 ジュラシック5、ファラオ・モンチからN.E.R.D.、エリカ・バドゥまで、様々なアーティストのプロデュースやリミックスを手がけ、さらに自らの名義でもシングルやアルバムを多数リリースし、一時はカニエ・ウェストのレーベル、〈グッド・ミュージック〉と契約を結ぶなど、2000年代のLAシーンにて飛ぶ鳥を落とす勢いであった、オマス・キース、タズ・アーノルド、シャフィーク・フセインからなるグループ、サーラー・クリエイティブ・パートナーズ(以下、サーラー)。ヒップホップをバックボーンにしながら、フューチャリスティックなR&Bやファンクの要素も巧みにミックスしたサーラーのサウンドは、まさに時代を先取ったものであった。さらにサーラーの活動停止後も、メンバー3人の幅広い人脈によって、ケンドリック・ラマーアンダーソン・パーク、さらに現行のLAジャズ・シーンに至るまで、実に幅広く影響を及ぼしている。そんなサーラーのメンバーの中で、当時はキャラクター的に一番目立たない存在でありながらも、実はサウンド的には最も重要なポジションにいたのがシャフィーク・フセインだ。その彼がソロ・アルバムとしては約10年ぶりとなるセカンド・アルバム『The Loop』をリリースした。

 前作『Shafiq En' A-Free-Ka』ではサーラーのサウンドから、さらにアフロビートやミニマルなエレクトロニック・サウンドの要素を強く取り入れるなど、攻めた音作りを行なっていたシャフィークだが、時代がようやくサーラーに追いついたとも言えるこのタイミングだからこそ、本作での彼のサウンドはいまの時代のムードに見事にフィットしている。サンダーキャットカマシ・ワシントンクリス・デイヴ、ミゲル・アトウッド・ファーガソンといった名うてのミュージシャンとのセッションを基盤に、エリカ・バドゥ、アンダーソン・パーク、ロバート・グラスパー、ビラル、ハイエイタス・カイヨーテ、ファティマ、ジメッタ・ローズなど実に多彩なゲスト・アーティストを迎え(さらにフライング・ロータスが一曲プロデュースで参加)、この有機的なコネクションによって構築されたサウンドには、プリミティヴでありながらも、宇宙や未来、あるいは宗教的な要素までも、全てを内包する。日本人アーティストの青山トキオ氏が手がけたジャケット・カバーも、本作のそんなイメージを見事に表現しており、アルバム全体から溢れ出る厚みと温もりのある豊かな音の広がりは、ダイレクトに聴き手の心を揺さぶる。さらに加えると、低音の効いたシャフィークの声もひとつの大きな魅力になっており、要所要所で出てくる彼のヴォーカルと女性コーラスとの絡みは、実に刺激的だ。3曲目の“My-Story Of Love”はそんな彼の声の魅力を堪能出来る一曲であり、さらにこの曲から“DTM (The Whill)”、ビラルをフィーチャした“Between Us 2”へと続く流れは、個人的にも本作のピークとも言えるほどの輝きを放つ。

 アルバム後半にはサーラーのオマス・キースもゲスト参加しているが、本作リリースから数日後にシャフィークは自らのサウンドクラウドのアカウントで、オマス・キースとタズ・アーノルドのふたりがゲスト参加した“If You Miss You Kiss You”という曲を公開した。サーラー的スローバラードとも言えるこの曲は、おそらく本作のために制作されたものの残念ながら未収録となった一曲と思われるが、彼らのSNS上ではサーラーの復活を匂わせるような投稿も見られ、彼らのファンとして、今後の動きに期待したい。

SCARS - ele-king

 これは朗報だ。リーダーの A-THUG を筆頭に、SEEDASTICKYBES、bay4k に MANNY に SAC に I-DeA にと、そうそうたる面子が名を連ねる川崎のヒップホップ・グループ、SCARS。現在の日本語ラップを考えるうえでも重要な彼らの2006年のファースト・アルバム、長らく入手困難だった『The Album』のリイシューが決定した。発売日は6月19日。一躍彼らの名を轟かすことになったクラシックを、この機会にぜひ。

A-THUG を中心に SEEDA、STICKY、BES、bay4k らが名を連ねる日本語ラップ・シーン最重要グループ、SCARS! 廃盤状態で入手激困難だった2006年リリースの傑作ファースト・アルバム『THE ALBUM』がリイシュー決定!

リーダーである A-THUG を筆頭にSEEDA、STICKY、BES、bay4k、MANNY、SAC、I-DeA らが名を連ねた日本語ラップ・シーン最重要な伝説的グループ、SCARS。BLACK EYE PATCH とのコラボレーション等で A-THUG、SEEDA、STICKY、BES を中心にリユニオンを果たし、再びその名を目にすることが多くなった昨今……散発的に行われているライブでも披露されている名曲群を収録した2006年リリースの傑作にして超問題作なファースト・アルバム『THE ALBUM』がまさかのリイシュー決定!

ハスリング・ラップ最高峰のアルバムとしてシーンに大きな衝撃を与え、一躍 SCARS やメンバーの名前を広めた屈指の名盤ながら長きに渡って入手困難な状況が続いて界隈では高値でディールされていたブツ!

