「ele-king」と一致するもの

Ken Ishii - ele-king

 先日の《HARDCORE AMBIENCE》にゲスト出演、主催の Nyantora および duenn とともに素敵なセッションを披露してくれたケンイシイ。1993年の名作『Garden On The Palm』の日本盤が出たのは翌94年だから、今年は彼の日本デビュー25周年ということになる。そんな記念イヤーにふさわしく、今秋にはケンイシイ待望のニュー・アルバムがリリースされる。ずっと精力的に活動を続けている彼だけれど、単独名義でのアルバムはじつに13年ぶりだ。そして本日、同作から新曲“Green Flash”の配信が開始された。

 またそれと同時に、ケンイシイが担当したバンダイナムコのVR「アスレチックVR PAC-MAN CHALLENGE」のテーマ曲“The World of PAC-MAN”も配信がスタート。『パックマン』といえば、誰もが知るゲーム・サウンドのクラシック中のクラシックだけれど(『ゲーム音楽ディスクガイド』をお持ちの方は8頁と254頁を参照)、それがいま新たにケンイシイの手によって現代的に蘇っている。

 日本デビュー25周年を迎えるケンイシイ、今後の動きから目が離せそうにない。

KEN ISHII、新作アルバムから先行でスペインのスターDJ “DOSEM”とのコラボレイト曲を配信開始。「アスレチックVR PAC-MAN CHALLENGE」のオフィシャル・テーマ曲も同時に配信開始。

今年、日本デビューから25周年目を迎えるDJ/テクノアーティストの KEN ISHII が、オリジナル・アルバムとしては前作より13年ぶりとなる新作アルバムを、今秋リリースすることが決定。このアルバムからスペインの人気DJ/プロデューサーである DOSEM とのコラボレイト曲 KEN ISHII with DOSEM “Green Flash”の先行配信を開始しました。

KEN ISHII with DOSEM - GREEN FLASH
https://youtu.be/pOPHKDL9fF4

以前からケンイシイへのリスペクトを公言している“カタルーニャの太陽”と呼ばれるスペインのスターDJ、DOSEM 本人からコラボレイトについてのコメントが寄せられているので紹介します。

ケンの音楽に触れたのは、僕の故郷、ジローナにあるクラブ La Sala del Cel で、もう何年も前のこと。

『Jelly Tones』や『SUNRISER』など彼の作品が持つ独自な音楽スタイルと同じくらいにその時最も印象に残ったことは、彼のDJテクニックと機材を前にした(DJブースに立った)時の彼のカリスマ性だ。

やがて僕達は互いに知り合いコラボレーションする機会を得た。彼の様なキャリアを持つアーティストと一緒に仕事をすることができたことを誇りに思うよ。

一方、僕は日本の文化全般を愛しているが、ケンはその中における真の音楽的アイコンだ。彼の新しいアルバムでコラボレーションすることについて話したとき、面白い何かが出来ることを確信したし素晴らしいアイデアだと思った。そしてコラボレイトの結果についても嬉しく思うよ。この曲は2人それぞれの個性を感じさせる曲となっているんだ。

ケンイシイのニュー・アルバムのための僕たちのコラボをチェックして欲しい。皆が気に入ってくれることを願っているよ!!

──DOSEM

この曲で片鱗を覗かせたに過ぎませんが、新作アルバムへの期待がいやが上にも高まります。

そしてさらに本日、KEN ISHII によるもうひとつの新曲“The World of PAC-MAN (Official Theme Song for PAC-MAN CHALLENGE)”の配信も開始しました。こちらは株式会社バンダイナムコアミューズメントが開発した、最新のVRデバイス「Oculus Quest」を用いたVRアクティビティ「アスレチックVR PAC-MAN CHALLENGE」(パックマンチャレンジ)のテーマ曲。

1980年に登場後、日本のみならず世界中から愛されているパックマンのおなじみのゲーム・サウンドが、ケンイシイの手によりフューチャリスティックでポップなテクノミュージックへと生まれ変わりました。

KEN ISHII - The World of PAC-MAN
https://youtu.be/MhGXs7xeYVU

「アスレチックVR PAC-MAN CHALLENGE」は、プレーヤー自身がパックマンになり、ゴーストから逃げながら全身でクッキーを集めてラウンドクリアを目指すアクティビティで、本日7月12日(金)に、東京・池袋のサンシャインシティにオープンした「アニメとゲームに入る場所MAZARIA(マザリア)」、また大阪・梅田の「VR ZONE OSAKA」で体験できます。

【リリース情報】

「Green Flash」(先行配信 EP)
1. Ken Ishii with Dosem - Green Flash (Original Extended Mix)
2. Ken Ishii with Dosem - Green Flash (Dosem Remix)

音楽配信サイト リンクまとめ
https://linkco.re/GyB96PEG

「The World of PAC-MAN」(「アスレチックVR PAC-MAN CHALLENGE」オフィシャル・テーマ曲)
1. The World of PAC-MAN (Official Theme Song for PAC-MAN CHALLENGE)
2. The World of PAC-MAN (Original Mix)

音楽配信サイト リンクまとめ
https://linkco.re/PZUb2Ms9

【アーティスト情報】

KEN ISHII(ケンイシイ)
アーティスト、DJ、プロデューサー、リミキサーとして幅広く活動し、1年の半分近い時間をヨーロッパ、アジア、北/南アメリカ、オセアニア等、海外でのDJで過ごす。’93年、ベルギーのレーベル〈R&S〉からデビュー。イギリス音楽誌『NME』のテクノチャートでNo.1を獲得、’96年には『Jelly Tones』からのシングル「Extra」のビデオクリップ(映画『AKIRA』の作画監督/森本晃司監督作品)が、イギリスの「MTV DANCE VIDEO OF THE YEAR」を受賞。’98年、長野オリンピック・テーマインターナショナル版を作曲し、世界70カ国以上でオンエア。2000年アメリカのニュース週刊誌『Newsweek』で表紙を飾る。’04年、スペイン・イビサ島で開催の《DJ AWARDS》で BEST TECHNO DJ を受賞し、名実共に世界一を獲得。’05年には《愛・地球博》で政府が主催する瀬戸日本館の音楽を担当。一昨年は《NINTENDO SWITCH Presentation》に出演。全世界配信され、数百万人の人達が DJ PLAY を目の当たりにした。更にはベルギーで行われている世界最高峰のビッグフェスティバル《Tomorrowland》に出演も果たす。今年2019年は13年振りとなるオリジナル・アルバムをリリースするなど様々なプロジェクトを予定している。

https://kenishii.com
facebook.com/kenishiiofficial
twitter.com/K_Ishii_70Drums
https://soundcloud.com/ken-ishii-70drums

【施設情報】

『アニメとゲームに入る場所 MAZARIA(マザリア)』
営業時間:10:00~22:00(最終入場21:00/不定休)
住所:東京都豊島区東池袋3-1 サンシャインシティワールドインポートマートビル3階
https://bandainamco-am.co.jp/others/mazaria/

『VR ZONE OSAKA』
営業時間:11:00~22:30(最終入場21:30)
住所:大阪府大阪市北区角田町5-15 HEP FIVE 8F、9F
https://vrzone-pic.com/osaka/

Stereolab - ele-king

 去る2月に再始動がアナウンスされ、大きな話題を呼んだステレオラブ。5月にはセカンド・アルバムおよびサード・アルバムがリイシューされているが、それに続いてこの9月、彼らの代表作である4枚目から6枚目まで、すなわち『Emperor Tomato Ketchup』『Dots and Loops』『Cobra and Phases Group Play Voltage in the Milky Night』も一挙に復刻される運びとなった。追加収録されるボーナス・トラックにも注目だけれど、この3作ではジョン・マッケンタイアがプロデューサーを務めていて(6枚目にはジム・オルークも)、当時のいわゆるポスト・ロックの流れを知るうえでも超重要なアルバムたちである。発売は9月13日。現在、トレーラー映像とともに、ボーナス・トラック“Freestyle Dumpling”が先行公開中。

[8月17日追記]
 いよいよ一ヶ月後に迫った上記3作のリイシューに先がけ、去る8月13日、『Dots and Loops』収録曲“The Flower Called Nowhere”の未発表ヴァージョンが公開されている。この曲についてメンバーのティム・ゲインは、以下のように語っている。

この曲はマウス・オン・マーズのヤン・ヴェルナーとアンディー・トマと一緒にレコーディングしたんだ。ステレオラブの中で、ずっとお気に入りの曲だよ。ポーランドのジャズ・ミュージシャンやクシシュトフ・コメダの音楽から抱く感覚を想起するようなコード進行に興味があったんだ。たしか偶然だったんだけど、ようやく自分の好きなコードを見つけることができて、そこからこの曲を書き上げたんだ。あと60年代中期〜後期のヨーロッパ映画音楽の雰囲気を取り入れようとして、ハープシコードや優美なヴォーカル、カラフルなサウンドと使ってる。 ──Tim Gane

 試聴・購入はこちらから。

STEREOLAB

90年代オルタナ・シーンでも異彩の輝きを放ったステレオラブ
10年ぶりに再始動をした彼らの再発キャンペーン第二弾が発表!
名盤『EMPEROR TOMATO KETCHUP』を含め一挙に3作がリリース!