[アルバム情報]
アーティスト:SCARS(スカーズ)
タイトル:The Album(ジ・アルバム)
レーベル:SCARS ENT
品番:SCARS-001
発売日:2019年6月19日(水)

TRACK LIST:
1. In Dro (Lyrics by "A"THUG, bay4k, BES, SEEDA, STICKY)
2. Showtime For Life (Lyrics by "A"THUG, bay4k, BES, SEEDA)
3. 1 Step,2 Step (Lyrics by BES)
4. YOU ALREADY KNOW (Lyrics by STICKY)
5. Homie Homie Remix feat. SWANKY SWIPE (Lyrics by bay4k, BES, EISHIN, SEEDA)
6. SCARS (Lyrics by "A"THUG, bay4k, BES, SEEDA, STICKY)
7. Bring Da Shit (Lyric by bay4k)
8. ばっくれ (Lyrics by BES, SEEDA, STICKY)
9. あの街この街… feat. GANGSTA TAKA (Lyrics by MANNY, SEEDA, GANGSTA TAKA)
10. Love Life (Lyric by "A"THUG)
11. Junk Music (Lyrics by bay4k, SEEDA, STICKY)
12. 日付変更線 (Lyrics by BES, SEEDA, STICKY)
13. Outraw (Lyrics by "A"THUG, bay4k, SEEDA)

Rupert Clervaux - ele-king

 昨年来日を果たし、この5月には再来日も決定しているロンドンのプロデューサー、ベアトリス・ディロン(Beatrice Dillon)。彼女との共作で知られる音楽家にして詩人のルパート・クレルヴォー(Rupert Clervaux)が、ソロ名義としては初となるアルバム『After Masterpieces』を5月24日にリリースする。同作は古代の神話や認識論、言語や音楽の起源などをテーマに扱っているそうで、〈RVNG〉からのリイシューが話題となったLAのシンセ奏者アンナ・ホムラー(Anna Holmer)や、かつてルパートが創設/プロデュースしたUKのポストロック・バンド、シアン・アリス・グループ(Sian Alice Group)のメンバーであり、その後オー(Eaux)の一員としても活動していたシアン・エイハーン(Sian Ahern)、サックス/トランペット奏者のエベン・ブル(Eben Bull)が参加しているとのこと。リリース元がロンドンの気鋭のレーベル〈Whities〉というのが最大のミソで、『After Masterpieces』は同レーベルにとって初のフルレングス作品となる。これは期待。

https://whities.bandcamp.com/album/after-masterpieces

Flying Lotus - ele-king

 問答無用、この春最大のニュースの到着だ。フライング・ロータスが5年ぶりとなるニュー・アルバムをリリースする。読者の皆さんは覚えているだろうか? アンダーソン・パークとのコラボが報じられたのはすでに2年前。長かった。じつに長かった。散発的に新曲の発表はあった。フライロー自らが監督を務める映画『KUSO』の公開もあった。昨年のソニックマニアでのパフォーマンスも圧倒的だった。彼の主宰する〈Brainfeeder〉は10周年を迎えた。それを記念してわれわれele-kingは1冊丸ごと特集を組んだ。そして最近では渡辺信一郎の新作アニメ『キャロル&チューズデイ』への参加が話題を呼んだ。長かった。じつに長かったが、いよいよである。タイトルは『Flamagra』。これはもしかして「フライング・ロータスによるドグラ・マグラ」という意味だろうか? 詳細はまだわからないけれど、どうやら炎がコンセプトになっているようで、とりあえずは熱そうである。くだんのアンダーソン・パークに加え、ジョージ・クリントン、デヴィッド・リンチ、トロ・イ・モワソランジュと、参加面子もものすごい。発売日は5月22日。嬉しいことに日本先行発売だ。もう何も迷うことはない。

[4月24日追記]
 昨日、待望の新作『Flamagra』より2曲が先行公開されている。“Spontaneous”にはリトル・ドラゴンのユキミ・ナガノが、“Takashi”にはサンダーキャット、ブランドン・コールマン、オノシュンスケが参加。フライローいわく、オノシュンスケについては坂本慎太郎のリミックスを聴いて知ったのだという。なんでも Spotify でランダムにその曲が流れてきたのだとか。2曲の試聴は下記リンクより。

https://flying-lotus.ffm.to/spontaneous-takashi

FLYING LOTUS
FLAMAGRA

フライング・ロータス待望の最新作『FLAMAGRA』堂々完成
自ら監督したトレーラー映像「FIRE IS COMING」を解禁
27曲収録の超大作に、超豪華アーティストが集結!

アンダーソン・パーク|ジョージ・クリントン|リトル・ドラゴン|ティエラ・ワック|デンゼル・カリー|デヴィッド・リンチ|シャバズ・パレセズ|サンダーキャット|トロ・イ・モワ|ソランジュ

credit: Renata Raksha

グラミー賞候補にもなった前作『ユー・アー・デッド!』から5年。ケンドリック・ラマーの傑作『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』におけるコラボレーション、カマシ・ワシントンの大出世作『ジ・エピック』の監修、サンダーキャットの出世作『ドランク』では大半の楽曲をプロデュースし、ここ日本でも上映されたコミック・ホラー長編映画『KUSO』の監督・脚本を手がけ、主宰レーベル〈ブレインフィーダー〉が10周年を迎えるなど、底なしの創造力でシーンの大ボスとして君臨するフライング・ロータスが、マグマのごとく燃えたぎるイマジネーションを詰め込んだ27曲(*)の超大作、その名も『フラマグラ』を完成させた。(*国内盤CDにはさらに1曲追加収録)

発表に合わせてフライング・ロータスとデヴィッド・ファースが手がけたトレーラー映像「FIRE IS COMING」が公開された。
https://www.youtube.com/watch?v=aTrTtzTQrv0

本作は、12年に及ぶキャリアの中でロータスが世に提示してきた革新性のすべてを掻き集め、それをさらに推し進めている。ヒップホップ、ファンク、ソウル、ジャズ、ダンス・ミュージック、トライバルなポリリズム、IDM、そしてビート・ミュージックが図解不可能なほど複雑に絡み合い、まるでロータスの頭の中に迷い込んだような、もしくは宇宙に漂う灼熱の惑星の上にいるかのような、驚異的独創性が発揮された傑作だ。

いつも頭の中では一つのテーマが浮かんでいて、火にまつわるコンセプトが燻り続けていた。ある丘の上に永遠の炎が鎮座しているんだ。 ──フライング・ロータス

過去作品でも豪華な参加アーティストが話題を呼んだが、今作のラインナップは数もインパクトも過去作を上回るものとなっている。アンダーソン・パーク、ジョージ・クリントン、リトル・ドラゴンのユキミ・ナガノ、ティエラ・ワック、デンゼル・カリー、シャバズ・パレセズのイシュマエル・バトラー、トロ・イ・モワ、ソランジュ、そして盟友サンダーキャットがヴォーカリストとして参加。さらに、デヴィッド・リンチの不気味なナレーションが今作の異様とも言える世界観を炙り出している。

フライング・ロータス待望の最新作『フラマグラ』は5月22日(水)に日本先行リリース。国内盤にはボーナストラック“Quarantine”を含む計28曲が収録され、歌詞対訳と解説書が封入される。初回生産盤CDは豪華パッケージ仕様。またTシャツ付セットも限定数販売決定! 2枚組となる輸入盤LPには、通常のブラック・ヴァイナルに加え、限定のホワイト・ヴァイナル仕様盤、さらに特殊ポップアップ・スリーヴを採用したスペシャル・エディションも発売。Beatink.comでは50部限定で、スペシャル・エディションのクリア・ヴァイナル仕様盤が販売となり、本日より予約が開始となる。

なお国内盤CDを購入すると、タワーレコードではオリジナル・クリアファイル、Beatink.com、HMV、diskunion、その他の対象店舗ではそれぞれオリジナル・デザインのロゴ・ステッカー、Amazonではオリジナル肖像画マグネットを先着でプレゼント。また、タワーレコード新宿店でアナログ盤を予約するとオリジナルB1ポスターが先着でプレゼントされる。

label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: FLYING LOTUS
title: FLAMAGRA

日本先行リリース!
release: 2019.05.22 wed ON SALE

国内盤CD:BRC-595 ¥2,400+tax
初回盤紙ジャケット仕様
ボーナストラック追加収録 / 歌詞対訳・解説書付
(解説:吉田雅史/対談:若林恵 x 柳樂光隆)

国内盤CD+Tシャツセット:BRC-595T ¥5,500+tax
XXLサイズはBEATINK.COM限定

TRACKLISTING
01. Heroes
02. Post Requisite
03. Heroes In A Half Shell
04. More feat. Anderson .Paak
05. Capillaries
06. Burning Down The House feat. George Clinton
07. Spontaneous feat. Little Dragon
08. Takashi
09. Pilgrim Side Eye
10. All Spies
11. Yellow Belly feat. Tierra Whack
12. Black Balloons Reprise feat. Denzel Curry
13. Fire Is Coming feat. David Lynch
14. Inside Your Home
15. Actually Virtual feat. Shabazz Palaces
16. Andromeda
17. Remind U
18. Say Something
19. Debbie Is Depressed
20. Find Your Own Way Home
21. The Climb feat. Thundercat
22. Pygmy
23. 9 Carrots feat. Toro y Moi
24. FF4
25. Land Of Honey feat. Solange
26. Thank U Malcolm
27. Hot Oct.
28. Quarantine (Bonus Track for Japan)

Amgala Temple - ele-king

 ノルウェイの音楽的良心たるジャガ・ジャジストですが、その中心人物であるラーシュ・ホーンヴェットによるプロジェクト、アムガラ・テンプルが来日します。ジャガ・ジャジストはライヴも高い評価を得ているバンドだけに、初となるアルバム『Invisible Airships』をリリースしたばかりのアムガラ・テンプルがいったいどんなパフォーマンスを披露してくれるのか、気になるところです。5月18日から21日のあいだに都内3箇所をめぐるツアー、詳細は下記よりご確認を!

ジャガ・ジャジストから派生したジャズロック・プロジェクト、アムガラ・テンプル待望のジャパンツアー決定!

ジャガ・ジャジストのコア・メンバーである Lars Horntveth を中心に Amund Maarud、Gard Nilssen というノルウェーの異能プレイヤーが集結したアムガラ・テンプルは、ジャズ・ロックの系譜を受け継ぎながらもプログレからサイケ、クラウトロックまで飲み込んだまさに2020年代を迎えるに相応しい先鋭的なサウンド! ライヴの半分近くはインプロ(即興)で構成されるなど二度と同じ演奏をしないライヴ・アクトとしても熱狂的な支持を集めている彼らのパフォーマンスをお見逃しなく!