90年代に結成され、クラウト・ロック、ポスト・パンク、ポップ・ミュージック、ラウンジ、ポスト・ロックなど、様々な音楽を網羅した幅広い音楽性で、オルタナティヴ・ミュージックを語る上で欠かせないバンドであるステレオラブ。その唯一無二のサウンドには、音楽ファンのみならず、多くのアーティストがリスペクトを送っている。10年ぶりに再始動を果たし、今年のプリマヴェーラ・サウンドではジェームス・ブレイクらと並びヘッドライナーとして出演。5月には、再発キャンペーン第一弾として『Transient Random-Noise Bursts With Announcements [Expanded Edition]』(1993年)、『Mars Audiac Quintet [Expanded Edition]』(1994年)の2タイトルが、アナログ、CD、デジタルでリリースされている。

今回の発表に合わせトレーラー映像と、『Emperor Tomato Ketchup』にボーナス・トラックとして収録される“Freestyle Dumpling”が先行公開されている。

Expanded Album Reissues Part 2
https://youtu.be/i3FyBhrOuso

Freestyle Dumpling
https://stereolab.ffm.to/freestyle-dumpling

今回リイシューが発表されたのは、1996年にリリースされた代表作『Emperor Tomato Ketchup』、1997年の『Dots and Loops』、1999年の『Cobra and Phases Group Play Voltage in the Milky Night』の3作が、全曲リマスター+ボーナス音源を追加収録した “エクスパンデッド・エディション” で、前回同様アナログ、CD、デジタルでリリースされている。

今回の再発キャンペーンでは、メンバーのティム・ゲインが監修し、世界中のアーティストが信頼を置くカリックス・マスタリング(Calyx Mastering)のエンジニア、ボー・コンドレン(Bo Kondren)によって、オリジナルテープから再マスタリングされた音源が収録されており、ボーナス・トラックとして、別ヴァージョンやデモ音源、未発表ミックスなどが追加収録される。

国内流通盤CDには、解説書とオリジナル・ステッカーが封入され、初回生産限定アナログ盤は3枚組のクリア・ヴァイナル仕様となり、ポスターとティム・ゲイン本人によるライナーノートが封入される。また、スクラッチカードも同封されており、当選者には限定12インチがプレゼントされる。されに対象店舗でCDおよびLPを購入すると、先着でジャケットのデザインを起用した缶バッヂがもらえる。

なお11月には、『Sound-Dust』 『Margerine Eclipse』がリリースされる予定となっている。

label: Duophonic / Warp Records / Beat Records
artist: Stereolab
title: EMPEROR TOMATO KETCHUP [Expanded Edition]
release date: 2019/09/13 FRI ON SALE

3LP CLEAR VINYL / D-UHF-D11RC
3LP BLACK VINYL / D-UHF-D11R
2CD / D-UHF-CD11R

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10376

[TRACKLISTING]
CD / Digital

Disk 1
01. Metronomic Underground
02. Cybele’s Reverie
03. Percolator
04. Les Yper Sound
05. Spark Plug
06. OLV 26
07. The Noise Of Carpet
08. Tomorrow Is Already Here
09. Emperor Tomato Ketchup
10. Monstre Sacre
11. Motoroller Scalatron
12. Slow Fast Hazel
13. Anonymous Collective

Disk 2
01. Freestyle Dumpling
02. Noise Of Carpet (Original Mix)
03. Old Lungs
04. Percolator (Original Mix)
05. Cybele's Reverie (Demo)
06. Spark Plug (Demo)
07. Spinal Column (Demo)
08. Emperor Tomato Ketchup (Demo)
09. Les Yper Sound (Demo)
10. Metronomic Underground (Demo)
11. Percolator (Demo)
12. Tomorrow Is Already Here (Demo)
13. Brigitte (Demo)
14. Motoroller Scalatron (Demo)
15. Anonymous Collective (Demo)

label: Duophonic / Warp Records / Beat Records
artist: Stereolab
title: DOTS AND LOOPS [Expanded Edition]
release date: 2019/09/13 FRI ON SALE

3LP CLEAR VINYL / D-UHF-D17RC
3LP BLACK VINYL / D-UHF-D17R
2CD / D-UHF-CD17R

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10377

[TRACKLISTING]

Disk 1
01. Brakhage
02. Miss Modular
03. The Flower Called Nowhere
04. Diagonals
05. Prisoner of Mars
06. Rainbo Conversation
07. Refractions in the Plastic Pulse
08. Parsec
09. Ticker-tape of the Unconscious
10. Contronatura

Disk 2
01. Diagonals (Bode Drums)
02. Contranatura Pt. 2 (Instrumental)
03. Brakhage (Instrumental)
04. The Flower Called Nowhere (Instrumental)
05. Bonus Beats
06. Diagonals (Instrumental)
07. Contranatura (Demo)
08. Allures (Demo)
09. Refractions in the Plastic Pulse (Demo)
10. I Feel The Air (Demo)
11. Off On (Demo)
12. Incredible He Woman (Demo)
13. Miss Modular (Demo)
14. Untitled in Dusseldorf (Demo)

label: Duophonic / Warp Records / Beat Records
artist: Stereolab
title: COBRA AND PHASES GROUP PLAY VOLTAGE IN THE MILKY NIGHT [Expanded Edition]
release date: 2019/09/13 FRI ON SALE

3LP CLEAR VINYL / D-UHF-D23RC
3LP BLACK VINYL / D-UHF-D23R
2CD / D-UHF-CD23R

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10378

[TRACKLISTING]

Disk 1
01. Fuses
02. People Do It All The Time
03. The Free Design
04. Blips Drips And Strips
05. Italian Shoes Continuum
06. Infinity Girl
07. The Spiracles
08. Op Hop Detonation
09. Puncture In The Radax Permutation
10. Velvet Water
11. Blue Milk

Disk 2
01. Caleidoscopic Gaze
02. Strobo Acceleration
03. The Emergency Kisses
04. Come And Play In The Milky Night

BONUS TRACKS
05. Galaxidion
06. With Friends Like These Pt. 2
07. Backwards Shug
08. Continuum (Unreleased Original Version)
09. Continuum Vocodered (Unreleased)
10. People Do It All The Time (Demo)
11. Op Hop Detonation (Demo)
12. The Spiracles (Demo)
13. Latin Cobra Coda (Demo)
14. Infinity Girl (Demo)
15. Blips, Drips & Strips (Demo)
16. Blue Milk (Demo)
17. Italian Shoes Continuum (Demo)
18. Come And Play In The Milky Night (Demo)
19. Strobo Acceleration (Demo)
20. Caleidoscopic Gaze (Demo)
21. Galaxidion (Demo)

interview with Jordan Rakei - ele-king

 『Geography』の次は『Origin』。
 クワイエット・ウェイヴ、シティ・ソウル……呼び名はいろいろですが、時代のムードにピタリと合った音楽性の『Geography』1枚でビッグ・ネームの仲間入りを果たしたトム・ミッシュ。そうしてこの国で、いまのUKシーンのおもしろさもより広く知られる中で、ジョーダン・ラカイの3rdアルバム『Origin』が注目を集めている。友人でもあるトム・ミッシュのブレイクを誰よりも身近で目の当たりにし、影響されたであろうラカイ。『Origin』は、前2作に比べ飛躍的と言えるほどにソングライト、そして何よりアレンジ面で成長・深化を遂げ、『Geography』の次を求めるリスナーの溜飲を下げる。
 ニュージーランド生まれ、オーストラリア育ちで、2017年の前作『Wallflower』制作に合わせロンドンに移住したラカイ。USに比べもともと人種の壁が低いうえ、いまはジャンルの壁も限りなく低くなったロンドン~UKの音楽シーンの好調を背景に、『Origin』は鮮やかなクロスオーヴァーの魅力で聴く者を魅了する。特にリチャード・スペイヴンやジム・マクレーといった世界中で注目されるUK新世代ドラマーも駆使した、多彩なリズム/ビートの魅力はJ・ディラ以降のUS勢とはまた違う味わいで、クラブ・ミュージックや新世代ジャズのファンにもアピールするものだろう。
 加えて、いまのオーストラリア・シーンの特色のひとつと言える、テーム・インパラやハイエイタス・カイヨーテらにも通じるサイケデリック・テイストの表出も進化。往年のギター・キッズを思わせるトム・ミッシュにはないラカイ独自の魅力はこれだろう。個人的には、ジェイムズ・ブレイク以前にUKクロスオーヴァー・ソウルの新たな指針を示していた、ルイス・テイラーの1stアルバム(1996年)を継ぐ力作と『Origin』を捉えていて、ラカイ本人も本インタヴューで、あのアルバムからの影響を認めている点が特に興味深い。  6月末からはUK~ヨーロッパ、オーストラリア、USでの37公演に及ぶワールド・ツアーを行うラカイ。「僕は世界のソウル・ミュージック・シーンの一員」と言う彼の『Origin』は、世界中でジワジワとリスナーを増やし、音楽シーンに小さくないインパクトを残すに違いない。

インターネットが、ワールドワイドな音楽シーンをつくっていると思うね。僕は、自分がUKのシーンに属しているとか、オーストラリアのシーンに属しているという感覚はなくて、世界のソウル・ミュージック・シーンの一員だという感覚の方が強い。

前作『Wallflower』から2年、音楽面や、生活面でも、いろいろと変化があったことと思います。この2年間にあった印象的な出来事について、教えてください。

ジョーダン・ラカイ(Jordan Rakei、以下JR):ツアーに出ていたし、その後はすぐ次のアルバムの制作に取り掛かったから、休んでる暇はなかったね。忙しくしていたよ。印象的だったのは、ロンドンのシェパーズ・ブッシュ・エンパイアでのショウ。2000人くらい観客がいて、満員で、あんなに大勢の前で演奏するのは初めてだった。あのショウは印象的だったね。

UKはブレグジットの件で、ここ数年、社会状況が良くないように見えますが、移住したあなたにはどう映っていますか?

JR:僕はイギリス人ではないから、ブレグジットに関しては音楽活動に影響がでるかも、という面でだけ心配しているかな。ヨーロッパのミュージシャンたちにとって、活動が制限されることになると、大変なことも出てくると思うからね。それを除いては、イギリスの環境はすごく良いと思う。クリエイティヴなことがたくさん起こっていて、アーティスト同士のネットワークもすごい。この場所からは、本当にインスパイアされているよ。才能のあるミュージシャンたちに囲まれているのはすごく良いことさ。大好きな場所だね。

社会状況とは反対に、UK、ロンドンの音楽シーンはいま、特に好調ですよね。いまの盛り上がりはいつ、何をきっかけに始まったと考えますか? またシーンの一員として、いまのUKの音楽状況をどう捉えていますか? 