「Avenue Amgala」(ライヴセッション映像)
https://youtu.be/G-Lb29r7A24

Amgala Temple:
Amund Maarud (electric guitars)
Gard Nilssen (drums, gongs, bells, melodic drum)
Lars Horntveth (bass, keys, lap steel, guitar & vibraphone)

Amgala Temple (with member of Jaga Jazzist) JAPAN TOUR 2019

2019年5月18日(土) CROSSING CARNIVAL'19
会場:TSUTAYA O-EAST、duo MUSIC EXCHANGE、clubasia、WOMB LIVE、TSUTAYA O-nest
時間:Open / Start 13:00(時間予定)
チケット料金:¥4,800 (税込 / ドリンク別)

チケット ※枚数制限4枚
イープラス:https://eplus.jp/crossingcarnival19/
問い合わせ:SOGO TOKYO(03-3405-9999)

2019年5月20日(月) 六本木VARIT
Live :
・Amgala Temple (with member of Jaga Jazzist)
・東京ザヴィヌルバッハ・スペシャル
(坪口昌恭:Keys / David Negrete:Alt. Sax, Flute / 宮嶋洋輔:Guitar / 角田隆太:Bass (from ものんくる) / 守真人:Drums)
時間:Open 18:30 / Start 19:00
チケット料金:Adv. ¥2,800 / Door ¥3,300 (+1 drink order)

チケット発売/予約受付開始日:4月20日(土)
イープラス:https://eplus.jp
購入ページ:
https://eplus.jp/sf/detail/2939610001-P0030001
問い合わせ:六本木VARIT(03-6441-0825)

2019年5月21日(火) Shibuya 7th FLOOR
Live :
・Amgala Temple (with member of Jaga Jazzist)
・guru host (坂口光央+一樂誉志幸)
・角銅真実
時間:Open 18:30 / Start 19:00
チケット料金:Adv. ¥2,800 / Door ¥3,300 (+1 drink order)

チケット発売/予約受付開始日:4月20日(土)
イープラス:https://eplus.jp
7th FLOOR メール予約:4/20 (土)~5/20 (月) (nanakaiyoyaku+0521@gmail.com)
件名に公演名、本文にお名前(フリガナ)、予約人数をご記入ください。
ご予約の確認がとれましたら返信いたします。
*入場順:①イープラス(整理番号順)、②メール予約/その他のご予約の順番となります。

[アルバム情報]
タイトル:インヴィジブル・エアシップス / Invisible Airships
アーティスト:アムガラ・テンプル / AMGALA TEMPLE
レーベル:P-VINE
品番:PCD-24818
定価:¥2,400+税
発売日:2019年3月6日(水)
日本語解説:山﨑智之

-収録曲-
1. Bosphorus
2. Avenue Amgala
3. Fleet Ballistic Missile Submarine
4. The Eccentric
5. Moon Palace

https://p-vine.jp/music/pcd-24818

 この世から真っ先に消し去るべき概念のひとつに「男らしさ」がある。学校や会社に通っている男性は少なくとも一度は体験したことがあるはずだと思うのだけれど、これだけアイデンティティ・ポリティクスが猛威をふるう昨今においてさえ、男性にたいし暗に「男らしさ」を要求してくる連中のなんとまあ多いことか。しかもたいていの場合、当人たちは無自覚だから厄介だ。もしかしたら僕自身、誰かにたいしそのような身ぶりを強制してしまっているかもしれない。そのときは、ごめんなさい……としかここではいえないが、とまれ家父長制と呼べばいいのかマッチョイズムと呼べばいいのか、あるいは体育会系というのかホモソーシャルというのか、状況によってあてがうべき言葉は異なるだろうけども、ほんとうに因習というのは根が深い。

 2017年にリリースされたファースト・アルバム『Yesterday's Gone』によって大きな躍進を遂げたUKの若きラッパー=ロイル・カーナーは、とにかく「男らしさ」から遠ざかろうともがいている。ように見える。彼はいつもくよくよし、なよなよしている。ように見える。無論、褒め言葉である。彼の簡単な略歴についてはこちらを参照していただきたいが、そのリリックはドラッグ体験の自慢や血塗られた抗争とは無縁であり、トラックもまた雄々しさや猛々しさから距離をおいている。トラップのようなUSのメインストリームでもなく、ストリートを反映したグライムでもなく、あるいはルーツ・マヌーヴァに代表されるような、UKの音楽に特有のジャマイカからの影響を忍ばせたスタイルでもない、いわば「第四の道」を模索し続けているのがロイル・カーナーというアーティストではないだろうか。

 まもなく発売される彼のセカンド・アルバム『Not Waving, But Drowning』は、そのような「第四の道」をさらに推し進めたものとなっている。昨年、男性が弱さを吐き出すことについて議論を提起したのはジェイムス・ブレイクだったけれど、カーナーもまた自らのナイーヴでフラジャイルな「内面」や「感情」を臆することなく表現するラッパーだ。とはいえその題材は必ずしもミクロな恋愛や友情に限定されているわけではなく、たとえば“Loose Ends”や“Looking Back”では、これまで白人には黒人とみなされ黒人には白人とみなされてきたという彼の、混血としての社会的な葛藤が吐露されている。そんなふうにぼろぼろになっている自分をさらけ出し、ラップすること。そのスタンスにはブレイクとの親和性も感じられるが、それ以上に、カーナーをフックアップしたUKのソングライター=クウェズからの影響が大きいのではないか。

 日本ではなぜかそれほど人気のないクウェズだけど、彼は歌い手であると同時に特異なサウンドの作り手でもあって(昨年ひさびさにリリースされたEP「Songs For Midi」も良かった)、にもかかわらず近年は裏方にまわりっぱなしの印象があるが、たしかに彼の手がけたソランジュティルザなんかを聴いているとプロデューサーとしての才に恵まれていることはわかるので、もしかしたらそっちで食っていこうと考えているのかもしれない。まあなんにせよ『Yesterday's Gone』に引き続き本作でも5曲に参加しているクウェズは、カーナーのセンシティヴな言葉の数々を活かすべく大いに尽力している。その奮闘は“Still”や“Krispy”におけるピアノの響きや細部の音選びに、あるいは著名なイタリアン・シェフであるアントニオ・カルッチョの名が冠された“Carluccio”の奥行きに、あるいはカーナー同様クウェズがフックアップしたシンガーであるサンファ、彼による美しいヴォーカルが堪能できる“Desoleil (Brilliant Corners)”の旋律や残響によく表れている。

 しかし、このセカンド・アルバムにおける最大の功労者はじつはクウェズではない。本作の鍵を握るひとりは、2曲で作曲とプロダクションを務めるトム・ミッシュである。彼はカーナーに飛躍の機会を用意した人物であり、これまでふたりは幾度もコラボを重ねてきた。ミッシュの2016年のミックステープ『Beat Tape 2』やシングル「Reverie」、あるいは昨年大ヒットを飛ばしたアルバム『Geography』にはカーナーが客演しているし、逆にカーナーの『Yesterday's Gone』にはミッシュが招かれている。まさに盟友と呼ぶべき関係だろう。そのミッシュが手がけた“Looking Back”はもたつくビートの映える1曲で、他方“Angel”も背後のもこもこした電子音が耳をくすぐるのだけど、ベースをはじめとする低音部も魅力的だ。ここでドラムを叩いているのがユナイテッド・ヴァイブレイションズのユセフ・デイズだというのは見逃せない。おそらくは南ロンドンという地縁によって実現されたのだろうこのコラボは、カーナーとUKジャズとの接点をも浮かび上がらせ、じっさい、カーナーは5月にリリースされるエズラ・コレクティヴの新作にも参加している。

 そして、ミッシュ以上に重要なのがジョーダン・ラカイの存在である。本作全体を覆うメロウネスや叙情性は、6曲で作曲とプロダクションを担当するラカイによって誘発されている感があり、たとえばジョルジャ・スミスを迎えた“Loose Ends”や“Sail Away Freestyle”のアダルト・オリエンテッドな音像は、いわゆるクワイエット・ウェイヴの文脈に連なるものといえる。なかでも決定的なのは“Ottolenghi”だろう。これまた高名なシェフであるヨタム・オットレンギを曲名に持ってくるあたり、もしラッパーでなければシェフになりたかったというカーナーの料理好きな一面が強く表れているが、背後にうっすらと敷かれたシンセの持続音はそれこそイーノ=ラノワを彷彿させ、とにかくせつなさとはかなさが爆発している。すべてが過ぎ去っていくことを電車の進行と重ね合わせるリリックも、それを写真というテクノロジーによる時間の切断と結びつけるMVも印象的で、ほかの曲でも「過去」という単語がキイワードになっていることから推すに、この“Ottolenghi”こそが『Not Waving, But Drowning』を代表する1曲なのではないだろうか。

 ここで忘れてはならないのが、インタールード的な役割を与えられたスポークン・ワードの小曲、アルバムのタイトルにも採用された“Not Waving, But Drowning”だ。カーナーの祖父によるものだというこの言い回し、20世紀前半のイギリスの詩人スティーヴィー・スミスに着想を得たこの一句は、僕たちにとてつもなく残酷な現実を突きつけてくる。

溺死した男についての記事を読んだ
その男の仲間は、彼が海から手を振っていると思ったらしい
でも彼は溺れていたんだ

 手を振っているんじゃない、溺れているんだ(Not Waving, But Drowning)──。文字どおり死にそうなくらい苦しんでいるのに、楽しそうにしていると受けとられてしまう、そのようなリアルを毎日毎日毎日毎日生き続けなければならない人びと、頼れる友もいなければ帰るべき場所もないような人びと、つまりはあなたに向けて、ロイル・カーナーは丁寧に言葉を紡いでいく。まるで、それもいずれは過去になると、慰め、そっと寄り添うかのように。そう、僕たちは「自分たちで新たな過去を作らないといけない」(“Carluccio”)。
 社会の要請する「男らしさ」から遠く離れ、ヒップホップの王道からも距離を置き、己のか弱き魂を吐き出しながら、ミッシュやラカイに協力を仰ぐことで今日的な音像にアプローチしたカーナーのセカンド・アルバムは、彼の「第四の道」がオルタナティヴであることを証明すると同時に、そんなふうに規範に苦しめられている人びとをときに涼やかに、ときに暖かく包みこむ。これほど優しくて愛おしいラップ・ミュージックがほかにあるだろうか。