JR:小さな、さまざまな動きが同時に始動して、共に成長した結果だと思う。僕、アルファ・ミストトム・ミッシュロイル・カーナーなんかは、皆友人で、同じシーンにいる。年代も同じで、皆大学を同じ頃に卒業して、それから自分のプロジェクトを始めた。そうして、それぞれの花が、いま咲き始めているんじゃないかな。それに、皆でコラボし合うから、それでシーンが広がっていくというのもあると思う。コラボし合って、さらにシーンが繋がり、大きくなるんだ。そういったシーンの一部として皆と一緒に成長できて、僕はすごくラッキーだと思う。UKの音楽シーンは最高だよ。ロンドンだけでなく、マンチェスターやスコットランドにもクリエイティヴなミュージシャンたちがたくさんいて、彼らがロンドンに来てこっちのミュージシャンとコラボしたりもするんだ。世界は、そんなUKの勢いに注目しているんじゃないかな。

トム・ミッシュの名前が出てきましたが、あなたの友人でもある彼の『Geography』について、あなたが考える優れた点、ユニークな点はなんでしょう? また、あのアルバムから受けた影響、あなたが考えたことなど、教えてください。

JR:素晴らしいアルバムだと思う。正式なデビュー・アルバムだから、彼がこれまでに書いてきた曲の集まりであり粒ぞろいで、聴いていて楽しいし、プロデュースがなにより素晴らしい。ドラム・サウンド、ギター、ハーモニー、メロディが特に最高だと思う。ライヴ・サウンド(注意:生楽器の演奏をフィーチャーしたもの)だし、音楽的にも楽しくて、すごく良い作品だと思うよ。トムとはよく音楽について話すんだ。彼が受けた影響とか。その話を聞けるのは自分にとってボーナスだね。勉強になるよ。

盟友と言えるリチャード・スペイヴンを始め、ジャンルを越えたアーティストとの交流が多く見られます。様々なミュージシャンと、どういった場で知り合い、共同作業するようになるのか、プロセスを教えていただけますか?

JR:全員友達とか、友達の友達だよ。知り合いのネットワークで知り合うんだ。そうやって、ミュージシャンの輪の中でいろいろな作品をつくることができて嬉しいね。例えばリチャードは、4年前に知り合ったんだけど、彼は僕のファースト・アルバムからプレイしてくれている。当時ドラマーを探していたから、プロデューサーのマーク・ド・クライヴ・ロウに誰か知らないか尋ねたら、リチャードを紹介してくれた。そこから友人になって、いままでコラボし合っているんだ。

特にいまのUK、それにロスアンジェルスのシーンには、かつてなくミュージシャン同士が交流・共作を好む状況があると思います。あなたは、それはなぜ、どういった理由からだと思いますか?

JR:UKの音楽シーンに関してはいま、ミュージシャン同士がとにかくコラボしている。だから、自分がしていないと、遅れたように感じるんじゃないかな。皆コラボで友達になったりもするしね。例えば、トム(・ミッシュ)が誰かジャズ・ミュージシャンとコラボをしたら、僕もコラボしてみたいと思うし。あとは、皆がお互いのファンだからというのもあると思う。素晴らしいミュージシャンであるのなら、彼らとコラボする機会をつくらないのはもったいないからね。

クロスオーヴァーが常態化したいま、あなたのような音楽性のミュージシャンにとって、ジャンルや国境の壁はいよいよなくなりつつあると思いますが、どう感じていますか?

JR:その通り、なくなりつつあると思う。僕が住んでいたオーストラリアは、他の国から遠すぎて、以前は作品が世界に伝わるまでに2、3年かかっていたんだ。でも、最近はインターネットがあるから一瞬さ。インターネットが、ワールドワイドな音楽シーンをつくっていると思うね。だから僕は、自分がUKのシーンに属しているとか、オーストラリアのシーンに属しているという感覚はなくて、世界のソウル・ミュージック・シーンの一員だという感覚の方が強いんだ。インターネットがバリアを崩したと思う。自分のSNSでも、東京のファンのコメントをもらえたり、日本でのショウも実現できているのはインターネットのおかげだよね。

テクノロジーの誘惑があっても、自分たちの起源=オリジンは人間であるということを思い出し、それを維持していくべきだ、という意味を込めてこのタイトルにしたんだ。人間性を忘れてはいけない、というメッセージを込めているんだよ。

それでは新作についてお訊きします。ディストピア(ユートピア=理想郷の反対となる暗黒社会)的な世界観にインスパイアされたものだそうですが、それはブレグジット~いまのUK社会が関係していますか? なぜディストピアに興味を抱いたのですか?

JR:それは面白い視点だね。意識はしていなかったけど、ブレグジットも分裂を引き起こしていて、ニュー・アルバムもこれからテクノロジーに対して起こるであろう分裂がコンセプトになっている。だから、繋がりがあるかもしれない。ディストピアに興味を抱いたのは、それについて語られているヴィデオを観たからなんだ。そのコンセプトが、すごく非現実的であるにもかかわらず、起こりうるものだという部分にすごくハマった。それからもっと関連作品を観るようになって、ディストピアをテーマにしたアルバムをつくりたいと思ったんだ。

例えば、どんなヴィデオを観たのですか?

JR:最初に観たのは、テスラのCEO、イーロン・マスク(注:テクノロジーを駆使した急進的な未来社会についての発言がしばしば話題になる)のヴィデオ。あとは『ブラック・ミラー』(注:UK製作の、テクノロジーの進化と現代社会を風刺的に描いたSFドラマ。Netflixで視聴可能)とかだね。サム・ハリス(注:アメリカの脳科学・心理学者で、未来社会についての言及でも注目を集めている)のポッドキャストもたくさん聴いたな。素晴らしい作品がたくさんあるんだ。

新作のタイトルを『Origin』としたのはなぜ? あなたのオリジンというとニュージーランド、オーストラリアのことも関係あるのでしょうか?

JR:テクノロジーの誘惑があっても、自分たちの起源=オリジンは人間であるということを思い出し、それを維持していくべきだ、という意味を込めてこのタイトルにしたんだ。人間性を忘れてはいけない、というメッセージを込めているんだよ。ニュージーランドやオーストラリアは関係なく、それよりももっともっと前のオリジンのことさ(笑)。

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人々の心を動かすものでないのなら、音楽をつくる意味がないと思う。でも同時に、サウンドは面白いものをつくりたい。メッセージを込めた歌詞と、自分が面白いと感じられるサウンド。その両方を意識しているよ。

音楽におけるエンタテインメント性とメッセージ性のバランスについて、どういった考えを持っていますか? 自身の音楽では、リスナーにどこまで深くメッセージを届けたいと考えていますか?

JR:僕自身は、作品に強いコンセプトを持たせるのが好きだね。人々の心を動かすものでないのなら、音楽をつくる意味がないと思う。でも同時に、サウンドは面白いものをつくりたい。だから、両者のバランスは半々だね。メッセージを込めた歌詞と、自分が面白いと感じられるサウンド。その両方を意識しているよ。

以前よりもそのバランスを考えるようになりましたか?

JR:そうだね。自分の音楽がより多くの人々に聴かれるようになってきたから。

新作をつくるにあたって、特に影響を受けた他者の曲、アルバムなどあれば教えてください。

JR:スティーリー・ダン、スティーヴィ・ワンダー。彼らのオールドスクールなソングライティングに影響を受けたんだ。プロダクションは、もっとエレクトロとか、いまの音楽に影響を受けているんだけど。

新作中の例えば“Wildfire”は、Imraan Paleker(注:前々作にも参加していたギタリスト)との共同ソングライト、共同プロデュースとクレジットされています。共作する場合の曲のつくり方を、具体的に教えてください。

JR:“Wildfire”は、僕がピアノを、彼がギターを弾いていたときに、出てきたものを曲にしようとして。彼にまずコードを決めてもらってから、僕がピアノで考えたメロディ、ヴォーカルを載せたんだ。プロセスは、そのときによってそれぞれだね。向こうが考えたものに僕が自分のアイディアを載せてできるときもあれば、自分のアイディアにコラボ相手やプロデューサーが面白いアイディアや要素を加えてくれるときもある。そのときによるね。

あなたは様々な楽器を操るマルチ・ミュージシャンですが、曲によっては楽器奏者がゲスト参加しています。例えばドラムスで言えば、ジム・マクレーやリチャード・スペイヴンにしか叩けない、あなたには叩けないリズムがあるから、そこはゲストを呼ぶ、というつくりかたなのでしょうか?

JR:そうだね。たまに、自分で書いた曲よりも、もっとディープなものをつくりたくなる。自分のスキルを超えた作品をつくりたくなるんだ。そういうとき、ゲストに頼むのさ。彼らが自分の作品をさらに上のレヴェルに引き上げてくれるからね。スティーヴ(リチャード・スペイヴン)は、僕が持っているドラムのアイディアを伝えたら、それを見事に表現してくれるんだ。

特にリチャード・スペイヴンが叩く“Oasis”ですが、いまのUKの音楽はドラム、リズムに特にオリジナリティがあって、そこが大きな魅力と思います。この数年でポップ・ミュージックにおけるドラム、リズムがすごく進化したという実感はありますか?

JR:僕はそうは思わない。ポップ・ミュージックはいまも、アーティストもプロデューサーも皆、何が受け入れられやすいかをわかっていて、それを意識して、近道をして曲をつくっていると思う。万人受けする音のつくり方はベーシックで、それをどのようにつくり出すかを彼らは知っているんだ。聴きやすいものが良いというのはリアリティだからね。でも、80年代のマイケル・ジャクソンやプリンスみたいなアーティストたちのポップスは、聴きやすさと同時に音楽的素晴らしさも兼ね備えていた。いまのポップ・ミュージックには、それが欠けているんじゃないかな。

“Rolling Into One”ではディスコ・ミュージックのリズム、ビートを取り入れたようですが、これはなぜでしょう? UKのいまのディスコ・ミュージック人気について、どんな状況なのか、教えていただけますか。

JR:まさにマイケル・ジャクソンにインスパイアされたんだ(笑)。楽しくてファンキーなもの、ライヴで皆が楽しめるものをつくりたかった。これまでの僕の音楽はメランコリーでムーディだったから、そうでない面もリスナーに見せたかったんだよ。UKのディスコ・シーンは大きくなってきていると思うよ。クールなディスコ・イヴェントがたくさんある。トム(・ミッシュ)がディスコっぽい音楽をつくっているから、若い人たちが影響されてよりディスコが人気になっているというのもあると思う。

あなたが全てを演奏した“Say Something”のビートは、例えばDJ・プレミアがつくっていたような、90年代のヒップホップ・ビートを思わせるつくりです。ああいったビートの魅力とは、あなたは何だと考えますか?

JR:ヘヴィなドラムだね。僕の音楽的バックグラウンドはヒップホップ・ビートなんだけど、DJ・プレミアとかJ・ディラからかなり影響を受けているんだ。

以前、「曲中で自分のアイディアを表すスキルを、ロンドンに住んでから身につけることができた」と発言されていました。そのスキルとは具体的にどういったものでしょう?

JR:自分の音楽を分析しすぎずに、もっと自由に、かつ早くつくれるようになったこと。考えすぎるのも良くないということを学んだんだ。

音楽学校に通っていたことがあるそうですが、そこで学んだことは、実際のソングライトやレコーディングではあまり役に立たなかったのでしょうか?

JR:役立ってないね。ベッドルームでの作業や、ロンドンに越してきてからの作業を通して学んだことの方が、勉強になり身に付いているよ。

聴きやすいものが良いというのはリアリティだ。でも、80年代のマイケル・ジャクソンやプリンスみたいなアーティストたちのポップスは、聴きやすさと同時に音楽的素晴らしさも兼ね備えていた。いまのポップ・ミュージックには、それが欠けている。

前作と、新作では、曲をつくる上でどのような変化、進化がありましたか?

JR:前はもっと歌詞が内省的で、自分のこれまでの経験についての歌だった。けれど、今回はもっと外に向けられていて、これから起こることがテーマになっている。違うことに挑戦したかったんだよね。作品をつくるたびに、違う世界観をもたせたいんだ。

曲づくりにおいて、最も重要なことは何だと考えますか?

JR:自分に正直であること。自分自身が楽しめなかったら、キャリアを続ける意味がないと思うから。

新作で、特に思い入れのある曲と、その理由を教えてください。

JR:“Speak”と“Mantra”だね。“Speak”は、感情的なバラードで、歌詞に繋がりを感じるんだ。“Mantra”も同じ。あの曲の歌詞にはいちばん繋がりを感じる。サウンドも、自分がつくり出したいサウンドをいちばん実現できた曲なんだ。

スティーヴィ・ワンダーやディアンジェロからの影響に加えて、ピンク・フロイド、レディオヘッドにも通じるサイケデリック・テイストをミックスした作品として、UKでは1996年のルイス・テイラーの1stという大名盤があります。あのアルバムに影響を受けた点はありますか?

JR:バック・ヴォーカルのアレンジが素晴らしいと思う。すごく賢いアレンジだと思うんだよね。僕の音楽でも、いまはバック・ヴォーカルをたくさん使ってる。ディアンジェロもそうだし、ルイス・テイラーのアレンジには影響を受けているよ。彼はヒーローだね。サイケデリック、ヒップホップ、ソウルの全てにおいて完璧なアーティストだよね。

ジェイムズ・ブレイクが2010年代のUKのヴォーカル・ミュージックに与えた影響は大きいと思います。あなたは彼の何が優れていると思いますか? またどういった影響を受けましたか?

JR:彼の素晴らしさはまず、リスクを冒してオリジナルの作品をつくり出すところ。美しいソウル・ミュージックの世界と、エレクトロ、ダンス・ミュージックをブレンドさせているところもそうだし、彼の作品はとにかくユニークだと思う。声も素晴らしいしね。お気に入りのアーティストのひとりだし、彼の“実験”のやり方が好きなんだ。そうしてつくり出す彼の世界観は最高だと思う。

最後に、今後、共演したいアーティストと、その理由を教えてください。

JR:ボン・イヴェールとコラボしたい。ジェイムズ・ブレイク同様、声が美しくて、プロダクションも最高だからね。それに、人として、とてもいい人たちだし。彼らとコラボして、音楽制作の新たなプロセスを学びたいんだ。

今日はありがとうございました。

JR:こちらこそ、ありがとう。日本でまたショウをやるのを楽しみにしているよ。

Nia Andrews - ele-king

 覚えているだろうか? ソランジュの2016年作『A Seat At The Table』のインタールードで聞こえた美しい歌声を。他にもディーゴマーク・ド・クライヴ=ロウなどのブロークンビーツ系アーティストや、モッキーカマシ・ワシントンなどの諸作に参加してきたヴォーカリスト、ニア・アンドリュースが満を持してフル・アルバムをリリースする。新たなヴォーカル名盤誕生の予感……艶やかにして静謐な歌声に酔いしれよう。

NIA ANDREWS
No Place Is Safe

カマシ・ワシントンやソランジュ、ソイルアンドピンプセッションズやモッキーの作品に参加し、
素晴らしい歌声と愛らしさが魅力のLAのシンガーソングライター NIA ANDREWS によるデビュー・アルバム!!

Official HP: https://www.ringstokyo.com/niaandrews

ジャズ・ピアニスト、作曲家で、教育者としてファーサイドからカマシ・ワシントンまでを育てたレジー・アンドリュースを父に持ち、これまでソランジュやモッキーらの作品にもフィーチャーされてきた実力派シンガー、マルチ奏者のニア・アンドリュースが満を持してデビュー・アルバムを完成させました。彼女が多くのアーティストから愛されてきた理由がこのアルバムにあります。父の名盤『Mystic Beauty』が好きだった人もぜひ!! (原 雅明 ringsプロデューサー)

アーティスト : NIA ANDREWS (ニア・アンドリュース)
タイトル : No Place Is Safe (ノー・プレイス・イズ・セーフ)
発売日 : 2019/9/4
価格 : 2,400円+税
レーベル/品番 : rings (RINC53)
フォーマット : CD

Tracklist :
01. The Road (Intro)
02. Linger
03. Might Be Eternity
04. Call Your Name
05. Be a Smart Girl
06. Cleo and the King
07. Ho'oponopono (Interlude)
08. The Ceiling
09. Seems So
10. Little Girl
11. Old Man

Merzbow - ele-king

 昨年の『Monoakuma』でローレンス・イングリッシュ主宰の〈Room40〉と歴史的な邂逅を果たしたメルツバウだけれど、活動40周年を迎える今年、ふたたび同レーベルよりニュー・アルバムがリリースされることとなった。タイトルは『Noise Mass』で、1994年に発表された『Hole』をアップデイトした内容になっている模様。しかも40周年記念ということで、1979年から今日までのメルツバウの歩みを追ったロング・インタヴューに加え、貴重な写真やコラージュなどを掲載した28ページの本まで付属するそうだから、これはもう買うしかない。発売は7月12日。詳細は下記バンドキャンプにてチェック。

https://room40.bandcamp.com/album/noise-mass

Merzbow
Noise Mass

Room40

01. Voicematrix Pt.1
02. Noisematrix Pt.1
03. Noisematrix Pt.2
04. Kraft-Ebings Dick
05. Voicematrix Pt.2

Yoshino Yoshikawa - ele-king

 これまで〈Maltine Records〉や〈ZOOM LENS〉といったネット・レーベルから作品を発表、近年は海外へも活動範囲を広げ、昨年は ONJUICY とのコラボ曲“RPG”も話題になった Yoshino Yoshikawa がついに、ファースト・フル・アルバムをリリースする。しかもなんと、活動10年目にして初のフィジカル作品だそう。彼の提唱する「Ultrapop」なるスタイルを凝縮した集大成的なアルバムになっているとのことで、ベース・ミュージック由来の低音とキュートさが同居した、楽しいアルバムに仕上がっているようだ(件の“RPG”も収録)。発売は8月21日、楽しみに待っていよう。

Yoshino Yoshikawa
2019.08.21 1st full album!!
Ultrapop
活動10年目にして初のフィジカル・リリース! “Ultrapop” の名を冠した1stフル・アルバム!

Yoshino Yoshikawa、活動10年目にして自身初となるフィジカル・リリース『ULTRAPOP』。
兼ねてから標榜している、ジャンルやスタイルをひとつの質感に統一する方法論から生まれた“Ultrapop”。
今作では、アウトサイダーという立場から“Ultrapop”を用い、ダンス・ミュージック、ヒップホップ、エレクトロニック・ミュージック、フュージョン、ジャズ、ビデオ・ゲーム・ミュージック等、多彩なジャンルを Yoshino Yoshikawa という強い個性で編み込んでいる。
旧知の仲である AZUMA HITOMI、野兎、LLLL をはじめ、グライムMCの ONJUICY、鍵盤ハーモニカ奏者兼プロデューサーとして活躍する ゆnovation が参加し、これまでの活動の軌跡が垣間見える集大成的な作品に仕上がっている。
確かなスキルに裏打ちされた繊細なサウンドとグルーヴ、未来を諦めないという希望と日々の祈りから生まれた『ULTRAPOP』を、Yoshino Yoshikawa と共に楽しんで頂きたい。

Yoshino Yoshikawa
Ultrapop

not records
NOT0024
¥2,000円 (tax out)
CD1枚組/ジュエルケース仕様/全14曲収録

Amazon / Tower / HMV

01. Popcorn Stand
02. Spiral Tone
03. Yokaze (with 野兎)
04. Night Ride (with LLLL)
05. Entertainer 2019
06. Cycling
07. Taking Shelter (with ゆnovation)
08. Don't Leave Me (with 野兎)
09. Rain
10. Strange Dream
11. Toro Nagashi
12. Get Me Out (with AZUMA HITOMI)
13. RPG (with ONJUICY)
14. Yumetatsu Glider 2019

■ Yoshino Yoshikawa

東京在住のプロデューサー。
Ultrapop を提唱し、ダンス・ミュージックからポピュラー・ミュージック、アニメやゲーム・ミュージックまで幅広い領域をカバーした楽曲をソフトウエアと共にシンセ駆使しフラットな電子音楽的質感に落とし込む作風は国内外に根強いファンを持っている。
これまで東京の〈Maltine Records〉やLAを拠点とする〈ZOOM LENS〉といったレーベルから複数のEP、LPをデジタルリリース。
これまでに、FPM、東京女子流、南波志帆などのアーティストに Remix を提供する一方で、音楽ゲーム「maimai」シリーズや、アニメ「きんいろモザイク」のキャラクターソング提供なども行った。
2017年には初となる海外ライブを韓国 Cakeshop で敢行し、盛況のうちに終了。
英字新聞 The Japan Times や OWSLA 主催のメディア“NEST HQ”にも記事が掲載される等、海外にも活動範囲を広げている。

interview with Francesco Tristano - ele-king

日本はジャズの流れているカフェが多い。ヨーロッパでそんなところはもう存在しない。僕は子どものころ、ジャズ・ミュージシャンになりたかった。東京にいると、当時の思いがふたたび感じられる。東京はジャジーな街だ。