マキタスポーツ - ele-king

平成という時代を鳴らすように──マキタスポーツ「平成最後のオトネタ」

 2019年3月27日、マキタスポーツによる「平成最後のオトネタ」と銘打ったライヴがおこなわれた。ちょうど原稿に追われていた時期でもあったのだが、なんとか仕上げ、草月ホールに駆けつけた。 はたして始まった「平成最後のオトネタ」ライヴは、平成の30年──それはちょうど、マキタスポーツが上京してからの30年と重なるという──を総括するような見事なものだった!
 オープニング、オウム真理教からSMAP解散、はたまたささやき女将まで、世間やワイドショーを騒がせたフラッシュ映像が流されたあと、マキタスポーツ十八番とも言える長渕剛のパロディが披露され、場内は笑いに包まれた。いや、正確に言うとパロディではなく、FNS歌謡祭で歌われた“乾杯”の完コピなのだが、ともかく、長渕自身の過剰なアレンジを再現するマキタスポーツの姿に客席は沸いた。

 芸人・ミュージシャンとしてのマキタスポーツは、アーティストの似顔絵をスケッチするような「作詞作曲モノマネ」や、アレンジひとつで楽曲をがらりと変容させてしまうようなパロディ芸に定評がある。その根底にあるのは、音楽に対する鋭い分析眼に他ならない。その人をその人たらしめている要素を正確に分析することによって、「作詞作曲モノマネ」もできるしパロディとしてズラすこともできる、ということだ。その点において、マキタスポーツのパフォーマンスは、古川ロッパの声帯模写からタモリや清水ミチコにいたる文体模写的なモノマネの系譜にある。そのようなたしかな分析眼のもと、ライヴ冒頭では、ミスチルをはじめとする個性的なアーティストが「作詞作曲モノマネ」され、パロディ化されていた。あるいは“X-WORLD”という演目では、X-JAPANの代表曲“紅”に対して、次々と各国風(中国風、ジャマイカ風、ロシア風……)のアレンジが加えられていた。ここに遠く、大瀧詠一『LET'S ONDO AGAIN』の試みが響き合う。後半冒頭にあたる「マッシュアップシリーズ」では、「サチモス」と「音頭」を掛け合わせた“STAY TUNE音頭”が披露されていたが、そこではやはり、“LET’S ONDO AGAIN”や“イエローサブマリン音頭”といった一連の大瀧詠一ワークスを思い出す。
 さらに、“縁の下の力持ち”という演目では、米津玄師“Lemon”や星野源“Pop Virus”に使用されている効果音に注目し、その効果音をネタにした芸をしていた。パフォーマンスの中身を言葉で説明するのは難しいし、正直野暮ったいところもある。笑いつつ思ったのは、J-POPのサウンド的なアップデートに対応するかたちでマキタスポーツの芸それ自体も更新を目指されている、ということだ。平成とはなにより、J-POPが定着し大きく更新した時代でもあった。

 そんなマキタスポーツによる「平成31曲オトネタメドレー」は圧巻だった。それは、「平成31曲」を面白おかしくパロディ化するとともに、「平成」の時代精神を見事に切り取っていたからだ。例えば、ZARD“負けないで”に対しては、同曲における自己啓発要素とその暴力性が強調されるかたちでパロディ化されていた。あるいは、あらゆる歌詞における「きみ」を志村けん風に「チミ」と言い換え、楽曲の世界観を台無しにしてしまうネタ。「愛のままにわがままに僕はチミだけを傷つけない」(B'z“愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない”)「振り返るといつもチミが笑ってくれた」(藤井フミヤ“TRUE LOVE”)「たとえばチミがいるだけで」(米米クラブ“君がいるだけで”)などなど、真面目な歌詞の世界に突然、変なおじさんが割り込んでくるようでおかしいのだが、同時に、J-POPがいかに「きみ」という二者関係のみを問題にしていたか、ひいては、いかにJ-POPが社会に背を向けていたか、が示されているようでもあった。

 だとすれば、マキタスポーツのネタのおかしさとは、J-POPそのものが、そして平成という時代そのものが抱えるおかしさなのではないか。だって、マキタスポーツの表現は、アーティストなり楽曲のもっている一面を拡大し強調するものなのだから。マキタスポーツの芸におかしさを感じるとすれば、それは同時に、ネタ元である平成のJ-POPたちにおかしさ(滑稽さ・奇怪さ)を感じていることに他ならない。誰もがなんとなく抱いている感触を、実際に言葉にし、表現にし、明らかにすること。そのような行為を一般に批評と呼ぶ。マキタスポーツが批評的だと言われるゆえんだ。「平成最後のオトネタ」は、社会が深刻になるほどに自己啓発的でポジティヴになる、J-POPのありかたを、平成という時代を、鋭く批評していた。

 ラスト、「アンコール」(という演目があること自体がマキタスポーツおなじみの皮肉である)で披露された、「誰かがなんとかしてくれるはず」と連呼する「大丈夫、たぶん」という曲は、J-POPで歌われがちな〈大丈夫ソング〉的なものが、実際は無根拠な〈他力本願ソング〉であることを指摘するものだと言える。その意味で「大丈夫、きっと」は、最近のライヴではしばしば披露されていた曲ではあるものの、とくに「平成最後のオトネタ」のラストを飾るにふさわしい曲だった。

 と、ここまでなかば解説的に書いてきた。しかし、さらに踏み込もう。徹底した分析眼のそのさきへ。メタメタな分解作業のそのさきへ。ここからは、いち受け手としての矢野利裕が見たマキタスポーツの姿だ。