 街を歩くのが好きだ。安物の発泡酒を片手に、目的地もなく、ひとりで、ふらふらと都内をうろつくのが大好きだ。新宿、四谷、市ヶ谷、飯田橋あたりは殿堂入りである。秋葉原も良い。神田~大手町~有楽町も趣のあるラインだが、その先の銀座はとりわけすばらしい。昼間でもじゅうぶん魅力的だけど、夜はなお格別で、見上げ続けていると首が痛くなってくる高層ビルの群れ、きらびやかなネオン、せわしなく行き交う年収の高そうな労働者たち──それらを眺めながらとぼとぼ歩いていると、なんというか、生きている実感が沸いてくる。どこまでも明るく残酷なバビロンの風景は、「ここにいる連中と気が合うことは一生、絶対にないんだろうな」と、自分がどういう場所に生き、どういう角度から世界を眺めているのかを、明確に思い出させてくれる。そしてそれは、どこまでも個的な体験だ。

 リュクサンブール出身、現在はバルセロナを拠点に活動しているピアニスト、フランチェスコ・トリスターノの新作は、『東京ストーリーズ』というタイトルどおり、東京がテーマになっている。
 トリスターノといえば“Strings Of Life”のカヴァーで名を馳せ、デリック・メイとはじっさいにコラボも果たし、カール・クレイグの作品にも参加するなど、まずはデトロイト勢との交流が思い浮かぶ。かの地のテクノを吸収することで獲得されたであろうグルーヴ感は、ピアノが前面に押し出されたこの新作においても、たとえば冒頭の“Hotel Meguro”や“Insomnia”、ヒロシ・ワタナベを迎えた“Bokeh Tomorrow”などのトラックによく表れ出ているし、あるいは“Neon City”や“The Third Bridge At Nakameguro”といった曲のビート感はヒップホップとして享受することも可能だろう。他方で彼は一昨年、アルヴァ・ノト、フェネス、坂本龍一とともにグールド生誕85周年を機にセッションをおこなうなど、ダンスとはまたべつの角度からもエレクトロニック・ミュージックの文脈に切り込んでおり、着々とモダン・クラシカルの重鎮への道を歩み進んでいるように見える。
 そんなトリスターノが東京をテーマにしたアルバムをつくったと知ったとき、最初に気になったのはやはりその切り口だった。日本との接点も多い彼は、いったいどのような観点から東京を眺めているのか?
 今回の新作がおもしろいのはまず、最終曲“Kusakabe-san”の琴を除いて、表面的なオリエンタリズムをいっさい排している点だろう。「僕は日本人じゃないから、日本らしいものをつくる意味がない」と彼は言う。「日本人のミュージシャンがバルセロナに来て、バルセロナについてのアルバムをつくろうとして、カタルーニャの民族音楽みたいなサウンドのアルバムをつくるようなものだよ。それはあまりおもしろい作品とは言えない」。とはいえ、ご機嫌な3拍子“Electric Mirror”初っぱなの声優的な声のサンプルに代表されるように、アルバムには随所に日本語の音声が挿入されていて、ほらやっぱりエキゾティシズムじゃんと目くじらを立てることも可能なわけだけど、他方でスペイン語も聞こえてくるから、むしろそれらは彼自身の内的な何かを表現するものだと考えたほうがいい。「たいせつなのは何かパーソナルなものを持ち込むことだ」と彼は続ける。『東京ストーリーズ』は、ひとりの人間のどこまでも個的な──すなわち誰とも絶対に共有不可能な、でもだからこそ逆説的にもしかしたら共有できるかもしれない──記憶の風景を浮かび上がらせる。それはいったいどのようなものだったのだろう?


日本人のミュージシャンがバルセロナに来て、バルセロナについてのアルバムをつくろうとして、カタルーニャの民族音楽みたいなサウンドのアルバムをつくるようなものだよ。それはあまりおもしろい作品とは言えない。

目黒や新宿など東京の都市が曲名になっていますが、東京をテーマにしてアルバムをつくろうと思ったのはなぜですか?

フランチェスコ・トリスターノ(Francesco Tristano、以下FT):僕が初めて日本に行ったのは2001年だから18年前だった。それから少し間があって、2009年からは定期的に日本に行っていまに至る。初めて東京に行ったときも、東京という街にすごく感心したけれど、街が巨大すぎてクレイジーすぎて掴みづらい感じがした。だから、東京にハマるまで時間がかかったよ。東京に40回くらい訪れてからは、東京の友人や、行きつけの場所や飲食店などができてきた。ある意味、東京でレコーディングする時期を待っていたんだと思う。僕は6年前に京都でアルバムをレコーディングしているんだ。良い経験になったし、良い準備運動になった。けれど今回の東京をテーマにしたアルバムはとても特別なものになるとわかっていた。

曲名になっている赤坂や銀座などはどちらかといえば高級感のあるエリアですが、とくにそういう側面は意識しなかった?

FT:いや、これは僕の個人的な体験がもとになっている。たとえば銀座はたしかに高級感のあるエリアだけど、その一面は僕には関係ないことで、銀座にはヤマハがあったから、僕はピアノの練習のために銀座に行っていた。赤坂から自転車で銀座に行き、ピアノの練習をする。だから“Ginza Reprise”はピアノの練習曲みたいな曲なんだ。アルペジオがあったり、同じフレーズの繰り返しだったりする。銀座は僕の練習スペースだから。赤坂についての曲は……同じ場所に何度も滞在していると、そこが自分のホームのような感じになってくるよね? 赤坂には僕が滞在しているホテルがあって、とても落ち着いた感じのホテルで宣伝もされていない、変わったホテルなんだ。東京のホテルにしては珍しく部屋にバルコニーがついているから、おそらく、以前は居住用のマンションだったのだと思う。そこが偶然、僕の拠点になったんだ。じつはデリック・メイがそのホテルのことを教えてくれたんだよ! 10年くらい前に彼から教わって、それ以来、毎回そこに滞在している。だから赤坂は僕にとって、朝起きて、バルコニーのドアを開けて、外の音、車の音や、人の音、下にいる子どもの声なんかを聞いて、下に降りていき、そこでコーヒーを飲むところなんだ。つまり朝のルーティンだね。“Akasaka Interlude”という曲だけど、日本盤にはその「リズミック版」のボーナストラックが入っている。
 いま話したふたつ、銀座と赤坂は僕にとってのルーティンを表している曲なんだ。僕が東京にいるときに毎日おこなっていること。

ユザーン、ヒロシ・ワタナベ、渋谷慶一郎と、日本のゲストが多く参加していますが、東京についてのアルバムだから日本の人を使おうという前提があったのでしょうか?

FT:もちろんだよ。東京でレコーディングをするとなれば、日本人のミュージシャンの友だちにぜひ参加してもらおうと思っていた。ヒロシさんとはかなり前から友だちで、ヨーロッパでも何度か共演してきたし、彼にリミックスをしてもらったこともある。何年か前に彼と一緒に曲をつくりはじめたけれど、結局完成されなかった。僕が彼のスタジオに行って、一緒に作業して、彼が送ってくれたファイルに、今度は僕がレコーディングを追加してというように、ファイルのやりとりをしていたんだけど、「スタジオで生のレコーディングをしよう」と僕から提案した。そのほうがファイルをやりとりしているよりもずっと強烈な体験になるからね。
 ユザーンとは何年かお互いのことを知っていたんだけど、今回のスタジオ・セッション以前に共演したことはなかった。でも彼とは何か一緒にやりたいと思っていた。それが何かは具体的にわからなかったけど……。一緒にライヴをやろうと企画してもいたけど、それも流れてしまった。他にも一緒に何かをやる案があったんだけど、「スタジオ・セッションを一緒にやらないか?」と僕から提案したら彼は快諾してくれた。
 渋谷さんとは最近、1年前くらいに出会って、共通の友人が僕たちを紹介してくれた。東京は巨大な街だけど、世界は狭いなと思った。なぜなら、僕のジュリアードの同級生のマキヤさんが、渋谷さんと東京で同級生だったから! マキヤさんは、いまでもニューヨークに住んでいてヤマハで働いているよ。多くの人と出会えば出会うほど、世界を狭く感じるのは当たり前かもしれないけれど、 さまざまな人たちと一緒に音楽を演奏していくと、僕たちはみんなファミリーの一員なんだって気づくんだ。

エレクトロニクスと生楽器とを共存させるときに注意していることはなんでしょう?

FT:エレクトロニックの楽器を使うときは、アコースティックの楽器と同じように扱うようにしていたね。少なくとも今回のアルバムにおいては。シーケンスされている部分も少しはあるけれど、リズムやベースの部分を含む、エレクトロニクスの多くは生演奏している。エレクトロニクスの楽器をそのままの音として聴こえるように、エレクトロニックの楽器を直接的な方法で使いたかった。あまりプロダクションが過度にされていないようにしたかった。もちろんマスタリングやミキシングはおこなったけど、パソコンからトラックが1ヶ月間流れていて、それに合わせてミックスをするというわけではなかった。テイクやトラックを毎回録音して、それをミックスするというやり方だった。シンセサイザーに直接音を出させて、僕がそれを演奏して録音するという感じだった。僕以外にも、ヒロシさんやグティ、渋谷さんもシンセサイザーで参加してくれたけどね。

3曲目“Electric Mirror”はリズムが楽しく、疾走感があり、ユーモラスな曲ですが、これには何か参照元はあったのでしょうか?

FT:アルバムの曲の多くは日本で作曲したんだけど、これは東京で作曲しなかった数少ない曲だ。ジャン=フィルップ・ラモーのバロック・オペラ「カストールとポリュックス」がもとになっている。1800年代初期の作品で(註:正しくは1700年代)、僕はこのベースラインとその他の要素をいくつか拾って、エレクトロニックな楽器用に書き直した。作曲しているうちに、ある種の対話のようになっていったから「ミラー」というタイトルにした。鏡で自分の姿を見ると、そこには少し違う感じの自分が見える。この曲もバロック・オペラを使っているけれど、音は歪んでいるし、エレクトリックな響きがある。秋葉原や原宿で見られるクレイジーな日本の若者文化のイメージなんだ。表現力が豊かというのか、曲の最初の部分で、お店で何かを売っているような女の子の声が聞こえるだろう? 曲には、異文化間のアイデンティティが存在しているよね。秋葉原では自分たちの趣味に没頭して遊ぶ若者たちがいる一方で、他の国でも似たような美意識を持つ人たちが存在している。そんなイメージなんだ。ライナーノーツには「Impossible is nothing (=Nothing is impossibleを鏡で写した感じ)」って書いたと思うけど、バロック・オペラを原宿風に演奏することだってできるという意味なんだ。

6曲目“Lazaro”や8曲目“Insomnia”などには、ニューエイジ~アンビエント的なシンセが入っていますが、ふだんそういった音楽は聴くのでしょうか?

FT:あまり聴かないな。“Lazaro”で聞こえるのはアナログ・シンセサイザーだから、それがそういうふうに聴こえたのかもしれないね。“Insomnia”のアイディアは、シンセサイザーを特定な響きを持つ楽器として使っただけで、ニューエイジ的な感じを出そうと思ったわけではないよ。“Lazaro”では単純にシンセサイザーにとても柔らかい音の出るアナログパッドを使ってピアノのメロディの伴奏をしていたんだ。“Insomnia”のつくりはもう少し複雑で、グティがシーケンスしたシンセサイザーのパーツを持ち込んできたから、より複雑なサウンド・デザインが聴ける。“Insomnia”で僕が気に入っているところは弦楽器のピッツィカートな音だ。これは僕が子どものころから好きな音だった。オーケストラでもこういう音を書くことができるけれど、今回はそれをシンセサイザーのために書いた。するとより直接的で差し迫った感じの音になる。

僕が東京の街を楽しみはじめたのは地下鉄を使うことを止めてからだった。自転車だけで移動するようになったんだ。街を本当に知りたいなら、自転車を使うほうが良い。

9曲目“Cafe Shinjuku”にはクラリネット奏者のミシェル・ポルタルが参加しています。彼はどのような経緯で参加することに?

FT:ミシェル・ポルタルも健在するアーティストのなかの偉人のひとりだ。僕は彼の音楽を聴いて育ったから、彼の音楽は昔から聴いている。 彼と共演できたことも、やはりこのうえなく光栄なことだった。僕たちは4年くらい前に共演をして、その一度限りの共演からは何も発展しなかったのだけれど、僕が作った曲で、彼にぜひ演奏してもらいたい曲があったから、彼にスタジオに来てくれるようにお願いした。そこで“Cafe Shinjuku”をレコーディングしたんだ。
 僕には新宿での記憶が明確にあるから、彼に曲がどのようなものなのかを説明した。僕は新宿のカフェに座って人を待っていた。外は雨がひどくて、だからその人は遅れていた。僕はコーヒーを何杯もお代わりしながらカフェのラジオを聴いていた。日本はご存じのとおり、ジャズが流れているカフェが多い。ヨーロッパでそんなところはもう存在しないから、それはとてもクールなことだと思う。ヨーロッパではどこに行っても、ジャズがかかっているところなんてもうない。とくにカフェなんかではメインストリームのラジオしかかかっていなくて、ジャズはいっさいかかっていない。僕は子どものころ、ジャズ・ミュージシャンになりたかったんだ。即興で演奏して、自由に弾くジャズ・ミュージシャンになるのが夢だった。そういう思いを僕はずっと抱いてきた。 東京にいると、当時の思いがふたたび感じられる。東京はジャジーな街でもある。ラジオでかかっているところも多いし、少し高級感のあるジャズ・クラブもある。ジャズの街である東京にオマージュを捧げたいと思った。だからミシェルにバスクラリネットを吹いてもらいたかった。これはアルバムのなかでもとくにお気に入りの曲なんだ。

今回のアルバムでもっともフロアでかかってほしい曲はどれですか?

FT:アルバムはダンスフロア向けではないけれど、いまアルバムの曲のリミックスをしているところで、自分がリミックスしたものもいくつかある。ダンスフロアで、あるいはリミックスとしてもっとも可能性のあるのは“Insomnia”、“Bokeh Tomorrow”、“Nogizaka”の3曲だ。“Nogizaka”の原曲ヴァージョンは遊び心がいっぱいでピアノっぽいけれど、僕が作ったリミックスは観客の反応も良いし、みんな踊ってくれるからいちばんフロア向けなのは“Nogizaka”だと思う。

逆に、もっともコンサート・ホールで聴いてもらいたい曲はどれですか?

FT:“Yoyogi Reset”か“Lazaro”だと思うな。とても親密な曲だし、僕の個人的な経験がもとになっているし、とても繊細なところに触れているから。“Yoyogi Reset”は僕が日本でブレイクダウンを体験したときの曲だ。僕が東京の街を楽しみはじめたのは地下鉄を使うことを止めてからだった。自転車だけで移動するようになったんだ。それは6年くらい前の話だけど、街を本当に知りたいなら、自転車を使うほうが良いと思った。僕は自転車が大好きで、どこの街でも、どこに行くときにも自転車を使う。最初は東京で自転車に乗るのは難しくて危険だと思ったけれど、勇気を持って乗ってみたら、東京をまったく違った形で楽しめるようになった。代々木公園は、僕の拠点からあまり遠くないところにあったから、代々木公園まで自転車で行ったり、そこでジョギングしたりしていた。僕は毎日ジョギングをしていて、東京では代々木公園で走っていた。でもこの曲はジョギングについてではなくて、2年前、僕の妻の父親が亡くなったときの曲だ。そのとき、僕はちょうど日本行きのフライトに乗っていたから、この体験は日本と深く関わりのある出来事になった。フランクフルトで乗り継ぎをしていたときに電話がかかってきて、「父親が亡くなりそうだから戻ってきて」と妻に言われた。だから僕は妻のもとに戻り、翌日は義父の葬儀でピアノを演奏した。バッハの曲を弾いたよ。東京に行くスケジュールを立て直し、2日後に日本へ向かった。その当日に演奏をしなければいけなくて大変だったよ。夕方5時に到着して、その日の8時にはもうステージにいなければいけなかった。シャワーを浴びる時間もじゅうぶんになかったくらいだ。その後も公演が続き、僕が葬儀で弾いた曲も含まれていたから、僕にとってはとても辛い体験だった。そのツアーは非常に大変なツアーだった。東京での僕の体験は、楽しいことや、愛情を感じていることや、美味しい食べ物を食べることばかりではない。孤独を感じたり、家族や故郷と離れていることから、物事をしっかりと受け止められない辛さを感じたりすることもあった。だからこのときに代々木に行ったのは、呼吸をするため、マインドをリセットするためだった。だからこの曲がいちばんパーソナルな曲だね。

バロック音楽には現代の音楽と共通するものがある。すべてはベースの音が基本になっているだろう? テクノの曲からキックドラムとベースラインを取ったら、もうあまり何も残っていない。要となっているのはベースだ。

今回のアルバムは東京をテーマにしつつも、いわゆる「和」の要素やエキゾティシズムに頼った部分はほとんどないですよね。

FT:そうだね、偉大な監督、小津安二郎の言葉に次のようなものがある。「I'm Japanese so I make Japanese things (俺は日本人だから日本らしいものをつくる)」。僕だったらこう答える。「僕は日本人じゃないから、日本らしいものをつくる意味がない」。 東京が僕に与えてくれたものや、東京で出会った人たちのおかげで、僕は東京が大好きだ。でも僕が日本人になることはけっしてないし、いつか東京に住む機会があるかもしれないけれど、ずっと日本に暮らしているわけでもない。今回のアルバムは僕の、謙虚な気持ちからの、とてもパーソナルな体験がもとになってつくられたものだ。だから日本っぽい音にしようとか、江戸の感じを真似したりするようなことはいっさいしなかった。今回のアルバムでは、フィールド・レコーディングもたくさんしたし、琴の音が入っている曲もアルバムの最後の方にある。あれは、たんに琴の音が好きだからというエピソードとして入れたんだ。とにかく日本らしいサウンドのアルバムをつくろうとはしなかったよ。それは間違っていると思う。それはまるで日本人のミュージシャンがバルセロナに来て、バルセロナについてのアルバムをつくろうとして、カタルーニャの民族音楽みたいなサウンドのアルバムをつくるようなものだよ。それはあまりおもしろい作品とは言えない。やはりたいせつなのは何かパーソナルなものを持ち込むことだと思う。だからこのアルバムは、東京での僕の個人的な体験や、街から受けたパーソナルなインスピレイションがもとになってつくられた。

今回のアルバムを「日本」や「東京」、「寿司」などの単語を使わずに言い表すとしたら?

FT:「ラーメン」はどうかな(笑)? 今回のアルバムにはラーメンについての曲はなかったね。こういう質問には、「その空間にあるピアノ(Piano in space)」と答えることが多い。これはピアノ・アルバムで、ピアノの音がアルバムの曲すべてから聴こえる。そこにエレクトロニック機材がオーケストラのように伴奏してくれている。〈ソニー〉からリリースされた僕の前の作品『Circle Songs』は100%ピアノ・ソロだったけれど、今回のアイディアとしては純粋なピアノ・ソロの音から、フル・オーケストラによる、エレクトロニックなサウンドに移行するというものだった。

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バッハは楽器に強いこだわりがない人だった。彼が作曲する音楽の言語は絶対的だった。彼は楽器という表現方法をもとにしていない。だからバッハは技術の進歩には興味を示すと思う。シンセサイザーにも興味を示していたと思うよ。

クラシカルは歴史が長い分、バロックや古典派、ロマン派、印象主義などさまざまなスタイルがありますが、そのなかでもとくに影響を受けたのはなんでしょう? バッハはよく取り上げていますし、あなたの大きなルーツのひとつだと思いますが、できればそれ以外で。

FT:僕はバッハを毎日聴くし、バッハを毎日聴いて育ってきたからバロックが第一のインスピレイションになっているね。でももうひとつの理由として、バロック音楽には現代の音楽と共通するものがあると思うからなんだ。とても遊び心があって非常にリズミカル。テクノやエレクトロニック・ミュージックと同じようにベースがとても重要で。すべてはベースの音が基本になっているだろう? テクノの曲からキックドラムとベースラインを取ったら、もうあまり何も残っていない。リズムの要素が少し残っているかもしれないけれど、やはり要となっているのはベースだ。だからバロック音楽には間違いなく強い影響を受けているね。

ピアノはいまでこそ古典的な楽器とみなされていますけれど、発明された当時の人びとにとってはとてもハイファイでデジタルな音に聞こえたのではないか、それこそ今日におけるシンセサイザーのように聞こえたのではないかと想像しているのですが、この考えについてピアニストとしてはどう思いますか? たしかバッハはピアノ曲をひとつも書いていませんよね。

FT:ピアノは非常に複雑な楽器だ。どう言えばいいのかな……。ピアノは未来から来た楽器だと当初から考えられていた。とても複雑で巨大で、出る音も大きかったから、作曲家はどうやってピアノを扱っていいのかわからなかった。バッハが弾いてみたピアノはおそらく最高級のものではなかったと思うんだけど、彼はピアノを好まなかった。そのときバッハはかなり高齢だったということもある。正直な話、バッハは楽器に強いこだわりがない人だった。キイボード楽器向けのバッハの音楽でも、ヴァイオリン向けのバッハの音楽でもまったく同じに見えるよ。彼が作曲する音楽の言語は絶対的だった。楽器という表現方法をもとにしていない。だからバッハは技術の進歩には興味を示すと思うよ。当時もそうだった。当時もっとも技術的に進歩していたのはオルガンだった。教会がすばらしいオルガンを所有していた。それはきわめて優れた技術を持つ楽器だった。バッハはオルガンに強い興味を持っていた。オルガンの技術に強い関心を持っていたから、彼は現代の考えに近い考えを持っていたと思う。シンセサイザーにも興味を示していたと思うよ。

あなたは2011年のアルバム『BachCage』でバッハとケイジを同時に取り上げていましたけれど、その2組を一緒に取り上げようと思ったのはなぜ?