 どんなに分析しても解けない魔法がある。どんなに分解しても残るなにかがある。マキタスポーツが徹底的にアーティストを分析するとき、むしろその態度はロマン主義的に映る。長渕剛を徹底的に分析し、再現しようとするとき、突きつけられるのはむしろ、どうしたって長渕剛になれない、ということである。あるいは、どこまで行ってもマキタスポーツはマキタスポーツだ、ということである。マキタスポーツの変幻自在で批評的なパフォーマンスに触れたときに感じているのは、逆説的なことながら、マキタスポーツの圧倒的な身体のほうなのである。
 マキタスポーツの著書『一億総ツッコミ時代』(講談社文庫)を振り返りながら考える。あらゆるものにツッコミを入れ続けた平成の終わり、起こっていることは身体性の復権なのではないか。あまりにも細分化したマナーとコードに張り巡らされた現在、求められているのは、説明不要の圧倒的な身体の躍動ではないか。それは例えば、他の追随を許さぬ長渕剛のような。
 考えてみれば、長渕剛がそうだったのだ。よしだたくろうになりたくて、ボブ・ディランになりたくて、ブルース・スプリングティーンになりたくて──でも、最後の最後は長渕剛以外の何物でもなくて。その誰にもなれなさのさきに、唯一無二の〈おかしさ〉に満ちた長渕剛の身体の躍動があった。どこかで聞いたことのある言葉やメロディかもしれないが、長渕剛が歌うとき、そこには唯一無二のオリジナルな響きがあった。人によっては笑ってしまうほど、しかし無視できないほどの過剰な表現。マキタスポーツが完コピしようとしたのは、そんな長渕剛的身体だった。それは知的な批評以上に、躍動的な身体を目指すことの表明である。

 いや、このことすらマキタスポーツの表現は織り込み済みなのだろう。というのも、今回のライヴでは、「記憶の森」という身体で魅せる堂々たるパフォーマンスがなされたからだ。このミュージカル仕立ての新作が、個人的には傑作だった。「香川照之の名前が思い出せない」というあまりにも日常的なひとコマについて、延々と20分かけて「記憶の森」のなかをさまよいながら、マキタスポーツがひとり三役で歌い、踊る。この仰々しい20分が本当に馬鹿馬鹿しくて、おかしくておかしくて。ずっと笑っていた。わけのわからない凄みすら感じた。必見である。
 非常に本格的な振り付けだったが、昨今のミュージカルの流行を意識しただけではない。たいしたことないことに対して仰々しく歌って踊る、それによっておかしな世界が出現する、というミュージカルの表現が、マキタスポーツのライヴには必然的に求められていたのだ。その身体ひとつの躍動で世界が一変するような表現こそを、平成の終わりのマキタスポーツは追求していたのだ。まわりくどいことを言っているようだが、なんのことはない。現在のマキタスポーツはとくに、パロディの元や文脈を知らなくとも、表情や動きがすでにじゅうぶんにコミカルであり、面白くて笑えるところがある。音楽に詳しくない人や子どもにだって喜んでもらえるように。 不思議な言いかただが、あらゆるアーティストに変身し「モノマネ」するマキタスポーツを通して、マキタスポーツの身体性を再発見されるのだ。
 そして、このようなありかたを強く体現するのが、西野カナ“トリセツ”のパロディ、“トリセツおじさん”に他ならない。だんだんとポンコツになってくる「おじさん」の様子を「トリセツ」風に歌ったものだ。今回のライヴでは、「平成31曲オトネタメドレー」のラストを飾っていた。
 なぜ俺は、この“トリセツおじさん”がこんなにも好きなのか。それは、この曲を聴くときいつも、西野カナのパロディを通して、歌い演奏するマキタスポーツの唯一無二の「おじさん」的身体が迫り出してくるように感じるからだ。頭では西野カナの替え歌を聴いているわけだが、触れているのはマキタスポーツの「おじさん」的な身体の躍動、リズムとメロディである。この意味と躍動の二重性に、妙に心動かされてしまうのだ。本当に。マキタスポーツの本領は知的な批評性ではない。かと言って、難しいことを考えないノリの良さでもない。徹底した批評のさきに再発見される身体の運動である。その運動や振動に触れることがマキタスポーツのライヴにおいて大事なことである、と思っている。
 しかし、個人的には、あらゆる音楽がそうなのだ、と思う。僕らはともすれば、音楽の歌詞に感動しているように錯覚するが、本当は音楽をめぐる躍動感に触れているのではないか。その躍動感をほんの一部でも自分のものにしようと、鼻歌を歌ったり、面白おかしくモノマネをしたり、カヴァーをしたり、カラオケで歌ったりするのだ。そこにこそ、音楽の喜びがある。そのような喜びとともに軽薄に広がっていく歌のかたちがある。その軽薄さを前面に押し出すものとして、コミックソングのようなものがある。
 ここまでくると、半分告知を兼ねていることを言わねばならない。本文冒頭で筆者が追われていたものとは、『コミックソングがJ-POPを作った 軽薄の音楽史』という書籍の最後の最後の原稿作業であった。明治時代のオッペケペー節に添田唖禅坊。エノケンにあきれたぼういず。美空ひばりにスネークマンショー。そして、現在ではピコ太郎やマキタスポーツにいたるまで。さまざまな局面で音楽は笑いとともに歌われ、広がっている。そのような笑いとともにある音楽の、その無限の広がりの一端を僕なりに紡いだのが、『コミックソングがJ-POPを作った』という本である。でも、お世辞とかステマとかではなく、そのような音楽の軽薄な部分に強く目を向けさせたひとりが、僕にとってはマキタスポーツだったのだ。先日の「平成最後のオトネタ」には、平成という時代を彩ったありとあらゆる音楽の喜びが、マキタスポーツという身体の借りながら鳴らされているような感触があった。願わくば、自分の本において少しでもそのような感触が存在しますように。

Carpainter - ele-king

 いま日本の音楽シーンにおいて何がオルタナティヴなのかということを考えたときに、僕が最初に思い浮かべたのは〈TREKKIE TRAX〉だった。彼らは昨年、レーベルとしてのベスト・アルバム第2弾『TREKKIE TRAX THE BEST 2016-2017』をリリースしたり、Maru & ONJUICY による「That's My S**t」のような強力なシングルを送り出したり(ONJUICY はその後スウィンドルともステージで共演)、813Jaymie Silk といった海外勢も果敢にフックアップするなど、どんどんその勢いを加速させていっている感がある。フィジカルでのリリースも着実に重ね、少なくとも当初の「ネット・レーベルのひとつ」というイメージはすでに大きく超え出ていると言っていいだろう。そんな〈TREKKIE TRAX〉から届けられた最新作2枚がこれまたどちらも魅力的だから困ってしまう。

 2年前に三浦大知のヒット曲(『仮面ライダーエグゼイド』主題歌)をプロデュースしたことでより広汎な層へもその名を轟かせることとなった Carpainter は、〈TREKKIE TRAX〉の創設者のひとりであり、同レーベルの核たる TREKKIE TRAX CREW のメンバーでもある(ボカロ・リスナーにとっては八王子Pやアナマナグチのリミックスも記憶に新しいだろう)。そんな彼による「勝利宣言」と題されたニュー・アルバムは、まさにいまの〈TREKKIE TRAX〉の勢いを象徴するような1作だ。
 終盤の“Wut U Tryin”や“Noctiluca”のようにブレイクスに光を当てた曲たちもチャーミングなのだけど、まずはやはり表題曲“Declare Victory”や先行公開された“Mission Accepted”のレイヴィなサウンドに耳を持っていかれる。じっさいには体験していない世代による独自のレイヴ解釈といえばゾンビーを筆頭にあげることができるが、Carpainter はよりスマートというか、継承の仕方がもっと素朴で、それはこのアルバムのもうひとつの顔であるデトロイト由来の美しい上モノたちについても言える。タイトルからして最高な“Future Folklore”はそのロマンティシズムを堪能するのにうってつけの1曲だし、ポーター・ロビンソンがセットに取り入れたことで話題となった“Sylenth Warrior”のミニマリズムも、ある時期のジェフ・ミルズやカール・クレイグ、リッチー・ホウティンあたりを彷彿させる仕上がりだ。もちろん、レイヴとデトロイト・テクノというのはこれまでも Carpainter の音楽を特徴づける大きな要素だったわけだけど、本作ではそれが成熟の域にまで達している。30年近く前の音楽に触発されているにもかかわらず、レトロ感が稀薄なのもポイントで、それはおそらく彼が10年代以降のベース・ミュージックの感覚をナチュラルに体得していることに起因するのだろう。双方のエッセンスを巧みに両立させたのが冒頭の“Transonic Flight”である。

 Native Rapper のファースト・アルバムも負けていない。これまで〈TREKKIE TRAX〉から2枚のEPをリリースしている彼は、プロデューサーであると同時にみずから歌唱をこなすシンガーソングライターでもある。ゆえに、種々の押韻や“Passion Fruit”、“Like a Swimming Pool”などの言葉遊びに体現されているように、彼の最大の魅力はその歌詞にこそ宿っている。“Swag Girl”の「ハイレゾの街、しばしおさらば/機内モードで全部チャラにしよう」という表現にも唸らされるが、より印象的なのは一昨年シングルとして発表された“Keep It Real”だ。「誰だって多少の変わりたい願望でちょっとおしゃれしてみたり/ずっと変わんねえなって褒め言葉受けて、らしくありたいと思ったり」という心理描写のあとに、「アップデイトした携帯電話/使いづらくてもすぐ慣れてしまう/SNSの次に来るのはなんだ」と今日のインフラにたいする感慨を接続してみせるところには、彼がどのように現代のリアリティを切りとろうとしているかがよく表れている。
 もちろんトラックのほうも忘れちゃいけない。きめ細やかなサウンドがめまぐるしい展開を見せる“Rainy Dance”や、先を急ぐように切り刻まれる電子音と ゆnovation によるピアニカが見事なコントラストを織り成す“Grand Melodica”といった曲には、トラックメイカーとしての Native Rapper の才が凝縮されている。シンプルにテクノとしてアガるのは表題曲の“TRIP”だが、歌詞も含めてキラーなのはやはり、上述の〈TREKKIE TRAX〉のベスト盤にも収録された、彼の代表曲たる“Water Bunker”だろう。ここには、朝四時頃にひとりでフロアに佇んでいるときの感傷がすべて詰め込まれている。

 レーベル主宰者のひとりである Seimei は昨年、取材したときだったか UNIT で会ったときだったかは忘れてしまったけれど、〈Warp〉や〈Brainfeeder〉のような存在になることを目標にしていると熱く語っていた。その夢ははっきり言ってもう、ほとんど実現してしまっているのではないだろうか──〈TREKKIE TRAX〉から立て続けにリリースされたこの2枚の新作は、そう思わせるに足るだけのクオリティと、そして何よりパッションに満ちあふれている。

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