FT:このふたりは対話しているんだ。互いに対してね。彼らは数多くの点でつながっている。ふたりの作曲家の対話というか、卓球のラリーのようなプレイリストをつくって、このふたりをつなげる要素を探していた。たとえば、各作曲家の作品に共通するメロディや、ある特定の音やリズムの参考になるような音の要素。僕が先ほど話したバッハについての内容は、バロック音楽全般に当てはまることだ。現代の音楽との共通点が非常に多い。だからケイジの音楽や自分の音楽と、バロック音楽のあいだに共通点を見つけることは僕にとって容易なことなんだ。

ケイジだと“4分33秒”に注目が集まりがちですが、彼はピアノ曲や数々の電子音響の実験も残しています。あなたにとってケイジのベストな作品は?

FT:そうだな……ケイジが何を作曲したということよりも、彼が作曲したということ自体が重要なことだと思う。彼のヴィジョンは、緊迫性や現代的という意味では、他の作曲家のヴィジョンよりはるかに先を行っている。ジョン・ケイジ前とジョン・ケイジ後がある。彼はすばらしい音楽をたくさんつくったけれど、重要なのは、彼の作品の底には非常に強力な概念的な基盤があったということなんだ。そのせいで音楽の影が薄れてしまった。彼は自分でも言っているけれど、ジョン・ケイジ後は著作者という概念が消えてしまった。ジョン・ケイジの登場により、作曲家という概念が消滅した。僕たちは、作曲家であれ演奏者であれ一般の観客であれ、みな同じ体験の一部である。同じ体験の一部であり、体験を共有している。作曲家が独裁的権力を持ち、演奏者は作曲家の忠実なメッセージを観客に伝えなくてはいけなくて、それを聴く観客も静かに従うべき、という構造/ヒエラルキーはもう存在しない。それがケイジの思想だ。ケイジ以降、僕たちは音楽をまったく新しい思想として捉えている。だから彼は20世紀における超重要人物だったと思う。彼のベストな作品にかんしては、僕はケイジの作品で大好きなものがいくつもあるけど、“In A Landscape”というピアノ曲はとても美しい作品だと思う(*『AMBIENT definitive』をお持ちの方は22頁を参照)。

バッハとケイジの作品で、ピアノで録音されたもののなかでは、それぞれどの演奏家によるものがおすすめですか? 前者はできればグールド以外で。

FT:僕はグールド以外のバッハ演奏家をあまり知らないから、おすすめするとしたらやはりグールドだな。それ以外だと誰がおすすめできるかな……坂本龍一も僕が好きなバッハを弾いていたかもしれない。でも、彼はむしろキュレイター的なことをしているのかも。ケイジにかんしては、ケイジ専門の演奏家という人がいないから答えるのは難しい。それにケイジはピアノ作曲家として有名なわけではないからね。でも、ひとりだけケイジのピアノ音楽をよく演奏していた人がいた。ケイジを聴くには、スティーヴン・ドゥルーリーという人がおすすめで(*『AMBIENT definitive』をお持ちの方は22頁を参照)、バッハを聴くならやはりグールドをおすすめするね。

昨年は『Glenn Gould Gathering』でアルヴァ・ノト、フェネス、坂本龍一と共演していますが、それ以前から彼らの音楽は聴いていましたか? それぞれどのような印象を持っています?

FT:現代に健在するアーティストたちのなかでもっとも偉大な3人だと思う。坂本龍一と共演することになったと聞いたときは、信じられなかったよ。僕にとっての3大インスピレイションのひとつに入るからね。だから彼と、アルヴァ・ノト、フェネスと共演できたということはほんとうにすばらしい体験だった。もちろん以前から彼らの音楽はよく知っていたよ。何年も前から彼らの音楽を聴いてきたから。だからこの共演は僕にとってとてもたいせつで、共演した1週間の期間は充実した時間を過ごすことができた。それも、もうひとつの「東京ストーリー」になるよね。あの3人と一緒に東京で1週間を過ごした。そのとき、彼らには強い影響を受けたよ。

デトロイト・テクノは都会の悲しみをもっともうまく捉えた音楽だと思う。僕たちは本来の故郷である地球や自然界とはまったく切断された世界に暮らしている。僕たちが見るもの、触るもの、つくるものはすべて僕たち自身が発明したものだ。デトロイト・テクノはその悲しみをいちばん上手に表現している。

2016年の『Surface Tension』はデリック・メイをゲストに迎え、彼の〈Transmat〉からリリースされました。彼とはいつ、どのような経緯で?

FT:デリックとは10年くらい前に出会った。カール・クレイグがデリックのことを紹介してくれたんだ。僕たちは車でデトロイトの街を走っていて、一緒に時間を過ごしていた。互いにいろいろなアイディアが浮かんで、一緒に音楽をつくろうという話になっていた。初めて彼と一緒に仕事をしたのはオーケストラのプロジェクトだった。5年くらい前にベルギーでやった公演だったけれど、とても良い出来で、デリックとは結局、オーケストラ公演をその後もデトロイトやパリなどでもやることになった。彼と共演した後、僕は毎回こう言っていたんだ。「デリック、今度一緒にスタジオに入って制作しようよ」って。デリックは「うーん、どうかな。音楽のレコーディングはもう何年もやっていないから、わからないな」と言っていたから僕は、「じゃあ、こうしよう。スタジオに来てくれさえすれば、僕が適当に録音しておくから、何か良いものができたら、そのときにまた考えよう」と伝えた。そうやって彼を僕のスタジオに呼んだ。そしてスタジオで僕は、彼が演奏したものをすべて録音したんだ。彼が僕のスタジオに入るなり、録音ボタンを押してずっと録音していた。僕たちはアルバムを1枚リリースしたけれど、まだまだ音源はたくさんあるから、その音源だけであと2枚はアルバムがつくれるよ。現時点では、あの8曲がリリースされるのにふさわしい音だと思うから、残りの音源は保留にしているけれどね。

デトロイト・テクノが成し遂げた最大の功績はなんだと思いますか?

FT:個人的に思うのは、デトロイト・テクノは、人類の都会の悲しみをもっともうまく捉えた音楽だと思う。あなたも東京に住んでいるからわかると思うけれど、僕たちは都会という、僕たちの本来の故郷である地球や自然界とはまったく切断されてしまった世界に暮らしている。僕たちが見るもの、触るもの、つくるものはすべて僕たち自身が発明したものだ。僕たちは、自然の要素というものに触れてはいないんだよ。水道から流れる水道水を自然のものと捉えるならべつだけど、たとえば手を洗って石鹸を使うときも、なんらかの化学物質が入っているし、手を拭くときにタオルを使うけれど、そのタオルも、綿を織ったり、工場で染められたりという技術が使われている。そういった、自然界の要素から切断されているという状態。僕だって建築物などのつくられたものは好きだし、モノが嫌いだと言っているわけではない。ただ、僕たち人間がそういうモノに溢れた環境に暮らしていて、自然の要素に触れていないという状態に悲しみを感じるんだ。デトロイト・テクノは、その悲しみをいちばん上手に表現していると思う。僕にとっては、とてもエモーショナルでポエティックな音楽だ。同時にとてもグルーヴィで、他の感情が付随してくるときもあるけど、悲しみを感じられる音楽でもあると思う。

2年前には『Versus』でカール・クレイグともコラボしていますが、近年はジェフ・ミルズがオーケストラとやったり、デトロイト・テクノがクラシック音楽と結びつく例が目立つ印象があります。それ以外でも、ここ10年くらい、クラブ・ミュージック~エレクトロニック・ミュージックとクラシカルが融合するケースが増えてきていますが、そういう動きにかんして「カウンター・カルチャーが正統なハイ・カルチャーの地位にのぼり詰めようと背伸びをしている」、あるいは「ハイ・カルチャーの側がカウンター・カルチャーの良いところをかすめとろうとしている」、そういう側面はあると思いますか?

FT:その両面があると議論できると思うけれど、それはあまり関係ないことだと思う。たいせつなのは、音楽に限界はないということだから。音楽を、ジャンルやスタイルがあるものだと捉える必要はないと思う。なんらかの基準を満たすからこれは○○の音楽だ、という考え方は必要ないと思う。僕は、音楽に限界や辺境というものはないと思っている。だから、オーケストラを使ってエレクトロニック・ミュージックを演奏したいと思うのは自然なことだと思うし、エレクトロニック・ミュージックのアーティストたちがクラシック音楽のミュージシャンを使って自分を表現してみたいと思うのは自然なことだと思う。そういう試みにたいしオープンな姿勢でいることは、さらに豊かな体験ができるということだから。エレクトロニック・ミュージックにもアジェンダがあって、クラシックな音楽ホールで演奏会をやりたいと思うだろうし、その一方でクラシック音楽も観客の層を広げたいと思っているだろう。だからいま挙がったような側面はたしかに正論として存在すると思うけれど、僕個人の意見としてはとくに気にしていないな。

いま注目している若手のテクノ・アーティストはいますか?

FT:もちろん! 最近は才能あるプロデューサーが大勢活動している。ほんとうにたくさんの作品がリリースされているから、僕はそのすべてをフォロウすることはできないし、すべてを知るなんてことは不可能だけど、たとえば日本だけでもシーンは盛り上がっているし、すばらしい音楽をつくっている人たちがいる。メインストリームな音楽や、ダンス・ミュージックでいまいちばんホットなものを知りたいのであれば、僕はそこまで知らないけれど、ライヴ・セットで最近いちばん気に入っているのは、ブラント・ブラウアー・フリック。最近新しいアルバムが出たんだ。『Echo』というタイトルで先週リリースされたばかりだ。すごくおすすめだよ! 彼らも東京が大好きなんだ。

ふだんテクノやエレクトロニック・ミュージックを聴いている人におすすめの、最近のクラシカルの音楽家を教えてください。

FT:僕がおすすめするのは、僕のメンターであるブルース・ブルベイカー。ピアニストであり、偉大な人でもある。すばらしいアルバムを何枚か出しているよ。フィリップ・グラスのようなアメリカのミニマル・ミュージックに傾倒しているけれど、僕がいちばん好きなのは『Codex』というアルバムで、2年前にリリースされた作品。『BachCage』同様、とても昔の音楽と、アメリカのミニマリスト作曲家のテリー・ライリーの作品とを行き来しているんだ。すごくクールだよ。


栗原康 × 白石嘉治 - ele-king

 お知らせです。おかげさまで好評をいただいている『ele-king臨時増刊号 黄色いベスト運動──エリート支配に立ち向かう普通の人びと』の刊行記念イベントが、7月21日(日)武蔵野プレイスにて開催されます。同書に参加し、昨年の『文明の恐怖に直面したら読む本』も記憶に新しい栗原康と白石嘉治のふたりが、ジレ・ジョーヌについて、刊行後の動向も含めてぞんぶんに語り合います。主催は、『黄色いベスト運動』号に翻訳記事を提供してくれた、ル・モンド・ディプロマティーク日本語版の会。ちなみに代表理事を務める村松恭平は、まもなく刊行されるヴァルファキス『わたしたちを救う経済学』の翻訳にも参加しています。当日は懇親会もありますので、お時間ある方はぜひ!

ディプロ出版記念シンポジウム
フランスの民衆蜂起「黄色いベスト」運動を問う

~エレキング臨時増刊号『黄色いベスト運動~エリートに立ち向かう普通の人びと』の出版を記念して~

対談:白石嘉治氏(仏文学者) vs 栗原康氏(アナーキズム研究者)

 昨年末、燃料税の値上げに反対してフランスで始まった「黄色いベスト」運動はマクロン大統領に象徴されるエリート支配に立ち向かう“民衆蜂起”として今もなお続いている。組合や政党が主導したかつての社会運動と違い、地方在住のおじさんやおばさんが自然発生的に立ち上がったこの運動は、左右のイデオロギー対立を超えたアナーキーな運動として、パリ・コミューンや五月革命とともに歴史にその名を刻むことになるだろう。

 その実情を伝えるエレキング臨時増刊号『黄色いベスト運動』(Pヴァイン、今年3月発売)の出版を記念し、同誌で対談している仏文学者の白石嘉治さん(『ネオリベ現代生活批判序説』新評論など)とアナーキズム研究者の栗原康さん(『何ものにも縛られないための政治学~権力の脱構成』角川書店など)をお招きし、「黄色いベスト」運動の意義とアナーキズムの現在について考える。

※参考図書:白石嘉治・栗原康共著『文明の恐怖に直面したら読む本』(Pヴァイン発行)

■日時:7月21日(日)午後2時半~4時半
■場所:武蔵野プレイス3階 スペースC
 東京都武蔵野市境南町2-3-18(JR中央線武蔵境駅南口)
■資料代:一般800円、会員・学生500円(学生の方は学生証をお持ちください)
■定員:40名(先着)
■主催:ル・モンド・ディプロマティーク日本語版の会

https://www.diplo.jp

※シンポジウム終了後、近くの居酒屋で懇親会を開催します。講師を囲んで和気あいあいと懇談したいと思います。参加費は3000円程度の予定です。
※申し込みとお問い合わせは日本語版の会まで(diplojapon@gmail.com 携帯080-4451-1954)

SCARS - ele-king

 先日、入手困難だったファースト・アルバムがリイシューされ、話題沸騰中の日本を代表するヒップホップ・グループ SCARS。こたびの完全復活にあわせなんと、オフィシャルTシャツの発売が決定した。本日7月5日より販売受付がスタート。SからXXLまで、各サイズしっかり取り揃えられているのが嬉しい。完全限定生産とのことなので、締め切られてしまう前に急げ!

A-THUG を筆頭に SEEDA、STICKY、BES、bay4k らが名を連ねる日本語ラップ・シーン最重要グループ、SCARSのオフィシャルTシャツが完全限定で発売!

 A-THUG を筆頭に SEEDA、STICKY、BES、bay4k らが名を連ねる日本語ラップ・シーン最重要グループ、SCARS! 奇跡の復活を果たし、またファースト・アルバム『THE ALBUM』、セカンド・アルバム『NEXT EPISODE』のリイシューも実現して再びシーン内で大きな注目を集める中、オフィシャルのTシャツが完全限定で発売!
 その『THE ALBUM』のジャケットでも使用された赤をベースとする SCARS ロゴを用いたデザインで、ボディは GILDAN (6ozウルトラコットン)を使用し、ブラック・グレーの2色、S~XXL サイズが発売。本日7/5(金)正午から下記サイトのみの完全限定生産での発売となります。受注受付期間は7/22(月)正午までを予定しており(※変更になる可能性もあります)、発送は8月上旬頃を予定しております。また期間中にオーダーしていただいた方にはTシャツのデザインでも使われたSCARS ロゴのステッカーが特典としてついてきます。お買い逃しなく!

*SCARS ロゴTシャツ - 販売サイト
https://anywherestore.p-vine.jp/?pid=144029904

アイテム: SCARS ロゴTシャツ
カラー: ブラック / グレー
サイズ: S / M / L / XL / XXL
販売価格: 3,800円(税抜)
受注締切: 2019年7月22日(月)正午
発送予定: 2019年8月上旬

※ご購入のお客様には SCARS ロゴ・ステッカーが特典としてつきます。
※ボディは GILDAN (6ozウルトラコットン)になります。

参考サイズ (単位:cm):
Sサイズ:身幅 46.5 / 身丈 70.5 / 袖丈 17 / 肩幅 44
Mサイズ:身幅 51.5 / 身丈 72 / 袖丈 17.5 / 肩幅 47.5
Lサイズ:身幅 55.5 / 身丈 75.5 / 袖丈 19 / 肩幅 51
XLサイズ:身幅 60.5 / 身丈 79.5 / 袖丈 20 / 肩幅 58
XXLサイズ:身幅 65 / 身丈 81 / 袖丈 21.5 / 肩幅 65

Cabaret Voltaire - ele-king

 リチャード・カーク、クリス・ワトソン、スティーヴン・マリンダーの3人によって結成されたキャバレー・ヴォルテールは、パンクの波が来る前からダダイズムに傾倒し、イーノが標榜した「ノン・ミュージック」を実践するプロジェクトだった。テープループやオシレイターを使って、アブストラクなサウンドコラージュをしていた彼らは、ポストパンク以降のインダストリアル・サウンドを先取りしていたと言えるだろう。
 そんなキャブスの、まさにパンク前夜の貴重な音源『1974-76』、そしてパンク以降に映画のサントラとして制作された『チャンス・ヴァーサス・コーザリティ』の2作が〈ミュート〉よりリイシューされる。前者は、結成初期にバンド自身で録音した音源の中からセレクトされた楽曲集で、1980年にインダストリアル・レコードからカセットでリリースさてあもの。その後1992年に〈ミュート〉からCDで発売され現在は入手困難となっていたが、今回新たにマスタリングされ発売されることとなった。後者は、1979年に同名映画のサントラとして制作された『チャンス・ヴァーサス・コーザリティ』 。これは今回が初のリリースとなる。
 2枚ともに、8月30日(金)にリリースされる。


キャバレー・ヴォルテール
1974-76 (1974-76)

Mute/トラフィック

リマスター作品。1980年にインダストリアル・レコードからカセットで発売され、その後1992年にMute傘下のThe Grey AreaよりCDで再発され現在は廃盤となっていた。本作は、バンド結成初期の音源の中から自身でセレクトされた楽曲集である。それらは全てクリス・ワトソンの自宅屋根裏にあるオープンリールのテープレコーダーで録音されたのだが、その中の数曲が1976年、バンド自身によってカセットテープで限定数リリースされ今となっては伝説のお宝バージョンとなっている。


キャバレー・ヴォルテール
チャンス・ヴァーサス・コーザリティ (Chance Versus Causality)

Mute/トラフィック

初商品化。リマスター作品。1979年、バベット・モンディーニ監督による同名映画のサウンドトラックとして制作された作品。この作品は即興演奏で構成されており、「リズムを減らし、より多重録音を」という当時の一文が残されている。勢いがあり即興的ながら茶目っ気たっぷりで温もりが感じられるこの作品は、この時期におけるキャバレー・ヴォルテールの刺激溢れる瞬間を切り取ったものであり、ヴォーカル・サンプリング等の技法やサウンド全体を通して『Nag, Nag, Nag』と『Voice of America』 のリリースの間を強く結びつけるアルバムとなっている。ジャケットに関しては過去のアーカイブから蔵出しされた素材を使用し、その当時の画像、ライヴ演奏時の写真などを含めそれらをモンタージュ的に配置し、リチャード・H・カークとフィル・フォルステンホルムによってデジタル加工が施されている。

◼︎キャバレー・ヴォルテール
バンド名の由来:1910年代に既成の秩序や常識に対するカウンターとして起こった反芸術運動(ダダイズム)の活動拠点であったスイスのキャバレーの名前にちなんでいる。既存の音楽の解体、再構築という彼らのサウンドと共鳴している。

73年結成。シェフィールド出身。バンド名は1910年代に既成の秩序や常識に対するカウンターとして起こった反芸術運動(ダダイズム)の活動拠点であったスイスのキャバレーの名前に由来する。既存の音楽の解体、再構築という彼らのサウンドと共鳴している。オリジナル・メンバーはリチャード・H・カーク(guitars, keyboards, tapes)、スティーブン・マリンダー(vocals, bass, keyboards)、クリス・ワトソン(81年に脱退/ keyboards, tapes)。79年にデビュー・アルバムをリリースし、15枚のスタジオ・アルバムをリリースしている。82年初来日公演実施。95年以降は活動休止中だが、最も再結成が望まれるバンドのひとつ。現在実に1994年以来のオジリナル・アルバムを制作中である。

www.mute.com
www.facebook.com/CabaretVoltaireOfficial

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